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2018年5月
＜＜5月タイトル＞
05/31 生き残り世代 05/30 中継がとぶ！ 05/29 ことわざが教えてくれること 05/28 危機管理学部 05/24 好青年 05/23
政府も大変だ 05/22 巨艦は沈むか 05/21 シンギュラリティは来ない? 05/17 傍観者 05/16 防犯カメラとプライバシー 05/15
調べておけよ！ 05/14 記憶にない 05/11 ゴラン高原 05/10 デカすぎる 05/09 天は二物を与えた05/08 父親は誰か 05/07
なぜ愛していると言うのか
2018年5月31日
生き残り世代
タカさんがゴルフをやめてからもうかれこれ10数年が経つ。酷い腰痛に悩まされスゥイングが出来なくなったので治るまで暫く休まざるを得なくなり、仲間たちとの定期的なコンペも欠席が続いたら、その内「タカさんは腰痛でゴルフをやめたらしい」という話が仲間内に広がって段々と声がかからなくなり――といった事が続き、腰痛は大分よくなったのに、今度は、「暫くぶりにやってもスコアもメチャクチャだろうし―」と弱気になり――さらには、「もう歳だしそろそろゴルフは諦めた方がよいかも－－－」と思うようになり―――遂には、家の改築の機会にゴルフ道具一式を整理してしまった――という経緯をたどった。
かつてのゴルフ仲間や友人たちの中にも色々な事情でゴルフから遠ざかった者も何人かいたから、そんなこともゴルフに対する思いは薄れていったのだが－－－。
最近、立て続けに同窓会や同期会があって同い年前後の友達達に会う機会があったのだが、話題の中にやたらとゴルフの話が出てくるのにはちょっと意外な感じがした。
同い年前後とか、ちょっと先輩となると中には80歳近い人までいて境遇もタカさんとほとんど変わらない連中なのに―――話題は意外とゴルフで盛り上がるのだ。それも、今年のマスターズは－－－といった話題もあるけれど（タカさんは、ゴルフをしなくなってからというもの、テレビのゴルフ番組もほとんど見なくなったし、ましてマスターズとなると余程、暇でも見なくなってしまった）、ほとんどが最近の自分のラウンドにおけるスコア自慢（あるいは、いかに腕が衰えたかの嘆き）であり、彼等にとっては、未だもって「ゴルフはやるスポーツ」という認識なのだ。
ゴルフから遠ざかっているタカさんは、同世代の連中との話の輪からは外された感じであって、自分だけが老け込んでしまったような気がして愕然とした。
もっとも、今、全国のゴルフ場は次々と閉鎖され次から次に太陽光パネルが敷かれたソーラー発電サイトに変わっているようだし、統計上のゴルフ人口はピーク時の1000万人から3割も落ちているというから、タカさんのようにゴルフをやめてしまった年配者が多いことは確かだし－－－何しろ、新たにゴルフを始めてみようという若者や中年世代が激減している－－－というのが大きいらしい。
確かに、そういえばタカさんがゴルフを始めたきっかけは入社して早々、職場の先輩から「商社マンは、接待の為にもゴルフが出来なければ－－－」と勧められたからであり、実際、それからは接待ゴルフも多かったし、職場の懇親もゴルフ、なんていうことが多かったけれど、最近の若い世代は、接待費もないだろうし、何しろ「仕事とプライベートは別」という環境では、「社内ゴルフコンペ」なんていうものもないというから、ゴルフ人口が激減するのも時代の趨勢なのかもしれない。
ということは、タカさんの同世代のゴルファーは日本にかつてあったゴルフブームの最後の生き残り世代－－－ということになるのだろうか―――。
（5/30/18 10:00pm）
2018年5月30日
中継がとぶ！
鶴竜の連覇で終わった大相撲の春場所だが、横綱日馬富士の暴力事件、それにともなう貴乃花親方のちょっと眉を顰めたくなるような種々のパフォーマンスとその後の掌を返しして借りてきた猫のような態度、等々相撲以外の芳しくない話題が続いた後の場所にしてはほぼ全日「満員御礼」が続くという盛況だったようで興行的には大成功だったらしい。
横綱稀勢の里のファンであるタカさんにとっては稀勢の里が7場所目の休場であり同部屋の弟弟子である大関高安まで休場とあってはいささか興味の薄れる場所ではあったが、大関を狙う栃ノ心の快進撃、休場明けの横綱白鵬の久々に見せる必死さ―――等もあって千秋楽に向けて段々と関心が高まっていった。
タカさんはリタイアした身ではあるが、テレビの大相撲中継を4時の放送開始から熱心に見るほど気は長くはないので、いつも中継を録画しておいてこれを後から早回しで見る――というイラチ（短気な）―――視聴者ではあるが、そのタカさんが春場所中、何度か困ったことがあった。国会中継があっていつもは4時からの中継が5時からになってしまっていることが何度かあったからだ。
NHKは公共放送だから国会中継はやらなければいけないという規則があるからだと思うが、平日でも視聴率6－7％はある大相撲中継をとばして、国民の誰も見ていないような水掛け論を延々とやる国会中継を放送するNHKの姿勢は、視聴率第一主義（？）の民放ではまず感がられない愚行とさえ言えるものだ。
平日のこの時間帯で6-7%の視聴率といえば、異例に高い率であるけれど、これを捨ててまで視聴率1％前後の番組を流し続ける－－－という愚行を重ねなければいけないNHKも考えようによっては、気の毒だ。
勿論、国会論議が白熱し、内容も国家の命運を左右するような問題であるならばたとえ視聴率が低くても公共放送として中継することに意義があるかもしれないが－－。
昨日、国会でやってた予算委員会の「集中審議」なるものをチラリとみたが、質疑のほとんどが「加計学園」の獣医学部新設問題であって、野党側は、明確な根拠も示さず疑惑をあげつらい、「そんな訳はないだろう」と言った調子の憶測、類推ばかりを延々と述べ立てるばかりで、これを国会という国権の最高機関で繰り返す様は、どう考えてもまともではない。追及するからには明確な証拠を示して、ギリギリと締め上げるのでなければ、これは単なる「嫌がらせ」に過ぎない。
挙句には立憲民主党の質問者が、首相にメモを差し出した秘書官に対して「いらない紙、入れるな！総理と話しているのに！」とびっくりするような大声で怒鳴ったのには多分この中継を見ていた視聴者も魂消たのではないだろうか。
首相に何とか失言させようとしてしつこく堂々巡りの質問をしている最中、秘書官がメモを渡したのがよほど癇に障ったのだろうが、そのメモには何か緊急事項が書いてあったのかもしれないし、メモをさしいれることは、国会法では許されているのに。
こういうくだらないことで貴重な国会審議を費やし、北朝鮮問題などの日本を取り巻く重要問題がないがしろになるとしたら―――国会その物が国民の信を失うことになる。事は大相撲中継がとぶ！といったレベルではないのだ。
（5/29/18 10:00pm）
