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2018年8月
＜＜8月タイトル＞
08/24 重さの価値 08/23 通信の秘密 08/22 温暖化緩和策 08/20 人徳のなせる業 08/10 毒まんじゅう 08/09 巨象のガチンコ勝負
08/08 医師免許システム 08/07 本当の七夕 08/03 熱闘甲子園 08/02 日本のアマチュアスポーツ界 08/01 8月の祝日
2018年8月24日
重さの価値
商社で鉄鉱原料などを扱っているとその取引品目は鉄鉱石、石炭、鉄くず（スクラップ）等、皆トン単位である。
ところが同じ金鉱部門といわれる非鉄金属でも製品を取り扱っている部門、例えば、軽金属製品部門になると「アルミ板xx枚」「xxキログラム」と随分小さくなるし、貴金属ともなれば「トロイオンス（31.1グラム）」ものによっては「グラム」単位と鉄に比べたら極端に小さくなる。
タカさんは商社でのキャリアーの最初は輸入スクラップ部門だったけれど同僚の女子社員は、「この部の扱い商品は、車内販売もないしお見合いの際にも堂々と言えない－－－貴金属部門だったら恰好よかったのに！」と言っていたことを思い出す。
入社当時は日本の産業も「重厚長大」を目指していたがその内あっという間に「軽薄短小」時代となり、今やそれも通り越して形のないもの、いわゆる情報やIT技術や意匠などの無形のものが主流だ。
昔、鉄鋼問屋をやっていた取引先の社長が、鉄から足を洗って商売替えをしたけれども、結局何を扱っていたかというと「南アやインドからの石材（墓石用）」だと言っていた――ことを思い出す。
彼によると長年鉄をやっていたのでやっぱりトン単位の重さがない物を扱うとなんだか充実感がなく、石材のように重みがあってずっしりとしているものを扱っていると「商売をしている！」という満足感が味わえる！といっていたがけれど、あの時代彼のように重厚長大から軽薄短小への時代の移り変わりについていけなかった人がいる位だから、当然、軽薄短小から今のような情報だとかIT技術、意匠や特許と言った「無形の価値」の時代になって行った時にも、多くの人達が取り残されたに違いない。
考えてみると最近は特に日常生活でもこの流れは顕著だ。タカさん自身もついて行くのに苦労している部分もある。タカさんの亡くなった父親などは、読書にしても分厚い全集を何冊も抱えて家の床が沈み込みそうになっていたが、今やそんな読書家は数えるほどだし、キンドルなどの電子書籍の普及によって本箱も持たない「読書家」も多いというのだから―――精々、雑誌位ならキンドルで読んではいても、さすがに科学書やら小説の類となるとやっぱりリアルな重さを感じる書籍でなければ読んだ気がしない－－－というタカさんなどは、あの石材を扱っていた社長と余り変わらないのかもしれない。
そうそう、新聞の販売部数が近年とみに減っているという。いま、電車の中で朝刊を読んでいる人なんてほとんど見かけなくなったように、ネットでの情報収集が普及しているから新聞の必要性が薄れてきているということもあるが、若い時から新聞を読まないと朝が来たような気がしないタカさんは、どうしてもネットのニュースや、テレビのニュースでは物足りなくて、やはり例え5分、10分といえどもある程度厚みがあって紙面が大きな新聞を手にとっての活字で得た情報ではないと頭に入らない－－－というところがある。
重厚長大から軽薄短小へそして無形へと「重さ」の価値がどんどん小さくなってきたが－－－さてこの先は一体どんな世の中になっていくのだろう―――。
（08/23/18
10:00pm）
2018年8月23日
通信の秘密
名古屋の大学1年の男子学生が2年前の高校生だった時に、パリの同時多発テロなどで使われた高性能爆弾である「過酸化アセトン」を製造し、近くの自宅近くの公園に持ち込み爆発させその威力を確かめた容疑で逮捕され学生は容疑を認めたという。
