金曜日シリーズ全目次 ←ここをクリック
「日々草々」全バックナンバーリンク表 ←ここをクリック
2016年上期の各月バックナンバー：1月、2月、3月、4月 5月 6月
フロント頁：”日々早々”のバックナンバー
2017年3月
＜＜3月タイトル＞
03/31 水掛論争 03/30 あすかⅡの乗客 03/29 持ちつ持たれつ 03/28 賛同者が多いかも 03/27 豊洲問題 03/24
なくなるョ 03/22 赤字路線はなぜ廃止できないのか？ 03/21 低い投票率 03/17 何年入社？ 03/15 モンテスキューはなぜ古い
3/14 アラムコ上場 03/10 ひざ枕で耳かき 03/09 公人私人 03/08 鳥肌が立つ 03/07 口利き 03/05 平均寿命と社会不安
03/03 過重労働の責任 03/02 1185か1192か 03/01 北海道が乗っ取られたら
2017年3月31日
水掛論争
公務員（すなわち役人）は、日本国憲法十五条によって「全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定されている。この規定に杓子定規に従えば、役人が、一部の住民や政治家からの依頼に基づいてある事柄を「優先」して処理することは、その為に後回しにされた人達に不利益を与えることになるから「一部の奉仕者」になってしまうことになり憲法違反である。――となると、役人は国民の特定の声を聞き入れて職務を遂行してはいけない！ということにもなり、まさに｛血の通わないお役所仕事こそもっとも望ましい役人の姿勢だ」ということになってしまう。
しかし例えば、一部の市議が自分の町内住民の「町の信号の取り付け工事を他の地区の工事より優先して行って欲しい」という声に基づく依頼を市に行い、それが実現したとしたら、確かに、おかげで信号工事が後回しにされた地区住民は不利益を被るかもしれないが、優先された町の住民は「xx市議さんに頼むとすぐ実現する！」とその市議さんの評判が上がり、次回市議選でも高得票が得られるだろうし、工事の繰り上げを計った市役所の担当部署と市議の関係も良好となり、市の進める他の行政施策について議会の協力が得やすくなる―――等の行政メリット（ウィンウィン関係）が成り立つ可能性は高い。この種の｛依頼に基づいて行政が動き便宜を図る｝―――といったことは日常茶飯に行われており、それこそ「住民の声に基づいた血の通った行政である」などと褒められることが多い。
特定の依頼を受ける代わりに見返りとしての金銭を受け取れば明らかに贈収賄という犯罪だが、見返りが「票」とか「議会（あるいは議員）との友好的な関係」、あるいは「市の役人の出世」などという金銭以外の目に見えないものであった場合、もちろん罰せられる訳ではないし、むしろ「褒められる」場合が多い。
他人の気持ちをおしはかることを「忖度（そんたく）する」というが、役人の仕事は昔から「忖度をとったら何も残らない」と言われるほど、この忖度が幅を利かせる世界である。明らかに「依頼」があった場合のみならず「多分、住民は（あるいは議員は）こういうことを望んでいるのではないだろうか」と忖度して処理することの多いのが役人であり、依頼する側が喜びそうなことを（先回りして）忖度して処理できる役人ほど「できる役人」といわれ、出世も早いというのが公務員の世界での常識だ。忖度もできない役人は「気が利かない」とか「役人風を吹かせている」と嫌われ、「ダメな奴」というレッテルさえ貼られかねない。
森友問題で「忖度」があったのかなかったのかの水掛論争が続いている。この質疑で問題なのは「忖度があったのではないか？」といった水掛論争に終始していることだ。
「忖度」は辞書にも「他人の気持ちをおしはかること」とあるように、忖度した側が相手の思いを「推し量って」やる事であり、そうであれば忖度したのかしないのか」はその役人の頭の中が見えない以上シロクロの付かない事だ。
日本維新の会の松井代表は「いい忖度と悪い忖度がある」といっていたが、これもどこで「いい、悪い」を言いだしたら水掛論争になるばかりだ。
経済情勢も、国際情勢、国の安全保障問題も喫緊の問題が山積しているというのに、国会をあげてのこの水かけ論争に明け暮れている日本を、平和な国なのだなぁ〜と喜ぶべきなのか、バカな国だなぁ〜と嘆くべきなのか―――迷うばかりだ。
（3/30/17
10:00pm）
2017年3月30日
あすかⅡの乗客
日本の豪華クルーズ船のはしりといえば日本郵船が運航していた「あすか」だが、就航した90年代には日本船籍であり他の外国籍のクルーズ船と違って船内ではすべて日本語だけで事が足りるから――と日本人のお金持ちの間で大人気だった。
就航直後のいまから30年近く前に、この「あすか」に乗って世界一周をしたご夫妻のお話しをきいたことがあったが、乗り合わせた乗客の多くはやはりお金と時間に余裕のあるリタイアした実業家や医者といった人達が多かったが、中には数組の比較的若い現役世代のカップルもいたという。豪華クルーズ船の世界一周旅行となれば、その料金は最低でも夫婦二人で約800万円から1000万円、高い部屋なら3000万円近くかかるのだが、日本にもお金持ちといわれる人達は意外と多く、これ位の金額なら楽に出せる人達はいくらでもいるようで、当時（まだバブルの最中だった）は、予約受付を始めると同時に高い部屋から順に満室になっていったという。
ところが問題は世界一周航海ともなれば、4カ月近くの時間がかかるという点であり、「現役」のお金持ちのほとんどが、「金はあるけれど暇がない」という訳で、勢い、こういった世界一周に出かけられるのは「金もあるが暇もある」リタイアしたお金持ちに限られたのだが、中には「収入のもよいが、まとまった休みもとれる」という仕事があって、そういう職業夫婦が「あすか」にのっていたのだとか。その「収入もよいが、比較的、長い休みがとれる」職業というのが歯医者だという話だった。
当時、歯医者は収入の良い職業の上位にランクされていたし、確かに外科や内科の医師のように「人の生き死に」に直接関係することの少ない医療だったから、事前に「3か月間休診」といった連絡をしておきさえすれば休みが取れる職業だといわれていた。
どんなに稼いでいるスポーツ選手や芸能人、あるいは経営者でも、3カ月も4カ月も不在でいままでの収入を続けられる職業などない訳で、90年代に「あすか」の話を聞いた時には、つくづく歯医者という職業を羨ましいと思ったものだったが―――。
ところが、事情は様変わりしているようで、この20年余りでの歯科医師の急増に伴って、全国の歯科医院数も急増、2011年時点でさえ全国のコンビニ店数の1.6倍にも達しており、近年、歯科医の約1/4は年収200万円以下のいわゆる「ワーキングプア」になっている――のだとか。今や、豪華クルーズ船での世界一周に中年の歯科医師夫妻が―――といった90年代の話は、全くの夢物語となっているようだ。
そういえば、歯科医同様にこの20年程で急増し全国のコンビニ数の1.5倍（歯科医師より少し少ないだけ）という「接骨医」も、過当競争によりほとんどの医院が食えない状況になっており中には暴力団と組んで医療保険詐欺などを働くものまで出てきているというではないか
