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2022年12月
＜＜2022年：7-12月分 タイトル＞＞ 12月
12/29 年末気分 12/28 何がしたいの? 12/27 大相撲初場所は 12/26 本降りになって 12/23 動揺しない 12/22
ベラルーシの強権 12/21 会社はだれのもの 12/20 予算編成 12/19 合成の誤謬 12/16 ユートピア、ディストピア 12/14
聞く力 12/13 土足厳禁 12/12 ヌーとイワシ 12/09 人類絶滅後 12/08 ダメなのかCOOLなのか 12/07 PK戦 12/06
石炭紀 12/05 鏡餅とお汁粉 12/02 知り得ない数字 12/01 ユダヤ教超保守派
2022年12月29日
年末気分
せわしない年末気分というのは具体的には何だろうか。仕事をしているとか、学生ならば年末のスケジュールだとか行事が自分の回りに押しかけてくるし、プライベートな面からは、年末年始の休みを利用しての、帰省だとか旅行などということもあるだろうから、確かに年末だなぁ～という気分にもなるだろうし、テレビをつければ年末特番などというものがはじまり、新聞を広げれば「今年の十大ニュース」だとか「今年亡くなった人」などという特集が組まれていたりするのもやはり外部的な年末気分要因といった感じで、じわじわと押し寄せてくる。
しかし、コロナが怖くて極力外出も控えているリタイアした高齢者ともなれば、世の中の空気に触れる機会も少ないから、年末の動きが直接目に触れることも少ないし、テレビや新聞の年末特番、特集という奴にも（歳の所為なのか）興味が湧かないから見ない―――となると中々歳末気分というのも個人的には、盛り上がらない。
まあ、せいぜい簡単に年末のすす払いをやり、玄関にポスター松飾を貼る位で、年末気分をむりやり自分なりに盛り上げるしかない。
愚痴っているように聞こえるかもしれないが、それが別に不満なわけではない。健康で、何物にも追い立てられる訳でもなく、暖房の効いた部屋で過ごす年末は、いつもの冬の一日と代わり映えはしないが、いいものだという気がする。
孔子が二千六百年前に言ったという「七十にして矩（のり）をこえず」の境地に達したのだろうか、あるいはただ単に世の中の動きについていけなくなっているだけなのだろうか。
例年通りこの「日々早々」も今日から新年の1月6日までお休みに入ります。
今年も一年ご愛読いただきありがとうございました。
それでは、皆さま良いお年をお迎えください。2023年が皆さまにとってより良い年でありますように。
（12/28/22 10:00pm）
2022年12月28日
何がしたいの？
イソップ物語のなかに「ロバを売りに行く親子」という話がある。
ロバを売ろうと市場に急ぐ親子が歩いていると、「あの親子はバカだね、折角ロバがいるのに親子で歩いているよ！」と指さす人がいた。それもそうだとおもった父親は、ロバの背に乗り、息子がロバを引いてしばらく行くと、今度は「あの父親はロバの背で楽をして、息子は可哀そうに汗をかきながら歩いているよ！」という声が聞こえてきた。それを聞いた親子は、父親がロバの背から下りて、今度は息子をロバの背に乗って又しばらくいくと、「おやおや、子供が楽をして、年取った親が大汗をかいて歩いているよ！」という声が聞こえてきた。
それもそうだと、今度は親子二人がロバの背に乗ってしばらく行くと、「見てごらん、あのロバ可哀そうに、親子を背に乗せていまにも背骨が折れそうじゃないか！」という声が聞こえてきた。
恥ずかしくなった親子は、ロバの背からおりて、今度は、ロバの両足を紐でしばって棒につなぎ、狩りの獲物を運ぶように二人で担いで歩きはじめたところ、ぶら下げられたロバが、不自然な姿勢を嫌がって暴れだし、そこが不運にも橋の上であったため、暴れたロバは川に落ちて流されて死んでしまった―――とさという話だ。
この寓話は古来さまざまに伝えられ導きだす教訓も様々だが、さしずめ現代ならば、世論とかマスメディアという勝手気ままな意見に振り回され、自分が何をするべきか、何をしたいのかさえ分からなくなっている岸田首相をつい思い浮かべてしまう。
岸田首相がロバを売りに行く親子なら、国民はさしずめロバで、親子が何をやってもやらなくても、ああだこうだと批判の声を浴びせるのは、無責任なマスコミと言ったところだ。
防衛予算を増やしても増やさなくても様々にいわれ、その財源に増税と言い出せばこれまたああだこうだと批判され―――結局、あの親子はバカだ、無能力だと言われる。
気の毒にも思えるが、まあ、なりたくて自分から手を上げてなった首相なら、もうちょっとしっかりして欲しいものだという気がするが――。いや本当に、岸田さん、自分が、一体何がやりたいのか、やりたくないのか、はっきりすることが大事ですよ！
(12/26/22 10:00pm)
2022年12月27日
大相撲初場所は
年6場所ある大相撲の本場所の日程は、奇数月の第二日曜日が初日になるように組まれている。従って正月元日が日曜日である来年の初場所は、初日が1月8日と最も早い開催となる。
これだけ早いと、力士たちは、正月三が日はゆっくり休んで―――という訳にも行かない、随分とせわしい日程になる訳で、仕事とは言え、気の毒にも思うが、本場所で好成績を上げ、場所後にゆっくりと、正月気分を楽しんで欲しいものだ。
力士ばかりではなく、一般にとっても元旦が日曜ということは、正月休みが実質短くなるということでもあり、官公庁などでも仕事納めが12月28日、仕事始めが1月4日となるのだから、正月休みは、例年に比べると最短となる訳だ。もっともコロナ流行以来、世の中、リモートワークが多くなっていたり、忘年会、新年会も以前のようには行えなく（行わなくてもよく）なっており正月といっても以前とは行事も何も一変しているような気がする。