2018年5月29日
ことわざが教えてくれること
中学に入って英語を習い始めた時に最初に習ったというか、教師が教えてくれた英語のことわざが、It's no use crying over spilt milk.であった。
直訳すれば「こぼしてしまったミルクのことを嘆いてみてもしかたがない」であるが、この日本語訳が「覆水盆に返らず」であり、このことわざは中国の太公望の故事（太公望の妻が貧しい夫に愛想をつかし離縁を申し入れて去っていったけれど、後に太公望が斉(せい)の王に封ぜられたと聞き、太公望のところに戻ってきて復縁をせまったが、太公望は、盆の水をこぼし「この水をもとにもどせたら求めに応じよう」と言って復縁を拒絶したという故事）から来ている－－－と教えてくれた時から、余りに話が似ているので多分、中国の故事の方が先で、そのヒントから英語のことわざができたに違いない！と思っていたのだが―――。しかし後になって考えてみると英語だろうが中国語、あるいは日本語だろうが、人間の考えることやら習慣というものは、そんなに変わらないから、ひょっとしたら「覆水盆に返らず」もIt's no use crying over spilt milk.も、おなじような経験をしたいにしえの中国人や英国人が作りだしたことわざであり、それが偶然、一致して現代の人々が東洋も西洋も使っているのではないか―――と思うようになった。
いずれにしても、一度やってしまった失敗は、もう元には戻せないし、なかったことにはできない。ただひたすらにその失敗を謝るなどして、これ以上失敗の影響を大きくしないようにすることが大切なのだ－－－ということわざが教えてくれた教訓は、中一以来、タカさんが肝に銘ずるところとなってはいる。
一度、国会で虚偽答弁をしてしまった財務省のお役人も、「指示をしていない」とウソを言ってしまった日大の監督、コーチや日大経営陣も、一度こぼしてしまった盆の水や、ミルクはどうあがいてみてももう元には戻らないし、これ以上のあがきは、益々傷口を大きくするだろうということは、いにしえのことわざが教えてくれているのに－－－。
（5/28/18 10:00pm）
2018年5月28日
危機管理学部
「危機管理学」といえば、専ら企業や団体の不祥事の際にそれにいかに対処すべきかの問題を考える経済学の一分野的学部、というイメージが強いが、勿論、その対象になる「危機」はそればかりではなく数多くあり、例えば自然災害の際の避難とか救急活動、災害からの復旧や復興の問題、テロなどから公共の安全を守り維持するための様々な制度や組織の構築、といった「災害マネジメント」や「パブリックセキュリティ」全般がその研究対象となる実に守備範囲の広い学問範囲である。
いずれの「危機」でも、事が起きてから慌てて対処してきた今までの様にはいかなくなってきている現代では、「危機管理」は個人のみならず企業、団体、あるいは公共機関、国家にとっても「準備ができていませんでした」では済まない最重要の課題になっており、そういう事が学べるとなれば就職にも有利だろうから、そういう学部のある大学で学びたいという学生は多いのではないかとも思う。
だが、調べてみると、「危機管理学」のある大学は今のところ日本には3つしかないのは、まだまだ日本では危機管理というのは「起きてみてから、慌てて対策を立てる」という域にとどまっているからかもしれない。
数少ない「危機管理学部」のある大学の一つが、アメフトの悪質タックル問題でアメフト界のみならずスポーツ界いや日本中を敵に回してしまった感のある日大である。
日大の危機管理の処理のしかたの悪さの影響は、益々広がっており、いまや日大というブランドのイメージを失墜させ（内田監督の会見を仕切った司会者は「ブランドは傷つきません！」とキレたが）120万の卒業生たちや7万人といわれる学生達にとって大迷惑になっているし、実際、来春の卒業生の就職活動や、学生募集に悪影響をおよぼし始めているという。
まさに、大学の危機管理能力が問われる重大場面だが、日大のやることなすこと、素人がみても「危機管理の最悪の失敗」の見本のようなケースが続いたことで、世間が口をそろえて「この大学の危機管理はどうなっているのか！」と言いたてている。
その日大が日本で数少ない「危機管理学部」を持つ大学だと聞いては、何だか悪いジョークのようで悪いけれど笑ってしまうが、特に来年就職を迎える危機管理学部の学生にとっては勿論、錚々たる教授陣も、一体、どういう思いでいるのだろうかと、その動静が心配でならない。（その声は全く聞こえてこないが－－－）
いま、日大で危機管理学部のみならず他学部の学生や、教授陣、職員たちが、直面している世間の目は、冷たいだろうし、それが彼等の責任ではなく、アメフト部の監督や、コーチあるいは日大の理事会の面々の余りにもひどい危機管理の結果であることを考えると―――いや本当に「危機管理能力を磨いてこなかったツケ」の大きさがこれほどまでの大事に至る例を見せられて、一般企業やら団体は改めて「危機管理の大切さを思い知らされているのではないだろうか。
アメフト部の学生や危機管理学部の学生の直面しているであろう困難を、身を挺してでも救うことが、何しろ今の日大経営陣がやるべき「危機管理」であって、それをせずして日大の再生は絶望的ともいえるのではないかと思う。
（5/27/18 10:00pm）
2018年5月25日
お見合い問題
世話好きの知人や親戚のおばさんが、アレンジしてくれる昔風の「お見合い」は、タカさんの世代ぐらいから急激に減ってきて、現代ではもう殆ど見られなくなっているが、男女がお互いに自分のデータや相手に望む諸条件を登録するとコンピューターが互いの条件にあう相手を選んで紹介してくれる「マッチングサービス」と名を変えてむしろ昔の「お見合い」よりも出会いの機会としては増えているらしい。
勿論、お互いが正直にデータを申告しているかとかなるとそうでもないだろからその信頼性に問題もあるし、信頼性が高い婚活サービスは費用も高い、といった問題もあるようだが―――聞くところでは結構、このようなサービスが切っ掛けで結婚したというカップルがいるところを見ると、今の男女間（あるいは、息子、娘の結婚をのぞむその両親たち）では相当利用されているのかもしれない。
それはともかく、恋愛結婚にせよお見合い婚にせよ、知り合う切っ掛けは色々あるだろうが、お互いが結婚を決断する時には、普通は複数の相手の中から選ぶという二股、あるいは三股ではなく、大概、一人に絞って、プロポーザルに至るのが普通だ。
ということは、前に付き合っていた相手に未練がある場合、あるいは前に交際していた相手の方がよかった、という思いがある場合、やはりプロポーズする、あるいはプロポーズを受ける――ということにはなり難い。
