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フロント頁：”日々早々”のバックナンバー
2023年1月
＜＜2023年：1-6月分 タイトル＞＞ 1月
01/31 玉手箱 01/30 個人の判断 01/27 早い者勝ち 01/26 トルコの政教分離 01/25 スモールイズビューティフル 01/24
少子化対策 01/23 オドアケル 01/20 カラスの行水 01/18 サブサハラ問題 01/17 千両みかん 01/16 豊臣恩顧 01/13
バベルの塔 01/11 やらない手はない 01/10 敗戦国の国民 01/06 恩知らず
2023年1月31日
玉手箱
アインシュタインの相対性理論によると「速く移動するほど、止まっているものより時間の進み方が遅くなる」という。これは、高速で飛ぶ通信衛星に置いた時計と地上の時計とでは、時間の進み方ににわずかだが違いが出てしまうことで実証されていて、衛星から電波を受けるカーナビなどでは、この誤差は常時、修正されているという。
この速度による時間の進み方の違いは、例えば光速の99.5%で飛ぶロケットに乘って1年旅をして、地球に戻ってくると地上では、10年の月日が経っている、という計算になるそうだ。
このアインシュタインの理論を、初めて聞いた時、この時間差の話、日本のおとぎ話「浦島太郎」ですでに千年も前に語られていたことに思い当たった。助けた亀に連れられて、竜宮城を訪れた太郎は、乙姫様に歓待され鯛や平目の舞い踊りを見たり、山海の珍味を味わったりしてあっという間に三年を過ごした。里心がついて乙姫様にお暇乞いをして、土産にと玉手箱を貰って村に帰ってみると、村では既に300年が経っており、誰一人として知った人がいない。不安に思った太郎が、乙姫様に「絶対にあけてはいけませんよ」といわれた玉手箱をあけてみると、中から一筋の煙が出て、その煙を浴びた太郎は「あっという間に、おじいさん」になってしまいましたとさ」―――という話だ。
竜宮城にいた3年の内に、300年がたっていたというのだから、これはもう完全なアインシュタイン理論だ。（計算はちょっと合わないが―――）
それにしても、このおとぎ話、本当は結構怖い話だとおもう。コロナの外出自粛やら、リアルでの対面自粛が、3年にもなると、世の中随分と変わってきていて、この間に親しい人達の中には、亡くなった方もいるし、よく通っていた飲み屋の中には、潰れてしまったところもあり、浦島太郎が故郷に帰って感じた淋しさや戸惑いが、分かるような気がする。
太郎は、村の子供達にいじめられている亀を助けたことが元で、こんな目にあってしまったというのなら、亀を助けるべきではなかったのだろうか？ いやいや助けたのは良しとしても、亀の誘いに乗ってひょいひょいと竜宮城に行ったのがいけなかったのか（甘言に乘ってひょいひょいとキャバクラに入ってしまったように）、いやいやそこまではよいとしても、いくら面白い、楽しいからといって3年も遊んで暮らしたのがいけなかったのか―――？？「あけちゃダメ」といわれた玉手箱をあけたのがいけなかったのか？ この浦島の話、タカさん自身、何か、身につまされるところもないではない話だ。
(1/30/23 10:00pm)
2023年1月30日
個人の判断
この3年程、厚労省がマスク着用を推奨していたのは「他者と身体的距離（２ｍ以上を目安）が確保できない中で会話を行う場合」となっており、それに続く注意書きにはわざわざ「それ以外の場面については、マスクの着用の必要はありません（例：公園での散歩やランニング、サイクリング/徒歩や自転車での通勤、屋外で人とすれ違う場面）」とも書いてある。しかしながら、例えば道路渋滞の様子をテレビニュースで見たら、ひとりで運転しているのにもかかわらず、運転者もしっかりマスクをしているのには、思わず笑ってしまった。
とはいいながら、タカさん自身、近くの土手の散歩道を歩く時にも、いや、歩いてわずか数十歩の、ゴミ集積所にゴミ出しに出る時も、マスクをしないで出るなんて―――パンツ無しで外に出るような気がしてどうも落ち着かない。わずか3年間の間に、どちらかといえばマスク嫌いだったタカさんが、ここまで変身してしまうなんて――我ながら不思議だ。
