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2021年3月
＜＜3月タイトル＞
03/31 ヒッパティア 03/30 スエズ運河 03/29 追求しない訳 03/26 うららかな 03/25 困った選択 03/24 高校生諸君
03/23 暴れる若者 03/22 かみしめて欲しい言葉 03/19 ファクターX 03/18 天才とは 03/17 蓮華草 03/16 宗教の消滅
03/15 忘れた頃に 03/12 お誕生日会 03/11 ボールテールの名言 03/10 メンドリ化 03/09 雨の中のゴルフ 03/08
ジェノサイド 03/05 虫愛ずる姫君 03/04 アファーマティブ・アクション 03/03 飴が湧く 03/02 気の毒に 03/01 ウェディングベル
2021年3月31日
ヒッパティア
日は昇り、日は沈む、という現象を毎日見ていた古代の人々が、大地が世界の中心にあって太陽や星々が天板の上をまわっているのだといういわゆる天動説を疑わなかったのもある意味自然だったともいえよう。
実は地球は丸い球体で自転しており、他の惑星と同じく太陽の回りを公転しているのだという地動説がコペルニクスによって唱えられ、ガリレオやケプラー等によって地動説がより補強されても、一般に受け入れられるまでには、そのジョルダノ・ブルーノのようにその説を唱えたために処刑される者もいたのだ。
ちなみに当時、地動説に激しく反発したのは聖書の天地創造を信じるキリスト教だが、その中でも守旧派と思われがちなカソリック教会よりも、プロテスタント派の創始者マルティン・ルターのような当時の宗教改革派といわれる人々の反発の方が激しかった。（その影響もあるのか、プロテスタント信者の多いアメリカでは今でも聖書の神による天地創造と天動説を信じていると答える人の割合が5割近くもいるというから驚きだ）
今やアメリカ人や宗教原理主義者を除いて、地動説を信じない人はまれと言ってよいが、コペルニクス以前にも天動説に疑問を抱く天文学者がいなかった訳ではない。有名なのは4世紀初めに東ローマ時代のアレキサンドリアで活動していた女性天文学者ヒッパティアで、彼女は地動説を唱えたために、狂信的なキリスト教徒によって捕らえられ裸にされてカキの貝殻で生きたまま肉を削ぎ落とされるという残酷極まりない方法で殺されている。
コペルニクスもカトリック司祭でもあったため、教会からの反発を怖れ三十数年に亘って地動説の公表をためらい、その説を出版したのは彼が死の床にある時だったし、ガリレオも宗教裁判にかけられ自説の撤回を余儀なくされて生涯幽閉生活を余儀なくされているように、人々の古い考えを覆す説は常に多くの犠牲を伴ったようだ。（ケプラーもプロテスタントであったためケプラーの法則の発表に当って相当の苦労を伴ったといわれる）
今も我々が常識と考えている説を完全に覆し次代の常識となるような理論を研究しているヒッパティアのような女性科学者がいるかもしれない。
（03/30/21 10:00pm）
2021年3月30日
スエズ運河
名作と言われる映画「アラビアのロレンス」を観たのは高校生の頃だったが、ロレンスがラクダに乗って灼熱の砂漠を行くと、砂漠の中を航行する大型の船が現れる、という場面が印象的だった。
これはロレンスが砂漠をさまよい歩くうちに、スエズ運河に出あった場面なのだが、砂漠の中を掘削して作られたスエズ運河は、掘り進んだ土砂を両岸に護岸のためにうず高く積んでおり、その為に遠くから見ると運河そのものの水面は見えないが、護岸の向こうを行く船が、あたかも砂漠の中を航行しているかのように見えるのだ。
エジプトに赴任した時、是非、高校生の時に観たあのシーンを自分も見てみたいものだと思い、たまたまあった連休スケジュールを利用して出かけたことがある。スエズ運河の地中海側の入り口にあるポートサイドは、輸入品が安いとか免税店が軒を連ねているといったことから、旅行者ばかりではなく現地の人たちにも人気があるようで運転手のモハマッド君もポートサイドに行くといったら奥さんや親類に買物を頼まれたといっていたが、紅海側の出口であるスエズ迄の間にはいくつかの湖があってその湖岸にはイスマエリア等の保養地もるのだが、さすがに当時は日本人でそんなところまで行く物好きは少なかった。
イスマエリアの手前を車で走っていた時、念願だった砂漠の中を行く大型の船を見て大感激したのだが、その砂漠の土手に上ってみると、確かに何メートルか下に運河がある。こんな砂漠の中にこんな巨大な運河を、フランスは明治維新の年の翌年には完成させたというのだから彼我の文明の差はいかんともしがたいほど大きかったことを思わされた。
スエズ運河は開通した当時でも、海運利権を侵されることを嫌った英国によってさまざまな妨害を受けたし、ナセルによる国有化宣言によって第二次中東戦争の原因となったし、イスラエルとの6日間戦争（エジプトの惨敗）の結果8年間もの間、閉鎖を余儀なくされ世界の海運が大打撃をうけたこともあったように、常に世界の政治・経済にとって大きな影響を及ぼしてきている。
日本の船会社が所有する大型コンテナ船がそのスエズ運河で座礁し、運河をとうせんぼしているという。既に座礁から6日が経ち、運河周辺では400隻近い船舶が滞留しているという。昨年のモーリシャスでのタンカー事故といい、今回のスエズでの座礁事故といい、世界にご迷惑をかけているのが日本船籍の船と聞くと、なんとも肩身の狭い思いがするが―――。
もう随分前のことにはなるが、砂漠で見たスエズ運河の情景を思い出して、一刻も早く、コンテナ船が離礁して又あの砂漠を行く船の情景を取り戻してほしいものだと願うばかりだ。
（03/29/21 10:00pm）
2021年3月29日
追求しない訳
週刊誌がぶち上げたスキャンダルを、更にテレビの昼のワイドショー辺りが取り上げて、それを材料に野党が国会で騒ぎ、政府与党の支持率が落ちてきて――というパターンで動く日本の政治は、いい加減低俗だが、それも衆愚政治と紙一重と言われる民主主義にとっては逃れられない宿命的ともいえよう。
ただ山田真貴子報道官が総務省官僚時代に受けた一人7万円のステーキ接待がコロナ対策に集中して欲しい国会審議をガタガタさせたが、政府与党にもがっかりするが、文春ネタの追いかけに終始している野党にもがっかりだ。
