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2023年11月
＜＜2023年：11月分 タイトル＞＞ 11月
11/30 キブツの思い出 11/29 一神教と多神教 11/28 ラッキーパンチ 11/27 支持率低迷 11/24 尖閣ブイ 11/22
フーシ派 11/21 やまとごころ 11/20 クマが出たら 11/17 親孝行 11/15 ボジョレーヌーヴォー 11/14 ギャンブルで損をしない方法
11/10 戦争の終え方 11/09 応報刑か目的刑か
2023年11月30日
キブツの思い出
イスラエルに出張した際、イスラエル人の同僚の紹介でキブツといわれる共同農場を訪れたことがある。ほんの半日ほどの見学のようなものだったから詳しいことは言えないが、ソ連のコホーズ、ソルホーズ、中国の人民公社のようなもので土地は国であったり、構成員の共同所有で構成員は、集団で働くといういわゆる原始共産制のような仕組みだったと理解したが、「資本論」の共産思想は、ユダヤ人であったカール・マルクスが、このユダヤ人が持つキブツの思想をパクったのだろうと思ったものだ。
このキブツ村では、子供達はキブツが運営する学校兼寄宿舎のようなところで共同生活をしており、小さい頃から当然思想教育というか愛国教育が徹底的に叩き込まれているのだろう、初代首相ダヴィド・ベン＝グリオンや女性首相だったゴルダ・メイアなどのゴリゴリのシオニスト政治家もキブツ育ちだとか―――。
イスラエルとパレスチナの二国家共存を定めたオスロ合意や、国連決議に寄ればヨルダン川西岸地区やガザはパレスチナの領域とされるが、ここにユダヤ人が入り込み次々と「入植地」と称してパレスチナ人の土地を奪い開拓、キブツを設立しているというのだから、パレスチナ人が怒るのも分からないではない。
アメリカはトランプ前大統領の時代、「イスラエルによる入植は違法ではない」と言い出し、それまでの国連決議も無視し、イスラエルの入植者の側に立つことを宣言している。
これによってパレスチナ側の若者たちをはじめ、（このアメリカの掌返しに）絶望感をもった連中が、イスラエルに対するテロ攻撃に及んだわけだが―――古く辿れば4000年以上前から続く、パレスチナとユダヤの民族、宗教紛争が根にある問題だけに、イランをはじめとする反イスラエル勢力とアメリカという親イスラエル勢力との争いもさらに絡んでいるから2日か4日の停戦合意ではとても納まりそうもない―――というところだろうか。
(11/29/23 10:00pm S.T)
2023年11月29日
一神教と多神教
イスラム教徒は豚肉を食べない。コーランに「豚肉を食べてはいかんぞよ」と書かれているからだという。なぜアラーは豚肉を禁じたのか？ イスラム教のルーツでもあるユダヤ教の戒律に「ヒヅメが分かれていて反芻する動物（牛や羊など）しか食べてはいけない」という戒律があるからだという説や、「開教の地であるアラビアは暑いので、豚肉は半ナマだと腹をこわしやすく、体に良くないと思われていたからではないか」という説などを聞いたことがあるが―――何せ我々人間には知りようもない絶対神アッラーのお言葉である以上、あれこれ詮索するのも畏れ多い（？）ようだ。
以前にも書いたがユダヤ教では、イカ・タコ・エビ・カニ・貝類などの「ヒレやウロコがない魚介類」を食べてはいけないらしいがこれも、「なぜだ！？」とも思える戒律だが、経典にそう書かれているからだという。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教などの一神教では、なにしろ唯一絶対の存在である神が一度、言ったことは絶対的に正しいとされているから、その後に人間ごときが修正するわけにもいかないし、その戒律を破ったら死後、天国に行けないで未来永劫、地獄で苦しむことになる！なんて脅されたら信者は、豚肉もエビ、カニも絶対口にしないだろう。
