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2023年4月
＜＜2023年：1-6月分 タイトル＞＞
04/28 産めよ増やせよ 04/27 古墳に思う 04/26 奴隷契約 04/25 文字と文化 04/24 銃と国民性 04/19 打製石器
04/18 過激思想 04/17 鼻をぐしゅぐしゅ 04/14 ロドリゲス選手 04/12 みんな仲良く 04/11 低投票率 04/10 師団のリスク管理
0407 AIは信頼できるか 04/05 宗教と平和の相性 04/04 コニタンの暴走 04/03 インシャーラ
2023年4月28日
産めよ増やせよ
予想とか予測と名のつく物の信頼度が低い事は競馬予想の当たらないことで皆経験済みだろうと思うが――、それでも比較的当たるといわれるのが人口の長期予測だ。
厚労省が50年後の2070年には日本の総人口は8700万人(内外国人1000万)になるとの予測を発表した。これが政府の本音の数字だとすると―――政治が今やっている様々な少子化対策の効果を、お役人は、全く信じていないということなのかもしれない。
結婚をするかしないか、あるいは子供を持つか持たないか、は全くの個人の自由であるが、国民が結婚もしないし子供を持たないで人口減となれば国としてはGDPが減るなどして様々な問題が出て来て、確かに困るだろうから、あの手この手で少子化を防止、できれば人口増加につなげたい！となるのは当然だろう。
となると、自由主義社会では、国民をなだめすかして、あるいはあの手この手のインセンティブをちらつかせて子作りに励んでもらおうとするだろうが、今どき、ちょっとやそっとのインセンティブに踊る国民は、そう多くはない、というのが西側諸国の大半であり、最近は、あの人口大国中国でも同じ状況になってきているという。
つい最近までは、「一人っ子政策」をとって人口抑制に努めていた中国だが、近年「二人目まで許容」「三人目もOK」と段々抑制策をゆるめ、インドに人口世界一の座を奪われた最近では、今度はいかにしたら少子化を防げるかの政策への百八十度の転換をはかっているという。
ニューズウィーク誌によると、さすがに強権国だけあって、国民にちやほやと子作りインセンティブを与えるなどというなまぬるい方法だけでは人口減少は防げないと、「カップルが二人目の子供を持つまでコンドームを買えないという規制を導入する」「大学キャンパスやホテルでのコンドーム販売を麻薬並みに禁止する」などという方策がまじめに提案、検討されているというから―――怖ろしいというか笑ってしまう。さすが共産国、強権国だ。
今、日本での合計特殊出生率が1.39と2を割って大騒ぎしているが、中国では、既に1.1-1.2となっていて回復の見通しもない、というのだからコンドームの麻薬並み取締りをしたところで、効果がでるとも―――思えないのだが―――。
旧約聖書の神の言葉、「産めよ増やせよ」は、現代社会では中々通じないと思う。
(4/28/23 10:00pm)
2023年4月27日
古墳に思う
日本にある古墳の数は、16万基を超えるのだという。人口もおそらく500万人にも満たなかったであろう古墳時代のわずか250年程の間に、（しかも古墳を作れたのはほんの一握りの権力者であったにもかかわらず）16万もの古墳がつくられたというのだからこれがあと1000年も続いていたら日本は古墳だらけの国になっていただろう。
そういう意味では人の霊魂は肉体とは別で、輪廻転生を繰り返すものと教える仏教が、基本的には火葬をおこなっていたことで、狭い日本でも土地が足りた―――のはラッキーだったといえるかも――――。
キリスト教やイスラム教では死者は「最後の審判」の日に復活するとされ、その日までは遺骸は形をとどめて埋葬されなければならない、と考えられているから土葬が基本だ。近年、キリスト教では、火葬が大分許容されるようになっているらしいが、イスラムではいまだによほどの極悪人でもない限り火葬は禁忌（火葬は罰であるという考えがあるという）であるというから大変だ。
日本に住むイスラム教徒にとっては、土葬が多くの市町村で禁じられていてよほどの事でもない限り土葬は無理だということは、大いなる悩みの種であるという。
最近は、人種や性別あるいは性自認による差別が社会問題視されるようになっているが、土葬の禁止も、ことによると宗教による差別だ！と問題視されるかもしれない。
長い間、単一民族として暮らしてきた日本人が、国際化社会で生きていくようになると、さまざまな問題が起きてくるのは―――致し方ないのだろう。
