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2023年8月
＜＜2023年：8月分 タイトル＞＞
08/31 ロシアがおそれるべきなのは 08/30 国民性、県民性 08/29 ホタテを食べよう 08/28 水が飲める国 08/25 ユダヤ人とイスラエル
08/24 無人戦争 08/22 企業はだれのものか 08/18 オーバーツーリズム 08/11 フェーン現象 08/09 LNGとリチウム
08/08 自動運転の助手席 08/07 旧暦のお盆 08/04 自然のバランス 08/03 就職氷河期 08/02 白いカラス 08/01
敵の敵は味方
2023年8月31日
ロシアが怖れるべきなのは
先日、ロシア国防省は、核兵器搭載可能なTU95爆撃機２機が日本海の公海上を7時間飛行したと発表した。この飛行には、スホイ３５戦闘機などが護衛したという。
日本海の公海上であるからこの飛行は国際規則に違反している訳ではないが、岸田首相とウクライナのゼレンスキー大統領の電話会談の時期に合わせてというタイミングであることから、ロシアに日本に対する威嚇の意図があったことは明らかだ。
更には、ロシアが実効支配している北方領土の貝殻島灯台は、資金不足の所為からかこの6年程、傾いたままて点灯もしていなかったのに、最近塗りなおしが行われ点灯して、ロシア国旗が掲げられたというニュースもある。
爆撃機の日本海飛行といい貝殻島のロシア国旗といい、にわかにロシアが北方領土に対する領有の主張を強めているのは、なぜなのだろうか。
ロシアの全人口は現在1億４千万人ほどだが、バイカル湖以東の北方領土を含む極東ロシアに住む人口は、その内のわずか650万人に過ぎない。これは千葉県の人口と同程度に過ぎない。
樺太や千島そして広大なシベリアという広い地域にわずか650万人が散らばって住んでいるに過ぎないと考えれば、大陸国ロシアにとって、国境を接する世界第三位の経済大国で1億２千万の人口大国でもある日本が構えていることが、不安で不安でたまらないし恐怖なのかもしれない。
もっとも、日本を怖れる前に、シベリアと何千キロにわたる国境を接する中国には、東北部にだけでも1億1千万の人口をかかえており、ロシア領への密入国だけでも、年間数百万人に上るというのだから、サハリンⅡの利権からも未練がましく手を引かず、媚びを売ってくる日本なんかを気にするよりも、余程注意を払うべきだと思うのだが―――。
シベリアでは、北朝鮮から送り込まれてた労働者と中国からの密入国労働者がいなければ、建設現場は成り立たないという現実もあるという。
ロシアも自国の領土を守りたいなら、日本なんかを怖れるよりも、清朝時代には実効支配していたシベリアから追い出されてそれを恨みに思っているだろう中国を怖れた方が余程現実的だと思うのだが。
（8/30/23 10:00pm S.T）
2023年8月30日
国民性、県民性
ラスベガスのホテルで飲んでいたら、ダンスフロア―のようなスペースでカラオケをやっていた。客の中から立った人が、一曲づつ歌うのだが、アメリカ人といえばマライア・キャリーやビヨンセのように皆めちゃくちゃ歌が上手い、とばかりおもっていたのに、次から次にでて来るのは、正直言ってどれも調子っぱずればかり。中には、あきらかに音痴までいたが、皆堂々と歌っていた。
アメリカ人は、歌の上手い下手は関係なし！恥ずかしいなどと言う気持ちは一切なし！折角のラスベガスでのチャンスなのだから―――、とばかり堂々とマイクを握るし、回りもそんな下手な歌い手を面白がって囃すのだから―――日本人とアメリカ人の国民性の違いにあらためて気づかされたものだった。
この例のように国民性という奴をやっぱり感じることがある。ラテン系のイタリア人やスペイン人は陽気で情熱的だとか、ゲルマン系のドイツ人といえば勤勉で、ルールに厳格だ―――といわれるが、概ね当たっているような気もする。（勿論、ネクラなラテン系や、パッパラパ―のゲルマン系もいるだろうが）
日本にも県民性というのがある。東北人は粘り強いだとか、沖縄や宮崎、高知などの人は、温かくて食べ物に困らないから、億劫がりでねばりがないなどともいわれるが―――もちろん、ねばりのない東北人や、やたらと根気強い南方人というのもいるとは思うが、タカさんの少ない経験からだと、この県民性とやらも、そんなに外れてはいないようにも思う。