日本には神道もあれば仏教もあるしキリスト教もイスラム教もオーケーだという素地があり、多くの人が日ごろ宗教を意識していない。そもそも日本には昔から、神様だって「八百万（やおよろず）」もいて、仏さんも、キリストさんもいるし、妖怪（神の一種？）に至っては、漫画家などによって新手の物が日々どんどん生み出されているのだから―――。
そうそう、ボビー・バレンタインが千葉ロッテの監督だった時には球場内に「ボビー神社」があったし、乃木神社や東郷神社など神になった人は枚挙にいとまがない―――ユダヤ教のの信者が聞いたら気が狂うかも。
日本神話の神々も皆、個性がある方ばかり。天照にしても弟のスサノオが言うことをきかないからといってスネて天岩戸にかくれてしまったり随分と人間的（？）だ。
プーチンや習近平、金正恩といった絶対的支配者よりも、有象無象の連中がワイワイやっている（一応）民主主義国と言われている国の方が、まだマシといえるのと同じだろうか？
(11/28/23 10:00pm S.T)
2023年11月28日
ラッキーパンチ
「どうしたら、そんなに強くなれるのですか？」と視聴者から質問された大関霧島が「稽古しかない」と答えていたのが、九州場所で優勝した直後だっただけにすごく実感があった。
例えば場所前にケガをしてしまい稽古が十分には出来なかったという朝の山関が、途中出場したものの4勝4敗7休の負け越しに終わり三役復帰目前といわれていたのにも関わらず来場所は又番付が下がってしまうであろうことは、やはりケガの為十分な稽古が出来なかったことも大きく影響しているのではないか、あるいはどこかしらケガが体調不良から稽古が十分にできなかったであろう力士達が良い成績をあげられなかったことも、やはり稽古量と成績の相関関係に原因がありそうで、霧島関の言っていることが妙に腑に落ちた。
まあ、そういえばスポーツに限らず世の中、準備をしていない者に良い結果は訪れないというのは、どうも事実のようだ。全く勉強もしていないのに抜き打ちテストで一番の成績をとるとか、突然アラブの王族からプロボーズされる、といったことはあり得ない。もしあったとしたらそれはドッキリカメラか、ロマンス詐欺であって本気にすれば、笑い者にされるか、なけなしの金をだまし取られるだけだ。十分な稽古を積み努力を続けたものにのみ幸運は訪れるのだ。
そうそう、以前、よく歩いていた中山競馬場からの帰り道（通称オケラ街道）に「競馬必勝法」なる本を売っているタンカバイ（啖呵売）の香具師がいたが、彼の売り文句によれば「この本の通りに馬券を買えば朝の1Rから勝ち続け、勝った分を全て次レースにぶち込む方式で買い続ければ、最終12Rまでには100億円になっている―――！」というものだった。あの本が一冊2万円とか3万円だったらしいが―――100億円稼げる必勝本をなぜたった2万円で売っているのか？という疑問を持たない人が、この詐欺に引っかかっていたようだ。そもそもギャンブルはすべからく胴元が儲かるようにできており、賭け子は、絶対に勝てないようにできているのに―――！
再度言うが大関霧島の言った通り、稽古（準備）無き者にラッキーパンチはないのだ。
(11/27/23 10:00pm S.T)
2023年11月27日
支持率低迷
イラクの独裁者、サダム・フセインが失脚する直前、イラク国民の彼に対する支持率は、驚異の98％に達していると新聞は報道していた。しかし、多国籍軍による攻撃の結果、彼が失脚し捕らわれの身となった直後、彼を支持すると答えた国民はほんの一部で、人々は街に繰り出し彼の銅像を引き倒し歓声を上げるなどのお祭り騒ぎとなった。
独裁政権下の恐怖政治においては一言でも「フセインを支持しない」などと発言すれば、たちまち秘密警察に捕まり国家反逆罪で闇から闇に葬られ一族郎党も大変な目にあうことを国民は皆知っており、ウソでも「フセイン支持」を叫ぶ以外の選択肢はなかったのが――――彼の失脚と同時にそのタガが外れ本音が出てきたのだ。