歯科医や接骨医ばかりではない公認会計士や、行政書士は、社会保険労務士この20年間で倍以上に、又、社会保険労務士とか、税理士、司法書士もこの20年あまりで急増しかつてのように「安定した収入が得られる職業」ではなくなっているという。AIに仕事を奪われ、更には過当競争で収入が激減している職業も増えているというのだからこれからの「働き方改革」は容易ではない。
「あすかⅡ」の2018年度、世界一周の募集が始まるらしいが、今はどういった職業の人達が申し込むのだろうか。
（3/29/17
10:00pm）
2017年3月29日
持ちつ持たれつ
商社で鉄鋼の原料の担当だった時代があるが、そんな世界（鉄鋼原料ビジネス）にもちゃんと「業界紙」と言われるものが何紙かあり、その記者たちがよく我社にも訪れていたものだった。そういった記者たちは、自分達にとっても、同じ業界でメシを喰っている、という仲間であり、しかも彼等は仕事として連日、メーカーの原料部や他商社の原料部を回っているし、勿論、この業界の動きや歴史についてもよく勉強しているから、彼等の話が結構自分達の商売上の役に立つという面もあり、どちらかと言えば、彼等がフラリと訪ねてくれば、本部長や部長といったお偉いさんばかりではなく課長や担当者たちまでもが、声をかけられれば、時間が空いている限り招き入れて歓談することが多かった。
多くの場合、彼等の訪問は、これといった目的をもっての取材というわけではなく、「何か面白いネタはないだろうか？」といった目的でのいわゆる「商社廻り」「メーカー廻り」だったから、そこは取材する側とされる側、持ちつ持たれつで、差し障りのない限りの「情報」（いわば四方山話）を交換し合う等ということが多かった。
この業界紙記者が持つ「情報」で特に誰もが重宝していたのが、人事情報だった。某メーカーの鉄鉱石部長は次回株主総会で新役員になるのか、新役員になった場合、後任の鉄鉱石部長は、A副部長なのかB副部長なのか？なんていう「情報」はもちろん、意外と知らない当社内の新役員人事――等というものは、日頃から幅広く社内の「情報」に接している業界紙の記者たちが圧倒的に強く、彼等からどうにか聞き出す、というのもサラリーマンなら実に興味津々の情報であった。
彼等から情報を得る（もらう）には、当然、こちらからも何らかの情報を出さなければ、交換トレードは成立しない。近々、某国のシッパーが某商社を訪れて、なにか新しいプロジェクトについて契約を取り交わすらしい―――などといった、当社の某国駐在員から入手した情報を、いかにも秘密めかして流すとか（ほとんどの場合、記者の方がより詳しい情報を知っていたりしたが）、差し障りのない限り当社の本部長の奥さんの出身女子大がどこか――といった「情報」を出したりもした。
業界全体の「情報管理」などという観念があまりなかった時代の話ではあるが、今思うと、業界紙の記者が部内を自由に歩けた時代、テレックスやら机の上に出しっぱなしの書類などが見放題だったという「情報ダダ漏れ」は、随分とおおらかというかルーズな時代だったとも思う。
経産省が、一日、3000人ともいわれるマスコミをはじめとする外部からの訪問者に対して執務室を施錠することで締め出す、という措置をとりはじめたが、今まで、いわば自由に執務室をのし歩いていた記者たちが「自由な取材を妨げられている」と猛反発しているという。機密情報も扱っている役所の中を記者たちが自由に歩き回れるということには、確かに問題はあるとは思うが、一方、役所の側でも今まで記者たち経由で得られていた様々な「情報」や記者たち経由で得られる世の中の生の声が聞こえ難くなることによる、デメリットはないのだろうか―――。
経産省という役所が特に産業行政という、市場の生の感覚を必要とする役所だけに、ちょっと心配になるのだが―――。
（3/28/17 10:00pm）
2017年3月28日
賛同者が多いかも
以前、スーパーなどで急にセルフレジが増えてきていることについて本欄で触れ（参照：「古い人」12/02/16）この勢いが続くと鉄道の改札が皆自動改札に変わったように、その内スーパーでの買い物も皆セルフレジに変わるのだろうかと、「古い人」になりつつある（もうなっている？）タカさんの憂慮を語ったものだったが、先日、新聞を読んでいたら、このセルフレジの評判があまりよくなくて、大手スーパーの中にはセルフレジを減らし再び、対人の通常レジを増やしているところも出てきているとの記事が出ていて、タカさんとしては「それ見ろ、省力化に抵抗感を持つ人はタカさんばかりではないのだ！」とちょっとうれしくなった。
記事によるとセルフレジの場合、自分で商品のバーコードをレジに読み取らせなければならないが、かざし方によっては中々読み取らなかったりするし、その間に「商品を置いてください」「手を離してください」などの指示音声がうるさくて、「レジ袋の下には重い物を入れて上には軽い物を入れて―――」などと色々考えているのにイライラさせられる―――といった消費者の声が多いのだという。まさに、タカさんも経験したセルフレジの欠陥だ。
このイライラは、店員さんが商品を一つ一つ手にとって商品のバーコードを機械に読み取らせ、バスケットにきちんと詰めてくれる通常レジでは感じることのないイライラである。
セルフレジを使えば、レジ袋がタダになるとかポイントが倍になるといった利用者にとっていくらかでも得になるメリットがあるというならともかく、スーパーの側（売主側）の省力化（コスト削減）に買物客側が無償で協力した挙句、イライラさせられ、あるいは「自分はもう時代遅れの人間になりつつあるのか！」と、絶望感にさいなまれる（？）としたら―――こんなバカな話はないわけで、スーパーの通常レジ復活の動きは、タカさんとしては「それみろ！」という思いである。
AIが発達してなんでもかんでも機械化、自動化される世の中になっていくのであろうが、生身の人間が、必ずしもそういった自動化を好むかというとそうとばかりは言えない面も多いと思う。
タッチパネルで寿司を注文すると数秒後に目の前にオーダーした握りがコンベヤベルトで運ばれてくる―――という回転寿司屋が近所にあるけれど、確かに安いかもしれないが、ここでビールを注文してゆっくりと寿司をつまむ気にはなれない。やっぱり、目の前に職人さんがいてくれて注文の品を握ってくれ、注文したビールは店員の女性が運んできてくれる店でなければ、どうにも「食事をした」という気分になれないタカさんだが、やっぱり「古い人」なのかと思いつつ、これにもセルフレジ同様、意外と賛同者が多いような気がするのだが。
（3/27/17
10:00pm）
2017年3月27日
豊洲問題
「東京臨海新交通臨海線」と言ってもピンとくる人は少ないだろうがこの線の愛称である「ゆりかもめ」といえば新橋駅と臨海副都心を結ぶ高架式の専用コンクリート走路を走る全自動運転の交通システム、夢の新交通システムとしてよく知られた路線だ。
専用高架軌道を通っているから全線を通じて眺めがよく、お台場地区を中心とした臨海副都心の全貌を遊覧するにも抜群の乗り物といえる。
一般的には新橋側から乗車してお台場海浜公園や、氷川丸が係留されている船の科学館周辺、フジテレビのあるテレコムセンター、ビッグサイト（東京国際展示場）に向かう人が多く、反対側の終着駅（始発駅）である豊洲駅側から利用する人は少ないかもしれない。この豊洲駅からゆりかもめに乗車すると2番目の停車駅が「市場前」である。この駅はまさに今話題の「市場」、豊洲新市場の真ん前の駅であるが、ゆりかもめの高架からの眺めによって、その巨大新市場の全貌がよく見える。