爆発させた公園の近くに住む主婦がテレビ取材に応じ「ガス爆発事故でも起きたかと思う程の大きな爆発だった」と証言していたが、極めて少量を爆発させただけでもとんでもない威力を発揮したようで、パリばかりではなくノルウェーなどでも無差別テロで多数の死傷者を出したようなそんな物騒な爆薬が、一高校生の手によって簡単に作られてしまったという事実に驚くばかりだ。
しかし、この高校生が天才的な爆弾製造技術をもっていたという訳ではないようで、インターネットのサイトなどから製造方法を収集し自分で作ってみた－－－ということらしいから、ひょっとしたらこのニュースに刺激された何人かが同じくネットで爆弾製造技術を収集し、「自分も作ってみよう」としないとも限らない。あちらでもこちらでも強力な爆弾が秘密裏に作られるとしたら―――考えただけでもぞっとするではないか。
1974年の三菱重工爆破事件で大量の死傷者を出した京浜安保共闘というテロ集団は、あの事件で使われた爆弾の製造方法をアングラ出版した「腹腹時計」というテロ教則本に書いて出版し全国的にテロ活動を起こすようにと教唆していたが、今や、テロの教唆にインターネットが使われ、高校生でも簡単にアクセスできる時代になっているというのだから恐ろしい。
誰々を何時殺せといった具体的な殺人の教唆の場合は、そういった情報を取り締まることは可能かもしれないが、例えばこの薬品とこの薬品を混ぜればこういう薬品ができる―――といった情報だけなら、化学の教科書にも出ていることでありこれをブロックすることは難しい。しかもその情報をネットで流すこと、あるいはネットから情報を収集することは、「通信の秘密」という憲法で保障された権利の侵害ともとられかねないから熊のブーさんの似顔を習近平の顔に似ているからケシカランとブロックしてしまった中国のような統制国家でもない限りそう簡単にはブロックできないのではないだろうか。
というのも、先日、漫画の海賊版サイト対策として、政府が今年4月に打ち出したインターネット接続事業者によるサイトブロッキング訴訟に対して、一部の法律専門家から、「立法せずに行政判断で遮断すれば、通信の秘密を侵し、対象の無制限の拡大を許す危険性もある」と批判し政府によるサイトの名指しを「検閲の恐れがある」と指摘して、更には、サイトへの通信を妨害しないよう求め、遮断を打ち出したプロバイダーを相手取り東京地裁に提訴した―――という事実もある。
訴状によれば約款などの変更や顧客の同意がないままにサイトをブロックすることは「通信の秘密を侵害する」というのだ。この提訴がどうなるかはまだ分からないが、対象が「海賊版サイト」であっても「爆薬のつくり方」であっても、「通信の秘密」を盾に取られるとブロックする根拠は乏しくなってしまう－－－。
う〜ん、「通信の秘密」っていう奴は何ともややこしい。
（08/22/18 10:00pm）
2018年8月22日
温暖化緩和策
夏になれば「暑いですねぇ〜」冬になれば「寒いですねぇ〜」と言い合って「お互い大変ですねぇ〜」とねぎらい合う－－－というのが、定番のあいさつだが、暑い夏、寒い冬が当たり前であるからこそ成り立つあいさつであって、冷夏や暖冬と「暑くない夏」「寒くない冬」になったからと言ってお互いが喜び合うということはないような気がする。
タカさんは寒さに強いといわれる冬生まれだけれども、寒さには滅法弱いし、かといって暑いのは大の苦手ときているから（妻にいわせれば、只、わがままなだけ、だそうであるが）暖冬や冷夏はどちらかと言えば歓迎したい口なのだが、人類的にはというか現代社会的ではそうもいかないらしい。
特に最近は地球的な規模での異常気象で、特に「温暖化」に対しては国際的な枠組みが考えられているようで、温暖化防止産業はいまや一大産業になっている。
これだけ温暖化が大騒ぎになっていると91年にフィリピンのピナトゥボ火山の噴火で2000万トンの二酸化硫黄が大気中にまき散らされ、地球に降り注ぐ太陽光が2.5％も低減したために、地球全体の平均気温が約0.5度下がった時のような、突然の寒冷化が起きたとしたら―――「地球寒冷化防止対策」なんてどう考えても人間の力では不可能だし、なによりも、もし急に温暖化が止まって寒冷化が始まったとしたら、大きくなるだけなってしまった「温暖化防止産業」やら、温暖化防止の国際会議メンバー、地球環境運動家、学者さんたちは路頭に迷ってしまうだろうから、大混乱間違いなしだ。