山本七平に「空気の研究」という名著がある。これは、日本人がいかに同調圧力すなわち回りの「空気」に弱く、それに従ってしまう民族であるかを、あの戦争になぜ日本人が突き進んでしまったかを例に描いたものだが、その中で彼は「｢空気｣とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の『超能力』かも知れない。この『空気』なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起るやら、皆目見当がつかないことになる。」と論じている。
まさに全員がひとりで散歩する時でさえマスクをする、というのは「みんながマスクをしている」「マスクをしていないと、白い目で見られるかもしれないから、嫌だけれども一応しておこう」といった具合に、「空気」という妖怪に取り付かれているからかも知れない。
政府は、コロナの感染症法上の位置付けを「２類相当」から「５類」に引き下げに伴って、マスクの着用ガイドラインを「任意」に見直すという。「任意」すなわち「個人の判断」ということだが、この個人の判断という奴、すなわち山本七平のいう「空気」を突然なくすようなものでもあり、寧ろ、同調圧力を求めがちな日本人を戸惑わせている。
勿論、アメリカのように、街では誰もマスクをしていない、ということになれば、日本人は（花粉症患者や手術中の医者でもない限り）マスク無しで歩き始めるだろうが、半分以上の人が任意でマスクをしているとなれば、「やはりマスクをしておいた方が、他人から変な目で見られることもないだろう」とマスクをするのではないだろうか―――。
(1/29/23 10:00pm)
2023年1月27日
早い者勝ち
アメリカにヨーロッパ人が本格的に入ってきたのは1620年、イギリスで宗教的迫害を受けていた清教徒（ピューリタン）が、メイフラワー号に乘ってきてボストンに街を拓いたのがはじまりで、それから約150年後には東海岸の13州が本国イギリスからの独立を果たしてアメリカ合衆国がはじまったのだ。メイフラワー号がアメリカに着いた時は、日本では既に江戸に徳川幕府ができていたし、独立した時には平賀源内がエレキテルを作って人々を驚かせていたのだから、アメリカがいかに若い国であるかがよくわかるだろう。
アメリカへの移民は、メイフラワー号のピューリタンをはじめイギリスからの、貧しい農民を中心とした人々であったが、なにせ北米大陸は、広大で豊かな土地であり、農業資源や、森林資源、動物の毛皮等の高価な資源にも恵まれていたこともあって、彼等がエリート層を形成していくのにそれほど時間はかからなかった。
このエリート層を形成した一番乗りグループの人々、即ち、アングロサクソン系白人プロテスタント教徒（WASP）は、今もアメリカ社会のエリート層を占めていて、後に移民してきたラテン系やゲルマン系、スラブ系、あるいは同じ白人でもカソリック教徒やユダヤ系よりもエリート意識は強いと言われている。まして、労働力として集められたり、連れてこられたアジア系や、アフリカ系、ネイティブアメリカンは、どうしても差別を受ける側に回されてしまうのは、やっぱり「誰が一番早く来て国を拓いたとおもってんだよ！」というWASP側の意識が、差別する側にもされる側にも今も潜在的にあるからではないか―と思わないではない。
今、メキシコ国境には、合法、不法を含めてアメリカ移住を求め南米から人々が押し寄せている。「これ以上の移民は受け入れられない！」とすでにアメリカ国民となっているかつての移民とその子孫たちは、国境に壁を作り、重火器までもって厳重警備を敷いている。貧しい人達が大量に入ってこられては、その面倒を見る費用だけでも莫大で、しかも彼等が安い労賃で自分達の仕事を奪って行けば、自分達の生活はどうなるのだ！と怒り狂う人たちが、多いともいわれている。（例えは悪いが、ちょうどいい湯加減の湯舟にゆっくりとつかっていたら、ドカドカと垢だらけの客が大量に入ってきては困る！とでもいうのだろうか）
昔「二位じゃだめですか！」といって顰蹙を買った代議士さんがいたが、移民に関してはやっぱり早い者勝ちということはあるようだ。
(1/26/23 10:00pm)
2023年1月26日
トルコの政教分離
1890年、和歌山沖で暴風雨によって沈没したオスマントルコのエルトゥール号遭難事件の時、嵐の中を献身的に救助にあたり多くの人命を救った地元の人たちに感謝したトルコの人々が、それからほぼ100年後のイランイラク戦争で、行き場を失っていた日本人をチャーター機を出して救助してくれたこともあったように、トルコは随分以前から、中東の親日国として日本人にとってもなじみ深い国だ。