豊洲新市場は、小池新都知事が登場していなければ昨年11月には開場していたハズであった訳で、地下水問題がこれほどの騒ぎにならなければ今頃、大賑わいとなっていただろう場所だが、外見は（もちろん地下水が見える訳ではないから）なんの問題もない巨大な建物であり、ある種、壮観でさえある。そうなると、5600億円の金がかかったこんな巨大で立派な建物をむざむざ、すべてのゲートが閉じ、数人の警備員だけがゲートの辺りに立っているだけで放置しておいていいものだろうかと思う。
盛土をするはずの場所に盛土がなく地下が空間になっていたとか、その地下空間にたまった地下水に基準値の何倍かの有害物質が含まれていた―――といったことで、未だにこの新市場がいつ開場されるのか（はたまた、廃止されるのか）さえも決まっていない―――というのだから、「市場前」駅からの眺めには色々と考えさせられる。
小池都知事は、専門家委員会などが「新市場の地下水の一部が基準値を超えた物質を含んでいたとしても、市場はコンクリートでおおわれており安全である」との報告をあげてはいるが、都知事は「安全だといわれても、都民が「安心」しているとは言えない」といっており、最終決定まではまだ時間もかかるようだし、「新市場廃止」などという究極の決定もあり得る状況だ。
ところが、現在使用している築地市場も市場のコンクリートの下は米軍の残したベンゼンなどの有害物で汚染された地下水があるといわれているのに、こちらについては小池さんは「コンクリートでおおわれているから安全だ」という。豊洲と築地、どちらも似通った状況である以上、築地がよくて豊洲がダメ、という理由が分からない。
かつて「安全」だといわれた原発が事故を起こし、「原発安全神話」は崩壊したが、この例をあげて。いくら専門家が「安全だ」といったところで、人々は「安全」だと信じることはできない！と小池さんは言いたいのだろうが―――。
隕石が降ってきて地球人類が絶滅する可能性は―――勿論ある。（実際、6500万年前恐竜は絶滅した）ただその確率は極めて低い以上、「安全」を求めて隕石防御システムを何千兆円もかけて作るべきだろうか。
ゆりかもめに乗って一度豊洲新市場を眺めてみてはいかがだろうか。5600億円の巨大でピカピカの市場をこのまま埋もれさせてしまうことが賢い選択なのかどうか――小池都知事一人に任せるのではなく、―都民一人一人が考えた方がよいと思う。
（3/26/17 10:00pm）
2017年3月24日
なくなるョ
今の北九州市は、かつては、小倉、戸畑、八幡、若松、門司といった名前の５市が合併してできた市であり、合併（昭和38年）する前の時期、鹿児島本線の列車に乗ってこの地域をよく通過していたタカさんにとっては、いまだもって「北九州市」と言われるより「小倉」だとか「戸畑」などと言われる方がピンとくる土地だ。
公害問題などがまだ何もさわがれていないあの頃、この地域を通過する列車の車窓からの眺めは子供心に「凄い！」と感激するほどの迫力があった。というのも、車窓の両側に広がるのは「北九州工業地帯」の工場群であり、その中心である「八幡製鉄所」の各地区にある高炉やコークス炉が吐き出す煙を子供は「七色の煙」などといって誇らしい気持ちすらもって眺めていたもので、そんな子供だったタカさんがそれから60年後には、PM2.5で煙る中国を、「なんて民度の低い！」などと批判していようとは当時からすればとても信じられないことだ。
明治時代の官営八幡製鉄所から始まったこの北九州工業地帯は、製鉄の原料である鉄鉱石の輸入先である中国にもっとも近く、同じくコークスの原料となる石炭産地である筑豊に位置しているという立地条件に恵まれていたことで、明治時代から戦前にかけては日本最大級の工業地帯だった訳だが、戦後は鉄鉱石も石炭もブラジルやオーストラリアなどから輸入されるようになり北九州の立地のメリットが失われてしまい、今や北九州工業地帯の工業生産額は全国のそれのわずか3%を占めるに過ぎない、（言い方は悪いが）さびれた地域になってしまっている。
タカさん自身、この北九州工業地帯の衰退の姿をまざまざと見せつけられたのが、あの「七色の煙」の源の製鉄所の高炉やコークス炉が次々と休止していった過程だった。
昨年、この地域を訪れた時も、驚いたのは、かつては、もくもくと煙をあげている煙突が一本もなくどこまでも青空が広がっていたことだ。
八幡製鉄所の跡地、特に中央事務所の周辺は、その前年にユネスコの「世界遺産」に指定されたことで化粧直し中ということで見学できず、「かつては、ここにこんな製鉄所があったのですよ！」という写真パネルが貼られ、元職員の方がボランティアとしてパネルの説明をしてくれていたが―――昔のあの凄まじいまでの七色の煙の記憶があるタカさんは、なんだか物悲しい思いにかられた。
八幡製鉄の高炉（東田高炉）の跡地には、27年前にはスペースワールドというテーマパークが開園し、製鉄会社のテーマパークへと異業種転身には驚かされたものだったが、そのスペースワールドでさえも今年末に閉園することが決まったという。
昨年、一人旅でこの地を訪れた時、スペースワールドにも行ってみたが、（平日であった所為もあるが）客足はわずかで、巨大なジェットコースターが少ない上客を乗せて走っている姿は、これまた、多少のわびしさを感じさせるものだった。
七色の煙が巨大テーマパークになり、再びこの地域がそれこそ明治以前の静寂の地に戻るとしたら―――その歴史をみてきたタカさんとしては感無量の思いだ。
そうそう、スペースワールドの閉園を知らせるテレビCMが好評だそうだが、物悲しくて始まり――従業員一同が一丸となって最後の誘客に出演しているのを見た時、走馬灯のように、このローラーコースターの後におぼろげながら、七色の煙を吐き出す巨大煙突群が見えたような気がした。(参照：「なくなるョ」)
（3/23/17
10:00pm）
2017年3月22日
赤字路線はなぜ廃止できないのか？
国鉄が民営化されてから今年で30年、「親方日の丸」意識に凝り固まっていた官営鉄道が、曲りなりとは言え一般私企業と同じレベルの経済合理主義を基本とする企業に生まれ変わる―――という民営化の道をあの時選んで本当によかったと思う。
二進も三進もいかない国鉄の累積債務を、民営化によって少なくとも止血する努力がまともに行えるようになったのだから、今思えばあの時民営化していなかったら、今頃一体どこまで累積債務が増え、すなわちその莫大な赤字のツケを税金として国民が負担させられていた―――と思うと、やっぱり30年前に民営化に踏み切って本当に良かったと――と思う。
もっとも民営化によって万事が「よかった、よかった」という訳ではない。いまだに国による「保護」という中でもがいているJRもある。
例えば、旧国鉄時代にも、既に全国にはいたるところに「赤字路線」があったが、当時から100円の営業収益を上げるためにコストが3000円かかる！だとか、4000円かかる！といったとんでもない赤字路線がワッサワッサあったが、民営化後のJRにもとんでもない赤字路線はいくつも残っている。
JRになって大分、経営の合理化が進み、赤字路線の廃止といった民間企業らしいこともこの30年間には進められてきたが、そうは言っても、絶望的な赤字を抱えながら廃止できない路線が全国各地にある。