(4/26/23 10:00pm)
2023年4月26日
奴隷契約
アイドルグループを脱退した男性に対し、所属事務所が契約に基づき計1千万円の違約金の支払いを求めた訴訟の判決が、大阪地裁であった。判決では男性を労働基準法上の「労働者」と認め、違約金は労働基準法違反であり無効だと判断し、芸能事務所側の訴えを退けた。
タレントと芸能事務所との契約トラブルは度々訴訟沙汰にもなるが、タレント売り出しまでに相当の資金を注ぎ込んだ事務所側にしてみれば、折角その投資資金回収にかかろうという時に、辞められてはたまったものではないというであろうが、タレントの側にしてみれば、奴隷労働に近い条件で仕事をさせられ、安い報酬だとか、過酷な時間拘束、契約終了後といえども他の事務所への移籍禁止等々といった言わば奴隷拘束は違法であると訴えるのも理解できる。
特に、この大阪地裁の判決のケースでは、男性タレントは適応性障害との診断を受けたため、これ以上活動を続けられないと言った事情があったが、事務所は五回の芸能活動を休んだことで、一回200万円、計1000万円の違約金を払えと訴えたものだという。
労働基準法では、「労働契約の不履行について、違約金を定める契約をしてはいけない」と定めているが、この手の訴訟では往々にして芸能事務所側は、「タレント契約は労働契約ではない」と主張し、それが認められる場合もあったようだが、大阪地裁は、この男性と芸能事務所との契約は「実態は労働契約だった」と認め、違約金は無効だと認めた訳だ。
労働契約だとなれば、言いつけどおり働かなければ罰金を取るというのは、嫌がる女郎が客を取らなければ仕置きをする、といったかつての遊郭で行われた奴隷労働方式を現代の芸能事務所がやっていたということにもなる訳で、この手の契約が常態化しているといわれる芸能界には衝撃が走っているのではないだろうか。
所属タレントへの亡くなった芸能事務所のドンによる長年のセクハラを、知っていながら表沙汰にしようとしなかったNHKを含むテレビ局や新聞各社などのマスコミが、セクハラ被害を外国人記者クラブでカミングアウトしたタレントの告白で、彼等の意図的な隠蔽（セクハラ加担ともいえる）が公になり「なぜ今迄マスコミはセクハラを記事にしなかったのか！」と大騒ぎになっているが―――この不透明だった芸能事務所によるタレントとの奴隷契約問題も加わると―――さすがに芸能界も知らんぷりを続けるわけにもいくまい。
(4/25/23 10:00pm)
2023年4月25日
文字と文化
エジプトの土産物屋では、客の名前をエジプトの古代文字で書いたカルトゥ―シュと言われる名札をパピルスで作ってくれる。ヒエログリフは紀元前3000年頃から紀元4世紀頃まで使われていたが、その後長い間、解読不能となってしまった神聖文字だ。ナポレオンのエジプト遠征時に発見されたロゼッタストーンを手掛かりにフランス人シャンポリオンが解読に成功した文字だという点でも魅力的だ。この神秘の文字で書かれた自分の名前、というのだから土産としては人気抜群だ。
ヒエログリフは象形文字から作られた表意文字であったが、表意文字は漢字がそうであるように、一字一字に意味があるから、当然、文字数が膨大になってしまう。ただ神聖文字というのは、王や神官たちと言ったごく少数の人達が知っておればよく、文字数が多くても、それで問題はなかったのだが、時代が進むにつれ簡略化した草書体が使われるようになり、その内、表意文字すなわち音をあらわす文字としても使われるようになって行き、特に王の名前などを表記する際には、この表意文字としての使い方がされるようになったのが、このカルトゥ―シュなのだ。（従って土産物屋では、ローマ字で名前を書いて注文すれば、ほんの数分でヒエログリフに変換してくれるという訳だ）
今世界で使われている様々な文字で表意文字は、おそらく漢字位だろう。多くの国で使われるアルファベットは表音文字だし、インドのテベッカリー文字やタイのシャム文字も表音文字であるのは、話し言葉をそのまま音で再現する方が簡単だからだろう。
しかし、日本では表意文字である漢字と、表音文字であるひらがな、カタカナの三種類（場合によってはアルファベットまで）を使っいる。外国人は難しいというが、日本では、子供でも難なく使いこなしている。
日本に漢字が入って来たのは1-2世紀頃だが、当初から、漢字を表意文字としても受入れると同時に、訓読みという日本語の意味を付け加えたり、万葉仮名のように日本語の音を漢字に当てはめたりという大和言葉への応用を見事にやってのけている。しかも、9世紀ごろになると万葉仮名を草書体として使う「ひらがな」という新しい文字を作ってしまったのだから、そのイノベーション能力は大したものだと言える。