先日、ニューズウィークを読んでいたら地球温暖化を緩和する方法としてピナトゥボ火山噴火の際の寒冷化の例のように成層圏にエアロゾル（煙霧質）を人工的に注入して太陽光を反射させ地球工学的に地球の平均温度を下げようという研究があり、この機関による試算だとエアロゾルによる温暖化緩和のメリット・デメリットとこのまま温暖化が続いた場合のメリット・デメリットを差し引き計算した場合、農業生産で見るとエアロゾル注入による温暖化緩和策の方にメリットがある！という計算結果が出たとういうが、諸々の事情によりまた反対論も多く、この研究はボツになってしまったという。
今起こっている温暖化は人類活動の影響によるという温暖化学者たちのコンセンサスからすれば、その防止の為にも人類がエアロゾルを人為的にばら撒いてやればいいという結論になってもいいはずだが――これはこれで、「もし寒冷化が止まらなくなったら－－」「地球が氷河時代に突入してしまったら―――」という危険性も考えられるからとても踏み切れない－－－という結論に達したというのが理由らしい。
それよりもなによりも、今更、温暖化がおさまっては困るという産業やら、学者団体も多いし、自然環境を守れ！と叫ぶ市民団体（それで食っている人も多い）などの大反対運動も起こるだろうし――。
まあ、やっぱり、当分の間は、「暑い夏」にはぶつぶつ文句を言いつつもクーラーをガンガンにかけて耐えて行くのが世の平和というものなのかもしれない。
（08/21/18 10:00pm）
2018年8月20日
人徳のなせる業
山口県周防大島町で行方不明になっていた2才の男の子を救出しようと大分から駆けつけたボランティアの男性が、それまでの3日間、地元の警察や捜索隊が発見できなかった男の子をさがしはじめてわずか30分程で発見―――というニュースに日本中が湧きかえった。
数日前に2才になったばかりだという男の子が3日間も山中に迷い込んでよく無事だったと彼の生命力の強さに驚くとともにこの尾畠春夫さんという78才の「スーパーボランティア」の経験と知識の豊富さとそのユニークなキャラに全国の人々が釘付けになったのではないだろうか。
3日も前から大島町に押しかけていた報道陣が尾畠さんの行動を逐一報道、特にテレビのニュースやワイドショーではその一部始終をまるで実況中継の如くに伝えていたから、暑さに青息吐息で家にこもっていたタカさも久しぶりにテレビに食いついてしまった。
見ているだけで不愉快になるような日大のアメフト問題やら、レスリング協会の問題と比べて間違いなく明るくなる話題だけに視聴率も上がっていたのだろう、このニュースは男児発見後も続き、尾畠さんの人となりやら、家族構成、今までのボランティア実績を取り上げていて、今日は再び広島の呉に向かっている―――と最新動静まで報じるに至っては尾畠さんにとっては結構迷惑な話かもしれず、相変わらずプライバシーに無頓着なマスコミの質の低さにはいささか呆れるが－－－。
このニュースを見ていてタカさんが一番印象に残ったのは、報道陣に取り囲まれて救出の模様を語る尾畠さんの右手の小指の先にトンボがとまっていたことだ。
タカさんは、トンボが指先にとまるということはそのトンボが尾畠さんの指を棒かなにかと間違えたのかも知れないとは思わないで、やっぱりトンボもこのおじいさんはいい人に違いない！と慕ってとまったのに違いない！と思えたのだ。
タカさんは子供の頃、よく秋になるとトンボとりをしたものだが、虫網もなにもない時には草の先などにとまっているトンボの真正面から指先で空に丸を描きながらゆっくり近づいてその指先を、目で追っているうちにトンボが目を回したところをさっと捕まえる－－－なんていうことをよくやったものだが－－－尾畠さんはトンボの目を回させる訳でもなく、只お釈迦さんのような手にトンボの方から寄ってくるのだから―――やっぱりこの人は只物ではないのかもしれない。