その理由はやはり鉄道輸送という事業が持つ「公共性」故のものだ。赤字とは言え、地域住民の利便性という「福祉的」な役割を担っているとなれば、「儲からないから、止めます」という訳にもいかない―――といった問題を抱え、一方民間企業として「株主利益の最大化」をはからなければならない―――という使命との板挟みになっているところも多いようだ。
30年前と比べて輸送手段が鉄道から車へ――という大きな転換をしているということを考えれば、かつてのように、自治体や国からの補助金に頼っていつまでも赤字を垂れ流していては、それこそ致命傷になりかねないということを考える必要がある。
先日、ローカル線を巡る旅番組をみていたら始発から終着駅まで、番組レポーターだけ（もちろんカメラマンなどのスタッフは乗っていたのだろうが）等という路線があったし、朝夕に通学に使う高校生だけが乗っているだけなどという路線もあった。
それでは、この路線の走っている沿線に住民はいないのかといえば、それなりの人口があるけれど、彼等は皆、自家用車を使っており、鉄道は年に1回か2回しか乗らない！などと言っているのだから―――なぜ、赤字路線を維持しつづけているのか――意味がよく理解できなかった。
番組によれば、そんな赤字路線の廃止案を地元に打診すると必ずと言ってよいほど地元住民から「年寄りの病院通いに必要だ！」とか「過疎化を益々促進させてしまう！」といった反対論が起こり、鉄道のバス路線転換ですら進まないのだとか。実際には鉄道は使わず車を使っている人こそが、実は強固な赤字路線廃止反対論者だというのだから―――ある意味、住民エゴに地方赤字路線が振り回されている、ともいえる。
三島会社といわれる中でまだ上場できていないJR四国やJR北海道、まがりなりにも自立、上場して真の民営化できる日はくるのだろうか。
（3/21/17 10:00pm）
2017年3月21日
低い投票率
タカさんの住んでいる街では、来週日曜投票日で県知事選、市長選、市議会議員補選の3つの選挙が進行中である。
東京都と違ってわが県の知事選は、争点があるとも思えないし全国的には多分、ほとんどの人がわが県で知事選が行われていることなど知らないだろうし、知事選に立候補した前市長が抜けたために行われる市長選も、市長選に立候補した市議二人が抜けた為に行われる市議補選も、身近な選挙だけにもうちょっと話題性がありそうなものなのに、全くといってよいほど盛り上がってはいない。
「投票にいくのは、権利であると同時に、民主主義を皆で守るための国民的義務である」等といった、教科書にでも書いてありそうな言葉を、昔の優等生であった（？）タカさんとしては守って、今度の日曜は投票にいくべきかなぁ〜とは思うものの、これほどに盛り上がらない選挙の投票にいくのかと思うと気が重い。
ちなみに2011年に行われた埼玉県知事選挙での投票率は、24.89％と県民の4人に3人は投票に行かなかったし、県知事選レベルでは30%程度の低投票率はたくさんある。それどころか、山形県などでは三回連続で県知事選が無投票になっているし、市長選などの首長選、市議会や町議会選挙では無投票の例も多いというではないか―――。
「民主主義の基本は選挙だ」という言葉、確かにそうかもしれないけれど、実際問題として無投票だとか住民の30％に満たない人の意思をきいたからと言って―――果たして胸をはって「これが民主主義だ！」なんていえるものなのだろうか―――。
ということは、やっぱり現代の「民主主義」自身が実はまったく形骸化してしまった「過去の空想の産物」でしかないのではないか―――とも思うのだが。
（3/20/17 10:00pm）
2017年3月17日
何年入社？
老若男女を問わず日本人ならば、人付き合いの中で一番気にするのは、相手の年齢だ。
自分より年上か、年少なのか、あるいは同い年かが分からないと、まず、言葉遣いをどの程度にすればよいのか（ある程度タメ口でよいか、それとも敬語を使った方がよいのかといった）の間合いがとれないから、どうしてもよそよそしい感じになってしまう。
お互いが、相手の年齢が分かっていれば、相手との間合いの取り方が分かるから、安心感をもって話せるし、安心感をもって話せる相手との付き合いはより深いものになる―――ということがいえる。
先日、3カ月一回程度の頻度で開かれている会社のOB会に出席したが、その時、気付いたのも、懐かしい同僚同士とはいえ、一年先輩か一年後輩かでは、お互いの言葉遣いが微妙に違うし、その微妙な違いを相手も心得ていてくれることに安心感というか親しみが持てるということがあることだ。相手に親しみが持てるということが、当然ながら楽しい会話の前提だ。
更には、その場にいない誰かの話になった時も、「xx年入社の誰其さんが――」とその人の入社年次、すなわちその人の年齢をいうことによって、一瞬にしてその場にいる人々の頭の中には、その人の顔つきから人柄までが浮かんできて――というのも不思議だ。
女性の場合も、初対面の人との会話の際には、何気なく干支の話にもっていくなどして相手の歳を把握しようとするし、相手の年齢がある程度分かれば、そこから安心して会話ができるようになるし親しくもなり易い――といったことがあるという話だ。
欧米で暮していた時に彼等が日本人のように先輩後輩意識をもっていないことに驚いたものだが、この日本人の先輩後輩意識のルーツはいかなる起源を持つのだろうか。
(03/17/17
10:00pm)
2017年3月15日
モンテスキューはもう古い？
フランスの思想家モンテスキューがその著書「法の精神」において当時のフランス絶対王政における権力集中を批判する意味を込めて、権力を立法権、行政権、司法権の三つに分け、それぞれの権力が相互に抑制しあい、均衡させるシステムとして説いたのが「三権分立」である。
18世紀の中頃に考え出されたこのシステムがいまも世界の民主国家においてはその国家権力運営の為の基本システムとして取り入れられているというのは驚くべき先見性と言ってよい―――と思っているのだが―――。
日本の場合、司法権に対する国会（立法権）のチェックとしては具体的には国会の弾劾裁判権が挙げられるが、弾劾裁判の対象となるのは非行のあった裁判官のみだから実質的には司法権に対して国会がプレッシャーをかけることはほとんど不可能だ。
又、内閣も司法権に対してその権力を行使できるのは、「最高裁判所長官の指名とその他の裁判官の任命」のみであるからこれまた裁判官はそれほど大きなプレッシャーを行政権から受けることもない。すなわち、裁判官は憲法に書かれているとおり、「その良心に従い独立してその職権を行い、憲法及び法律にのみ拘束される」という「裁判官の独立」が認められている。
この部分が押しつけ憲法ともいわれる日本国憲法草案にGHQが盛り込んだ「三権分立の精神」の最たるものではないかと思う。
この「裁判官の独立」が時には時代錯誤ともとれる「時代の空気を読まない判決」を産むこともあるし、いわゆる「司法の硬直化」をもたらすともいえるけれど、その一方では、「裁判官が誰からのプレッシャーも受けず、その良心と法律にのみ従って下した判断である以上は、だれもがその結論（判決）を受け入れるべきだ」という「司法への信頼感」となっているように思えるから、やっぱり「モンテスキューは偉かった！」とも思えてくるのだが―――。
