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2020年11月
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11/30 トリガミ 11/27 パリーグは強い 11/26 低視聴率 11/25 両刀使い 11/24 年齢制限 11/20 こんなの酒じゃない
11/19 臆病か勇敢か 11/18 総合的判断 11/17 オバマケア 11/16 小柴先生を偲ぶ 11/13 竹林の七賢 11/12 チクロ
11/11 なるようになる 11/10 英雄故郷に 11/09 花は桜木 11/06 後から批判 1/05 また競わされる 11/04 全会一致か多数決か
2020年11月30日
トリガミ
かれこれ50年以上の競馬歴のあるタカさんの記憶でも三強対決との前評判の高かった大レースはいくつもあったが、その三強が1，2，3着で決着したというレースはウォッカが勝った08年の秋の天皇賞ぐらいしかない。
それだけに、今年のジャパンカップでの三強対決の前評判にも、今一つ不安がよぎったのは、この50年ほど「ギャンブルほど予想通りにならないものはない」ということを身に染みて（痛いほど）経験したからだろうか。
しかし、そうは言っても三強と言われる三頭はいずれも三冠馬でありコントレールとデアリングタクトの三歳の二頭は今まで無敗、5歳の牝馬アーモンドアイはJRA歴代最多のＧ１レース8勝を収めており、昨年のジャパンカップでは2400ｍの日本レコードタイムまで出しているというのだから、他の12頭がここに食い込んでくるとは中々考えられない。
今や売上が一番多い馬券である三強の3連単、あるいは3連複につぎ込んで手堅く稼ぐか、それとも穴馬一頭を決めて配当が高くなるであろうその一頭の単勝であわよくばドカンと稼ぐか―――。
野球も大相撲も終わりNHK杯のフィギアも見る気がしない時期だっただけに前日から悩みに悩んだ結果―――。
結局、タカさんは思い切って逃げ馬キセキの単勝を電話投票で買ったのだが、その後、又いつもの優柔不断さが頭をもたげてきてしまい、アーモンドアイの単勝と三頭の三連複を買い足してしまった―――。
レースはキセキが大逃げを打ち、ゴール前400m位まで先頭を切っており、これはひょっとしたらドカンの口かなぁ～と久々に手に汗を握ったのだが―――。
レースはご存じの通り、直線でグイグイとアーモンドアイが出てきて一着で駆け抜け、2着にはコントレール、写真判定の結果3着がデアリングタクトという三強決着となった。
競馬史に残る名勝負だったともいえ、これで引退するというアーモンドアイの花道になったし、3歳の2頭は来年も名勝負をみせてくれるだろうという夢を残してくれているし―――最高のレースだったといえる。
そんな訳で、タカさんの馬券収支は、アーモンドアイの単勝配当が220円、三強の三連複が300円だったこともあって取ることはとったものの、収支はトリガミ（馬券は当ったけれど、その収支はマイナス）に終わってしまった。
まあ、当てるだけは当てたのだから、この勢い（？）で年末の有馬記念でドカンとあてようと思う。いやはや、われながらよくも懲りないものだと思う。
（11/29/20 10:00pm）
2020年11月20日
パリーグは強い
勝負事にレバ、タラはなしとはいうものの、もし今年のプレイオフでロッテがまさかの2試合連続逆転負けなどを喫しなければ―――もし、プレイオフを制して日本シリーズに進出できていたら―――タカさんの好きな2チーム「セの巨人、パのロッテ」の日本シリーズが実現していて、タカさんを、大いに悩ませたではあろうが―――多分、今年の巨人を見る限りにおいては、ロッテの10年振り5回目の日本一が実現していたかも知れない―――と思う。