その山田報道官が受けたという7万円ステーキ接待だけれども、菅首相の長男が勤めていたという東北新社という会社は、衛星放送の電波枠が欲しくてその権限を持つ総務省の幹部を接待漬けにしていたという事実までは週刊誌、テレビのワイドショー辺りで報じられたものの、それでは他の衛星放送事業やっているテレビ局やその親会社である新聞社は、役人を接待していないのか――といった追跡番組や後追い記事がさっぱりないのはどういう訳だろう。どこの業界でもライバル会社がやっている「お役所とのお付き合い」をやらない会社というのは、普通考えられない。
すなわち東北新社位の小さな（？）会社がやっていたのなら、BS放送やCS放送をやっている他の会社も官庁接待をやっていると考えるのが妥当だろう。
放送事業はラジオもテレビも、電波枠というものを持たなければ放送することができない。その電波枠の許認可権を握っているのは総務省である。
すなわち、総務省がうんといわなければ、放送局は商売が成り立たなくなるのだ。そのいい例が、外資規制枠違反があったと自己申告したと証言した東北新社は、そんな証言聞いていない、といっている総務省の逆鱗に触れてしまった為、5月には衛星放送の電波枠を取り消されることになってしまったではないか。昔から言うように「お上に逆らったら、大変な目にあう」のだ。
実は、NTTも総務省幹部や大臣と「会食をともにしていた」と週刊誌が取り上げていたが、この件で「費用は一人いくらぐらいだったか」「大臣やお役人はいくらか会費をはらったのか」といった点をテレビ局や新聞社が後追い報道をしていないのはなぜだろう。東北新社と違ってNTTは大会社だからやっぱり政府と同じようにあまり追及したくないのかもしれない。
やはり、テレビ局も、新聞社もこの接待問題を余り追及すると、ブーメランで自分達の接待問題や、官とのズブズブの関係に火の粉が飛びそうだからとこれ以上触らないようにしているのだろう。
文春も東北新社という小物ではなく、大物マスコミを血祭りにあげたら少しは評価するのに―――。
（03/11/21 10:00pm）
2021年3月26日
うららかな
さくらの季節が随分はやくなっているような気がする。最近は卒業式の記念写真につきものになっているさくらだが、50年程前は、入学式の記念写真の背景だったことを思うとやはり、地球温暖化が進んでいるのだろうか。
タカさんの家のそばの川沿いの並木のさくらも満開になってきた。今年もお花見に遠出はできないが、散歩がてら、ぷらぷらと花見気分を味わってきた。
さくらの花の咲くころの穏やかな日ざしのことを「うららかな」という万葉言葉で表すが、まさに今日の日ざしがその「うららか」にぴったりだった。
いまでこそ日本の春といえばさくらだが、奈良時代にもっとも愛された花は梅であったという。梅は中国で最も愛され詩などにもよく歌われていたこともあって、中国文化にあこがれていた奈良時代の人々も、これを愛でていたようで、元号の「令和」の由来となったのも万葉集にある梅見の宴であり、さくらの花見の宴ではなかった。（奈良時代に編纂された万葉集には、梅の花を歌った歌は多いが、さくらの花を詠ったものはわずかしかないという）
しかし、これが平安時代になると、突如さくらを愛でる歌が多くなり、たとえば「古今和歌集」では、梅の歌18首に対してさくらは90首と、逆転しているから、この辺りで日本人が、大陸渡来ではないオリジナルの詩情を持つようになったのかもしれない。
近年、中国各地では日本の影響で、さくらの木が植えられ桜の名所と言われるところが多数出現、日本のようなお花見が行われているという。コロナでお花見も自粛傾向の日本よりも、ひょっとして今年は（人口も日本の10倍多い）中国のお花見の人出の方が多いかもしれない。
ワシントンのポトマックの花見も有名だし、カリフォルニアやシアトルなどにも日本人が植えたさくらの花の名所がたくさんある。日本人のオリジナル文化ともいえる花見が世界で受け入れられているという話は、それこそ「うららかな」気分にさせてくれる。
（03/25/21
10:00pm）
2021年3月25日
困った選択
クリミア武力併合に、欧米各国が対ロシア経済制裁などで激しく対抗しウクライナの側に立った時、日本は欧米に対するほんの「お付き合い」という意味合いで対ロシアの「ビザ取得簡素化交渉の停止」という措置をとっただけだった。
そんな日本からのロシアに対する気遣いにもかかわらず、ロシアは北方領土の返還に関して散々思わせぶりな態度を見せながら、結局は永久領土化に踏み切ってしまったのだから、まさに日本は無駄な気遣いをした結果、ロシアばかりではなく欧米各国からも呆れられてしまった。
たった150年前までは250年間も鎖国を続け幸せに暮らしていた日本だが、それ以降は先の戦争までは国際政治に出しゃばり、結局は大敗戦という憂き目にあっているから、やっぱりなるべく国際的なもめごとにかかわらないでいたいという気分が強いようで、もめごとでは態度を鮮明にしたくない、というのが本音なのだろうが―――、今や、世界第三位のGDPを誇り、先進七か国の一員でもあるという立場からすると、どっちつかずの姿勢をとっているとますますバカにされかねないというのが実情だろう。
新冷戦ともいわれる民主主義勢力の欧米と、強権政治の中国とのせめぎあいが始まりつつあり、米国と欧州の民主主義勢、対、強権の中国の構図がはっきりしてきている。
その対立構図に、ウクライナ問題や、反体制派のナワリヌイ氏の毒殺疑惑などで欧米からの批判の矢面に立たされているロシアのプーチン（第二の悪の枢軸？）が習近平（第二のヒットラー）と連携して欧米に対抗する姿勢を示しているというのだから、世界二極化構図はますます鮮明になりつつある。
尖閣問題では、米国の後ろ盾確約発言に、ほっと胸をなでおろしていながら、最大の貿易相手国としてお得意様である中国にも気を使いたいという日本は、台湾問題や新疆ウィグルの人権問題でも未だ態度をはっきりさせないでいる。
湾岸戦争の時、金だけだして世界からバカにされた日本だが、新冷戦でも同じ道を歩むのだろうか。
（03/24/21 10:00pm）
2021年3月24日
高校生諸君
内閣官房でコロナ対策を担う「コロナ室」における一般職員の今年1月の平均残業時間は122時間、もっとも長く残業した職員はなんと378時間だったという。一般の企業なら厳格に適用される労働基準法は、国家公務員には適用されないとはいうものの、労基法が定める残業時間のいわゆる「過労死ライン」が月80時間であることからすれば、コロナ室の職員は全員過労死ラインをはるかに超えていることになるし、378時間の残業となれば、これに正規の労働時間月160時間を加えると土日休日なしで一か月間、一日18時間働いていたということになる。果たしてこんな過酷な労働を強いられている人が今日本の官僚以外に世界のどこにいるというのだろう。