今交際している相手と結婚するかしないかを都度決断していかなければならない訳だが、今付き合っている相手をいいなぁ〜と思っても、ひょっとしたら、もっといい人がいるかも知れないと思うと決断できないから、いつまでたっても決断ができないということになりかねず、一人を選ぶという作業は実に難しい。
昔と違って男女の交際のチャンスが多くなってきている、あるいは婚活サービスが次から次へと候補者を紹介してくれる現代では、実際のところ、男女ともに「次にもっといい人に出会えるかもしれない」と思って、いつまでも結婚への決断ができず結果、婚期を逸してしまう―――等ということが起き易くなっており、それが最近の非婚化の一員になっているともいわれるが－－－。
このような問題を数学的に解ける―――という「行動経済学」の本を読んだことがあるが、確か、それによると例えば10年の間に一年に一人と交際してその中の一人と結婚するとすれば場合、10人（10年）の内から、一人を選ばなければならないわけだが、そのベストの方法が数学の問題として解ける、という記事を読んだことがある。
それによると20歳で婚活を始め、一度パスした人とは二度と付き合えないという条件の下では、最初の３人までは無条件でパスし、23歳で付き合う4人目からは、「この人がベスト」と思った人にプロポーズ（あるいはプロポーズを受け）するのが結果的に「10人の中のベスト」を選ぶ事になるというのだ。（正確にいうと２.718という自然対数の底）
結婚相手を数学で選ぶ―――というのも何だか抵抗があるが、計算式をたてて理論的に考えると確かに納得できる部分もある。だからといって既婚者の方々が、自分のケースはどうだっただろう―――と計算しなおすのは後戻りのできない人生だけに絶対にお勧めしないので念のため。要は数学も結婚には余り役に立たないということだ。
（5/24/18
10:00pm）
2018年5月24日
好青年
アメフットの反則行為で相手選手を負傷させた日大の宮川泰介選手の1時間余りの記者会見に食い入るように見入ってしまった。
このような危険な反則に至った経緯を真摯に語る言葉は具体的であり、例え監督、コーチに指示され、しかも精神的に追い込まれていたにせよ、この行為にいたったのは全て自分の誤った判断によるものであり、すべては自分の責任です、本当に申し訳ないと、一切の言い逃れをせず、監督やコーチを責めることもなく、一身で責任を負おとする態度は、実に立派であったと感じた。
冒頭、会見の趣旨は、相手選手及び関係者への謝罪のためであり「顔を出さない謝罪はないから」と20歳になったばかりの青年が、自ら大記者団と全国中継のテレビカメラの大放列の前で語る姿は、彼がやったことは許されないにせよ、まだ日本にはこんなしっかりした若者がいるのだと、なんだか彼が頼もしくさえ思えた。今この時期に、こういうには語弊があるのは承知で、敢えていえば彼はまさに好青年だ。
それに比べて、彼に反則を指示し「人に責められたら、監督の指示だったといえばよい、責任は自分がとるから」と言っておきながら、彼と彼の両親が相手側に謝罪に行きたいといったときには「今はマズイ」と押しとどめ、2週間もたってから「そんな指示はしていない、潰せといったのはことばを選手が誤解したのだ」と責任逃れをして、すべての責任を宮川選手に負わせようとしている大人たちの卑怯な態度には、ほとほと嫌悪感がつのるばかりだ。
年端もいかない青年をマインドコントロールに追い込んで間違った行為をそそのかしながら、そそのかした当人たちはその責任から逃れたという例はどこかで聞いたような気がする。
そう、あの特攻隊で敵陣に突っ込んでいった若者達と、その無謀な作戦を命じた軍幹部たちだ。（軍幹部たちは「あとから俺たちも続くから－－－」と特攻青年たちを焚きつけておきながら、戦後ものうのうと生き永らえた）純粋な思いで指揮者の指示にしたがって国を思って敵陣に突っ込んでいった特攻隊員たちは、いまや、テロリスト扱いする者もいる。
場合によっては、実行当事者である宮川君は傷害罪で有罪になる可能性もあるというが、もしそうであるならば、内田監督やコーチは宮川青年の何倍かの罰を受けるべきであり、監督やコーチをかばい続けて、宮川君という20歳の好青年に、全ての責任をかぶせようとしている日大当局は厳しく指弾されるべきであろう。
日大の卒業生総数は全国に120万人いるといわれるが、母校の名誉、いや浮沈がかかっている今、大学の現経営陣の追放運動を起こすべきではないだろうか。
（5/23/18 10:00pm）
2018年5月23日
政府も大変だ
将来に横たわる不安から逃れる方法としては「先の事は考えないようにする」という手がある。いずれその不安が現実となって押し寄せてくるだろうと思いつつも「その時はその時で、どうにかなるさ！」と考えれば大概の「将来不安」などというものはどうにかなるものだし、いま悩むこともないのかもしれないが―――。
将来不安が、個人レベルの問題ならば確かに「どうにかなる」と考えるのも手だが国家財政の問題となると、そうもいかないからやはり、将来計画は前広に立てておいて欲しいものだが―――。
将来の日本というよりもわずか22年後の2040年度には、日本の人口ピラミッドにおいて高齢世代（75歳以上）は全世代人口の1/3を超え、年金や介護費を含む社会保障費が現在の1.57倍の190兆円になるという試算が政府の経済諮問会議で報告され「さあ、大変だ！」という記事が今頃になって新聞に踊っている。
将来人口ピラミッドがどうなるか、それに従って社会保障費がどうなるかは、「当たって当たり前」というレベルの予測であることを考えれば「何を今更、驚いているの？」「もっと前広にわかっていたはずなのに！」と言いたい話ではある。
22年後（考え方によってはすぐそこ）には、人口は1200万人減って税収も伸びてはいないだろうに、社会保障費だけは今に比べれば60兆円以上増える――というのだから誰もが「一体どうするつもりだ！」と叫びたくなる話だから、「どうして、こんなことになっているんだ！ 責任者出て来い！」という声が渦巻いているのも当然だ。
22年後のGDPが幾らぐらいかという予測は、あまり頼りにならないもののそのGDP予測比、社会保障費総額は国家予算の24％を占めることになるというから現在の予算に比べても約2.5％も増えることになるのだという。
只、この程度の「わかっていたこと」に対する対策がさっぱりできて来なかったことには、政府ばかりを責めるわけにはいかないということも我々は自覚するべきだろう。というのは財源の不足は税収の増加で賄うしかないというシンプルな事実を我々は気付いていないと思われることが、こういう将来不安を招いているからだ。
国の歳入は公債費という、いわゆる（国の借金）を除けば、ほぼその半分を占めるのが国民の納める税金でありその比率は国の歳入の約半分をしめる。その税収のなかでも一番大きな比率を占めるのが消費税であるが、消費税収入は景気の動向にあまり左右されず毎年ある程度着実に伸びる収入であり、所得税や法人税のように人口減社会を考えた場合、その大きな伸びはあまり期待できない収入とは違うまさに安定収入といえるものだ。