そうそう、当初は女文字として使われていたひらがなを男性である紀貫之が使ってあの「土佐日記」を書いたというのも、日本語の文字発展史の中では、特筆すべき偉業だ。そのお陰で、「もののあはれ」に代表される日本的情緒が、今も日本人の間で育まれているのだ。
(4/24/23 10:00pm)
2023年4月24日
銃と国民性
アメリカの開拓時代、開拓者一家は、大平原の一軒家に住んでいた。もちろん周囲何マイルに保安官事務所もないとなれば、流れ者の強盗の襲撃を受けても、一家を守るのは自分達だけだ―――となれば、当然銃などの武器は必要だった。
更に、時代が進んで合衆国建国に当っては、領主国イギリスに対して民兵組織が武器をもって戦う必要があったから、彼等は憲法を定めその第2条に「規律ある民兵は自由な国家に必要であり、人民が武器を保持し携帯する権利は奪われない」という条項を設け武器保持の権利を条文化したのだ。
すなわち、銃を持つ権利は、アメリカ人としての建国の精神であり「侵すべからざる権利」であるという歴史的意識があるのだ。
余りにも多い銃乱射事件、銃による犯罪によって多くの人が死傷しているという事実に、この憲法の規定を変更しある程度の制限を設けようという試みは、近年とみに増してきているが、「全米ライフル協会」というアメリカ最大の政治ロビーの全面的バックアップを得て、幾ら銃乱射事件や銃による強盗などの被害者が出ても、この憲法を変えることは許さない！という勢力も共和党支持者を中心に国民の半数近くをしめているから―――銃規制は、まず不可能といえる状態だ。
一方、今年1月バイデン大統領は、「この国では毎日316人が撃たれ、106人が殺されている。もうたくさんだ」といったように、銃規制を求める動きも絶えず起きている。特にコロナ禍による経済難や先行きに対する社会不安が人々の間で高まってきてからは、アメリカに於ける銃犯罪被害者による死者数はコロナ前に比べ年間5000人以上増え48000人に達している。
日本では、銃犯罪による年間死者数は主に暴力団によるものが年間で1-5人程度であるが、これは豊臣秀吉の刀狩以来、一般庶民が刀や銃をもつことは、基本的に厳しく規制されてきたからという歴史的背景によるものであるが、―――そういった銃規制が今の日本人の国民性に多大な影響を与えているという面は大いにあると言ってよい。
アメリカと日本の銃規制に対する考え方の違いは、お互いの国の成り立ちや歴史に基づくものであり、今の両国の国民性を築いている根本精神に通じているのだ。
(4/23/23 10:00pm)
2023年4月20日
エスニックジョーク
その国の国民性をネタにするジョークのことをエスニックジョーク というが、人種のるつぼといわれるアメリカで同僚のビルやフレッド、エド達と飲むとよくこのジョークが披露されたものだ。
このジョークの定番では、アメリカ人は西部劇のヒーローにあこがれている、フランス人は何にでも反抗する、イギリス人は紳士のふるまいをしたがる、ドイツ人は規律好き、イタリア人は女好き―――等々、ということになっていたが、日本人は「何事も回りの様子をみて決める」国民性だとされていた。
マスク着用が「個人の判断」となって一ヶ月以上が経ったて街を歩いていて、あのエスニックジョークを思い出した。
メジャーリーグの中継をみていると球場でマスク姿など一人もいない。アメリカ人はやっぱり「マスクなどしているヒーローは、いない！」と思っているのだろうし、イギリス人もやっぱり「紳士にマスクは似合わない」とおもっているし、イタリア人も「マスクをしていては女性に、もてないし、キスも出来ない」とでも思っているのだろう。
それに対して日本人は、回りがみんなマスクを外していないのに自分だけ外すと悪目立ちしそう―――とでも思っているようで全年代を通じて、今も7割がマスクをし続けているという。
連休明けにはコロナも２類から5類に移行するというけれど、この傾向が続けば日本人はコロナの感染者数がいくら減っても、「回りがみんなマスクをしているから」という理由で延々とマスクをする「国民性」になってしまいそうで、それが又、新しい日本人のエスニックジョークに使われるかもしれない。
そういえば、逮捕されてしょっ引かれるテロ犯や詐欺団メンバーはみんな後ろめさから（？）マスクで顔を隠している。日本人がこんなにマスクを着け続けていると、その内日本人は、何か後ろめたいところがあるのだろかと思われてしまいはしないだろうか―――ちょっと心配だ。
(4/19/23 10:00pm)
2023年4月19日