タカさんも、リモートでの忘年会、新年会の誘いもあるが、歳の所為か、モニター画面を前に缶ビールを飲んでも、とても気分が出るようには思えないから、今のところどこにも参加申し込みはしていない。忘年会や新年会は、別に呑みたいからとか、鍋を突っつきたいからといって出る訳でもなく、やっぱりリアルで皆とわいわいやりたいだけなのだから―――。まあ、そうはいっても世の中の流れは、リモートだとかバーチャルになっていくことはどうにも避けられそうもない。タカさんもいつかは、その流れに合わせていくことになるのだろうか―――。
今日（26日）初場所の番付が発表されたが、横綱大関陣は、一横綱一大関と125年振りの寂しさだが、琴ノ若と若元春の若手が小結に上がり、4関脇4小結と、三役力士は8人という賑やかさだから、結構面白くなりそうな気もする。来年の初場所も、一日は、国技館でリアルに観戦する予定で楽しみにしている。
(12/26/22 10:00pm)
2022年12月26日
本降りになって
にわか雨や夕立に出くわして、通りがかりの家の軒先で雨宿りをするなどという人がよくいたものだ。
タカさんの子供時代、家が表通りに面していたこともあって、我が家の軒先にも、時々この雨宿りをする人がたたずんでいることがあった。
雨宿り人が、町内の人なら傘を貸してあげたりもしたかもしれないが、通りがかりの見知らぬ人には、中々そうもいかなかったようで、雨の降っている間、結構我慢強く軒先にたたずんでいる人を、ガラス戸越しに眺めていた記憶がある。
夏の夕立や、にわか雨ならば、小一時間も待てばどうにか小降りになったり、止んだりしただろうが、時には、雨あしが徐々に強くなり本降りになってしまう―――等ということもあって、そんな時には雨宿りをあきらめて、駆け出して行く――等という人もいた。これが川柳でいう「本降りになって出ていく雨宿り」という奴ではないかと思ったものだ。
ゼロコロナ政策を突然ゆるめた中国では、この1カ月弱の間に、日本の人口の約2倍の2億5千万人がコロナに感染したと報じられている。中国政府が必死に感染者数を隠蔽しようとしているが、中国外務省のあの仏頂面の趙立堅報道官が新型コロナに感染し自宅で高熱を出してうなっている―――と彼の奥さんが、SNSに投稿している位だから、感染爆発は、かなり真実に近いのだろう。あまりに急激な感染爆発の為、中国では解熱剤が手に入らず、中国からの訪日客は、日本の感冒薬や解熱剤を大量に購入しており、おかげで、今度は日本人が買えなくなっている――等ということも起きているとか。
コロナも風邪の一種だから、寒さが本格化するこれからが感染のピークになっていくと思われるのに―――そんな最悪のタイミングで規制を撤廃したりすれば、ただでさえ効かない中国製ワクチンに忌避感を持つ中国人だから、日本の風邪薬に殺到するというのもある意味当然だ。
まさに「本降りになって出ていく雨宿り」と同じことを習近平はやってしまった―――ということだろう。
(12/25/22 10:00pm)
2022年12月23日
動揺しない
夏の時期カリフォルニアでは頻繁に山火事が起きる。山火事といっても日本のそれと比べ物にならない位大きなスケールで何日間も燃え続ける。ロスに駐在していた時期にも何度か山火事はあったが、中でもハリウッド側の山奥で起きた火事は数日間燃え続け、当時ロスの南側に住んでいたタカさんの家からも夜になると遠くの山が赤く燃えているのが見えて不謹慎ながらきれいなものだなぁ～等と思って眺めたりしていた。
しかしこの山火事、日本でもニュースで流れたらしく、親戚などから「大丈夫か？」と国際電話がかかってきたりした。もちろん山火事近くに住んでいる幾軒かの住人には避難命令がでたりしただろうし、消防士さんたちは寝ずに消火作業に当たっていたのではあろうが、2000万人近くが住むロスアンゼルスで直接、この山火事で避難した人は、その0.001％にもならなかったに違いない。
以前にも書いたが、ニュースは「何か良くないことが起きている」ことを伝えるものであり「何も起きていない」ことを伝えたとしてもそれは何のニュース価値もないから、だれもそれを取材したりはしないだろう。
新聞には、この三年間にコロナに感染した人の累計が出ていて日本全国の合計だと間もなく3000万人に達しそうだ。2度も3度も罹患した人もいるだろうが、累計3000万人と言えば日本人4人に1人は、コロナに罹患したということになる訳だが―――逆に言えば、ワクチンが効いている所為かどうかは分からないが、日本人4人に3人はコロナに感染したことがないということにもなるわけで、この数字をどちら側から見るかによって、コロナに対する心構えは大分違ってくるような気がする。
経営学者ドラッガーが言った「コップに半分水が入っている」場合「もう半分しか残っていない」と思うか「まだ半分残っている」とみるかによってそれからの展開は全く異なってくる―――という学説も、コロナ感染者累計の見方と似ているような気がする。
そうそう、感染症の専門家らでつくる厚労省の助言機関が昨日発表した新型コロナオミクロン株の致死率は60～70歳代が0.18%だったという。宝くじの高額賞金にはまだ一度もあたったことがないタカさんだし、5回のワクチン接種のおかげか、まだ一度も感染したこともないタカさんなら、コロナ致死率0.18％と聞いても全く動揺しない――と思うが―――？？
(12/22/22 10:00pm)
2022年12月22日
ベラルーシの強権
