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2023年6月
＜＜2023年：1-6月分 タイトル＞＞
06/30 ねこまんま 06/29 セルフレジ 06/28 終わりの始まり 06/27 ツクヨミ 06/26 プラセボ効果 06/23 海の底
06/22 夏至ゆうべ 06/21 猫に小判 06/20 備えるべきでは 06/19 トリノスケール 06/16 煩悩の塊 06/14 タイパ
06/13 スケールの違い 06/12 ポエティック 06/09 アラブ首長国連邦 06/07 Rainy Season 06/06 パスポート
06/05 時間の賞味期限 06/02 後継問題 06/01 幸福度ランキング
2023年6月30日
ねこまんま
宮崎の郷土料理に「冷や汁」というのがある。夏、九州旅行をした際に冷や汁の名店と言われる店にいってみた。冷や汁定食のようなものを注文したが、どうせ「ねこまんま」のようなものだろうと想像していただけに、結構な値段がするのにはちょっと驚いた。
今は、猫にはキャットフードを与えるのが普通だが、タカさんの子供の頃は、飼い猫には残り飯に味噌汁の残りをぶっかけたり、せいぜい出汁をとった後の煮干しや花ガツオをパラパラと乗せたものを「猫まんま」といって与えていたもので、その所為か、ごはんに味噌汁をぶっかけて食べるようとすると「お行儀が悪い！」と叱られたように思う。
食欲が出ない暑い盛りには、どうしてもざるそばやソーメンのような、冷たい物でなければ中々食べる気がしないから、暑い宮崎では冷や汁が発達したのだと思うが―――宮崎では冷や汁を食べる子供に親が「お行儀が悪いからよしなさい！」とは言わないのだろうか？
小さい頃、例えばごはんにおでんの汁をかけてたべるいわゆる「汁かけ飯」は、「お行儀が悪い！」と叱られたように思うが、あれはタカさんの家だけだったのだろうか？（妻にきいてみたら、彼女も「女の子がそんな食べ方をするものではない！」と止められたという）
汁かけ飯、ぶっかけ飯はどうも全国的に下品、あるいはお行儀が悪い、と言われていたようだが高級料亭で鍋物を食べると最後に汁にご飯を入れて玉子などでとじた「雑炊」を仲居さんが作ってくれたりするが、あれも考えてみると汁かけ飯だと思うが―――なぜ高級料亭で出されるのだろうか――――謎だ。
イタリア料理のリゾットも、スペイン料理のカルドソにしても、生米から作るのが本物らしいが、出来上がりは要するに雑炊である。当然イタリアやスペインではあれが「お行儀が悪い食べ物」とは言われないと思うが―――。
そういえば、韓国には冷ごはんにキムチや明太子、韓国のりや生卵をいれて氷水をぶっかけて食べる究極の冷や汁料理があるらしいが―――古い日本の母親たちがきいたら―――なんというだろうか――。
（6/29/23 10:00pm S.T）
2023年6月29日
セルフレジ
中央競馬で馬券購入の際にマークシート方式が導入されたのは確か、かれこれ30年程前のことだったと思うが、それ以前は窓口でレース番号、馬券の種類、買い目、購入額をいちいち口頭で伝え購入していたと思う。
マークシートが導入されてもしばらくの間は、客が慣れていないこととか、マークシート記入を面倒臭がる客がおおかったからか、従来型の窓口で口頭で伝える客が圧倒的に多かった。
しかし、それから数年後には徐々に記入したマークシートと金額を機械読み取らせる方式の窓口が増えていったので、多分、馬券売り場で働いていたおばちゃんたちは徐々に職を失っていったのではないかと思う。
それから更に数年が経つと、昔ながらの窓口はマークシート方式にどうしてもついて行けない高齢者用に申し訳程度に残ってはいたが―――その内、その高齢者たちも足腰が弱って、もう競馬場にいけなくなったのか、それとも死に絶えてしまったからか、すべての窓口が全自動式になってしまった。まあ、同時に電話投票が圧倒的に多くなった所為もあると思うが、今や、昔々の馬券購入の仕方を覚えているのはタカさんのような年寄りばかりになってしまったようだ。
最近近くの大型スーパーに行くとセルフレジが圧倒的に多く、昔ながらに店員がいて商品ごとにレジに打ち込んでくれる方式が、ほんの少しになっているのに気づいた。しかも、レジに係の女性が打ち込んでくれる方式だとしても支払いは別の精算機でカードなり現金で客が行う、いわゆるセミセルフレジばかりだ。
馬券売り場で観た30年前の推移が、スーパーのレジでも見られるようになるのはそう遠いことではなさそうだ。しかも、今回のレジでの推移は、馬券の時の数倍早くすすみそうだ。
そういえば、今や駅の改札も全自動ばかりだし、乗車券を買うにもあるいはSUICAをチャージするにも全部機械化されており、乗客が全てセルフでやっている―――。
ということは、今は、小学校入学前ぐらいの女の子がよくやる、お買物ごっこも、セルフレジなのだろうか？
（6/28/23 10:00pm S.T）
2023年6月28日
終わりの始まり
昭和11年（1936年）に起きた二・二六事件では、首謀者とされた16名の青年将校等は死刑に処せられ、その他の幹部も禁固刑などを受けたが、事情を知らされぬまま上官である青年将校に命じられるままに、決起部隊として政府要人の襲撃に加わった約1500名の下士官･兵はその場で罰せられることなく、原隊に復帰した。
事情も知らずただ上官の命令に従って行動しただけである彼等だったが、「反乱軍」に参加した者たちという烙印は残り、一旦は原隊に戻ったものの、直後に満州などの戦地に送られ、多くがその地で戦死をとげた。
