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2022年10月
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10/31 ロシアのLGBT 10/28 ロシア系住民 10/27 解散請求 10/26 スナク首相 10/25 葷酒山門に入るを許さず 10/21
ローマ帝国の衰退 10/20 肝腎かなめ 10/19 孫子もびっくり 10/18 ヒジャブとマスク 10/17 乱世の雄 10/14 結婚生活と戦争
10/12 冬将軍 10/11 国内回帰 10/07 窮鼠猫を噛む 10/06 信教の自由 10/05 ミッキーカチューシャ 10/04 マイナカード
10/03 予備役
2022年10月31日
ロシアのLGBT
保守勢力といえば思想にせよ社会制度にせよ伝統的価値観を重んじる勢力、革新勢力とはその反対で伝統的と思われている思想、主義主張、社会規範などの変革をはかろうと考える勢力、というのがちょっと前までの一般の理解だった。
しかし、この「昔の常識」にとらわれていると世の中の動きが、全く分からなくなってしまうほどに今の世界、そして日本の状況は様変わりしている。
例えば、LGBTへの許容度は、現旧の共産圏においては無く、逆に伝統的価値を重んじて来た国々では大幅に緩められてきている。日本のような自由主義圏の国の多くでは、LGBTへの差別はむしろ取締りの対象となるし（芸能界などは、LGBTでなければ出演できない、なんていう傾向さえあるように見える）、「LGBTは気持ち悪い」等と言ったらそれこそ袋叩きになりそうだ。
「差別は良くない」という価値観は、今や誰もが認めるところだが、「LGBTは気持ち悪い」という個人的な「好き嫌い」さえも、罰則の対象になるとしたら――――これこそが差別ではないのか？という気もする。
かつて猛威を振るった共産主義思想も、90年代初頭の東ヨーロッパ圏、ソ連邦の崩壊で大きく崩れ、今や看板だけは共産主義を掲げながらも、単なる強権国家となり果てた中国や北朝鮮しか残っていないが、彼等を今更「革新系国家」などと呼ぶ人はいないし、習近平や金正恩もそうは思っていないに違いない。なにしろ、中国や北朝鮮ではLGBTは法で厳しく制限されており（中国では最近LGBT小説の作家に実刑判決がでたこともあった）、実際には存在するとは、思うもののかの国のLGBTは、相変わらず日陰の存在のようだ。
先日、ロシアの下院で「非伝統的な性関係」の流布を制限する法案の改正案が全会一致で可決されたという。これで、ロシアではますますLGBTに対する締め付けは厳しくなるという。ひょっとしたら、ロシアでLGBTだとバレれば即刻徴兵されて弾除けとしてウクライナ送りされるかもしれない。
（10/30/22 11:00pm S.T）
2022年10月28日
ロシア系住民
8年前に併合したクリミアに加えてロシアはウクライナ東部4州を併合したと宣言している。併合した理由は、この地域に住む住人達がウクライナに虐待されジェノサイドされていて、ロシアに救いを求めてきたので、彼等を救済するために「特別軍事作戦」を実行したのだという。
この4州に住む親ロシア系の住民は、自分達を救い出しロシア国籍にして欲しい、と切実に希望してもいたから、ロシアは、やむにやまれず彼等の願いにこたえたのだ―――と主張している。
ウクライナ軍の反攻がはじまり、遂にはいくつかのロシアが併合した都市を奪還したという映像をみると、今度は、その地域の住民たちが喜びに沸き返り、ウクライナ軍兵士たちに抱きつき喜びをあらわにしているではないか―――この人たちは、ちょっと前にはロシアへの併合を求める住民投票に賛成票を投じたのと同じ人たちなのか？と思うと、ロシアの側、ウクライナ側一体どちらを信用してよいのか、どちらの映像が、本物なのだろうかと――戸惑いにかられる。
サダム・フセイン政権が崩壊してフセインが逃亡した直後、バクダッドの街は、歓喜に溢れるイラク市民が一斉に繰り出し、フセインの銅像を破壊して市中を引き回していたが―――、そのわずか半年前に行われたフセイン政権への信頼を問う選挙では、フセインの支持率がなんと99.8％だった―――と伝えられたのを思い出す。いかに権力による強制があるにせよあまりに豹変するイラクの人々に、生きて行くためにはそうならざるを得ない彼等の境遇を思い、複雑な思いにかられたものだが、今回のウクライナ4州併合でも、あの時のことをまざまざと思い出した。
今、いつ徴兵されるかという不安から、ロシアを出て周辺国に逃れる人々が遂に100万人を超えたというが、あまりに多くのロシア人を受け入れると、又いつの日か、彼等がロシア系住民となり、ロシアが「自国民が周辺国で虐待されている」との理由をつけて攻め込んでくるのではないか―――との恐れを抱き始めたフィンランドやポーランドなどのロシアと国境を接するEU加盟国の全てが遂にロシア人の入国禁止を実施、同じく大量のロシアからの脱出者を人道的見地からと受け入れてきたカザフやウズベキスタンなどの旧ソ連圏の国々も、あまりにも多くを受け入れすぎると、ウクライナ4州の二の舞になりそうだと、受け入れを渋り始めているという。確かに、人口がもともと少ないこれらの国々に大量のロシア人が入ってきて彼等が子供や孫を作り出せば、いつかはロシア系住民が多数となる日がくるかもしれないのだ。