旅行ガイドブックでみると、「治安が悪いから気をつけろ」と書かれている国は多いが、欧州で唯一この注意書きが入っているのが、ソ連崩壊までは白ロシアとして地図帳にのっていたベラルーシだ。（治安の悪さランキングでは、ジンバブエやドミニカとどっこいどっこいだとか）
いまロシアの侵略を受けているウクライナの北の隣国で、「ヨーロッパ最後の独裁者」と言われるルカシェンコ大統領が強権で長年、反政府運動を押さえつけている国だが、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻に協力し参戦しろと迫っている―――とも伝えられる国だ。
20万人とも30万人ともいわれる臨時召集を行って、装備も貧弱なまま訓練もなく最前線で弾除けがわりに使われた召集兵は、バタバタ死んでいる―――などとも伝えられるロシアが、今度は、ベラルーシにも参戦を促すのは、余程プーチンが追い詰められているからだ―――等という西側の情報もあるけれど、これだってどこまで真実かはわからないが―――プーチンに、いかに借りがあるにせよ、ルカシエンコにしても6万人程だといわれるベラルーシ軍の兵力の一部でも割いて、隣国のキーウ辺りの攻撃に参戦させると、今度は国内の反政府勢力への締め付けが緩くなってしまい―――我が身が危うくなることも考えられ。とてもじゃないが、そうやすやすとプーチンの参戦要請に応じる訳にはいかないという事情があるのではないだろうか。
習近平が強権で抑えて来たコロナ封じ込め策が、各地で起きた白紙デモによって緩めざるを得なくなり、今度は規制を緩めた為にコロナ患者が増え始め―――北京の火葬場は4日待ち、5日待ちという状態になっているとも報じられている。習近平だって強権を振るい過ぎたがために、一旦それがほころぶと、たちまちの内に、苦しい立場に陥るようだ。
古くは、独裁者、始皇帝が没するや、秦がたちまちの内に滅びた例に始まり、強権体制が崩れる時は、あっけないもののようだ。
ルカシエンコはどうか、プーチンはどうか――見守っていきたい。
(12/21/22 10:00pm)
2022年12月21日
会社はだれのもの
ゴーン氏が当時倒産に瀕していたニッサンに、ルノーから社長として派遣立て直しに着手した当時－－といえば今から20数年前になるが、「会社はだれのものか」という議論が盛んに行われたことがあった。
経営学の教科書的に言えば、会社はその企業の株主のものである、ということを言われて、それまでの、企業同士での株式持ち合いが盛んに行われていて、企業グループなり金融機関系列あるいは証券会社グループ間での「なれ合い」の上で存続しつづけてきた日本企業は、ゴーン流の株主利益を最優先の西欧流経営には、激震を喰らったのだ。
それまでの多くの企業は、封建時代の藩のような意識が強く、「企業はその企業の従業員、そしてその家族のものである」あるいは「その藩が治める領地に住む人々のものである」とばっかり思っていたのに、彼等が会ったこともなければ、見たこともない「株主」なるものの持ち物である！と言われても戸惑うばかりで、ましてその株主なるものたちが求めているものは、「半期、半期の儲け」すなわち株式配当であるというし、しかも彼等は、その企業に愛着などかけらもなく、株価が少し上がれば、たちまちの内にその株を売ってしまうというのだから、企業の苦しい時には一緒になって支えようとしてきた自分達には、到底理解できない守銭奴だときいて、従業員や顧客、あるいは地域住民という株主以外のステークホルダー（利害関係者）達が受けたショックは大きかった。
親子代々親類を含めその企業とかかわりを持ち、この先自分の孫たちもこの企業とともに生涯を送るだろう―――とばかり思っていたのに、その企業が、株主というガリガリ亡者とそのご機嫌取りに余念のない連中に、蚕食されてしまうのだから―――。
20数年前に起きたこの日本社会が経験した大激動は、株主資本主義の先進国の欧米ではとっくの昔に経験したことである。それは古くは映画「わが谷は緑なりき」で描かれた企業と地域社会の関係の断絶でり、近くは企業が低コストを求めて海外にでてしまったために全米各地にできたラストベルト（錆びついた工業地帯）であり、近くは、かつては米国そのものであるとまで言われたジェネラルエレクトリック（GE）社が、利益第一主義にとらわれて、製造業から金融業に転身したが為に結局、未曽有の衰退を招いてしまった例まで―――株主資本主義の悲劇の山を築いてきている。「会社はだれのものか」の結論は、いまだもって誰も正解にたどり着いていないか、そもそも、株主制度そのものの本質的欠陥なのか―――誰も答えてはくれないようだ。
(12/20/22 10:00pm)
2022年12月20日
予算編成
国家予算（一般会計）を作成するのも一般家庭で予算を作るのと基本的なやり方は同じだ。
収入（歳入）がどれ位か、支出（歳出）がどれぐらいになるか、をできるだけ精査し、両方の勘定の帳尻を合わせていくことになるのだが、思いがけない収入があるという場合よりも、思いがけない出費があるという場合の方が往々にしてありがちなだけに、歳入の方を決めてから歳出の方の帳尻を合わせていく方が、まあどちらかといえばやりやすい。俗にいう無い袖は振れない、という奴だ。
国の一般会計予算作りに当るのは財務省だが、予算案は政府案としてまずは政府与党の承認を得なければならないしその後、閣議を経て国会審議、承認―――という長期プロセスになる。
そもそも財務省で予算原案を作り始めるのはその予算年度の3年前からである上に、早い段階から各省庁や業界団体やら社会関係団体、ETCの利害関係者があれこれ言ってくるから、その調整も考慮しなければならないし、考慮し過ぎると今度はマスコミ、野党をはじめいわゆる庶民の反感をかってしまうのだから―――なんとも大変な仕事だ。