ワグネルのブリコジンに率いられ、モスクワの200キロ手前まで進軍していた5000人とも1万人ともいわれるワグネルの部隊は、そこで進軍をやめ撤収したという。未曽有の反乱事件の様相もあったが尻すぼみにおわったことで、事態は落ち着いたかのように見えるがどうだろう。
独裁的権限を振るっているプーチンが、一傭兵部隊の反乱になす術もなかったことをロシアの国内外にさらしてしまったことで、反攻体制を強めているウクライナにとっては、かなり有利な情勢が生まれてきているのではないか、あるいはプーチン体制そのものが、ほころび始めているのではないか、という見方がもっぱらだ―――。
反乱の首謀者であるプリコジンの所在はいまのところ明らかではなく、プーチンとベラルーシのルカシェンコの合意によってベラルーシに向かったのではないかともいわれているが、さすがにベラルーシでブリコジンが悠々自適、という訳にもいかないだろうし、いままで政敵は世界中のどこにいようが暗殺してきたことで有名なプーチンのことだから、すでに殺されているのでは―――という推測まであるとか―――。
彼に賛同してなのか、あるいはただ命令に従っただけなのか別にして、モスクワ近くまで進軍していた部隊は、どうなるのだろうか？
プーチンはワグネルが今後、ロシア軍の傘下に入る事で、彼等を反乱の罪には問わないと約束したというが、連中が今まで対立してきた軍の傘下に素直に入り、その命令に従うだろうか？そもそも刑務所に収監されていた、いわば無法者の寄せ集めの彼等が、軍隊という（彼等に比べたら）お行儀のよい集団の中でやっていけるだろうか？という疑問も残る。
二・二六事件の蜂起部隊の兵士同様、プーチンやショイグたちの報復だって、まずあると思うのが自然だろう。
いずれにせよ、今回のワグネルの反乱騒ぎ、プーチンのロシアの「終わりの始まり」という説が、大分真実味を帯びてきそうだ。
（6/27/23 10:00pm S.T）
2023年6月27日
ツクヨミ
世論調査などで賛成か反対かを問うとその答えのなかに「どちらともいえない」という回答が意外と多い場合がある。
「いきなりイエスかノーかを問われても二者択一では答えられない」とか「関心がないからどちらでもよい」といった人なら「どちらともいえない」という答えを選ぶだろうから、世論調査のどうでもよいような設問なら「どちらともいえない」という答えが多くなるだろう。
これは、なにも政治問題に限らない。例えば、タカさんにAKBの誰某や、あるいはい、いままで食べたことのない果物の（例えばパッションフルーツ）を「好きか嫌いか」と問われれば、「どちらともいえない」と答えるだろう。
二項対立、あるいは二者択一で答えを求められる場合の多くで世の中の人の多くは「どちらともいえない」と答える、あるいは答えざるを得ない場合が多いのは、そういった複雑な事情を考慮せず、イエスかノーかを答えさせる場合が多いからではないだろうか。
国会会期のどさくさで自民党が党議拘束までかけて強引に成立させたLGBT法案と同性婚法案だが、自民党支持層に限った世論調査でも約25％が「どちらともいえない」と答えている（「反対」は20％）。
岸田内閣の支持率が急落したというが、一つにはマイナカードでの混乱が原因ともいわれているし、あるいは野党に不信任案を出されながら受けて立つように衆議院解散に踏み切らなかった優柔不断さなどを挙げる向きもあるようだが、この半数近くが賛成していないLGBT法案や同性婚法案を強引に成立させたことに対する反発も大きな理由になっているという解説もあるようだ。
日本神話にはアマテラスという女神とスサノオという男神の中間に、ツクヨミという女性とも男性ともいえない実に目立たない神様がいるが、（このツクヨミの活躍が述べられた部分は神話には一切ない実に目立たない神だ）この姉弟の三神がいることでこの世が安定しているとされている―――。
今の世の中何かといえば「善か悪か」「イエスかノーか」「賛成か反対か」といった二項対立ばかりでぎくしゃくし過ぎているようにおもえなくもないだけに、ツクヨミ的な目立たない「どちらともいえない」をもう少し尊重した方がよいような気がしないではない。
（6/26/23 10:00pm S.T）
2023年6月26日
プラセボ効果
子供の頃、熊の胆や葛根湯といった漢方薬は苦いが「良薬は口に苦し」というから、多分効くのだろうと思ったからか、あるいはもう二度と呑みたくない、と思った所為か、なんだか効いたような気になって病気も治ったような気がしたものだ。
「おまじないをかけてある薬だ」と言われたうどん粉を、そう信じてなめたら病気が治った―――なんていう話もあるように、生理学的に証明されたわけではないが、「この薬が効くと信じて飲めば、実際に効いてしまうなんていうことは、人間にはよく起きることだという。
こういった効果を「偽薬効果」（プラセボ効果）というが、新薬の治験の際などにも、その新薬の効果なのか、それともプラセボ効果なのかを見極める為に治験者の半数に新薬を、そして残りの半数にその薬の成分を全く含まない偽薬を与えるという方法がとられている。
新薬を与えられたグループにも偽薬を与えられたグループにも、その薬を飲んだ後に、何の違いもない場合には、新薬には効能が認められないということであり、逆に両グループに顕著な違いがでれば、新薬には効能が認められる、ということになるという訳だ。
例えばあなたが難病を患っていてもはや試す薬がないという場合、「現在開発中の新薬の治験に参加しませんか？」といわれ一縷の望みをかけて応募した場合、その薬が新薬なのか偽薬なのか分からないとなったら―――結構残酷な話だ。（新薬だったら助かる可能性が幾らかあるけれど、もし偽薬だったら助かる可能性はない、ということなのだから）