そのトルコはイスラム教の国だが、初代の大統領、ムスタファ・ケマル（後に、アタチュルク=トルコ人の父、の尊称を与えられた）が、政教分離を唱え、イスラム国としては早くから、女性の教育に力を注ぎ、女性参政権（日本より早い）を実現させたし、勿論ベール着用もむしろ禁じたりもして、宗教からの脱却を図った。（自らもイスラムでは禁じられている酒の飲み過ぎもとで、肝硬変で死去するなどしている）
いまも、ケマルアタチュルクは、トルコ人の尊敬を集めてはいるが、彼が唱えた政教分離は、彼の死後80年も経つと大分変質してきているようだ。何せイスラム教は、1400年以上に亘って中東をはじめアジア・アフリカの人々の間で広く信じられてきたのだから、いかにアタチュルクが尊敬されているとは言え、彼が死んでしまえば、彼の努力も元にもどるのも仕方ないともいえる。
NATO加盟を申請中のスウェーデンで、大規模なデモがあり、このデモ参加者の一部が、コーランを焼いたという。イスラムにとっては、コーランは「神の言葉そのもの」であり、絶対に侵さざるものであるのに―――それが焼かれたとなれば、イスラムにとっては怒ることこそ正しい行い―――ということになる。シャルリエブドや、サルマン・ラシュディ―にテロがかけられたのも、イスラムの教えからは正しい行為となるぐらいなのだから。
トルコのエルドワン大統領は、「スウェーデンはNATO加盟をめぐり、我々からの支持を期待すべきではない」と激怒しているという。
NATOへの加入申請は、加盟国の全会一致が必要で、トルコが一国でも反対となれば、ロシアの脅威にさらされるスウェーデンは、NATOに加盟できず窮地に陥ることにもなりかねない。
それにしても、ケマル主義の政教分離の原則と、今回のエルドワンの怒り方とでは、政教合致も随分と変質しているようにも見えるが―――。
(1/26/23 10:00pm)
2023年1月25日
スモールイズビューティフル
指揮者山本直純が気球に乗って歌う「大きいことはいいことだ」という板チョコのCMが一世を風靡してから数年後、大量生産、大量消費に対する世間の反省の気分が漂い始めた頃、経済学者、シューマッハーが唱えた「スモールイズビューティフル」（小さいことはいいことだ）に日本人が飛びついたことがあった。日本人の今も変わらぬ、定見のなさと付和雷同ぶりに、笑いを禁じえなかったことを思い出す。
シューマッハーは、経済学者だが大量生産、大量消費の源ともいえるイギリスの石炭公社の顧問も務めていたから、（彼の主張と、どうも真逆で）なんだか聞いていると、ゲシュタルト崩壊を起こしそうにもなったが――、彼の唱えた「スモールイズビューティフル」は、後に起こるエネルギー危機を言い当て、大量消費が、人の幸福度の指標だとする経済学や、科学万能主義に疑問を投げかける説として、現在世界が抱える矛盾を半世紀も前に言い当てていたということになる。
彼は、自然の中で多くを持たずつつましく、しかし精神的には豊かに暮らしている仏教徒たちの暮らしに感銘を受けて「スモールイズビューティフル」を唱え始めたともいわれるから、決して新しい思想というわけではなく、人間本来の根源的なありかたともいえる理論でもある。
今も、エネルギーの争奪から、人々の争い、環境破壊が進んでいることを思えば、やっぱり大きいことよりも、小さいことのほうが、良いのかもしれない。
そうそう、平均体重が5トンにもなる象は、一日100キロの草や野菜を食べねばならないから起きている時間のほとんどは食事に費やさなければならないから大変だ。もっとも、体重が軽ければカロリーは、少なくて済むかというとそんなこともないようで、ネズミは体は小さいが体重の割には発熱量が多くこれも一日中食べているというから彼等も大変だ。
そういえば、西欧の人々に比べると、今でも日本人は概して小柄な方だが、平均寿命は世界トップレベルだ。小柄ということは、エネルギー消費が少なくて済む、すなわち少ない食糧で体を維持することが出来る訳で―――総人口がますます増えていくこれからの世界では、小柄でエネルギー消費が少なくて済む日本人は、多少有利ではないだろうか。
やっぱり「スモールイズビューティフル」なのでは？？
(1/24/23 10:00pm)
2023年1月24日
少子化対策