しかし、消費税の2％上げにすら反対し、軽減税率などという制度を設けて更に税収を減らせ！といっている国民がいて、彼等が歳をとった時の医療費は安くしろ、年金を増やせ、子育て支援はもっと手厚くしろと叫んでいるのだから－－－。
そんな国民が声をそろえて22年後の社会保障財政をどうにかしろ！と叫んでいるのだから－－－我々は、「日本政府も大変だなぁ〜」と少しは同情すべきなのかもしれない。
（5/22/18 10:00pm）
2018年5月22日
巨艦は沈むか
秦邦彦の「昭和史の軍人たち」には第二大戦を主導した陸軍13人、海軍13人の軍人たち一人一人に一章を割いて、その人物像、役割を描いたものだが、26人の中には死後も英雄視されつづけた山本五十六、ノモンハンの日本軍敗戦の中でも忠実に戦いつづけ部下にも慕われた名将宮崎繁三郎, 非戦論者として今もその行動を称えられ続ける井上成美、等少数の軍人たちの評価は高いが、大半の軍人たちに対する評価は非常に厳しいものだ。
「戦略なき主戦派」永野修身、「陰謀の渦中にあり続けた怪物」田中隆吉、2.26の青年将校たちの決起を炊きつけながら天皇が事件に怒っていると聞くや将校たちを見限り結果的には「天皇に一番嫌われた妖怪」といわれた真崎甚三郎、「無責任な妄想狂」辻政信、「やくざが軍人になったような」長勇、等々など、現在でも「悪漢」との評価が強い人物が描かれており、何故に、日本が戦争という愚行、暴走に至ってしまったのかが浮かび上がってくるという名著だ。
幾度もこの本を読み直す中でタカさんなりに「愚行」に至った一つの原因は、「愚将中の愚将」といわれた連中が、その無謀な戦争指導あるいは戦術指揮於いて大失敗をおかし何千、何万という戦死者を出しながらも、結局、軍内部においては何の処罰も受けておらず、さすがに退役はさせられるもののそれと引き換えに何階級か特進という栄誉を与えられて戦後も恬として恥じずにいたという－－－無責任体質にあったのではないかということだ。（インパール作戦の牟田口廉三のように、兵站の補給もないままに「根性があれば、どうにでもなる」と言ってインパール作戦を実行させ飢えと熱病で何万という部下を死にいたらしめながらも、自分は部下を見殺しにして逃げた男さえ軍はなにも罰していない）
軍部という組織を守るためには、軍部が任命した愚将がおかした失敗や失態を認めてしまえば、彼等を任じた軍部の失態になってしまう――という軍部の自己保身のつみ重ねが、夥しい数の屍を作り、日本の敗戦という事態を招いたとさえいえるのだ。
日大アメフト部による試合中の危険タックル問題だが、アメフトの監督が日大という日本一巨大な大学の経営陣（理事会）の№2であるというまさに旧軍部のトップのような権力を握っている人物だとなると、その権力者が「１プレー目で相手のQBを壊して来い」と指示すれば、選手にはそれを拒否することはできなかったのではないかと容易に想像できるし、問題が大きくなってきた途端に、監督自身が「決してそんな指示はしていない」と否定すれば、コーチ陣や日大の広報部まで「ラフプレーの指示はしていない」と、権力者である内田監督の言葉を擁護するしかなかったのではないだろうか。（選手のみならず、コーチや日大の職員である広報部、日大の教授陣まで、クビをかけてまで、「内田さんはウソをついている！」とは言えなかったのだろう）
そういった、結果が今や日本中を敵に回すような、アメフト部のみならず日大叩きになって広がっており今頃になっての内田監督の辞意位ではおさまりそうもない。
愚将たちの愚行をかばったばかりに日本という国が敗戦という大惨事に巻き込まれたように、内田監督という愚将、暴君をかばったがために日大という巨艦が沈むようなことになりはしないかと懸念される。
（5/21/18 10:00pm）
2018年5月21日
シンギュラリティは来ない？
2011年に2016年度までに大学入試センター試験で高得点を取り、2021年度に東大入試を突破することを目標に「東ロボくん」というAI（人工知能）の開発が始まった。
しかし2016年度のセンター試験模試で、「東ロボくん」は、英国数理社5教科でいずれも平均点を上回り、総合偏差値57.1をマークし複数の国公立大学に合格する実力に到達したと認められたものの、東大二次試験を受けるための足切りの点数には届かなかったうえ、東大二次突破するために、さらに点数を伸ばすためには、問題文の文脈や複雑な文章の意味を理解することが必要で、このまま開発を進めても、その点を突破できないとの結論に到り、2021年度を待たずしてプロジェクトは、東大受験に関しては一旦凍結されることになったという。
既に囲碁や将棋の世界では人間を相手にほとんど無敵ともいわれ、その計算能力においては到底人間の能力が及ぶものではないいわゆる「神の領域」に到達しているAIだけれども、簡単な文章を読んでその問いに答えるという人間なら小学生でもこなせる作業ができない、というのだから何だか人類の一員としてホッとした－－－というのが偽らざる気持ちだ。
アルゴリズムが組み立てられているとそれを使って問題を解く能力においてはまさに「神の領域」に達しているといわれる人工知能だが、例えば「一日に自動車を4台作れる工場があります。この工場で12台の車を作るには何日かかるでしょう」という小学校３、4年レベルの問題に対しては中々答えを出すことができないのだとか。
それは、人工知能には「工場」や「自動車」という小学生なら当たり前に知っている概念がないので「この場合、工場というのは自動車を作るところ――の意味であり－－－」という概念をインプットする必要があり、「自動車を作る」ということはどういうことか、あるいはこの問題文の場合、自動車＝車、のことでありといった概念を一々、インプットするという手順を踏まなければならないし、それをインプットしたところで問題文が、「一日、歯磨きを100個作れる工場があります、4日間で、何個の歯磨きを作れるでしょうか？」に変わると、またもやAIはお手上げになってしまうというのだ。
東ロボ君の実験でも、AIは文脈を理解して答える、という問題に対しては非常に弱く、又、子供たちでも当然知っているようなことがらでも、一々定義づけしてやらないと理解できない－－－などの致命的欠陥があるという。
（例えば、「彼には常識がない」という文章を理解させるには、どこからどこまでが「常識」なのかを厳密に定義してやらないといけないし、そんなことは無理だ）
東ロボ君の頓挫の話を聞くと、2040年には来るとカーツワイルのいうシンギュラリティ―も、どうも来ないような気がして－－－ホッとしている。
（5/20/18
10:00pm）
2018年5月17日
傍観者
