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2017年2月
＜＜2月タイトル＞
02/28 日本人一位 02/27 厳罰のコスト 02/24 プレミアムフライデー 02/23 差別か逆差別か 02/22 写す価値なし 02/21
不人気の度合い 02/20 兄弟殺し 02/17 ポルトガルの道 02/15 万引き犯のプライバシー 02/14 大誤報？ 02/13 接待ゴルフ
02/10 360度地平線 02/09 オフィスは変わったか 02/08 大喜びしているけれど 02/07 本当は好きじゃない 02/06 ギャンブル依存症対策
02/03 留学生減少 02/01 日本の沈黙
2017年2月28日
日本人一位
今年からコースが都庁前から東京駅へと変更された東京マラソンが26日に開催された。豊洲市場問題で百条委員会のお白州に呼ばれることになってすっかり悪役キャラになってしまった石原前都知事の「数少ない業績」の一つともいわれる東京マラソンだが今年の参加者3万6千人！と今や世界有数の市民マラソン大会に育っている。
市民マラソンとはいうものの世界一流の選手をはじめとする多数の招待選手が競い合う「国際的マラソンレース」という「格」も備わっているというのだから、中々ユニークな大会でもある。誰もが参加できるリオのカーニバルが同時に世界一のサンバチームを選ぶ踊りの祭典であるのと同じような物―――と考えたらよいのかも――。
マラソンの翌日今朝（27日）の各紙にもこの東京マラソンの記事が踊っていたけれど、ここで気になったのは各紙の見出しが「終盤快走 井上八位」だとか「井上 日本人首位」という字が躍っていたことだ。
公平にみてやはり世界的大会になった東京マラソンを報じるならば「誰が一位（優勝）したか」であるはずで、男子なら世界記録保持者のキプサング、女子では同じくケニアのチョプチルチルの名がないのはなんだか「国際大会」には相応しくないような気がする。
井上選手のタイムは自己記録を4分以上縮め、2時間10分を切る2時間8分台という凄い数字ではあるのだが、これが日本人だけの大会での記録なら見出しトップは当然ながら、井上選手より上位の7人が全て外国人選手、しかも井上選手の記録は、トップのキプサング選手より5分遅れとなると―――ちょっと日本人選手に依怙贔屓しすぎ、とおもわないではない。ちなみに女子の藤本選手の全体4位の記録も首位のチョプチルチル選手に9分遅れ―――となると―――この先、世界選手権やらオリンピックでの日本人選手の上位入賞の可能性はかなり薄いというか、もはや絶望的と言ってもよいのではないか―――とも思う。
かつて（といってももう随分以前になるが）男子、女子ともにマラソンは「日本のお家芸」などといわれたこともあったことを思い出すと、「日本人首位！」だとか「日本勢4人、2時間10分を切る！」というはしゃいだ見出しに何だか淋しい気持ちになるのはタカさんだけだろうか。
もっとも、琴奨菊の優勝に日本に帰化した立派な日本人である旭天鵬の優勝を忘れたかのように「10年振り、日本人力士優勝」と大騒ぎし、稀勢の里の横綱昇進にも「19年振り日本人横綱誕生！」とやたらと「日本人」「日本人」を強調、連発したがる風潮が日本には根強く残っていることに、日本という国は中々国際化できない国なのだなぁ〜と思ってしまう。
（2/27/17 10:00pm）
2017年2月27日
厳罰のコスト
覚せい剤で捕まった芸能人が初犯の場合、執行猶予がついたがその猶予期間中に再び覚せい剤に手をだして―――というパターンがよく芸能欄を飾っている。
そういう記事になれてしまうと誰か芸能人とかスポーツ選手が逮捕されると、「ああ、「またあいつか」とか「今回はどうにか出てきたけれど、又、どうせ捕まるぞ！」などという野次馬根性丸出しの記事がスポーツ紙などに踊ることになる。
覚せい剤事犯の再犯率は他の犯罪に比べても高く年齢が上がるごとに更に再犯率は高くなるという。麻薬の密売人にしてみても、一度「客」になった覚せい剤常習者は、必ずと言ってよいほど又「客」になるというから、売人にとっては「マーケティングの努力いらずの上客」というのだから、この逮捕――再犯の連鎖は、極めて根が深いといわざるを得ない。
再犯は厳罰に処すべきだということも言えるが、刑務所に入ったとなると社会的に受け入れてもらえなくなり、再び薬に手を出して又刑務所に戻って――という悪循環を繰り返す者も多いとも聞く。
刑務所に一人の囚人を入れるとなると国費負担は年間400万円ほどかかるという。刑務所の設備、維持費の他、看守などの刑務官の人件費、移送等々だというが、繰り返し刑務所に戻ってくる覚せい剤患者をこれだけのコストをかけてバリバリの再犯者に仕立ててしまう――というのも考え物ではあるが―――。
海外で大麻などを合法化している国の多くは、このような刑務所コストを考えて（麻薬取締官の給料なんていうのも合法化すればいらなくなる）合法化に踏み切ったとも聞くが―――日本でも検討の余地があるのではないかとも思うのだが――――。
（2/26/17 10:00pm）
2017年2月24日
プレミアムフライデー
かれこれ半世紀近く前、タカさんが新入社員として勤め始めて数カ月たった頃、保険会社に就職した大学時代の友人から「久々に飲もう！」と電話があった。
まさに「モーレツ時代」だっただけに、新入社員の商社マンが定時に帰る等ということも出来にくい時代だったので、「じゃあ、集合8時でいいかい」と言ったところ、彼がもう少し早くならないか？という。
学生時代、何度か山に一緒に行くなど親しかった友でもあり、こちらも是非会いたいと思ったから、それでは、彼の意を組んでどうにかやりくりして7時には会えるようにしようと思い「じゃあ 7時では？」といったところ、彼の会社は終業が4時でありほぼ全員が定時退社する会社だそうで（それでいながら、儲かっていて給料もよい！という羨ましい限りの保険会社だった）、7時からとなると3時間もどこかで時間を潰さないとならないのでもう少し早くならないかという。
結局、何時に会ったのかは思いださないけれど、それからも、何度も彼とは飲んだり食事したりしたが、平日の夜だと時間が合わないからと、いつも休日か、ランチ時（お互いの会社が近かったし）になったものだった。（彼は20年程前に亡くなってしまったが、リタイアした今なら、頻繁にいつでも飲みにいけるのに――）
今月末の金曜日から、政府や経団連などのお声がかかりで「プレミアムフライデー」が始まるという。政府の音頭取りと聞いて、今安倍内閣が推進しようとしている「働き方改革」の一環として労働時間を少しでも減らし、家族などとゆとりある生活を楽しんでもらおう――という目的・趣旨なのかと思ったが、勿論、そういう意味はあるもののメインの狙いは、「月末の金曜日に早めに仕事を切り上げ、夕方から買い物や飲食、旅行などを楽しんでもらおう」という「消費喚起策」といういやに実利的な狙いからでたキャンペーンだと聞いて、ちょっと興ざめてしまった―――。