打製石器
元々は草食動物だった人類が肉食を始めたのは250万年程前だったと言われている。
肉食といっても、最初は野生肉食動物の食べ残し、即ち死肉を漁っていたが、その内に肉ばかりでなく、野生動物が食べ残した骨を石で砕いて、骨髄に含まれるタンパク質やビタミン類、ミネラル類、脂肪酸などのきわめて栄養価の高い部位を食べることで、脳が発達し人類は飛躍的進化を遂げることができたという。（そう考えると、とんこつラーメンは人類のソールフード、おふくろの味--とも考えられる訳だ）
人類が最初に使った道具が、この骨を砕くために使った打製石器であり骨を砕き始めた約200万年―150万年前からを、人類史では旧石器時代と呼んでいる。
氷河期が終わりマンモスなどの大型動物が絶滅してしまい小動物が多くなってくると人類は弓矢などを使っての狩りをするようになり、そのために矢じりのような小型の先のとがった磨製石器を作るようになったがこの時代を人類史では、新石器時代と呼んでいる。
石は長い年月変わらずに残るから、旧石器や新石器が人類が最初に使った道具だと考えられているが、もしかしたら石以外にもその時代に人類が使っていた道具があったかもしれないが―――まあ多分、人間を生物界の頂点者に押し上げてきた最初の道具は打製石器で間違いなさそうだ。
石器に加えて、人類は、槍、弓矢、という道具を手に入れ狩猟に使いさらには針を使うことで漁労や衣服に使うようになったと言われる。
特に針で衣服を縫い合わせられるようになったことは大きく、動物の毛皮を縫い合わせて作った毛皮は、毛が無い人類が、寒冷地にも進出することも可能にしたことで、今や80億人を超える人類の繁栄が築かれた―――という事のようだ―――。
もっとも人類が進化し過ぎた脳をもつことによって、作り出した戦いの道具としての兵器は、今や、人類を絶滅させるレベルにまで達しているし、人間の作った人工知能は、人間を支配しかねないレベルにまで到達しつつある。
打製石器という道具で始まった人類繁栄への道のりは、今度は、人類の作った道具によって絶滅という終焉へ向かっている―――のだろうか？
(4/18/23 10:00pm)
2023年4月18日
過激思想
日本語では無政府主義と訳されているアナーキズムは、国家などの支配を否定し、徹底的に個人の自由を追求しようというもので、マルクスの論敵と言われたフランスの思想家プルードンが唱えたものだが、彼はその思想が余りにも危険だとしてナポレオン三世に追放されている。
アナーキズムは、個人の自由を極限まで求めようというもので自由を束縛するあらゆる権威、支配を否定するものだから、当然既存の社会規範や伝統的な道徳といったものさえも否定の対象となる。（日本でも明治時代に天皇暗殺を謀ったとされる大逆事件の首謀者幸徳秋水が無政府主義者とされて処刑されている）
既存の社会規範や権威を否定するという側面から、個人の自由がより強く叫ばれる現代では、その思考はより強くなってきているように思う。
しかし一方で、いまや80憶人にもなる我々人類の一人一人が個人であり、それを束ねる社会があってどうにか80億人もの個人が、小さいいざこざはあるにしても生存を続けられてているということを考えると、究極的な個人の自由を認めるとなると、無数の争いごとが「自由を求めて」起きるに違いない。
例えば、LGBTは「気持ち悪い」と思う人の「思想の自由」は、LGBTの人の自由を侵害することにはならないだろうか―――？
いま審議されているLGBT法案に「差別禁止条項」を入れるか、いれないかで随分もめているようだが―――いずれの側が過激思想なのだろうか？
(4/17/23 10:00pm)
2023年4月17日
鼻をぐしゅぐしゅ
閣僚たちが胸に緑の羽をつけているが、「緑の月間」に合わせて「私は、植林運動に積極的で、環境問題にも熱心です」というアピールになるからだろうが、植林される木の4割が杉の木だと聞くと、今国民の3割がスギ花粉症で悩んでいるというのに、なんていうことをしてくれるのだ！と鼻水が止まらずティッシュを抱えて右往左往しているタカさんとしては、緑の羽を付けている政治家は、ティッシュ会社や花粉症の薬メーカーとつるんでいるに違いない！という気がしてしまう。
まして岸田首相が緑の羽期間中に、唐突に「今や国民病といえる花粉症対策に取り組むように」と関係閣僚に号令をかけて「花粉症は社会問題である」との認識を示したと聞くと、いつものことながら政治のやることのちぐはぐさに無力感すら持ってしまう。