2007年に少子化対策担当という大臣ポストが設けられてから15年が経過するが、このポスト、大臣病患者の先生たちのガス抜きポストとして設けられたのではないか等という外野席の声も聞かれ、今までになんと25人もの先生方がとっかえひっかえそのポストにつかれたようだが、残念ながらめぼしい成果は上がらなかったようにも思える。
というのもこのポストが設けられた2007年から、今迄に２回ほど3000人ほど増加した年があったが、その他の年は、一貫して減り続け、それまで年間100万人はかろうじて維持してきた年間出生者数は、2016年には、それも割り込み、2018年には90万人をも割り込んで、推計ながら昨年2022年には80万人をも割り込んだともみられている有様だ。
岸田首相は、施政方針演説で、最重要課題として「少子化対策」を挙げ、「出生率反転への決意」を述べたが、今までの15年間のいわば「失敗」をどう総括し、どのように立て直すかの、具体策は「今迄とは次元の異なる少子化対策を今年6月までに策定する！」と述べただけでは、「出生率反転」のイメージは見えない。
いままでの例から、言えばせいぜい、補助金や、給付金の新設、増額ということだろうと思うが―――果たして人々が「そんなに金が出るなら、子作りしようか―――」と思うかどうか―――。
まだまだ日本では結婚しないと子供が生まれない、という傾向は強いが、ただでさえ結婚適齢期の人口が減っている上に、「生涯、結婚しない男女」の数が増えている、というところに今の少子化の原因があるように思える。（2015年の国勢調査では、男性の4人に1人、女性の14％が生涯未婚だとか）
では、なぜ結婚しなかいえば、女性に自立の場がふえていることや、男女ともに、結婚適齢期と言われる年齢が大分遅くなってきていること、収入格差が広がり男女ともに家庭と子供を持つことへの自信が持てないこと―――等があげられているが―――。先日、ある人が書いていたが、日本人は元々、シャイで恋愛下手なのに、最近の恋愛結婚じゃないとダメ、という風潮で見合い結婚が減ってきていること（最近結婚したカップルのわずか5％が見合い）も一要因だという。出生者数が多かった戦前は、日本人の、ほぼ100％が見合いだったというから、その説もなんだか一理ありそうな気がしないではない。
少子化対策と称してばらまきを続けるなら、「見合い庁」でも作って、いくらか予算をつける―――というのも妙案かもしれない。
(1/23/23
10:00pm)
2023年1月23日
オドアケル
紀元前700年頃に始まった都市国家ローマは、紀元前27年にアウグストスが初代皇帝に就いてからは、ローマ帝国となり、地中海地域を中心とする巨大帝国となった。
ローマ帝国はその後、西と東に分裂し東ローマ帝国は1453年迄続くのだが、西ローマ帝国は紀元４７６年、傭兵隊長であったオドアケルによって滅ぼされてしまった。
ローマ法をはじめ、文学、-宗教、土木建築等に今も強い影響を残すあの大ローマ帝国が、自らが雇った傭兵によって滅ぼされてしまったのだ。
近代ロシアは、1721年にピョートル1世が皇帝となって以降、ソ連、そしてロシアと続いている訳だが、世界一の国土面積をもつ巨大国家である。その巨大国家も、ウクライナ侵攻を切っ掛けにして、世界の約半分を敵に回してしまい、軍事、経済、文化のどの面から見てもいまや、衰退傾向にあると言わざるを得ない。
そこで気になるのが、あの絶対的強権を振るっていたかに見えたプーチンの地位を脅かしそうな顔ぶれだ。1991年にベラルーシや、カザフ、などと結成した親ロシア的国家間組織、CIS（独立国家共同体）という枠組みがあるものの、今のところロシアのウクライナ侵攻を積極的に支援しようという国はなく、中にはむしろロシアをたしなめる側に回っている国まである。
支持はするものの、積極的に戦線に加わろうとしないロシア国民と、頼りがいのないCISを前にして、プーチンとしては唯一頼りにするのは傭兵隊しかないという状況になりつつある。
さて、そうなると思い起こされるのがオドアケルだ。ゲルマン人の侵攻などによって疲弊しつつあったローマが頼ったのは、ゲルマン人の傭兵だったが――、その傭兵をコントロールしきれず、結局、飼犬に手を噛まれる形で滅ぼされてしまったのだ。
ワグネルのブリコジン、ハルマゲドン将軍の異名を持つスロビキン、あるいはそれに代わり総司令官となったシリアでは民間人に生物化学兵器を使ったゲラシモフ等といった、そうそうたる悪名が、今やプーチンの地位を狙う第一候補だ、などという話もある。
