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2023年3月
＜＜2023年：1-6月分 タイトル＞＞
03/31 Retiredと無職 03/30 パンとサーカス 03/29 マーケティング理論 03/28 チューリッヒの小鬼 03/27 異人さん
03/24 なに年生まれ？ 03/23 これからの保守と革新 03/20 アメリカファースト 03/17 お菓子は喜ばれる 03/16 料理の国際化
03/15 参議院不要論 03/14 国技は何だ？ 03/13 鉄の意思 03/10 河津桜と大陸移動 03/09 人手不足 03/08 北方領土問題
03/07 花と蝶 03/06 ラスベガス 03/03 Show the flag! 03/02 鶴の恩返し 03/01 チーズバーガー
2023年3月31日
Retiredと無職
神が創った最初の人間である、アダムとイブは天国のエデンの園で裸で暮らし、あり溢れる果物を食べて過ごしていたが、ある時、ヘビにそそのかされて神に食べてはいけない、と言われた知恵の木の実を食べたがために、自分達が裸であることに気付きイチジクの葉で腰を覆った。
言いつけを破ったアダムとイブに神は怒り、罰として女性には出産の苦しみを与え、男性には一生汗して働くという苦しみを与えた―――というのが旧約聖書の創世記に書かれた物語である。
すなわち、キリスト教では出産と労働は、原罪を犯したことで神から下された罰であるというのだ。出産の苦しみを体験したことはないから何ともコメントの仕様もないが痛い思いをして生んだ我が子を見て喜ぶ彼女等をみると本当に出産は苦しみだけなのだろうか？と思うし、労働が苦しみであり罰なのだという考え方にも、なんとなくなじめない。確かに、額に汗して働くことは、食っちゃ寝の生活よりはしんどいかもしれないが、多くの日本人は、適度に働くことに、無為な食っちゃ寝の生活よりも喜びを感じるのではないだろうか。
西欧人の多くが、一年でも早く引退（リタイア）することに必死であるのに対し、どちらかと言えば引退を嫌がり勝ちな日本人との違いは、この労働を苦痛とみるか、それとも人生の一つの目的とみるかの、キリスト教徒と日本人（の多く）との違いに起因するのではないだろうか。
アメリカでは、職業欄にretired（引退者）という欄があるが、日本では職業欄には引退者と言う項目はなく、引退すると皆「無職」になってしまう。アメリカ人はretiredと言う時には「俺はちゃんとやることはやった人間なのだ！」と誇らしげだが、日本人の引退者は「無職」と書くことで、なんだか引け目のようなものを持ってしまいがちなのは、この彼我の労働観の違いに起因するのではないか―――とも思う。
フランスのマクロン大統領が進める年金改革では、年金の受給開始年齢が現在の62歳から64歳に引き上げられるというので、世論の猛反発を呼び、各地でストやデモがおこなわれ、パリなどではゴミ収集車のストでゴミが溢れかえっているというニュースが流れているが―――、これも労働は苦役であって、そこから一刻も早く逃れたい！というキリスト教の教えが彼等にあるからではないかとも思う。定年の延長と聞くと喜ぶ多くの日本のサラリーマンには、理解できないところかもしれない。
(3/30/23 10:00pm)
2023年3月30日
パンとサーカス
「パンとサーカス」とは、古代ローマの詩人ユヴァナリスが、為政者に食糧と娯楽を無償で与えられていることで満足し、政治に無関心になっていくローマ市民たちのことを皮肉って言った言葉だ。
民主制を取っていた古代ローマだが、選挙権が与えられていたのは、市民権をもつ一部の人達だけであったから、その市民権保持者たちに、食べ物と娯楽を無償で与えてさえおけば、あとは為政者のやりたい放題だというわけで―――この「パンとサーカス」が古代ローマ社会滅亡の一つの理由にもあげられているのだ。
このパンとサーカスの原理は、なにも古代ローマだけに当てはまるわけではなく、現代の民主主義社会、いや強権政治の国々でも通用しているとも言えなくはない。
現在の日本はどうだろう。今国会で論議されていることの一つに少子化対策としての子育て支援策があるが、以前にも書いたように（参照:「少子化対策」1/24/23）もうかれこれ20年近く少子化対策担当という大臣ポストまで設けてあの手この手のバラマキ策を打って来たのに、全くと言ってよいほど成果が上がらないどころか、遂に出生数は80万人を切りそうだとまでいわれているのに――――そんな現実に目を向けず相変らずの、バラマキともいってよい「子育て支援策」を与野党競ってぶち上げているのだから――――。
暇を持て余して投票に行きそうな老人たちへのバラマキと、見栄えの良さそうな政策である「子育て支援策」で選挙民の歓心を得ようというのは、ローマが陥った「パンとサーカス」にどこか似ているように思えて仕方がない―――。
(3/29/23 10:00pm)
2023年3月29日
マーケティング理論
タカさんが若かった60年代、70年代にファッションブランドでピエール・カルダンがもてはやされたことがあった。エルメスやヴィトン ·ディオールは、女性ものと言うイメージがあって、しかも、ちょっと古いイメージなのに、カルダンは斬新で、若者に人気があったように思う。
お洒落には全く気を使わなかったタカも、時折、母が買ってきたシャツなどを着ていた記憶がある。まあ、そんなブームに便乗して、日本では高島屋や京王デパートといったところが、カルダンとタイアップしてキャンペーンを行っていたし、確かどこかの大手アパレルメーカーもカルダンと提携して大量に売り出していたような―――。まあ、ファッション音痴のタカさんのいうことだから多分違っているとは思うが―――。