杉の木は他の樹木に比べ成長が早く、戦後の復興期には盛んに植林されたものの、今は外国からの輸入材に価格的に全く勝目がなく、伐採もされず花粉を飛ばすし、補助金を出して伐採した材も大半は放置されているというし杉山の多くが、山が荒れる要因にもなっていると聞く
確かに、杉は成長が早いから、山林の保水力を保ち、山崩れを防ぐには手っ取り早い木であるという。
成長生長が早いから、二酸化炭素の吸収率も高いとなると確かに地球温暖化対策として手っ取り早い木という面もあるが、やっぱり国民の1/3をその花粉で悩ませているということを考えたら、もうちょと国民が喜びそうな樹種（桜やもみじはどうだろう）に代えて植林すべきではないか――と素人ながら思うのだが―――。
花粉の出ないスギが開発されそれへの植え替えという方策も検討されているというが、これへの植え替えには、1ヘクタール当たり600万円かかり、全国の杉を花粉の出ない杉に植え替えるとなると莫大な費用と共に、約600年の歳月が必要―――という話を聞くと―――何と言うバカなことをやろうというのか！と思わざるを得ない。
まあ、これからも鼻をぐしゅぐしゅさせながら、ティッシュボックスを抱えてうろうろする春を覚悟するしかなさそうだ。
(4/16/23 10:00pm)
2023年4月14日
ロドリゲス選手
吉原などの遊女は、貧しさゆえに親に売られて苦界に身を沈めるという者がほとんどだったという。親の借金のカタとしての身売りだから、苦界の境遇から自由になるためには、自分でコツコツと金を溜めるなり、年季といわれる決まった期間を遊女として務め上げるか、はたまたよほど運がよければ金持ちの旦那にその借金を肩代わりしてもらう、いわゆる「身請け」をしてもらうしかなく、多くの遊女は、その前に体を悪くして死んでしまい遺骸は、投げ込み寺に放り込まれたりもしたという。
こんな話を思い出したのは、中日ドラゴンズに所属するジャリエル・ロドリゲス投手が予定されていた日までに来日せず、どうも亡命をはかったようだと言われている話を聞いたからだ。
NPBにはソフトバンクのモイネロ投手をはじめキューバ国籍の選手が毎年10名前後いる。キューバは共産主義の国だから、NPB所属のキューバ人選手は、全員がキューバの国家公務員であり、そういう意味ではNPB選手というよりは、キューバからNPBに派遣された国家公務員ということになる。従って彼等には、NPBの球団と個別に契約する権利はなく、契約はキューバ―とNPB球団の間で行われることになる。（まあ、多分、キューバも多少は選手本人の希望のようなものは聞くだろうが、最終的に決定権を持つのは国であり、選手本人が手に入れる給料は国と選手の間で取り決められるという）
すなわち、たとえばモイネロ選手の3億円といわれる年俸はソフトバンクがキューバに払う年俸でありその内の幾らがモイネロ本人に支払われているかは我々は知りようがないのだ。
アメリカの経済制裁を受けているキューバの経済状況は、苦しいと報じられているだけに、国のピンハネ分はかなりの割合になるのではないだろうか。
そんな事情を聞くと、青天井の年俸が自分のモノになるメジャーリーグに入るために、ロドリゲス選手が亡命をはかる可能性は極めて高いように思う―――。
共産主義を掲げている国は、今や世界には数えるほどで、名目的に共産主義をとっているところでも、強権体制という意味で共産主義政治体制をとっているだけで、経済はマルクス的共産主義理論では、どうにも立ち行かないことは、どこを見ても明らか―――だとロドリゲス選手が教えてくれているようだ。
(4/13/23 10:00pm)
2023年4月12日
みんな仲良く
紀元前5世紀の中国戦国時代からとられている戦法に「遠交近攻策」というのがある。遠くの国と親しく外交し同盟を結び、近くの国を両者で挟み撃ちにして攻め、領土にしてしまおうという外交・軍事戦略だ。
隣国とはとかく敵対しがちなのは、古今東西洋の東西を問わずよくある事であり、西洋にも’Enemy of enemy is friend’(敵の敵は味方)という諺があり、これは「遠交近攻策」に通じるものだ。
最近、犬猿の仲だと思われていたイスラエルとサウジアラビアが国交正常化に動いたというので、両国になにがあったのかと首をかしげる向きもあるが、これだってイスラエルにとってサウジ以上の敵といえば「地上にイスラエルという国の存在を許さない！」と言い放つ憎き敵イランが、サウジと言うイスラム教スンニ派の盟主にとっては絶対に許せないイスラム教シーア派の盟主であり、宗教上の妥協の余地のない敵であることから考えれば、イスラエルとサウジ両国が「敵の敵は味方」としての接近することに不思議はない。