このプレミアムフライデーの話を聞いて、前記の友人との待ち合わせの話を思い出したのは、今時のサラリーマンなら、金曜日思いがけず仕事が早く終わってしまった場合、その時間をどうするのだろうか―――と思ったからだ。
あの当時のタカさんや友人同様、今だって、独身で恋人もいない、なんていう境遇に置かれた男女は結構多いのではないかと思う。そういった連中が、突然、終業時間が3時になり、早い時間に退社しなければならない〜等と言う境遇に放り投げられたら、「どうやって時間を潰そうか〜」なんて悩むことになりはしないのだろうか。
政府や経団連の狙いの通り「月末の金曜日に早めに仕事を切り上げ、夕方から買い物や飲食、旅行などを楽しもう」とすれば、それなりに出費も嵩むかもしれない。何かと物入りな昨今、中途半端に時間が余り「金がない」となると―――せいぜい、3時過ぎから安い立ち飲みスタンドかチョイ飲みの店で飲むぐらいしかないのでは―――若い独り者が3時からチョイ飲み―――う〜ん―――わびしくなってしまうかも。
中年のサラリーマンなら、いつもより早く家に帰ってみれば、息子も娘も塾通いで夜遅くまで勉強している―――となれば、一人でこたつに入って早い時間から一杯！なんて、罪悪感ばかりできっと楽しくはないのでは―――。
政府の実利狙いの「プレミアムフライデー」----、余計なお世話かもしれないが、先行きが心配だ。
（2/23/17
10:00pm）
2017年2月23日
差別か逆差別か
東京大学は来年度（2017年度）から自宅からの通学が困難な（すなわち地方出身の）女子学生に対して同大学が提携する民間マンションなどの住まい100室を用意し、生活補助として月額3万円（年間36万円）を支給する制度を始める。
対象となるのは教養学部生のみ（東大の合格者は全員、第一学年及び第二学年では教養学部生となる）、東大合格者数は毎年約3000人であり、その男女比率はここ10年余りに亘って概ね4対1から5対1となっているから、これからすると今年も600人前後の女子東大生が入学することになる訳だが、例年約半数が首都圏出身者であることを考えると、今年から始まる生活補助金受給の資格を持つ女子学生は150人程度となり、100人が支給対象なのだから、かなり高い確率で「地方出身の女子学生」は、年間36万円の補助が受けられるようになる訳だ。
年間で約250万円かかるといわれる「東京での一人暮らし大学生生活総費用」の約15%に相当する補助金制度は、かなり大きい。
「未だに20%に及ばない女子学生比率をあげたい」と考えて大学当局の意向で始まった制度だというが、女子比率の低さのげんいんが、「女性の東京での一人暮らしに対する不安」が原因だとしたら、この額の補助金で不安が解消するとも思えないし―――東大入試の最低合格点には、男女差がないのだから、男性の1/4しか合格しないのは、いかんともし難い、男女の「能力」の差であり――女性合格者のみに補助金を支給するのは「逆差別」ではないか―――という声もある。
また、「地方出身で生活が苦しいのは女性ばかりではない。男子学生だって大変なのに〜」「補助金を出すなら男性地方出身者にも出さなければ不公平だ」という声もあるという。
トランプ大統領就任以来アメリカで吹き荒れている「白人至上主義」にしても、アメリカでかつて繰り広げられたような「白人であるというだけで、有色人種より優遇されて当然だ」といったレーシズムとちがって、様々な形で差し延べられた有色人種優遇措置---アファーマティブ・アクション（例えば、医師免許や司法資格などでは、有色人種の合格点の方が白人のそれよりかなり低く設定されている―――といった）の行き過ぎによって、白人の方が「逆差別」されている！といった不満がたまりにたまって爆発しているのだともいわれている。
確かに、トランプの支持率は40％に過ぎないのにトランプが先日出した「イスラム圏7カ国からの入国禁止令」に賛成と答えた世論は、49％と反対の41％を大きく上回っている。（アメリカの世論はイスラムにたいして心中では、「大嫌い」と思っており、いままでは、それを表に出さなかっただけなのでは〜）
日本でも最近は帰国子女枠で比較的楽に有名大学に合格した学生に対して、難しい一般入学試験をかいくぐって合格した一般学生や、不合格だった学生が「自分達は逆差別を受けている」と、帰国子女枠学生にたいして反感を抱いているケースもあるという。あるいは、人権を盾に権利を強く主張する一部の外国勢力に対する反感と言った問題も無視できない場合もある。
人種にせよ、人権にせよ、ジェンダーにせよ、差別の問題の解決は一筋縄ではいきそうもない。
（2/22/17 10:00pm）
2017年2月22日
写す価値なし
最新の読売新聞世論調査によると、アメリカで「不人気」といわれるトランプと首脳会談やらゴルフをやって帰ってきた安倍首相の支持率は、1ヵ月前に比べて5%上昇し66%となったという。同時に行われた政党支持率調査では、自民党の43%に対してあの蓮舫さん率いる最大野党民進党は6％と遂に野田幹事長が死守したいといっていた「消費税率（8%）」さえも切ってしまったという。
政権交代が起こる余地のある「健全な二大政党制」が望ましいという理想を掲げその実現の為にと、大々的に行われた90年代後半の選挙制度改革だったが、確かに一度は政権交代らしきものが起こったものの、民主党政権の余りのお粗末さ加減によって、自公連立が政権に復帰して以降は、おそらく相当の期間にわたって次の政権交代など望むべくもないだろう―――という状況になっている。43%対6%という数字がまさにその絶望的な状況を物語っている。
毎年、正月に恒例として放送されるバラエティー番組「芸能人格付けチェック」では、出演芸能人を一流、二流、三流といったランク付けを行うが、もっとも下のランクは「写す価値なし」としてテレビ画面から消えてしまうのだが―――。
民進党の6%という支持率は、公明党の4%や共産党の3%に比べればまさか「写す価値なし」までは格がおちているとはいえないかもしれないが、間違いなく一流とか二流といったレベルではないように思える。
東京大改革を掲げて自民党都連を相手に破竹の勢いを見せる小池百合子都知事が主導する「都民ファーストの会」は、次期都議会議員選挙では第一党である自民党を凌駕し都議会第一党になる可能性が高いといわれていて、自民党都議の中にはかつての内田ドンに付き従って鉄の団結を誇った議員団とはとても思えないように、次々とメンバーが「都民ファーストの会」になだれ込む気配を見せているが、都議選では鳥越俊太郎というトンデモおじさんを立てて小池候補を口汚く罵っていた蓮舫さんを戴く民進党も、あの都知事選の過去などなかったかのように「小池知事と改革に向かう方向性は同じだ！」などと恥ずかしくなるようなセリフを吐いて小池人気にあやかろうとしている。マスコミでは、この民進党の大変身を称して「抱きつき作戦」などといっているが、たしかに言い得て妙といった感じがする。