そんなカルダンだが、あちこちと提携してライセンス生産をやったがために、仕舞にはわが家のトイレマットまで、カルダンのマークがついていたりしはじめ、一気に「若者ブランド」のイメージが地に落ちてしまい―――、今やそんなブランドがあったことも知らぬ人たちばかりになってしまったのは、カルダン本人にとっては予想外の出来事であったろう。（カルダンは、2年程前に98歳でなくなったというニュースを聞いたが）
そんな事を思い出したのは、5年程前に2斤で1000円という結構なお値段ながら、爆発的人気となった高級「生」食パンのブランドがその勢いに乘って全国展開をはじめて、全都道府県制覇を成し遂げた頃から、急に勢いがなくなり、挙句には経営陣の内紛などもあって経済誌などによれば、どうも経営状態があやぶまれるも聞く。タカさんの街にこの「生」食パンの店があるが、一昨年頃は店頭に客が列をつくっていたが、最近では、時折客が入っていく―――といった程度だ。
確かに当初は、2斤で1000円という高級感と、店の数も少ないという希少価値感もあって列を作って並んだ客も、今や日本中のどこの街でも買えるほどありふれた店になってしまい、それでいて通常の食パンの（例えばヤマザキの食パン）3倍の値段だとなれば―――人気も続かないのも当然という気もする。家のトイレマットと同じブランドのネクタイはしたくない！というかつての若者の気持ちと同じなのかもしれない――。
むかし、大学で「マーケティング理論」の講義を取った記憶があるが、ブランド力を維持するためのマーケティングというものの大切さというものを実例でいくつか見ると、まんざらあの講義も無駄ではなかったのかなぁ――と思う。
(3/28/23 10:00pm)
2023年3月28日
チューリッヒの小鬼
ナチスのホロコーストの犠牲となったユダヤ人の遺族が口座の返還を求めていたが、「銀行の守秘義務」を盾にしてその返還を渋っていたクレディ・スイス銀行が、国際ユダヤ人協会やアメリカ政府などからの強い要請と、世界からの非難に抗しきれず、遂にその一部（2千億円余り）を返還したのは、戦後なんと50年近く経った1990年代になってからの事だった。他人事ながら、「スイスの銀行ってキッタネーことするなぁ～等と思ったものだったが――。
スイスの銀行は、よく“チューリヒの小鬼たち”などとも呼ばれるが、昔から，顧客保護のためと称して徹底した秘密口座制度をとってきており、それはスイス政府の公認の下に行われてきた。「秘密を国ぐるみで守ってくれる」となれば、その小鬼たちの回りには、脱税や犯罪に絡む巨額資金や、独裁政権の要人たちといった「大鬼」たちが群がってくるのは当然で、パナマ文書で暴露された世界の秘密資金は勿論、フィリピンのマルコスやリビアのカダフィー、エジプトのムバラク、最近だとロシアのプーチン等々の独裁者が顧客としている、と言われてきた。
そのスイスの政府系銀行であるクレディス・イスが破綻、慌てたスイス政府の働きかけでもう一つの政府系銀行UBSがクレディ：スイスを買収することで一応事態は小康状態にあるものの―――アメリカの銀行破綻に端を発した世界的な金融不安がヨーロッパにも波及したようにも見え、国際金融不安は、予断を許さない情況にあるようだ。
しかし、アメリカ発の金融不安が、スイスに飛び火したようにも受け取られがちだが、先に述べたようにクレディ・スイスの破綻は、アメリカの余波というよりは、むしろスキャンダル続きのスイスの銀行が、遂にスキャンダルに耐えきれなくなって破綻した―――という面が強いようで、タイミングが偶々一緒になってしまったというところもあるようだ。
言い方はきついが、クレディ・スイスの破綻は、スキャンダルまみれの銀行が、遂に潰れたという―――自業自得だ、という人もいる―――。
もっともクレディ・スイスの救済策では、同行発行の170億（2兆2千憶円）余りの劣後債券が価値ゼロとされたというから、この債券の持主であるサウジやカタールが黙っているとも思えず―――まだまだ一揉めも二揉めもしそうな気配がないではないようだ。
(3/27/23 10:00pm)
2023年3月27日
異人さん
パスポートをもって海外に出かけた時に、普段はあまり思わなかった「自分は日本人だ」と自覚する人は多いという。
回りを見れば自分とは、顔つきも背の高さも、髪の色も違う種類の人達がたくさんいて、彼等の話している言葉も違うし、目につくポスターにしても日本語は見当たらないし―――となれば、ああ、やっぱり自分は、日本と言う国に住んで育った日本人なのだなぁ～という思いにとらわれるのは無理もないかもしれない。
世界には、人種のるつぼと言われる国も多く、そういう国で育った人ならともかく、未だに人口の98％が日本人という島国に住む日本人なら、日ごろ「日本人である」という意識を持つ機会は、そう多くはないかもしれない。
鎖国時代の日本人が外国人を見て「異人さん」といっていたのは、背は高いし、肌の色も髪の色も違うし、自分達にはさっぱり分からない言葉を話しているし―――と思った時、はじめて「自分達はどうも異国の人達とは違っているらしい」―――と意識し、そこではじめて「自分達は彼等とは違う和人なのだ」という意識をもったのかもしれない。
ヨーロッパ人がアフリカを植民地化してしまうまで、アフリカの各地に住む人達に民族意識はなく、あるとしても、せいぜい「隣の部落に住む人達とは我々はちょっと違うなぁぁ～」と言う程度の部族意識といわれるものがあったにすぎないという。
当初、アフリカ全土には国境もなく、人々は時によって移住生活をしていたが、植民地化を進める西洋列強は、自分達の支配体制を強固なものにするために、機械的な国境線を定め住民をその中に定住させるために「あなたたちは何々族である」という意識を持たせ、民族（部族）同士を牽制させあうことで、統治し易くしたのが、今日に至るアフリカの人々の「民族意識」の始まりだという。
確かに、彼等は、西欧列強によって民族意識を植え付けられたせいで、いまもアフリカ人が、一つの国としてまとまることはないし、いがみ合いは今も続いている。