又、先日武田総務相は「担当課長が体調を崩し、休暇をいただいた」と述べ、野党議員による質問準備への対応が官僚に長時間勤務を強いる一因となっており、「若手職員の離職や志望者の減少を懸念している」と語っていたが、中央省庁の職員の過重労働は相当ひどいようだ。
世界でも極めて優秀だといわれた日本の政府官僚だが、ここのところ高額接待問題などで相当世間の風当たりが強くなっている上に、高額接待をされるほどの地位に出世するまでに過重労働で体を壊し、過労死してしまう―――というのでは、国家公務員を志望する若者が激減しているというのもうなずける。
今国会で政府提出法案などに誤記などのミスが相次ぎ、野党が「国会軽視だ」などと批判を強め、担当大臣が謝罪においこまれたりもしているが、これも「大部にわたる法案を若い職員だけで読み合わせするには何十時間もかかっている」という法案作成を丸投げされた部局に過酷な負担が強いられているためという事情を考えれば、与野党がこぞって鬼の首でもとったかのように、「国会軽視だ！」「役人はケシカラン」と居丈高に怒鳴るのもお役人たちには、ちょっと気の毒なようにも思う。公僕ともいわれる公務員だが、これでは公僕どころかまさに奴隷ではないか。
高校生アンケートでは、公務員は、将来就きたい職業の男子5位、女子1位だったというが―――高校生諸君、考え直した方がいいかも知れない。
（03/23/21 10:00pm）
2021年3月23日
暴れる若者
フロリダのマイアミビーチで、春休み中の学生らが数多く路上に集まりお祭り騒ぎを繰り返しているというので、新型コロナウイルスの感染拡大リスクを恐れる、市当局は緊急事態宣言を出した。市長は、学生たちに何千人もの観光客が合流しマイアミビーチに「混乱と無秩序」をもたらしていると宣言、治安部隊も出動しているものの、騒ぎは連日続いているという。
フランスやベルギー、オランダなどでも外出禁止に抗議する若者を中心とする人々が、抗議デモを繰り返し一部が暴徒化、店舗の窓ガラスを割り、略奪行為を働き、路上に駐車していた車に放火するなどして当局と対立しているという。
一年以上続くコロナによる束縛が、世界の若者達の我慢の限界を過ぎてしまったとも言え、とかく無鉄砲なことをしがちな若者特有、生物学的な反応がこういう騒ぎを起こしているのかも知れないのだが―――。
しかし、同じ状況に置かれている日本の若者たちがコロナの外出制限にしびれを切らせて、街に出て乱痴気騒ぎをしている―――といったニュースがないのはどういう訳だろう。
かつては荒れる成人式だとか、初日の出暴走、あるいは渋谷のハロウィンでのバカ騒ぎ――等というのがあったのに、コロナ騒動が始まって以来、そんな騒ぎも、とんと聞かなくなったのは、なぜなのだろう。ちょっと前までは、新聞をにぎわせていた暴走族もそのギャラリーの若者たちも、コロナ以降さっぱり話題にも上らなくなっているが、日本の若者は、国の自粛要請を守り、三密を避けているのだろうか。
中国では昨年、厳しい都市封鎖がなされた時に、若者達が街にでて大騒ぎしていた―――等というニュースを聞かなかったことを思い出すと、日本の若者は欧米よりも中国の若者に似ているのかも知れない。
若者がバカ騒ぎしないということは、コロナの拡大防止にとっては良い事といえるのかもしれないが―――果たして、暴れないし、暴れることも出来ない若者達ばかりの社会というのも、その未来像がいささか心配でもある。
（03/22/21 10:00pm）
2021年3月22日
かみしめて欲しい言葉
首都圏での緊急事態宣言が21日に解除されるが、逆に宮城県では来月11日迄の独自の緊急事態宣言を発令した。
そんな最中、宮城県沖を震源とするマグニチュード6.9の地震が発生、宮城県の全域で震度5強が観測され、津波警報まで発令されたというからコロナと地震の挟み撃ちにあって、何ともお気の毒としか言いようがない。
コロナの緊急事態宣言は、突然コロナ患者数が激増し医療体制が逼迫してきたことが理由だが、なぜ宮城県で突然感染者がふえたのかは、まだ解明されていないものの、3.11の東北大震災から10年の慰といわれている。
10年という節目に、あらためて亡くなった方々の慰霊を行いたいという人々の思いは強く、コロナ対策にいかに気を配ったとしても、三密状態がいくらかあったためにコロナ感染者が出てしまったというのだとしたら―――宮城県の方々があまりにも気の毒だ。
コロナ感染者の急増という不幸に追い打ちをかけるようにしての、震度5強の地震というのだから気の毒に輪をかけたような話だ。（もう少し震源が浅かったとしたら大きかったが、たまたま震源が深かったから大きくならなかったという津波被害がせめてもの救いだというのだから―――）
宮城県の人々は、東北大震災の記憶がまだ鮮明に残っている方も多く、今回の揺れが来たときに、揺れに対する防備体制や、避難準備などもかなり適格だったとニュースなどで報じられているが、コロナの方は、昨年来余り感染者も多くは出ていなかったことが、逆にいくらか感染防止に対する意識が、首都圏よりは緩くなっていた可能性があったらしい。
そういえば、ストレプトマイシンが開発された昭和30年代頃まで日本では、年間50万人以上の人が結核でなくなっていて、タカさんの両親も兄弟を結核で亡くしており、親類縁者が結核で亡くなったという人は昔多かったものだが、今や結核は忘れられた病気になっている。
その間わずか50年ちょっとの話だと考えると、人は災害にせよ疫病にせよ、その怖さを覚えている期間というのは、そんなに長くはない生き物なのかもしれないなぁ～とつくづく思う。寺田虎彦の言葉といわれる「天災は忘れた頃にやってくる」とはまさに至言なのかもしれない。
少し医療逼迫状況が改善したからといって東京オリンピック開催に向けてひた走る五輪関係者には今一度かみしめて欲しい言葉だ。
（03/２1/21 10:00pm）
2021年3月19日
ファクターX
21日で緊急事態宣言が解除されることになったが、もこれ以上続けても、もう皆の緊張感が持続せず宣言のめざましい効果が見えるとも思えないから―――、という理由であり、いってみれば人対コロナの攻防戦において人間の側が、白旗をあげたようなものと言えなくもない。
欧州では、変異ウィルス感染者の急激な増加にともなって、外出禁止措置などが強化されたり、延長されたりしているのに、日本では諦めたかのような措置がとられるというのだからいささか不安を感じないではないが―――。
只、患者の重症化率や死亡率が欧米各国などに比べると日本は一桁も二桁も低いというのは事実で、コロナ騒ぎが始まった昨年初め以来、この比率にあまり変わりないことのだから、確かに、欧米に横並びの措置をとる必然性が薄いということも事実だろう。