厚労省では近く「偽薬」使わないわない治験手法の推進に乗り出すという。偽薬の投与には倫理的な課題も指摘されているし、コロナ禍ではボランタリーの治験参加者の確保に苦労するケースもあったことなどが理由だというが、自分が知らぬうちに「偽薬投与グループ」にいれられていたという人の立場に立てば厚労省も気付くのが遅すぎた―――という気がしないではない。
新薬の認可には日本は特に時間がかかることでは有名（悪名）なだけに、世界に伍して新薬開発をするために、厚労省には早くこの改革に着手して欲しいものだ。
（6/25/23 10:00pm S.T）
2023年6月23日
海の底
大和は全長260メートルにもなる当時の日本軍最大級の戦艦だったが、終戦4か月前に沖縄戦に向かう途中、鹿児島県の坊岬沖で撃沈された。
乗組員3300人中生存者はわずかに300人だったこともあって戦後、船体の捜索が考えられたものの広い海の底に沈んでしまった船を見つける事すら不可能であった。大和の横たわっている地点が発見されたのは戦後40年が経った1985年になってからの事である。
発見に携わった関係者の話を聞いたことがあったが、何しろ水深350メートルにもなる海底となると探索用の潜水艇でさえ潜るのが大変で、いかに大和が巨大といえども広い海底に横たわっているのを探すとなると、銭湯の大浴槽に沈んだ小さな虫ピンを探す以上難しく、当時の最新技術を駆使してさえも奇跡に近い発見だったのだという。
その後、大和の海中での様子は、事細かく調査され我々も画像などで目にしたことはあるものの、それを引きあげるとなると、技術的にも費用的にも無理であり、現在までのところご遺族もそれを望んでおられないので、「海の墓標」あるいは海中遺産としてこのまま海底に眠り続けることになるという。
客船タイタニック号が氷山に衝突して沈没し乗員、乗客1200人が犠牲になったのは大和の沈没の30年以上も前のことだが、この船体が発見されたのは大和と同じ1985年のことであるのは、その発見場所の水深が大和の10倍、水深4000メートルだったこともあるのだろう。
そのタイタニック号の沈んでいる現場を観に行くという参加費用一人3500万円のツアーに出かけた4人と艦長の計5人が消息を絶ったという。
必死の捜索が行われているが、広い海の中で小さな潜水艇の捜索となると、大和やタイタニックの発見までの時間から考えても、いかに技術発展めざましい現代でもかなり難しいのではないだろうか。艦内に残された酸素の量はもうわずかというだけに皆の命もあやういように思える。
日露戦争の最中に呉軍港の沖合で事故を起こし浮上できなくなった海軍の潜水艇に残された艦長と乗組員14名が、死の直前までその持ち場をはなれなかったという話は、戦前の修身の教科書に「沈勇」という題でのっていたという。（参照：「佐久間艇長の遺書」 8/21/00）
海の底という絶望的な場所で脱出の術もない状況―――というものは閉所恐怖症でなくても、想像するだけでも気絶してしまいそうだが―――。5人の方々に奇跡が起きることを祈るばかりだ。
（6/22/23 10:00pm S.T）
2023年6月22日
夏至ゆうべ
ある年の夏にノールウェーに遊びに出かけたことがあった。ベルゲンに泊ったのだが、夏至近かったこともあって日の入りが夜11時頃だったので街中では子供達が大勢スケボーをして遊んでいる―――という日本ではちょっと信じられないような光景が見られた。
一日中、日が沈まない白夜と言われる現象が起きるのは北半球では北緯66.6度以北だが、ベルゲンはまだその北極圏には入らない確か北緯60度位に位置しているから夏至でも申し訳程度に日が沈む時間はあるが、それでも夏至の頃はほんの4-5時間太陽は隠れるものの地平線の少し下にいるのだから夜といえどもほの明るい。当時住んでいたロンドンに比べても夜の短さ（昼の長さ）は驚くほどで、地球の大きさというものを実感したものだった。（ちなみに東京の日照時間は、ロンドンに比べて更に約2時間程短いから、ベルゲンと比べるとその差は歴然だ）
そんな体験をしたからだろうか、それからは地球という天体が、この太陽系の中を、地軸を23.4度傾かせて公転しているのだ！という壮大さを教科書的知識としてではなく、体感したような気になって、毎年夏至ときくと、なんだかうれしくなってしまう。
物理学者であり俳人でもあった和田悟朗に「夏至ゆうべ地軸のきしむ音すこし」という句があるが、まさにこの句のもつ壮大さが、夏至という宇宙現象に相応しいと膝を打ったものだった。
そうそう、そのノルウェー旅行の帰りの飛行機で隣に座ったのが、ノルウェーの北極圏に住んでいるという人だったので、白夜は昼が長くてよいけれど、逆にずっと日が昇らない極夜の冬の間は、あなたたちはどうやって過ごしているのか？と聞いたら、彼は「ずっと寝ているよ」と冗談を返してきたことを―――懐かしく思いだす。
（6/21/23 10:00pm S.T）
2023年6月21日
猫に小判
オードリ・ヘップバーン主演の映画「シャレード」は、オードリが巻き込まれてしま、強盗団同士の金塊の行方を追う騒動を描いた物語だったが、このオチが大量金塊がその価値相当の、一枚の古切手になって隠されている―――というものだった。
金塊そのものも何トンあろうが直接その持主が使って役立てることはできない。まして古切手一枚であれば、それこそ価値の分からない人にとっては、紙の小切れにすぎないのだから何の価値もないゴミに過ぎない。