「都民ファーストの会」が都議選で大躍進を見せた場合、自民党も大ダメージを受けるだろうが、それ以上に現在18名の都議を持つ民進党のダメージは大きく、下手をすると壊滅するのではないかという下馬評も立っている。あわてた民進党都議団は、「民進党」という党名すらかなぐり捨てて「東京改革都議団」という小池知事の「東京大改革」というスローガンを丸パクリしたような会派名を名乗りはじめたのだから、「笑う」、を通り越して「哀れさが漂う」ところまで落ち込んでいる。
昔、まだテレビ放送がなかった時代、ドサ回りの歌手で「美空ひばり」ならぬ「美空ひはり」という歌手がいて、東北などの田舎町では騙されて「美空ひはりショー」に押しかける客がいたという話があったが―――。
都議会民進党は遂に「美空ひはり」を名乗るようになったが―――このままいくと「写す価値なし」になる日も近いのかも―――。
（2/21/17 10:00pm）
2017年2月21日
不人気の度合い
ギャラップ社の最新世論調査によると就任一ヶ月であるトランプ大統領の支持率は40％と就任直後の45%に比べ5%ダウンとなっており、この数字は、新大統領の就任後3カ月間は、「ハネムーン期間」といって新大統領への批判は控える--- という伝統のあるアメリカでは、まさに異例な「不人気」ぶりだというコメントが各紙に出ていた。
確かに、戦後の歴代大統領の就任後1ヵ月時点での支持率は概ね60%以上であり、60%を割った二人（クリントンが51%、レーガンが55％）でも半分（50%）は超えていたことからすると、確かに40％という支持率は異様に低い――とはいえるのだろうが―――。
しかも、就任直後には支持率が不支持率を辛うじて上回っていたにも関わらず、就任一ヶ月後にはついにわずか2%とはいえ、不支持率が支持率を上回ったという点も、マスコミ各社が「トランプ不人気！」という見出しをつける根拠になっているようなのだが―――。
ただ、天邪鬼なタカさんは、これらの見出しを見て、「待てよ！」とおもわないではない。というのは、この数字、仔細にみれば、マスコミからは散々に「イスラムに対して差別的だ」「白人至上主義的だ」「政策も皆、危なっかしい」「向う見ずにアメリカ政治の伝統の卓袱台返しばかりやっている」ボロカスに叩きまくられている新大統領であるにもかかわらず、まだ確実に40%のアメリカの世論は「トランプ、よくやっている！」というお墨付きを与えているということでもあり、しかもその40%というのが最も「典型的かつ伝統的なアメリカ」といわれる中西部、そして南部アメリカのコア層の人々で構成される層を中心とした人々であることを考えると、簡単に「トランプ不人気」の一言で片づけてしまえるようなものではないのではないか―――とも思えるからだ。
先週、トランプは、トランプ批判の急先鋒であるCNNを含む、アメリカの主要メディア相手に77分間に亘る単独記者会見をおこなったが、最初から最後まで「トランプvsメディア」のバトルというか罵り合いに近い形の会見を、歴戦の記者たちを相手に、一人で立ち向かかい、最後には「俺が奴らを言い負かせてやった！」とばかりの意気軒高さをみせたトランプに対するトランプ支持者たちの熱狂に近い賛辞は、とても「不人気大統領」のそれとはいえないものであったという。
40%vs42%という支持vs不支持の比較という点だけをとって、「トランプ大統領、記録的な不人気率！」という「見出し」をつけるのは、やっぱりトランプ嫌いのマスコミ側の悪意を込めた意図を感じないではない。
世論調査なるものの数字の集め方にも今一つ信用できない部分があるが（例えば、日本でも朝日新聞とサンケイ新聞とでは内閣支持率の数字には毎回、大きな隔たりがある――といった）とくに、そういった世論調査の数字に付けられる「見出し」の文言には、調査側の意図的な「思い」が込められている可能性は、米国でも日本でもよくあることだということに、我々は常に注意してみていく必要があるだろう。
（2/20/17 10:00pm）
2017年2月20日
兄弟殺し
プルータスによるカイサルの暗殺をはじめ、古代から現代に至る迄「暗殺」といわれる事件は実に数多い。
暗殺は、おおまかにいうと政治的、あるいは宗教的な理由によって何らかの権威組織（国家だとか結社、あるいは宗教といった）が組織的に計画、立案して実行される殺人行為—といわれるが、単独犯が無計画に行うものだとか、「暗殺」実行により加害側が受けるメリットが全く不明な突発的なものなども多くあるから、厳密に「暗殺の定義」を決めることは非常に難しいような気がする。（例えば、ジョン・レノンの場合は、しばしば「暗殺」といわれるが、犯人の主張など聞いてみると余りにハチャメチャであり、あれは一精神病者による「殺害」ではないか？とも思う）
そういう意味では、先週、マレーシアのクアラルンプールで起きた金正男氏の毒殺事件は、金正男という人物が北朝鮮王朝（？）の三代目である金正恩北朝鮮労働党委員長の腹違いの兄であり、金日成、金正日と続く金王朝（？）の正統派の血筋でしかも儒教的な序列からいけば金正恩の長兄という上位の立場にある人物だけに、三代目が自分の地位を脅かしかねない人物として排除指令を出した―――間違いなく「暗殺」と言える事件だと思われる。
事件が外国で起きたにもかかわらず、事件の起きた国の主権を無視するかのように北朝鮮当局がマレーシア政府に対して「遺体を解剖せず北朝鮮に渡せ！」などという要求をした、という一事をとってみても、これは間違いなく北朝鮮当局が裏で糸を引いているなぁ〜と誰にも確信させるに十分であり、そうであればやっぱりこの事件は「北朝鮮による国家的暗殺」と言ってよいだろう。
北朝鮮という独裁国家で暗殺の最終指令を出せる人物といえばそれは間違いなく金正恩しかいない。そう考えるとこれは暗殺の中でもかなり特殊な「兄弟殺し」に属するものだということになる。
政敵や多宗派の主要人物の暗殺のほとんどが、血のつながりのない者を標的にしているし、親族同士の殺し合いであっても、直接の血のつながりが濃い者同士となるとそんなに多くはない。（一昨年金正恩の司令によって銃殺された張成沢の場合でも親族とはいえ血のつながりのない叔母の夫であり今回の長兄殺しとは訳が違う）
世界で最初の「兄弟殺し」といえば聖書のカインとアベル、日本でも源実朝を暗殺した公暁、信長の弟殺し等の例があるが、いずれのケースでもその兄弟殺しがその後の加害側の破滅を産んでいることを考えると金正恩も、なんだか「一番やってはいけないこと」に遂に手を染めてしまった―――という感じがしないではない。
もっとも、北朝鮮国内では金正男という金正恩の「実兄」がいることは、一般国民は全く知らされていないそうだから、暫くは金正恩が実の兄でさえ手に書ける冷酷非情な指導者であるという事実は知られないかもしれないが―――国際的にこれだけのニュースになっているのだから、いずれ北朝鮮国民もこの事件を知るだろう。そうなった時、いかに強権強圧的な政権といえども、金正恩体制がもつものだろうか―――。