韓国の弾劾裁判所が朴槿恵大統領の罷免を8対0の全裁判官一致で決定した。
100万人だ200万人だといわれる朴槿恵政権追い出しデモといういわゆる「世論」に司法も行政もそして立法府までもが迎合した結果の弾劾裁判であり、本人の弁明の機会もないままに、又十分な審議も尽くされないわずか3カ月で「大統領の罷免」という決定を下した韓国司法には、日本と同じような「裁判官の独立」の原則、すなわち民主主義の基本原則である三権分立の精神が働いていたのであろうか―――ともいわれている。韓国世論は弾劾賛成と反対とで真っ二つに割れているともいうが、司法は多数派の弾劾賛成派におもねった判決を下したという批判の声も大きいとか。
韓国の世論なるものは、火病と言われる韓国人の国民病的な精神状態を、第四の権力といわれる「マスコミ」が煽った、「激情にかられた熱」そのものだともいわれているが―――。
確かに、モンテスキューが考えたのはあくまでも「三権」についてであり、第四の権力については18世紀には考えもしなかったのだろうが―――。
（3/14/17 10:00pm）
2017年3月14日
アラムコ上場
サウジアラビアのサルマン国王が1000人と言われる随員を引き連れて国賓として来日されているが、今、羽田空港にはこの大デレゲーションを乗せてきた数機の旅客機がずらりと駐機しており中々の見ものだとか。
そもそもサウジアラビアという国名が「サウド家によるアラビアの王国」という意味であり、すなわちサルマン国王は世界一の石油埋蔵量を誇るサウジアラビアという国のオーナーであるという訳だから、実質的には世界一の金持ちといってよい人物だ。1000人の随員を引き連れてのまさに大名旅行だけにさぞや東京にも随分と金を落としていってくれるのではないだろうか。
何で今、サウジ国王来日なのかと言えば、そこには日本とサウジ両国にとっての様々な理由もあるようだ。
まずサウジの側だが、確かに中東の盟主であるとは言え、仇敵イスラエル、そしてシーア派の盟主であるイランという二つの「敵国」に対する、アメリカの前トランプ政権の宥和的政策がサウジにとっては我慢のならないところであり、戦後一貫して続いてきたアメリカとの強力な同盟関係にヒビがはいってきていることがまずに挙げられる。
シェールオイルという原油に対抗しうるエネルギー源の確保に自信をもつアメリカは、もうかつてのようにサウジの言い分を重要視しようとはしない。対イラン制裁の解除にしてもかつてのアメリカならサウジに気を使ってあんなにスンナリとは決まらなかったであろうに、オバマは制裁解除にあたってサウジにこれっぽっちもきづかいしなかったし、イスラエル寄りの体質はトランプになってより強固な物になってきている。
そんなアメリカ頼みができなくなってきている最中に、国際的な原油価格の低迷によって、国家財政は急激に赤字化している。なんせサウジの国家収入の8割は原油によるものなのだから（サウジには、所得税も消費税も住民税もない）、原油収入の減少が直接、国家財政を左右するのだ。もちろん、とてつもない金持国で世界中にある総資産からすればビクビクする必要もないが、原油の次の国家収入の柱を考えるべき時期にきていることは確かで、サウジがもっとも目をつけているのが「投資」である。
そこに目をつけたのが日本政府で、サウジに様々な投資案件を次々にぶつけているという。もちろん、こういったサウジの意向に盛んにアプローチしているのは日本ばかりではない。今や、サウジ原油の最大の顧客となっている中国が、盛んにアプローチしているが、アメリカにしてみれば、サウジが中国と接近してしまう位なら、まだ同盟関係にある日本がそれらの投資案件を受注した方がマシという思惑もあるという。
まず、この両国の思惑にぴったりなのがサウジ国営石油公社（サウジアラムコ）の東証での上場だとか。アラムコ上場ともなればその総額は230兆円と、現在世界第一位のアップルの70兆円をはるかに上回る金額となるから、最近とみに外国企業の上場が減り、国際化にとりのこされつつある東証にとって、して日本の金融市場にとっては千載一隅のチャンスになる可能性があるし、サウジにとっても「宝」の市場化は財政安定度を大いに増すことになる。
国王と安倍首相の会談が明日行われるというが大いに注目したいと思う。
（3/13/17 10:00pm）
2017年3月10日
ひざ枕で耳かき
海外旅行に忘れてはならない必需品小物の中に「耳かき棒」がある。
1週間とか、10日程度の旅行でも必ずといってよいほど起こるし、一旦起こってしまったらメチャクチャ気になるのが、爪が伸びることと、耳がかゆくなることだ。
爪切りは一時期、セキリュティーチェックで引っかかると機内持ち込みできなかったこともあったし（最近ではOKになっている）、旅先でもどこでも買えるからそれほど気にはしなかったが、耳かきだけは海外どこに行っても売っていない代物で、聞くところによると「耳かき棒」は、日本独自のものだというから、こればかりは日本からもっていくしかない。
洗面道具ケースに歯ブラシは忘れても耳かきだけは絶対に忘れてはならない。
いやいや、海外にもコットン綿棒があるではないか、という人もいるだろうが、あの綿棒というやつ、結局、耳垢（昔は耳くそと言った）を中に押し込むだけのもので耳かきのように耳垢を「外に掻き出して耳を掃除する」という清潔さには及ぶべくもない代物だと、耳鼻科の医者も言っている―――とどこかの雑誌で読んだ事がある。
耳の中がかゆくなる、という事象（？）は、時と場所を選ばず起きるものだ。夜中の2時、3時に突然耳の中がかゆくなり、電気をつけて耳かきを探し思いっきりかいてから再び寝に入った―――なんていう経験は数限りなくある。
考えてみると、いつの間にか耳かきを手にとって耳をかきながらテレビを見たり、本を読んでいた――なんていうことは2-3日に一回はやっているように思う。ましてや1週間、10日にもなる海外旅行中、耳が一度もかゆくならない等ということはまずありえないのだから、耳かきの快感を覚えてしまった日本人にとって、耳かきなしであの耳の痒さをコットン綿棒ごときでごまかす――等ということは到底できない。
以前、CNNの旅行番組の「クールジャパン」紹介の中で、秋葉原にある「耳かき店」を紹介していたのを見た事があるが、この店に入ったアメリカ人記者が、着物姿の女性にひざ枕で耳かきをしてもらうという（多少、隠微な感じもないではないが）サービスに、余りの気持ちよさに多くの客が寝てしまうほどにリラックスする、まさに究極の癒しである！と絶賛、「古代エジプトで始まった耳かきは、その数千年後、日本人が、革命を起こした」と「クールジャパン」を強調していた。
タカさんにしてみれば、「何を言ってるの？ 日本人なら誰だって、幼い頃から、母親のひざ枕で耳かきをしてもらいその気持ちよさのみならず、母親の愛情を身をもって体感するものなのに―――」と言いたいところだが――。
そういえば日本の映画やドラマ、特に時代劇では、「ひざ枕」というのはよく見るシーンだが（例えば、銭形平次親分が妻のお静さんのひざ枕で耳かきをしてもらっていると、そこに、八五郎が「親分！ていへんでぇ〜」と飛び込んできて―――などというシーンでよく見かけたが）、外国映画ではひざ枕シーンを見た記憶はないのだが―――。まさか、恋人同士、夫婦間での、ひざ枕もやはり日本独特の風習――なんていうことはないとは思うが―――。