しかし、金塊もこの切手も、それを求める市場、あるいは人にとっては喉から手が出る程欲しいものであり相当の価値があるものだ。
もっともその金塊なり古切手を得た人も、それを直接何かに使うわけではなく、また別の人に売るために、その交換価値を認めているに過ぎないのだ。
すなわち世の中の多くのモノに「価値がある」というのは、その物がもつ交換価値であってその価値を認める人、あるいはそれを欲する人がいないところでは、金塊といえどもあるいは希少な切手といえども価値はゼロだ。
人にとっては価値のある小判でも、猫にとっては、かつお節以下の何の価値のない物だという「猫に小判」の諺が、まさに交換価値の本質をいいあらわしている。
又ある人にとって非常に価値のある物、たとえば自分の命や、愛する者の命は、その人にとっては何物にも代えがたい価値があったとしても、他人にとってはどれほどの価値もない物かもしれない。
シャレードには「謎解き」という意味もある言葉だと聞いたことがあるが、価値とはなんだ？と考えだしたら―――なんとも底の深いシャレードだと思った。
（6/20/23 10:00pm S.T）
2023年6月20日
備えるべきでは
ウクライナでの攻防の様子が、リアルタイムで世界中に報じられていることに驚かされる。
さまざまな情報網を使って両軍ともに監視されているのだろうが、何といっても衛星を使った監視システムが、昼夜を問わず宇宙から映し出す映像によって近代戦争は最早、宇宙戦と言ってよいフェイズにはいっているのだろう実感させられる。
北朝鮮のミサイル発射にしても、打ち上げ前の基地の様子、打ち上げ後の軌道の追跡といったものも衛星から得られた情報がリアルタイムで分析されていることは、常に北朝鮮ミサイルの脅威にさらされている日本にとっても、偵察衛星からの情報は死活を制する問題だ。（もっとも、いち早く情報が得られたからと言って飛んでくるミサイルを撃ち落とす手段は日本には「平和憲法」によってほとんどない―――という大問題はあるが―――。
いまや、地上では隠し事ができない―――という程に発達してしまっている衛星からの軍事情報監視システムだが、これだけ発達したシステムでもどうしても監視できないところがある。それは海の中だ。
海中に潜ってしまった潜水艦は、衛星からでは探知できない。地球の表面積の7割を占める海に潜ってしまった潜水艦は、いかな精密な衛星システムといえどもリアルタイムでそれを見つけることはできないのだ。
但し、今日本がもっている潜水艦のように、約1-3週間ごとに浮上してディーゼル燃料を補給しなければいけないとなると浮上の度毎にその位置は衛星から把握できるから、まあ、敵国もそんなに把握に不便ということもないかもしれないが、一旦潜水したら半年、場合によっては二年間は浮上しないでよい原子力船となるとこれは完全にお手上げだ。（もっともそんなに長期間、閉じ込められてしまう乗組員の精神的、肉体的問題はあるが―――）
台湾有事は、日本有事ともいわれている昨今、又、連日尖閣や沖縄周辺には中国軍船が侵入している日本が、原子力潜水艦をもっていれば中国側にも把握が極めて難しいだろから、強力な抑止力になることは間違いないし、北朝鮮やロシアも、うかうかと日本周辺を侵犯できなくなるだろう。技術的には米原潜には、相当劣るとはいわれてはいるものの中国もロシアも原潜は数十隻もっているというだけに、日本も原子力潜水艦を抑止力として持つべきではないかと思うのだが―――。
ウクライナのような悲惨なことになる前に―――。
（6/19/23 10:00pm S.T）
2023年6月19日
トリノスケール
昔中国の「杞」という国に、天が落ちて来るのではないかと心配して食事も取れなくなった人がいた―――という故事からでたのが、杞憂という起りえないことを心配する事を意味する言葉だ。
6500万年前に地球に落下したのは、直径わずか15キロほどの天体で、この衝突によって生じたすさまじい衝撃波が巨大な火災となって地球表面を焼きつくしそれまで2億年近くにも亘って地球を支配していた恐竜は絶滅してしまった。6500万年前に実際におきたこととなれば、いつか再び起きないとは言い切れない―――再び、そんなことが起きれば、人類のみならず地球上の大部分の生命は、絶滅してしまうだろう――――。
安全を求めることは大事だが、絶対的な安全、最近でいうゼロリスクを求め続けることは、果たして合理的といえるのかと思わ時、この杞憂と恐竜絶滅の話を思い出す。
最先端の健康法を実践し健康な食生活と運動にいそしんでいる人が、ジョギングの帰りに寄ったコンビニで、店に突っ込んできた車にはねられてしまう―――なんていうことだってあり得る。そのリスクを恐れて室内にいつづけたとしても、空から隕石が降ってきて直撃されることだってあるかもしれない―――。
原発再開にしろ処理水放出にしろその反対運動は、徹底的にゼロリスクを求めるものばかりで、なんだか再び人々が「杞」の国の人になっているような気がしないではないが―――彼等は「そんなことはない、それは杞憂ではない！実際、6500万年前、恐竜は絶滅したではないか！」というだろうが―――。
ちなみに、近傍天体の地球衝突の可能性だが、現在その可能性を探る国際的な監視、研究組織があり、その計算によると、恐竜絶滅を生んだような大きさの天体で、地球の軌道と交差した軌道を持つものが約2000個あり観測されており、これ等の宇宙物体が地球と衝突する確率と、もし衝突したとしたら地球にどれぐらいの被害をもたらすかは、 「トリノスケール」という尺度によって評価されているという。