広い意味でいうと、ネアンデルタールが絶滅した3万年前以来、人類は我々ホモサピエンス一種類のみであると言われる。すなわち現在80億人を突破した我々は、同じDNAの塩基配列を持つ兄弟姉妹であることになるが―――江戸時代の我々の先祖同様に、外国人に会えばやっぱり「異人さん」という意識を持ってしまうのは―――なぜだろうか？
(3/26/23 10:00pm)
2023年3月24日
なに年生まれ？
自分では齢相応もしくは少しは若く見られるかなぁ～と思っていたら、自分より3歳も年上の人に、「タカさんは俺より年上だと思って、いままで丁寧語を使っていたけれど、年下だったとは―――ああ、損した！」と言われたことがある。
年上か、年下かは、先輩、後輩意識の強い日本では人付き合い上、意外と大事なようだ。
兄と弟、姉と妹の区別が割と明確な日本と違ってアメリカ人は、兄弟を紹介する時でも’He is my brother.’というだけだから、紹介された、こちらとしては兄なのか弟なのか、類推するしかない。もちろんelder brother ,yanger brotherという言い方はあるが、使われることはめったにないのは、そんなことは彼等にとって重要ではないのだろう。
日本だと小学生の野球チームでさえ「xx先輩！」等と言うがアメリカだと年上だろうと年下だろうとチームメート同士はファーストネームで呼び合うのが普通だ。（もっとも英国王室などでは長子相続制があるから、兄と弟の差はいまだ重要なようだが―――）
それはともかくそんな訳で、日本での人付き合いには、相手の年齢を知ることはいまでも意外と重要だ。男性同士が、お互いの年齢を知るための情報は、意外とあるものだが、男性にとって女性の年齢を知ることは結構難しい。まして「女性に年齢をきくのは失礼」という紳士のエチケットがあるから、幼稚園の幼い子でもないかぎり、手のほどこしようがない。特に、最近のように女性が老いも若きもお肌の手入れとやらに熱心だと、昔のように5つや６つどころではなく、10歳以上も若作りされているから男にとっては、見かけだけで年齢を類推するなんて―――手の施しようがない。
女性の歳が分かりにくいというのは、男にとってばかりではなく、女性同士にとっても言えるようで、その探り合いの手法は、結構複雑らしい。相手の子供の年齢、孫の学年、伴侶の年齢などに手掛かりを求めて類推する――等という方法があるらしいが―――それとなく干支を聞きだすという手があるという話をきいたことがある。確かに、「干支は何？」などと聞かれたらタカさんなら思わず答えてしまうが―――そこは、お年を召した女性になってくると「キリン年」などと答えて中々引っかからない人もいるというから―――いやはや、女性の年齢を知るのは中々難しいようだ。
(3/23/23 10:00pm)
2023年3月23日
これからの保守と革新
日本で保守勢力といえば、まあなんとなく分かるけれど、革新勢力といわれるとどう言う勢力なのかなぁと思うのは、日本で現在、革新といわれている勢力のスローガンが「守れ！ 守れ！」と言っているからのように思う。
例えば「憲法を守れ」と言っているのは、総じて革新と言われる人達で、憲法改正を叫ぶのは、主に保守に多い。
フランス革命の時に始まったと言われる右翼と左翼の区別からいうと、左翼イコール革新であって、彼等は王権や貴族制などに基づく体制を打破して改革せよと叫んでいたことを思えば、「憲法を守れ！」を叫ぶ日本の革新勢力は―――ゲシュタルト崩壊しているようにもとれる。
同じく革新勢力と言われる人達のデモが掲げる「生活を守れ」というスローガンだったら、なにも革新の専売特許ではなく、いまや保守系を先頭に、ほとんどの皆が、叫んでいることだし―――。
20年ほど前に小泉内閣が行った郵政民営化などの論議にしてみても、頑迷に反対したのは、官公労などの左翼と言われた組合や、そのご機嫌伺いの左翼政党と言われた社民党や共産党だったように記憶する。古くは国鉄民営化の時もそうだったが、民営化という社会改革に反対する、改革なんかしないで、体制を維持せよ！と叫んだのは、保守ではなく、革新あるいは左翼と言われた人達だった――――。
憲法問題にしても、保守、革新いずれの側に立とうとも、戦後憲法が日本の民主化発展や、経済成長、国際化に果たした役割を十分評価するとともに、現在の国際状況や、安全保障上などで不都合になっている部分を「改訂」しようと考えるべきなのであって、教条的に一言一句変えてはいけない、そのまま守れ！という議論はおかしい。
フランス革命以来、保守と革新の違いは社会変革の方法論上の違いでしかないはずで、「保守と改革を同時に進める」という日本独自のやり方があってしかるべきではないだろうか。
いずれにせよ、今国会で行われている与野党のあら捜し、なじり合いが保守と革新のまっとうな論議ではないことだけは確かだ。
(3/22/23 10:00pm)
2023年3月20日
アメリカファースト
トランプ前大統領の言葉であるかのように思われている「アメリカファースト」は、実は第一次世界大戦の初期に中立の立場をとるべきだとする民主党と共和党の両方の政治家によって使用され、第二次大戦の時にも日本軍の真珠湾攻撃を受けて参戦するまで、アメリカが取り続けていた方針であり、更にその淵源を探れば第5代大統領モンローが提唱したモンロー宣言（相互不干渉主義）にある古い言葉だ。
大陸国であり他の国々と国境を接する所が多いヨーロッパの国々等と違って自分達だけでやっていける大陸国アメリカの場合、今も国民の多くには潜在的にある意識なのかも知れず、そこをついたトランプの発言が国民の潜在的共感を呼んだ―――という一面があったし、ウクライナ問題でもアメリカ世論には、「ウクライナ支援もほどほどにして、やっぱりアメリカ国内を第一に考えるべきだ！」という意見が根強いのも彼等の「他人の事はほおっておけ」という意識からのものだろう。