正気を失っているとさえ思えるプーチンが退場することで、局面は変わるかもしれないが、こういった連中が後を継いだのでは、事態は、更に悪化する可能性大だし―――オドアケルが西ローマを滅ぼして以来、ヨーロッパの混とん状況はその後、今日まで繋がっていることを思うと―――なんとも暗い気持ちにならざるを得ない。
(1/22/23 10:00pm）
2023年1月20日
カラスの行水
わんぱくな男の子は風呂に入るのが嫌いで、母親からうるさくいわれると、形だけ浸かってあっという間に出て来て又叱られるなんていうことがよくある。短い時間の入浴のことを「カラスの行水」というが、これはカラスが一瞬水浴びをして羽やくちばしを整える様子と、早風呂とをかけた慣用句だ。（まさに言い得て妙だ）
水兵に水浴びをさせるアメリカ海軍の艦艇では、水が貴重なので、事前に石鹸を体に塗った水兵を一列に行進させ、頭上から一瞬シャワーを浴びせるという方式――-ネイヴィーシャワーという―――をやっているという。
一般的な浴び方で10分間シャワーを使うと、大体230リットルの水を消費するのに対し、-ネイヴィシャワーだと11リットル弱しか使わないというから一般人も日ごろ、ネイヴィーシャワーをやれば、1人あたり年間56,000リットル以上の水資源削減につながるという。
地球環境の保護の為にも水使用の削減が叫ばれる昨今、ネイヴィーシャワーの普及キャンペーンなんていうのも案外望ましいかもしれない。（ついでにカラスの行水も推奨――等とという訳にはいかないだろうが）
タカさんは、最近では冬至の日のゆず湯と、正月の初湯では、湯舟につかったがそれ以外の日はシャワーを浴びるだけで済ませてた。多分、湯舟につかるの年間の時間では、あの地獄谷温泉のニホンザルや、カピパラにも負けていると思う。
そうそう、地球環境を守れ！とあちこちで大活躍中のグレタさんは、水資源保護の為に、ネイヴィーシャワーかカラスの行水を実行しておられることと思うが―――。
(1/19/23 10:00pm)
2023年1月18日
サブサハラ問題
アフリカのサハラ砂漠より南側の地域のことをサブサハラという。人口は現在10億人だが、急激に増えており2035年には中国とインドを抜き、2070年には、中国やインドの2倍になると予想されているが、サブサハラでは、人口の41.%が、1日1.90ドル以下で暮らしているのだ。
サブサハラの住民の平均摂取カロリーは、一日1700カロリーといわれ、これは成人が必要といわれる2500カロリーに遠く及ばなない。
一方、欧米をはじめとする先進国では、カロリーの取り過ぎによる肥満に悩まされる人が多く、米国では成人の約3分の2が、太り過ぎか肥満で、その平均の一日のカロリー摂取量は、何と3600カロリーとサブサハラの2倍を上回っている。
貧困と飢餓に悩む地域は、元々気候的に、作物収穫量が多くないことや、民族間の内戦や、宗教対立、政治の腐敗等々の問題など多様な原因をかかえているが、やはり一つには、マルサスが「人口論」で指摘したように、多すぎる人口に食糧生産が追い付かないことがあるようだ―――。
先進地域では、過剰なカロリー摂取が行われ、健康被害さえおこしているのに貧困地域ではカロリー不足に陥っているののだ。
しかも大いなる矛盾は、人類が毎年生産する食糧は、人類が必要とする量の約2倍にもなるという点だ。
例えば、世界の穀物生産量は、人類が直接食べている量の約倍つくられているが、人類が食べる量の、約半分は、ゴミとして廃棄され、全生産量の半分は人ではなく、家畜のエサとして使われているのだ。（家畜の肉や玉子の生産に使われる穀物は、何と、肉の重さの約10倍にもなる。すなわち、あなたが食べるステーキやすき焼きの肉の背後には、その10倍の穀物が消費されているという訳だ―――。
そうそう、日本には現在約700万頭の犬、800万匹の猫がペットとして飼われているが、彼等が食べるドッグフード、キャットフードのカロリー量だけでも、実に驚くべき量になる――。（ペットの体重1キログラム当たり、一日130カロリーが摂取されているという）
サブサハラ問題の解決は、遠いと言わざるを得ない。
(1/17/23 10:00pm)
2023年1月17日
千両みかん