89年に近鉄が日本シリーズでセの巨人軍に、初戦から3連勝した時、近鉄の加藤哲郎投手が、インタビューで「今年の巨人は、パリーグで最下位のロッテより弱い」と言ったと伝え聞いた巨人選手が憤り、その後4連勝してシリーズを制したということがあったという。（タカさんは海外赴任中で日本にいなかったが）今年、巨人が三連敗した時点で、この話がネットで蒸し返され、「今年の巨人は、ロッテより弱い」などと冗談めかして揶揄されていたが、とんでもない、今年のロッテはレギュラーシーズンではソフトバンクにパリーグチームとしては唯一勝ち越しており（12勝11敗1分）、そういう意味ではソフトバンクより強かったのだ―――。まあ、済んだことをあれこれいってもはじまらないからやめておくが、今年の日本シリーズを見ていて確かにいえることは、近年パリーグがセリーグに比べて、圧倒的に強いのではないかということだ。
今年はコロナで中止となったが05年から始まったプロ野球セ・パ交流戦の優勝チームは15回中の12回がパリーグチームであり、しかも15年中14年がパリーグの勝ち越しで、セリーグが勝ち越したのは09年にわずか一回あるだけだ。
日本シリーズにも同じ傾向がみられる。川上監督率いる読売巨人軍が9連覇を遂げた73年以降の47年間のシリーズ覇者は、パリーグチームが28勝をあげており、特に21世紀に入ってからの20年間では、セ・リーグチームが優勝したのは、わずかに4回（巨人2回、中日、ヤクルト各一回）、残りの15回は全てパリーグチームである（ソフトバンク/ダイエー8回、西武・ロッテ・日ハム各2回、楽天1回）
今年の日本シリーズもソフトバンクが巨人を4勝0敗で下し、始まった途端に、あっけなく終わってしまったが、ラグビーではないから総得失点差を言っても意味ないが、両チームの得点は、4試合でソフトバンク26点、巨人4点であり、巨人軍は日本シリーズ、チーム最低打率1割3分2厘、最小安打数16本、最多三振41個という不名誉な記録までつくってしまった。
タカさんは物心ついたころからの巨人ファンで（昔は東京では、「良い子はみんな巨人軍」と言われたものだった）江川問題で巨人軍が大バッシングを受けたときにも、「空白の一日を上手く使って何が悪い！」と言い張って何人かの同僚にそっぽを向かれたこともあったぐらいだが、30年程前にロッテが地元千葉に移転してからは、同じ市内に多くのロッテの選手が棲むようになったりしたこともあって、「セは巨人、パはロッテ」のファンになっているのだ。
兎に角、今シーズンは終わった。来年のロッテは、そして巨人が待ち遠しい。
（11/26/20
10:00pm）
2020年11月26日
低視聴率
このところ、国会中継がされる日があるが、一般の人たちが国会での審議に関心を持っている訳でもないようで、視聴率は超低空飛行だという。
国民にとっての関心事といえば、いまなら例えば、コロナだとか景気の問題だろうが、マスコミ関係者でもなければ正直いって、国会審議でのこの問題のやり取りを聞きたいという訳ではない。関心があるのは、コロナで自分の仕事はどうなるのだろうか、GOTOトラベルで旅行を予定したけれど行ってもよいものだろうか、GOTOイート利用すれば、一体いくら安くなるのだろうか、と言った個人レベルの事であり、大上段に振りかぶっての「日本経済をどうやって再生していくのか」等のレベルの話となると、そんなに興味があるわけでもないだろう。それだから、中継の視聴率も超低空飛行にならざるを得ず、NHKだって公共放送という立場上、義務的にやっているだけという感じにもみえる。
コロナ問題は最近立憲民主の枝野さんや共産党が、「GOTOキャンペーンを止めるべきだ」と急に言い出しているけれど、では「GOTOで一息ついた」と言っている飲食店経営者や、旅館業、観光バス会社の従業員などは、あんまり大声で「GOTO止めろ！」と言い続けると、その支持を失う可能性だってあるかと考えれば、どうしてもそうそう強くも言えない―――と言ったところだ。
世間一般だって本音のところでは「GOTOはやっぱりマズイのでは？」と思いつつもGOTOで旅行に出かけたとか、食事に行った近所の人のことを思えば、そうそう大声で言うのも「マズイよ！」と思っているのかもしれないのに。