（10/27/22 11:00pm S.T）
2022年10月27日
解散請求
旧統一教会は宗教法人として様々な法の庇護を得てきた。宗教の名を借りると様々なインチキ商品を高額で売りつけることもできるし、信者家族を破算にいたらせるほどの、高額の寄付を集めることもできてしかも無税だというのだから―――信者の家族がどれだけ悲惨な目にあっても、知らんぷりというわけだ。まあ、大なり小なり、宗教と名のつくものは、似たり寄ったりという面はあるものの、安倍首相の銃撃以来、度が過ぎる旧統一教会への世間の目は厳しくなってきている。
宗教法人法では、あまりに問題が多い宗教団体には、解散請求をおこなうことができる、と定められていることからこの問題での国会論議が盛んになってきているが、行政の長たる岸田首相の国会での答弁が二転三転、どうも首相自身が、あまりよくこの「宗教法人法」を知らなかった―――ということを白日の下にさらしてしまったようで―――それをきっかけとして首相の他の政策実行能力にも不信感がまし、内閣支持率は急落中だ。どうもやることなすこと八方塞がりの様相だ。
国会で、野党議員に「宗教法人の解散請求要件には、民事の不作為行為は入らない」と答弁し、翌日には「民法の不法行為も、解散命令請求の要件に入り得る」と180度答弁を変更した件は、大チョンボ中の大チョンボだろう。多分、この件に不案内な首相に事務方が間違った回答を準備してしまい、種々の専門家に指摘されて大慌てて翌日、訂正した―――というのが真相だとは思うが―――。
宗教法人の担当部局は、文科省の配下の文化庁だから、チョンボした事務方というのは、文科省ということなのだろう。そうだとすると、この一連の統一教会問題がきっかけで今の岸田内閣瓦解――などということになれば、政権崩壊の主犯として挙げられるのは文科大臣ということになるが―――まあ、やっぱりこれも、彼女を文科大臣にした岸田首相自身の自業自得ということになるのだろう。
もっとも解散請求をしたからといって旧統一教会がその時点で解散するわけではなく、その後、解散させるかどうかを判断決定するのは、司法（裁判所）であることを考えると、実際に旧統一教会が解散ということになるとしてもそれまでには、相当な時間がかかることは間違いない―――岸田首相も、そういう意味ではまだまだ粘るということだろうか。
（10/26/22 11:00pm S.T）
2022年10月26日
スナク首相
日本人のルーツには南方系、大陸系、北方系などのミックスだという説が有力で、それだからこそ顔かたちなど多様であると言われるが、逆にインドでは紀元前に火山噴火による降灰で人口が極端に減少したことがあって多様性が失われたので、世界一に迫ろうとするほど人口が増えた今でも、人種の多様性が失われたままだという説がある。そう思ってみるとインド系の男性も、そして女性も顔かたち体形が似通っているように見える。
日本に来たインド人の男性が、（日本人から見ると）目鼻立ちがはっきりしてプロポーションも良い美人ぞろいのインド系の女性ではなく、扁平な顔つきの日本女性と結婚する例が多いのは、そういう女性を生まれてこのかた見たことがなかったからではないか―――とも聞くが、そう言われてみれば、日本人にも、国際結婚が多くなってきているのは、お互いが「生まれてこのかたあまり見たことの無いタイプ」の異性がよく思える―――ということがあるからかもしれない。
かつては多く渡来人が入ってきて様々な文化を伝え混血もした日本人だったが、その後徐々に海外との往来も減り、江戸時代の250年は鎖国によって国を閉ざした為に、日本人の血の多様性は、失われてしまったが―――ここにきて、再び国際化が盛んになり、スポーツ界や芸能界では、いわゆる混血の才能が目立つようになり、むしろ混血でなければ目立たない、とまでいわれるようになってきてさえいる。
イギリスの首相に選ばれたスナク氏はイギリス生まれだが、父はケニア生まれ、母はタンザニア生まれであり、祖父はインドのパンジャーブ出身という、いわゆるインド系イギリス人である。彼は、イギリスの首相になった初めてのインド系という訳だが確かに、今までの歴代首相たちとは随分異なる風貌に見える。若く、才能に溢れる人物だとの評判もあるようだが、何かと難しいイギリスの政治経済のかじ取りがどのようになるのか―――注目も集まっているようだ。
混迷を続ける日本の政治経済だが、近い将来、日本にもスナク氏のような「初めてのxx系」の首相が生まれる日がくるのだろうか―――。
（10/25/22 11:00pm S.T）
2022年10月25日
葷酒山門に入るを許さず
禅寺などの山門に「不許葷酒(くんしゅ）入山門」という戒めが書いてある。寺内には酒やにおいの強い野菜を持ち込んではならぬ、という意味だ。