ロシアでプーチンや、中国の習近平の支持率も、国内では8割以上、時には10割だと報道されるが、「支持しない」等とこたえようものなら即刻「国家反逆罪」に問われ逮捕されるか、精神病者扱いされ隔離病棟かどこかにぶち込まれ「行方不明」になってしまうだろうから、それを知っている人々は、「支持！」と応えるだろう。
支持率調査で2割台をも割り込みそうな岸田首相だが、少なくとも目先政権の座を下りそうにもないしひょっとしたらプーチンや習近平、金正恩よりも永く政権の座にあるかもしれないし、国民もそれでよしとせざるを得ないというのは、独裁政治と民主主義の精度の違いだろうが―――。
まあ、戦前の日本のような、あるいはロシアや中国、あるいは北朝鮮のような独裁に比べたら、民主主義といわれる日本の政治体制の方がマシであると言えそうな気もするが？
(11/26/23 10:00pm S.T)
023年11月24日
尖閣ブイ
北朝鮮が弾道ミサイルを発射したのに対し岸田首相は「北京の大使館ルートを通じ北朝鮮に対して厳重に抗議を行い、強く非難したところであります」といつもの言い回しで答えた。
尖閣諸島のEEZに中国が7月に大型ブイを設置したことについて衆院予算委員会で立憲民主党の泉健太代表が「7月に設置されたのを9月になってやっと抗議したというが未だに撤去されていないが、政府はちゃんと撤去をもとめているのか！」と質問した時も首相は「11月17日の、日中首脳会談で撤去について、私から具体的に指摘し、協議を続けていくことを確認した」と答えた。自国のEEZに偵察用のブイを設置され、5か月近くたっているのに「撤去の協議を続けている」で国民と領土が守れるものなのだろうか？
泉代表は首相が対中外交について「冷静かつ毅然と対応していく」としていることに言及し、「これのどこが毅然なのか」と批判したが、確かにブイを設置された被害国が、5か月もの間、データを収集されつづけながら今頃になってやっと「ブイをどけてください」と中国にお願いすることのどこが「毅然とした対応」なのかは泉代表のみならず理解できる人は少ない。
いつも通りの北朝鮮への「厳重抗議」にしても、中国に対する「毅然とした対応」なるものも、何の役にも立たない外交トークに過ぎないように思うが、要するに「何か一応やっている」という姿勢を示すだけのアリバイトークといえるもののようだ。
そういえば、外務省の仕事は、首脳会談をはじめとする様々な会議のセッティングと外交儀礼をつつがなくこなすことであって、その成果は彼等の責任ではない等ともいわれるが、まさに「厳重抗議」も「ブイ撤去のお願い」も外相経験の長い岸田首相にとっては、その成果は知ったこっちゃない、ということなのかもしれない。
まあ、そんな訳だから北朝鮮ミサイルもまだまだ何回も発射されるだろうし、尖閣ブイもまだ何年も放置されつづけるのだろう。
(11/23/23 10:00pm S.T)
2023年11月22日
フーシ―派
イスラム教はオリジナルはアラブ民族の民族宗教だったが、今やアラビア語を日常的に使わない民族にも普及していて世界宗教となっている。（但し、モハメッドが聞いた神の言葉だというコーランは今もアラビア語だ―――アッラーはアラビア語を使われたのだろうか？）
世界宗教となったイスラムだが、今や仏教や他の宗教と同じように、いくつかの分派にわかれている。大きく言うとスンニ派とシーア派だが信徒の内、スンニが約90％、シーアが約10％で、それぞれ派の本家を自認するのはサウジアラビアとイランだが、それぞれの派には更にいくつかの分派があり、中にはもはやイスラムではないともいわれる分派もある。
トルコに旅行をした時、スーフィー派といわれる教団の白ずくめの服を着てクルクル回りながら踊る（祈る）一派を観に行くオプションがあったので申し込んだのだが、結局オプションの参加希望者が少なすぎてバスが仕立てられないとの事でキャンセルになってしまった。