そうそう、河合夫妻の選挙資金のバラマキで県の政界有力者が多数金を貰っていた広島や、昔から汚職が多く最近も数々のスキャンダルで話題になっているタカさんの住む千葉などは、なんらかの県民性が関係しているのだろうか―――？。
もっとも、千葉在住とは言えタカさんは千葉出身ではないし、タカさんのご近所にも、地元出身者はほとんどいないのが実情であることを考えると、最近の千葉には、県民性と言われるようなものは、ないのかもしれないが。
（8/29/23 10:00pm S.T）
2023年8月29日
ホタテを食べよう
海外に在留の日本人は、大体140万人内外といったところのようだ。その内訳は、一番多いのがアメリカの約40万人、ついで中国の約10万人、差なく豪州（9.5万人）、タイ（8万人）、以下カナダ’、英国と続くが、それぞれに留学、駐在、移住等々事由は異なるものの、いやいや海外に住んでいるという人は少ないのではないだろうか。
企業からの海外駐在員の場合、本人の赴任先希望が必ずしも優先される訳ではなく会社都合によって駐在地が決められるという場合も多いが、不思議なことに最初の任地を、好きになってしまうという例は多い。
欧米の国々の場合はその気持ちは、分らぬでもないが、後進国といわれる地域が最初の赴任先だった場合でも、そこが大いに気に入って、リタイア後は、その地に移り住んでいるという人もいる。
海外駐在手当も厚いし、子女教育面でもインセンティブがあったことなども関係しているだろうし、家も広いし、使用人も何人か雇えるし―――と、日本では味わえない暮らしができたこともあるのかもしれない。
勿論、海外駐在には困った側面も多い。国によっては、人種差別を感じることもあるだろうし、反日感情などもあるだろう。そういうのが嫌だと、勢い海外に住みながらもその国の言葉も中々上達せず、その国の文化や、人々との交流を避け、日本人同士で固まって暮らし、何年かの駐在期間を過ごしても、何も残らない――なんていう人もいないではない。
処理水の放出で中国国内での日本人駐在への嫌がらせなどがニュースになっている。中国の歴史や文化に興味を持ち、中国が好きになっている駐在者が多いだろうが、習近平政権が国内経済での失政から国民の目をそらすために、科学的根拠に基づかない対日バッシングを主導しているのだろうが、ただでさえ反スパイ法とやらで難癖をつけてビビらせ、更にこんな難癖をつけられては駐留邦人は、生きた心地がしないのではないだろうか。
日本の海産物の全面輸入禁止という措置にしても、日本の中国向けの主要海産物といえば、ホタテだが、福島での処理水放出からは随分遠い稚内でとれていることからしても、「嫌がらせ」以外の何物でもない。
まあ、我々はこれまで以上にホタテを食べて、この嫌がらせをはねのけよう。
（8/28/23 10:00pm S.T）
2023年8月28日
水が飲める国
ツアーで海外旅行をしたが、飲み水に当って滞在期間中ずっと下痢に悩まされて散々だったという人がいた。海外に行く、日本人がまず注意しなければならないのは飲み水だといわれる。
硬水と軟水の違いといったことは勿論、水道水でさえ殺菌が完全ではないことなどの違いが大きく、日本の水に慣れている日本人の胃腸は、海外の異質な水にびっくりしてしまい、生水を飲んだりすると一発でやられてしまうらしい。旅行中は例えレストランといえどもミネラルウォーター（しかも開栓されていないボトル）を飲むこと―――等と書かれた旅行案内書まである位だ。
その点、水道水でさえ飲んでも安全だという日本は、世界でも珍しい国だという。降った雨や雪が急峻な山から流れ出て、短い川を伝って流れ出るから―――とも聞くが、確かに大河を長い時間かけて流れでてくる大陸国の水とは大分様子が違っている――と聞けばなるほどとも思う。
腹を壊すだけではなく、海外の水が原因で肝炎になってしまう―――という例もあるようだ。肝炎は悪くすると肝硬変などになってしまうこともあるから、やはり海外での生水には注意が必要だ。
ペットボトル入りのミネラルウォーターなんてなかった時代のフランスでは、子供にも、ワインを水がわりに飲ませていたと聞いたことがあるが、多分本当だろう。（現在は法律上は16歳以上となっているらしいが）
中国でも食事中に水を飲むということはなく、必ず湧かしたお湯で入れたお茶などを飲むのが礼儀になっていると、中華料理店のおばさんにきいたことがある。（まあ、それは日本も同じだが）