そうそう、サウジにとって今迄絶対的な後ろ盾であり盟友でもあったアメリカが、記者の殺人事件にサウジ皇太子が関与していたとされる問題で、なにかとうるさい事をいってくることで隙間風が吹いているし、イスラエルにしてもネタニエフ首相の独裁の強まりに対してあれこれ文句をいってくるアメリカとのぎくしゃくを考ええたら、この際両国が、国交正常化をはかることでアメリカに多少の意趣返しをしているのだろう。
シリアのアサド政権が「アラブの春」で立ち上がった反政府勢力を徹底的に弾圧したことでアメリカは、サダトに退陣を求めたが、そのサダトを支援し続けているのがロシアであることだって、アメリカという共通の敵に対峙する国同士の「敵の敵は味方」作戦だろうし、習近平がロシアに行ってプーチンを「親愛なる友人」と言って持ち上げた事だって、やはりって抜き差しならない米中の対立関係を考えたら「敵の敵は味方」なのだろう。
国際関係という魑魅魍魎の世界では、「みんな仲良く」などというのんびりした事はとても言っていられないようだ。
(4/11/23 10:00pm)
2023年4月11日
低投票率
統一地方選前半戦の開票結果が出そろったが、いずれの選挙戦も低投票率が報じられている。
そもそも県議選などでは定数の1/4が無投票であり選挙戦が行われたところでさえ投票率が過去最低を更新したところばかりと言うのだからこんな選挙で本当に民意とやらが、反映されているのか？という疑念すら浮かぶ。
日本では投票を行うのは国民の権利とされているから、勿論その権利を「相応しい候補者がいなかった」「ほかに用事があった」「自分が投票したからと言って何も変わらない」等々の理由で行使しない自由は個人にある訳で、投票に行かない人を非難するのは、逆に「個人の自由の侵害」にもなりかねないが―――。
しかし世界には投票することは権利であると同時に「義務」であると憲法などで定めている国は多い。
投票が義務であるとされている国の中には、もしその義務を果たさない場合にはペナルティーが科せられるところも多く、オーストラリアやブラジルでは罰金（オーストラリアだと約2000円）が課せられるし、ギリシャだと投票に行かないと「1ヶ月以上1年以下の禁錮」だというから恐ろしい。
だからという訳でもないだろうが、オーストラリアで直近に行われた選挙では、投票率はなんと93％に上るったというから、日本のマスコミも選挙の度に低得票率を紋切型に嘆いて見せるばかりではなく、「投票に行かなければ懲役刑！」といった提言でもしてはどうだろうか？
もっとも、政権崩壊直前に行われたイラクのサダム・フセインの信任投票のように99％の投票率で99％の信任票が投じられた――という例や、圧倒的得票率で選出されたお笑いタレントが、わいせつ行為で辞任に追い込まれた大阪の例もあるから、必ずしも、高投票率、高得票率があれば、民主主義が機能している――とは言い切れない場合もあるからマスコミが一斉に口をそろえて嘆いてみせる低投票率を非難するわけにもいかないかもしれないが―――。
わざわざ投票に出かけわいせつお笑いタレントや、ガーシーに投票する人たちがいることも、「民意」であるとするならば、やっぱりチャーチルの言った通り「民主主義は最悪の政治形態である。他に試みられたあらゆる政治形態を除けばだが」という言葉の皮肉度が思い起こされる。
(4/10/23 10:00pm)
2023年4月10日
師団のリスク管理
自衛隊の第8師団は、九州・沖縄地方を担当する陸上自衛隊西部方面隊の中核部隊であると同時に有事の際に「機動師団」として沖縄県や尖閣などの南西諸島という何かとホットな地域の守りの要であるという。
その第8師団のトップである師団長として3月末に着任したばかりの坂本師団長と幹部8人を乗せた自衛隊のヘリコプターが宮古島の周辺で消息を絶ち懸命の捜索が行われているが、既に機の残骸などが回収されているという。
これを聞いて、太平洋戦争の最中、山本五十六元帥がラバウル沖で米軍の待ち伏せ攻撃を受けて戦死し、それ以降、日本軍が守戦一方になったこと、あるいは今川義元が桶狭間で信長に討たれたことで、今川家が没落してしまったことを思い出し、第8師というピラミッド型の組織でトップが上級幹部もろとも事故にあったと聞くと、日本の南西諸島の守りは大丈夫かと、不安にかられるのはタカさんばかりではないのではないだろう。（そんな最中、無責任に根拠のない様々なデマを流している連中がいるのだから、不謹慎極まりないし腹立たしい）
但し、こういう組織でトップの8人もが一つの機に搭乗していて事故にあったという点において、第8師団の危機管理に問題がなかっのかは、検証しておく必要があると思う。