落語に「千両みかん」という話がある。江戸の大店（おおだな）の一人息子が、気の病で寝込んでしまい明日をも知れぬ状態におちいってしまった。店の主人から、どうにかして息子から、何を気に止んでのいるのかを聞きだすようにと命じられたのは若旦那を子供の頃から世話をしてきた番頭だが、もし原因が分らぬままにもし息子が死んでしまったら、お前を主殺しの下手人として訴えてやる、そうなればお前は磔獄門だ！とまで脅され、番頭は、若旦那に必死に尋ねるのだが―――恋わずらいでもなんでもなく、この夏の最中にみかんが食べたくて、食べたくて―――その思いが嵩じて寝込んでしまったのだ――ということを聞き出す。
大旦那にそれを伝えると、これから江戸中を探して、みかんを持って来いという、もし持ってこなければ、お前は主殺しとして磔、獄門だ！と又脅され、江戸中を探し回ったところ、大きなくだもの問屋の三つの蔵にたった一個だけみずみずしいみかんが残っていた。値段を聞いたところ、三蔵の中にたった一個残っていただけなのだから―――千両なら譲るといわれ、大旦那に相談したところ、「かけがえのない息子の命が千両なら安いものだ！」というので千両で買い求め、若旦那のところへ持っていくと―――若旦那は早速みかんを剥いて十房の内七房を食べると、みるみる病状は回復、すっかり全快の様子で、残りの三房を、両親と祖母に一房ずつ上げてくれという。
一個十房で千両のみかん、三房あれば三百両！！、自分がこれから先、一生働いても手に入らない金額だ！と考えた番頭、その三房をもって失踪してしまった―――という話だ。
自分や自分の愛する人の命となれば、それが金であがなえるなら幾ら払ってでも手に入れたいと思うのが人情だが―――それが他人にとっても同じ価値をもつ、という訳ではないというのも又人情だ。
医学が発達した昨今では、臓器の一部を取り出して移植する、ということが日常茶飯的に行われ、それが提供者側の善意によって行われているのならともかく、中には、外国に行って貧しい人たちに金を払って臓器提供を買って―――等という患者がいて、又、そういった臓器売買を仲介するボランティア団体を名乗る怪しげな連中までいるというではないか―――。
千両みかんの話は、落語にもなって笑えるが、現代の臓器移植の話には、笑えない物もあるようだ。医学の発達のスピードに、人情が中々追いつかないということもあるようだ。
(1/16/23 10:00pm)
2023年1月16日
豊臣恩顧
関ケ原の戦いで東軍についた加藤清正や福島正則などは、豊臣恩顧の大名といわれた。なぜ彼等が家康側の東軍についたの理由は、関ケ原の戦いの結果、まさか豊臣が滅びるとは考えてもおらず、西軍側の実質的な総大将が、彼等が大嫌いな石田三成であったことだ。
秀吉の死の直前までに行われた朝鮮出兵で苦労した自分達に対して、光成は出兵もせず、秀吉の下で自分達の監視役としてあることない事ご注進に及ぶだけだった――――しかも、その働きによって秀吉のますますの寵愛を得ていた―――という、彼等にとって、なんともいたたまれない行いに心底腹が立っていたので、光成が自分に味方して呉れといってきても、意地でも味方するものか！光成をやっつけると言っている家康に加勢しよう―――となったからなのだ。女の嫉妬よりも、男の嫉妬の方が根が深い――といわれるが、まさにこの福島正則や加藤清正の男の恨みつらみこそが日本史の大転換のきっかけだったのだ。
ウクライナの要衝と言われるバクムトの近くの街、ソレダルを制圧したと、ロシア国防省が発表したが、これに対して実際ソレダルの攻撃の実行部隊である民間軍事会社「ワグネル」の創設者のプリゴジン（プーチンの料理人であった）は、ソレダルの制圧を行ったのは、ワグネルなのに、国防省はあたかも自分達がやったように言っている。国防省はワグネルから勝利を盗もうしているのだ」とSNSで批判したという。
まさに、プーチンのお褒めの言葉を得ようとして、朝鮮出兵の実行部隊と、日本在留の光成等の取り巻き連中とが、争ったようなことがロシアでも起きているのだ。
日本でも、前線に赴かず、ああしろこうしろと号令をかけるだけの、大本営のエリート参謀部隊と、前線で必死の戦いを行い倒れていった実戦部隊の間には、責任の擦り付け合いや、戦後にまで尾を引いた非難の応酬があったように、実戦部隊と司令部の間には、必ずといってよいほどこういった軋轢が生まれる。（それは、ビジネスにおいても企画立案部署と、実際の営業部隊との間で往々にして起こりがちな軋轢だ）
そういえば、「言うは易く、行うは難し」というが、立派な論をぶち、鋭い批判はするのに、本人の実行は全く伴わない―――なんていう人が（タカさんを含め）いかに多いことか。
(1/15/23 10:00pm)
2023年1月13日
バベルの塔