レストランでも喫茶店でも席に着くと、まず店員さんがコップに入れた水を持ってきて、客も注文を決める前に、なんの恐れもなくそのコップに口をつける―――なんていう国は、日本位のものらしいが、この暑い最中だと特に、安心して水の飲める国に住んでいることをラッキーだとも思う。
（8/27/23 10:00pm S.T）
2023年8月25日
ユダヤ人とイスラエル
世界人口80億人の中にユダヤ系と言われる人々の占める割合は0.2%に過ぎないが歴代ノーベル賞受賞者は約20％に及ぶというから、やはりユダヤ系には優秀な人が多いのだろう。
現在約2000万人と言われるユダヤ系の人々だが、イスラエルに600万人、アメリカに300万人、カナダやイギリス、フランスをはじめとする西欧諸国、南米やイラン、トルコ、あるいはオセアニアなどあらゆる国、地域にまたがって居住している。ウクライナのゼレンスキ―大統領もユダヤ系だが、ロシアにも多くのユダヤ系の人達が住んでいる。
日系人などの多くの移民が、そのルーツの国、地域との縁が数代もすると希薄になる（日本語をしゃべれない日系3世、4世がほとんどだ）のに比べて、ユダヤ人は、2000年以上前に故郷の地を離れて世界に離散したのに、未だにユダヤ人としての強いアイデンティティーを保持しているのは、ユダヤ人であるという条件が、厳しいからだ。
まず第一に母親がユダヤ人であることが絶対条件だ。（戸籍上、父親がユダヤ人であっても、その子がユダヤ人であることの証明にはならない）
さらには、ユダヤ教徒であること、家庭ではユダヤの言語であるヘブライ語を話していること等々、実に厳しい条件がある。
従って日本人の両親をもっているが、ユダヤ教信者であり、ユダヤ文化が大好きで、ヘブライ語もしゃべれるとしても、彼（あるいは彼女）はユダヤ人とは認められない。もちろん、イスラエル国籍を取得することは、可能だがそれはあくまでもイスラエル国民ではあるが、ユダヤ人とは認められないのだ。
ユダヤ人は、そういった強い宗教心、母語に対する愛着、あるいは古代からの風習や習慣の維持といった行動が、移住先の民族との非融和となって現れてしまうことで、移住先で差別を受けがちであったし、「ベニスの商人」のシャイロックのように「悪人」扱いをされ、ナチスのような虐殺の被害者ともなってきた。
中世、差別されどんなギルド（職人組合）からも排除されていたので、彼等は、人々が嫌がる仕事といわれた金融業などにつかざるを得なかったために（ベニスの商人のシャイロックも金貸しとして登場する）更に差別の対象ともなったのだが―――。そのことが後にロスチャイルド家やゴールドマンサックス、シティーバンクなどの金融王を築く基になったし、石油メジャーや穀物メジャーもその大半はユダヤ系だ。
ユダヤ系とイスラエル、なんとも興味深い人達だ。
（8/24/23 10:00pm S.T）
2023年8月24日
無人戦争
日本は人出不足だといわれ外国人労働者の移入だとか業種によってはロボット化・無人化が図られている。
ある程度の経済規模を維持しようとすれば、将来的な人口減が見えている以上、移民の受け入れや機械化の推進は、必然だと言わざるを得ないが、戦争だとか防衛となれば自衛隊も既に人が集まらない状況では、ワグネルのような傭兵の受入れしか手はないが、日本では、それはとても現実的でない。そうなれば、防衛は、もはや無人化の一手しか考えられない。
ロシアの侵攻に対するウクライナの防衛戦をみていても、開戦前4000万人だったウクライナの人口の内、既に1000万人が国外に逃れているぐらいだから、日本が有事となればいかに島国と言えども、多くの国民が海外脱出してしまうかもしれない―――そうなれば防衛は、ますますドローンだとかミサイルのような無人化を図らざるを得ない。きっと戦闘機や爆撃機でさえ徹底した無人化が図られるかもしれない。
兵員の不足と訓練不足に直面しているロシアは、反撃能力が手薄なウクライナの民間インフラや民間施設ばかり攻撃しているが、将来起こり得る台湾有事の際にも、中国軍の攻撃は、軍隊の上陸などという前時代的な形ではなく、ドローンやミサイルによるものになり、場合によっては核という徹底した無人兵器が使われるかもしれない。
台湾有事は日本有事でもあるが、「自国が侵されない限り、他国の紛争には関与しない」というモンロー主義の精神を根本的にもっている米国や、政権が代われば又すぐにでも反日になる韓国との同盟に大きく依存する訳にもいかない。日米韓の連携なんていっても、今までの事を考えたら、それを信頼しきっていては、危ない。