トリノスケール10が、6500万年前に起きたような大衝突を意味し「地球全体の気候に破局を招く」物体と格付けされ、トリノスケール０が「衝突の可能性はゼロ」であるが―――、一安心なのは現時点の評価では2000個ほどの観測物体はすべてトリノスケール０であるそうだ。
（6/18/23 10:00pm S.T）
2023年6月16日
煩悩の塊
「世界文学の中の最も偉大な物語」と言われるのがロシアの大作家トルストイの短編小説「人にはどれほどの土地がいるか」だ。
ロシアの働き者の農民である主人公は、「自分にもっと広い土地があれば、悪魔など恐るるにたりないのだが」とつぶやいていたのを聞いていた悪魔は、ある時この主人公に「1000ルーブル」出せば、夜明けから日没までに歩いて回った土地は全て与えよう、という絶好の機会を与える。
彼は夜明けとともに飛び出し、太陽が沈む直前まで自分の歩いた土地に印をつけていくのだが――日没近くなって彼は欲張り過ぎて自分が出発点からはるか遠くまで来てしまったことに気づき一目散に走って戻ってろうとする。ちょうど太陽が沈む時間に、彼はついに出発点にたどり着き、それをみていた人々は彼の幸運を称えて大歓声をあげるのだが――あまりに必死に走った主人公は、疲れ果てて倒れ、そのまま息絶えてしまう―――それを陰でみていた悪魔はほくそ笑むのだった。
主人公の使用人は、たった6フィートの長さの土地を掘った墓に彼を生めてしまう。そう、これが物語のタイトルで問いかけられた答えだったのだ―――。
人の欲望には限りがない、何千億円をもっていても、もっと欲しい、もっと欲しい、と必死な人もいれば、秀吉のように日本のみならず朝鮮、中国まで我が物にしようとした英雄や、後宮に美女三千人をおいた中国の皇帝もいたが―――皆、死んでしまえば墓は、「たった6フィートの長さの土地」で足りてしまうのだ―――。
禅宗の言葉に「起きて半畳寝て一畳」というのがあるが、人ひとり、どんな大豪邸をもっていようが、わずか一畳の広さがあれば済むことであり、無欲こそが煩悩を捨て去る近道だと説いている。
トルストイにしても禅語にしても、おっしゃることはごもっとも、と思うものの―――いくつになっても腹が減れば、何か食べたくなるし、喉がかわけば水を飲みたくなる―――といった調子で、人は生きているかぎり欲望の塊であることからは逃れられないようだ。
（6/15/23 10:00pm S.T）
2023年6月14日
タイパ
情報溢れる時代になって、電子化にともなってそれを発信するにも収拾するにも時間が大幅に少なくて済むようになってきた。
多くの情報・知識を必要とされる現代人、特にZ世代にとっては、いかに手っ取り早く、大量の情報収集・発信ができるかというタイムパフォーマンス（略して「タイパ」というらしい）に優れているかが、勝負の分かれ目になっているのだとか――――。
タイパなんて言われると、タカさんなどの世代にとっては縁遠いようにおもうが、なあに、昔から日本人は生まれつきやっていることだと気づいた。
タカさんの親の世代ですら新聞を読みながらラジオを聞き、あるいはテレビを見ていていたし、タカさんだってテレビ番組（特にドラマやクイズ番組）などは録画しておいてコマーシャルとばしや、早回し機能をフルに使って1時間番組でも5分もあれば見た気になっているし、読書だって昔から速読する癖がついている―――これってそれこそタイパではないだろうか。
そうそうリーダースダイジェスト誌やそれに似た雑誌は今も発行されているようだが、こういった種類の書籍も、古くからタイパ目的で人気があるようだし、そういった情報は今やネットの検索機能を使えば、さらに「タイパ」になるし、より大量の情報が手に入る。タカさん世代でこのネット検索を使っていない人の方が少ないかもしれないと思えるだけに「タイパはZ世代」という言い方には、高齢世代の一員としては抵抗を覚える。
最近はメジャーリーグではタイムクロックルールが採用され、試合時間の大幅短縮が図られていて、NPBでもおそらく来年には導入されるというし、大相撲の仕切り時間も昔に比べて随分短縮され「タイパ」が進んでいる。頻繁に笛がなって試合が止るラグビーや、サッカー、バスケットももう少しタイパを考えては―――と思わないではない位だが――最も、スポーツニュースで結果をみれば一番のタイパになるのだが―――。
なにしろ、タイパ、タイパのせわしい時代に我々が生きていることに疑いはないのだが―――それによって何か大事なものを失っているような気もしないではない。
（6/14/23 10:00pm S.T）
2023年6月13日
スケールの違い
地球から太陽までの距離は、1億5000万㎞だ。一秒で30万㎞進む光だと8分19秒の距離と言われるとなんだか近いような気もするが、例えば時速270㎞の新幹線「のぞみ」で走り続けると1億5000万㎞は63年かかる距離だから途方もなく遠い距離だということが分かる。ということは「のぞみ」の約150倍のスピードで飛ぶ宇宙ロケットで約4か月飛び続けなければいけない距離に太陽はあるということになる。
宇宙を円軌道を描いて飛んでいる地球から、一番近い惑星である火星迄でさえ最短片道約1年、もし有人ロケットで行って火星を一定期間調査した後、その調査結果を携えて地球迄もどってくるとなると―――少なくとも3年は覚悟しなければなるまい。いつか、人類は火星にいくだろうが、いかに冒険心に溢れた人物とは云えそんな旅行に志願していく人物がいるのだろうかとも思う。（NASAの募集には随分多くの人が応募したというが―――）