そうそう、4－5年程前のプロ野球珍プレー大賞に選ばれたのは、広島の今村猛投手だが、それはマウンドで力投を続ける彼の帽子にずっと赤トンボがとまっていて―――、投げ終わってベンチに帰る時もずっと彼にとまり続けていた―――というシーンだったが、あれは決して今村投手の「珍プレー」という訳ではなく（赤トンボの珍プレーではあったかもしれないが－－－）、タカさんにとっては、「今村ってきっといい奴に違いない－－－」と思わせるに十分なインパクトがあったことを思い出す。
そういえば今村投手は今年も相変わらずリリーバーとしての好成績をあげているようでやはり人徳のなせる業なのだろうか―――。
（08/19/18 10:00pm）
2018年8月10日
毒まんじゅう
来年に迫った改元に合わせて恩赦と公務員の懲戒免除が検討されているという観測記事が急に出てきた。
この件に関する記者団の質問に対して菅官房長官は検討の事実はないと否定しているが、それが却って疑心暗鬼を生んでいるようなところもある。
恩赦と公務員の懲戒免除とでは、元々性質の違うものであり、特定の被害者がいる刑事事件で罪科が確定している者と、公務員としての職務違反などで懲戒を受けた役人とでは、おなじように「罪を減ずる」と言っても被害者感情も違うだろうから、一律に論ずる訳にもいかない。
例えば、恩赦の方だが今尚、国民の8割近くが存続を支持している死刑を、改元というその犯罪となんの関係もないイベントがあるからと言って罪一等を減じてしまう、あるいは無罪放免する、となれば被害者の気持ちはいかばかりかと思われるし、国民感情もその大半が猛反対となるだろうから政治的には死刑を対象にした恩赦実施という判断はしにくいのではないだろうか。
そうなると、軽微な犯罪の場合に限って恩赦を与えることも考えられなくもないが－－－恩赦を受けて放免された窃盗犯が、又、再び罪を犯した場合、世間の批判は「恩赦なんかするからだ――」などと政府批判に結びつかないとも限らないから―――、やっぱり敢えて恩赦を実施する意味はあまりないように思う。
それでは公務員の懲戒免除の方はどうだろう。さし当って、この対象になりそうな有名人（？）といえば決裁文書改ざんで減給処分を受けた前国税庁長官が思い浮かぶが、彼の場合、野党が目くじらを立てていたモリカケ問題がらみの話での文書改ざん、ということを考えれば、これに懲戒免除を与えたりすれば、折角、寝た子を起こすようなもので、野党も世論も再びいきり立つ可能性があるから「改元というお祝いに合わせて懲戒免除」という訳にも行くまい。
そう考えると、やっぱり恩赦とか懲戒免除というのは、毒まんじゅうであり食べないに越したことはないと思うのだが－－－。
（08/9/18 10:00pm）
2018年8月9日
巨象のガチンコ勝負
「セルフィッシュ（自分勝手だ）だ!」といわれることを誰でも嫌うが、特にアメリカ人は嫌う。
キリスト教でもその根本にある倫理感は、「公平、公正であること」であり、「自分さえよければ！」という考えを前面に押出している人物は皆の蔑みの対象になるから、極力自分のセルフィッシュな面は隠そうとするし、たとえそういう非難を受けそうな場合でも、「この行為は、あくまでも自分の利益の為にやっているのではなくて、不公正を正す為の行為なのだ」といった言い訳を考え、必要とあれば、それをあらゆる詭弁を弄してあつく語ったりもするものだ。
トランプ氏がいう「アメリカファースト」も（小池知事がパクった「都民ファースト」も）言い換えれば「アメリカさえよければいい」（都民さえよければよい）という意味であり、よく考えれば利己主義を嫌うアメリカ人が堂々と利己主義的な主張をしているのは、とんでもない恥さらしということにもなる。