イエメンの反政府勢力フーシ派というのもシーア派の分派らしいが、イエメン近くの紅海を航行していた日本企業が運航に関与している貨物船を乗っ取ったという。この貨物船には日本人は乗船していないようだがフーシ―派は、イスラエル人が乗り組んでいると主張しているという。
ガザへのイスラエルの侵攻に怒っているイスラム教徒の中には、このフーシ―派の乗っ取りに喝采している者も多いというから、日本も思わぬところでガザ問題の影響をうけているといえるのではないだろうか。
今後も紅海周辺ではフーシ―派が、「イスラエルと関係がある」「イスラエルに協力している」と理由をつけて船舶を乗っ取る恐れもないわけではなく、こういった海賊行為を取り締まる難しさは、ペルシャ湾でも長年経験したところだ。
中東の民族問題、宗教問題の複雑さは、長い歴史の宿痾ともいえるもので、なにかと中ロ北朝鮮問題で頭を痛める日本の比ではないようにも見える。
いやはや、あの時、スーフィーの踊りは見られなかったが、トルコ旅行に行っておいてよかった――もう二度と行くチャンスはないようだし。
(11/21/23 10:00pm S.T)
2023年11月21日
やまとごころ
中学生の頃だったと思うが日本人歌手がアメリカで流行っているポップス曲を日本語の歌詞で歌って人気を得ていた。飯田久彦の「ルイジアナママ」という曲があってサビの部分に’from
New Orleans’というフレーズあったが、飯田久彦は、発音できなかったのか意図的にそうしていたのかは知らないが「ロニオリン」と歌っていた。
英語の巻き舌混じりの言葉を日本語の発音でとなるとどうしてもカタカナで書いたものを読むようなものになってしまうし、そうした方が日本人には発音しやすいし分かり易いという面があるからだろう。ジョン万次郎が江戸時代に作った英和辞典には、カタカナで発音が書かれていてcatはキャア、coldはコオル、waterはワラと発音するとかかれていて確かにその通り発音するとアメリカでは通じるようだ。（笑い話で、what time is it now?は、「掘った芋いじるな」と言えばよいなんて言う話もある）
文字というものがなかった古代日本に漢字が入ってきた時にも、同じようなことが起きたに違いない。漢字を使って日本語を表そうとすれば日本語に似た発音の漢字を当てるしかないから万葉集などの歌は、呉音とか漢音で書かれていた。（「あ」を阿、「い」を伊、で表した――――現代のヤンキーが使う「夜露死苦」等と同じようなもの）
しかしそれでは細やかな日本人の情緒なりを表せないからと女性達が漢字を崩した文字を使いはじめ、その文字が便利だからと使い始めた男性が紀貫之で、「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。」と女性のフリをして書いたのが「土佐日記」でこれ以降、かな文字が広く使われるようになり、こまやかな日本人の心（やまとごころ）が表記しやすくなったのだ。
おかげで我々は表音文字である仮名も、表意文字である漢字もつかいこなせるし、ローマ字表記を使えばどんな外国語も表せるし発音できるのだから―――日本人は国際色あふれ感情豊かな民族といえるようになったといえる。平安時代の御所の女性達、そして紀貫之をはじめとする先人たちのおかげと言えよう。
(11/20/23 10:00pm S.T)
2023年11月20日
クマがでたら
どんぐりが不作だそうで、冬眠前に栄養をたくわえたいクマたちが時ならぬ食糧難に遭遇して食べものを求めて人里にまで出没、本来怖がって近づかない人間にびっくりして襲うなどという事故が頻発しているらしい。
クマもびっくりだが突然襲われた人もびっくりだ。何しろ野生のクマだから力比べなどしたら人間ごときがかなう訳もないだろうし、何人かの死者まででているというのだからこれは大ごとだ。
銃や刃物などの武器もない状態で野生の動物と対峙したら人類なんてひ弱いものだ。そもそも二足歩行の人類は、4本脚の野獣に勝てる訳もない。握力ひとつにしても、例えばチンパンジーでさえ人間の男性の5倍、女性の7倍は強いというし、まして咬む力は、クマだとボーリングのボールを砕くほどだともきくから、なにしろ野生動物と対決しようなどと思わないことだ。