日本人のコロナ重症化率や死亡率の低さについては、昨年来ノーベル賞受賞者である山中伸弥教授が「日本には何かわからないがファクターXがあるのではないか」と発言し、さてファクターXは何なのかという議論がさまざまになされてきた。「日本人のほとんどが、BCGを打っているからではないか」とか「ネアンデルタール由来の遺伝子をもっていないからではないか」等々とも言われたがまだ今のところ、そのファクターXなるものは特定されている訳ではない。（日本人がよく摂る、味噌がいいのではないか――等という説まで出てきては、段々似非科学っぽく聞こえてくるが）
第三波の大波が来て以来、このファクターXの話は余り出なくなってきているような気もするが、最近山中教授は、なんといっておられるのだろうか？
そういえば、この冬は日本でのインフルエンザ患者数は昨年比1/500の14000人（昨年は729万人）だったというが、この理由はコロナ騒ぎで皆がマスクをするようになり、頻繁に手指の消毒をするようになったことが影響しているのではないかともいわれる。そういえば、以前から、花粉症の為に春先はマスクが離せないという人は、インフルエンザにはかかり難いともいわれていたからファクターX候補は、欧米に比べて高いマスク着用率―――なんていうこともかんがえられかも。もっとも日本だけではなく、欧米ではインフルエンザ患者が大幅に減っているとしたら話は違ってくるが―――。
それにしても、気になるファクターXである。
（03/18/21 10:00pm）
2021年3月18日
天才とは
天才とはどんな人のことをいうのだろうか。
並外れた知能の持主のことを天才というのかと言えば、必ずしもそうは言えないようで、近年のノーベル賞受賞者の中には知能指数（IQ）が140以上という人は皆無、せいぜい「IQが平均より少し高い」と言える程度の人ばかりだという。
「天才と狂人は紙一重」などともいわれるように、やっぱりある程度、常識外れのところのある人の中にこそ天才はいるとはいうものの、世の中には、常識外れの人物は多い物の、彼等のほとんどが単に「常識外れなだけ」で終わってしまっていることを思うと、いやはややっぱり天才とはそんなに多いものではないようだ。
また一説には、天才とは、それまでの世の中の常識をガラリと変えてしまい、それ以降はその理論が常識となってしまったような例えば万有引力の法則や、一般相対性理論を唱えたニュートンやアインシュタインを「天才」だという人もいるが、ニュートンやアインシュタインは、はじめてその理論を唱えはしたが、もし彼等が唱えなかったとしても、理論が、科学的な真理である以上は、いずれ誰かが発見したであろうから天才というよりは第一発見者というべきだ――などという説もある。
その点、絵画や音楽の天才といわれる、例えばダヴィンチやモーツアルトは、その作品、「モナリザ」や交響曲「ジュピター」等は、彼等、以外の誰も作ることができないし今後ともに誰も作る事ができない（贋作やコピーならともかく）のだからそういう意味では、彼等こそ「天才」とだという説もある。
もっとも、誰が天才であり、誰は天才とはいえないかと判定するのは神ならぬ身の、いわゆる凡人である我々であるのだから結局誰が天才であるかは論じるだけ無駄という気もしないではないが。
（03/17/21 10:00pm）
2021年3月17日
蓮華草
菅首相が就任半年になったという。本来なら身内の閣僚数人とささやかにでも祝の会食でもやりたいところだろうが、緊急事態宣言中でもあり、文春をはじめマスコミが網をはっているだろうからそうもいくまい。
自分から手を挙げてなった首相の座とはいうものの、就任時の記録的な高支持率も、わずか数か月で、あっという間に下落、その急降下振りがこれまた記録的だというから驚きだ。
まあ、それもこれもコロナだの長男だのに足を引っ張られたというところも大きいのかもしれないから菅さんという人、ツキにはいまのところ余り恵まれていないようにも見える。「ツキも実力の内」などともいうからちょっと気になるところだが―――。
菅さんという人、安倍政権では内閣の屋台骨ともいわれる名官房長官であったことが、首相というナンバーワンの座について、全て裏目に出ているところもちょっと気になる。名参謀必ずしも名将にあらずの例えが当てはまっているのだろうか。野党側からの質問に対して感情むき出しのヤジで委員長から注意を受けたこともあった安倍首相に比べれば、かなり挑発的な野党の質問にも感情的にならず、木で鼻を括ったような答弁を返す菅総理には、マスコミなどからは「熱意が感じられない」などという批判が繰り返され、答弁が「おざなりだ」と言われるのだから、同じことを言っても、首相と官房長官という立場では反応が全く違っていて、菅さんも相当戸惑いがあるようだ。
官房長官時代には、官僚の持ってきた書類を「話にならない！」と言って投げつけることもあったということで、それほどの威圧感で官僚を掌握していたかに見えたのに、面従腹背の官僚たちは、実は官房長官の見えないところで高額接待を受けていてその膿が、彼が首相になって吹きだしてしまったのだろう。
野に美しく咲くれんげの花を摘んできて家の中に飾っても美しく見えないことをうたった句に「やはり野に置け蓮華草」というのがあるが、菅さんという人もれんげの花と同じで、やっぱり官房長官が相応しい人なのだろうか。
もっとも、逆に「地位が人をつくる」ということばもあり、トップが急逝した場合などに今まで頭角を現していなかった人が突然トップに指名されると、意外と前トップより素晴らしい手腕をみせたりすることもある。
野党の中にはもちろん、与党の中にもさし当って菅首相に代わり得る人材がまったく見当たらないだけに、菅さんには「地位が人をつくった人」になってもらうしかないのだが――――。
（03/16/21 10:00pm）
2021年3月16日
宗教の消滅
コロナ禍による外出自粛要請などもあって今年の初詣参拝者は昨年に比べ、各神社軒並み7割から8割減ということだったという。神社にとっての一番の稼ぎ時がこんなことでは、神社の経営（？）も、接客をともなう飲食業並みに大変だろう。
信仰心があるからというわけではないが、正月といえばなんとなく習慣的に初詣にでかけていた多くの参拝客は、一度初詣なしで済ませてしまえば、もう初詣にでかける必要もないか―――と考えるようになり、来年コロナが収束していたとしても、もう初詣に行かなくなる人もでてくるだろうから、初詣客はもう以前のようには回復しない可能性が高いのではないだろか。
