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2019年6月
＜＜6月タイトル＞
06/28 宗教は儲かる 06/27 アルマーニが似合う男 06/25 徳治主義 06/24 携帯電話会社の陰謀 06/21 二元論 06/20
ベーシック年金制度 06/19 職業選択の不自由 06/18 米中経済摩擦 06/14 仲人という旧弊 06/13 イラン核合意 06/12
選挙は水物 06/07 パレートの法則 08/06 ファーウェー 06/05 アッシー君 06/04 乱暴者二人
2019年6月28日
宗教は儲かる
独裁政権が倒れるとその独裁者一族や取り巻きの高官連中が海外に亡命し、かねてから海外にため込んでいた莫大な資産で優雅な亡命生活を送る―――等ということは良くあったし、中国共産党の幹部や、政府官僚たち一万人以上が不正でため込んでいた資産を海外にこっそりと移転し、先に親族や愛人を移住させ、最後に本人が海外に逃亡し国家から盗んだ金で優雅に暮らしている―――なんていうことが現代でも行われているが―――。
イランで一番権力を握っているのは首相でも大統領でもなく（ましてや国民ではなく）「最高指導者」という地位にあるイスラム最高権威ハメネイ師である。
どれだけ偉いかといえば、立法、行政、司法の三権と国軍、そしてイラン革命防衛隊の二つの軍隊組織の最高指揮権をもち、おまけに大統領の解任権まで持ち、その上、アラーの代弁者とし神に等しい、権威を持っているのだから大変な地位にある人物だ。
そのハメネイ師をはじめとするイラン指導部に対してトランプ大統領は金融資産へのアクセスを禁止する、という金融制裁を発動した。
ムニューシン財務長官はよれば、この金融制裁で、数十億ドルの資産が凍結されたのだとか。
イランの最高指導者、イスラム教の最高権威が数十億ドルの資産を貯め込み、しかもそれをイラン革命でアメリカに亡命したパーレビ国王一族同様に、敵国と公言するアメリカの金融機関を使って海外に隠している！というのだから――、この話が本当なら「なーんだ、偉そうなことを言っているけれど、イランの最高指導者も（宗教に名を借りた）単なる金の亡者にすぎないではないか！」ということになってしまうから、世界中のイスラム教徒や、イラン贔屓の人々はさぞや幻滅を感じたことだろう。
イランも慌てたようで、早速ロウハニ大統領が「ハメネイ師は宗教指導者として資産は一切もっていないし、これはアメリカ側が流したフェイクニュースだ！」と言って必死に防戦に努めてはいるが―――真相は闇の中ではあるが―――ハメネイ師や、イランにとってダメージであったことは間違いない。
そんな、アメリカからのニュースが真実味を持って受け取られるのは、イスラムに限らず、キリスト教や仏教、そして有象無象の新興宗教まで、「宗教というものは、儲かるものだ」という現実を世界中の人が目の当たりにしているからではないだろうか。
日本でだって宗教法人を名乗るところは、皆大きな会館や美術館を持ち、教祖様は皆桁違いの大金持ちだし、財産争いから殺し合いになってしまった某神社の宮司さんは、連日連夜銀座で豪遊、京都のお寺の坊さんは花街、先斗町の一番の常連さんだ。
そう考えれば、ハメネイさんが何千億円もの隠し財産をアメリカやスイスに隠している―――という話は、なんとなく本当らしく聞こえてくるから―――例えフェイクだとしても―――アメリカの諜報活動も手が込んでいるとし、半分成功しているといってよいような気がする。
（6/27/19
10:00pm）
2019年6月27日
アルマーニが似合う男
浅草に行く機会があり、偶々少し早目に着いたので浅草寺にお参りでもしようかと、雷門から仲見世通りを歩いたのだが大変な人出で中々前に進めないような状態だったのには驚いた。子供の頃から浅草寺には、行っているが、昔はここまで混雑していなかったように思う。
なるほどこれが、近年急激に増えている「訪日外国人観光客」の所為なのだろうなぁ〜とおもったのは、行き交う人々の中に聞きなれない外国語が多いからだが、その中の若い女性達の中には和服を着ている人が相当数いるのが結構目立った。
今、町中で和服を着ている若い女性を見かけるのは、お正月か成人式の前後、大学の卒業式シーズンしかないが、聞くところによると最近、浅草ではこれが年中だとか。
なるほど、訪日外国人の若い女性なら確かに日本の伝統的衣装を身に着けて歩いてみたい―――と思うかもしれないし、浅草はそういった女性観光客向けの和服レンタル店の激戦区なのだとか。
青い目の背の高い西洋人の着物姿というのは、（きれいではあるが）日本人の体型にあった衣装である着物だとちょっと滑稽に見えてしまうところもあるけれど、浅草の和服の女性達は、中国や韓国といったアジア系、東洋系の女性達だから、違和感がないしむしろよく似あっていると思えた。
これも聞くところによると、このレンタル着物の場合、和装の小物まで一切合切そろえてくれ、着付けや髪のセット、写真撮影まで込みで１万円程度だというから人気が出るはずだ。