我が町にはまだクマ出没の話はないが、もし我が家の倉庫をあけたら―――クマとご対面！！なんていうことになったら―――と想像しただけでもおそろしい。若い頃は山好きで秋の山にもよくでかけたもので、いちど向こうの谷筋にクマらしきものが見えたことがあった。若気の至りだったなぁと思う。
(11/19/23 10:00pm S.T)
2023年11月17日
親孝行
「孝」は儒教においては「悌」と共に人にとって何よりも大切な徳目とさだめられておりいて朱子学で最も重んじる「忠」よりも、はるかに大切なものとされていた。孔子に言わせれば主君への「忠」の為にと討ち入りをして、切腹となり親達を悲しませた赤穂義士たちは、親不孝者ということになってしまう訳だ。
儒教的な道徳観が強い日本人にとっては、昔から親孝行意識というものは結構強い。しかし親孝行という徳目は、実行するのは、中々難しいことも又事実である。
「親孝行したい時には親はなし、さりとて墓に布団も着せられず」という諺がある。人は成長して初めてそれまで自分を慈しみ、育ててくれた親に対する感謝の気持ちがふつふつと起きてきて、これからは親孝行したいと思うものだが、その時には親は既に亡くなっているものだ―――という悔恨の情をあらわした言葉だが―――、又一方で、親というものは親孝行してもらおうと思って計算づくで子どもを可愛がっているわけではなく、可愛がりいつくしむのは、いわゆる無償の愛ゆえであり「親孝行して呉れる気持ちがあるなら、その分はそっくり孫たちにやって呉れれば十分だから―――」等とこたえるかもしれない。
そうそう、「子供は5歳までの可愛さで一生分の親孝行は果たしている」という言葉もある。子供は、5歳までの可愛さで親に十分報いておりそれから先、子が親にかける心配事や不孝な行いも、なあに5歳までの可愛さで楽しませてくれたことを思えば「行って来いのチャラ」だ―――という訳だ。親不孝な子がいたら、その子が5歳までの可愛さを思い出して自分をなぐさめるしかないという訳で、身につまされる人はきっと多いのではないだろうか。
キリスト教や儒教、仏教にも親孝行の教えはある―――ということは、人間社会の根底には道徳としての「孝悌」の考え方があるということかもしれないし、「孝」という考え方は、人間社会には智慧としてそなわっているとも考えられるが―――現代でもそれが維持されているだろうか―――。
(11/17/23 10:00pm S.T)
2023年11月16日
ボジョレーヌーヴォー
ボジョレーヌーヴォーの解禁日が11月の第三木曜日と決まったのは1984年というからそんなに昔のことではない。
80年代のバブル経済華やかな頃は、時差の関係で世界でも解禁が一番早く来るということも手伝って、どこの店でも、家庭でもヌーヴォーを手に入れて大騒ぎしていたものだが、のぼせ易いが冷めやすい日本人のことではあるり、近年はコロナ騒ぎもあったりして、ボジョレーヌーヴォーの売れ行きも最盛期の5割にも満たない状態だという。
一本数万円から数百万円もするビンテージワインとは対極にあるヌーヴォー（新酒）ということもあって価格も高くなく（せいぜい一本2000円程度）だからなまじワインの味なんかわからないという人たちには持って来いだし、家庭で楽しむにも向いている。
タカさんは、ワインは酸味や渋味の少ないライトなものが好みだからヌーヴォーはピッタリだし、何しろ正月の餅、土用のウナギのように今や行事食となった観のあるボジョレーヌーヴォーだから、今年もスーパーかコンビニで買ってきたチーズか何かをつまみにして楽しもうかと思う。
(11/15/23 10:00pm S.T)
2023年11月15日
宗教と人類
昔、中東へよく出張で出かけていた。中東といえばやはりイスラム教国が多く、中でもサウジアラビアは聖地メッカ、メジナもありムハマンドの生まれた国だけに宗教にはきわめて厳格であった。