建前はともかく、実のところアメリカは常に利己的であったのだが、オバマ時代以前のアメリカでは、その主張をストレートには出さず、オブラートに包んだ形で言っていたのに、オバマ時代になってからは、極端に理想的なリベラル主張がされはじめ、アメリカファースト路線が悪者扱いになってしまったために、共和党支持者ばかりではなく一部のリベラルな民主党支持者までもが、「ひょっとして、俺たちアメリカ人は損ばかりして、どんどん貧乏になっていくばかりなのではないか？」と思い始め、うつうつとした不満を持つようになっていた―――のは事実だ。
そんな時に、トランプ大統領がでてき「アメリカファースト」を叫び「決してセルフィッシュな理由で言っているのではなく、他の国が不公正な行為を続けてアメリカの国益を損ねているからいっているのだ！」とアメリカファーストの正統性を主張したのだから、アメリカ人の多くが賛同（かつてリベラルといわれた連中までも）しはじめたということなのではないだろうか。
特に、中国は貿易量も多く、かなりの部分、アメリカから受けた恩恵によって今や押しも押されもしない大国にまでなったにも関わらず、アメリカに何かと反抗的な姿勢をとってきたという意味で、アメリカの怒りはここに向かいがちだ。
いまやこの世界の二大国の貿易関税を巡る争いは、「(貿易）戦争」という規模にまで拡大しつつあり、ともにメンツに異常にこだわる二国だけに、どちらも折れる気配がないから、あのアメリカとソ連の間の冷戦にも匹敵する規模にまで達しつつある。
日本や欧州という世界第三、第四の経済規模を誇る経済圏にしても、第1位のアメリカの1/4、中国の1/2の経済規模でしかない上に、二国どちらにも世話になっているからいずれの肩を持つわけにもいかず―――、仲裁に入るにしてもそこ迄の力もないし―――、巨象2頭のガチンコ勝負の場に居合わせたシマウマのような物で、どうすることも出来ずオロオロするしかないのだから――この貿易戦争、実に困ったものだ。
（08/8/18 10:00pm）
2018年8月8日
医師免許システム
もしあなた自身、あるいはあなたの身内が命にかかわる手術を受けなければならなくなった場合、病院は出来るだけ評判のよい所を選ぶだろうし、執刀医も手術実績の高い医師に頼みたくなるだろう。
もっとも、「評判の良い病院」とか「腕のいい医師」といったところで医師でもなく、その方面に信頼できる知人がいてその人のアドバイスが受けられるといった環境にでもない限り、どの病院、どの医師に命を托する手術を執刀してもらうかの選択は極めて難しい作業になるだろう。
比較的入手しやすい医師個人についての情報といえば「xx大学医学部、○○年卒」とか「医師国家試験xx年取得」といった程度のものでしかないが、やっぱり有名国立大学、あるいは難関といわれる大学の医学部に現役で合格し、医学部を最短の6年で卒業、医師国家試験に合格、2年の臨床研修を終えて最短8年で一人前になった医師で、著名な医師の下で、まあ、4－5年の現場経験を持つ働き盛りの医師と、方や、何かと裏口入学の噂のある私立医大を何浪かして入学したものの、留年を繰り返し、やっとこさっとこ医師免許を取った形跡があって、今は父親の病院の後継になってベンツを乗り回して、副院長かなにかをやっていてという医者のドラ息子と比べた場合、絶対に前者の医者に執刀して欲しい－－－と思うのが、人情というもので、間違ってもベンツ（あるいはフェラーリ）を乗り回しているような医者のドラ息子には金を貰っても頼みたくないのではないだろうか。
文科省のお役人の息子を、助成金認可の見返りに裏口入学させたというスキャンダルが大問題となった東京医科大学で、この手の不正入学、すなわち特定の受験生の入試の点数に下駄をはかせたり、あるいは、女子受験生、そして三浪以上の受験生の点数を一律削ったりという意図的な操作が長年行われていたことが明らかになり、社会的な大ブーイングが起こっている。
「盗人にも５分の理」とはいうが、東京医科大側の言い訳によると「女性医師は出産や育児で医師をやめてしまう率が高いから」とか「三浪以上の入学者は大学に入ってから勉強せず、医師国家試験の合格率が低いから」といったことを言っているらしいが－－－そんな言い訳が益々、世の怒りに火をつけているようだ。