そういえば、ツアーで中国の蘇州に行った際には、チャイナ服のレンタルによる写真撮影サービスというのがあって、日本人の女の子たちが喜々として写真に納まっていたっけ。あれも、チロルの女性民族服を着た日本女性の記念写真よりも、同じ東洋人同士として似合っていたように思うが―――。
やはり、伝統的な衣装とその民族の体型といったものは深い関係にあるようだ。イタリアのデザイナーがイタリア人の体型に合わせて作ったアルマーニのスーツが似合う日本人男性はまずいないのと同じなのかも知れない。
（6/26/19 10:00pm）
2019年6月25日
徳治主義
政（まつりごと）、すなわち世を治めるためには様々な方法がある――と中国古典はいっている。
一番ダメなやり方が「武治」といって力で押さえつけるやり方だが、これは力対力の争いになり治められる側の民にとっても過酷な体制であり長続きしない。
次ぎに「人治」という方法があるが、例えば代々の庄屋が村を治める場合などだが、これも代々有能な人物が続くという訳にもいかないし、身内優遇などの問題もでてくるからいずれ不満が募り上手くいかなくなるだろう。
では、一部の優秀な人物たちが政を行う「文治」とさらには法を定めて厳格にそれを適用して政を行う「法治」ならどうだろうか。これも、どうしてもその運用において情実やら、不正が起きるのが世の習いであり必ずしも上手くいかないのは、現代の民主主義国家といえども様々な問題をかかえ、上手くいっていないことを考えるとやっぱりダメかぁ〜と考えてしまう。
孔子はそれらを踏まえた上で、最上の政の方法は「徳治」であると説いている。
徳を積んだ人物が徳に基づいてまつりごとを行えば、法治や人治、武治に頼らずとも世の中は上手くいく―――と説いた。
徳とは仁、義、礼、智、信、という五常の徳性をすべて備えた人物ということになっているのだが―――そもそも、この五常の中にも相反することになるものもあり（例えば仁と義、義と信、といった具合に）、日本のみならず、世界各国を見渡して五徳全てを備えた人物なんて―――全くみあたらないようだから―――すなわち、理想の政治形態などというものは孔子の時代から現代にいたるまで、実現し得ない夢でしかない！ということのようだ。
（6/24/19 10:00pm）
2019年6月24日
携帯電話会社の陰謀
昨年夏に二日続けて熱中症で運ばれるという目にあったが、さすがに２回目に倒れた際には、病院で検査、検査の騒ぎとなってしまい１週間余りの入院を余儀なくされた。
検査の結果は、別に悪いところもなく、まあ、連日の夜更かしと、猛暑が重なった為ということだったのだろうという結論にはなったものの、妻に「もし、又、こんなことが一人で外出中起きたらどうするの！」と猛烈に責められ、頑なにケイタイを持つことを拒否してきたタカさんだったが、強制的に持たされる羽目に陥ってしまった。
ケイタイを持たなくても、パソコンでメールだってインターネットだってやっているから何の不便もないが、パソコンには電話機能は（勿論）ない。ケイタイをもっていなければ、あれやこれや迷惑電話に煩わされることもないし、詐欺メールやらなにやらがかかってくることもないし、こちらから電話を掛けたい時には家の固定電話か外出中になら公衆電話を使えばよかったのだが―――。
ただ、ここ２，３年、どこのコンビニやタバコやの店先に置いてあった公衆電話が次々となくなり、駅の構内の公衆電話さえ、消えてしまいちょっと電車が遅れたから〜と連絡しようと思っても、一旦駅から外へ出て電話を探さないといけない―――といった不便さが増していたことは事実だったのだ。
嫌々、持たされたケイタイ（スマホ）だけに、半年以上経つけれど、実際ケイタイの電話機能をつかったことはたったの２回程しかないのだが―――。
収監に訪れた検察官に包丁を振りかざして抵抗して4日間も逃走していた男が、漸く身柄を確保されたという。
この4日間、地域の学校や幼稚園は休校、週末のイベントは中止になるなど大騒ぎになるなど大変な騒ぎになってしまっていた。この逃亡犯、どうも、保釈中に覚醒剤をやっていたらしいし、判決後確定後の出頭要請に、4ヶ月間も応じていなかったなど、かなり凶暴なこの人物のようだが―――こんな人物に、保釈を許可した裁判所、そして何人も出向きながら、みすみす逃亡を許してしまった検察は一体どうなっているのだろうか――。
それはさておき、タカさんが、この逮捕劇で一番、関心をもったのは4日間も逃げ回っていた犯人が逮捕された切っ掛けが、隠れ家近くにあった「公衆電話」から掛けた通話が手掛かりとなった―――という部分だ。
テレビニュースでは横須賀の郊外の結構淋し気なところに隠れ家があるのだが、そんな淋し気なところにある隠れ家の近くになんと公衆電話ボックスがあるではないか―――！
都会では、もはや街中から撤去されたかに思える公衆電話がこんな淋しい場所にはしっかとあるというのはどういう訳だろう？