コロナ以前は、観光目的で神社仏閣を訪れる人も多く、神社もお寺も、実入りは多かったであろうが、その一方では本来の信者数（氏子や檀家）は、どこも激減傾向にあり、そちらからの収入減に苦しんでいたというから、コロナ後の神社仏閣の経営は中々大変そうだ。
日本のみならず、世界各国では宗教離れが進んでおり、ヨーロッパでもオランダやドイツなどでは、地域の教会が次々と売りに出されていて、ホテルやレストランあるいはスポーツ施設などに改装されている例も多いという。（ロンドンでは、教会が売り出され、モスクに改装されたというところもあった）
昨年、韓国のキリスト教系の新興宗教教会が、大勢の信者を集めて礼拝を強行しコロナが大発生したことで、世間の指弾を受け教祖様が公開土下座するという例もあったように、何しろ人を集めてナンボというところがある世界中の宗教は、このコロナで「三密回避」を余儀なくされたことによって、何処も実入りが減って大変だろう。
一説では、2050年までには世界の宗教信者数は限界レベルまで低下するという予測が言われていたが、コロナでこれが5年から10年早まるかも知れない。
そういえば、カーツワイルによるとAI知能が人間の知能を上回るシンギュラリティ―が2045年には実現するとのことだが、シンギュラリティ―の社会の到来と宗教の消滅は、同時並行で起こるということなのだろうか。
（03/15/21 10:00pm）
2021年3月15日
忘れた頃に
アメリカの二大政党、民主党と共和党の一番の違いは何かと言えば、大きな政府指向が民主党、小さな政府指向が共和党だといわれてきた。
その点では、トランプさんは、欧州でも日本や韓国においても米駐留軍の経費負担を極力同盟国に持たせようとするとか、貧しい移民の流入による彼等への経済援助費を減らそうとするなど、教科書的には共和党本流の考え方に対して忠実であったといえる。
それに対して民主党のバイデン新政権もまた、コロナによる経済低迷で困窮する国民への一律給付金などを含む総額１兆9000億ドル（約200兆円）規模の経済対策案議会に提出、上下両院において可決させたのだから、この大判振る舞いはまさに大きな政府指向の民主党らしい政策の実行ということになる。
アメリカの20年度（20年9月―21年10月）の財政赤字額は、330兆円になると予想されておりこれに更に9月までにコロナ対策のための200兆円の大盤振る舞いが加わるというのだから、GDPの2倍を超す1200兆円にのぼる債務残高の日本の数字がなんだかたいしたことはないような気分にさえなってくる。
本当にこんなに大盤振る舞いしても大丈夫なのか？と他国のことながら思わないではないが、今世界の基軸通貨はドルであるから、いざとなればアメリカはドルを切り下げればよい訳で、その時、一番損をするのは日本や中国などを筆頭にした世界中のアメリカドルを使っている国々だ。
1971年に、ニクソンショック（ドルショック）というのがあってそれまで1ドル360円の固定相場制だった為替が一気に200円位に切り下がったことがあったが今やそんなことを世界が忘れてしまっているが―――天災と同じでドルの切り下げも、「忘れた頃にやって来る」可能性をちらりとでも考えておいた方がいいのかもしれない。
（03/14/21 10:00pm）
2021年3月12日
お誕生日会
小学生の頃、クラスによっては月初めにその月生まれの生徒達の「お誕生日会」というのがあった。当月生まれの生徒の名前を読み上げ、クラスで「ハッピイバースデー」を歌うという程度の簡単なものだったが（昔のことだからプレゼント等もなかったように思う）、それはそれでちょっとうれしいものだった。
8月生まれの妻は、誕生日が、夏休中になるので学校での誕生日会がなくて寂しかったという。今も小学校ではお誕生日会をやっているのか如何か知らないが、もしやっているとしたら妻と同じ8月生まれの孫娘は、同じ思いをしているのだろうか。
タカさんの子供時代に比べたら祝事でもなんでも派手になっている昨今だけに、お誕生日会等というのもあったとしたらプレゼントがどんどん派手になっているなどして批判の声が上がり案外「お誕生日会禁止令」なんていうのが出ている可能性はありそうだ。（バレンタインデーのプレゼントを学校に持ってくるのは禁止、という学校は多いという）
妻や孫娘のように８月生まれが、日本の全人口の1/12いるように、正月元旦やや大晦日が誕生日だという人も1/365はいるはずだ。
3月11日は、テレビも新聞も朝から、10年目を迎えた東北大震災関連の番組や記事であふれている。大震災で亡くなられた方、近しい人を亡くした人も多くその人たちにとっては、鎮魂の日ではあるのだが、3.11が誕生日という人も、日本には1億3000万の1/365、すなわち36万人程度はおられる訳はずだ―――。
今日、駅にいったら、晴れ着姿の女性を何人かみかけたけれど、卒業式かなにかがあるのだろう。晴れ着を着ているからには、今日が本人にとっても、親御さんにとっても一生に一度の喜びの日でもある訳で、人の世の織りなす喜びや悲しみのタペストリーには、何か感じる物があった。
しかしこの3.11という日も、100年後、あるいは200年後には思い出す人もいない一日になってしまっている可能性は高い。「すべてこの世は事もなし」ということなのだろうか。
（03/11/21
10:00pm）
2021年3月11日
ボールテールの名言
18世紀のフランスで、キリスト教的世界観や封建思想を批判し、人間性の解放を目ざした思想家で、後のフランス市民革命の萌芽として貢献した哲学者のボールテールの名言として知られる言葉に、「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」というのがある。
この言葉は、現代においても、さまざまな圧力や暴力により封じ込められようとする自由な言論に対して、それを守ろうとする一人一人が心しておくべき言葉だ。
現代の共産中国において、ロシアにおいて、はたまたアメリカやヨーロッパにおいてさえ、反対する意見に対して言論をもってそれに反論するだけではなく、様々な物理的、精神的な暴力によってこれを封じ込めようとする試みが、横行している。
ボールテールの時代から既に、300年近くが経とうとしているというのに彼が主張した言論の自由は、ますます苦境にあるといってよいのかもしれない。
先の大戦時の日本でも治安維持法などによって多くの思想家が弾圧され、中には虐殺されたものも多いし今も様々な硬軟取り混ぜた力によって恣意的に言論を封じ込めようとする動きがある。
暴力とは言わないまでも、反論できない立場にある人をつるし上げてその言論を封じようとする動きも、ある種の言論に対する暴力である。