勿論、アメリカ人には、「正義の戦う！」といったアメリカヒーロー的な発想も強いが、それと同時に「アメリカファースト」意識をもっているというダブルスタンダードを、「結局は、一番大事なのは自分」と考えるのが普通である他の国々が笑ったり、非難したりする訳にはいかないだろう。（日本人だってサハリンに金を注ぎ込みLNGを買ってロシアに資金を注ぎ込んでいながら、ウクライナ支援をやっているし―――中国の新疆ウィグルで行っている強制労働には知らんぷりしてユニクロや無印良品の製品を買っている―――）
外交には内政不干渉という大原則があり、これは一国の国内政治，経済，社会の体制は，その国の国民が自らの自由意思で決めるべきものであって，外国が干渉してはならないというものだが、この外交大原則を金科玉条に待ちだせば「アメリカファースト」も他国が「利己主義的だ！」等と干渉することはできない。
そればかりではなく、例えば女性に対するイスラムの差別的な戒律を、他国が人権の面から、とやかく干渉することも、外交大原則的にはできないし、既にクリミアの併合を宣言してしまったロシアに「クリミアをウクライナに返還せよ！」と迫ることすら内政干渉になりかねない。
人類の普遍的な価値感とやらと内政不干渉の外交原則との関係は、とてもとても一筋縄ではいかないのだ。
(3/19/23 10:00pm)
2023年3月17日
お菓子は喜ばれる
WBCの対チェコ戦で佐々木朗希選手が投じた162キロの剛速球がチェコの打者の膝を直撃、選手は倒れこんで、もん絶したものの、その後、1塁ベース付近でダッシュして見せるなどの健在ぶりを示したそ、ぶつけた佐々木投手は帽子をとって「申し訳ない」と言う姿勢を取り、一塁手の山川選手も「大丈夫かい」といった態度でエスカラ選手に気遣いを見せた―――という一連の、スポーツマンらしい爽やかなシーンがあったが、タカさんもテレビでみていて、勝負の行方以上に「いい物を見せてもらったなぁ～」という気分になったものだった。
さらに、その試合の翌日には、佐々木投手が、チェコ―チームを訪れ、お詫びのしるしにと、自ら買ってきたロッテのお菓子を、どっさり届けたことが、又々随分と話題になった。
決して高額とは言えないちょっとしたお菓子を貰っただけで、子どもだけではなく、大人でも思わず顔がほころぶもので―――大坂では、おばちゃんが見ず知らずのひとにでも「アメちゃん」を渡すという風習があるとか、ないとか――。
そういえば、サンフランシスコ駐在時、幼かった娘たちが、ハロウィンの日に仮装して友達たちと、近所をTrick or Treat（お菓子を呉れなきゃ、いたずらしちゃうよ）と言って回り、帰ってきてからしこたま集まったお菓子をテーブルに山のようにして嬉々としていたことを思い出すし、エジプト駐在の時には、家族帯同していた同僚の子供たちに、一時帰国の土産で買ってきたお菓子をどっさり渡すと大喜びされ、やさしいおじちゃんとして大人気だったことを思い出す。
佐々木投手がチェコチームに渡した日本のお菓子は、万国共通のおもてなしグッズのようだ。
(3/16/23 10:00pm)
2023年3月16日
料理の国際化
テキサスとカリフォルニアにはアメリカ流にアレンジされたメキシコ料理がある。カリフォルニアのメキシコ料理はカルメックス（Cal－Mex）とよばれ、テキサスのメキシコ料理はテクメックス（Tex－Mex）といわれるが、両者は微妙に違うところがあるし、メキシコにはないカルメックスやテクメックスも多いから面白い。
アメリカンーメキシカン料理には、あの刑事コロンボの大好物、チリコンカンとか ファヒータ、タコサラダ、トルティアチップなどがあるが、アメリカ人も日本人もその事実を知らない人は多い。イタリア人が知らない、日本オリジナルのイタリア料理、例えばスパゲティーナポリタンやドリア、グラタン等と同じで料理はあっという間に国際化してしまうもののようだ。
メキシコ料理がこんなにアメリカで食べられているかといえば、それはテキサスもカリフォルニアも元々はメキシコ領であったが、アメリカからの入植者が多く住みつきその内に彼等が独立を宣言しメキシコ軍と戦って勝利した結果、テキサスは1845年にアメリカが併合し、カリフォルニアも同じような経過をたどり、1848年に起きた米墨戦争でアメリカが勝利した結果1850年にアメリカの31番目の州となったものだからなのだ。この頃のアメリカの領土政策は、「こん棒外交」といわれる力づくでのものだったのだから、現在、ウクライナの東部にじわじわとロシア系住民を送り込み、独立運動を起こさせて一方的にロシア領だと宣言したロシアが、ウクライナ東部4州やクリミアでやっている事とそっくりともいえるだ。
こん棒外交の前科のあるアメリカが、今ウクライナの側にたってロシアに対して「力による一方的な現状変更は世界のどこであれ認められない」等といっているのは、ロシアにしてみれば「どの口が言う！」といったところかもしれない。。
そうそう、日本人の多くがロシア料理だとおもっているボルシチは、ウクライナ料理だという。ロシア料理といえば、ピロシキやビーフストロガノフあたりだろうが、ビーフストロガノフはブラジルでは国民食あるいは、おふくろの味と思われてるいて、ブラジル人はブラジル料理だと思っているとも聞いたことがあるが―――やはり料理は国際化するもののようだ。
(3/15/23 10:00pm)
2023年3月15日
参議院不要論
随分昔から参議院無用論あるいは不要論というのがある。良識の府として第二院である参議院には、それなりのメリットもあるはずだが、今の日本の参議院は、衆議院のカーボンコピーとしてしか機能していないし、良識の府どころか、非常識の府、といった趣がある。
19世紀のフランスの政治家シエイエスが言った「第二院は第一院と同じ意思決定をするのなら無駄であり、また、異なる意思決定をするなら有害である」という不要論が当てはまりそうだ。