今回の逃亡劇、明日からのマスコミの関心事は、一度はゴーンさんで世界から「人質司法」などと叩かれた厳しい筈の「保釈条件」が、今回の容疑者のような粗暴で、覚醒剤常習者でもあるような人物には、何とも安易に許されていた――という事実、すなわち、保釈制度の運用に関する問題や、裁判所、検察の責任問題にうつるのだろうが―タカさんとしては、「ケイタイを持たない！」人物を都会から追放しようという「携帯電話会社の陰謀」辺りにも是非、スポットを当てて欲しいと思う。
（6/23/19 10:00pm）
2019年6月21日
二元論
「自然は数学という言葉で書かれている」とガリレオは言った。
AIが発達し何から何までスパコンの計算によって答えが出せるのでは――と思わせるようになってきているとガリレオの言った通り、この世の全ての謎は計算機によって答えが出せるようになってしまうのではないだろうか―――とも思うが、未だもって人類は生命（一番単純と思われる単細胞生物でさえ）を一から作りだすことはできないし、「（恐らく将来に亘って不可能だろうと思えるし）、例えば、乙女の微妙な心の移り変わりだって、絶対に数学の公式には書き表せないとも思えるから、ガリレオの言う「自然」という中には「生命」や「心理」「精神」などは入っていないのではないか―――とも思える。
その点、（今はもう流行らない）デカルトの唱えた「物心二元論」－--この世界には「物」と「心」という本質的に異なる独立した二つの実体がある―――という考えに今一度、戻るのが、これからのAI社会を捉えるには適しているような気もする。
すなわち世の中には「数式」で書き表される現象と、どうしても数式では書き表せない現象の二つがあり、AIが、すべての現象を数学の公式に落とし込み、膨大な計算を駆使して人間の能力を超えるという「シンギュラリティ―」は来ない、と考えるべきなのではないか―――とも思う。
囲碁や将棋は、AIに膨大な棋譜を覚えさせ、AI同士に一日、何万局という対局をさせるといった力業を使うことで、その内にAIが、羽生さんや井山に連戦連勝するような日が来る可能性は考えられなくもないが、どう考えたってAIが、漱石や鴎外並みの小説が書けるようになる日が来るとは思えないのだが―――。
（6/20/19
10:00pm）
2019年6月20日
ベーシック年金制度
憲法で25条第１項には「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定められており、同じく第２項には第１項の国民の権利を守るために「国は、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とある。
この規定が現在の社会保障費、国民健康保険制度などの根拠となっているのだが、一部ではあるものの生活保護や健康保険制度の悪用やただ乗り、などが無い訳でもないし、手厚い社会保障制度が、「働きもしないのに食っていけるなんて〜」といった不公平感を持って見られる等という負の側面があることは否めない。
こういった不公平感を拭い去り、一方では国民全員に「最低限の生活保障」をやってしまおうではないかとしてかれこれ400年ほどまえから繰り返し唱えられているのがベーシックインカム制度だ。
その内容や具体的制度設計は実に種々あるが、現在でも国によっては具体的実施が計画されている制度だと、国民全員に最低限の生活を営める金額を支払い、その代り現在行われている、年金・雇用保険・生活保護などの社会保障制度や公共事業を縮小してしまおうというものだ。
この制度によるメリットは、最低限の生活費が国民全員に保証されるとともに、ベーシックインカム以外の収入は、個人に帰属することになるので「国民全員に最低限の生活が保障されるし、働けば働く程、収入が増える」から勤労意欲も減らない〜」とか、社会保障費のような国家の費用が大幅に削減でき「小さな政府」が実現するだろう等、種々考えられているが、勿論、デメリットも多く、先の選挙の際には、自公などの与党系は基本的に反対、野党系の中には賛成の見解を述べるところが多かった。
こんな議論を思い出したのは、最近突如沸き起こった「老後、2000万円不足」問題を聞いたからだ。「誤解を生んだから」と突然、麻生大臣が謝ったり、何故かわからないけれど蓮舫さんや辻元さんが、興奮気味に「追及、追及」と叫び出しているのだが―――両者ともに、根本のところを理解していないのではないか、あるいは分かっていながら騒いでいるのでは―――と思わざるを得ないところばかりだ。
日本の年金制度は、基本のところでは憲法の言う「健康で文化的な最低限度の生活を営む」程度の物を目指して設計されている。国民全員が豪奢な老後生活を送れるほどの年金の財源などあろうはずもないことは、誰もが（麻生さんや蓮舫さんは知らないかもしれないが）知っていることであり、その為に「最低限プラスα」の生活の為に、若い内から多くの人はある程度の蓄えに務め、又、老後になってからの生活設計も考えているのではないだろうか。
年金暮らしになれば、受給する年金だけで贅沢な暮らしができる――と考えていた人がいたとしたら、確かに、老後2000万不足と聞けばびっくりするだろうが―――。