旧約聖書の「創世記」には、バビロンに住む人々が、天にも届く神の領域まで手を伸ばす塔を建設しようとして、巨大な塔を築き始めたが、現場の上と下での意思の疎通が難しくなり、結局このプロジェクトは失敗に終わってしまった―――というバベルの塔の話が出て来る。今ならば無線通信やドローンなどもあるから、あのバベルの塔のような失敗もないだろうとは思うが―――。「バカと煙は高い所が好き」というが、（タカさんも小さい頃から高い所が好きだが）、なぜか昔から人類は、高い所に憧れをもってきたようだ。
現在、ビルとして一番高いのは、ドバイにあるブルジェカリファで、高さ828メートル、206階建てだそうだが、建設中のものとなるとサウジアラビアのジェッダタワーで、これは先端部分が塔になっており、居住部分だけだと167階だというから、ブルジェカリファーよりはビルとしては―――どうなのだろう？
建設計画中の物としては、ドバイに高さ何と2400メートルという計画があり、日本にも東京湾に高さ1700メートル、55000人が居住可能という「スカイマイルタワー」の計画もある。（完成予定は2045年とのこと）
人類の高さへの憧れは、旧約聖書の時代と変わりなく、又尽きることがないようだ。
ところで、コロナが流行し始めて以来、オフィスには行かず広々とした田舎でリモートワークをする―――というライフスタイルがはじまったと随分話題になったが、都心型の高層オフィス、高層マンションブームは、あのリモートワーク、地方移住ブームとはどういう関係にあるのだろうか――――？？
リモート生活をやってはみたが、やっぱりリアルの方が---仕事の効率は良いし、仕事や私生活にもメリハリがある―――等という人が出て来たり、飲み会にしても缶ビールと枝豆をデスクにおいてモニター相手に飲み会に参加しても白けるばかり―――なんていう人達が都心回帰するだろうから―――などということでもあるのだろうか。
そういえば、3年前に大学に入った若い人たちのなかにも、キャンパスライフはないし、リモート授業ばかりで友人も出来ず―――精神的に不安定になってしまったという人が多いとも聞くが―――。
(1/12/23 10:00pm)
2023年1月11日
やらない手はない
短期間での代替調達が難しい石油や天然ガスにまで踏み込んで制裁すれば、ウクライナ侵攻を続けるロシアにてきめんの効果があるとなれば、制裁はやるべきだが、エネルギーの多くをロシアに依存する体質になってしまっている各国にとっては、それは容易なことではない。
サハリン１、Ⅱという事業に首をつっこんでしまっている日本も、欧州各国ほどではないにせよ、その事情は大きくは変わらない。いやむしろ、日本の方が対ロシア制裁という意味では、弱気にならざるを得ないのかもしれない。
勿論、日本が、ロシアからの輸入を止めて、他の国々から輸入していたのでは、国際的な燃料のマーケット価格を上げることにもなりかねず、そうなれば、ロシアの原油、ガス価格も上がってしまい結果的にロシアを助けてしまうかもしれない。
そういうことにしないで、ロシアに対する制裁効果を上げるためには日本はどうしたらいいのだろう。何しろロシアの輸出収入を減らすことだが、その為に日本が独自にできることが、識者の何人かも言っていたが、いくつかあるように思う。
まず、原油やガスの使用量を減らすために、日本で現在休止中の、原子力発電所を再稼働させることだ。福島の事故以来、半ばタブーとなってしまっている原子力発電だが、「あつものに懲りてなますを吹く」がごとき状況から、もうそろそろ脱してもよいのではないだろうか。ウクライナで苦しむ人々の事を考えたら、首相も言っていたが、既に多くの検証も終え、改善策も策定され安全度が増しているであろう原発を、ウクライナの人々の事を考えたら、再稼働させるべきだ。
それに加えてドイツなどでは既に始めている、休止中の石炭火力発電所も。出来る限り再稼働させるべきだ。これも日本が開発したCO2排出を極力おさえる技術を使えば、ウクライナの人々が苦しんでいる間だけでも積極運用すべきではないだろうか。又、高率な種々のエネルギー税を減税し、エネルギーの国内価格を下げることも有効だろう。エネルギー減税で税収不足だというなら、莫大な再エネ補助金を減らせばよい。
そんなささやかな我々日本人みんなの努力で、ロシア制裁とウクライナ支援の一助になるとすれば、やらない手はないと思うのだが。
(1/10/23 10:00pm)
2023年1月10日