最近は知らないが、あの頃は入国できる外国人は聖地巡礼という宗教目的で訪れるイスラム教徒と、極一部のビジネスで訪れる外国人にのみ入国が許されていて、観光目的などでは入国が許されない、いわば半鎖国状態の国であり、サウジ入国時の入国検査は随分厳しく（酒類の持ち込みは勿論禁止、女性の水着姿のグラビアなどが載っている週刊誌などが見つかると下手をすると宗教警察に逮捕される―――という話だった）、入国カードには’ Religion(宗教)’という欄があり自分の宗教を申告しなければならなかった。
特に信じている宗教もなく、いってみれば無宗教だと思っているタカさんだが、同僚から無宗教（none）などと書いてはいけない、ウソでもBudistと書いておくのが無難だと言われた。イスラム等とウソを書いてサウジでウソだとバレたら大変なことになるし、無宗教というのは神の存在を否定するとんでもない極悪人だとおもわれるが、Budistなら役人も「なんかわけのわからない宗教を信じているらしいアホだ」と思って、「放っておこう！」と通してくれる―――というのだ。（キリスト教などとかいても変に敵愾心を持たれるかも―――ともいわれたが―――）
いやはや、世界の多くの国では日本のように気楽に無宗教を広言したり、七五三を神社で祝い、結婚式は教会で、葬式は寺で―――などといういい加減なことが許されるところは少ないようだ。
今のイスラエルとハマスの戦いの遠因はユダヤ教とイスラムという宗教問題に民族問題が複雑にからみあったものであるし、宗教を起因とする歴史的な争いは数限りなくあるあった。共産主義も一種の宗教だと言う人もいるから、世界の紛争の大部分は宗教がもとになっているとさえいえるのかもしれない。
そうそう今の日本だって、旧統一教会問題のみならず政治情勢においても、宗教がらみでややこしくなっている事は多い―――やはり宗教というものは人間の本能だということになるのだろうか。
(11/14/23 10:00pm S.T)
2023年11月14日
ギャンブルで損をしない方法
江戸時代バクチはご法度で賭場を開帳していると町奉行所の役人に乗り込まれ「御用！」となってしまうというリスクがあったが、寺社の境内は、寺社奉行の管轄で町奉行所の役人は、そこに乗り込むことはできなかった。そこで博徒たちは寺社の境内で賭博を開帳し、そこで得られたあがり（利益）の内の一定割合をその寺社に寄進という形で納めたのが、今でも「寺銭」という名で残るギャンブルの主催者やがとる一定額（現代風にいうなら控除額）の事だ。
ギャンブル好きにとってこの控除率が低い、例え負けても賭けた金が戻ってくる率が高いほど「損失が少なくて済む」のだから好ましいのだが、えてして控除率の低いギャンブル程、勝っても戻って来る配当金が少ないから面白みに欠ける。（絶対に損をしないギャンブルをするのは、余程の暇人だし、そんなことをする位なら家で寝ていた方がマシ――ということにもなる。
「ハイリスクハイリターン」「ローリスクローリターン」はギャンブルに限らず株の世界をはじめ、人間社会、いや自然界のあらゆる場面を支配する法則といってよいだろう。
60年も前に大ヒットしたスーダラ節でも「狙った大穴 見事にはずれ、頭かっと来て 最終レース、気がつきゃボーナスァ すっからかんのカラカラ、馬で金もうけ した奴ぁないよ」と歌っていたっけ―――。
タカさんはこの頃は、宝くじもほとんど買わなくなったし、競馬の電話投票もめったにやらなくなったのは、漸く植木等の歌った意味を理解できるようになったからだろうか。
(11/13/23 10:00pm S.T)
2023年11月10日
戦争の終え方