イギリス王室やアメリカ大統領府では、万一の事故があった場合、トップの地位の継承順位の高い者達が同時に事故にあわないようにと、一緒の行動をとらせないなどの危機管理体制をとっているし、日本でも首相、副首相、官房長官といった首脳を同じ飛行機に乗せないなどの、リスク管理を行っているはずだが、第8師団の師団長と上位幹部のほぼ全員が同じヘリコプターで視察に出かけた―――というところには、結果論かもしれないがやはり問題はあったのではないだろうか。
安部元首相の銃撃事件があって漸くザルだった要人警護体制が見直されているというが、危機管理、リスク分散という点においてもし抜かりがあったとすれば、台湾有事も危惧される中だけに早急な見直しが必要かもしれない。
(4/09/23 10:00pm)
2023年4月7日
AIは信頼できるか
もう10数年程前の事になるが、レンタカーで山陰旅行をした時に、出雲大社に行こうとしてナビの案内に従って着いたところが、どうも大神宮の駐車場とも思えない田舎道の突き当たりだった。
たまたま通りかかった人に、「出雲大社の入口はどこでしょうか？」と尋ねたところ「ああ、ナビで来ましたね、よく間違ってここに来てしまう人がいるんですよ」と言われた。どうも、レンタカーが搭載しているナビは、間違っていてよくこの行き止まりに迷い込む人がいる、という。親切に正しい道を教えていただき、無事参詣をしたのだが―――それ以来、カーナビと言うものをあまり信用しないようになってしまった。
先日の衆院内閣委員会で、立憲民主党の議員がAI（人工知能）の対話型の自動応答ソフト「チャットGPT」で作成した質問を、岸田首相にぶつけ、首相がそれに対して答弁をした後、事前にAIが作った「首相答弁」と首相の実際の答弁を比較して見せたという。質問者としては、首相の実際の答弁が、AI作成の想定答弁に劣っている――と指摘して首相を笑い者にしようというたくらみだったようだが、首相も「ぱっと見て、自分の方がAIの答弁より実態を反映ししている」と反論し、AIへの対抗心をあらわにしたとか。
「国会は最高の弁論の府」などといってその権威をやたら有難がっている議員さんたちが、その国会の場で、こんな茶番というかお笑いによる足の引っ張り合いに時間をかけているとは―――。
チャットGPT作成の質問と、それに対するチャットGPTの答弁で国会が成り立つなら、国会議員なんて全員クビにして、国会は、全部チャットGPTにまかせてしまえば――――国会経費も時間も大幅に節約できるのでは―――と思わないではない。もっとも、国会なんて所詮はその程度の無駄な機関でしかないということを、立憲民主の議員さん自ら言いたかったのかもしれないが―――（コニタンに続いて立民の議員さんには、自爆型が多いのかも？）。
昔から、お悔やみの言葉も、結婚式の祝辞も、「模範文例集」を使って作成すれば、だれでも簡単に中々の文章ができたが、その文例集のAI版がチャットGPTなのだから、国会論戦や、学術論文と言ったものにまでそれを堂々と使ってよい、とはとても思えない。
AIは、人間が使うものであって、人間がAIに使われて今迄人類が営々と築いて来た社会、文化をぶち壊すとは―――やめて欲しいものだ。
(4/06/23 10:00pm)
2023年4月5日
宗教と平和の相性
宗教には概して平和のイメージがもたれがちだが、果たしてそうだろうか。
キリスト教国の軍隊では、従軍牧師、あるいは従軍神父といわれる従軍聖職者が活動しており彼等は国際的な戦争法規を定めたジュネーブ条約でも銃軍医や看護婦同様の地位を認められてもいる。一旦はじまってしまった戦争を止めようがないのなら、せめて従軍して兵士たちの心の平安を祈ってやろう――ということなのかもしれないが、時には彼等が兵士たちの士気を高めたり、あるいは軍の諜報活動や連絡要員として秘密の軍事活動を行う場合もあると聞くと、「平和目的」とはちょっと違うようにも思う。
旧日本軍にも従軍僧がいて彼等は兵たちへの布教のみならず、時には連絡要員などとしての軍務にもついていたという。生涯一禅僧を貫いた沢木興道師も日露戦争に従軍して重傷を負って除隊となっているし、高僧の多くは軍隊経験をもっていたから、世の中が戦争に向かえば、好むと好まざるによらず積極的か消極的かは別にして従軍して敵との戦いに参加していたのだ。
平時すなわち戦争でない時に平和を説くことはできても、いざ国が戦争に巻き込まれてしまえば、宗教者といえども反戦を唱え、平和を唱え続けることは難しいようだ。
中には、ロシア正教会のように総大司教が率先してプーチン支持を打ち出し、信者達に「ウクライナと戦え！」と叫ぶ宗教だってある。ロシア正教もキリスト教の一派であるのに、彼の言葉は、イエスがいったという「右の頬を打たれたら、左の