人類が作って飛ばした衛星で今一番遠くを飛び続けているのはボイジャー1号で、これは1977年に地球を離れて今もひたすら宇宙を飛び続けているが、漸くいまから10年前、地球を離れてから約40年かかって、太陽圏を抜け星間宇宙へ飛び出したものの、もしこの調子で飛び続けていくとしても、4.2光年先の太陽に一番近い恒星（プロキシマケンタウリ）までの距離を飛ぶには、あと4万2000年かかるという。（それまでの間我々人類が絶滅せずにいるだろうか―――）
太陽やプロキシマケンタウリのある銀河系宇宙には約1000兆個の恒星があり、この大宇宙には銀河系のような宇宙が数千億あるというから、全宇宙にある星の数は、10の26乗個にもなり、それぞれの宇宙に数個の地球型惑星があると仮定すれば、確率から考えても人類のような知的生命体はこの宇宙には、必ずや存在していると思うが、彼等と我々人類が遭遇する確率は、ビッグバンが再び起きる可能性よりも少なそうで、映画「未知との遭遇」のような出来事が起きることは、まずありえないのだが―――逆に又絶対にないとも言い切れない。
ジェイムスウェッブ宇宙望遠鏡は、現在ファーストスターを見つけるべく宇宙で観測を続けているが、その打ち上げに要した費用は100億ドル（1兆4000億円）だとか――。
現実の時間という束縛と人類の力と、宇宙の広大さの余りのスケールの違いに、茫然とせざるを得ないが――――実に夢のある話だ。
（6/12/23 10:00pm S.T）
2023年6月12日
ポエティック
短歌や俳句の短い詩に日本語は向いている言語だという気がするが、日本語のどういうところがポエティックなのだろうか。
英語ならI Love you.中国語なら「我爱你」を日本人のカップルが彼等と同じ主語、述語、目的語の語順で「私は愛しますあなたを」なんて言っていたらきっと相手にされないだろうし吹き出されるかもしれない。日本人なら、主語はまず省くし（目的語すら省くかも）、せいぜい「愛してる」「好きです」と述語を言うのがせいぜいで、今の若い世代は違うのかもしれないが、タカさんの世代になるとプロポーズの言葉なんてなかった等と言っている恋愛結婚だというカップルが結構多いから日本語は、欧米人や中国人には理解しがたい言語なのかもしれず、これが彼等にはポエティックに響くのかもしれない。
若い頃、外に出ると雨がぼつぼつと降っていたので思わずRain falls.とつぶやいたら、アメリカ人に、「タカの英語はポエティックだなぁー」といわれたことがあった。確かに彼等ならit's raining.というだろうからRain falls.は変だっのだろうから、忖度して「ポエティック」と言ってくれたのかもしれないが―――
日本語では、詩歌のみならず語順で倒置法がよく使われる。倒置法を使うとポエティックな表現になる場合があるようで、詩や短歌、俳句などではよく使われている。
そういえば、普通の会話でも、何か強調したいときにはよく倒置法が使われる。例えば、科学の発達の早さに追いつけない人類社会の将来を憂うる気持ちを「人類はどこに向かっているのだろうか」いうのと、倒置法を使って「どこに向かっているのだろうか、人類は」と言うのとでは、後者の方がより筆者の憂うる気持ちを強く表しているように思える。
「雪が降り始めた」というよりは、「降り始めた、雪が―――」と言った方が、なんとなく情緒があるような気がするのは、日本語話者だからなのかと思うが、主語、述語、目的語の順に並ぶのが基本である英文や、中文と違って、日本語では主語が省かれることも多いし語順にもこだわらないのがポエティックなところなのだろうか。日本語は外国人にとって難しい言葉だとも聞くが―――やはり語順に余り規則性がないことと関係があるようだ。
（6/11/23 10:00pm S.T）
2023年6月9日
アラブ首長国連邦
ガーシーがＴシャツ一枚のサンダル履きで、おっぽり出されたアラブ首長国連邦（UAE）という国はその名の通り、アラブの首長すなわち部族の長が治める7つの首長国からなる連邦国家だ。
中東でのビジネスの為に何度も訪れたことがあるが、この国は豊富な石油収入で国家財政を賄っており、国民は無税であるばかりではなく、手厚い社会福祉政策があり言ってみればまあ何から何まで無料であり、しかも国民のほとんどに高給の公務員の職が与えられていることもあって、首長一族の政治支配に対しても不満の声など聞いたこともなかった。
7つの首長国はそれぞれ独自の制度をもっているが、例えばドバイの場合、宗教的規律も緩やかで、女性の服装も自由だし酒類の販売も自由だったから、規律の厳しいサウジアラビア等での長期滞在を余儀なくされていた外国人技術者などが、息抜きに訪れてゴルフ（海水淡水化で得られた水をふんだんに撒いている緑あふれるゴルフ場だった）をしたり、夜は酒を飲んだりしていた。（外国人には飲酒も許可されているから、自室などで酒盛りなどをやっていたようだ）
夏になると湾岸特有の湿気の高い高温になるが、豊富な電力でガンガン冷房をきかせるから日本の夏より却って快適かもしれないと―――いいことだらけのようにも思えるのだが―――。もっとも、砂漠の中の狭い国だけに変化に乏しく、やはり日本人にとっては、長く住むところではないように思えたものだが―――。
アラブ首長国連邦の国民であるためには、基本的にはこの国の出身者であることが必要で、金持ちの外国人ならば長期滞在は可能でも、国籍を得ることはほぼ不可能だ。
南アジア（インド・パキスタン等）出身者がエッセンシャルワーカーとして来ているが、彼等が一旦職を失えば即国外退去をもとめられるし、もちろん家族帯同は許されていないから南アジア出身者を中心に外国人が、人口の9割を占めていても、この国が莫大な石油収入を得続けている限りは、アラブ人だけが、この夢のような国で豊かに暮らし続けることは可能だし、それ以外の外国人が長く住み続けることはまず無理だ。