酒は呑むと心が乱れ修行の妨げになるからというのは、酒を飲むタカさんにも分からぬではないが、なぜニンニクなどのにおいの強い野菜がダメなのか―――確かに昔からニンニクをたくさん使った料理、例えばキムチや朝鮮焼肉、中華のニンニク炒め、などを食べる時に「夜、眠れなくなるよ！」などとと、からかわれることががあったから、どうも世の中には、この種のにおいの強い野菜には、強壮効果があると信じられていたようなのだが――果たして本当なのか、自分自身思い当たる節がないだけに、うさん臭い迷信なのでは―――とも思っていたのだが――。
先日、定期健診で、かかりつけの病院に行ったら、待合室にニンニク注射の広告ポスターが貼ってあったが、ニンニク液を注射するなんて―――見るからにインチキ臭く長年頼りにしてきた病院だが、本当に信用していいのか？――と信頼感を失いかけたものだ。（後で調べてみるとニンニク注射という名前だが、別にニンニクのしぼり汁を注射するわけではなく、ビタミンBの臭いがニンニクの臭いに似ていることから、ビタミン注射を、ニンニク注射と呼んでいるのだとか―――そういえば、栄養ドリンクの多くはニンニクの臭いがする）
一説によるとニンニクは昔から精力が強くなる生薬として知られており、精力溢れる若い修行僧が、強壮剤なんか飲もうものなら修行どころの騒ぎではなくなってしまうからだ―――と聞いたことがある。
まあそんな訳で、古くからの禅寺の「不許葷酒入山門」は、現代風にいうならば「酒と強壮剤の持ち込み禁止」ということなのだろう。
ピラミッド建設で働いていた労働者の元気の源は、今もエジプト料理に大量に使われるニンニクだ！という説があるが、確かに人力であんなに巨大な建造物を作れた原動力が、ニンニクだというなら、若い僧たちにニンニクを食べさせるのは、大いに修行の妨げになるかもしれない。
タカさんは若い頃、ニンニク風味の料理も食べていたが、年齢を重ねてからは、大の苦手になってしまったのは、もはやそんなにエネルギーを必要としない老体になってしまったからなのか、はたまたあの強烈な臭いの食べ物を受け付けられるほどの体力がなくなってきた所為なのか――？
（10/24/22 11:00pm S.T）
2022年10月21日
ローマ帝国の衰退
ローマ帝国が衰退した理由は、さまざまあげられるが、ローマの繁栄をささえていたといわれるまず「寛容さ」が失われたことが大きいとも言われている。
イタリア半島の一片田舎でしかなかったローマには、オリジナルの技術もなかったが、例えば土木技術はエルトリアから、建築技術はギリシャからといった風に、よいものを積極的に取り入れていた。あの有名なローマ法典も元はと言えば古代ギリシャで使われていたものを取り入れブラッシュアップしたものだ。
宗教についてもローマはもともと多神教で、人々は自分の好きな神をまつっていて他人の信仰に対して干渉することもなく寛容だったといわれるが、一神教のキリスト教を国教に定めてからは、他の宗教に対する寛容さが失われ、キリスト教以外の宗教、そしてそれを信仰する人々に対する寛容さが無くなり、むしろそれ等を排斥するようになったために社会が衰退の道を歩むことになったともいわれる。
また、ローマ帝国がパックスロマーナ（ローマの平和）といわれる約200年間の平和と繁栄の時代を謳歌した時代、人々はその状態が貧しい異民族の流入よって壊れることを嫌い、他の民族、異文化の流入を嫌がるようになってローマの繁栄の基であった「寛容さ」を失っていったし、又、自分達の豊かで満足できる今の生活を維持するためにはと、子だくさんを嫌うようになって、いわゆる少子化が進んでしまい、社会の重要な担い手が失われていったことも大きかったともいわれる。
たまたまローマ史を読み返していて、なんだか戦後日本も、衰退にむかいはじめていた頃のローマと共通点が多いような気がしてきたのだが―――。
（10/20/22
11:00pm S.T）
2022年10月20日
肝腎かなめ
伝統的な中国漢方医学では人体にとって最も大切な臓器とは五臓であるという。五臓すなわち肝臓、心臓、脾臓、肺臓、腎臓であるがその中でも特に大切なものは肝臓と心臓、そして腎臓であるという。何千年も前の医学知識であるにも関わらずこんなことをしっていたとは―――漢方の凄さに驚くばかりだが―――。
肝腎かなめ（あるいは肝心かなめ）という言葉が「命の為に、非常に重要なもの」という意味で使われるのも、この五臓の考え方から来ている。内科の病気といえばこの五臓と六腑（大腸・小腸・胆・胃・三焦・膀胱の六つの中空の臓器）であると今でもいうのだから漢方医学おそるべしである。
日本では中国から伝わったという歴史があって漢方というが、お隣の韓国では元々はこれは朝鮮民族が始めた医学であるとして、韓医学と主張し、本家を自任する中国と国際論争になったという経緯もあるが、その後この論争はどうなったのだろうか。もっとも、日本では漢方といわず東洋医学という場合があるが、中国では東洋は日本という意味になり、漢方と韓方のもめ事の中に割って入ると事情がややこしくなるので、中国人を前にした場合、あまり使わない方がよさそうだ。