懸念されていたことではあるが起こるべくして起こったといえる惨事が起きてしまった。在イスラエル米大使館のエルサレム移転に抗議するガザ地区のデモ隊とイスラエル軍の衝突だが、イスラエル軍が数万人のデモ隊に対して実弾を発射、100名近い死者と多数のけが人がでたし、空軍の空爆では赤ん坊を含む子供たちにも死者が出たという何とも悲惨な事態が起きている。
デモ隊の中には投石をする者もいたからという理由だが、投石に対して実弾で応戦し多数の死傷者を出すというのだから、これはまさに「虐殺」とすら言えるものだがイスラエルとその後ろ楯となるアメリカは世界各地や国連での各国からの非難に対して「責任は全てパレスチナ側にある！」と一蹴している。
虐殺の定義は確定している訳ではないが、戦争における戦闘行為によって大量の死者が出たような場合は虐殺とはいわず、一方的に力の差がある集団に対して武器などを使って一方が殺戮行為に及ぶ場合、これを虐殺と規定する場合が多いから、今回のイスラエルによる攻撃（無抵抗の赤ん坊や子供にまで銃や爆撃を加えたとなれば）は間違いなく「虐殺」に定義されるだろう。
しかし、イスラエルは勿論のことアメリカも、これを虐殺だとは勿論認めていない。武器を持たぬデモ隊や、女子供を銃の乱射で100人も殺しながら、その残虐性を認めようともしないというその論理は、我々、当事者でもない極東に住む日本人にはとても理解できるものではないが、米国との様々な力関係を考えればこれを「虐殺だ！」と叫び米国の怒りを買うわけにはいかないという打算から、米国を強く非難する訳にもいかず、「エルサレムの問題は二国（イスラエルとパレスチナ）共存の原則に基づいて平和的に解決されるべきだ」という何をいっているのか訳の分からないコメントを出すのが精々というなんとも情けない立場にある。
まさに人道的な緊急事態だというのに、「傍観者」に徹するという情けない立場が日本という国の置かれた立場だということだ。せめて、欧州各国のようにはっきりと米国やイスラエルに対して非難声明を出すべきではないだろうか。
ナチスのユダヤ人虐殺の責任は、当事者であるドイツが問われたが、あの虐殺が600万人という大量の犠牲者を出すに至った責任は、実は、ナチスと同盟を結んでいた国々ばかりではなく、ナチスによるユダヤ人の、強制収容が始まったころにそれを放置していた連合国の側にもあったという批判は今も忘れてはならない。
そういう意味では「屋根のない世界最大の収容所」ともいわれるエルサレム、ガザで進められているイスラエルによるパレスチナ住民に対する無差別攻撃に、「虐殺をやめろ」という声を上げない日本政府そして我々日本国民は、「人道に対する罪」をおかしているともいえるのではないだろうか。
（5/16/18 10:00pm）
2018年5月16日
防犯カメラとプライバシー
新潟で小学校2年生の女の子が殺害され自宅近くの線路に遺棄されたという何とも痛ましい事件は、なぜ防げなかったのか？という悔いが残る事件だった。少女は学校から300メートルのJRの踏切までは友達数人と歩いて下校しているところが確認されており、そこからJRの線路沿いに150メートル離れた自宅までの間に、この犯人の毒牙に掛かって連れ去られたことが明らかになってきた。
この線路沿いの道は片側が線路、もう一方の側が住宅街ということなので、人の目が届き難く、犯罪心理学者によると犯人のような変質者にとって隠れ易い（ということは子供たちにとっては襲われる危険性の高い）場所だったという。
それにも関わらず、この道には見守りパトロールもおらず監視カメラも設置されていなかったことというのだから事件が起きてみると、何故と悔やまれるところだ。
防犯カメラが設置されておれば、いち早く不審者、不審な車が浮かび上がり、場合によっては女の子が殺害される前に犯人を検挙し、少女を救出することも出来たかもしれないが、それよりも何よりも監視カメラが設置されているということが、この種の犯罪を目論む輩にとっておおきな防止威力をもっていることが、数々の事例で証明されているのに―――。
飼犬の鑑札、注射済み票や、SECOMやALSOKのシールが玄関口にはってある家には空き巣が入らないといわれるのと同様、監視カメラが設置されている道路でのひったくりや痴漢犯罪が起きにくいことは分かっているのに、犯罪分析上でも「危険」と分類されていたにも関わらず(少女が襲われたと思われる道路には)カメラが設置されていなかったことはかえすがえすも悔やまれる。
今世紀の初め、街頭防犯カメラが設置されはじめた頃、リベラルといわれる人達や、市民運動を名乗る団体などが「監視社会になりプライバシーが犯される」と反対運動を繰り広げていたが、防犯カメラが設置されることで実際に犯罪件数が激減したこと、あるいは犯罪予防と犯罪捜査以外の使用が法で厳しく制限されていることで、最近は設置反対の声も少なくなっているが「監視カメラがあると立小便も摘発される！」という訳ではないから（監視カメラ映像の使用は、厳しく制限されていてそのような用途に使うとは固く禁じられている）、今回のような事件が起きてみるとそんな声も更に少なくなるのではないだろうか。
そうそう、防犯カメラが普及しはじめた頃には、リベラルぶっているほとんどの全国紙が「監視社会化に警鐘！」などと「街頭カメラの設置反対キャンペーン」を張っていたことを思い出すが、この新潟の事件の報道では多くの新聞も「防犯カメラがなかったこの地域の防犯体制の不備」を批判していた。
無人とはいえ、一挙手一投足までカメラに見られている－－－というのは決して楽しいことではないかもしれないが、そのお陰で社会から犯罪が減り、地域の安全が守られ、あの少女のような悲劇が起きなくなるというなら、やっぱり多少の我慢はするべきではないだろうか。
それにしても、今回の事件で、大新聞といわれるところのリベラル言説のいい加減さを垣間見たような気がする。
（5/15/18 10:00pm）
2018年5月15日
調べておけよ！
タカさんの家からさほど遠くないところに大きな観覧車が２つある。一つはお台場のパレットタウンにあるもので高さが115メートル、もう一つは葛西臨海公園にあるビッグダリアという愛称の高さ117メートルのものだ。
聞くところによれば、観覧車というのはどこでもかなり人気のある乗り物で、見かけは大がかりだが建設コストが比較的安く、維持管理費も他の遊具に比べると安いこともあって娯楽産業界では、引っ張りだこだそうである。
そんなことで東京都が都立の葛西臨海公園の目玉としてビッグダリアの建設を考えたのは当然の成り行きだったのだが、予算が潤沢な都の建設局のお役人のやることだけに「どうせ作るならデカイものを！」と考えて117メートルという当時の世界の観覧車では最高の高さの物を計画して業者に発注したという。
ところが、これを建設中にロンドンにミレニアム記念事業として高さ130メートルの大観覧車「ロンドンアイ」が建設中であることが分かり、ビッグダリアは完成前に既に「世界一」の称号を名乗れないことがわかったのだ。(ロンドンアイの完成は2000年、ビッグダリアは2001年)