追及する蓮舫さんも言っている意味がよくわからない。「麻生大臣の責任は！」というが、よしや麻生さんのクビを取ったところで、2000万円が捻出できるわけでもないだろうし――――。
この際、ベーシック年金制度でも提案されたらいかが―――とも思うが―――。
（6/19/19 10:00pm）
2019年6月19日
職業選択の不自由
一般企業の場合、憲法で保障された「職業選択の自由」という権利があるから同業他社への転職・転籍は原則可能だ。（企業によっては企業機密の漏洩などを嫌い就業規則で「競業禁止義務」を定めているところもあり、万一、前企業の機密に属する事柄や、ノウハウなどを漏洩したと疑われる場合、訴えられる可能性あるから、まあ、事前に了解を得ておくとか、同業他社への転職は避ける、という方が無難ではあるが）
実業団チームに所属するスポーツ選手の場合、転籍先の企業が同業他社ではないものの（例えば食品会社から運輸会社への転職といった場合）、同一競技の（例えば同一リーグに所属している）他社に移籍するのは至難の業であり、実質的には不可能といってもよいような状態だ。
その競技を取り仕切る競技団体からして役員がスポンサーである企業の利害関係者である場合もおおく、リーグのルールとして「同意なく転籍した場合、その競技に参加できない」などという規定を作り、妨害するからだ。
公正取引委員会が、随分と歯切れは悪い表現ながら、こういった「職業選択の自由」を侵す競技団体の慣行に対して、独禁法上問題があるかも〜」というお触れをだした。
すなわち昨日、「スポーツ事業分野における移籍制限ルールに関する独占禁止法上の考え方について」という文書を出して各競技団体に注意を促した―――と各紙は報じているが―――。
公取のお触れによれば、リーグ等が設ける選手のチーム移籍を無期限に制限するルールが、独占禁止法に抵触する恐れがあるのでは―――」との見解を一応、出してはいるのだが、制限を設けること自身を禁じている訳ではなく、「チームによる選手育成の意欲向上や戦力均衡の目的があることに留意するものの―――」と暗に、一定程度の制限はやむなしという中途半端な姿勢が見える。
スポーツ選手の最盛期（競技寿命）は長くても10年程度、よりよい待遇や報酬を求めて他チームに移籍でき、自分を売り込める期間はそう長くはないことを考えると「無期限の移籍禁止は問題があるが、一定程度の期間なら理解できる――」というのでは選手にとっては「実質的には移籍は出来ません、公取もそれを認めています」といっているのに等しいのではないだろうか。
しかも、全文を読むと「移籍を制限するルールは多種多様であるため、独禁法上問題になるかどうかは、個別に判断される」となっているから、訴訟を怖れる誠意のある団体は（少ないだろうが）ある程度、ルールの見直しや改定を行おうとするかもしれないが、女子レスリングやボクシング、アメフト等々競技団体のガバナンス問題が多発していることを考えると、スポーツ選手にとっての「職業選択の不自由」は当分続くと考えた方が良さそうだ。
（6/18/19 10:00pm）
2019年6月18日
米中経済摩擦
WTO（世界貿易機関）の設立は1995年である。その目的は自由貿易の促進だが、突然世界各国が何の制限もなく自由に貿易をすることになる、すなわちどんな国も自由競争を余儀無くされると弱肉強食の摂理により先進国が貿易を総取りとなってしまい、後進国は益々貧しくなってしまうことが懸念されることもあって、国内産業保護の為の貿易制限やら国内産業の保護策なども、各国の事情によって許されるという特例がみとめられることになっている。
日本にしても自由貿易となれば得意の輸出では大いに儲かるだろうが、例えば高コストの米作などでは、輸入米に壊滅的に駆逐されてしまうだろうから、なんだかんだ理由をつけて米の輸入には歯止めをかけることになる。この種の「特例」はどこの国にもあり、それぞれの国が「お前のところは汚いじゃないか！」と言いながらも自分達も「特例」を認めさせている、という中々魑魅魍魎の貿易協定だ。
そういったWTOのルールの中でも最近、米国が問題にしているのが中国に対する「途上国」条項だ。確かに95年のWTO発足時には中国は発展途上国と認められに十分（？）な程貧しく種々の保護策やら特例が認められても当然と言える国だった。日本も中国に対しては数々のODA（政府開発援助）を供与してその改革・解放の手助けをしていた位だ。
しかし、今や中国はアメリカに次ぐ世界第二位の経済大国となっており、たとえばWTOルールの途上国待遇を受けるには相応しくない経済規模になっているが、未だにWTOでは途上国にのみ許されている「自国産業の保護」策を許されており、国家による自国産業保護政策を強力に駆使して世界貿易という戦いに打ってでている。