ガーシーなるふざけた議員が、参議院本会議に一度も出席せず懲罰委員会で除名決議を出されたが、いままで殊更に彼を無視してきたマスコミは、今度は一転してスキャンダルとしての扱いに転じ、大興奮で特派員まで派遣してカタールにいる、いやハワイにいる、と彼の追いかけをやり始める始末。社会の公器という自覚がまだあるなら、そんなスキャンダルを追いかけるだけではなく、なぜこんなフザケタ議員が存在可能なのか、どうやったら再発（第二、第三のガーシーは必ずでてくる）を防げるのか、いやいや、欠席を続けても歳費という国費が払われ続けなければならないという制度の問題点を―――、いや、もっと根本的な問題として、自浄作用もなくガーシーに今迄やりたい放題を許して何もできなかった参議院は、本当に必要なのか―――を考えるべきだ。
もっとも、そんなことを言い出せば、既得権益の受益者である政治家や利権団体、政党がよってたかって「憲法で二院制は定められている！」と言い出すだろうが、そうであるならば憲法改正まで視野に入れてでも参議院制度の抜本的改革を図るべきではないだろうか。
民主主義のコストとして無駄で無用な参議院でも他の強権政治に比べればマシ、という考え方もあるだろうが―――。
ガーシー議員が属している「N党」は、突如党名を変更し今度は「政治家女子48党」にしたという。これだってフザケテルと思う人は多いだろうが、それをとやかく規制すれば「自由な意見の抑圧」などといわれるだろうし―――現実に規制する法律もなければ、そういうフザケタ党に投票する人が何十万人かはいるのだから―――いやはやチャーチルの「民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば―――」という言葉が身にしみる。
(3/14/23 10:00pm)
2023年3月14日
国技は何だ？
横綱照ノ富士が休場、大関も一人だけというちょっと寂しい番付だが、大相撲の大阪春場所が始まっている。
日本の伝統競技である相撲だが、神事として始まったという歴史も古く、なにしろ本拠地が「国技館」と名付けられていることもあって、「大相撲は日本の国技だ」と思っている人は多いと思うが、法律のどこにも、「日本の国技は大相撲とする」などと書いてある訳ではない。
いやいや、毎場所の幕内優勝者には「天皇賜杯」が贈られるからやっぱり国技だろう、という人もいるかもしれないが、天皇杯と名付けられた賜杯が贈られるのは競馬の春、秋の天皇賞をはじめ、ざっと数えただけでも10数競技はあり中には全日本薙刀選手権や、全日本ソフトテニス選手権などというおそらくテレビ中継もないであろう競技にも天皇杯は贈られているから、「国技」の条件が天皇賜杯だ、という理屈は通らなさそうだ。
先にも述べたとおり相撲は日本発祥だからとは言うが、土俵がないなどのルールは多少異なる物のモンゴルや韓国、トルコなどには相撲に似た競技はあるから「日本独自」をあまり強調するのもどうか、というところはある。
「日本発祥だ」というなら、柔道や剣道、空手、合気道等これまた数種類の競技もあるから、相撲だけを「国技」だと定める、となると他競技関係者、愛好家たちと相当もめることは確実で、そんな危ない橋を渡ってまで相撲の国技化に汗をかこうという、立法者は多分いないだろう。
日本に国技はないが、世界には公的、法的に国技を定めている国は多い。その国発祥の競技を国技とするなら理解できないではないが、例えばサッカーはイギリス発祥だといわれているが、サッカーを国技としているの国は、サッカーの盛んな中南米の国が多いようだし、旧満州国もサッカーを国技としていたとも聞く。
野球はアメリカ発祥だから当然、アメリカでは国技と思われているが、この国は随分浮気性で、野球の他にもアメリカンフットボールやバスケットボール、アイスホッケーも国技だと言っているというから、「国技は一国に一つ」などと考える日本人の方が変なのかもしれない。
そういえば、大谷選手や佐々木朗希選手の活躍で日本が4連勝を遂げたWBC一次リーグでのテレビ視聴率は、何と50％近くと近年低迷気味の紅白歌合戦をも大きく上回ったという――、大相撲もうかうかしている訳にはいかないかも。
(3/13/23 10:00pm)
2023年3月13日
鉄の意思
意志が強いことを「鉄の意思」などともいうように鉄は硬いことで有名だ。硬さではダイヤモンドなど鉄より硬いものはいくらもあるが、手軽に手に入るという点では他の金属の追随をゆるさない。
それもそのはず、地球という星の30％は鉄でありこれは他の惑星からみたら、めちゃくちゃ高い比率だから地球は別名「鉄の星」ともいわれるのだとか。
人類史を見ると太古の長い石器時代を経て青銅器時代となり鉄器時代と言う変遷を辿ってきたが、時代が進むにつれてそのその文明の利器が、武器として使われることで、人類同士の争いの形態がより大規模で残虐なものになって来ているのは確かだ。鉄の時代からシリコンの時代といわれるICこそが何よりも価値がある―――ということになってきているが、鉄でさえコントロールできなかった人類が、それより更に進んだ利器を手に入れたのでは、そんなに明るい未来絵図は、書けそうもないとも思えてしまうが。
大学で単位が取りやすいという評判があった鉄鋼論という講義をとったことがあり、その時製鉄所見学というのがあって近場の製鉄所にいったことがある。その大きさに驚き当時の日本の「イケイケ」の雰囲気に圧倒されたものだが、あの製鉄所ももう何年か前には閉鎖されてしまい、当時は日本の鉄鋼生産量の足元にも及ばなかった中国が今や、日本の10倍もの鉄を生産しているというのだから、時代の流れを感じる。
もっとも、二酸化炭素を大量に排出する鉄鋼生産は、これからのSDGSの時代、一体どうなっていくのだろうと思わないではないが。
(3/12/23 10:00pm)
2023年3月10日
河津桜と大陸移動
伊豆は2000万年前には、現在の硫黄島付近にあった海底火山群だったが、プレートに乘って徐々に移動、いまから30万年前に本州と衝突して伊豆半島となったという。オーストラリア大陸は今も年間８CMの勢いで北に動いているというから計算上だと8000万年程すれば日本列島と地続きになるはずだ――――。