中国に行くと漢方薬の店がどこにもかしこにもあってどんな症状にも治療薬があるようだが、コロナの世界大流行の発祥原因とも言われたコウモリの干物だとか、サルの脳みそ（何に効くのかしらないが）といった得体の知れないものも多く日本人観光客は手を出さない方がよさそうだ。
そういえば、コロナ前に押しかけていた中国人観光客も、日本の製薬会社が作っている漢方薬なら安心だと土産に大量に買い込んでいたらしいが、ここにきてのコロナによる中国の厳しい海外への渡航制限で日本の漢方薬の8割をつくっているといわれるツムラなどは随分困っているかもしれない。
そうそう、コロナといえば一時期アフリカやブラジル向けに中国製ワクチンによるワクチン外交を展開していた中国だが、ファイザーやモデルナ等のワクチンに比べて肝心かなめの効果が劣るとの結果がでたこともあって、最近はひっそりと幕をとじているという。さすがに敵がコロナとなっては伝統の漢方医学も分が悪いようだ。
（10/19/22 11:00pm S.T）
2022年10月19日
孫子もびっくり
中国の兵法書「孫子」に、「拙速（せっそく）は巧遅（こうち）に勝る」という格言がある。「兵は拙速を尊ぶ」ともいわれる通り、作戦に多少の不備があっても、すばやく戦いを起こすことが大切だ！という意味だ。
仕上がりも早く（少なくとも期限内に）出来上がりも良い仕事（敢えて言えば「巧速」）が求められる現代では、拙速はともかく巧遅は、まったく通用しない。良い作品に仕上がったが、締め切りに間に合わなかった原稿は、使われることはないしその作家には、二度と声がかからないだろう。
「いつやるか？」に「今でしょ！」と答える林修先生の予備校のCMがあったけれど、世の中が皆「今でしょ！」で動いているという時代、政治の世界では相変わらず「拙速に陥らないように」との言葉を免罪符にして、何時までも時間ばかりかかるが、一向に前に進まない、要するに「何もやらない」事が横行している。
「拙速に陥らないように、論議を尽くして」「もっと時間をかけて論議すべきだ」というセリフは、現状を変えたくないし、面倒なことをやりたくない、という与党の側も、80年近くたって現状にそぐわなくなってきている憲法を、一言一句変えたくない、という野党も、やたらと多用する決まり文句になっている。
宗教に名を借りた、インチキ商法の規制にしても、漸く「検討を検討する」と言っている有様だし、ミサイルが上空を飛び交っているし、台湾有事の危険度が増し尖閣が連日侵されているというのに、防衛費のほんの少しの増額の検討さえも中々進まない。なにしろともに延々と「検討と議論」を重ねているらしいが―――。
現代日本では「拙速」も「巧遅」も、なにもしないことの言い訳に使われているとは―――さすがの孫子も想像だにしなかっただろう。
（10/18/22 11:00pm S.T）
2022年10月18日
ヒジャブとマスク
イランでは、女性は公共の場では、ヒジャブと言われるベールの着用を義務付けられている。公共の場でのマスク着用が半ば強制されている日本のことを考えれば、まあとんでもない規則ともいえないとは思うものの、それが「義務」だといわれ、被り方が不適切だと宗教警察に連行され拷問の末、殺されるとなると―――日本のブラック校則違反での退学とは訳が違う。
女性たちのみならず男性たちも混じっての連日の市民による抗議活動がどうもこの女性虐殺に対するものだけという訳でもなく、イランのイスラム法による統治体制そのものに対する反政府的な動きになってきているようだとも伝えられ、ハメネイ師を最高権威とするイランイスラム体制に少なからぬ動揺を与えているようだ。こうなって来ると、体制側も引くに引けない情況のようだ。
パーレビ国王を追放したホメイニ師を中心としたイスラム革命から早くも40年が経過し、西洋近代化をはかっていたころの旧体制を知らない世代がほとんどとなったイランでは、今度は現体制に対する不満がたまっているというのも、米国を中心とした対イラン制裁による物価の高騰（年間40%に及ぶ）への現政権の無策ぶりに対するものが根本にあるようだ。フランス革命だって物価高騰に怒った市民のバスチューユ襲撃からはじまったことを考えると、あり得ることとも思える。
しかし、イラン政府の側にしても、神の言葉であると言われるコーランに書かれた「女性は髪を隠さねばならんぞよ」という言葉を、変えることなど受け入れられる訳もないから、今回の、この抗議活動とは絶対に妥協できないに違いない。
こんなことがきっかけになってイランの大激動がはじまらないとも言えない。40年前のホメイニ革命を思い出せば、イラン人の国民性としての行動の激しさは、周辺国で何が起きようが、のんびりしている日本人には到底理解できないレベルのものだ。
もしイランの現体制が崩れて、米国が制裁を解くようなことになれば、世界第4位の埋蔵量（ロシアを上回る）を誇るイランの石油が世界市場に出て来るから、そうなるとロシアのエネルギー価格も大幅に下落し、ロシアの財政はますますピンチに陥り―――ウクライナ戦争の終結が早まるかもしれない―――。