自分達は「途上国」であると主張することで日本や米国など先進国に許されていない「自国産業の保護」などを講じることができるというのは、「汚すぎる」というのが世界の経済覇権を中国に脅かされつつある、というのがトランプ大統領の怒りの源泉であり、その怒りから「頼りにならないWTOにはもう任せておけない！こうなったらオバマみたいに甘ちょろいやり方は止めて、中国に制裁関税を課してその経済政策を力づくでも変えてやる！」という強硬策に打って出ているのが今の米中貿易摩擦のそもそもなのだ。
日本も中国の経済発展の一助になれればと西欧先進国の先陣を切って始めたODAだったが、中国はその日本からの援助の資金の一部を使って他国への援助を行いそういう手段でのアジアやアフリカにおける覇権を強め、さらには軍備増強にまで日本のODA資金を使っている等ということも疑われるようになって、日本政府も漸く、昨年、40年間続いた対中ODAを終了したことを思い出せば―――、一見、かなり無茶なことをやっているかに見えるトランプ氏の対中経済制裁も、理解できなくはない。
（6/17/19 10:00pm）
2019年6月14日
仲人という旧弊
ブライダル関連事業の調査によると、最近の結婚式では披露宴に仲人さん夫妻が出席するというのは、全体の1％前後に過ぎないのだとか。
今から40年程前の結婚式では見合い結婚はもちろん、恋愛結婚であっても結婚披露宴には仲人さんがいるというのが一般的だったように記憶する。
当時から、いわゆる「頼まれ仲人」といわれる仲人さんも多かったと思うが、なかには、二人を良く知っている、二人の親の知人、友人だとか、地域の名士、あるいは新郎の上司、恩師等々、多少はカップルと縁がある人が仲人として立ってくれていたものだった。
当時から、仲人なんて旧弊だし新しい時代にはもう必要ないという意見もあったが、中には喜んで引き受けてくれる仲人さんもいたし、政治家や財界の重鎮ともなると百組単位で仲人を買って出る人までいたようだ。
それでは何故仲人役が必要とされたのかというと、今ではちょっと信じがたいことだが、仲人が立つからには「二人はちゃんと世間（親族は勿論、コミュニティーの人々等）の承認を得て結婚するのですよ」という宣言を込めたものであり、二人の以前の異性関係やら、借金問題もまあ（今は）きれいであり、誰も二人の結婚に反対する人はいませんよ―――そのことは、この立派な仲人さんが保証していますよ――という意味合いがあったからだ。（まあ、昔はそれほど世間体というものを気にしていたということでもある）
例えば、婚約後、結婚までの間に二人がとらわれがちな、マリッジブルーといわれる結婚への迷いの時期に、もしここで婚約破棄とか解消ということをやると、仲人さんの顔を潰すことになりかねない―――というプレッシャーがかかり、その為に、一旦仲人が決まり結納まですませれば、お互いが結婚への覚悟が決まり（もし他に異性関係があった場合は、それを式までに清算したり、借金をかたづけたりするから）、新生活を綺麗にスタートさせることができるだろうから、仲人を立てる、というのはいい物だ！なんていう話も聞いたことがある。
落語などでは、所帯を持った後も、夫婦喧嘩の仲裁やらなにやらで仲人というのが一肌脱いだり、もし別れることになれば仲人の顔を潰すことにもなりかねないから―――と、離縁を思いとどまったりもあったようだし―――。
皇室での結婚ではまさか仲人というのはいないと思うが、眞子内親王と彼女の大学同級生との結婚は、一般でいうところの結納にあたる「納采の儀」が延期されたのみならず、それがいつ行われるか、結婚式がどうなるのか、さえもわかない状況になっているとかで、マスコミなどは大騒ぎしているようだが―――。
お二人も、早い時期に昔の一般の結婚のように、仲人を決めて結納をしてしまえば（その間に、小室さんとやらの母親の借金も片づけて――）こんなに揉めなかっただろうに－－－とも思う。
旧弊、旧弊というけれど案外、仲人という制度よい所もあったのかも知れないと古い世代の庶民は思う。
（6/13/19 10:00pm）
2019年6月13日
イラン核合意
イラン核合意とは米英仏独中ロの6カ国＋EUが2015年にイランと締結した合意であるが、イランが15年間、高濃縮ウランや兵器級プルトニウムを製造せず、既に貯蔵している濃縮ウランや遠心分離機を削減する代わりに、各国がそれまで実施していた対イラン制裁を緩和するというものだ。
イランにしてみれば、中東ではイスラエル、サウジと敵対関係にありその内イスラエルは核兵器を秘密裏に持っているし、サウジもアメリカの同盟国として核の攻撃能力を備えているに等しい以上、核兵器を持ちたいのは山々ながら、さすがに長い間の経済制裁の為に経済状況が厳しいので、まあ、15年程度のモラトリウム合意を結び、（形だけ）高濃縮ウランやプルトニウムを削減するのなら署名しようと考えたのだろう。
この合意は、長年犬猿の中であった米・イラン関係の雪解けを図ろうとしたオバマ大統領の功績とも言われるが、オバマの為したことを全て否定したいトランプ大統領にとっては、イランにみすみす騙されるに等しく思えて、「信用できないイランが、ウランやプルトニウムの能力を削減するなんていう約束を守るハズはないし、そもそもミサイル能力は全く野放しだ！ そんな合意なんて、やってられるか！」という訳で、昨年５月に合意離脱を表明、6ヶ月後の11月までに解除されていた制裁をすべて再発動し、日本などにもイラン制裁に加わるように要請しているのだ。