そういえば、タカさん夫婦は西洋風なのだろうか、妻にひざ枕をしてもらった記憶は―――ないように思う。
（3/09/17
10:00pm）
2017年3月9日
公人私人
ビル・クリントンは、大統領に選ばれた直後、大統領夫人となったヒラリー・クリントンを保険改革の陣頭指揮をとる医療保険改革問題特別専門委員会委員長に任命した。国民皆保険制度のないアメリカで皆保険制度を創設しようという極めて意欲的な政策ではあったが、「小さな政府」をよしとし、「自助」の精神こそアメリカンスピリッツだとする保守派にとってはこの皆保険制度は余りにリベラルというより超リベラルすぎる政策であり、猛反発が巻き起こった。
共和党と、巨大医療保険会社による金に糸目をつけない猛反対キャンペーンもさることながら、与党民主党の中からでさえ反対の声が上がり、結局、この皆保険制度改革は頓挫することになるのだが（オバマ大統領がオバマケアとして復活させ―――再びトランプが潰しにかかっているが）、反対論の中には、ヒラリーに対する人格攻撃のようなものも多かったことを思い出す。
夫ビルよりも優秀だといわれた弁護士出身、どんな問題にも即座に明確で理路整然とした答えを出し、「私は、台所でクッキーを焼いているような女ではない」などと発言したことが、良妻賢母、家庭的な女、を理想とする保守層の反発を招いたこと、そして何よりもヒラリーの同性である主婦層から（もちろん、やっかみを込めてだとおもうが）嫌われたことが保険制度改革頓挫の原因であり、それが今回の大統領選でのヒラリーの敗北へと尾を引いているように思える。
ビルがヒラリーに大統領側近の重要な役割（医療保険改革問題特別専門委員会委員長）の役職を与えたことに対しても、当時反発する連中からは「ビルは選挙で選ばれたが、ヒラリーは選挙の洗礼をうけていないではないか！」といった非難まであった。アメリカ憲法によって閣僚は大統領が指名して議会の承認が必要だが、大統領府のスタッフは大統領が好きに任命できるのだから、「選挙の洗礼を受けていない！」という批判は、全くのまとはずれなのだが―――。確かに医療保険改革問題特別専門委員会委員長という「公人」に、大統領夫人という「私人」が大統領の一存で就いてよいものだろうか―――という議論もあったように、アメリカでもこの公人と私人の問題はよくとりあげられる。
安倍首相夫人の昭恵さんが、豊中の小学校の名誉校長となっていたことで、この小学校の怪しげな土地取引の件で、安倍首相が野党の集中攻撃をうけているが、首相がキレたように「私は公人だが、妻は私人だ！」と答弁すればするほど野党が「そうじゃないだろう」と燃え上がるのだから、（くだらないとは思うものの）最近の国会論戦は面白い。
昭恵夫人も、もちろん選挙で選ばれて「首相夫人」になった訳ではないのに、安倍首相の外遊の際などには「首相夫人」という公的な肩書を持って外国訪問、その旅費なども当然公費で支払われているから安倍首相の「妻は私人だ！」も、ちょっと首をかしげたくもなるが、かといって、首相夫人は私人だからと、公費で護衛をつけなければ、夫人にもしものことがあったら大変だし―――。
もっとも、安倍首相夫人追及の急先鋒に立って責め立てている民進党の蓮舫さんも、国会議員、そして民進党代表というれっきとした「公人」でありながら、例の二重国籍問題では二重国籍ではない証拠として戸籍を開示して欲しい、という要求に対して「プライベートな問題なので」と私人であることを盾に拒んでおられるから、あまり公人と私人の見極めを追及されると墓穴を掘るタイプなのかもしれない。
（3/08/17 10:00pm）
2017年3月8日
鳥肌が立つ
最近は、毎年行われている米韓軍事演習は、北朝鮮にとって我慢がならないものらしく、北朝鮮はそれに対抗する声明で毎年「ソウルの火の海にする無慈悲な軍事的打撃で対応する」などという何とも大時代的な警告を発しているが、普通に聞いたらどんな国でもブルッてしまうような脅し文句も、あまりに毎年くりかえされるとあのイソップの「オオカミが来た！」の話どうよう、だれもが「またか！」と全く気にしなくなってしまうようだ。
韓国のみならず、日本にとっても、繰り返される北朝鮮のミサイル発射は、めちゃくちゃ脅威ではあるものの、なんだか慣れっこになってきている感もあり、それに反応する日本政府の措置も、「到底容認できるものではなく、厳重に抗議した」といったものが、いつもテレビのニュース番組で流されつづけているから、我々も最近では「またか」と思うだけで思わずチャンネルを切り替えたりしてしまうようになっている。
東北大震災の前に幾度も流された「つなみ警報」が空振り続きだったことで、東北大震災の際に、「今回もそんなに凄いつなみがくるとも思えない」と避難が遅れて被害にあう人が多かったことを思い出すと、北朝鮮の「火の海」警告や、日本政府の「厳重抗議」に慣れっこになりすぎるリスクを思わないではない。
今回の北朝鮮による4発のミサイル発射、しかも内三発は本土から300キロ程度しかはなれていない日本の排他的経済水域に着弾した―――というヤバすぎる事態に対する日本側の反応も、いつもと同じ程度でしかないことに、危機感を持つのはタカさんだけだろうか。
なかでは、自民党の二階幹事長がこのミサイル発射に対して「北朝鮮から、これまで何発もミサイルを撃たれているが、政府は、そのつど、同じような答弁を繰り返しており、そのようなことでいいのか。『なめられてたまるか』という思いで、取り組まなければならない」と記者団に語ったというのが、まだまともな反応だとは思うものの、それでも二階さんのいう『なめられてたまるかという思い』も、具体的対抗処置をともなうものではないだけに、要するに北朝鮮の「言葉による威嚇」と同じで北朝鮮にとってはなんの威嚇効果もないように思える。
今回の4発のミサイル発射の目的は、「在日米軍基地を攻撃する任務の為の弾道ミサイル発射訓練」である、という北朝鮮軍の発表を朝鮮通信が伝えているが、在日米軍基地、すなわち日本の領土を狙ってのミサイル発射訓練を行ったのだという、北朝鮮による事実上、宣戦布告にも等しい言葉と行為に対しても、「厳重に抗議」を繰り返すしかできない―――という日本の現実に、やはり鳥肌が立つ思いがする。
（3/07/17 10:00pm）
2017年3月7日
口利き
我が市には81の自治会があり、各自治会は市の補助により自治会集会所が建設されているが、中には老朽化してきているものもあり市の予算で順次建替えがすすめられている。中にはトイレが和式しかなく会員の高齢化にともない洗浄便座付の洋式に変えて欲しい、などという要求もあるから市の限られた予算ですべての要望を満たす訳にもいかず勢い「是非、来年度の予算で我が自治会集会所の建替え・改築を！」という要望の声が各自治会から上がることになる。
そこで、中には「わが町内出身のｘｘ市議に頼んで順番を繰り上げてもらおう！」という自治会もでてきて、自分たちと同じ地区に住む市議を使って市当局に働きかけてもらう等ということが行われている。その要望が通った自治会では「さすが地元のxxさんは市議会での実力者だ！」などと評判になり、次回の市議選での当選も確実になる―――なんていう持ちつ持たれつの関係ができあがっている――との噂だ。