たかがベールや、マスクと思いがちだが、結構、社会情勢、政治情勢に直結しているのだ。
（10/17/22 11:00pm S.T）
2022年10月17日
乱世の雄
ジョン万次郎が漂流の後、米国本土で色々な技術を学んでいたころ、度々アメリカ建国の父たちの話を聞いて、その建国の英雄たちの子孫は、いまどうしているのかと尋ねたところ、例えば初代大統領であるジョージ・ワシントンの子孫がいるのかいないのか、いるとしたら今何をしているのか、について答えられる者が一人もいなかったという。
万次郎が米国で暮らした年からわずか60年程前に、その国のリーダーであった歴史上の大人物の、子孫の消息を、国民の誰も知らないし、関心もないという事実に、将軍から万次郎の故郷の土佐の漁村の家々まで、何代も遡って先祖や、その子孫の消息がわかる国と、比べた米国という新しい国の社会構造の違いに万次郎は、本当に驚いたという話がある。
派閥領袖の安部元首相が明確な後継者を決めないままに、突然亡くなったことで安倍派は混乱状態になっているようだ。一応、我も我もと手を挙げる人物はいるようだが、どれもこれも抜きんでた存在ではなく、後継と言われるほどの人物とも思えない―――かといって安部元首相の場合、子息がいるわけでもないし、昭恵夫人にも全くその気がないとなれば―――ゆくゆくは安倍派も空中分解していくようにも思える。
もっとも、近代日本の政治シーンを鵺のように牛耳って来た保守政党としての自民党そのものだって安倍派に限らずどの派閥もたいして力がなく後継者不足でもあるし、それにかわるべき位置にいるはずの野党のいずれもが余りにも力がないし（共産党や立憲民主などにいたっては自民党以上の後継者不足）なんとも頼りなさすぎる。
世界の歴史をみていると、乱世になればなるほど「乱世の雄」が現れるというパターンをくりかえしているが、今の日本はミサイルが頭ごなしに翔んでこようが、四方の領土を他国に侵略されようが、国民に「乱世」という自覚がまったくなく、「国葬の費用がどうだった」とか「韓国の新興宗教に騙される奴が悪い」なんていう話で持ち切りなのだから―――当分どこもかしこも後継者不足でかつ乱世の雄は出てこないと、考えねばなるまい。
（10/16/22 11:00pm S.T）
2022年10月14日
結婚生活と戦争
結婚生活も戦争も始めるのは簡単だが、おしまいにするのは難しいという。ウクライナ戦争も、ウクライナ側にしろ甚大で、この辺で一旦中止---という訳には行かなくなってきているようだ。
今回の侵攻だけでも一説では、10万人の戦死者をだしているともいわれるロシアの場合、こうなっては、プーチンが無傷で休戦という訳にはいきそうもないし、かといって斬首作戦でもない限りプーチンの退場という落とし前をつけての休戦という訳にも、プーチンという権力者にぶら下がって甘い汁を吸ってきた取り巻きの機構の連中が、頷くわけもなさそうだ。
ウクライナ側にしても今回の侵攻に対して中途半端な形で身を引くという訳にも行かなくなっている。今回の侵攻を今年2月以前の線まで押し戻すだけではなく、8年前にとられたクリミア半島の奪還までを、戦争終結の目標に挙げているゼレンスキ―にしてみても、いくばくかの占領地は取り戻しつつはあるとはいえ、現状での「射ち方止め」というのは、難しいと言わざるを得ない。
いずれにせよ、ウクライナ、ロシア両陣営ともに引くに引けない情況となっては、この戦争は、少なくとも年内は、続くと覚悟せねばならない。いや、おそらくロシアの次回のロシア大統領選挙が行われる2024年迄は、長引くことまで覚悟せねばならないかもしれない。
いや本当に何事も、始めることは簡単でも、終えることは難しい。
（10/13/22
11:00pm S.T）
2022年10月12日
冬将軍
ロシアに侵攻していたフランスのナポレオンも、第二次大戦の際に攻め入ったナチスドイツも、その敗退とそれに続く没落を決定づけたのは、厳しいロシアの冬の寒さ、すなわち冬将軍の到来だった。
補給を欠き、食糧も、厳冬に耐える装備も欠いたナポレオン軍やドイツ兵たちは、その厳しい寒さの前になすすべもなくバタバタと倒れていったという。ロシアの寒さと聞けば、我々が思い浮かべるのは、シベリアだが、ナポレオンもナチスも敗退した冬将軍は、モスクワやレニングラード（現サンクトペテルブルク）であり、映画「ひまわり」でイタリア兵であるマルチェロ・マストロヤンニがさまよい歩いた末にたおれるのもウクライナの平原であるように、この地帯の寒さは名にし負うものである。（参照：「ウクライナのひまわり」2/24/22）
いよいよ冬将軍の到来が本格化しつつあるウクライナへの侵攻を続けるロシア軍だが、食糧や防寒具、弾薬などにも事欠く状況に置かれ、撤退まかりならぬという独裁者プーチンの無茶苦茶な指令に、士気も一向にあがらず逃散も始まっているともいわれる。