このイラン核合意には日本は入っていないのだからイランとの交易は自由にやってよさそうなものだが、何せ最強の同盟国アメリカの嫌がることなどとてもできないから、実際のところ、アメリカの離脱に従うことを余儀無くされているのだが、本音をいえば、「折角、イラン原油の輸入を再開できると期待していたのに―――、トランプさん、勘弁してよ！」といったところだろう。
自分から売り込んだのか、トランプさんに頼まれたからか、安倍首相がイランに出発、ロウハニ大統領のみならず西欧の首脳でさえも会えないという最高指導者ハメネイ師と会談して膠着状態にある米・イラン関係を少しでもほぐそうという訳だが――。
今迄の経緯と、お互いがメンツをかけてのガチンコのにらみ合いの中では、少しでも「成果」を挙げることは難しいのではないか―――とも思う。
一応、アメリカが抜けてはいるが他の国との間の核合意にイランは留まっており、かろうじて米国以外の国々もイランが抜けないことを期待しているから、安倍さんが行って「アメリカは抜けたが核合意の趣旨である核兵器開発のモラトリアムを続けるように」と説得することが恐らく最大の成果といえそうだが―――イラン国内の強硬派には「アメリカにそこまでやられながら、何で俺たちだけ核開発を止めなければいけないのだ！」という声が高まっているというから一筋縄ではいかないだろうし、例え「核合意に暫くとどまろう」という言質をとったとしても、要するに現状維持なのだからそれを「成果だ」と言い募っても余り説得力はないのでは―――。
首相も帰国後、トランプ氏に「中々、会えない最高指導者とも会って、あなたの意向はよく伝えておいたから―――」と伝えるのが精々ではないかとも思うのだが―――。
果たしてそれでトランプが「シンゾー、よくやってくれた！」と言ってくれるかどうか―――。
（6/12/19 10:00pm）
2019年6月12日
選挙は水物
来年11月に行われる米大統領選挙だが、民主党の大統領・副大統領候補が指名される民主党全国大会が行われるのは来年の7月、共和党の全国大会は来年8月である。
二大政党の大統領候補が正式決定する迄でも未だ一年以上あるというのだから、一年半前に大統領選の予測をするなんてまだまだ時期尚早のようにも思えるが、長丁場の戦いになる大統領選であるから、もうそろそろかなりの確度で次期大統領選の下馬評が固まってきてもよい頃だともいえる。
共和党の方は就任直後には「何カ月持つのか？」等とも危ぶまれたトランプ大統領だったが、直近の世論調査による支持率が47％と就任以来最高を示していることもあり本人が再選を目指すことを表明しているから、共和党候補に選ばれることはほぼ間違いないといってよいが、民主党は現時点では、有象無象といってよいほどの24人が名乗りを上げているが、いずれも泡沫候補に近い存在で、中では、もっとも知られている人物としては8年間副大統領を務めたジョー・バイデン氏がいるが、なにせ御年76歳では、あの一癖も二癖もあるトランプ氏の対抗馬としてはどうも新鮮味がないし、前回民主党大会でヒラリー・クリントンに敗れたバーニー・サンダースにしても77歳、とバイデンよりも年上だし、アメリカ人の多くが嫌う社会主義を称賛して止まないというアメリカ人らしからぬ政治信条は、一部には受けてもアメリカ全体の支持を得る可能性は限りなくゼロに近いから、72才の「筋肉バカ」風のトランプの方がやはり有利と見るのが妥当のようだ。
結局、大統領選の1年以上前の時点で、トランプさんの再選の可能性は相対的に見てかなり高い、というのが下馬評で、気の早いところは、「再選確実」との観測記事を出しているのだとか―――。
もっとも、2016年にトランプさんが選ばれた大統領選挙の一年半前には、オバマの後継としてのヒラリー・クリントンの下馬評が高く、トランプ氏は共和党の泡沫候補の一人にすぎなかったことを考えると、いかに何でも現時点で再選確実の太鼓判を押すのは早すぎるともいえるのだが―――。
昔に比べたら当る確率がグッと高まったといわれる天気予報に比べて、アメリカでも「選挙は水物」の格言はいきていて、選挙予測は当たらないのかも知れないし。
（6/11/19 10:00pm）
2019年6月7日
パレートの法則
学会で認められているのかどうか定かではないが、以前「働きアリの法則」というのを聞いたことがある。
全ての働きアリが忙しく働いていると思い勝ちだが、観察してみると、実はよく働くアリが全体の2割、まあまあ働き、時にはサボるアリが6割、サボりっぱなしのアリが全体の2割いるというのだ。
もし、この集団の良く働くアリ2割だけを取り除く、あるいはサボるアリ2割だけを取り除くと、残ったアリの集団は再び2割、6割、2割の働き者、まあまあ、サボり、の割合になるというのだ。
なぜこの比率になるのか？生物進化の過程で得た習性なのだから多分、種族維持の為には意味のあることなのだろうがはっきりとは解明されていないという。