先日、選択的夫婦別姓法案には反対の意見書を地方議会に対して出した高市早苗内閣府特命担当大臣は、国会で野党の追及を受けた。内閣が進める男女共同参画の方針と、高市氏個人の夫婦別姓反対とは矛盾するのだから、大臣を辞せよということらしい。
男女共同参画推進と夫婦別姓推進は、必ずしも必要十分条件ではないと思うが、今や夫婦別姓に対する慎重論は、すなわち男女共同参画反対と同義語であるかのような意見が横行し、夫婦別姓慎重論を、国会でもつるし上げようという動きが進んでいるが、これはそれこそボールテールの言った言論の自由にも反するのではないかと思う。
反対意見に対する許容といういささか不愉快な事態をも我慢する位の余裕をもつことこそ、ホールテールの言った言論の自由の根本ではないかと思うのだが。
（03/10/21 10:00pm）
2021年3月10日
メンドリ化
故野村監督のように、才能のある人物を見抜く力のある人のことを「名伯楽」等というが、これは古代中国で名馬を見つけ出すことで有名だった伯楽将軍にちなんでいるように、本来は馬の目利きの事を指すことばだ。
現代の名伯楽ともいわれる調教師の多くは、牧場で放牧されているゼッケンも鞍もつけていない裸馬を遠くからみても、その一頭一頭の馬の名をいいあてることができるという。
テレビでみるアイドルグループの女の子たちが皆同じに見えて、一人として見分けが付かなくなっているタカさんにとっては、裸馬でさえちゃんと見分けることができるという名伯楽たちの話は驚きだ。（乃木坂などのアイドルグループのプロデゥーサーである秋元康さんは、所属アイドルタレントの見分けがちゃんとついているのだろうか？）
我々日本人男性にとってはインドの女性は、美しいサリーに身を包んだ、鼻筋が通った色の浅黒い美人ばかりに見えるが、かつて日本人女性を妻に持つインド人の同僚に、「奥さんのどういうところに惚れたの？」と聞いたことがあったが、彼の答えは「インドの女性は養鶏場のメンドリと同じで皆同じ顔だけれど、日本女性は皆、顔が違っていて魅力的だ！」と言っていたのを思い出す。彼はいまでも、乃木坂46やパフュームのメンバーの見分けがつくのだろうか？
それにしても、アイドルグループの女の子たちは、皆が皆同じような髪形、同じような化粧、同じような衣装を着ていて――声まで同じ――となれば、（負け惜しみではないが）若い男の子たちにも見分けがつかないのではないか―――という思いを拭い去ることはできない。
ちなみに妻に、テレビに出ているイケメン俳優たちの区別はちゃんとついているのかと聞いてみたところ、最近は誰が誰やらごっちゃになってしまうこともあるといっていたから、若いタレントたちのメンドリ化は、男女に限らず起きている現象なのではないだろうか。
（03/09/21 10:00pm）
2021年3月9日
雨の中のゴルフ
ロス時代に、リタイア後の夢は、平日は毎日ゴルフをして土日は家で庭仕事などしてのんびりと過ごすのだというアメリカ人の同僚がいた。実際彼は、アーリーリタイアメントを遂げたので、そんな夢のような生活を送っている――と思ったのだが。引退後一年位してオフィスに遊びに来たので、「どうだい、ゴルフ三昧の生活は？」と聞いたところ、最近は週一回位しかゴルフをやっていないという。引退してすぐは予定通り平日は毎日クラブに行ってゴルフを楽しんでいたが、しばらくそんな生活を続けている内に、プロゴルファーでもないのに、週5日も6日もゴルフをやっているのに飽きてしまったというのだ。
彼の逆の事もよくあるような気がする。プロゴルファーで趣味がゴルフという有名選手はきいたことがないし、オフシーズンには地元の草野球チームで趣味として野球をやっているというプロ野球選手とか、趣味は魚釣りだという漁師――というのは聞いたことがない。
何事でもプロとアマには大きな違いがあり、その違いについては、まさに議論百出で却ってその違いは曖昧模糊としてしまっている観があるが、ぶっちゃけた話、「それによって金を稼ぐのが目的なのがプロ」ということは言えるのではないかと思う。もちろん、金が稼げないプロはどんな分野でもたくさんいるから、必ずしも稼ぎがあるかないかは基準にならないかもしれないが、アマチュアは「自分の満足のため」にやっていて、時には収入を得る事があっても、必ずしもそれが目的ではない――というのが、タカさん流のプロとアマの違いだ。
かなりの悪天候でもプロはトーナメントが中止にならない限りはゴルフ場に出かけていくが、趣味のゴルフなら朝の内に激しい雨が降っていればクラブにでかけないだろう。（友人とゴルフの約束でもしていれば別だが）
東京五輪を中止あるいは延期すべきだという世論が今も80％近くあるというが、関係者のまだ誰からも延期ないし中止の意見は出ていない。
かつてはアマチュアスポーツの祭典などと言われ曲がりなりにもそのフリを続けていた五輪だが、かれこれ40年程前からもはやそんなことは言われなくなり、今やプロの為の興行といったものになっている。
選手、役員はもとより今や関係者全員が報酬を得て参加するプロであり、大会になっているのは事実であり、それ故にもういまさらバッハ会長も菅総理も、「コロナの再流行を防ぎ、人命をまもるためには中止もしくは延期しよう」という決断ができないし、しない状態になっている。朝から嵐の様相だから今日のゴルフは止めておこう、と思うプロゴルファーがいないのと同じことなのだ。
（03/08/21 10:00pm）
2021年3月8日
ジェノサイド
60年程前の鹿児島の小学校では、「標準語を使いましょう！」という標語が掲げられて、「標準語奨励教育」が県単位でおこなわれていた。「標準語奨励」といえば聞こえは良いが、それは子供達にとっては「鹿児島弁を使うのは正しくない！」という意味でとらえられがちで、ラジオやテレビで流れて来る標準語が、「正しくてかっこよい言葉」であり、鹿児島弁は「間違っていてかっこ悪い言葉」であるとも受け取られていた。
しかし、幼い時から、祖父母や両親をはじめ回りが使っている鹿児島弁を聞いて育った子供達にとっては、いきなり慣れない標準語をしゃべれといわれても、中々難しいところがあって、特に小さい時から身についてしまった鹿児島弁イントネーション（薩摩訛り）は、そう簡単には抜けるものではなかった。
幼い頃になじんだ方言のイントネーションの名残が故郷を離れてから半世紀以上たつという人でも（本人は気付かなくても）残っている人は多く、それでその人の出身地が、分かる人には分かるということはよくある。
タカさんの子供の頃と違って今や方言の良さといったものが見直されていて、方言の醸し出すその地方の文化や伝統といったものが見直されるようになっているのは、喜ばしいことだ。