頬をも差し出せ」という言葉とは矛盾しているようにも思えるのだが、その辺はどうなっているのだろうか。
報じられるところによれば、ロシア正教の一神父が反戦を表明して、逮捕されたという。この神父の場合、総大司教の命令にも、そして世俗のプーチンにも逆らったという意味できっと罪は重いこどだろうが―――、イエスだったら何というのだろうか。
少なくとも多くの日本人が抱いているような「宗教と平和は相性が良い」ということは―――そうも言い切れないところが多そうだ。
(4/04/23 10:00pm)
2023年4月4日
コニタンの暴走
対立する中でも少しでもその緊張を和らげるには対話が一つの方法であるからと、アメリカのブリンケン国務長官が訪中して対話する予定であった最中に、中国から偵察用の気球が飛来したことで訪中は無期限延期となったのは2月のことだった。
あの時本欄でも（参照：「風船おじさん」2/7/23）「アメリカとの対話に積極的にみえた習近平も、その統率力は案外弱く、彼のアメリカとの対話姿勢に不満を持つ勢力が、対話ぶち壊しの為に気球を飛ばした可能性もあるのでは―――」と書いたが、林外相が中国訪問をしている最中に中国海警局の船が尖閣諸島の領域に80時間もいつづけたり、国家保安部が日本人駐在員を反スパイ法で拘束したりと、いずれも日本との対話に不満を持つ部局が、中国外交部に対してぶち壊しをやっているようにも見えてしまう。
共産党という組織が国家よりも上位にある国なのだから、林外相が中国の一部局の外交部の外相が日本との対話を受けるなんてケシカラン―――と思う部局も多いだろうし、そういった連中がぶち壊しに入っている可能性は、十分考えられるのではないだろうか。
関東軍部隊が、当時の政府の不拡大方針に逆らって暴走、これが日中戦争そして太平洋戦争の切っ掛けになっていったことを思うと、いかに独裁権限が強い習近平と言えども、関東軍的な部局の暴走にまでは目が届かないし、一旦どこかの部局が暴走してしまったら、事後にでもそれを認めざるを得ない―――ということもあるのではないかとも思う。
プーチンの暴走を止められなかったロシアの例などを見るにつけ、暴走を止めるシステムのないことの怖ろしさを思うと、まだ立憲民主のコニタンなる人物のお笑いネタの暴走程度で大騒ぎしている日本の政治は、相当マシ---と考えることも出来るかも―――！？
(4/03/23 10:00pm)
2023年4月3日
インシャーラ
エジプトで「この仕事をできるだけ早く仕上げてください」と頼むと、返って来る返事は、「インシャーラ」である。
インシャーラの意味は、「アッラーの思し召しがあればね」であるから、日本人の多くは「なんていい加減な返事なのだろうか、こいつ全然やる気がないのじゃないかな」と腹が立つかもしれないが、インシャーラには、「できれば早くに仕上げてあげたいが、その前に大地震が起きるかもしれないし、心臓発作に襲われるかもしれないし、この先何が起こるかを全てお見通しの神アッラーを差し置いて、自分の意思であなたに約束などできません。私があなたに言えることは、「もし、アッラーの思し召しがあれば仕上げることが出来るでしょう」ということだけです―――というイスラム教徒の彼としては、最大限誠意ある返事なのだ。
この「インシャーラ」と、「ボクラ」（明日という意味だが、明日を含む何時か将来という意味）、「マレッシュ」（仕方ないね、と言う意味）の三つの言葉を合わせてI.B.Mと言い、イスラム社会でのビジネスでは心得ておかなければならないことばである。
この言葉を聞くと、イスラムの人間はルーズだとか、いい加減だ、と思いがちだが、イスラム教の世界ですべてを決めるアッラーを差し置いて、自分の一存で何かを決めるなどということは、神も恐れぬ行いであり無信心者のやることだ―――となるのだから「郷に入っては郷に従え」でI.B.Mを聞いたら、「ああ、あいつは誠意のある奴だなぁ～」と思うしかないし、しばらくその中で暮らせば、不思議なものですっかり慣れてしまうものだ。（但し、しばらく中東のそういう世界で暮らしてから日本に帰るとしばらくは「使い物にならない奴」と思われるから要注意だ）
電車に乘ると社内アナウンスで「到着が1分程遅れ、お詫びします」などということがある日本でもし、アナウンスが「インシャーラ」とやったら―――新聞ネタになるだろうなぁ～。
(4/02/23 10:00pm)
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