いよいよ、北の三代続いた王朝も終末期を迎えるのではないか―――期待をもって注目して行こうと思う。
（2/20/17 10:00pm）
2017年2月17日
ポルトガルの道
後に世界規模の帝国を作ったスペインや英国に先駆けて、大航海時代の先陣を切ったのはポルトガルだ。欧州の片田舎の小国に過ぎなかったポルトガルが15世紀はじめ逸早く世界に進出し多くの富を蓄えたが、そのきっかけになったのは、喜望峰を回ってインドにいたるインド航路を開いたヴァスコ・ダ・ガマや、初めての世界一周航海を成し遂げたマゼランたちのような開拓者精神あふれるポルトガル人がいたからだ。
当時、ポルトガル人の多くがいかに世界に雄飛したかは、リスボン港に建つあの有名な記念碑「発見のモニュメント」に彫られている15世紀のポルトガル人探検家、芸術家・科学者・地図制作者・宣教師（あのフランシスコ・ザビエルを含む）の像だけでも、ざっと数えただけでも50人にも上ることからも分かる。
しかし、それほどの勢いで世界に雄飛し、南米やカナダをはじめ広大で豊かな植民地を得たにもかかわらず、ポルトガルが、後を追うスペインや英国によって、再び、欧州の片田舎の小国にまで没落してしまった第一の理由は、当時のポルトガルの人口がわずか100万人程度と、スペインや英国の1/5から1/6に過ぎなかったため、広大な殖民地の経営や、東洋との貿易（これもまた、当初はメチャクチャに儲かった）に、本国の優秀な人材をほとんど取られてしまい人手不足、人材不足におちいり、人口余力のあるスペインや英国にあっという間に飲みこまれてしまったためだという。
ポルトガル人自身が、ヨーロッパでの地位の低さは、「あの頃、優秀な人材が皆、海外に出てしまった為だ」と嘆いている―――という話を聞いたことがある。
今、アメリカや欧州で問題になっている「移民」問題も、いわゆる経済難民が押し寄せることによる社会負担が重荷になっていることが、一番の問題だといわれているが、先日、トランプが入国禁止の大統領令を出したときに、それに対し抗議の声をあげたのは、GOOGLEやAmazonをはじめとする新しい形の企業だったが、彼等の反対理由は「この大統領令によって海外からの優秀な人材が来なくなり、それはひいては米国経済を衰退に導く」というものだった。
ということは、アメリカの二次産業では、メキシコなどの単純労働の流入による国内労働者の賃金低下を嫌っているけれど、金融やハイテク、あるいは通販といった第三次産業では、アメリカの優位は海外からの優秀な頭脳によって支えられている―――ということを意味しているのだ。いま、日本で語られる海外労働人口の受入れ問題も、どちらかというと、日本人がやりたがらない3K労働（肉体労働や、介護といった）のみに話題が集中しているが、例えば1T企業や、金融関連企業ではインドや中近東、欧米のみならず中国からのいわゆる高技能労働者と言われる労働力が多く働いており企業によってはこういった外国人労働力なしでは成り立たないところも多いという。
逆にインドや香港、中国、韓国、では優秀な人材、裕福な階層に属する人ほど海外に移住して行くという―――まさにポルトガルが辿った道だ―――。
若い世代の、優秀な頭脳も（そうでない頭脳も）さっぱり外に出たがらなくなっている今の日本がかつてのポルトガルが辿った道を歩む恐れは少ないかもしれないが、次に怖いのはそんな日本に海外の優秀な頭脳が入って来ず、単純労働力ばかり押し寄せるアメリカのような国になりはしないかということだが―――。
いやはや海外人材の問題は実に複雑だ。
（2/16/17
10:00pm）
2017年2月15日
万引き犯のプライバシー
訴訟社会アメリカでは、こんなトンチンカンな判決もある、という好例としてあげられるのは、侵入しようとした家の屋根を踏み拭いて大怪我をした泥棒が、その家の持主に対して「屋根の管理を怠ったからだ」と賠償請求を起こし勝訴したという判決だ。
屋根の修理を頼まれた屋根屋が屋根を踏み抜いた訳ではなく「泥棒」が勝手に屋根に上がって（この時点で侵入罪である）落っこちたのになぜ？という疑問が当然起きるが、判決では「屋根のメインテナンスは、持主の義務であり、屋根を踏み抜いたのが屋根屋であろうが、泥棒であろうが関係ない！」という理屈だというのだ。
この判例、はじめて聞いた40年近く前（確かU.S. Commercial Code の講義か何かで） には「きっと都市伝説の類だろう？」と思ったものだが、未だに様々なところに「アメリカの裁判で起きた、超有名な判決」として掲載されているから実際に起きたことなのかもしれない。自然法則と違って法律という奴は一から十まで人間が作ったものだから、上記のような「とんでも判決」を含め、実際の社会生活や、我々の考える｛社会常識｝とは随分と矛盾するところもあるのは致し方あるまい。
ここのところ、各地のコンビニなどで度重なる万引き被害に業を煮やした店側が防犯カメラで撮った万引きをしている客（犯人）の画像を店内に貼りだすことで、被害を食い止めようとしているケースがよく報じられている。
ある新聞の記事によるとコンビニ店によってはその月の純利益の20%から30％にも相当する万引き被害が出ていてその損害額は全額オーナー負担になることから店にとっては、死活問題でもあり、このような強硬策に出ざるを得ないのだとか―――。
数年前にも高額なガンダムの玩具を万引きされた店の店主、最近では高級眼鏡フレーム数十万円相当が万引きされた眼鏡店店主が、万引き犯の画像を（目の部分にモザイクをかけたものだったというが）店内に貼りだし、このことが新聞などで伝えられたことで万引き犯が捕まったという例もあるだけに、この強硬策、それなりの実効性はあるようなのだが〜。
但し、勿論、問題がない訳ではなく、これは被害者が加害者に対して日本の刑法では禁じられている私刑（リンチ）を行っていることになるし、もし、この画像が万引き犯でない無実の人であった場合、とんでもないことになる―――といった問題もあるだけに、当然ながら新聞や警察などの「公式見解」では、店主による画像の公開は、「やってはいけない！」ということになるし新聞にもそういった見解が載っている。（「そうは言っても、数千円、数万円の被害では、警察はまともに取り合ってくれないではないか！」という店側の意見は、当然、無視される）
ここまでが新聞で報じられている点だが―――タカさんが、この件で一番違和感をもったのは、万引き被害店主に対して何の救いの手も延べないでいるコンビニのフランチャイジーや「識者」たちの「（万引き犯の画像を公開する行為は）犯人のプライバシーを侵害する行為で、どんな理由があろうと貼るべきではなかった」という部分だ。