議論が桜を見る会前夜祭だとか、カジノ汚職や選挙違反疑惑といったところなら、ターゲットになる（される）側がはっきりしているし、政府側だってそうまでかばう必要もないだろうし、追及する側にしてもせいぜい週刊誌ネタが元となれば「捜査中なので答えられない」などと言われてしまえば、独自の証拠をもっているわけでもないから迫力がまるでないのは仕方がない。そうなると、いくら張り切って「追及！」と力んでみても世間の関心はそんなに盛り上がらない。（せいぜい質問する野党議員さんの後援会メンバーが「おらが先生、テレビに映った！」と喜ぶ位のものだ）
コロナと同じ位新聞の扱いが大きいのは、例えば「拉致問題」だとか「尖閣問題」だと思うが、これは野党側もまさか政府のやっていることに「反対！」等というわけにもいかないから、本来、皆の関心のあることなら野党も国会で取り上げてよさそうなものだけれども、国会でこの問題が審議されたことなどないのではないだろうか。
そもそも、コロナや景気と同じで、野党にとって北朝鮮問題や尖閣問題で、対案があるわけでもないから（まさか、「尖閣は中国船に任せておけ！」ともいえないだろうし）国会で取り上げにくいのかもしれないが―――。
そんなこんなで国会審議の視聴率は当分、上がることはなさそうだ。
（11/25/20 10:00pm）
2020年11月25日
両刀使い
30年近く前には、アメリカでのビジネスランチに、スリーマティーニランチというのがあった。接待を夜やらないアメリカでは、重要相手先の接待は、ランチ時に行うのが普通で、レストランでランチを共にするのだが、その時当然のごとく、お互いハードリカーの盃を重ねあったものだった。
ビールやワインはソフトリカーと言い、ビジネスランチではあまり飲まれず、ジンやウォッカと言ったアルコール度数の高いハードリカーがビジネスランチにはつきもので、もっともポピュラーだったのがマティーニだった。
当時、一人3杯までの酒類は、接待費として控除が受けられたらしくこういうランチのことをスリーマティーニランチと言っていた。
マティーニはジンベースが基本で（007のジェイムス・ボンドが良く飲んでいたのはウォッカベースのマティーニだったが）、ジンはアルコール度が50度近くあるから、こんなものを昼間っから3杯も飲んではランチの後は仕事にならなかったが―――。
驚いたのはここからで、分厚いステーキを食べ、マティーニを三杯も飲んだのに最後に皆が食べるのはワゴンで運ばれてきたデザートケーキで、誰もがそのケーキを楽しみにしており、一人で何種類かのケーキをオーダーする人もいたことだ。
日本では昔から酒飲みは「辛党」などと言われ甘いものが苦手、女子供は、酒が飲めない分、甘いもの好きが多いといわれており、甘味処に大の男が行くと周りから変な目で見られるようなところがあったので、酒飲みのタカさんは、アメリカに赴任当初は、このスリーマティーニランチの、シメにケーキという両刀使いの習慣には全くなじめなかったものだ。
酒も甘いものも共にカロリーが高く、体の小さい日本人は、「両刀使い」だとカロリーの取り過ぎになってしまうので、体が自然にどちらか一方しか受け付けようとしないから―――日本人には両刀使いが少ないのだ――と言われていたが、確かにアメリカ人は体がデカイから、両方いけたのかもしれない。
最近、コロナの所為もあって飲む機会が減り、家飲みですら（妻の監視が厳しくて）めっきり回数も量も減ったが、そうなると不思議なもので以前に比べ甘いものをよく食べるようになり気が付くと、おもわず飴などをなめていることが多くなっている。
日本画の大家、横山大観は晩年、流動食と称して酒を飲み、食事は、ほんの少しのつまみしか摂らなかったが、90歳まで生きたという話だ。カロリー的には飴玉10粒と日本酒一合はほぼ等しいらしいが、大観が晩年、飴玉ばかりしゃぶって長生きしたという話に比べると、やはり酒ばかり飲んで――と言う話の方がかっこよく聞こえるのだが―――。
（11/24/20 10:00pm）