山本五十六連合艦隊司令長官は太平洋戦争開戦前の昭和15年、当時の近衛文麿首相から対米戦争に対する意見を聞かれた時、「ぜひやれと言われれば半年や１年の間は暴れてご覧にいれるが、２年、３年となればまったく確信は持てない」と答えたという。戦史家の山本七平は、この山本の発言に対して厳しい批判をしており、戦争の最高指揮官である彼には、戦争をどう終わらせるかの戦略が全くなかったわけで、終わらせ方もないままに始めた戦争の結果、あのような壊滅的な敗戦につながった訳で、山本をはじめ日本の指導者層の大罪だ、といっている。
人道的停戦の呼びかけにも一切応じず、ガザへの侵攻を続けるイスラエルに対して、その閣議に出席した米国のバイデン大統領は「戦争が終わった後の計画はあるのか、誰がガザを統治し再建するのか、誰がガザを統治するのであれガザがイスラエルにとって脅威とならない方策はあるのか」と矢継ぎ早に厳しい質問を浴びせたというが、これに対してネタニエフ首相以下並み居る閣僚は、一言も答えることが出来なかったという。
ハマスの攻撃によって2000人近い市民に死者を出してしまったイスラエルが怒りに任せてガザ侵攻に踏み切った物で、そこには終結の展望のないままに、太平洋戦争に踏み切ってしまった日本同様に、どうやってこの戦いを終わらせるかの大局的戦略が全くないことをこの閣議は、いみじくも露呈してしまっているようだ。
バイデンのこの詰問は、9.11のテロに憤って、アフガニスタンとイラクに侵攻した結果、悲惨な結果を招いてしまったという米国自身の失敗の経験から来るものだろう。
ハマスというテロ集団が起こした戦争ではあるが、一ヶ月に及ぶ呵責なきイスラエルのガザ攻撃は既に1万人に及ぶパレスチナ住民を殺傷し、しかもその半数が子どもであるというニュースや、破壊しつくされたガザ市街の映像が毎日世界に流れるとなれば、イスラム教国のみならず米国や欧州でさえもイスラエルに対する非難の声となって返ってくる。
こうなってくると、国際世論のみならずイスラエル贔屓といわれる米国内ですらイスラエルに対する反発の声が大きくなるのは止めようがない。来年に大統領選挙を控えるバイデン大統領も、もう今までのようにイスラエル擁護一辺倒ではとてももたないことを察知したからこそ、イスラエルの閣議で厳しい言葉で迫ったに違いない。
「戦争は始めるのは簡単だが終えることは難しい」というのは古くからの名言だが、人類社会は中々学ばないようだ。
(11/9/23 10:00pm S.T)
2023年11月9日
応報刑か目的刑か
紀元前18世紀に古代バビロニアの王ハンムラビが定めたといわれるハンムラビ法典は楔型文字で石板に刻まれており、これは今はパリのルーブル美術館のデンと飾られているが（池袋サンシャインにもそのレプリカが展示されている）「目には目を、歯には歯を」の法文が有名で古代から人類社会には応報刑の考え方があった証左だともいわれる。（参照：「ハンムラビ法典」7/5/23）
この応報刑の考え方は、現代社会にも残っており、「悪い事をしたら刑務所にぶち込まれるよ！」というのもハンムラビ法典の延長にあるといえなくもない。
勿論、キリストの「もし右の頬を打たれれば、左の頬を差し出しなさい」という教えのように報復や見せしめは憎しみを増すだけで有害であるからやったことの罰としてではなく今後の社会において二度と罪をおかさないようにという社会防衛の意味から課するという目的刑的な考え方もないではないが、すくなくともハンムラビ法典以来の数千年に亘っていずれが良いのかの結論は出ていない。
軍事技術が発達した現代となっては、「目には目を」の応酬が人類の絶滅につながる可能性は高く非常に危険だし、かといって右の頬を打たれてから、左の頬をさしだしたら今度は左の頬を金づちで砕かれて死んだ、なんて言うことにもなりかねないのだから、いずれも正解とは言い難くなっている。
ということは、ハンラビ法典の時代はまだよかったが、今の世の中では所詮、人類社会は滅亡に向かわざるを得ないということになるのだろうか？
(11/10/23 10:00pm S.T）
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