今や誰もが知っているといってよい、この「大陸移動説」だがウェーゲナーが1912年にドイツ地質学会で発表した時には、彼が地質専門家ではなかったこともあって、全く顧みられることはなく、漸くこの説が認められたのは、彼の死後、1930年代になってからだという。
ダーウィンの進化論や、アインシュタインの相対性理論と同様に、一旦認められれば、誰もが知る当たり前の常識のようになってしまうような理論こそ、貴重な人類の叡智の結晶といえるのだが―――このウェーゲナーの大陸移動説も間違いなくその一つといえるだろう。世界地図を見ればアメリカ大陸とアフリカ大陸がジグソーパズルのようにぴったりと符合するから、もとは一つの大陸だったことは一目瞭然に分かったはずなのに―――。
大島桜は、伊豆大島の固有種だが、今は伊豆半島にも大島桜の名所がたくさんあるのも、伊豆半島の移動に乘って伊豆大島から植生が移ってきたようだ。（人の手で移植したのだという説もあるらしいが）
500万年後にはインドネシア諸島、8000万年後には今はアメリカであるハワイ諸島もオーストラリア大陸も日本列島に衝突し大きな超大陸になるらしいから、その際にはもう国境線がどうだこうだなどと争っている場合ではなくなるだろう。
もっとも、我々ホモサピエンスが地上に現れたのは、わずか20万年前に過ぎないし、4万年前に絶滅したネアンデルタールも、栄えていたのは35万年間に過ぎないということを考えれば、超大陸が出現し、国境がなくなる8000万年後に、我々ホモサピエンスが生き残っている可能性は、限りなくゼロに近いし、ひょっとしたら地球さえ存在してないかもしれない――。
まあ、そんな8000万年後の心配等しないで、今は近所の公園で咲き誇っている、大島桜と寒緋桜の交配種である河津桜を楽しむことにしよう。
(3/09/23 10:00pm)
2023年3月9日
人手不足
日本での働く人の内、いわゆる非正規雇用者の割合は約4割の2千万人に達するという。
非正規は、自分のライフスタイルに合わせて働くことができるとか、自分で勤務地を選ぶことができる、といったメリットもあるが、景気が悪くなってくると雇い止めなどによって、収入の道が断たれる、といったデメリットもあるからと、一時期はどうせ働くなら、正社員を目指すといった風潮もあった。
企業の側にしてみると、非正規雇用は雇用調整弁としても便利な存在であり、積極的に取り入れてきた時期もあったが、コロナの規制が徐々にとかれ、各方面で人出不足がいわれるようになって来ると、旅行業界や小売り、建設業などでは非正規を、高い時給で誘っても中々確保できないという状況もあるらしい。コロナの時期、結局雇い止めに会い辛い思いをした人たちにしてみれば、又戻ってきて欲しいと言われても、そういった業界では、自分のキャリアアップにつながる訳ではないと知ってしまった以上、戻るのもどうか―――というところがあるらしい。
いや本当に人出不足は、結構深刻な問題になっているようで、そんな訳からだろうか、我が町で一年位前から続いている道路工事現場には、「完全週休２日制実施、xx建設」と書いた大きな募集看板が立っている。道路工事現場に土建会社が賃金以外の「完全週休二日制」という誘い文句で人手を募集する時代がくるとは―――もはや、高い時給に誘われて人が集まるのは、ルフィーの闇バイトぐらいのものなのだろうか―――。
大手企業を中心に2023年度には大幅な賃上げを発表する企業も続々と出てきているが、それでも23年の物価上昇は3％程度と想定され、この物価上昇を上回る賃上げ率を達成できる企業は、それほど多くはないともいわれる。実質賃金が低くて人が集まらない国というのでは経済大国なんていえるのだろうか―――。
中国に抜かれたとは言え未だ日本のGDPは世界第3位だが、まもなくドイツにぬかれそうだとも聞くし――――人口で割った1人当たりGDPだと日本は世界27位と決して豊かという訳でもないとか―――。
そんな数字のあれこれを見ると―――日本は本当に経済大国なのだろうかと思わないではない。
(3/08/23 10:00pm)
2023年3月8日
北方領土問題
間宮林蔵がシベリアに渡りアムール河流域を探検したのは1809年というから今から200年前のことである。アムール河流域といえば今は勿論ロシア領だが、林蔵が訪れた際にはそこにはデレンという交易地があって夏場には清朝の出先機関が設けられ、清朝の役人が周辺民族からクロテンなどの毛皮を貢がせる代わりに、一定の地位や、絹織物や木綿、針などを褒美として与えていた。
デレンからロシア人は排除されており、林蔵も周辺でロシア人を見ることはなかったという。すなわち、200年前には、間違いなくシベリアは清朝すなわち当時の中国が支配していたのだ。
今はロシア領となっているシベリアだが、中国政府は2010年に「極東の中国領150万平方キロが、帝政ロシアに奪われた」との声明を発表、中国の教科書にもその記述が登場しているという。すなわち日本の北方領土同様、中国もロシアによって領土を不法に占拠されていると主張しているのだ。
ロシア側は、極東シベリアは、もともと誰の領土でもなかったところに、17世紀後半から帝政ロシアが進出し支配しているのだ―――すなわちロシアの領土だ！と言っているが、間宮のデレンの記述からするとこの主張は怪しい。やはり、中国の教科書の記述の方が分がありそうにも見える。
清朝が衰退しはじめ、西洋列強が中国領土を我が物顔に蹂躙していき、遂に清朝が滅びた1907年の時点では、清朝を継いだ中国が、「極東シベリアを返せ！」というだけの余裕もなかっただろうし、その後、圧倒的に強いソ連に対して、弱小国だった中国が、「領土を返せ！」などとは恐ろしくてとても言えなかったのだろうがーーー。
今や14億の人口を抱えてGDP世界第二位となった中国にとって、GDPで自分達の1/10に過ぎないロシアに対して「不法占拠している領土を返せ！」と迫ることは可能だと踏んでいるのかもしれない。