勿論、だからといって米中対立の中で、いずれにも与しない、などという独自外交（いいかえればコウモリ外交）では、最前線にある日本では、米からも、中からも爪はじきにされ、今のアフガニスタンやロシアのように、世界の誰からも相手にされない国になるだけだ。
そもそも、米中対立と聞いても、日本は、その対立の最前線にあるのだという自覚を日本政府はもとより、国民のどれほどがもっているだろうか。
核兵器を全て放棄し、5年前にクリミアをロシアにとられても尚、親露か親NATOかで揺れていたかつてのウクライナが今は、無人戦争の最前線にあるということに色々考えさせられる。
（8/23/23 10:00pm S.T）
2023年8月22日
企業はだれのものか
西武HDの株主総会で強制性交問題出場保留中の山川穂高選手の処分やライオンズ選手の身だしなみについての質問をした株主がいて、社長が「現在、検察の最終判断を待っている状況」と回答し謝罪したという。
会社の決算状況や、経営計画を株主に発表し承認を得るための総会という建前であるのに、こんな問題まで質問が出て議長は回答しなければいけないというのも、言い方は悪いが、株主総会というものが、いかに形骸化したものであるかという証左であるような気がする。
そもそも、一般の株主が、なにがしかの株式を買う理由は、その株の配当なり値上がり益を得ようということが目的であって、配当が期待できない、株の価格が下落するとなれば、さっさと株を売ってしまうもので、従業員や取引先ほどにはその企業への愛着は薄く、配当は望めない、株が暴落中、なんていうことになればさっさと他社の株に乗り換えてしまうだろう。そんな一般株主の中には、暇だから株主総会にでも出席してなにがしかのお土産を貰って帰ろう、あわよくば山川選手についての意見でも述べて、マスコミの注目を浴びればラッキー！なんていう株主がいるだろうし、（今は少なくなってきたが）総会屋としてなにがしかの利益にあずかろう―――なんていう連中もいるだろう。
昔は、乗っ取り屋と呼ばれる内外のゴロも多かったが、最近は取締りも厳しくなり、それに代わってでてきているのが、「物言う株主」という連中だ。物言う株主は、ファンドなどによって集めた大きな資金で取得した大量の株を背景に、自分達の息のかかった役員を送り込もうとしたり、あれこれ経営に口を挟もうとしたりするが、まあぶっちゃけその最終目的は、その会社を食い物にして儲けようということである。
米国的経営では株主は「企業の持主」の地位にあるとされるが、その企業の唯一のステークホルダー（利害関係者）であるかといえば、そうではない。企業に利害関係を持つ者は沢山いる。その企業に融資している金融機関、従業員とその家族、仕入先やその従業員、顧客（地域社会）、行政機関等々等々思いつくだけでもかなりの数に上る。
そう考えた時、「企業は株主のもの」だといって儲けるのが目的で群がる「物言う株主」が、傍若無人に企業を手玉にとるのを、傍観しているしかなとしたら――スッキリした気持ちにはとてもなれないのだが。
（8/21/23 10:00pm S.T）
2023年8月18日
オーバーツーリズム
スイスの古都ルッツエルンを訪れた事があった。スイスの中央部に位置する風光明媚な街で、中世からの建物、有名な屋根付き橋、フランス革命の時に王家に雇われたスイス傭兵の記念碑だという「瀕死のライオン像」等々、観光スポットには事欠かないが、特に中世から続くという旧市街を散策できたのが楽しかった。
ルッツエルンを訪れる観光客は多く、特に旧市街のメインストリートは、バカンスで訪れる人も多くごった返していたが、メインストリートからの横道は、ことごとくバリケードがあって観光客が入れないようになっていた。街全体の繁栄の為に観光客は歓迎するが、街の住人の静かな暮らしも守りたいという姿勢に、観光立国と言われるスイスで培われたオーバーツーリズムに対する知恵に感心したものだった。
コロナが一段落したことで海外からの観光客が増えているという。先月の訪日観光客は、東南アジア、欧米などを中心に、人数的にはコロナ前の８割に達したという。中国が訪日観光を禁じていてこの数字だから、8月から中国が訪日観光を解禁したとなると―――一体どこまで増えることかとちょっと心配になってくる。