泥棒に入って勝手に怪我をして損害賠償をとった例と、万引きしておいてプライバシーを主張する犯人と―――そっくりではないか―――。
日本もアメリカ並の（バカな）訴訟社会になってきているということなのだろうか？と思った次第。
（2/14/17 10:00pm）
2017年2月14日
大誤報？
「アメリカに仕事を取り戻す」というトランプ大統領の選挙公約にできるだけ協力すれば、安保や為替、あるいは日米貿易摩擦といった諸問題でのトランプからの風当たりも少しは緩むだろうとの思い（下心）から、「日本は51兆円（4500億ドル）の米国でのインフラ投資に出資し、70万人の雇用創出を手助けする！」という提案を日米首脳会談で行う―――という記事を朝日、東京といった反安倍新聞が安倍首相訪米前に、書きたてていたが、結局、首脳会談ではそのような提案は行われず、「70万人雇用提案」という朝日の特ダネ（？）は、再び「大誤報」になってしまったようだ。（朝日は、政府内で「先走って数字をコミットするとそれが将来、重荷になるから」―――といった反対論が出たために、政府内部が慎重になり、結局今回の会談での提案は見送られた―――等と苦しいいい訳をしているが）
幻に終わってしまったこの「インフラ投資による雇用増提案」ではあるが、最初にこの記事を見た時には中々グッドアイデアにおもえたのだが―――。
というのも――。トランプは「アメリカに雇用を取り戻す！」といって既にメキシコなどに出ていった米国企業を呼び戻す――為の策をとろうとしているようだが、もともと、アメリカ国内にあった製造業が国外に出て行った理由は、米国内に於ける労働賃金が高くなりすぎた為に、少しでも賃金が安いメキシコなどに逃げた―――ということであった訳で、今更、企業を、脅しすかして「アメリカに戻れ！」といったところで、バカ高い賃金でしか働かないアメリカの労働者を雇ったのでは、採算が合わないからと、嫌々アメリカに戻った企業も、AI化（ロボット化）などによって労働コストを下げようとするから、決してアメリカ人の雇用が増えることにならないのは明らかだし、メキシコ国境の工場が潰れればここに勤めていたメキシコ人労働者は職を失うから、食うためにと彼等はメキシコ国境を越えて不法移民としてアメリカに押し寄せるだろう。結局、米国内での雇用は増えず、不法移民は増え、アメリカ国内でAIが作った製品の質は悪く、価格も高いから売れない―――というとんでもないことになるかもしれない―――。
その点、アメリカ国内でのインフラ整備ならば、消費地と生産地がともにアメリカ国内であり、高速道路網にせよ新幹線網にせよその整備は、アメリカ製の工事機器を使い、アメリカの労働者を雇うのがもっとも効率的なのだから、確かにかなりの雇用創出効果が狙えるかもしれないのだから―――。
その意味では、この大誤報、誤報で終わったのは少し惜しかったような気もする。
もっとも、朝日嫌いの安倍さんのことだけに、朝日がスクープしたことで、意地になって、このアイデアを捨てた―――なんていうことなのかもしれないが―――。
（2/13/17 10:00pm）
2017年2月13日
接待ゴルフ
日曜朝のラジオ番組「サンデーヒットパラダイス」の中の人気ハガキコーナー「世界のマコさま」は、天真爛漫な主婦マコさまの日常を視聴者に投稿してもらう―――というコーナーで愛聴しているのだが、今朝の投稿の中に「安倍さんも大変ねぇ〜、総理になったのに上司の接待ゴルフなんて〜」というマコさまの勘違い発言があった。
フロリダのトランプ氏別荘に出かけてゴルフをやっている安倍首相の姿に、マコさまらしい感想を述べたものだが、勘違い主婦の笑える発言として爆笑したものの、考えてみるとマコさんの見方が妙に現実感を伴っているようにも思えた。
そういわれてみれば、やっぱり安倍首相のというよりも日本の上司ってアメリカなのかもしれないなぁ〜と思わざるを得ないのは、安倍首相は、トランプ大統領が気分を害しそうな「中東7カ国からの入国禁止」「メキシコとの国境の壁建設」といった大統領令やら、地球温暖化対策や世界の貧困問題といったトランプが積極的ではないといわれる課題には一切触れることがなく、その見返りとして、トランプも、日本の一番の関心事である尖閣の日米安保条約適用を確約し、ツイッターで発信していた「円安問題」やら「日米貿易不均衡」問題にも敢えて触れないでおく――といった譲り合いのディール（？）が成立したことに、日本のメディアの大半は、「まずはホッとした！」という空気になっていることにも表れている。
相手のいやがることには触れず、相手が喜びそうなヨイショ（ご機嫌とり）をすることでビジネスをスムースに進めようとするのが「接待」の真髄なのだ―――。
朝日や毎日が社説で、安倍首相が、――「入国管理はその国の内政問題なのでコメントは控えたい」と語るのみだった！これは欧州の主要国が相次いで懸念の声をあげているのに比べたら―――と、世界が直面する諸課題について、「トランプ氏を説得するのは、日本の役割だろう！」と述べているのが目立つが、「今トランプに、むくれられたら日本は一体どうなるのだろうか―――」とビクビクしている多くの日本人からしたら、「朝日は又無責任にべき論ばかり言って―――」ということになるのではないだろうか。
もっとも、右寄りと言われるサンケイや読売それに日経が、安倍首相同様に、トランプが嫌がりそうなことに安倍首相が触れなかったことは一切コメントせず、実質安保の確約をとったこと等を「よくやった！」調に褒めている姿勢も、これまた安倍政権に対するヨイショが過ぎるように思え、日本は、随分と卑屈な立場にいるのだなぁ〜と自覚させられて情けない気もしたが――。
安倍首相が接待ゴルフをやっていた日に北朝鮮は、日本海に弾道ミサイルをぶっ放した―――日米がこれに対して即時緊急非難声明を出したことを考えれば、朝日のいうように安倍首相がトランプとの会談で「ヨーロッパ首脳や、世界が懸念する事柄を直言」していたら―――「そんなことをいうなら、日本の問題は日本が考えろ！ 俺はアメリカさえよければいいんだ！北朝鮮ミサイルなんて知ったことか！」といわれ大変な騒ぎになっていた！なんて考えてしまう弱気な日本人も多いことを考えれば―――蓮舫さんのいうようなただ勇ましいだけの「ゴルフをやっている場合か！」という意見も朝日同様に単なるヤッカミに聞こえてしまう。
（2/12/17 10:00pm）
2017年2月10日
360度地平線
アルゼンチンのブエノスアイレスを訪れた時、市内観光で最初に案内されたのがラプラタ河だった。大きな河といえば、アマゾンやナイル、揚子江といったところが有名だが、どれも確かに河口付近では川幅が数百キロに及ぶが、まだ河口まで数百キロという中流域（？）に位置するブエノスアイレスではラプラタの川幅はわずか40キロと聞いて、そんなに大きな河を想像していなかったのだが、案内された河岸にたって驚いた。