しかし、戦場に赴いている兵士たちの数は、銃後にいてプーチン支持で固まっている大部分のロシア国民に比べれば、圧倒的に少ないし、西側諸国の経済制裁も、今のところ、半導体の不足などの軍備面ではともかく、一般庶民生活にはさほど効果をあらわしていないとなれば、何しろ歴史的にも「耐えること」には強いロシア人のことではあるし、プーチンをその座から引きづりおろすところにまではつながらないから、この戦争はまだまだ膠着状態のまま続くと考えるべきなのかもしれない。
ただ、冬将軍はロシアやウクライナだけをやっつけるわけではく、ロシアの天然ガスなどのエネルギーに大きく依存しているドイツをはじめとする西側陣営の国々にも襲来する。対ロシア制裁で足並みを揃えているかに見えた国々の中には、冬将軍に耐えられないと、制裁の緩和や、ロシアへの妥協に踏み切るべきだという世論が湧きあがる可能性があることも事実だ。このことでロシア包囲網が崩れる可能性もあり、今はどうにか持ちこたえているウクライナが、西側にはしごを外されて、泣きを見る可能性だってないではない。
冬将軍の圧倒的な強さを侮ってはならないのだ。
（10/11/22 11:00pm S.T）
2022年10月11日
国内回帰
高齢化率日本一の県といわれるのは秋田県だが、地元には仕事がないという理由で若い世代の流失が80年代後半から一気に進んだからだ。
秋田の伝統行事であるナマハゲも、村の青年団が主力であるはずが、若者がいなくなってしまったので、自分達中年のおじさんがやらざるを得なくなってしまった―――とぼやいていたのは秋田旅行の際に駅前でチャーターしたタクシーの運転手さんだったが、彼もかつて勤めていた大手メーカーの地元工場が、安い労賃を求めて中国へ移転してしまったので、タクシーの運転手になったのだと言っていたが――――。
確かに、あの頃は海外の安い労働力に比べるとベラボウに高い日本の労働コスト、ますます激しくなる海外との価格競争、といったことを考えたら、企業も海外移転という選択肢しかなかったという事情もあったのだろう。その影響を最も受けた県が秋田だったという訳だ。
しかし、ここにきて急激な円安が進んでいるし、ここ数十年、一向に上がらない日本の給与水準と、上がり続ける諸外国での労賃を考えた場合、相対比較では、もはや海外への工場進出が絶対的にお得ということはいえなくなっている。例えば、当時、日本の十分の一にも満たないといわれていた中国のGDPも今や、世界第二位、日本の約3倍に達している。一人当たりに換算すると、まだ日本の1/3だが、今年で1万ドルを超え定義上の「高所得国」入りを果たすと予測されている。
こうなると、中国国内需要を期待しての進出ならともかく、米中対立で高まるリスクや、人権問題などでの国際的非難を考えると、中国への進出は、デメリットとリスクが大きすぎるようにも思われる。
戦後の日本企業の海外進出は、当初、韓国からはじまったが、様々な問題が発生、今や結果的に成功したといえる例は決して多くはない。欧米などで現地化が進んだところでは、成功例も多いが、「安い労働コスト」が進出の第一理由だった国では今やお荷物になっているところも少なくない。
かつてのイラン人や東南アジア、日系ブラジル人のように、出稼ぎにくる外国人にとっても、今や円安の日本は、魅力的な働き先とは言えない。
こうなった以上、海外進出した日本企業も、国内回帰をはかった方がお得ではないか―――等とも考えるのだが―――。
もっとも、産業構造が変わってしまっているから、秋田で地元の若者が再びナマハゲの担い手になる時代が来るとは、あまり想像できないが。
（10/10/22 11:00pm S.T）
2022年10月7日
窮鼠猫を噛む
あと半年早く降伏しておれば―――沖縄戦の悲劇も、東京大空襲も、広島・長崎の原爆投下も、避けられたのに――とあまりにも遅すぎた敗戦の決断を悔やむ声は多い。
しかし、ポツダム宣言の受諾という聖断が下された8月15日の前日までそれをどうしても阻止しようと抵抗する軍部の強硬派の抵抗は続いていて、玉音盤の争奪の為のクーデター騒ぎまであったという。実際、阿南陸相をはじめとする強硬派軍部将官はポツダム宣言受諾と聞いて自決している。
戦争は始めるのは簡単だが、終えるのはその何百倍も難しいといわれるが、ウクライナで侵略を始めたものの、頑強な抵抗にあい、各地で撤退を余儀なくされているロシアも、その難しい局面にあるようだ。
プーチンはここにきて矢継ぎ早に、前線の司令官の首のすげ替えを行っているが、10万人ともいわれる戦力を失い、各地で撤退を余儀なくされている責任を軍幹部や、前線司令官たちに擦り付け、自分への非難を逃れているのだとも分析されてもいるようだ。独裁者ならではの行動として十分理解できる。こうなって来ると「窮鼠猫を噛む」の例えにもある通り、プーチンが戦術核の使用に踏み切る可能性も、まんざらゼロとは思えない恐ろしさがある。
プーチンが軒並み軍幹部の首のすげ替えをしているのも、軍指導部の中の強硬派による突き上げをプーチンが抑えきれなくなってきているからだという分析が西側筋がしているようだが、日本軍に於ける阿南陸相のような強硬派がロシアにもいて、彼等が独裁者プーチンさえも突き上げている―――という構図も、信じられなくもない。