コロナ前、大宰府に行った時、回りはクルーズ船で来た中国人観光客で一杯で「中国人だらけ」と言ってよい状態だったことは、この「日々早々」でも書いたが、あの状態が間もなく古都京都や、浅草仲見世で繰り広げられるかと思うと、観光業や飲食業に携わっていない一市民でしかないタカさんとしては、あのルッツエルンのような、観光客と一般の区分けみたいなものをやって欲しいような気がしないではない。
PM2.5がひどくて大気汚染が深刻だった頃は、日本へ来る中国人観光客の目的は「きれいな空気を吸うため」と、信用のおける医療品や化粧品、家電などの爆買いがメインだったというが、最近は中国の景気もそれほどは良くないので爆買いは無理なので、政府が輸入を禁止している日本食を食べる為といった目的に切り替わっているという。
ということは、回転ずし店や、居酒屋辺りには、これからはドカドカと中国人観光客が押し寄せてくるのだろうか―――。
原発の処理水放出に難癖をつけ日本の水産物の輸入を禁じている中国政府が、日本への団体旅行を解禁し、その団体客は、日本では中華料理や、新大久保のコリアタウンではなく、日本料理店や居酒屋に押しかけてくるというのだから―――そうなって混む前に、日本食を食べに行っておくべきかもしれない。
（8/17/23 10:00pm S.T）
2023年8月11日
フェーン現象
空気中に含まれる許容水蒸気量は温度によって違う。
従って、気温10度での湿度50％と、気温30度の湿度50％では大気中に含まれている水蒸気量は随分違うのだ。寒い日の洗濯物の方が暑い曇った日より意外なほど早く乾くのは、洗濯物の水分がどんどんなくなっていくからで、これは皆よく経験して知っていると思う。
ここのところ山形や富山、新潟などではフェーン現象が続き、38度だとか39度といった猛烈な暑さに見舞われているのも、このこの空気中の許容水蒸気量の違いによるものだ。
すなわち、太平洋側から水分を多く含んだ温かい空気が奥羽山脈などの本州の背骨を吹き上がる内に雲となって水分を失い、日本海側に吹き降ろす時には乾いた空気になっている為に、今度は温度が上がり易くなっているために起きる現象だ。
水分を多く含んだ空気は、高度が100メートル上がる毎に、0.5度温度が下がるが、水分を失った空気は、今度は100メートル下る毎に、1度づつ上がるのだ。
すなわち太平洋側から吹き上がり2000メートル級の山脈に当って雲を発生させた空気が、頂上付近で温度20度になったとしたら、今度は山形や新潟、富山に吹き降ろして平野分達した時には、40度近くにまで上昇しているという計算になるのだ。
ただでさえ暑い埼玉や群馬の空気が、山を駆け上がり水分を失い、それが山形や新潟、富山にグンと温められて吹き降ろすのだから、暑くなる当然でたまったものではない。
このフェーン現象のメカニズムは、冬の間は逆に働き、シベリアから日本海を渡って吹き付けた寒気が日本海側で山に当って大雪を降らせ、太平洋側に吹き降ろす際には、関東からっ風といわれる乾いた空気になっているのだ。
それにしても、世界でも有数の豪雪地帯といわれる本州の日本海側が、夏は日本でも有数の猛暑地帯だというのだから―――なんとも奇妙なことではないか。
そういえば、山形の夏は暑いので、美容院や理髪店には、「冷やしシャンプー」という名物サービスがあるし、また「冷やしラーメン」という名物もあるというが―――冷やし中華とはどう違うのだろう。
暑い盛りのこの頃は、昼めしには、ソーメンやざるそばが多いけれど、一度冷やしラーメンとやらも試してみたいものだ。
（8/10/23 10:00pm S.T）
2023年8月9日
LNGとリチウム
ロシアがヨーロッパへの締め付けの目的で、LNG輸出を絞ったり、止めたりといった事をやり始めてからはや1年半が経ったが、最初は、困り切って頭を下げてくるだろうと思っていたヨーロッパ各国が、対ロシアで結束は固めてしまい、供給を絞った側のロシアの方がいまとなっては、原油やLNGの持って行き場に困る始末で、インドや中国に買いたたかれている有様だ。資源輸出が財政の大黒柱だったロシアにしてみれば、嫌がらせのつもりで始めた規制が、今や自分達の首を絞める結果になりつつあるのだから、プーチンとしても「こんなはずではなかったのに―――」という思いにちがいない。
欧州はロシアからの供給が減った分は、結局中東やアフリカなどからの輸入に切り替えが進んでいるし、ここ半年あまりはエネルギ―の国際価格も下がり気味だったこともあって、もはやそんなに困ってはいないともいわれている。