こんな法則を思い出したのは、イタリアの経済学者パレートが提唱した「パレートの法則」というのが、この「働きアリの法則」とそっくりだったと気づいたからだ。
パレートの法則というのは、「全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出している」という理論だが、ちょっと分かり難いが、例として挙げられるのが、会社などの組織に利益をもたらしているのは全体の２割の人間であり残り8割はたいした貢献をしていないしその内の２割ほどは組織にオンブにダッコのフリーライダーだというのだ。
しかも、利益をもたらしている優秀な２割を新会社設立要員として外部に移したりすると、残った人員の中から２割が会社に利益をもたらすような働きを見せ始めるというのだ。
このパレートの法則も、有効需要の法則などのように確固とした経済法則として認められたものではないらしいが、言われてみると思い当たる節もある法則だ。
例えば上の例の会社を日本社会に置き換えてみると、なんとなくその比率は成り立ちそうだし、国会議員（総数約700人）でもまあまともに働いているのが2割、ただぶら下がっているだけなのが残り8割で、その中には自民党の桜井さんやら、維新をクビになった丸山議員のような「どうしよもない」議員さんが、全体の約2割、いやそれ以上いるような気がするのだが。
（6/06/19
10:00pm）
2019年6月6日
ファーウェー
我々が普通に使っているネットサービス、例えばYahoo!、Google、Facebook、Youtube等は中国本土では使えない。
中国でのネット検閲は大規模で、膨大な数の検閲要員を使っている上に、AIやディープラーニングも利用しての検閲まで利用して、政府にとって都合の悪い情報は完全にシャットアウトしているのに、政府の統制下にない外部ネットとの接続を野放しにしていては、折角の検閲システムに漏れが生じてしまう恐れがあるからだ。（中国に行くことの多い後輩の話では、タカさんのこのホームページさえも、時折、中国批判を書くからなのか、時にはブロックされているとのこと）
従って、中国本土では、中国独自のインターネットフォーラムやブログ等のポータルサイトが使われており、それ等のサイトに、政府に不都合な批判でも書こうものなら、通常は数分で削除されてしまうという。
ちなみにAmazonや楽天といったネット通販も、中国では使えずアリババという中国独自のプラットフォームが圧倒的な強さを持っているのは、やはり、こういったプラットフォームを中国政府が完全に押さえ、GAFAといわれる米国発の巨大IT企業の覇権を阻止する為だ。
さて、いよいよ第5世代移動通信システム（5G）の実用化が目前となってきている。5Gは今までと、何が違うのかといえば、通信速度が現在使われている4Gの100倍というからこのシステムがIT世界を一変させてしまうことは間違いない。その5Gの技術で現在世界トップにあるといわれるのが中国のファーウェーである。
今まで、常にIT世界の技術でトップを走っていた欧米は、5Gに関しては、圧倒的な規模を誇るファーウェーの後塵を拝しつつあるとも言われており、もし5Gがネット社会のスタンダードとなりその5G技術を牛耳るのがファーウェーということになれば、今までIT社会を牛耳ってきた米国が中国の軍門に下ることにもなるのだから、米国はこれを何が何でも阻止しなければならない所だ。「ファーウェーは中国政府のダミーであり製品にはスパイウェア―が組み込まれているからこれを使えば国家機密、防衛機密、個人情報などすべてが共産中国に筒抜けになる！」といって、米国はファーウェーの閉め出しをはかっている。別に確たる証拠があるわけではないがIT覇権を手放したくない米国にとっては絶対に譲れない所だ。
ファーウェーには中国政府の資本は入っていない（99％が中国の個人）のだから、米国の主張は言いがかりに過ぎない、と主張する者もいるようだが、GAFAを排除してアリババなどの他のスタンダードを使っている今迄の中国のやり方からすると、いかに個人株主ばかりといえども中国政府の一声でどうにでも統制可能な企業となれば、米国がファーウェーにつけている難癖もあながち根拠がないとも言い切れないし―――さて、5Gに日本はどう対処していけばよいのか―――うーん、ここは暫く―――様子見に徹していくしかないようだ。
（6/05/19 10:00pm）
2019年6月5日
アッシー君
天安門事件から30年だそうである。
共産党にとって全く都合の悪い大衆による民主化を求める示威行為を、人民解放軍を使って武力鎮圧した中国政府だから、その30周年を記念する民衆の動きを警戒し、全土に厳戒体制を引いているのは分かるが、当時、中国本土から政府の弾圧を逃れてきた政治難民たちの受け皿となり、海外への亡命の中継地ともなった香港でさえ、中国政府に忖度して、逃げて来た政治犯を引き渡す等、本土同様の民主化封殺の地になってしまっており天安門事件30周年の集会も全く盛り上がらないものになってしまっているという。