会社でも家計でもそうだが、いわゆる財布を預かる身、になるとルーズすぎればその組織の破綻を招いてしまうし、かといって締め付けすぎれば、それがもとで家庭なり組織なりの繁栄を阻害することにつながってしまいかねないから、責任重大な役割である。
そんな財務省の役割だが、今年は特にコロナによる大幅な医療費負担や一律の臨時交付金などの出費が更にかさんでいる上に、チョッカイをだしてくる中国、ロシア、北朝鮮をはじめ緊迫する世界情勢を考えた場合の防衛費増といった問題を抱えているのに、増税の「ぞ」の字でも言おうものならいきり立つ国民がいて―――少子化は進み、高齢化が進み―――といういわば火の車状態での予算編成というのだから、大変だ。
まあ、予算編成というのはどこの国でも、いつの時代でもそんなものだと言ってしまえばそれまでだが―――手を挙げてまではやりたくない仕事の一つとはいえそうだ。
(12/20/22 10:00pm)
2022年12月19日
合成の誤謬
物価は上がる、収入は増えない、子供達の学費もこれからはますます必要になって来るし―――年金制度だっていつどうなるかわからない、と将来不安ばかりが募ってくるとまず手っ取り早く考えることは、無駄な出費を抑えて、コツコツと貯蓄して行こうということだろう。
中にはこの際、大借金して株や外貨投資で一攫千金を―――なんて考える人もいるだろうが―――政府が幾ら「NISAで投資を！」と呼びかけてもやっぱりそんなの信用できない！という意識の強い日本人は中々踊らない。投資より積立貯金、という意識が強い人が一人二人ならともかく、大勢の人が皆一斉に、つましくなってしまったらどうなるだろうか。
皆が出費を極力抑え始めたら、その人が働いている工場やデパート、スーパーの売上は減ってしまい、それに伴って流通業や、飲食業も大幅な売り上げ減に見舞われるだろう。そうなると困った各企業は、まずは人員合理化、次に倒産なんていう憂き目にあうかもしれない。
そうなると働いていた人たちは、「給料が上がらない！」どころではなく、収入の道がとざされ、それこそ街には、生活困窮者が溢れる―――という大不況がおとずれるかもしれない。
個々の人々自分にとっては良かれ思ってはじめた「生活費の切りつめ」という行為が積もり積もると経済全体には悪い結果をもたらしてしまう―――という現象の事を経済学では「合成の誤謬」というが、このような合成の誤謬は何も経済に限らず社会全体ではよくみられること―――というよりは世の中の諸事には合成の誤謬があると言っても良い位だ。
大企業の中には円安もあって儲かっている企業が意外と多いが、こういった企業は、「今は儲かっているにせよ、世界の経済情勢は、来年以降ますます悪くなるのではないか」―――という不安もあってその儲けを設備投資に回すでもなく、かといって従業員の給与や、株主への配当金に回すでもなく、ひたすら内部留保金の積み上げに回している。まあ、何かあった時の為に内部留保がたっぷりあるのは、一般家庭に多額のタンス預金があるのと同じで、安心材料の一つにはなるのだけれど、おかげで日本全体の景気は一向に上向かない。まさに各企業が良かれと思ってやる内部留保の積み上げが、日本の景気の足を引っ張っているのかもしれない。まさに合成の誤謬と言えるのではないだろうか。
その他にもあなたの回りにはたくさんの合成の誤謬があるはずだが―――あれはどうか、これはどうか、と考えてみると結構面白いと思う。
(12/18/22 10:00pm)
2022年12月16日
ユートピア、ディストピア
中国で夫婦一組が作っていい子供の数は一人だけ、という一人っ子政策が実施されたのは、1979年の事であった。人権の基本であるべきプライバシーの子供の数まで政府が規制するという侵害が国家単位で行われていたわけだが、人権に関してはあれだけうるさい西側諸国が、この中国の一人っ子政策に何も言わなかったのは何とも不思議な気がしないではないが、中東の友好国、サウジアラビアなどにおける女性の権利弾圧に関しも口をつぐんでいるアメリカだから、彼等の持ち出す「人権」なるものも所詮は、結局は彼等にとっての損得次第だということなのだろう。
すなわち1979年当時、既に13億に達していた中国の人口が、これ以上増えたのでは、将来アメリカにとっては大いなる脅威になるに違いないと考えたからこそ中国の産児抑制には、目をつぶっったに違いない。
しかし、この一人っ子政策が40年近く続き、様々な弊害もでてきたこともあって、中国は2015年にこの政策を緩め、「子供は夫婦二人まで」といういわゆる二人っ子政策に切り替えたが、もうその時点では国民が「少ない子供にお金をかけた方が、親の生活もゆとりが出る」ということになれてしまっていたこともあって一向に子供の数も増えなかったために、慌てた中国政府は、2021年には今度は「夫婦が三人目の子供をもつことも自由」というお触れを出し、一億人近くいたという中国計画出産協会の取締り官は、職を失ってしまった。いやはや、コロナの規制にしろ、その緩和にせよ、さすがに世界に冠たる強権国家だけあってやることがなんでもドラスチックすぎる。
ブレーキがききすぎて人口が増えなくなった中国に代わって、来年2023年にはインドが世界最大人口を抱える国になるというし、アフリカ諸国での人口増加は激しく世界人口は2050年には100億に達するというから、その頃には中国の世界人口に占める割合は、今よりも大幅に減ることになる。
すでに少子化と高齢化では、世界の最先端を行く日本だが、中国や、いずれインドも。この日本や韓国が辿っている道を追いかける日がくるのは目に見えている。
2050年あるいは2060年といっても、今から僅か30年から40年後にすぎないが、その頃には世界の国々に、子供が少ない高齢者だらけになっていると考えると、それはユートピアなのかディストピアなのか―――分からなくなって来る。