ロンドンアイの計画は知らなかった！と都庁のお役人は言ったらしいが、ちょっと調べればわかったはずで、しかもそれが分かっていれば131メートルの物を注文することも出来、完成の暁には「世界一の観覧車」と堂々と名乗れたはずなのに―――。
最近NHKのスポーツ番組でも中継されることの多いエアレースだが、今年も世界戦の一つが千葉の幕張で開催されることになっていて、前人気も上々、良い席のチケットは既にプレミアムがついているともいわれるが、5月26日、27日の両日開催予定だったのだが、先週になって開催が危ぶまれる事態が発生した。
というのはこのエアレースに出場する曲芸飛行機の発着場の予定地、浦安市の海岸沿いの滑走路横に、先月、高層のホテルが完成し営業を始めていたのだが、「滑走路の真横に高さ70メートルの建物がある」という状況では航空法上の規定に引っかかり滑走路として使用できない―――ということが判明したのだ。
ホテルの建設は既に何年も前に始まっており、エアレースの開催も少なくとも1－2年前には決まっていたはずなのに―――なぜ、こんなことに開催直前までだれも気がつかなかったのだろうか―――まさに葛西の大観覧車同様の「大チョンボ」である。
直前に迫ったエアレースを急遽中止するわけにもいかず（世界的に物笑いのタネになるだろう）、かといって滑走路を新しく探すわけにもいかず、ましてやホテルをぶっ壊す訳にもいかず――――困った挙句に、ホテルに泣きついて、開催の前後だけ急遽休業してもらい、その間、ホテルを無人にして航空法をクリアし、滑走路子葉許可をとることでどうにか開催にこぎつけるということだが―――ホテルの休業補償やらなにやらで出た損害額は誰が負担するのだろう―――。
しっかりしていると思っていた日本社会のシステムだけれども、結構、バカげたチョンボがあちこちであるものだと、なんだかがっかりもさせられることの多い今日この頃である。
（5/14/18 10:00pm）
2018年5月14日
記憶にない
犯罪に問われるようなことではないまでも、酔っぱらった挙句に階段から落ちて怪我をしたとか、いまなら（軽犯罪に問われるという）道路での立小便、ささいな口喧嘩で相手の事を罵倒したといったことだと、自分自身、できれば今更思い出したくもないし「思い出したくない」と思えば人は減不思議と忘れてしまいがちなものでもある。
ところが、昨今のSNSばやりの世の中だと、過去に自分が思わず武勇伝のつもりでブログに書いてしまった話やらなにやらが、なにかの拍子に誰かの目にとまって「あの人は、20年前に某所で立ち小便をした」「部下の女性を強く叱って泣かせた」等という具合に思いがけず露見してしまうことだってあるかもしれない。
タカさん失敗談なら誰もそれを取り上げはしないだろうが、先生や医者、警察官といった職業柄、「厳格」であることが世間的に求められる職業にある人（あるいは、あった人）の場合は、「よく酔っぱらって立ち小便をしていた」「女性に対する言葉遣いが乱暴で女性にいやな思いをさせたことがあるらしい」という類の話はいかに古い出来事であっても（時効はないから）事と次第によっては問題になりかねず、そうなると「酒乱」「セクハラ男」などというレッテルが貼られて、評判が、ガタ落ちしてしまう可能性もある。政治家や公職にある人の場合、その種の「恥ずかしい記憶」が、それがいかに古い話しだったとしても、この頃は、致命傷になりかねない。
セクハラ、パワハラの場合、加害者側には当時、その自覚がなかったが、今になってみれば、明らかにセクハラ、パワハラに当る―――というケースもあるだろうし、それを記事にしたがるメディアも多いから本人に当時から自覚があってやっていた場合を除くと、「えっ 何で今！」とびっくりしているケースもあるだろう。
「もう、やめてしまえ！という監督の叱咤に涙したお陰で私は強い選手になれました」といっていた生徒が何十年か後に、「あれは酷いパワハラだった」といいだせばその名監督の栄誉は地に落ちるかもしれない。
そう考えると、自分が忘れたいとおもっているような古いことで、自分に不都合がふりかかりそうになった場合、それを逃れるにはどうしたらよいだろうか－－－？
先週、その模範例の一つを国会で見せてくれたのは、立憲民主党の蓮舫さんだ。蓮舫さんは加計問題で参考人招致された柳瀬元首相秘書官に対して「記憶を自在になくすのか」と詰め寄ったが、ほんの一年前、自身の二重国籍問題の追求を受けた際には、記憶を二転三転させていた。柳瀬氏が遅ればせながら加計関係者との面会を認めたことに関して「聞かれていないから、言っていないだけだ」と答えたことには、「不誠実ではないか！」と批判したが、ご自身は日本国籍の選択をしたのは（それまでは二重国籍だった）16年10月7日だったにもかかわらず、この事実を10月15日に記者団の取材を受け、初めて公表し、「なぜいままで二重国籍だったことを言わなかったのか」という質問に「聞かれなかったから答えなかっただけだ」と言ってのけたが、柳瀬氏を不誠実と罵りながらなぜ御自身は不誠実だと思わないのか？―不思議だ。
要するに、自分に不都合なことがらは「記憶にない」とこたえておき、後で事実をつかれて言い逃れが出来なくなった場合には、「聞かれなかったからこたえなかっただけ」というのが正解だと―――蓮舫さんが教えてくれているのだと思った。
今後、もし過去の悪事を追及された場合には、大いに参考にしたい手口である。
（5/13/18 10:00pm）
2018年5月11日
ゴラン高原
イスラエルの国土を一周旅行したことがあるが、その国土は決して大きいものではなく（四国とほぼ同じ位）南北に精々450㌔、東西にいたって狭いところでは精々バスに乗ったら1時間半ほどしかかからない（90㌔）という長細い国土である。
しかも南部1/3はネゲブ砂漠という不毛の地が占めているから聖書にいう神がユダヤ人に約束したという「蜜とミルクの流れる地」という豊穣の土地である「カナンの地」と現在のイスラエルの国土ではちょっとイメージが違うような気もするが－－－。国土のほとんどが平坦でありその為に人口850万人が住むことができるともいえる。
但し、この南北に細長くほぼ平坦という地形は軍事的には防御しにくいという難点をもっている。特に、伝統的に敵対してきたアラブ諸国、特に隣国ヨルダン、シリアと国境を接する地域にはゴラン高原（シリアはシリア高原といっている）があり、かつてこのゴラン高原にシリア軍が砲台をもち常にイスラエルに砲弾を撃ち込める体制にあったときにはイスラエルは気が気でなかったに違いない。この高原の砲台から一斉射撃を加えられ、その後に一気に攻め込まれたとしたら、首都テルアビブや、エルサレムまで一気に占領されてしまう－－－。
そんなこともあって70年代の第三次中東戦争の際に、イスラエルはこのゴラン高原を占領、それ以来、数々の和平交渉があってもガンとしてその占領を解こうとしないで、どんどんと入植地を建設している。