ウクライナ侵攻で疲弊しつつあるロシアだから、中国に味方して欲しくて、ひょっとしたらそんな中国の領土返還要求を受け入れる可能性だって―――ないではないとも思える。
勿論、そうなったら日本が今迄ロシアに対して行ってきた「北方領土を返せ！」という要求は、今度は中国に対してすることになるが―――、ますます返還の可能性は低くなりそうだ。
(3/07/23 10:00pm)
2023年3月7日
花と蝶
植物がタネを作るためには花粉がメシベに到達する必要があるが、その方法としては自家受粉と他家受粉がある。
自家受粉だと花粉の量は少なくて済むが遺伝的組合せの多様性が低く種の絶滅の危険性がましてしまうから、やはり多くの花粉を作ってそれをなるべく遠くまで運んで貰い、遺伝的多様性を増す他家受粉の方が種の繁栄の為には望ましい。
そんな理由があるからだろう他家受粉のスギは多くの花粉を作りそれを一斉に風任せに飛ばす。スギ花粉のピークだといわれる今日この頃は、何と全国で400万トンの花粉が飛び散っているそうで、花粉症のタカさんは、外出は極力控え窓をしめ切った部屋で過ごす時間が長くなっていることで折角コロナの外出自粛が解けつつあるというのに、足腰が衰えてしまわぬかと心配になってくる。（スギ花粉メ！）
長い植物史の中で花粉を大量に作り、風任せで飛ばすというやり方では労力の割に成果が乏しいと気付いた（？）植物の中に、花と言う派手な装いで虫を呼び寄せ、蜜を提供するかわりにその体に花粉をくっつけて効率よく遠くのメシベまで運んでもらおうという賢い（？）進化を果たしたものがいた。これが虫媒花といわれる植物だ。すなわち、花の誕生は、ハチや蝶などの昆虫の進化と同時進行していたらしい。
花と蝶の誕生は、一億数千万年程前、白亜紀前半ごろだったとか。20万年といわれる我々ホモサピエンスの歴史に比べれば一億数千万年程と言えばとんでもない昔だが、植物が陸上に進出した5億年前や、地球上に生命が誕生した35億年前に比べれば、つい最近ともいえる訳だ。そもそも恐竜が闊歩していたジュラ紀（2億年前）には花もなければ、蝶もいなかったというのだから―――中々想像できない世界だ。
(3/06/23 10:00pm)
2023年3月6日
ラスベガス
今や世界一のエンターテイメントの街といってよいラスベガスは、最初は、100年程前、ユニオンパシフィック鉄道の蒸気機関車給水地として拓けた街だが、その当時の人口は25人だったという。
ラスベガスの属するネバダ州は、砂漠しかなく企業誘致もままならなかった為、所得税や州税を全米各地より低く設定し、大胆な企業誘致策を打ち出したところ、シティーグルプなどが本社機能を置くなどし、さらには税の安さに目をつけたマフィアのバグジー・シーゲルがここにカジノホテル（フラミンゴホテル）を開設してから、カジノの街として発展をはじめ、1960年代からは当局が、厳しくマフィア取締ったこともあって以後は世界的な総合エンターテイメントの街として、家族連れも楽しめる街へと発展を続けているのだ。（ちなみに、今やラスベガスの人口は200万人だとか）
タカさんも、アメリカ駐在時代からよくラスベガスに遊びに行ったが、ギャンブルだけではなく、ショッピング、グルメ、数々のショーなど確かに老若男女が楽しめる街であることを家族ともども実感してきた。
エジプト駐在の時もロンドン駐在のときもカジノにはよく行ったが、カイロもロンドンも、カジノはギャンブルがメインであり、ラスベガスのような「なにからなにまで」という総合的に誰もが楽しめるという雰囲気は乏しい。
マカオや韓国、シンガポールのカジノはより博打場感が強く、目を血走らせた客ばかりがきているといった雰囲気があり、なんだか日本のパチンコ店にいるようで、ラスベガスのように、子供連れでも楽しめる―――という雰囲気は感じなかった。
日本でもラスベガス調のカジノを含む総合リゾート（IR）をつくろうというカジノ法（IR法）が2018年に成立、一時は東京オリンピックに間に合わせてカジノリゾートを開業しようなどという構想もあったらしいが、どうも根強いバクチ嫌い世論もあって頓挫しており、今や出来れば2020年代中にはどうにか―――という話もあるようだが、それでも、立地に手を上げる地域も少なく、今やカジノ法案もこのままポシャル可能性まで噂されているのだとか―――。
航空運賃が随分と値上がりしている昨今、日本からラスベガスもそうそう簡単にはいけないが、どうしてもカジノに行きい人は、近場（ソウルなど）にもいくつかあるカジノで満足してもらえばよいのではないだろうか。あまりお勧めはしないが―――。
(3/05/23 10:00pm)
2023年3月3日
Show the flag！
イラクのクゥエート侵攻に対して多国籍軍が戦った湾岸戦争の時、日本は憲法上の制約から多国籍軍に自衛隊を派遣しなかった。
多国籍軍側に2兆円近くの資金提供をしながら、人的貢献がなかったことで日本は「小切手外交」などといわれ、戦後クゥエート政府が米紙に掲載した、関係国への謝意を伝える広告には、日本の名前がなかったということもあった。このことがトラウマとなってそれ以降、日本は人的貢献を行うべく様々な模索を続けてはいるが――。
あの時、米政府から言われた言葉が’Show the flag！’(旗幟を鮮明にせよ！)だったのを覚えている。「我々の側につくのか、イラク側につくのかはっきりしろ！金だけだして逃げるんじゃねぇよ！」と言う風に聞えるという意見も多かった。
しかし、あの時も日本同様に軍隊を送っていない国はいくつもあったし、イラク側に与する国（キューバ、ブラジル、ヨルダン、北朝鮮など）もあった。又どちらの側にも与しない国も多かったのも事実。それ等の国にとっては、イラクとクゥエートの問題よりも自国で起こっていること（貧困や紛争等々）の方が大変で、はっきり言って「関心がない」ということだったのかもしれない。