(12/15/22 10:00pm)
2022年12月14日
聞く力
あまり気乗りはしなかったようだが、これをノーと言ったらただでさえ落ち込んで来ている支持率がガタ落ちになり首相の座から落ちざるを得なくなるかも―――と考えたのだろうか、岸田首相が5年間で43兆円の防衛費増額に踏み切った。
しかし、財政緊縮大事の財務省が、その財源は、増税で賄うべきだと言い張り、財務省に対する「聞く力」を発揮しすぎる岸田首相は、財務省の言いなりに「防衛費増の財源は、法人税増税で賄う」と言い始めた。
故阿部元総理は、中国、ロシア、北朝鮮からの脅威に対する備えとしての防衛費の増額と、その財源は国債で賄うべきだ、との持論だったこともあって、旧安倍派と、高市氏等の無派閥議員たちが、この岸田首相の財源論に一斉に反発、特に高市氏などは閣僚の一員であるにも拘わらず「増税なんて聞いていない！」と声高に、内閣不一致ともとれる意見を表明をし始めている。内閣不一致の発言に対しては首相は、その閣僚をクビにすることが出来るし、今までの内閣ではそうしてきたのだが、今回は世論の多く防衛費増額と財源は国債で」に賛成しているとなれば、そう無闇に伝家の宝刀を振り回せば、自らに刃が向かいかねない。
「死せる孔明、生ける仲達を走らせる」の故事のように、死せる安部元首相の主張が、現首相を窮地に追い込んでいるようにも見える一幕だ。
庶民にとっては、自分達の安全のための防衛費増額には賛成でも、自分達の収入に悪影響が出そうな、法人税の増税には反対するだろう―――という単純な読みができなかった事が、岸田首相の過ちの元だったようだ。
しかし、一度言い出した法人税増税をあまりに急遽引っ込めたのでは、ただでさえ信用ガタ落ちで支持率低下中の首相にとっては、最後の一撃にもなりかねない―――まあ、過ちては改むるに憚ること勿れ、とはいうものの、今迄も「聞く力」を発揮し過ぎた結果、決断は遅れるし、言うことがコロコロ変わる、と云う悪評が立ってしまっているだけに難しいところだ。
もっとも、岸田首相が身を引いたところで、それに代わる人材が日本には、いないというのも事実。いやはや、聞く力のおかげで、日本も困ったことになってきたものだ。
(12/13/22 10:00pm)
2022年12月13日
土足厳禁
先日妻と食事に行った時、ふらりと入った店だが、入口で靴を脱いで上がり通された部屋は、個室に仕切られた日本間だった。正座が苦手なタカさんとしては店選びを失敗したかなと思ったが、座卓の下は掘り込み式になっていて腰掛られるし、硝子障子戸越しに景色も見える落ち着いた雰囲気だった。北海道料理だというその店で鍋料理と刺身など数品を楽しんだのだが、静かな雰囲気だし味もよく、何よりも料金もリーズナブルでいつも行くレストランよりもむしろ安い位だったので、妻もすっかり気にいったようで又近いうちに行こうと言っていた。
コロナ前には、この種の、靴を脱いで上がる座敷形式の店が多かったように記憶するが、（ブーツを脱いで上がらなければならない、この種の店の評判は、女性陣には悪く、そんな店を予約した幹事の評判はガタ下がりした―――らしいが）リモートワークが主流になり、忘年会などの宴会がめっきり減ったこの三年で、その種の店の大半は潰れてしまったというからから、たまたま入ったこの店は、貴重な存在だったのかも。
JALが勢いの良かったころ、世界の主要都市に日航ホテルを次々とオープンし、その中には日本料理店があって駐在員にとっては、靴を脱いで上がるここの座敷で食事するのは、それだけでも、なんとも嬉しい思い出だったものだが、日本人は、なぜ靴を脱いで食事するとホッとするのか？―――と当時も疑問に思ったことはあった。
日本人が、履物を脱いで家に入るという風習を持つようになったのは、古くは弥生時代からだという説もあるが、少なくとも平安時代の貴族は家に上がる時には、履物を脱いで敷物の上に座っていたようだし、日本の家は、洋風の家と違って上がり框（かまち）という外から一団高い位置に床があったことから、履物を脱ぎやすかったということもあるのだろう。一応、作りは洋風のタカさんの自宅は上がり框はないが、それでも土足で室内に入るのではなく土足厳禁なのは、やはりタカさんには、まだ古い日本人の血が流れているからだろうか。タカさんはベットではなく、布団を敷いて寝ているというところも、古い日本人ということになるのかもしれない。
外国のホテルでは入口のドアが内開きだが、日本の家では結構外開きが多いのも、玄関を入ってから靴を脱ぐスペースを確保するためだと聞いたことがあるが、本当だろうか。
土足厳禁と、内開き外開きの違いには、結構面白い文化の違いが見えてきそうだ。
(12/12/22 10:00pm)
2022年12月12日
ヌーとイワシ
アフリカの野生を伝える自然ドキュメント番組の中でも、体重200キロにもなるヌーの群れの移動の迫力は実に凄いものだ。数千頭にもなるヌーの群れが草原の草を求めてタンザニアとケニアの間を半年かけて移動するのだが、中でも途中に流れるマラ川の激流を渡る映像―――中には激流に流され、あるいはナイルワニに狙われて命を落とす物も出る―――には大自然の中で繰り広げられる野生の営みの厳しさに息を飲む。
ウシ科の草食動物であるヌーは元来臆病な生き物だが、食糧である草を求める為にはこんな過酷な試練にも立ち向かわなければならないのだから、暖房の利いた部屋でぬくぬくと惰眠、駄食にふけり体重増加を気にしている我々人間は、何と幸せなことかとも思う。