国連もイスラエル以外の国も、このゴラン高原をシリアの領土としているが、イスラエルがこの高原を手放すなどということは、イスラエルという国が存続する限りあり得ないと思う。それは、イスラエルの建国の精神が「世界と宥和して国が滅びるよりも、世界を敵に回しても生き残る！」というところにあるのだから－－－。
10日未明、シリアに展開するイラン部隊がロケット弾やミサイル約20発をゴラン高原のイスラエル軍に向けて発射したというニュースが飛び込んできた。
イスラエル軍は即座にシリアにミサイルを撃ち込んで報復攻撃を行ったという。折からアメリカがイランとの核合意からの離脱を発表し、しかもトランプ大統領の娘、イバンカさんが出席してのエルサレムへの米大使館の移転が行われている時期だけに、イスラム教シーア派の盟主を任じ、シリアのアサド政権の後ろ楯にもなっているイランにとっては、ここは何が何でも対アメリカ、対イスラエルに何かやっておかなければ、メンツが立たない場面という訳だが――――。
ゴラン高原の問題は、イスラエルにとっては「生きるか死ぬか」の問題であり、イランやシリアにとってはイスラム教とユダヤ教との間の宗教戦争、民族紛争の問題だけに、イラン、シリアの後ろ楯であるロシアを巻き込んで、お互いが引くに引けない、まかり間違えば戦火が収拾しえない大事になる可能性があるのではないだろうか。
ゴラン高原での紛争は、日本にとって、対岸の火事どころか、別宇宙での出来事のようにも感じている人が多いとは思うが、のんびりと国会で「覚えていない」「そんな訳はないだろう！」という水掛け論をやっている場合か！とも思う。
（5/10/18
10:00pm）
2018年5月10日
デカ過ぎる
ギザにあるピラミッドの中でも最大のクフ王のピラミッドは近くによって実際に見て見ると実に巨大なものだ。
底辺の一辺の長さが230メートル、高さが146メートル（40階建てのビルに相当する）の四角錐で重機も無かった時代に一体どうやって建設したのかその詳細は未だに謎に包まれているが重さ約2.5トンの石を230万個積み上げてあるといわれている。
4500年前に建てられたものだから当然人力だけによって建てられたと推測されるが、これだけの巨大な建造物がたった25年程で完成したという記録からするとどれほどの大工事だったのか、想像すらできない。
そのピラミッド建設の凄さを表すものとして現代の建設技術を使ってこれを作ったら――という試算を今から40年程前にある日本の建設会社がしたことがあったが確か工期5年、毎日3500人ほどの建設作業員を使い、総工費1250億円－－－というものだったそうだから、現在の物価で考えればその4倍（消費者物価指数比較）、大体5000億円位かかる計算になる。
もっとも、総工費9兆円ともいわれるリニア新幹線に比べれば5000億円もたいした額ではない、ともいえるし、重機やらなにやらの現代技術を使って、今や地上800メートル、206階建てのビルを建ててしまう人類にとってはそんなに難事業でもないような気がしないではないが、それでも今までに人類は誰もクフ王を上回るピラミッドを立てようとしなかったし、エッフェル塔が立てられるまでの4400年間はこのピラミッドが「世界一高い」建物であり続けた理由は、ただ一つ、「何の役に立つわけでもない」こんなバカデカイ建物を建てる理由がなかったからに過ぎないと思う。（今の世の中では、何の役にも立たない万里の長城や、戦艦大和が二度と建造されないであろう理由と同じだ）
人間の能力を上回ったといわれる囲碁ソフトだが、その大きさはスパコン数台分、ちょっとした部屋一杯分ぐらいになるという。しかもこの囲碁コンピュータ、囲碁に関しては凄いことは凄いけれども、その消費電力は対戦する人間の脳が1ワットほどなのに比べてその何百倍もかかり、絵をかいたり、楽器の演奏をしたり、あるいは散歩をしたりするといった人間が当たり前にすることの何一つできないで只囲碁ができるだけだ。
自分で学習し、自分でプログラムを修正していく汎用コンピュータの開発が研究されているが、囲碁も将棋もできて、エネルギもほとんど使わない―－といった人間の能力同等の、あるいはその能力を超えるAI（人工知能ロボット）が将来本当にできるだろうかと思うと―――「シンギュラリティ」が果たして本当にくるのだろうか？と疑問におもわないではない。
AIが今から100年先に、ギザのピラミッドのように、「デカすぎて何の役にも立たないもの」といわれる可能性もゼロではないような気もする。
（5/10/18 10:00pm）
2018年5月9日
天は二物を与えた
メジャーリーグでの大谷翔平選手の活躍にはタカさんも毎日ニュースをチェックし、時には衛星中継まで（彼の打席や、投球回だけにしろ）観たりしている。
それにしても、二刀流でベーブ・ルースが1918年に立てた記録「20試合に投げて、13勝7敗、防御率2.22、11本塁打で本塁打王」という記録を破れる可能性を持ったメージャー挑戦一年目の23歳の日本人青年－－－という訳だから、「ルースの時代には指名打者制がなかった」とか「たった11本塁打で本塁打王」という点やら、さらにはボールなどの用具や球場の広さの違いなども違う－－－ということを考慮すると、数字だけを単純に比較はできないとは思うものの、いまや日米を通じて「二刀流」という選手さえ皆無であることを思えばとんでもない可能性を秘めた日本人がいるということに、タカさんが興奮するのも当然の成り行きだ。
しかし、大谷翔平選手のような桁外れの選手がなぜ日本で生まれたのか？様々な説が言われているが、昨今、大谷選手をはじめ平昌五輪のフィギュアスケート男子で、66年ぶりの五輪連覇を成し遂げた羽生結弦選手、同じく冬季五輪で日本初となる金・銀・銅の「メダルコンプリート」を成し遂げたスピードスケートの高木美帆選手など、桁外れの能力を発揮した選手がいずれも1994年生まれの23歳であり、この世代が「ゆとり教育」の真っただ中であったことを挙げて、「ゆとり教育の成果」と主張する説が出てきていて中には「ゆとり教育」導入の責任を問われ（？）文科省を追われた元文部官僚たちが「それみろ、ゆとり教育は良かったのだ！」と言い始めているのを見ると「なんだかそれは違うのでは？」とも思う。
「ゆとり教育（87年生まれから2004年生まれまでが受けたカリキュラム）が失敗だからもう止めよう」となったのは、それ以前の教育が知識偏重の詰め込み教育であり、その弊害が出てきたためであり、「詰め込み」から「ゆとり」へのギャップがあり過ぎて、授業内容も授業時間も大幅にゆるくなったために、今度は子供の学力が落ちたためである点を忘れてはなるまい。
国際的な算数学力テストでは日本はかつてのトップクラスから一気に低位にまで落ちてしまったことでさすがに日本全体が「このまま日本がゆとり教育をつづけたら、大変なことになる！」と考えたからこそゆとり教育をやめて2011年から元のカリキュラムに近いものに改訂したのであって、おかげで最近は、子供の学力は大幅に回復しているともいわれているのに－－－。