北朝鮮は連日、ミサイルを打上げ、昨日は日本列島上空を横断までしていて5年振りの核実験も近い、とまで言われているが、これだって金正恩という独裁者一人が決断して実行している訳ではなく、軍幹部たちと彼等に盲目的に従わざるを得ない北朝鮮国民たちの熱狂的な支持があってやっていることであろうから、金正恩の一存で止める訳にも行かなくなっている可能性は高い。
いつまでも対抗手段もないままに「厳重に抗議」ばかり叫んでいて大丈夫なのだろうか。
（10/06/22 11:00pm S.T）
2022年10月6日
信教の自由
日本国憲法では様々な「自由」の権利が保障されている。（思想・良心の自由であったり、信教の自由，表現の自由，学問の自由等々）但しどの自由の権利にも「公共の福祉に反しない限り」という条件がついている。
これは17世紀の哲学者ジョン・ステュアート・ミルが「自由論」の中で述べたリバタリアニズムの考え方に基づいている。すなわち、人には、他者に危害が及ぶ可能性がある領域（公的領域）以外の、本人の自由に任されるべき領域（すなわち私的領域）於いては、自由が認められるべきだ―――という考え方だ。
しかし、この17世紀の自由の考え方は、それから300年が経過した現代に於いては、きわめて適用が難しくなってきている。それはすなわち現代社会に於いては、「公共」と「私的」の境目が極めてあいまいになっており、境目がないとさえいえるようになっているからだ。
例えば、今や街中に張り巡らされた監視カメラは、犯罪の防止や徘徊老人の捜査といったことに大いに役立ち、公共の福祉、安全に大いに役立ってはいるが、酔っぱらって道端でしゃがみ込む自由も（監視カメラに見られていると思えば）できないという、精神的不自由さにつながっている―――といった具合だ。（まあ、昔から酔っぱらって道端で立小便などしようものなら、近所の誰かが見ていたりして、悪い評判が立つ―――なんていうことはあっただろうが）
自分の信じる宗教の洗礼を、幼い我が子に有無を言わせず受けさせることだって、かつては信心深い親として褒められたかもしれないが、今やドーキンスをはじめ、子供の信教の自由を束縛している、と非難の的だ。ミッション系スクールで未だに日曜礼拝を義務付けているところもあると聞くが、信者である親は、いいかもしれないが、判断も出来ない幼い生徒たちにそれを強制することは―――統一教会の宗教子弟であったという山上容疑者のおかれた「信教の自由の束縛」環境と、大差ないような気がしないではない。
（10/05/22 11:00pm S.T）
2022年10月5日
ミッキーカチューシャ
コロナの第七波が下火になって来たからなのか、それとも3年に及ぶ自粛だの制限だのに皆が飽き飽きとしてしまったからなのか、家の近くにあるディズニーの駅前にでかけると若い人たちがコロナ前と同じように押しかけて来ている。（さすがに高齢者はあまり見かけないが）
ここにきて3年間程中止になったり、延期になっていた各種の同窓会や同期会といった会からも「三年振りの開催のお知らせ」が来始めている。ただ、そういったある程度人数の多い会が開かれていた宴会場や、大きな中華料理屋がこの三年で店じまいしてしまっているようで、コロナの影響を余り実感することの無かったタカさんも、却ってコロナ下火の今になってこの三年間のコロナのビジネスへの影響を感じるようになった。
そういえば、タクシーの運転手さんに聞くと、長距離の客は一時期は7割も減ったし、時短営業期間が長かったし、リモートワークの普及もあって「帰りに一杯」というの客が今もコロナ前に比べてガタ落ちだとか。
そういえば、コロナ騒ぎが始まった頃に、三密の巣窟であるかのように言われた屋形船は、どうなのだろう。そろそろ忘年会の企画がされる頃だが、まだ「屋形船を貸し切って」などという案内に飛びつく人は、そう多くはないのではないだろうか。カラオケ店も相当叩かれたこともあって我が町のカラオケ店は軒並み青息吐息だという。
先日、某相撲部屋の千秋楽の打上げに行ったのだが、大宴会場で開催されたにもかかわらず、飲物は出る物の、食事は紙容器にちゃんこが配られたのみで、その宴会場の名物の料理は、帰りがけに豪華な折詰でお土産として渡された。考えてみれば誰が触ったか分からない大皿の料理を各自が取る―――というバッフェスタイルの立食パーティーなんていうのは、まだまだ解禁という訳にはいかないのだろう。
一通りの人生経験を積んだ大人にとっては、この三年の様々な変化も過ぎてしまえば、たいしたことはないのかもしれないが、一生に一度しか経験できない様々な体験（例えば、入学式や運動会、修学旅行、卒業式といった）の機会をコロナで失ってしまった子供達にとっては、本当に可哀そうな事だったと思う。
そう思えば、ミッキーやミニーのカチューシャをして楽しそうにディズニーに向かう若いカップルを見る目も、おじさんとしてはあたたかくもなろうというものだ。
（10/04/22 11:00pm S.T）
2022年10月4日
マイナカード