対岸（ウルグアイになるとか）なんて全く見えない。ラプラタ河自身、ゆるやかな草原（パンパという）を流れてきており、この辺りでも流れがあるのかないのか分からない位ゆったりしているから、河岸からの眺めは、河をみているというよりは、海を眺めているような感じだった。
ガイドの説明によると、「地球は丸い」所為で、人の目線で見る水平線（地平線）はせいぜい6キロ先までであり、それより遠くなると、樹木などでさえ水平線の下に沈んでしまうのだという。
確かに一度、三平方の定理を使って地球半径から水平線までの距離を計算した式をみたら、その答えが確か4キロちょっとだったから、あのガイドの言っていたことは正しいようだ。
そうそう、狭い日本に住んでいると水平線はともかく北海道以外で地平線を見ることはほとんど不可能だ。まして360度地平線という場所は、北海道にだってないだろう（一部が山や丘に遮られるから）が、エジプト駐在時代、同僚数人と「360度地平線を見る会」をつくりリビア砂漠に出かけていった時に、確かにまごうことなき「360度地平線」という大パノラマをみたことがある。確かにあの時も地平線という奴がそんなに数百キロも先ではなさそうだ――という実感を得たが―――三平方の定理からすれば周囲6-7キロ、遮るもののない砂漠とか草原にいけば「360度の地平線」は見えると言う訳だから、案外地球上にはありふれているのかも知れない。
逆に考えれば、例え視角数度といえども地平線をみることのできない日本の国土は狭いということだろうか。
聞くところによると北方四島の択捉とか国後にはこの「360度地平線」が見えるところはいくらでもあるとか―――その一点だけからも、タカさんの生きている内に、北方四島返還を実現して欲しいものだと思う。
（2/09/17 10:00pm）
2017年2月9日
オフィスは変わったか
かれこれ20年近く前になるが、オフィスのペーパーレス化が俄かに語られるようになり経団連等の音頭取りもあって各企業が「ペーパーレス推進委員会」といった社内組織をつくり盛んにペーパーレスの社内啓蒙に務めはじめた時期があった。
我が社でも、この「ペーパーレス推進委員会」が副社長直轄の委員会として発足、副社長も大乗り気でその号令一下「いかにしたら、ペーパーレスで事務の効率化がはかれるか」の検討に入った。
何しろ、副社長の陣頭指揮とあって各部署のトップも戦々恐々、自分の部署にも「ペーパーレス推進小委員会」を作って―――という大変な騒ぎが始まった。「ペーパーレス推進委員会」の事務局も随分張り切って、いかにしたらペーパーレスが図れるかのPDFマニュアルを作り社内に一斉送信したのだが、このPDF資料、なんとカラー刷り100頁にも及ぶ大作だったため、各部署ではこれを電子画面上で見づらいからと社内のあちこちで、一斉にコピーをとりはじめ、そのコピーに使用された紙数たるや全社では、とんでもない数字になった。ペーパーレス推進が、却って膨大な数のコピー用紙（とインク）を使う結果になってしまった――という笑えない話だった訳だ。
20年前にはそんなこんなで結局、そんなに進まなかったペーパーレス化（文書電子化）だが、今やどこのオフィスでもすっかり電子文書化が進んでいるようで、20年前のオフィス機器儲け頭といわれた複写機業界が最近はすっかり影を潜めている。
当時から複写機御三家といえば、富士ゼロックス、キャノン、リコーだったが一台数百万円のカラー複写機が飛ぶように売れた（あるいはリース契約された）という当時にくらべれば、コンビニで白黒なら一枚5円でコピーができ、家電量販店では一台1万円以下での複写機を売っている昨今、全くと言ってよいほど昔の面影はない。
複写機本体の値下げ競争もさることながら、かつては複写機業界のもう一つの儲け頭であった高額なトナー交換も、今やメーカー小売価格の数分の一以下という「互換」品が出回っているのだから―――確かに苦しいことは苦しいのだろう。
今朝の新聞に、御三家の一つリコーが、業績悪化によるリストラ策として関東の4事業所を閉鎖、従業員3000人の配置転換を図るが、更なる業績改善を図るために人員削減も視野にいれているという記事が出ていた。
かつては、どこのオフィスにも、各複写機メーカーのサービスマンが頻繁に訪れ、複写機の不具合の調整や、トナー交換をしている姿が日常だったが、ペーパーレス（電子化）がさらに進むとこういった光景も早晩みられなくなるのだろうか―――。
こんな調子でオフィスの様子が年毎に変わっていくとしたら―――リタイアしてからまだ数年だというのに、更に数年後のオフィスの様子なんて、タカさんには、もうとても想像できないようなものになっているのかも知れない―――。
（2/08/17 10:00pm）
2017年2月8日
大喜びしているけれど
関西人は値切るのが当たり前であり、関東でこれをやる関西人は嫌われる―――等ということがよく言われた。（全国一律化が進んだ今では、大部事情は変わってきているようだが）関西の友人に聞いた話だが、関西人の値切りは、最終的に売り手も買い手も満足するように行われるいわば親しみの儀礼であり、その関西人の相手に対する親しみの呼びかけが分かってもらえず、値切ると不愉快な顔をする関東人は、いやに冷たい人達だと思う―――といわれたことがあり、関東人代表（？）として、「いや、関東の人間は親しい者同士なら、最初からギリギリの値段を提示し、買い手もそれを最初から信頼するから、更に相手を疑っているかのような値切りを嫌うのだ！」と反論したことを思い出す。
その伝によると、トランプ大統領とそのスタッフは関西人、日本人は関東人的な気質が強いのではないか―――という思いにかられたのはこのところ一連の日米間の安全保障に関する交渉経緯にそれを感じたからだ。
沖縄の尖閣諸島が日米安全保障条約の適用範囲かどうか、すなわち尖閣に中国などが押し寄せてきた場合、米軍は安保条約に基づいて、自衛隊と共に、日本の領土を守るために行動をしてくれるのか――トランプ新政権の外交姿勢が、例えばオバマ政権時代とは大分異なったものになるのではないかという懸念（プロロシアともとれるトランプの姿勢などから）もあって―――日本側には随分と広がっていた。
ところが、３日来日したトランプ政権の国防長官である「狂犬」マティス氏が「日米安保条約は、尖閣諸島に対するいかなる一方的な外国からの行動に対しても適用される」と発言、マティス氏に続いてティラーソン米国務長官も、岸田外相との電話会談で同趣旨の発言をしたことで、日本側はまさに狂喜乱舞といってもよい喜び方で、マスコミの報道などをみても「トランプ政権も、実にいい奴たちばかりではないか―――」といった論調になってきている。
確かに「尖閣は日米安保の適用外」だとか「尖閣については日中で話し合って欲しい」などと言いだされたら大変だったろうから、日本側が大喜びするのも当然だという気はするのだが――――。戦後、アメリカが尖閣を日本の領土であると認識していることは様々な場面で確認してきている。それを再度確認（日米安保の適用内だと言って）しただけで、そんなに大喜びすることなのか―――と思わないではない。