敗戦国の国民
「あなたは勝つものと思っていましたかと老いた妻がさびしげに言う」と敗戦直後に詠ったのは、当時60歳だった歌人土岐善麿である。
それまで勝ち戦しか知らなかった日本人が初めて経験する敗戦という衝撃にいかに対処したのかは、戦後世代の我々は想像するしかないが、きっと多くの日本人の心の中には、この土岐善麿夫妻の会話のような感情が押し寄せていたに違いない。
戦後、「実は自分は戦争には最初から反対だった」「あんな馬鹿なことをした責任は軍部や軍閥、新聞などにあるのだ」と主張する人が続出したというが、しかし、戦時中には、子供から大人まで、国民のほぼ全員が、少なくとも戦争反対の声を上げずにいたことは事実だったろう。
ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領の支持率は、昨年12月時点で8割に達するという。戦争中の日本と同じく、厳しい情報統制と組織的な世論誘導が行われ、様々なフェイクニュースばかりを聞かされているから――という事情はあるだろうが、1億5千万のロシア人の8割が、ウクライナ侵攻を圧倒的に支持している、というのだから、今のロシアは、第二次大戦中の日本と同じ状況にであるのではないだろうか。
まだまだ、長引きそうだと言われるロシアのウクライナ侵略がいつどのような形で終結するのか、しないのかは予測もつかないが、その決着がロシア側にとっての全面勝利で終わる可能性は、ほとんどなく「プーチンは、いつまでも幸せにくらしましたとさ」というようなこともないのも又確かだろう。
さて、そうなった時、いまプーチンに80％の圧倒的支持を与えているロシア国民は、なんと言うのだろうか。「自分は、最初からこの侵攻には反対だった」とか「自分達はプーチンに騙された、いわば被害者の一員である」といった、敗戦直後の日本人と同じことをいいだすのではないか――という気がしないではない。その時、ロシアの夫婦間でも、土岐善麿夫妻のような「あなたは勝つものと思っていましたかと老いた妻がさびしげに言う」といった風景がくりかえされるのだろうか。
(1/09/23 10:00pm)
2023年1月6日
恩知らず
新年もまず温暖化問題で大騒ぎだ。特に「日々早々」でも度々言及しているように、今や地球温暖化の主犯扱いされて悪くいわれるのが石炭だが、日本の国産エネルギーとしてもてはやされ一大産業であったのはそんなに昔の事ではない。
日本の石炭は、豪州などの露天掘りのできる形では存在せず、地中深くに鉱脈があるために表土の割合（剝土比）が大きく坑内掘りにならざるを得ず、度々大きな事故で多くの人命が失われたこともあって、次第に安価に手に入る外国産の液体化石燃料である石油にとってかわられた。
そんな訳で、今や国内の炭鉱はほぼ全てが廃坑となり負の遺産などと呼ばれるに至っている。（石炭を駆逐した、石油や天然ガスでさえ温暖化ガスとして今や追われる身になっているが）
石炭は今から3億年程前の「石炭紀」に倒れ地中に埋まった植物化石である。石炭紀には植物繊維であるリグニンを分解する白色腐朽菌類がまだいなかったために当時の倒木が地中で腐ることがなく堆積し石炭層を作ったのだ。
イギリスに始まって人類史を大きく変えた産業革命は、石炭という化石燃料を利用した蒸気機関によって始まり、その産業革命が、今日のそして未来社会へとつながる近代文化、文明の始まりとなったことを思うと、なんとなく現代の石炭なり化石燃料に対する人々の「冷たい仕打ち」は、あまりにも「恩知らず」過ぎはしないか――という気もしないではない。
その石炭だが、世界中にまだまだ埋もれている採掘可能量だけでも1兆トンあると言われている。まだまだ大量にある資源ではあるが、今の化石燃料憎しの社会趨勢からすれば、再び深い眠りにつかざるを得ないだろう。まあ、石炭にしてみれば3億年もの長い眠りの後、ほんの250年程、眠りを覚まされたが再びゆっくり眠れる時が来た、ということかも知れないが。
歴史はくりかえすというから、今、ちやほやされている太陽光パネルや、洋上風力なども、その耐用年数が過ぎて、常温核融合などという新たなエネルギーが開発されれば、廃棄処理困難物件あるいは解体費用がかさみ過ぎる無用の長物として人々に厄介者扱いされ、毛嫌いされる時代が来るのだろう。
(1/05/23 10:00pm)
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