狭いと言われる日本だが、方言の数は現在残っているものだけでも140位あるといわれている。確かに標準語がなければ津軽弁と鹿児島弁では会話が成り立たないだろうし、まして国会での討論なども国際会議並みの通訳が必要になるだろうから、標準語は必要かもしれないが―――標準語オンリーが強制されたのでは、間違いなく郷土文化や郷土色は失われてしまうだろう。
広大な中国には多くの少数民族がいて、それぞれ独自の言語や文化をもっている。共産党が支配する中国では、中央の指令を徹底させ、異論をさしはさめないようにするために、少数民族への中国語（漢語）使用の強制政策を行っている。しかし、これは国際人権規約に明記された「少数民族が独自の言語を使う権利」や「少数民族の文化や宗教、言語を否定されない権利」を明らかに違反するものだ。一例をあげれば、新疆ウイグル地区のモンゴル族に対しては、モンゴル語の教科書や授業を禁じ、標準中国語（漢語）による教育を強化、「国語」「道徳」「歴史」の教科書がモンゴル語から漢語に切り替えられているという。
住民らが「民族文化の危機」を訴え、の抗議活動が起こしているが、中国公安は抗議に関わった保護者ら拘束している。米国やカナダ、欧州各国では中国のこういった人権状況に対しジェノサイド認定を行って非難を続けているが、日本の外務省は自民党外交部会で「日本として「ジェノサイド」とは認めていない」との認識を示している。一体どこまで中国共産党に媚びるのだろうか。
（03/07/21 10:00pm）
2021年3月5日
虫愛ずる姫君
我々人類の遠い祖先である類人猿は、太古の時代には樹上生活をしていた。森の中の30メートル以上高いところまでは、ネコ科の猛獣たちも登ってこられない比較的安全なところであったのだが、唯一の危険な天敵といえばヘビであったという。その後、地球の乾燥化に伴って森林が減少したために、人類は、樹上から降りて草原で暮らすようになったが、太古に身についたヘビを怖がるという本能は引き継がれ現代人にも残っているという。その証拠に、生まれてからまだ一度もヘビを見たことのない赤ん坊でも、ヘビを見ると怖がるという。
ということは、現代では、ハチュウ類をペットとして飼っている女性もいないではないが、彼女等のこういった好みは、後天的に備わったものであって生まれてすぐは、ヘビを怖がっていたはずという。
ファーブルや養老孟司先生あるいは俳優の香川照之の様に昆虫学者、あるいは昆虫好きと言われる人のほとんどが男性、男の子であって、昆虫好きという女の子は少ないが、どういう理由からだろうか。本能的な違いが男性と女性で違うとも思えないのだが―――。
タカさんは、ヘビは本能的に嫌いだが、ゴキブリやムカデでも女性のように異様に怖がることはないし、妻が大騒ぎするクモだって平気だ。（鹿児島では子供の頃、黄金蜘蛛を捕まえて、よく蜘蛛合戦をして遊んだものだ）
もっとも、最近は徐々にではあるが、虫好きの女の子（昆虫女子ともいうらしい）が増えてきているという。彼女たちの中には養老先生たちのように飼育するとか、観察するというのでは飽き足らず、もっぱら「食べてみる」方に興味を持つ人も多いとか。世界的な人口増加に伴う食糧不足が懸念される昨今、豊富な蛋白源としての昆虫食が注目されはじめているというから、昆虫女子は人類の先頭を走り始めているのだろうか。
そういえば平安時代に書かれた「堤中納言物語」のなかに「虫愛ずる姫君」という話がのっていて、宮廷の姫君なのに、虫を捕まえてこさせてはそれを飼育して喜んでいる様が描かれており、しかも彼女が当時の女性としてはあり得ない程、身なりを気にせず、髪を耳の上に掻き上げ、眉毛もゲジゲジ眉にしていて、男には一向に興味を示さない――というのだが―――
。現代の昆虫女子の千年先を行った姫君だったのだろうか。
（03/04/21 10:00pm）
2021年3月4日
アファーマティブ・アクション
80年代のアメリカで、中々無くならない人種やジェンダーによる差別を是正する目的で積極的に取り入れられたのがアファーマティブ・アクション（積極的差別是正措置）である。
例えば裕福な白人ばかりが入学してくる大学医学部で、黒人やヒスパニック、アジア系といった非白人の入学枠を設け、医学部全体での人種の偏りを減らして行こうという処置なのだが、当初はある程度機能したこの制度も、次第に成績が低いにも関わらず非白人であるからという理由で合格する学生が出る一方、成績は、はるかによい白人が、不合格になってしまう―――等という事象が続出、これでは差別是正のためにはじめたアファーマティブ・アクションが、白人だからという理由だけで排除されてしまうという逆差別を生んでいるのではないかという議論が湧きおこり、実際、何件もの訴訟が起こされ裁判では大学側の敗訴が続出した結果、今ではアメリカでは人種やジェンダーを理由とした大学入試や就職の際のアファーマティブ・アクション枠を設けることを禁止している州も多いという。
東京五輪組織委員会では、ジェンダー平等を組織委員会内でも実現するために、理事定数の上限を今までの「35人以内」から急遽「45人以内」に変更、新理事として女性ばかり12人を推薦することにしたという。
これにより、新理事会の男女比率は、一気に42％となりスポーツ庁が競技団体にもとめた男女比率40％を一気に達成することになるというが、オリンピックまで後4か月（開催されるかどうかわからないが）と迫ったこの時期に、突如のアファーマティブ・アクションの適用というのもいかにも日本的といえるような気がする。
この五輪組織委員会の突然のアファーマティブ・アクション適用、これで男女平等に一歩も二歩も近づければよいのだが―――このアイデアの発案者が、武藤副理事長などの男性ばかりの副理事辺りから出ているらしいというところが、ちょっと気になるところだ。
（03/03/21 10:00pm）
2021年3月3日
飴が湧く
食糧品や飲料などの量り売りを奨励し、プラスチック使用の減量を計るとか、レジ袋の有料化を推進するなどによって、海外からの悪評の高い日本の「過剰包装」は、いくらかへっているとのはなしもあるようだが、一方では、コロナ禍の所為で、やたらと過剰包装が進んでいるような部分もあるように思う。
今、スーパーなどでは、野菜や果物類は、多くの品物が一つ一つビニール袋に入れられて売られている。ちょっと前までは山積みになって売られていたキャベツや白菜のような割と大きなものまで丁寧にビニール袋に入れられている。先客がウィルスのついた手で触りまくかもしれないと思うと、買うのが躊躇された野菜も、一応袋に入れられておれば客は少し安心するだろうというスーパーの作戦なのだろう。