その臆病なヌーだが、さすがに大群の先頭を歩くヌーは勇気のあるリーダータイプなのかというとそうではないというところが面白い。往々にしてヌーの大群の先頭には、シマウマがいてヌーの群れはそのシマウマの後にくっついてついて草原を歩き、あるいは激流を渡るのだ。しかもシマウマに続くヌーのなかでは、その先頭はさすがにリーダーの勇気あるヌーかというとさにあらず、年かさのメスのヌー、言ってみればオバサンヌーの集団に鼻先で尻をつかれた若いオスのヌー、いわばあんちゃんヌーたちが押し出されてしかたなく先頭集団を形成しているのだ。（おばちゃん連に「あんたたち、いい若い者が先に行きなさいよ！」と尻を叩かれているいい若い衆、といったところか）
先頭集団にいると渡河の際などでも、危険な目にあうリスクが高そうにも思えるが、ナイルワニが集まってくる前に川を渡りきってしまうので意外と先頭集団のリスクは少ないようだ。そういう意味では、嫌々ながらとはいいながら先頭を切らされた若いオスの損耗は少なく、群れの動きにただ従って列の中団に付和雷同していた連中たちのリスクの方が高いというのだから―――。
ムクドリの群れや、イワシの群れのように群れていることで敵からの攻撃リスクを個としても集団として守る可能性が高まるという例も多いから、やっぱりヌーもイワシも個々で行動するより集団で行動する方がよいということにはなるのだろうが―――。
我々人間も、個々の立場で考えたら、先頭を行く方がよいのか付和雷同して群れの中団を行く方がよいのか―――そのメリット、デメリットは如何と考えさせられてしまう。
(12/11/22 10:00pm)
2022年12月9日
人類絶滅後
アマゾンの熱帯雨林は、生物多様性の宝庫といわれ全世界の生物種の約1割が生息していて、その密林が毎年固定する炭素量は、900～1,400億トンという膨大なものであり、樹木が排出する酸素は、地球全体が作り出す酸素の25%にも上るといわれている。
しかし、このアマゾンの熱帯雨林の合法、違法な伐採や消失は進んでおり既に元々あった面積の20%が失われたともいわれ、今なおそのペースは衰えないどころか年々増しているといわれる。
そう聞くと地球環境を守れ！と叫ぶいわゆる意識高い系の人たちは、アマゾンの自然を守れ！と叫ぶが、彼等の国ではいままでにどれほどの樹林が喪失したかを棚に上げている。たとえばアメリカにしても開拓時に森林におおわれていたニューヨークでは、今や森林といえば公園で見る程度で、アメリカ全土でもこの400年程でその半分が失われたというから、人口が年1％の勢いで増え続けているブラジルで食糧確保のために人々が森林を開拓しつづけることを非難するのも、動物愛護運動の年次総会でステーキディナーをたべているのに似ていなくもない。
今、絶滅に向かっている野生生物の種が2万種あるといわれ、その危機的状況が改善する気配がみられないことでも大騒ぎになっているけれど、その主な原因が、地球の温暖化といった自然によるものというよりは、80億人にも増え、近い将来100億にも達するといわれる人類が食べていく為、あるいはより快適な生活をする為に自然を破壊あるいは改変し続けているからという面は否定できない。
一説によればマンモスが絶滅したのは、人類が狩り尽くしてしまったからだともいわれるが、極論すれば、人類こそが自然破壊の根本原因であり人類がこの地上からいなくなれば意識高い系の人々が叫ぶ自然が守られることになるとも考えられる。
先日、テレビで人類が絶滅したら地球はどうなるのか、というあの映画「猿の惑星」のような番組をみたら、人類絶滅後、数千年も経てば又太古の地球のような自然環境が戻って来る―――というではないか―――。
「自然環境を守ろう」という理想と、旧約聖書にある神の言葉「産めよ増やせよ地に満てよ！」の矛盾は、どう解釈すべきなのだろうか。
(12/08/22 10:00pm)
2022年12月8日
ダメなのかCOOLなのか
今月2日、WHOのテドロス事務局長は世界人口の90％がコロナの免疫を得ていると推定されると発表した。あの習近平におべんちゃらを言いに中国に行ってコロナの世界的蔓延の原因の一つにもなったとまでの悪評のあるテドロスさんの言葉だけに信用できないという話もあるが―――。
それはともかくワールドカップの観衆の中にもマスクしている人はいないのは世界ではコロナはもう終わり、といった意識が大勢になっているようにも思えるのに、今日本で街を歩いている人でマスクをしていない人はいないという世界とはかけ離れた状況で、日本を観光の為に訪れはじめている外国人も、母国と日本のコロナに対する意識の違いに驚く人が多いという。
このマスクに対する海外と日本の違いをどう評価するかといえば、一方では、「日本は世界の潮流にめちゃくちゃ遅れていて、まるで江戸時代の鎖国政策がまだ続いているようなものだ。何事もそうだが日本はダメな遅れた国だ！」という人もいれば、その一方では、「日本は衛生意識が高い国だからこそ、外国ではまだ感染者が出続けているのに発生件数も数えないしマスクもしないし何の制限もしていないというルーズさなのに、日本だけは、感染者数もちゃんと律儀に数え、全員が強制されているわけでもないのにマスクをしているではないか。日本人の衛生意識は非常に高く、しかも全員が素晴らしい公徳心をもつている。日本はCOOLな国だ！」と自画自賛する人もいる。
かつて「産業のコメ」といわれた半導体を、世界一生産していた日本だが、今やその生産量は世界のわずか6％にしか過ぎないという。「いやはや、本当に日本はダメな国だ！」という人がいる一方、いやいや日本は競争が激しく莫大な設備投資費用がかかる割には儲からない半導体製造からは手を引いて、今や半導体を製造する機器や材料という付加価値の高い分野で世界トップレベルのシェアを維持している。日本の製造機器や材料がなければ世界の半導体メーカーは皆、行き詰ってしまうのだから「日本はCOOLな国だ！」という人もいる。