いつ終わるとも知れないウクライナ情勢だが、いずれ何らかの形で終わるのだろうが、そうなっても「ロシアに依存することはアブナイ！」「ほとほと懲りた！」と身に染みて経験した欧州だから、少なくとも数年、いや数十年は例えプーチンがいなくなったとしても、ロシアからの輸入に大きく依存するなどというリスクは取らないだろう。
中国がリチウムなどのレアアース類の輸出規制に踏み切った。これもリチウムの場合、現在中国がほぼ一手に供給しているという状況から、当座は困る所も出てくるだろうが、オーストラリア、チリ、トルコ、インドネシアなどリチウム資源を持つ国はあり、今までは中国のリチウム価格が安かったので採掘していないだけだったが、中国が輸出規制をはじめて市場価格が上がれば、すぐにでも供給し始めるだろうし、そうなれば中国がいつか輸出を再開したとしても、一度煮え湯を飲まされた国々が中国依存に戻るということはないだろう。
ロシアのLNGにしても中国のリチウムにしても、一度信用を失ってしまえば、再び信用を取り戻すのは容易なことではない。
強権国家のロシアにしても中国にしても、信用という土台に立ってこそ成り立っている市場主義経済の知識に乏しいことが、結局は国の経済を衰退に追い込むということをいやという程学ぶことになるだろう。
（8/08/23 10:00pm S.T）
2023年8月8日
自動運転の助手席
ドライバー不足が懸念される2024年問題が話題になっている。
現在ドライバーという職業に就いているのは、トラックドライバーが80万人、バスドライバ―が14万人、タクシードライバーが35万人の計130万人だが、そのうち特にトラックドライバーは、高齢化がすすんでいることや、女性進出が遅れていることなどに加え運転免許制度が複雑すぎることだとか、コロナ禍等の要因も加わってドライバー不足の懸念がつのっているらしい。
長期的な視野に立てば、いずれ自動運転がレベル４に達し、人が運転しなくてもよくなるということも考えられるが、トラック輸送の場合、運転は自動化できても、荷物の荷積み、荷下ろし作業などの運転以外の作業を自動化することは難しく、まして、最近ますます増えている宅配などの玄関先までもっていく、といった細かい作業は、自動化していたのではコストがかかり過ぎるという問題もあって、やはり人力に頼るしかないというのが実情だ。ファミレスなら、猫型ロボットに品物を客のテーブルまで運ばせれば、客が品物を勝手に引き取ってくれるが、宅配便ではそうもいくまい。
開腹手術も最近は、機械が行う方が某医大で医師が行うより安全だなどと言われるし、判例の検索などの法律事務も、AIにやらせた方が早いし正確だなどとも言われているから、この先ますます機械化、AI化が進んでいくだろうが、トラック輸送の、荷積み、荷下ろし、宅配といった細かい、面倒くさい作業は、最後まで人間の手で行う必要があるとなると―――機械化によって人間は楽になる―――という人類が当初描いた夢の未来とは、真逆の方向に進んでいるような気がしないではない。
いずれ日本の車が全部、完全自動運転になったとしても、その助手席に乗った人間が、荷物を玄関先までもっていく作業をするし、その自動運転車の窓ガラス拭きもやる―――なんていうことになるのだろうか。
（8/07/23 10:00pm S.T）
2023年8月7日
旧暦のお盆
有名な仙台の七夕祭りは新暦でいうと8月7日だが、関東で一番大きいといわれる湘南平塚のものは新暦7月7日に行われる。
両市ともに盛大な七夕祭りで全国的に観光客を呼びたいが、同じ日に開催したのでは、カブッテしまい観光動員上よくないので、それを避けたのだという説もあるがどうだろうか。
お盆も、いまだに新暦と旧暦の二つがあるのはなぜだろうか―――学生時代、夏の間3カ月程、鳥取の山奥のお寺に寄宿して勉強していたことがあったが、あのお寺では旧暦のお盆には、和尚さんと、その息子さん二人の3人で村中の家々を回っていて実に大変そうだったが―――お盆の時期が集中すると、人出不足のお寺が大変だからと、仏教界が二つに分けて欲しいと要望したからなんていうことはないとは思うが。
鳥取のお寺にこもってから、もう60年近く経つが、あの村のお盆は相変らずなのだろうか―――。
タカさんの住んでいる街も、お盆は新暦でやるところと旧暦でやるところが、半々だという。近くのスーパーでも新と旧の両時期に、盆飾りの売り出しをやっている。