公平公正であるべき入学試験が恣意的に操作されていた―――まして、金の力だとか、親の権力、そして入学後、あるいは医師になった後のその受験生の生き方まで制限しようというのだからこれはどう言い訳しようと言い逃れできないことだとは思う。
しかし、冒頭の話に戻るが、我々自身、医者を選ぶさいに、出身大学や何年で卒業したか、その医者のキャリア（海外に留学経験あり等と聞くと直ぐ信用してしまう）といった傾向を無視しての批判一辺倒も問題があるような気がしないではない。
最近の年間出生者数は100万人ほどだが、医師免許取得者はその内の8000人ほどに過ぎない。毎年、生まれて来た子供の内、医者になれるのはわずか0.8％に過ぎず、その人達は他学部の学生達よりも何倍も勉強しなければならず、6年間にかかる費用も莫大であることを考えると－ここに、利権構造が生まれ易いのも事実だ。
東京医科大の問題を契機に、日本の医師養成課程を根本的に見直すべき時期がきているように思う。
（08/7/18 10:00pm）
2018年8月6日
本当の七夕
七夕といえば当然7月7日の夜ということになるが、例えばあの仙台の七夕祭りは、8月7日である。
そう聞くと、「旧暦と新暦は丁度、一ヶ月ズレているのだから当然そうなるに決まっている」と思い勝ちだが、物事はそう簡単ではない。
一般には新暦の七夕である7月7日を丁度一ヶ月ずらせて「旧暦の七夕」といっているけれど月の満ち欠けをもとにした太陰暦（旧暦）と、太陽の年周期をもとにした暦である太陽暦すなわち（新暦）とが、「丁度1ヵ月のズレ」である訳もないのだから、これは考えてみると「8月7日は旧暦の七夕」というのは、滅茶苦茶な話であって本来の「七夕」とは縁もゆかりもない日付なのだ。
そもそも、中国の民話による七夕とは、夏の盛り星空がきれいに見える新月と満月の中間、すなわち新月から７日目の夜ごろ（月齢６近く）、天の川が綺麗に見えるころの織姫（ベガ）と彦星（アルタイル）との二つの一等星に因んで語られる悲恋物語から来ていることを考えれば、例えば月が明るすぎて天の川があまりはっきり見えない日などが七夕になるのは、おかしいと言える。
そういう条件をクリアすることを考えれば、正確には「七夕」とは新暦に直すと年毎に違う日付になるのが本当だということになり、今年2018年は、伝統的な意味での七夕は8月17日になるという。新暦の七夕からは40日も遅く、いわゆる旧暦の七夕とも10日も違っている。
新暦の7月7日は日本では例年だと梅雨の季節であり梅雨明け前だから、星空はめったにみられないし、みえたとしてもまだ織姫や彦星の高度が随分、低い時期であるからそんなに良くは見えないが、伝統的な七夕の時期（今年は8月17日頃）だと、秋口でもあるし、晴れて星空が見える確率が高い上に牽牛や織女の高度も高くなっており星空のスペクタクルを十分楽しむことができるはずだ。
もっとも、最近の都会では町の煌々とした灯りによって、天の川自身が見えることは殆どないから、伝統的な七夕の夕べに浴衣姿で、蚊取り線香を焚いて、団扇を片手に天の川を見上げる－－－なんていう風情は、全くと言ってよいほど消えてしまったから、精々プラネタリウムに行って楽しむ位のことしかできないけれど－－－。
（08/5/18
10:00pm）
2018年8月3日
2018年8月3日
熱闘甲子園
甲子園といえば聖地といわれ、タカさんの子供時代にも、男の子の多くが出場を夢見たものだし、タカさんもそれこそ毎日のように友達達と野球に励み、下校の途中では高校の野球部の練習を遠巻きにながめていたりしたものだ。（いまではあり得ないほどの猛烈なスパルタ練習だった）
進学した中学には野球部がなかったのでバスケット部にはいったし、高校に入ってからは大学受験勉強の為に野球をやる時間が無くなり、結局「やる野球」からは離れてしまったが、その事がもう70歳になっているというのに、今更に残念に思えてならない。