これって、最初から1万円で売れれば御の字だと思っている品物を広告では「1万5千円！」と吹っかけておいて、相手が「これ、幾ら？」と聞いてきたら「あんさんには、特別に1万円にしときまっさぁ〜」といったら、関東人の買い手が大喜びした―――というケースと同じではないかなぁ〜とも思う。
在日米軍駐留経費についても最初にトランプ大統領が「日本は自国を守る経費をちゃんと支払うべきだ！」とあたかも、より一層の米軍の駐留経費負担を日本側に求めるようなことを言っておきながら、マティス氏が「日本の経費負担は他の同盟国のお手本になるものだ」と褒め言葉を吐いてくれたことで安倍首相も大喜び、アメリカに飛んで行って、トランプさんとゴルフをするのだ、とはしゃいでいる。（実は、日本は米軍の駐留経費の92.6--3736億円――を既に負担しているというのに）
（2/07/17 10:00pm）
2017年2月7日
本当は好きじゃない
トランプ大統領の中東7カ国からの入国禁止令に対する賛否で世界中が湧きたっていることもさることながら、この大統領令の一時的な差し止めを命じる連邦高裁の決定、さらにはその決定に対するトランプの猛反発発言など、アメリカの移民問題のごたごたは一向に納まる気配がない。
アメリカは、「民主主義と自由の理想郷」だと長い間、信じ込まされてきた大半の日本人は、トランプという異質な人種差別主義者が、アメリカの良識に対してとんでもない挑戦をしている―――といった目でこのアメリカの騒動をみていて、「なんだかんだ言っても、アメリカの良識がこの白人の差別主義者のデタラメをその内に正すだろう」と見ているし、日本の報道機関も、そのような姿勢で報道を行い、反トランプデモだとか、反トランプの知識人、芸能人の動きをことさら熱心に報道しているが、果たして、一般のアメリカ人は一体どう考えているのだろうかとネットなどを見てみると、その様子はどうも日本人がとらえている様子とは随分違っている。
先週、ロイターが発表したアメリカ全州での世論調査によると、トランプ大統領の難民の受入停止や中東7カ国からの入国の一時禁止令に「強く賛成」「どちらかというと賛成」と答えた人は実に49％に及び、「強く反対」「どちらかというと反対」と答えた人の41％を上回っている。（10％が「わからない」と答えた）という。これは日本で報じられている「アメリカ人の大半がトランプの暴走に反対している！」といったニュアンスとは相当違うし、極論すれば日本のマスコミ報道は、特定の考え方に世論を誘導しようとする偏向報道である、とすらいえるかもしれない。
日本でも朝日新聞と産経新聞では世論調査の数字（例えば安倍内閣の支持率といった）が、微妙に違うことがあるから、ロイターの数字を鵜呑みにはできないと思い色々調べてみたが、大半の世論調査が大統領令の賛否については、「ほぼ互角」という結果を出しているのだから、日本の報道の一方的な「反トランプが大半」であるかのような報じ方は、「誤報」の類と言ってよいかもしれない。（ロイターの調査では、大統領令の効果については「より安全になる」と答えた人が31％、「より安全でなくなったと感じる」人が26％と答えていることも注目しておくべきだろう）
そもそも、アメリカ人の大半が中東やメキシコからの入国禁止令や、国境の壁というトランプの大統領戦での公約を支持したからこそ、彼が大統領選を勝ちぬいた訳であり、日本の報道陣もその事実を素直に認め報道すべきだったのではないだろうか。英国の国民投票によるEU離脱決定をあたかも英国民が間違えたかのように報じるという過ちと同じことを日本のマスコミは又もやらかしてしまっているのだ。
この世論調査結果を見る限り、表立っては差別反対だとか、人権だとか言ってはいるが、アメリカ人というのは基本的にイスラムだとか中東が嫌いだし、それらの国やら中南米の国からの移民に対してもよい感情をもってはいない国なのだ―――と考えた方が良いし、日本を含むアジア人も同じだ―――という覚悟をもって付き合うべきだということなのだろう。
（2/06/17 10:00pm）
2017年2月6日
ギャンブル依存症対策
カジノを日本でも開こうという「カジノを含む総合リゾート施設整備推進法」（IR法）が先の国会最終期に成立した。元々、野党の中にも「カジノ推進議連」メンバーが多数いただけに、「成立のさせ方が強引だ！」と政府・与党にイチャモンを付けて国会審議を妨害したい野党にとっても、正面切ってカジノ法案を撤回せよ！とは言いづらいところだが、唯一イチャモンをつけるとしたら「ギャンブル依存症対策が十分取られる前に、与党は強引に法案成立を図った！ケシカラン！」という点だろうか。
通称カジノ法がドタバタと成立したのは、カジノ王であるトランプが大統領に就任したことで彼のビジネスにゴマすりをする為だろう〜等と言う見方もあるが、あながち全くの邪推ともいえないのは、日本の政治・経済状況がアメリカにむくれられたら成り立たないという現実があるからだが、それだけに、野党のイチャモンを無碍に袖にしては面倒なことになるよりは、今国会ではギャンブル全般の依存症の対策法案を提出する―――と下出に出て丸く収めようというのが与党の考えのようだ。
「ギャンブル依存症対策」をバッチリと作ったから、いよいよカジノを始めてもよいでしょう―――という論理で、振り上げたこぶしの下しどころをもとめていた野党も「まあ、それならいいだろう」ということになる―――という、いわば八百長のようなものだけに、依存症対策の国会審議は、どうも迫力に欠ける。
野党がわざと担当部局の局長を国会に呼ばず、この問題の素人ともいえる金田法務大臣に答弁を求め、しどろもどろになった大臣をつるし上げる―――等と言う様子は、野党内部からでさえ「単なる嫌がらせ」だとか「かえって野党（民進党）のイメージが悪くなる」などの声もあがっているという。
翻って考えれば、俄かに「ギャンブル依存症対策」でごちゃごちゃやるというのも、変な話である。そもそも日本全国には既に1万2000店のパチンコ屋というれっきとしたギャンブル場がある。この1万2000店のパチンコ屋で稼働しているパチンコ台の総数は720万台に及ぶがこの数は世界で稼働しているカジノのスロットマシンなどを含めたギャンブル危機総数の2/3にもなるものなのだ。この膨大なパチンコに加えて競輪、競馬、オート、ボートなどの公営ギャンブルもくわえれば、日本は既に（昔から）のギャンブル大国なのだ。
ギャンブル依存症は何もカジノだけでかかるものではない。パチンコの場合、入場者の約1/5は、度合いはともかく既に「ギャンブル依存症」であるともいわれている。
パチンコ依存症やら競馬依存症については今までこれといった対策がたてられてこなかったのは、パチンコ業界、公営競技関係者といった利害関係者と政治のみならず経済や雇用が結びついているし、サラ金などの業者も「ギャンブル依存症患者で喰っている」というのが実体で、こういった利権が既得権者と繋がっていたからだ。