報道によると、ガーシーは芸能人らの暴露記事などを動画で流すことで広告収入等を短期間で1億以上稼いでいたというが―――それ位の金額では、ドバイの首長一族がもっている資産に比べたら鼻くそにもならないから―――さすがのガーシーも、失職した出稼ぎ労働者と同じようにお払い箱になった―――というのが真相ではないかと思う。
（6/08/23 10:00pm S.T）
2023年6月7日
Rainy Season
オレゴン州のポートランドでは地元の人が「ポートランドの雨季(Rainy Season)は1月1日にはじまり12月31日に終わる」と言うほど雨の多い街だが、雨が降っていても傘をさしている人を見かけることはない。
しとしと降る霧雨のような雨が多い所為もあるからだが、年中降っているとなると、いちいち傘をさしていてはまだるっこしい―――ということもあるのだろう。
ロンドンも雨は多いが傘をさす人をほとんど見かけない。偏西風の関係で風が強いから傘をさすとおちょこになってしまうからだという理由もあるが、いずれにせよ欧米人は日本人みたいにちょっとでも降っていたり、降りそうだからといって傘をさすという習慣を持たないようだ。
世界的に見ても日本は、必ずしも雨降りの日数が多い国という訳でもないのに、日本人の一人当たりの傘の所有数は、世界一だそうで確か一人当たり3-4本と言った数になるらしい。ちなみに二人暮らしのタカさんの家にも携帯用傘までいれたら10本以上はあるのではないだろうか。
子供の頃は雨降りになるとクラスの女の子の母親が傘を持って学校迄きてくれているなんていう風景が見られたものだが、今はどうなのだろう。そうそう、童謡の「あめふり」の歌詞も、「♬あめあめ ふれふれ かあさんが じゃのめで おむかい うれしいな ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン♬」だったが――蛇の目傘というのもすっかり見かけなくなった。ビニール傘に駆逐されてしまったのだろうか。
ビニール傘の発明は日本人だが、統計をみると現在年間7500万本ほどのビニール傘が輸入されておりそのほとんどが中国からであるという。
日中関係次第では、中国がビニール傘の対日輸出を禁止する―――なんていうことになるかもしれないがそうなると日本の雨降りの風景が変わってくるかもしれないなぁ～。
梅雨の花といえば紫陽花だが、我が家の庭の紫陽花も鮮やかに咲きはじめている―――これからしばらくは傘をさして出かける日が多くなるのだろうか。
（6/06/23 10:00pm S.T）
2023年6月6日
パスポート
日本国内にいる時にはほとんど必要に迫られることがない身分証明書だが、外国に行った際にはパスポートという身分証明書の威力を強く感じさせられる。
言葉は通じないわ標識や案内板さえ見知らぬ文字で書かれているような国に行った場合―――パスポートの最初のページに書かれてた自分自身の国籍や氏名・生年月日・性別等々の後に『日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する。
日本国外務大臣』という文言と、そこに押されている重々しい公印とが、助さん格さんが見せるご老公の葵のご紋の印籠のようにさえ感じられる。
動画で芸能人らを脅したとして、常習的脅迫容疑で指名手配されていた元参議院議員のガーシーが滞在先のドバイから事実上の国外退去処分を受けた日本に帰国逮捕された。
彼はドバイでパスポートの紛失届を出す等、どうにか帰国逮捕を免れようと悪あがきを続けていたようだが、警視庁が逮捕状を取り、ICPOを通じて国際手配もかけ、５月には捜査員がドバイに入り現地当局に送還を要請したというから―――政府を挙げて国際的包囲網を築いたわけで、その結果、ガーシーも二進も三進もいかなくなってしまった。元参議院議員といえども、国の権力の前では弱い者で、パスポートに書かれた「必要な保護扶助」が無くなったのが痛かった。昨日、現地当局から「帰国させる」と連絡があったというから実際は、国家権力や国際機関さえも敵に回して孤立無援となった挙句の強制送還だったのだろう。
まあ、それにしても、「参議院議員」という無条件の不逮捕特権をもっていた身分から、強制送還されるただの犯罪者に戻ってしまった訳で――あらためて国会議員の不逮捕特権という物が果たしてそれほど必要なものなのか―――とも思わぬではない。
もっとも、そんなガーシーが参議院議員になったのも、そんな犯罪者にに投票した有権者がいたからであり、元党首の立花氏は、彼の保釈の為のカンパを集めると言っているから―――案外かなりのカンパもあつまるかもしれない―――。
まあ、こんなバカげたことが起きるのも、中国やロシアなどの強権国と違う民主主義国のコストということなのだろう。
（6/05/23 10:00pm S.T）
2023年6月5日
時間の賞味期限
この週末、近くのモールに食事にでた。コロナが5類になってしばらくの間は、回りの空気を読んでかマスクを外している人は、ちらほら程度だったのに、それがすっかり逆転している感じで、マスクをしている人の方が珍しいような状態で、街の様子が様変わりしているのには驚いた。
日本人は回りの空気を見る民族と言われるが、確かに、それは老若男女を問わないようだということに思わず笑ってしまうほどだった。