何事にもこの「日本はダメなのか」「日本はCOOLなのか」という問題は付きまとう。
80年近く憲法の一言一句も変えずにいることも「ダメなのか、COOLなのか」一向に結論がでないし、民主主義を守るためには、強権国である中国やロシアから手を引くでもなく（引けず）いることが「ダメなのか、COOLなのか」―――といった具合に何かにつけて日本クール論と日本ダメ論の決着はつかないままだ。
果たして日本はダメなのかそれともCOOLなのか――本当のところを知りたいものだ。
(12/07/22 10:00pm)
2022年12月7日
PK戦
勝負は始めた以上どちらかが勝つまでやらなければ終わらない！という西部劇精神が強いメジャーリーグでは、NPBのように延長12回打ち切りによる引き分け決着ということが今もない。まあみんなが車で球場に来ていて、日本のように終電を気にする必要がないということも、時間無制限の延長戦決着ありの理由なのでもあるのだが。
ちなみに、メジャーリーグの延長戦記録としては、なんと延長25回、試合時間8時間6分という試合が1984年にホワイトソックス対ブルワーズ戦であったというから凄い。回数の方ではこれを上回る延長26回という記録が1920年にあったらしいが、この試合はなんとわずか3時間50分で決着がついたというから、どれだけスピーディーな試合展開だったのだろうか。（1イニングわずか9分ほどで進行したことになる）
守備側のピッチャーをのぞけば試合中ずっと動き回っているというわけではない野球の場合、8時間の試合でも選手はもつのだろうが、試合時間中ほぼ全員がピッチを走り回っているサッカーの場合、延長戦があっても試合時間2時間というのが精一杯でこれ以上やれというのは酷というものだとは思うが―――。
日本が負けたから言うのではないけれど2時間の激闘の後の決着が、PK戦という今までのルールと全く違う方法でつけるというのが何となく釈然としない。プロレスで両者血だらけになっても決着がつかないので、勝敗をジャンケンで決める――なんていうのと同じようでなんとも白けてしまうのだ。（繰り返しになるが、これは昨日のクロアチア戦で日本がPK戦で負けたからいうのではなく、もう何十年も前からタカさんが言い続けているサッカーの延長戦に対する違和感である）
五郎丸選手が大活躍したラグビーワールドカップの時には、にわかラグビーファンが増えたように（タカさんもその一人だった）、今回のサッカーワールドカップでも日本代表が勝ち進んだことでにわかのサッカーファンが相当増えたという。
それほどのサッカーフリークでもないタカさんは、昨夜は11時過ぎには床についてしまったが、昨夜最後までテレビにかじりついて観ていたた！という同年配のにわか（？）サッカーファンの方々も多かったようだが―――ご愁傷様でした。
(12/06/22 10:00pm)
2022年12月6日
石炭紀
アメリカのユタ州の炭鉱に入ったことがある。今から5億年前から3億年前までの石炭紀の2億年間の何時かに茂っていた植物が枯れて堆積し続けたものが石炭層を作ったのだという。
積み重なった倒木の層が今や地中深くに石炭層としてあるということなのだが、これを掘りだすのは、そのほんの一部でしかなくほとんどの石炭は上部が崩れないように、地中に残されるという。豪州やカナダの露天掘りだと埋蔵された石炭を全て掘り出すことができるが、坑内掘り随分非効率的だと思ったが、その炭鉱の責任者は、それでも後200年は堀続けられるだけの石炭が埋まっている―――といっていた。もっとも地球温暖化防止騒ぎで、石炭も今やすっかり悪者になってしまったので、あのユタの炭鉱ももう採炭はしていないとは思うが―――。
それにしても、2億年というとてつもない期間に積もった倒木の量がこんなに凄い量になるとは―――と時間の経過というものの凄さを実感したものだが―――。まさに塵も積もれば山となるだ。
石炭紀には樹木が繁茂し、その樹木が光合成によって酸素を空気中に放出し続けたことで、空気中の酸素濃度は、なんと35％（現在は21％）に迄ふえたという。酸素濃度35％ともなれば石炭紀には、一旦自然発火するとたちまちの内に燃え広がり、年中山火事が起きていたことだろう――まあ人類が地上に現れたのはわずか500万年前、我々ホモサピエンスの誕生は、20万年前に過ぎないから―――そんな想像も無意味ではあるが。
酸素濃度が35％というと酸素呼吸をする生物にとっては、かなり快適だったようで、当時栄えていた節足動物などは巨大化し化石に出て来る巨大トンボのメガネウラや、巨大アンモナイトや巨大サメ、恐竜の祖先などすべてが大きかったという。
しかし、過ぎたるは及ばざるがごとしの通り、増えすぎた植物が二酸化炭素をどんどん吸収してしまったことで、今の温暖化とは、逆の地球寒冷化を招き、石炭紀末期には氷河の発達とともに今度は植物も動物も壊滅的な絶滅状態に陥ったともいわれる。
今、大騒ぎしている地球温暖化だけれども、石炭紀末の地球寒冷化に比べたらまだマシのような気がしないでもないが―――そんなことを言ったら世間を敵に回すことになるから、まあ想像だけにとどめておこう。
(12/05/22 10:00pm)
2022年12月5日
鏡餅とお汁粉
タカさんの子供時代には、多くの家の庭の片隅には、杵と臼が置いてあって、おめでたい末広がりの八の字がつく暮れの28日には、近所の何軒か集まって、女性陣が大々的にせいろでもち米を蒸し、若い男性陣が餅つきをするという大イベントがあったものだが、そんな餅つきをやっている風景などは、近年すっかり見なくなってしまった。
かわりに今や、スーパーでは早ければ10月、遅くとも11月位から透明なプラスチックケースに入ったミニ鏡餅が大量に売り出されている。確かにこれなら幾ら早くても餅につきものの青かびも生えないし手間もいらないから便利と言えば便利ではあるが―――歳神様も一体自分の出番はいつなのかと戸惑われるのではないかだろうか。