したがって、ここにきて突然のように「カジノ解禁に当たって徹底した依存症対策を！」などと言いだすことのウソっぽさが笑えてしょうがないのだ。
（2/05/17 10:00pm）
2017年2月3日
留学生減少
今、アメリカで暮らしたいと考える若者が以前に比べて大幅に減っているのは、日本がなんだかんだ言って豊かになり、かつてのようにアメリカが「憧れの国」ではなくなったからだといわれている。
少子化によって若者の数が減っているからという理由はあるにしても、例えばアメリカの大学への日本人留学生の数は、ピークだった2000年前後の5万人規模にくらべて2015年では遂に2万人を割り込むまでに落ち込んでいるのも、中国や韓国からの留学生がそれぞれ28万人、7万人規模であるのに比べて際立っているように思う。
総人口が13億だという中国からの留学生が日本の14倍程度というのは、比率的に考えればまあ、そんなものかと思うが、人口4860万人の韓国の7万人という数の多さには驚かされる。ヘル・コリア（地獄のような韓国）という韓国の若者達の自国を嘲笑するSNS用語が意味するように、一刻も早く母国を離れて別天地で暮したい！という若者達の願望と、子息を早く国外に出して自分たちもその子供を頼って韓国から離れたい！という親たちの思いが、この異常なほどに多い米国留学生の数になっているのだという解説があったが―――事実だとしたら日本の若者が国外に行きたがらない理由は、「日本の現状に満足しきっているから――」ということになる訳で、「嘆かわしい！」などと慨嘆する必要はない、ということにもなるが―――。
いま全米の大学に於ける外国人留学生の割合は、約12%だがもちろんカリフォルニア州や東部の各州の有名大学になるとこの比率はグッと上がり中には20%を超す大学もある。
アメリカの大学の場合、授業料が高額であることは有名だが、アメリカ政府や各州などの公的補助や、奨学金制度などの利用がなく、全額自費（もしくは出身国の援助）で留学してくるこれらの外国人留学生は、アメリカの大学経営にとって最大のお客さんだし、彼等が留学期間中に支払う滞在費などをひっくるめたアメリカで落とす金額は今やアメリカ経済にとって必要不可欠なものになっている。
トランプ大統領の中東7カ国からの入国禁止措置をみていてふっと気付いたのは、これら7カ国からのアメリカへの留学生数は統計に乗るレベルでは全くないことだ。
なぜこの7ヶ国なのかについて、トランプは「テロリストの入国阻止のためだ」といっているが、この7ヶ国出身者が過去にアメリカでテロをおこなった記録は一切ないことからすると、この7ヶ国からの入国を禁止しても、アメリカの大学経営にも、アメリカ経済にとっても何ら実害がないから！ではないかとも考えられる。
実際に9.11のテロをはじめテロ実行犯を出した国、サウジアラビアやトルコ、エジプトやキルギスが含まれていないのは、これらの国からの留学生が多いからかもしれない。（ちなみに、サウジアラビアからは現在55000人--韓国に次いで第4位--の留学生がきており彼等の金持ちぶりは有名だ）
―――ということは、このまま日本からの留学生が減り続けると、トランプが気まぐれに「日本からの入国を禁止する！」なんていう大統領令を出しかねないような気もしないではない―――もうあらかたのアメリカの観光地は回ったからそれでも良いような気もするが、もう一度、ラスベガスには行っておきたいような気もするが―――。
（2/02/17
10:00pm）
2017年2月1日
日本の沈黙
イスラム圏7カ国の市民や難民の米国への入国を一時禁止するとのの大統領令によって全米や世界各国の空港で混乱が起きている。余りに唐突なこの大統領令によって、現場の関連機関や航空会社ばかりではなく、実際の行政執行の実施部署である国土安全保障省や国務省の幹部達でさえ戸惑い混乱しているというのだから、何をやりだすか分からないと危惧されていた「暴走大統領」の面目躍如といったところだろうか。
アメリカ国民のみならず、世界各国がアメリカに抱いていた「自由の国」だとか「移民の国」というイメージを、根本的に覆してしまったという意味では、第二次大戦時の日系人の強制収容の大統領命令というルーズベルトによる「正義への反逆」同様に、長くアメリカの歴史の汚点として残るのではないかと思う。
トランプにしてみれば、この入国禁止措置は自分の選挙戦の際の公約の一つであり、この公約が良いと思ったアメリカ国民が過半数を越えて自分を支持したから自分が大統領に選ばれたのであり、公約を誠実に実行して何が悪い！ということなのだろう。
メキシコとの国境に壁を作る、だのこのイスラム7カ国に対する入国禁止措置にせよ、大統領令に当たってのトランプの言い分は、フィリピンのドゥアルテ大統領が麻薬常習者を処刑と称して3000人も路上で殺していても、その措置を80%ものフィリピン国民が指示している！と、世界の人権団体などがいくら非難しても、馬耳東風であるのと同まったく同じ論法だし、北朝鮮のあのおデブな独裁者が100％の国民の支持を得ているとして核ミサイル発射準備をしている論理とも通じるものがある。
国民の支持を後ろ盾にしてトランプが行っているこういったアメリカ憲法違反とも思える措置に対しては、いくらフランスのオランドや、ドイツのメルケルが人道を理由にケチをつけているが、トランプは聞く耳を持たないのも、彼なりの論理は通っているのかもしれない。
今のところ、上記のように、フランス、ドイツそしてイギリス、カナダからもこの入国禁止措置についての批判が行われているが、アメリカの最大の同盟国とも言われる日本の首相が、昨日国会で「自分は言及する立場にはない」という答弁を行ったことには、「安倍ちゃんも相当苦しいんだろうなぁ〜」と思った。
ヨーロッパ各国のように、現実に大量に押し寄せる難民の受け入れで苦しんでいる各国が、アメリカのこういった措置に対して「言及する立場にない」などという訳もないし、トランプ批判を広言しなければ彼等の政権が持たないという事情があるのに比べて、日本には現実にイスラム難民が押しかけている訳ではない（中国などからの不法移民は多いけれど）そうであるにもかかわらず、トランプの措置が「悪い」と言えば、折角、「尖閣は守ってやる」と言ってくれているトランプの機嫌を損ねるだろうし、かといって「イスラムの入国禁止は妥当だ」などと言おうものなら、世界中の「人権派」やら、アメリカ国内のリベラル派に総スカンを喰うだろうから、やっぱり安倍ちゃんじゃなくても、「自分は言及する立場にない」というしかないというしかないのだろうが―――。
できれば、この問題には触れたくなかっただろう安倍首相だが、意地悪く問われて、こんなコウモリ振りをみせざるを得なかった―――ということのようだ。
（1/31/17 10:00pm）
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