2020年11月24日
年齢制限
20歳未満の飲酒は法律によって禁じられている。パチンコや競輪、競馬などのギャンブルも年齢による制限がある。これらの制限の法の目的は「青少年の健やかな成長を促すため」とかなんとか、もっともらしい事が定められていることもあって、「20歳になるまで酒が飲めないというのは年齢による差別だ！」と叫ぶ人は少ない。
どこかの高校で卒業祝いだといって部活の連中が飲み会をやったことが問題になりその高校の野球部が翌年部活動停止になったこともあった。飲み会に参加しなかった下級生まで甲子園を断念しろというのはひどいではないかという話もあったが、法律がそうなっているのだから法を守らない高校の教育が、悪いのだ！ということになってしまったが――。
第三波といわれるコロナ感染の波が始まっている。第一波、第二波に比べると患者数の拡大ペースは急激だが、不思議と感染者の死亡率が今のところ低い。
第一波、第二波に於ける全体の死亡率が4.4％程度であったのに比べると第三波は1.5％と1/3に下がっている。もちろん、コロナで亡くなる人が一人でもいるということは大変なことではあるものの、この減少は良い傾向と言ってもよい。しかも年齢別の死亡率を見ると何と30歳以下は0.0％というから、コロナに感染しても最悪の事態である死亡までには至っていないし、40代でも0.1％、50代でも0.4％だ。すなわち、コロナによる全体の死亡率を1.5％に上げているのは、60代の1.9％、70代の6.2％、80代以上の14.8％だということになる。
話はそんなに単純ではないことは分かっているが、もし70代、80代の人がコロナに感染しなければ日本におけるコロナ死亡率は劇的に下がる――という計算になる―――もちろん、各家庭では既に、高齢者自身もあるいはその子や孫、あるいはコミュニティーの人々も防疫には細心の注意を払い、会いたい人たちとも我慢して接触しないようにとできる限りの努力を続けている。それでも、高齢者に感染者が出てかなり高い率でお亡くなりになる人が出ているというのが現状だと聞けば、「これ以上どうすればよいのか」と思わないではないが―――。
そういう最中だからこそ目立ってしまうのかも知れないが、政府の推進するGOTOキャンペーンを感染が急増している北海道では中止するというし、大阪や兵庫でも中止を検討しているという。青息吐息になっていた観光業や飲食業にとっては、GOTOのおかげで少しは息が付けるようになってきているのに―――という声もあるようで、板挟みになっているのか、政府は、GOTOの運用については「知事に任せる」と言い出すし、地方自治体は、都の小池知事のように「国がちゃんと決めて欲しい！」と言い出す人もいて、まるで責任の擦り付け合いのようなことがはじまっている。
日本も段々と責任放棄をしてゴルフ三昧のトランプ大統領のアメリカのような状況になってきているような気もしないではないが―――。
「差別だ！」「年寄りいじめだ！」という声も起きるだろうが、「GOTOは70歳以上禁止」という緊急臨時立法でも定めたらどうだろうか―――「法律できまっているなら」と素直な日本人は納得するだろうし、飲食業や旅行業もGOTOが全面中止になるよりはマシだと納得してくれるかもしれないから。
（11/23/20 10:00pm）
2020年11月20日
こんなの酒じゃない
体質的に酒が飲めない人は圧倒的にモンゴロイド系に多く、白人や黒人にはほとんどいないといわれる。イスラム教が禁酒を義務付けているのは、本来酒に強いアラブ人は、飲めるからと言ってバカ呑みしてしまう男たちが多くて、早死にしてしまいがちだったことから、「神の教え」であるとして飲酒を禁じたことが始まりだという説もある位だ。（ウォッカをよく飲みロシアや東欧の男たちは早死にだ）