昔は、年末についた餅が、正月を大分過ぎてもあると青かびが生えだしてしまい、そうなるとカビを落として水餅にして食べたりしたが、タカさんはあれが大の苦手だったので、70を過ぎた今でも、あの時のトラウマでお餅は、どちらかというと苦手の方だが、妻は餅は大好物だといっているのは―――きっと水餅を食べさせられた経験がないのだろう。
ここ数年はコロナの所為でやっていないようだが、講道館では正月9日の道場開きでは、乱取り稽古の後、小学生の門下生には鑑開きをした餅の入った、お汁粉を振る舞っていると聞いていたが、お餅は苦手だがお汁粉には目がないタカさんは、なぜか羨ましく思っていたものだ。
タカさんは鳥取生まれだが鳥取ではお雑煮がお汁粉のところがあると聞いたことがある。赤ん坊の時鳥取を離れてしまったのでタカさんにその記憶はないけれど―――きっとDNAのどこかに「正月と言えばお汁粉」が刻み込まれているのかも知れない。
(12/04/22 10:00pm)
2022年12月2日
知り得ない数字
人が犬を咬んだらニュースになるが、犬が人を咬んでもニュースにならないというが、ワクチン接種の副反応で熱が出たとか、腕が上がらないほど腫れたといった場合には回りも心配するだろうから話題にもなるが、タカさんのように5回も接種を受けたのに一度も何の副反応もなかった場合、回りからは何のリアクションもないのは当たり前ではあるが―――あちらでもこちらでも、熱が出て寝込んだだとか、しばらくは腕が上がらなかった、といった話ばかり聞いていると、なんだか自分だけが異常体質で、ワクチンが全く効いていないのではないか―――などと却って心配にさえなって来る。
新聞も副反応があった人の事ばかり報じないで、タカさんのように熱も出ないし、腕も痛くならないという人がどれぐらいの割合でいるものなのか報じて欲しいものだと思うのだが―――犬に咬まれた人の数と同じように、ニュースバリューがないようで、ネットのどこを見てもそんな数字は出てこない。
神の言葉と同じように、指導者は絶対に間違ったことをいわないという無謬性を誇る共産主義の中国では、習近平が打ち出したゼロコロナ政策が3年も続いて、さすがに余りの束縛に耐えきれなくなった一部の市民が、各地で、白い紙を掲げて無言の抗議活動に繰り出していて、治安当局と衝突したというが無謬性にこだわる中国で習近平という神に等しい人物が打ち出した政策の誤りを認める訳もないから、抗議活動を強制力で抑え込むばかりだ。しかし、一体どれほどの中国人が抗議活動に出ているのだろう。
あの香港の民主化運動でさえ強権で抑え込んだ習近平だけに、ますます自らの無謬性を強権で示す覚悟を変えるとも思えないから、このまま反コロナ封鎖運動が続いたとしても、とても天安門事件のような反強権運動には広がりそうもない。
何しろ70年以上に渡って十数億の中国人を締め付け続けて来た共産党だし、その強権に唯々諾々と従うことが半ば本能になってしまっている大半の中国国民が、一部の市民に同調して習近平に反旗をひるがすようになるとは――――とても思えないのだが―――。多分反習近平で盛り上がって抗議活動をしているのは、極々一部の中国人で、それを海外のメディアは、大々的にとりあげているだけだけ―――かも知れない。
ワクチンの副反応なしの人の割合と同じく、真の反習近平の中国人の割合を知りたいものだが―――まあ、絶対に知り得ない数字なのに違いない。
(12/01/22 10:00pm)
2022年12月1日
ユダヤ教超保守派
イスラエルに行くと、特にエルサレム周辺で異様な服装の男たちをよく見かける。年中、白シャツに黒いスーツ姿、黒い大きな帽子をかぶっていて、ひげを伸ばし放題、長いもみあげをツイストさせている―――というちょっと滑稽ないでたちの男たちだが、彼等はユダヤ教徒の中でも特に信仰心の篤い超正統派と言われる人たちだ。
この超正統派と言われる人たちは現在イスラエル人口の約15％を占めているが、エホバの神の言葉である「産めよ増やせよ、地に満てよ！」を忠実に守っているから21世紀中ごろにはイスラエル人口の5割を占めるようになるともいわれている。
この超保守派の約15％が、政党が乱立する現在のイスラエルに於いては、大きな影響力をもっている。数々の疑惑で何度か政権の座を滑り落ちたネタニエフ氏が、今回この超保守派の支持を得て政権に復帰した。
ネタニエフ自身は、超保守派のユダヤ教徒という訳ではないが、上手く彼等を手なずけて政権復帰による疑惑追及の手を逃れた――ともいわれている。
超保守派が敬虔なユダヤ教徒であり、男たちは変わった服装をしている―――というだけなら何も問題はないのだが、問題は彼等は、働かず、日がな一日、一生の間お祈りを続け聖書を読み続けているだけで、イスラエル国民に課せられている兵役も拒否していて、一家の家計は家の女性達の働きと、国からの生活保護でなりたっていて――しかも子だくさん―――という所に問題がある。
すなわち、超保守派以外のイスラエル国民の、税負担と兵役義務におんぶにだっこするこで、超保守派教徒とネタニエフ首相が成り立っている―――ということさえできるというわけだ。こんな状態には、いずれ国民の不満も爆発するのではないだろうか――――。
宗教とカルトは違うとはよく言われるが―――プーチンのウクライナ侵攻を全面支持するロシア正教会も、黒服でひげもじゃの超正統派ユダヤ教徒も、宗教なのかカルトなのか区別するのは中々難しい。
(11/30/22 10:00pm)
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