民主主義国なら人民を守る為の軍隊だが、一党独裁制共産党が牛耳る中国では、軍隊が人民に銃口を向け、戦車で踏み倒したというのだから―――その光景は、当時海外メディアの映像でも流されたものの、中国本土では映像も文書も全て封殺され、事件から30年もたてば、国民の中でも事件の記憶は完全に忘れさられようとしているという。
毛沢東による「大躍進運動」の悲惨な失敗により4500万人が餓死したという歴史同様、一体何人が殺されたのかさえも明らかにされぬ天安門事件も歴史の闇に葬られてしまいつつある――――本当に共産主義国というのは恐ろしい。
そんな民主主義と正反対にある中国だが、その勢いに恐れをなしたのか、どの国も天安門事件30周年に敢えて触れようとはしていないようで、日本もそのご多聞に洩れず、各新聞、各テレビともに、報じる記事は、ほんのわずかだ。
もっとも日本の無関心は、今に限ったことではない。30年前、天安門事件で中国が大騒ぎだった時、日本は丁度バブル真っ最中であり、若い女性は六本木のディスコのお立ち台で踊りまくり、遅くなって家に帰る時は、アッシー君といわれる若い男の子に車で家まで送ってもらっていた―――。
当時、タカさんは、民主化を求めて殺されて行く中国の若者達と、バブルに狂乱する日本の若者達―――彼我の違いを思って呆然としたものだったが―――。
30年も経つと、民主化運動も、バブルの狂乱も皆忘れられるという事だもの、70年以上前の戦争の記憶（参照：「歴史の記憶」5/24/19）がすっかり忘れられるのも仕方がないことかもしれない。
そういえば、あの時天安門に集まった人々、扇子を持ってお立ち台で踊っていたお姉ちゃん達、アッシー君は今、どうしているのだろう。
（6/04/19
10:00pm）
2019年6月4日
乱暴者二人
シンガポールで開かれたアジア安全保障会議に於いて、南シナ海情勢を巡り、米中が激しい非難の応酬を繰り広げた。
中国は領土紛争のある南シナ海で岩礁を埋め立てて、滑走路や格納庫、港など軍事施設を建設し、対艦・対空ミサイルを配備し、一方的にこの海域が中国の領土であるとの主張を続けているが、この一方的な領土、領海宣言には、この海域が公海であるという主張を続ける米国をはじめとする各国が猛反発を続けているのだ。
しかし、これらの声に対して中国は、「この地域は中国固有の領土であり諸外国によるいかなる非難も認められない」という姿勢を続けている。
中国というこの地域における超巨大大国が、力によって押しまくる情勢は、今や同じく超大国米国以外にではどうにもならない状況であり、今回のアジア安全保障会議に於いても、米国としては非難のトーンを高め、精々米艦船によるこの海域を航行する「航行の自由作戦」を行っているぐらいの対抗措置しかない。
いわば傍若無人に暴れるクラスの乱暴者を回りは手をこまねいてオロオロと見守るしかなく、精々、他クラスのもう一人の強い奴に一言注意してもらう位しか手がない状況といっていい状態だろう。
この海域の自由航行は、ゆくゆくは台湾への武力侵攻を目論む中国にとっては到底看過できない事ではあるが、今のところの米中の軍事力の差を考えれば、強行阻止もためらわれる状況だけに、歯噛みしているところだろう。
ただ、南沙に於ける人工島の建設やミサイル配備を、米国をはじめとする各国がいかに非難しようが強行し今や既成事実化してしまった中国のことだけに、台湾併合という中国にとっての「核心的利益」を成就させるためには、いつの日か米国がこの地域の安全保障を諦める日を待つか、米国を上回る軍備を備え台湾進攻をするかのいずれかにそのターゲットを置いていることのではないだろうか。
クラスの、力の強い乱暴者をおとなしくさせるには、それ以上の力を持つ者が説得するか、押さえつけるかしか方法がない―――というのが国際紛争に於いても成り立ちうる法則であり、力の弱いクラスメートたちではどうしようもない―――というのが現実である以上、ここは暫く米国の、この地域への関与を諦めないで続けて貰いたいところだが―――この米国という中国への対抗馬も、結構わがままで時には、日本をはじめとするクラスメートに無理難題を吹きかけてくることもあるだけになんとも状況はややこしい。
米国にとっての懸案である日本との貿易収支赤字の問題については先日の日米首脳会談ではトランプ氏が安倍首相に「選挙が終わるまでは待とう！」と猶予してくれ、丁々発止の言い争いは避けられたものの―――選挙が終わったら―――まさか米国の要求を呑まない訳にもいかないし、もし、この問題で日米が仲たがいしてトランプ氏が「頭に来た！ もう金のかかる南シナ海の安全保障からも手を引く！」なんて言い出したら、（中国は喜ぶだろうが）尖閣も、台湾も、南沙の島々も中国に占領されてしまう―――なんていう悪夢もあり得るかもしれない―――。
クラスの乱暴者も、中国も「話せばわかる」連中ではないところが何とも悩ましい。
（6/03/18 10:00pm）
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