今年の夏は、地元の近所の高校が県の決勝まで進んだこともあって妻ともども「もし、決勝に勝って甲子園に行けたら二人で応援に行こう！」とまで盛り上がったのだが―――残念ながら決勝で負けてしまいタカさん夫婦の今年の、甲子園行きは夢に終わってしまった。
そういえば、亡くなった父の高校はその地方の名門でよく甲子園に出場していたものだが（近年はさっぱりのようだが）、出場が決まる度に母校の野球部後援会から寄付金の奉加帳が廻って来ていて、父は毎回、喜々として振り込んでいたが、タカさんももし母校が出場することになったら（ほぼあり得ないが）、ドッサリ寄付するのだが――。
そういえば、あきらめざるを得なくなっていった自分の「甲子園への道」の夢が忘れられない人の多くは、大人になって今度はその夢を自分の子供や孫、あるいは出身校の後輩、地元の高校生に托するようになる－－－というのは日本人の習性とすらいえるようなものになっているような気もする。
タカさんは娘しかできなかったので「子供が甲子園」という夢は実現しなかったが（参照：「麗子ちゃんとのゴルフ」01/6/1）、今年から中学生になった孫は野球部に入り、夏休みに入ってからは、合宿だの朝練だのとこの暑いのに野球漬けの日々を送っているようだ。（孫の話では、今年は15人もの新入部員が入部したというから野球人気も案外、昔と変わらないのかもしれない）
今年の夏の甲子園は100回記念だとか、100回も続いているとなれば、確かに、いくら気象庁が「危険な暑さ」だとか、「今までに経験したことのない暑さ」といっている最中といえども中止も延期も出来ないだろうとは思うし――青春の聖地、甲子園という思いのある男の子、そしてかつての男の子たちは、夏の大会はやっぱり炎天下の野外球場でやるべきもので、ドーム球場なんてもっての外――という思いはあるから、少なくとも今年はこのまま甲子園でやるしかなかろう。
願わくは、東京大会の決勝戦のように投手が熱中症で倒れる――などということのないようにと―――祈るばかりだ。
（8/02/18
10:00pm）
2018年8月2日
日本のアマチュアスポーツ界
女子レスリングでの伊調選手へのパワハラ問題の騒ぎが少し下火になったかと思ったら、日大アメフットによる悪質タックル問題、そしてここに来てのアマチュアボクシング界での連盟と会長への数々の不正疑惑問題である。
この半年はスポーツ界におけるこういった問題なくしてはテレビのワイドショーはもたなかったのではないかと思われるほどのスキャンダルの賑わい振りであるが、確かにトランプさんがどうの、北朝鮮がどうの、あるいはモリカケ問題がどうのといった問題とは違って、ワイドショーの視聴者には構図が分かり易いし、テレビ時代劇のように善玉と悪玉がはっきりしていて、筋立ても分かり易いから、これを扱っている限りテレビの視聴率も上がるから益々、扱いも大きくなって－－－という悪循環（好循環？）が続いているようだ。
個々の問題はともかくこうもスポーツ界でスキャンダルが続くと日本のスポーツ界、特にアマチュア競技界の根本的な体質に何か問題があるのではないかとすら思う。
大相撲だとかプロ野球といったプロにおける不正問題は、ある意味「プロの世界のことなのだからそういった不正も避けられないのだろう」と半ば諦めの目でみるところもあるが、曲がりなりにもアマチュア競技界でプロ界紛いの、いやプロ界よりも悪質なことが堂々と行われているとなると、やはり世間一般は理想が裏切られた！という義憤にかられ、やり場の持って行きようのない怒りを持つのではないだろうか。
「プロならやりかねない」と思う気持ちは八百長問題や審判の不正問題では心の片隅にはあるけれど、まさか「スポーツマン精神」に則って公明正大のはずのアマチュア競技において―――プロも顔負けの不正がまかり通っているとなると、やはり、「理想が裏切られた！」という怒りは倍化しやすいのかもしれない。
プロの場合、素人の自分がそこにつぎ込んでいる金や労力は大した金額ではないし、例えばプロの試合を観にいくにしても「自分が好きでやったこと」である以上行ってしまった自分がバカだった――と思える部分があるけれど―――。