ゆとり教育の期間、確かに学習にそれほど時間を割かない分、好きなスポーツに集中できる－－－というメリットもあったことは事実だろう。しかしその分、社会でも「ゆとり世代」などといわれ、その前後の世代よりも軽く見られ－－－などという「ゆとり世代」というレッテルを貼られることによって受けるデメリットもある訳で―――大谷選手や羽生選手の活躍だけで「ゆとり教育はよかった」とまでの自画自賛はちょっと行き過ぎではないかという気もする－－－。
そうそう、大谷選手は花巻東高校での成績も上位だったというし（清宮幸太郎選手も早実で成績はトップクラスだった）、ゆとり教育とは関係なく元々「天は二物を与えた」タイプだったということのようだ。
（5/08/18 10:00pm）
2018年5月8日
父親は誰か
「源氏物語」などを読むと平安時代の性道徳は、今でいうなら「乱れている」としかいいようがない（薫の君と匂宮、浮舟との関係等々物語全体が浮気の物語とまで言えそうだ）けれど、そんなに「乱れた」関係だったとしたら、子供が生まれた時に誰が父親なのかDNA検査やら血液型判定のなかった時代、産んだ女性ですら確信が持てなかったのではないか―――一体、どうやって父親の特定をしていたのか？と思うのだが―――。
これが聞くところによれば意外と簡単で赤ん坊の母親がどんなに多くの男性と関係を持っていようが「この人が父親です」といえば、その人だと回りも認め男性本人も納得したのだという。（男の側に全く身に覚えのない場合はともかく－－－）
もっとも現代でもその手の話はがない訳でもなく、つい最近も異性関係が奔放だった女性タレントが浮気相手との関係でできた子供を「夫との子」といい、そう名指しされた男性もその子を認知したのだが、二人が離婚後、DNA鑑定をしたところ元夫と子供との間には「親子関係が100％なし」と判定され、それでも尚「あの子の父親は元夫だ！」と主張し続ける女性との間に、元夫は「親子関係の不存在」訴訟を起こした等という例もあったが―――今でも特に婚姻関係が成立していない男女間に出来た子の認知の問題は、時々揉めることがあるから男も大変だし、ドライサーの「アメリカの悲劇」や石川達三の「青春の蹉跌」もこの「父親はだれだ？」という男性側の迷いがオチになっている。
そうそう、ミナミゾウアザラシは一番強いオスが大きいものだと100匹ぐらいのメスを独占し、ハーレムを作っているが、繁殖時期、浜辺のハーレムのまわりにはハーレムの主との戦いに敗れた「はぐれオス」が取り囲んでおり、ハーレムの主が観ていない隙にハーレムの端っこのメスに乗りかかって交尾しようとする。それを見つけた主は怒って猛烈な勢いで突進してきて、はぐれオスを追いだそうとするが、それを見た逆サイドにいたはぐれオスが又、別のメスに乗りかかってきて―――というあの高校生の頃に踊ったフォークダンスのマイムマイム状態が繰り広げられる―――自然番組で時々見る光景だが、つくづくハーレムの主というのも、「メスの独り占め」の為に大変な努力をしていて大変だなぁ〜と思いつつ、笑ってしまうのだが－－－。
ハーレムオスはこれだけの努力を続けながら、DNA鑑定によるとハーレムのメスの子供の3割は、ハーレムオスの子でないというのだから――アザラシ界（？）の主も、何だか随分気の毒にも思えてくる。
江戸時代の大奥には将軍以外、男は一切入れなかったというから将軍ともなるとマイムマイム状態を避けるために大変な装置を作っていたということになる。
そうそう、つがいで子育てする鳥のヒナの3割はつがいのオスの血をひいていない、すなわち浮気（？）の果ての子－－－だとも聞くと、やはりなんだかんだ言って、進んでいるように思う人間も、所詮は動物の一種に過ぎないなぁ〜とも思うとなんだか妙な気分にもなってきてしまうのだが――――。DNAや血液型による親子判定などが無かった時代の方が今よりよほど幸せだったのかもしれない。
（5/07/18
10:00pm）
2018年5月7日
何故愛しているというのか
今でこそ我々日本人にとって「愛」という言葉は馴染深い言葉であり、特に恋愛関係にある男女にとって「愛している」という言葉なしではその関係は成り立ちえない、時期もあるだろう。
しかし、新婚時代も過ぎ、まして、子供がある程度育ってきた夫婦が互いに目を見つめ合って「愛している」と囁き合う――なんていうことは極めてマレになってしまうのは、欧米人達にとっては奇妙にうつるらしい。
逆に中年を過ぎた欧米人の夫婦が、まるで日課の「おはよう」や「おやすみ」のあいさつのように「愛しているよ」「あいしているわ」を連呼しあっている姿は、日本人にとって何とも奇妙にさえ思える。
この日本と海外の「愛している」に関する感じ方の違いについて、アメリカ人の友人と話し合ったことがあった。
タカさんの主張は、そもそも「愛している」という動詞は、古くは日本語にはなく明治以降‟I love you.”という英語の文章の翻訳語として新しく作られた言葉であり、キリスト教の「love」という概念は、日本文化とはそぐわない概念であり（いとしい とか 好き という言葉がつかわれていたが－－－）、「愛」は移入後100年そこそこでしかないから言葉であり、まだ定着していないから――というものだった。
逆に、その友人に「なぜ、あなたたちは、夫婦ならそんな当たり前のことを、毎日、毎日、叫び続けるのか？」とちょっと意地悪く聞いてみたところ、そんなことを聞かれるとは思ってもみなかった彼は、ちょっと考え込んでしまったあと、漸く答えてくれたのは―――結婚する時に教会で（神の前で）「この人を一生愛します」と誓った（誓ってしまった）以上―――、自分は、神との約束が守れているのかと自問自答しているのかもしれない―――なにしろ神との約束を破ったら、天国にいけないのだから、彼女の前で「愛している」と宣言して（そうでもないかも知れない）自分を鼓舞しているのかなぁ〜と、冗談めかしていっていた－－－。
もし、その友人の答えがある種の真実を含んでいるとすれば、もはや、愛していると宣言できない相手と生活し続けることは、神にウソをついていることになるので、同じ罪なら結婚式での間違った約束を神に対して率直にあやまって許してもらう方が、毎日、「愛している」と告げられない人との偽りの生活を続けるより離婚してしまう方が罪は軽い―――ということになるわけで――――。
いやはや、そう考えてみると、日本人夫婦のように、愛だの、何だの、との言葉を使わず「以心伝心」お互いがなじんだ空気のような関係で、淡々と結婚生活を送る方が、長い時間をかけた本当の愛情関係が築けてくるのではないか－－－とも思うし、欧米人の結婚生活とは、よほど緊張関係の連続でしんどいだろうなぁ〜とも思ったものだ。
（5/06/18 10:00pm）
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