いわゆる「口利き」という奴だけれど、集会所の改築要望を通したからといって住民や業者から賄賂をとったなどという汚職を働いていない限り、市議本人にいわせれば「住民の生の声を、政治家（市議といえども地方政治家の一員といってよい）として行政の現場に伝える役割を果たした―――」と市議の本来の役割を果たしたと、胸を張るだろうしもちろん、法律的に何ら問題のない行為ではあるが―――。
しかし、こういった改築計画は市の方で年間計画を組んで順次進めているものなのに、市議、特に有力市議などからの強い働きかけがあれば、順番を繰り上げて取り組まれる集会所もあるし、それはすなわち当初計画比、後回しされる（有力市議を輩出していない、とか、会員数の少ない）自治会にとっては不公平な措置ともいえるものだ。
豊中市の私立幼稚園が小学校を開校する計画をもち、その用地確保の為に国有地の払い下げを受けたが、その払い下げ価格にかなりの疑惑があるという問題が、マスコミを賑わせており、国会の予算委員会でも連日追及が続いている。
この問題の中でもたびたび取り上げられているのが「政治家による口利き」の問題だ。自民党の有力議員に再三陳情に行ったこの学園の理事長夫人が封筒に入った現金をこの有力議員に渡そうとしたとか、その議員が「無礼者！」と一喝してその封筒を叩き返した！なんていう話題がまさに恰好のニュースネタになっている訳だが、政治家自身もあるいはマスコミもこの理事長が「政治家にどうにかならないかと相談したこと」あるいは、幾人かの政治家を含む関係者がこの陳情を受けたこと、すなわち「口利き」は「全く問題ない」といっているのだが―――。
口利きは我が市の自治会館同様、「問題ない」ことになってはいるが、やっぱり「不公平」を助長する事にもなり得るだけに（森友学園があの土地を口利きによって1億円ちょっとで手にいれた為に、もっとまともな学校法人がまともな小学校を作るチャンスを失っている可能性だってある）、やっぱり「政治家による口利き」そのものを全面的に禁じた方が「公平、公正」ではないかと思うのだが。
もっとも、その場合、日本中の政治家がやることがなくなってしまう―――という大変な問題が起きてしまうだろうが―――。
（3/06/17 10:00pm）
2017年3月6日
平均寿命と社会不安
世界各国では平均寿命は順調に伸びてきている。特に豊かな国でのその伸びは著しいものがあるが、例えばOECD加盟国では2013年で女性が83.3歳、男性が78歳となっている。
ところが、それがロシアとなると「ゆたかな国」に当然入っているにもかかわらず、2013年の女性の平均寿命は75.4歳、男性では66歳とOECD平均より女性で8年、男性で12年も短くなっている。低いとは言え、それでもロシアの平均寿命も近年は年々伸びてはいるのだが、ソ連邦崩壊の90年前後の10年余りの期間は、その前の女性74歳、男性64歳にくらべ急激に下がり女性71歳、男性に至っては57.6歳にまで下がっている。当時、大戦中であった訳でもないのにこんなに平均寿命が急激に下がったこと、又、現在もいわゆる先進国平均比では大きく平均寿命が下回っていることの理由は、当時も現在も様々に語られてはいる。
肉を中心とした食生活とか、概して大食漢と言われるロシア人の体重過多、あるいは（特に男性の場合）二日にボトル一本は空けるといわれる強いアルコール度のウォッカの飲み過ぎ（ウォッカがなければ工業用アルコールを飲んでしまう―――とまでいわれた）などがあげられているが――――。
やはり、相対的に言ってロシア社会（当時でいえばソ連社会）が不安定で人々の心理が不安に駆られることによって暴飲暴食に走ってしまった可能性が一番高いのではないかともいわれている。
昨年、アメリカでトランプが選挙戦を勝ち抜いた時にその原因の分析が様々に行われたが、いわゆるプアホワイト（白人貧困層）といわれる層がトランプの過激ともいえる「排外主義」「アメリカファースト」「仕事をアメリカに取り戻す」といった主張に共感し、強い支持基盤となったことが挙げられていたが、この白人層の平均寿命がやはり近年大幅に減っていることが以前からいわれていた。
ある統計によると、特に40代半ばから50代半ばのまさに「働き盛り」と言われる年代の高卒白人男性層は、失業率も高く、それが原因での社会的不満をつのらせており、自暴自棄感からの自殺、アルコール中毒、薬物中毒、肝臓障害、精神障害などによってその死亡率が異様に高くなっているといわれていた。
まさにこの層こそがあのトランプという異常ともいえる人物を大統領に押し上げた――原動力となっていることが、選挙戦得票の分析から明らかになってきている。
社会に対する不満が鬱積し、ヒトラーという独裁者が選ばれたように、ロシアではプーチンが生まれ、アメリカではトランプがその道を歩もうとしている―――なんていうことはまさかないとは思うが―――。
いずれにせよ、日本では相変わらず男女ともに平均寿命は伸び続けている―――ということは、なんだかんだ言いながらも日本人は、社会や政治に対して大きな不満や不安を持っている訳ではない――ということなのだろうか。まあ、喜ぶべきことだとは思うが―――。
（3/05/17 10:00pm）
2017年3月3日
過重労働の責任
100円ショップでは（当然のことながら）様々なものが100円で売られているのだから、最近はおどろかないけれど、最初に100円ショップで目覚まし時計が100円で売られているのを見た時に正直言って驚きとともに「こんなことをしていいのか！」というなんだか義憤に近いものを感じたことがある。
しかも、その目覚まし時計が見るからにすぐ止まりそうな不良品といった感じではなく、街の時計屋では2-3千円で売られている目覚ましとそんなに変わりのないもので機能なども問題なさそうなのだ――。
食品などでは、商品自体は正規品だが、期限切れもしくは期限切れ間近の商品だとか包装に少し汚れがついているといったいわゆる「訳アリ商品」だとか、衣料品などでは企業倒産により市場に流れてきた倒産品、季節外れの品といったいわゆる「バッタもん」が、とんでもない安値で売られることはあるが―――さすがに「目覚まし時計100円」はやり過ぎだと思ったものだ。
以前、本欄でも書いたが、近くのスーパーのチラシに「もやし、一袋6円！」というのが出ていた時も、「このもやし工場で働いている人達は、一生懸命作ったもやしが6円で売られていると知って、泣いているだろうなぁ〜と思ったものだった―――安いということは消費者の立場に立てば、確かにありがたいとはいえるけれど、逆に自分が生産者の立場にいたとしたら、過酷な競争の果てに自分の労賃も稼げないほど買いたたかれ、しかもその安値の指値を断ったら一銭も入ってこないどころか、工場建設のための借入金や、従業員の給料も全く入ってこない―――なんていう立場になったら―――とふっと思ってしまったのだ。
最近、タカさんのプリンターのインクカートリッジが切れ、Amazonショッピングで調べてみたら、正規品だと4色で4000円ほどはする品がなんと正規品ではない「互換品」だと4色で360円だというではないか―――しかも、通常は350円する「送料」も割引されるというではないか―――。
4000円対350円となれば、さすがにその誘惑には争い難く、注文して、ここ数カ月その「互換品」を使っているが何の問題もないが―――。340円の互換品を作っているメーカーの従業員はちゃんと給料を貰っているのだろうか、Amazonの配送センターで働いている人達は（ほとんどロボット化されているのかもしれないが）、どうだろうか、宅配便会社やその配達員は？？と思ったらなんだか、ちょっと罪悪感をもってしまったのだが―――。