今でも厳格なイスラム教国であるサウジアラビアでは、酒は飲むことは勿論、持ち込むことも禁止で、もし酒を持ち込もうとして宗教警察に捕まれば牢屋にぶち込まれるだけでは済まない。サウジに一週間ちかく出張したことがあった。サウジを出国し帰国する際、UAEのバーレーンの空港で6時間近く乗継便を待つ時間があった。UAEも許可証がない者は、酒を飲むことができず空港内のレストランでも酒は飲めなかったが、空港の一角にあるバーでは、乗り継ぎ客には、酒を飲ませてくれた。
サウジ滞在中、しばらく飲めなかったサウジ帰りの外国人は、このバーカウンターに押しかけ、まるで禁断症状があらわれた中毒患者のような勢いで酒を飲んでいる。タカさんもその一団に加わって結局、乗継便の搭乗時間まで飲み続けたことがある。
その時、そのバーで飲んでいるのは、皆サウジで数か月、あるいは半年近く働いていたイタリア人やフランス人の石油技術者であって、口々にサウジの禁酒の悪口を言い合っていたのが印象的だった。（サウジの外国人コンパウンドといわれる居住区で寝泊まりしていたアメリカ人などの多くは、コンパウンド内は、いわば治外法権らしく、宗教警察の取り締まりもないから酒ものめたらしく、バーレーン空港ではそんなにがっついてはいなかった）
そうそう、アメリカでもユタ州のソルトレイクシティーに行った時、この州はいわゆるドライステートという禁酒州だから、酒の提供が一切ないと聞いて、無性に飲みたくなったことがあるし、アイオア州のデモインの空港でもドライシティ―だからといって飲めないといわれたことがある。1920年代に禁酒法が施行され全米で酒が飲めなくなった時期が10年以上も続いたなどということがあったが、（アルカポネ達マフィアが暗躍できたのは、禁酒法のおかげで彼等が密造酒で大儲けできたことが一因でもある）いまでもアメリカ南部を中心に多くの郡や市が禁酒法を敷いているのはキリスト教の信仰の深い人たちが、飲酒をすると快楽におぼれ神の教えをおろそかにするから―という理由で酒を飲まないからだとも言われている。
そうは言っても、最後の晩餐でもイエスと12使徒はワインを飲んでいるし、カソリックのミサでは赤ワインがキリストの血であるとして参列者にふるまわれるのに―――とクリスチャンであるという後輩のH君をからかったことがあったが、その時の彼の答えは「こんなの酒じゃない」という日本の吞兵衛が、アルコール度数の低い酒を飲むときに使う常套句だったので大笑いしたことを思い出す。
今日はボジョレーヌーボーの解禁日だ。今年はコロナもあって皆で集まってという訳にはいかないが、ささやかに自宅で楽しむことにしよう。
なにしろ「こんなの酒じゃない」のだからそう後ろめたく思う必要もないだろうし。
（11/19/20
10:00pm）
2020年11月19日
臆病か勇敢か
エゾイワナは川で生まれるが、一生川に留まるもの（河川残留性）と、幼魚の内に海に出て育つもの（降海性）がいる。
陸にとどまるものは少ないエサを他と争って幼い内はいわゆる勝ち組だったものだが、海に出るものは幼い頃は競争に敗れた負け組であり、仕方なく海に出ざるをえなかったものだ。
故郷を離れ未知の大海に出るというのは、とてつもない冒険と言えるし、大変な勇気がいることだが、それを幼い負け組の内にやった、陸海性のものは、その後、大海に出た故に豊富なエサに恵まれ3年も経てば体長70cmにも育ってアメマスと呼ばれ産卵のために故郷の川に戻って来るが、河川残留性のものはその後も川の乏しいエサを必死に争って育ち（苦労故に？）体長は最大でも30cm位にしかなれない。
エゾイワナ（アメマス）の一生をタカさん的な視点でみると、早くから勝ち組で、その後も激しい競争を勝ち抜いても、一生競争に追い立てられてたいした者になれないのと、最初は負け組でも大きくなってからは良い環境で、伸び伸びと育って大物になるのとどっちがいいか――――と言った話に見える。
自然界では、弱肉強食の自然法則が基本と多様な生物相は維持できないということが良くわかる。
人類も発生の地はアフリカだが、アフリカの自然環境の変化に伴い祖先の中で弱い者は、争いに敗れてアフリカを離れアジアへ、ヨーロッパへ、あるいはベーリング海を渡ってアメリカ大陸へと移動して行き、今や世界中人類がいないところがないといわれる迄繁栄した―――という説がある。