タカさんの家は、お盆は旧暦でやっている。そろそろ提灯を天袋からだしたり、まこもやフェイクのハスの葉や、迎え火、送り火用の苧殻・ほおずきや盆花などを買って来る予定だが、これだけ暑いと余り早くにそろえるとお盆の間中はもたなくなるかもしれないので―――要注意だ。
そうそう盆飾りの午と牛は昔はキュウリとナスで作ったが、これもこれだけ暑いと直ぐいたむかもしれないので、やはりまこもや藁でできたフェイク物を買ってきた方が安全だ。
そうはいっても、暑い盛りの8月のお盆の方がゆかた姿も似合うし―――学校も夏休みだし、会社もまとまった休みにするところが多いから、年中行事としては―――やはり暑い最中の旧暦の方が気分が出るように思うが―――。
（8/06/23 10:00pm S.T）
2023年8月4日
自然のバランス
20年程前に比べると都心部のカラスの個体数は1/7に減っているのだとか。確かに以前はごみ収集日には、出された生ごみの袋をカラスが突っつきまくって集積所周辺が悲惨なことになっていたが、最近はゴミネットをかけるなどのゴミ出しマナーも良くなってきており、3年以上に及ぶコロナもあって飲食店などからのゴミの量も減ったことで、エサの相対量が減ったカラスたちは、個体数を減らしているのだろう。
自然界の生物の個体数は、長い歴史の中で食物連鎖ピラミッドを形成することでバランスをとってきたが、最近は、急激に増える人類によるかく乱によって、しばしばこのバランスが崩れ、中にはもうすでに取り返しのつかないほどになっているものもある。
カラスが一時期増えたのも都市化によって森を追われたカラスが都会に進出、都合の良いことに都市には天敵のワシやタカなどが少ないし、生ごみという栄養豊富なエサが食べ放題だったこともあって爆発的に増えたということだったのだが、これまた人間の都合によってそのエサが大幅に断たれたため個体数が減っているという訳で、自然淘汰というよりも人為的淘汰の結果であるようだ。
もっとも、この勢いでカラスが減り続け都心からカラスが姿を消すというような事態となれば、今度はカラスが自然界でエサにしていたネズミやハトなどが増えはじめ、人間にとってはカラス以上に問題となりかねないが―――まあ、ネズミやハトが増えればカラスの個体数も、回復するだろうから――――カラスを絶滅危惧種に指定して保護するなんていう必要もないとは思う。
アメリカや欧州では、家畜を襲うからというのでオオカミを絶滅に追いやったら、今度はオオカミが捕食していたアカシカやヘラジカの個体数が増えすぎ、彼等が樹皮や下草を食い荒らす為に、森が荒廃したという例もあり、近年はオオカミを復活させて森の再生を図るという運動をおこなっており、かなりの成功を収めているとも聞く。
日本でも、エゾシカの食害によって荒れている知床の自然林を守るために、絶滅してしまったオオカミを復活させようという運動があり、近年オオカミ導入への賛成は、約50％、反対は20％ほどだというが――――鳥獣保護法とやらがあってベランダにつくられたハトの巣すら撤去できないという日本の不便な法律では、実現までの道のりは遠いようだ。
やっぱり、自然のバランスを崩している一番の犯人は、人間ということなのだろう。
（8/03/23 10:00pm S.T）
2023年8月3日
就職氷河期
7月に国家統計局が公表した中国の若年層（16～24歳）の失業率は21.3％だった。日本の場合、この年齢層の若者の完全失業率は、4％程度だというから、この中国の若年層失業率の高さは異常だ。
しかも、その数字の出元が、数字が信用できない、と言われる中国国家統計局であるというのだから、この21.3％もかなり下駄をはかされているのではないか、実際はもっと高いのでは―――等とも言われている。例えば、実際のこの年齢の都市部人口の9600万人のうち、3分の2を占める6400万人は「非労働人口」とされて失業率計算から除外されているが、現在、実際在校生として教育を受けているのは実は4800万人であり、約1600万人の教育を終えていて在校生ではない、といういわゆるプー太郎1600万人が非労働人口とされてしまっているという。この1600万人を「失業中」として加えると、この年齢層の失業率は50%近いということになってしまう。