約3年続いたコロナ騒動も、まだ感染者はでているようだし、多分100年前のスペイン風邪のように、消えてしまうといったことはないのかもしれないが、毎年の季節性インフルエンザのようなものになっていくようにも思える。まあ、これからも定期的なワクチン接種を受けて敢えて人混みに出て行かないようにという注意位は続けて行こうと思う。
それにしてもあらためて人生の中での「時間」というものについて色々と考えさせられた。
時間という次元が他の三次元と違って一方向にしか進まない、後戻りができない時限であるということを、このコロナ騒動の期間中にあらためて意識させられた。
それは特に若い成長期の子供達を見ていてそう思う。三年前に突然、卒業式がキャンセルとなった子供達、予定していた結婚式を日延べせざるを得なくなったカップル同士---、あとになってどうにかその真似事のようなことをやったかもしれないが、やはり当初の予定とは違ったものであり―――（まあそれはそれでのちのち思い出にはなると思うが）それはもう異次元での出来事のようなものだったのではないだろうか。
3年前、修学旅行がコロナで中止となった小中高校生の嘆きの声が随分溢れていたが、学生時代の思い出の第一に修学旅行を上げている大人たちにとっても、彼等の嘆きは十分すぎるほど共感できたのではないだろうか。最近多くのターミナル駅で、修学旅行生のグループをよくみかける。中学3年の孫娘も先週末、新幹線が大雨で止る直前に奈良京都への修学旅行に出かけたが、次の日には朝から新幹線が止まるほどの大雨だったのだから余程、運がよかったのだろう。
ポルトガルの格言に「神は人に十分な時間を与えたが、それをどう使うかは人それぞれにおまかせになった」というのがあるそうだが、その神が与えた時間というものも、人間にとって賞味期限があるらしいということを感じさせられたコロナ明けのこの頃だ。
（6/04/23 10:00pm S.T）
2023年6月2日
後継問題
人類史上最大の帝国であるモンゴル帝国の基盤を築き上げた成吉思汗だが、その帝国は彼の死後、わずか100年程で解体してしまった。
解体するにいたった理由は様々あるが、モンゴル族には中国のような長子相続といった後継者ルールがなく、中国本土を治めた元王朝も、ハン諸国も、皇帝や王の後継ぎ争いが原因で衰退の道を歩んだといわれている。
何もモンゴル帝国に限らず世界史における権力構造は、後継者争いによって自ら衰退の道を歩む―――ということが多いようだ。
逆に後継問題がスムースにいけば権力は長く継承することも可能だ。
徳川幕府が260年という長い間続いた理由は、一つには初代家康が二代秀忠とその正室お江が推していた利発な次男坊国松ではなく、長子相続というルールに基づいて、長男坊の家光（家臣たちにはバカだとおもわれていたという）を、三代目に指名したことが大きかったと言われる。
長子相続にはもちろん欠陥も多いが、それを徳川の初代創業者である家康が、「これからの徳川家は長子相続で行くのだ！」と定めてしまえば、以後この祖法を破ろうとする者はいなくなるから、少なくとも跡目争いから起きるお家騒動などの頻度は確実に少なくなる。（仙台藩のお家騒動など大名家で起きた騒動の多くが、後継者争いから起きている）
そうそう、日本の皇室では、かれこれ1600年程の間は、男系男子による相続という基本ルールが続いていることが長持ちの一つの理由かもしれない。もっとも、近年は男系男子にこだわると、中々この伝統を守るのは難しい面も出てきているようだが―――。
(6/01/23 10:00pm)
2023年6月1日
チャットGPTに思う
学校の先生がチャットGPTでチョチョイと作成した宿題を、生徒は家でこれもチョチョイとチャットGPTで終わらせて提出した―――なんていう記事が出ていたが、まあこんなバカみたいなことが日常茶飯で起こる世の中になってきたのでは人類は間違いなく退化していくような気もしないではない。
30年も前なら100人近い知人や取引先の電話番号を空で覚えていたのに、ケイタイが発達し、短縮ダイヤルだ、スピードダイヤルだ、音声発信だと便利な機能が備わってきた最近では、我が家の電話番号でさえ忘れている始末だ。これはタカさんが齢をとった所為ばかりではなく、若い人でさえ電話番号を、100も200も覚えている人なんていないというのが現代だ。
科学技術の発達進化は特に医学などの分野では人類に多大な貢献をしてくれているが、はたしてその技術を使いこなす側の人間の知能や、社会の仕組みがついていけているのだろうか―――と思うようなことも多い。
昔から、新しい技術が発達してくると、それはギャンブルとかポルノに使われるようになると言われていて、負の側面は避けようがないことは人類文明のもつ宿命のようなものでもので、通信技術の発達は、最近ではフィリッピンから掛けられた電話による詐欺、闇バイトによる強盗、殺人事件などというかつてはなかったような犯罪をうんでいるし、初期には、石を投げ合っていた人類の争いも、矢や槍、鉄砲から大砲、ミサイルから核兵器へと科学技術の発達と同時に拡大する一方で、人類は最後にはみずから開発した技術によって絶滅だってしかねないが、それを押しとどめるだけの知恵はどうも足りそうもない。
人類はその技術で遂に131億年前の宇宙の画像まで捉えているというのに、トランプやプーチン、金正恩といったトンデモ連中を制御する事すらできずにいる。
今朝も、Jアラートとやらでドキリとさせられていて、国会では相変わらずの茶番が繰り広げられていて――――社会は本当に進化しているのだろうか――それとも――。
(5/31/23 10:00pm)
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