この説が正しいとすれば、今もアフリカにとどまり続けている種族、すなわち黒人は人類として強い種族（の子孫）であり、白人やアジア人は、安住の地から追い立てられ仕方なく、アフリカから遠いところにまで逃げていった人たちの子孫だとも考えられる。
その説によれば、現代の冒険家だとか、宇宙飛行士などは冒険心にあふれる勇敢な人たち、というよりはむしろ根は臆病な人たち―――ということになってしまうのだが長期滞在に向かったという野口聡一の壮挙を見ていると、とてもそう思えないの―――というのが臆病なタカさんの率直な意見なのだが―――。
（11/18/20 10:00pm）
2020年11月18日
総合的判断
NHK紅白の出場者が発表され06年から昨年まで通算12回出場しているAKB48の落選が決まったという。落選の理由についてNHKでは「総合的な判断」といっている。
日本学術会議での6名の任命拒否理由についての政府見解で一躍今年の流行語大賞にノミネートされた「総合的、俯瞰的理由」を早速NHKがパクったというところだが、この「総合的判断」という語句は、ロッキード事件の小佐野さんが証人喚問で連発して以来かれこれ半世紀、今や日本語の常套句としてすっかり定着した「記憶にございません」以来の大ヒットではではないだろうか。
これからは国会でも何かとしつこく迫る野党に対して「総合的判断」という答弁が繰り返し使われるのではないだろうか。
学術会議だってAKBだってこと細かく理由を説明しろといわれても、ずばり一つ二つの理由を挙げたら、必ずや「そんな理由で任命拒否するとは！」とか「そんな理由で落とすなんて！」と必ずや非難される。こんなところで、本音を言ってはまたぞろ、「学問の自由の侵害だ」とか「もう受信料を払わない！」という声が起こるに違いない。ここは、「総合的な判断」といっておけば、追及する方も追及の手がかりを失ってしまう。
「理由は差し控える」とか「黙秘する」という答えでは、新聞や視聴者が納得しないだろうし、「説明責任を放棄している！」という反発もあるだろう。しかし、「総合的判断だ」といっておけば、一応答えたことになるだろうし、それ以上追及しようがない。その内、世の中だって学術会議やAKBには元々関心がある訳でもないからこの話題も忘れてくれるだろう。
ところで、孫娘が昨年キャーキャー言っていたTWICEは、今年は落選したことすら話題になっていないが―――学術会議もAKBも来年の今頃は、多分だれも話題にもしていないのかもしれないなぁ～。
（11/17/20 10:00pm）
2020年11月17日
オバマケア
国民皆保険制度を持つ日本に住んでいると世界で最も豊かな国と言われるアメリカで無保険者が国民の20％近くいるという事実はちょっと信じられない。しかも、アメリカの医療費は盲腸の手術ですら600万円かかるというほどにバカ高いというのだから一体どうなっているのだろうかと思う。
アメリカに住んでいた時、救急車までもが有料で、無保険者だとその費用まで全部自腹だというから日本のように赤ん坊がひきつけを起こしたからといって救急車を呼んだら大変なことになる。
アメリカにも公的医療保険制度はあるが、これはメディケアといわれる65歳以上の高齢者と障害者をカバーする物と、メディエイドといわれる低所得者を対象とするものだけであり、この二つに該当しない者は民間の運営する医療保険に加入しないかぎり無保険者となってしまう訳で、この比率が全人口の役20％にもなるという訳だ。
医療が世界一進んでいるといわれるアメリカだが、それを支えているのは高い医療費であり、医療従事者や研究者などは高額報酬が支払われている。（「良い物は高い」の競争原理がしっかりと生きているのがアメリカの社会だ）
高額所得者にとっては、高額医療費を支払うことも可能だし、大企業に勤めていれば企業が医療保険料の大部分を負担するので高い医療費、高い保険料の問題はある程度なくなるが、そうではない人たち、すなわち金持ちでも貧乏人でもない人たちが、一旦病気になるとよくいわれるように「盲腸で破産」などということも起こりうる訳だ。