ただ、そういった国々に比べて、当時はGDPがアメリカに次いで世界第二位だった日本の場合、「金で済まそうとしている」と受け取られたのがクゥエートから感謝の言葉がなかった理由なのではないか―――という見方が日本国内では多かったようだ。（実際は、クゥエート政府がミスで単純に日本をリストから落としてしまった―――というのが真相だともいわれるが）
ロシアのウクライナ侵略に当って、今再び世界はウクライナ側とロシア側に分かれているようにも見えるが、インドや南アあるいはアフリカの多くの国々のように、旗幟を鮮明にせずにいる国も多い。いわゆるグローバルサウスと言われる国々だ。
確かに、彼等にしてみれば、ちょっと前まで自分達を植民地として搾取しまくっていた西側諸国が、いまさら正義面して「ウクライナを助けろ」「民主主義と強権政治の戦いだ！」などと言いだすのは、片腹痛い、ウクライナの面倒を見るぐらいなら、その前に自分達への償いをするなり、自分達を貧困から救え！といった思いが強いのかもしれない。
それなのに、あなたたちに、ウクライナ問題で「旗幟を鮮明にしろ」と迫られる筋合いはない！といったところなのかもしれない。
(3/02/23 10:00pm)
2023年3月2日
鶴の恩返し
暴君として悪名高いローマ皇帝カリギュラを描いた映画「カリギュラ」は、残虐シーンや性的に過激なシーンが余りに多いという理由で、上映禁止措置が取られたが、そのことが評判になって禁止措置に反して上映している劇場には、人々が殺到、空前の大ヒットとなったという。
おとぎ話の「鶴の恩返し」でも、「見てはいけませんよ」と言われていたのに機織りを覗いてしまった若者が恩返しの為に訪れていた美しい娘に化身していた鶴に去られてしまう―――という話だし、「あけないで下さいね」と乙姫様にいわれた玉手箱をあけてしまった浦島太郎がおじいさんになってしまうという話もあるように、洋の東西、古今を問わず、人と言うものは「やってはダメ！」と言われるとやってしまう習性があるようだ。
この禁止されると逆らいたくなる心理効果の事を「カリギュラ効果」などとも呼ぶらしいが、確かにコロナで外出自粛が要請された時期、都心のデパートにどうしても押しかけたくなる―――という人達が少なからずいたことなど、我々も日常よく見聞きする心理現象だ。
「勉強しなさい！」といわれると勉強する気を失うし、「誰にも言わないでね」と言われて聞いた話は、たちまちの内に町内に知れ渡っている―――などということも、よくあるカリギュラ効果と言ってよいだろう。人は基本的に自由でありたいという願望をもっているから、その自由が束縛されるとその束縛を解こうとすることで起きる現象だという説があるけれど、なるほどと思えるところもある。
そういえば、テレビコメンテーターなどの中には、大方の意見とは正反対の意見を述べることで「異なる視点からの貴重な意見」だとか「ユニークで面白い見解」などと言われて一躍世間の注目を集める―――等という人もいるけれど、あまりそんなコメントばかりだとそのうちにあきられて、その上、いらぬスキャンダルなどを暴かれて―――消えていく―――なんていうのひともいるから、「ユニークな意見」も多様するのも、よし悪し、だ。
人は、「やるな！」といわればやるし、「やれ！」といわれればやらないなら、この心理行動を使って、為政者が大衆を誘導することも出来そうだ―――すでにやっているかもしれないが。
(3/01/23 10:00pm)
2023年3月1日
チーズバーガー
多くの宗教には食べ物のタブーがある。仏教では殺生を禁じており従って肉類は全般的にタブーだし、ヒンドゥー教では牛は、神の使いだからという理由で、当然牛肉がタブーだ。
イスラム教では「鱗のない海産物」すなわちイカ、タコ、貝類などはタブーだが、イスラム教の源流であるユダヤ教では、もっとタブーは厳しくイスラムでは食べてよいエビさえも、カニとともに禁じられている。日本人が好きなウナギも、「鱗がない」からとユダヤ教徒は食べないらしい。（実際は、ウナギには目に見えないほど細かい鱗があると、この間さかなクンが言っていたけれど―――）
ユダヤ人の多いニューヨークや、イスラエルにはこの厳格なユダヤ教のタブーを犯さないようにと調理したものを食べさせるコーシャレストランというのがあり、ユダヤ人の同僚や友達と何回かいったことがあるが、
一番驚いたことは、この店では、ユダヤ教の生活立法である「タルムート」に書かれている食事作法「母なる肉と子なる乳を同時に食べてはならぬぞよ」を厳格に守っている事だった。掟に従って肉料理にはクリームやチーズは使われないし、クリームシチューなどは勿論ダメなだけではなく、肉料理の食後のアイスクリームや、コーヒーに入れるミルクもダメだった（豆乳のようなフェイクミルクはあったが）。
ニューヨークにあったコーシャレストランでは、肉料理と乳製品を扱う食器や調理器具まで別々に扱っているとの話をきいて驚いたが―――宗教上のタブーというのは、それほど厳格なもののようだ。
ユダヤ教のコーシャ料理とイスラム教の教えに則ったハラール料理は、似通ったところもあるが微妙に違うから両方の信者が混在している国に行くと、無信心者のタカさんなどには訳がわからなくなってくる。
なんでこんな食事タブーがあるのかと思うが、一説では、ユダヤ教やイスラムで豚肉を禁じているのは、あの暑い国では豚肉が一番いたみやすいからそれを禁じることで命を守っているのだとも聞いたことがある。そうだとすると、宗教上のタブーには意外と生活の知恵と結びついているようにも思うが―――どうなのだろう。
明治生まれの祖母は、「生まれてこのかたなまぐさものは、一切食べたことがない」などと言っていたが、いま日本のお坊さんですら、そんな人がどれほどいるだろうか。イスラエルのマックではチーズバーガーはないという話も聞くが、あと、50年後、100年後には日本同様に戒律も少しは緩んでいるだろうか？
(2/28/23 10:00pm)
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