日本に入国した外国人が90日を超えて滞在するときには、入国した日から90日以内に居住している市区町村に届け出て、「外国人登録」を行わなければいけない。
登録すると「外国人登録証明書」（在留カード）が交付されるが、この在留カードは常に持ち歩くことが求められている。登録をおこたると、いわゆる不法滞在となり、国外退去を求められるし、この在留カードがないと、就労や就学なども出来ず何かと不便だ。
諸外国にもこれと同じようなシステムがあり、不法滞在による国外追放を避けようと思えば、どこの国でも在留ビザを取って登録の必要がある。
アメリカの場合、SSN（社会保障ナンバー）という制度があり、居住外国人のみならず宗教的理由で拒否するごく一部の国民（アミッシュ等）をのぞいて全員が登録をしているといってよく、SSNは税務申告や就労、就学、銀行口座の開設などでは不可欠なものだ。
日本でも滞在外国人には義務化されている登録だが、日本生まれ日本育ちの日本人にはなんらかの登録は義務化されている訳ではない。まあ、アメリカにはない戸籍制度があるので、まあ、これがSSNにかわるものだと考えることもできるが。確かに、アメリカでSSNを持っていないと何かと不便なのと同じように、日本では戸籍登録をしていないと、いわゆる無国籍扱いとなってしまい、社会保障や就学等実に不便なことになるということは、時折マスコミなどでも取り上げられる通りだ。
日本では2002年に始まった住基カード制度がアメリカのSSNカードに相当するものとして始まったものだが、このカードがマイナカードといわれるものに切り替えられ、住基カードから数えると既に20年が経過するが、その登録者数は国民の50％に漸く達したという有様で、この先SSNのように国民全員が登録済といった状況にいたることは到底望み薄だ。
諸外国では、コロナワクチンの接種が驚くほど短時日で可能だったのに、日本では中々進まなかったのも、このデジタル時代に、手書きの書類やファクシミリでやっていた所為でもあるが、アメリカではSSNを利用したからたちまちの内にできたという。日本もこのマイナカード制度の普及を進めなければ、世界の後進国になってしまうのだが――。
まあ、そうはいっても「個人情報の漏洩が心配」だの「徴兵制につながる」だの「プライバシーが守られない」あるいは、中には「脱税ができなくなる」などの理由で反対を続ける頑迷な人が、一定程度いるから―――やっぱり無理だとは思うが。
（10/03/22 11:00pm S.T）
2022年10月3日
予備役
オハイオの取引先の、担当者のジョーとランチを食べていた時、彼が「来週からサンディエゴで訓練を受けなければならないから、しばらく連絡できない」と言い出した。なんの訓練かと聞いてみたところ、彼は海軍の予備役（リザーブ）で年何日かは訓練を受けるために会社を離れなければならないのだという。
話には聞いていたがアメリカには予備役という制度が今もあることを知た。ジョーによれば、予備役は、いざ有事ともなって召集を受ければ、現役兵として戦地に赴くこともあるという。旧日本軍でも在郷軍人といわれる予備役があって、有事になれば即応部隊として召集されることもあったというが（今も自衛隊には予備自衛官制度というものがあるらしい）、各国の軍隊には当然この予備役制度があるという。
軍隊の維持には、将官、兵員のみならず兵器、兵舎、軍備品等莫大な費用と維持費がかかるから、平時に於いてはその一部を予備役として、安い費用で確保しておくというのは、確かに合理的ともいえる訳だ。
ウクライナで苦戦に陥っているといわれるロシアのプーチンが予備役30万人の招集を始めたと言われるが、その内実はどうも30万処ではなく100万とも120万ともいわれ、しかも予備役だけではなく軍隊経験もない人間を手あたり次第に召集しているようで、ロシアの国境は、招集を逃れようと国外脱出を図る人々で混乱をきたしているという。
ジョーの話では、予備役はそれなりに地域や職場からレスペクトされ、訓練期間は会社も仕事や地位を保証するし、軍からも給与が支払われるといっていたが、ロシアの場合はどうなのだろうか。いつ戦場に呼び出されるか分からないし、報酬もなし――戦場には武器もなしで行かされて単なる弾除けに使われると知ったら――喜んで軍隊に行く者などいる訳もない。
ドラマ「私は貝になりたい」などで見ると、旧日本軍の場合、召集令状（赤紙）というのは一銭五厘のはがき一枚で来たという。馬でも銃でもそろえるには相当の費用がかかるというのに、兵隊は一人一銭五厘で無尽蔵に集められるというのだから、今のロシアもそんな状況なのだろう。
そんな悲惨なことを強要しているプーチンだが今も80％近い国民が支持し、欧米諸国や日本も口ではロシアを非難しつつも、一日1000億円超のロシア産エネルギーを買い続け、その彼等の支払いがロシアの戦費となっているのだから、彼等も結局は、間接的にロシアの悪事に加担していることになる。なんともはや！
（10/02/22 11:00pm S.T）
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