今日の新聞に宅配最大手のクロネコヤマトが、余りに増えすぎた宅配便個数に追いまくられてドライバーたちが過重労働になっていてもはやパンク状態だ―――といった記事が出ていたが―――確かに、今、タカさんの住んでいる住宅街でも朝早くから夜遅くまでヤマトの宅急便の車が走り回っている―――。
過酷な残業を強いたために若い女性が過労死自殺した電通の場合、電通の経営姿勢が問われ経営陣には厳しい非難をあびているが―――クロネコヤマトの過重労働の責任は、340円のインクジェットを送料無料で買ったタカさんにもいくばくかあるのではないか――と思い、悩んでいる。
（3/02/17
10:00pm）
2017年3月2日
1185か1192か
幼い安徳天皇を奉じて壇ノ浦の海上に逃れた平氏が源義経に追い詰められ海の藻屑となったことで栄華を極めた平家が滅亡、義経の兄であり当時、壇ノ浦の現場にはいなかった兄の源頼朝が実質的に武士を束ねる立場となったのが1185年であり、頼朝は、朝廷のいる京を嫌い自分の生い立ちの地である東国鎌倉でその権力を振るうことになるのだが、1192年にはついに朝廷から「征夷大将軍」に任命された。
その源頼朝が鎌倉幕府の初代将軍であり、この年1192年を「鎌倉幕府の成立」とする――というのがタカさんが小学校で学んだ歴史であり、この1192年の語呂合わせではあの有名な「1192（いいくに）つくろう鎌倉幕府」と覚えたものだったが――。
いまの小学校教科書ではあの壇ノ浦で平家が滅びた時点で権力は源氏に移ったわけであり従って鎌倉時代は「1185（いいはこ）つくろう鎌倉幕府」と教えているという。
「いいはこ」なのか「いいくに」なのか一体どっちだ！という声がネットでも渦巻いているのは、タカさん同様「いいくに」で習った世代がまだ圧倒的に多い所為もあるようだ。
そもそも「鎌倉時代」だとか「鎌倉幕府」という名称は、後の世に便宜的につけられたものであり源頼朝が「今日から鎌倉幕府を開く」とか「今日から鎌倉時代と呼ぶ」などという宣言をしたものではない以上、「いや、いいはこだ」「いいくにだ」と言い争っても詮無い事（どっちでもよいこと）ではないか――とも思ったのだが―――。
ネットに「鎌倉幕府が開かれた年は？」という問題が出た場合、1185と1192とどちらを答えるべきでしょうか？という受験生からの質問が出ていたから「どっちでもよいこと」という訳にはいかないようだ。
先日、小中学校の新学習指導要領案で歴史用語の見直しが発表されたが、この中には鎌倉幕府同様に、日本人にとっての古代のヒーローとしてなじみのある「聖徳太子」が、これからは、なじみの薄い「厩戸王（うまやどのおう）」として教科書に書かれるというのもあった。
10人の話を同時に聞いて聞き分けたという超人伝説やら、冠位十二階や十七条憲法などで古代日本の国造りに大きな役割を果たしたあの聖徳太子が、「聖徳太子という名前はその死後、諡（おくりな）としてつけられた名前だから―――というのが改定の理由だというのだが、太子の死後1000年以上に亘って尊敬の念をもって人々が使っていた名前を、「死後の諡（おくりな）だから」というだけの理由で「ウマヤドノオウジ」に変えてよいものだろうか―――。タカさんの孫の幼稚園は「聖徳学園幼稚園」だったが早晩「ウマヤドノオウジ幼稚園」に名前が変わるのだろうか。
空海の諡が弘法大師であり最澄が伝教大師であり、空海、最澄よりも弘法大師、伝教大師としての方が我々は親しみをもって馴染んできていることを考えれば、やっぱりウマヤドノオウジも聖徳太子と呼ぶべきだろう。
仁徳天皇陵が大仙古墳に変わり、大和朝廷がヤマト政権に変わり―――と、省ぐるみの天下りあっせん問題をはじめ最近の文科省のやっていること―――なんだか随分とトンチンカンすぎはしないだろうか。
（参照：「ここまで変わった日本史教科書」）
（3/01/17
10:00pm）
2017年3月1日
北海道が乗っ取られたら
前回（2016年）国勢調査によると日本の総人口は前々回（2011年）調査比0.8%の減少となったが、北海道に限ってみると人口は2.2%減の538万人になっている。日本の総人口は、2040年には2010年比14%減ると予測されるが、北海道では24%減の419万人になるというから、恐るべき勢いで北海道の人口は減少していくことになると予測される。
戦後のベビブーム以来、「増えすぎ続けてきた」人口が、再び100年程度のスパンを経て又元に戻るという「自然の摂理」が働いているのだ―――と考えればそれはそれで、諦めもつくのだけれど―――。
そうは簡単に諦められないのが、「人口減による日本の経済規模の縮小」だとか「国際的プレゼンスの低下」に我慢がならない―――という人達だが、これが意外と多いのだから驚く。
特に北海道では、昨年JR北海道が、現在の営業線区の半分に亘る10路線13線区合計1237.2キロメートルの赤字路線の廃線、民営化計画を発表しさらなる人口減によっては北海道からほとんどの鉄道路線が無くなるのでは――等と言うパニック状態から、どうにか北海道の人口を増やそう―――という動きがあるのだという。鉄道路線維持のためばかりではない、北海道の経済全体を活性化する（すくなくとも衰退を止める）為に「北海道の人口を増やそう！」という計画を大真面目に考えている役所があるというがその具体案というのが大いに問題のある代物だ。国土交通省と北海道開発局が中心になった「夢未来懇談会」なる会合でぶち上げられた「北海道人口1000万人戦略」なるものを見てみると、同じ人口減に悩む日本の他の地方から大量の人口に移住してもらう（他の地方から引っぺがす）方策という訳ではなく「農林水産業や建築業を中心に海外から安い労働力を受け入れる」「北海道独自の入国管理法を制定し、海外から人を呼び込む」「授業料の安いさまざまな大学を設立し、世界から学生を募集する」などの、主に中国から、500万人から600万人に北海道に移民してもらうという案だというのだから――。
今や年間3500万人といわれる外国人訪日客は、（大分落ちたとはいうものの）「爆買い」などをしてくれた後は、何週間か何か月経ったら母国に帰っていってくれるが、移住者、移民となるとこれはもう北海道に何代も住み着く人達ということだ。道民人口の過半数を越える中国からの移民が、日本に税金を納付してくれるのだから同財政も潤う――ということもあるかもしれないが、移住者たちの子女の教育、医療費補助、高齢になったときの年金や、介護費用といったものも日本政府の負担になることを忘れてはいけない。
彼等が外国人地方参政権をもつことになったら―――「北海道はいずれ中国の32番目の省になる」という在日中国人のチャイナウオッチャーの言葉が現実になるかも知れない―――。
それこそ、1100万人を超える不法移民の問題を抱え、今や地方自治さえ昨日しなくなりつつあるアメリカと変わらないことになるかもしれないのだ。
（2/28/17 10:00pm）
2016年上期の各月バックナンバー：1月、2月 3月、4月 5月 6月
タカさんの読書日記はこちらをクリック
金曜日シリーズ全目次 ←ここをクリック
「日々草々」全バックナンバーリンク表 ←ここをクリック