しかし、例えばトマトを二個等という買い方ができなくなり箱売りか、5-6個まとめてビニール袋に入ったトマトしかないとなると、タカさんのところのような、老夫婦の二人暮らしにはちょっと多すぎるようにも思える。すべてが、「安心で便利になった」とは言い難いようにも思う。
パン屋やドーナツ屋でも、かつてはトレイに山積みされて売られていた物が、最近は一つ一つ皆袋入りになっているが、これはかつての様に、客がトングで突っつきまわっていたのに比べれば歓迎すべきことではあるが、袋詰めの作業は、人件費もかさむだろうから、コロナが収束後はどうなるのかと気になる。
そういえば最近はちょっとしたお菓子や飴までもが一つ一つ袋に入っている。視力低下によって、袋の開け口の切れ目が分かりづらくなっている身には、イライラが絶えないから―――日本の包装技術が優れていることが、時には恨めしくなることも―――。（典型的な年寄り症状だ）
そういえば、昔はちょっと高い飴でも、何十個がまとめて缶にはいっていたが、湿度の高い時期に缶の蓋をしっかり締めないでいると、いつの間にかひと固まりなってしまい、缶を外からガンガン叩いたりしたものだったが―――一個一個袋に入っている最近の飴は湿気て固まりなることがないからその点は便利になったものだと思う。
ところで、飴などが湿気てひと固まりになることを「飴が湧く」という地方があるらしいが―――どこの方言なのだろうか。
（03/02/21 10:00pm）
2021年3月2日
気の毒に
総務省が東北新社からの接待を受けたと報じられた幹部9人の処分を発表した。最も重い減給処分を受けたのは総務審議官ら7人で、残り2人は戒告だった。
接待を受けたが既に総務省を退職し、内閣広報官に転じていた山田真貴子氏は、総務省には既に処分権がなかったこともあってその対象外とされたが、これは内閣広報官が国会議員や裁判官などと同じ、特別公務員であり総務省幹部のような一般公務員ではないために「国家公務員倫理規程」の対象外だからだ。
しかしこれは、内閣広報官という首相のいわば身内に対するえこひいきによるのではないか！といった批判がマスコミや野党から湧きおこったが、手続き的にはこれは、仕方のない事だったと言える。それは、国会議員という特別職が、自粛期間中に飲み会にいったからといって、処分されないのと同じなのだが。
しかし世の中はそれではおさまらない。菅総理が、「山田内閣広報官に対し、官房長官に指示して厳重に注意した」と述べ、山田女史が、給与を自主返納したといっても騒ぎは一向におさまらないどころか火の手はますます燃え上がる。
一人分7万4千円の和牛と海鮮のコースだったとか、自主返納する額が山田女史の給与の10分の6の70万円で、それはすなわち彼女の給与が117万5000円という高額であるということだ！という、考えてみると人の懐具合を話題にするという、随分さもしいヤッカミも混じった報道が盛り上がり、中央省庁の権限と、利害関係者の癒着構造、といった根本問題とは縁遠い話で皆が面白がっているというのは、まあ日本らしいと言えば日本らしい話ではないか。
さらには、今回の接待問題で処分の対象となった８人と菅首相の長男を含む東北新社側が全員が男であり、女性は山田女史の他に一名いるのみだが、話題としては有象無象の男の方は騒がれないのに、山田真貴子広報官一人に集中しているところも日本らしいといえば日本らしい。
日本は、世界の先進諸国の中でも女性の社会進出が遅れていると言われるが、女性が、総務省のエリートコースを歩み、その有能振りが首相にも気に入られて広報官に抜擢され順風満帆、夫も総務省幹部（今回処分を受けた一人）のエリートで給与は彼女が114万円（年収は4.55か月のボーナスをいれれば1900万円程度）、夫の分も同程度だろうから夫婦で年間4000万円となると―――女性にたいするヤッカミが男性以上に激しくなるというのもいやらしいねたみ根性現象といえるのではないだろうか。
山田女史はいたたまれなくなったのか、遂に入院して職を自ら辞したという。なんだか気の毒に思えてくる。
（03/01/21 10:00pm）
2021年3月1日
ウェディングベル
ウェディングベルというのはチャペルで無事結婚式を挙げたことを皆に知らせる為に始まった風習だという。3回鳴らすのが一般的で、一つ目の鐘の音は、式を挙げた二人を祝福するために、二つ目は、これまで二人を大切に育ててくれたご両親の為に、３つめは式に参列してくれた人たちに感謝を込めて――だと聞いていたが。
今日、冬晴の気持ちの良い海岸沿いの遊歩道を歩いていたら、近くのチャペルから鐘の音が響いてきた。コロナ騒ぎになってから結婚式が中々あげ難くなったという事情があったからだろうか、このチャペルのある海沿いのホテルも、長い間、開店休業のような状態だったし何しろかつての様に、たくさんの友人や知人を呼んで挙式することには、何かと自粛圧力もあるだろうから、鐘の音を鳴り響かせるのは、いささかはばかられたのだろう―――このチャペルの鐘の音を聞いたのは、多分一年振りくらいだったように思う。
緊急事態宣言はまだ継続中とはいうものの、感染者数は減少してきていることもあるし、今日は大安吉日の日曜日でもあり、長い間、見合わせていた式をあげようとするカップルも多かったのかもしれない。
面白かったのは、3回鳴らされるはずの鐘が10回位は鳴り響いていたことだ。折角建てたチャペルが一年以上もほとんど使われずにいたことで、困り切っていた神父さんやらホテルのウェディングスタッフが、喜びの余りおまけにおまけをつけて鳴らしまくったのかもしれない。
考えてみると、結婚式のみならず卒業式や入学式、成人式といった人生一度だけの祝事が、とんでしまった人は多い。昨年突然中止が告げられた卒業式や入学式は、ところによっては何か月遅れかで実施されたところもあるようだが、例えば修学旅行や、卒業旅行といった学校生活の一番の思い出になるはずだった行事の多くはとんでしまっている。実に気の毒なことだと思うが、こればかりはどうにも取り返しようがないことではあるのだが―――。
コロナに翻弄されたことも大きく影響してか、2020年度の婚姻数はただでさえ減少傾向にあった前年比で15％も減っているのだとか。婚姻数の減少は、当然出生率の低下につながるだろうし（実際、2020年の出生者数は前年比16％減だが、21年度は更に大幅に落ち込むと予測されているとか）コロナ影響は、ミクロにもマクロにも実に大きい。
（02/28/21 10:00pm）
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