日本で就職氷河期といわれた2000年代初めの、この世代の失業率は8－９％だったと思うが、それでもその20年後の今でもこの世代が背負った苦難は続いていることを考えると、今の中国における若年層の異常な失業率の高さは、一党独裁社会である共産中国の先行きにとっては、暗雲以外の何物でもないと思うのだが。
（8/02/23 10:00pm S.T）
2023年8月2日
白いカラス
フェイクニュースだろうと思ったが稲城市の神社に白いカラスがいるという話だったが、飛んでいるという画像を見せられてわが目をうたがったのが「白いカラス」だ。画像を見ても尚フェイクだろう！と信じ切れなかったが、調べてみると突然変異によって数万羽に一羽位の割合で白いカラスが生まれることは歴史的にもあるということで信じざるをえなかった。
そうだとすると、あり得ないことのたとえを表す中国の諺「烏頭白くして、馬角を生ず」（頭の白いカラスが現れ、馬に角が生える）も2000年振りに変更の要があるかもしれない。（まだ角の生えた馬がいたという話は聞いていないが――）
中国の神獣といわれる空想上の虎、白虎も極めてまれだが突然変異で生まれてくるようで、珍しい物好きな日本人はこれを世界からかき集め、今日本の数か所の動物園には、白い虎がいるそうだ。
そういえば、20年程前まではラスベガスの一番人気のショーはドイツ人兄弟のジークフリート＆ロイによるホワイトタイガ―ショーだったが、ショーの途中でホワイトタイガーが暴れだし、ロイに咬みついて咥えて暴れて以来、ショーは中止になってしまったが―――。（ロイ氏はその後、回復したものの、コロナで亡くなったとか）
白いカラスや、白い虎、白いライオンまでいるとなると、今迄、「あり得ない」と信じ込んでいたものも、ひょっとしてあり得るかも―――と思えて来はしないだろうか。
こうなって来ると、その内に黄色いカラスや、赤いカラスがいるなんていう話が出ても、そんなのいる訳ないじゃないか！とは言下に言い切れなくなって来はしないだろうか。
世の中注意していないと国単位でフェイクニュースを流すところもあるし―――何を信じればよいのかわからなくなって来そうだ。
（8/01/23 10:00pm S.T）
2023年8月1日
敵の敵は味方
ロシアのウクライナ侵攻で、グローバルサウスと言われる国々の中には、あまりかかわりたくないという国も多い。自国も色々問題を抱えており、それどころではない、というところやロシアには援助してもらっていたし、これからも援助を期待したいから、等々と言った様々な理由もあるだろう。
ウクライナの側に立っている国だって、ウクライナを支援しないと明日は我が身になってしまいそうだからといった理由の国も多いだろうし、又それぞれに自国の利害と関係していそうだ。
勿論、見方によっては「自由」対「強権」などという見方もあるがやはり理念よりも損得が大事、というところが多そうだ。
その点、ちょっとわかりにくいのがゴリゴリのイスラム教シーア派の国イランがなぜロシアの側にたって大量の武器弾薬やドローンを供給しているかという点だ。もちろん、タダでという訳でもないだろうが、金の為だけという訳でもなさそうだ。やはり、思い当たるのはイランの最大の天敵アメリカが、ウクライナの側にいるから「敵の敵は味方」の兵法のセオリー通りにロシアに肩入れするのだろう―――ということだ。
78年のイラン革命以来、アメリカはイランにとって天敵である。
イスラム教シーア派の大本山ともいえるイランにとってロシアとは宗教的なつながりがあるわけでもないが、「憎きアメリカ」がウクライナに肩入れしているとなれば、そのウクライナに侵攻しているロシアに肩入れするのはある意味必然だということになる。
同じ共産党国でありながら、路線対立から仲たがい状態であった旧ソ連と毛沢東率いる中国が、ニクソンの訪中を受入れて、アメリカとの国交を回復したのも、毛沢東の中国と当時のアメリカにとって、旧ソ連という共通の敵がいたからであり、典型的な「敵の敵は味方」のセオリーが世界政治の大転換点になったのだ。
世の中、何も外交だけではなく、すべからく人と人の関係においても、お互いが同じ相手を嫌っていると、別に利害関係はないのに親しくなったりするなどと言う例はいくらもあるだろう。
いやむしろ、人間社会、合理的に割切った損得関係で動いていることの方が少ないかもしれない。いやはや人の世は、なんともややこしい。
（7/31/23 10:00pm S.T）
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