アマチュア競技の場合、文科省の助成金だのなんだのという形で、否応なしに自分の払った税金が使われていると思えば「自分だって納税者の一人として当然、文句を言う権利はある！」と一言いいたい人が一杯出てくるのかもしれない。
女子レスリングにせよ、アメフット、アマチュアボクシングにせよ、一部の権力者、競技団体関係者（連盟関係者）が公の団体であるはずの競技団体を私物化していることに、全ての原因があるわけで、スポーツ庁とやらの鈴木大地長官も、毎回スキャンダルの度に出てきて「けしからん！」と息巻いて見せるだけで、スポーツ庁の監督下にある団体、すなわち日本のアマチュア競技団体が体質的に昔から抱えている問題を、抜本的に改革しないまま放置しているのでは、「仕事をしていない！」といわれても仕方あるまい。
もともと、日本のスポーツ界には古い体質のところが多いのは事実で、改革の手が入っていないところが多い。このまま放置していると、又、どこかの団体でこういった問題が起きるのではないか―――と危惧する次第。
（08/01/18 10:00pm）
2018年8月1日
8月の祝日
今日から8月だ。
新しい月、8月のカレンダーを見て見たら8月11日の土曜日の日付が赤で書かれており、「ああ、そういえば11日は今年で制定後三回目となる「山の日」の祝日なのだ」と気付いた。
なぜ8月11日が山の日なのか――特段理由があるわけでもなく7月に海の日を制定したのだから、山の日でも作った方いいかも〜なんていう理由でできた経緯もあり、最初から存在感のない祝日ではあったのだが〜。
3回目にしてはや存在感が皆無になってしまうなんて―――安倍内閣の人気とり作戦らしく、どれも上手くいかないものだなぁ〜と笑ってしまう。
小渕内閣がサミットの沖縄開催にはしゃいで発行した二千円札が全く人気がなくて使われず、というより寧ろ厄介者扱いされて、近年は一枚も新規発行されていない――のと何か似たようなところもある。
そもそも、「山の日」の制定そのものが、暑い盛りの6、7、８、月に祝日が一日もないのは寂しいからというのが大元の発想であり、７月に海の日を作ったのだから、海があるなら山があってもいいじゃないか－－－なんていう理由で考えたものだろうが、どうせ8月に一日祝日を作るならお盆休みと上手く繋がり連休になるように8月12日にしておけば、かなりの確率で8月15日のお盆の中日をはさんだお盆休みとその前後の土日とがつながり山の日が振替休日の３連休と重なって－－－暑い最中の８月に大型連休ができて－－－とそれこそ安倍政権の人気も少しは上がったかもしれないのに－－－。
もっとも、元々、8月12日を山の日にしようというのが、お役人達のアイデアとしてでていたのに、例の日航機の御巣鷹山事故が8月12日であったために慰霊祭などが例年行われておりそんな日を「祝日」にするのはまずかろうという政治家先生の判断もあって中途半端な8月11日に決まったという経緯があったとか－－－。
たしかに、「8月12日はケシカラン」という声が起きれば（「不謹慎だ！」という声は少数にせよ必ず起きただろ）、なにかとケチをつけたがるマスコミがそれに便乗するだろうし、今年のようにモリカケ問題などもあった時には、そんなことでも政権の命取りになりかねなかった可能性だってあるから、まあ、無難に8月11日に決めておいてよかったのかもしれないが－－－。
今年は、多くの企業は臨機応変に8月13日の月曜日から14、15、16日を盆休みにするところが多いと聞くから、まあ、8月17日の金曜日の出社日まで一応、６連休は確保できそうで、13日が振替休日になってお盆休みが9連休になる8月12日「山の日のスケジュールよりも、家計は助かる－－－と喜ぶ主婦たちも多いかもしれないから結果的には11日でもよかったのかもしれないが－－－。
（7/31/18 10:00pm）
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