それでは問題だろうという考え方からとりいれられたのがいわゆるオバマケアといわれる保険制度改革だ。無保険者をなくして国民皆が医療保険制度で守られるようにしようという理想から発した物だと考えれば、これに反対することなど日本ではちょっと考えられないのだが、共和党はこのオバマケアに反対しとおり、トランプ氏は前回選挙でも今回選挙でもオバマケアの廃止を公約に掲げている。
小さな政府を標榜し、個人の自由を重んじる共和党にとっては、公的負担がバカ高くなってしまうオバマケアは反対だし、オバマケアが「全国民の加入を義務付ける」としたことが、「個人の自由」をなにより重んじる伝統的なアメリカ人にとって許し難いと思われたのだ。保険に加入するかしないかはあくまで個人の自由であり政府に強制されたくない！というのだ。
銃を持つのも個人の自由、マスクをするかしないかも個人の自由、医療保険に加入すかしないかも個人の自由、その選択によって生じる結果は、自分が負う！というのが開拓時代からの彼等の伝統的な考え方にあるのだ。
「人に迷惑をかけないということが第一だ」と教わり、人の迷惑になるのならば、多少の自由を放棄してもよい、と考える日本人の大半（そうでない人もいるが）には中々理解できないところだ。
共産中国のように自由がないのも大問題なら、アメリカのような放埓とさえいえるほどの自由主張もどうかと思う。
（11/16/20 10:00pm）
2020年11月16日
小柴先生を偲ぶ
トマス・ファラディーが王立協会の一般の人たち向け講演会で、彼が発見したばかりの電磁誘導の仕組みについて話した際に、最後にある婦人が「ファラディーさん、磁石を使って、ほんの一瞬、電気を起こしてみて、何の役に立つのでしょうか？」と質問した。彼の答えは「奥さん、生まれたばかりの赤ん坊が、将来、何の役に立つかわかりますか？」であった。
現代社会において発電の仕組みをはじめモーターなど実に多くのものがこのファラディーの発見した電磁誘導の仕組みによってなりたっていることを思えば、ファラディーのこの答えの見事さに驚くが、ニュートリノの検出に初めて成功した功績でノーベル物理学賞を受賞された小柴昌俊さんの講演を拝聴した際に、小柴さんの口から「ニュートリノを発見したからといって今の私たちの生活には何の役にも立ちません」と謙虚に言われたのを聞いた時に、あのファラディーの逸話を思い出した。
科学技術に限らず多くの学問・研究において「何の役に立つのか？」ということが、必ずしもその目的ではない。多くの研究は人の「なぜだろう？」「どうなっているのだろう」という好奇心に発するものが多いし、発見、発明が成し遂げられたからといって、さし当って幾人かの人の、好奇心を満足させることはあっても、特に何か社会の役にたつことということもないままに終わるものも実に多いのではないだろうか。
｛知的好奇心を満たす｝というのは動機であって目的としては、やはり何かの役にたつべきである、という意見もあるし否定する気はないが、最初から「世の中の役に立つ」という目的の為に行う研究・学問となると、なぜかそこには本末転倒を感じてしまう。「知りたい」という動機から始まって結果的に金や名誉が手に入るというのはよいが、本来の研究とか学問というものとは、何か違うのではないか、と思う。
そもそも学問や研究というものはそういうものだし、それでこそ何百年後、何千年後にその蓄積が、豊かな人類文明を築を築いてきたのではないだろうか。
小柴先生は、ノーベル賞受賞対象となった研究成果をはじめ多くの業績を残されたが、その過程において、その業績や人柄を慕う多くの後進を育てられ、日本の科学技術研究の岩盤構築に大きな貢献をなされた。こころより、ご冥福を祈りたい。
（11/15/20 10:00pm）
2020年11月13日
竹林の七賢
方丈記を書いた鴨長明が京都醍醐に結んだ庵跡を訪れたことがあるが、まさに山奥の寂しい場所で、ここなら俗世と離れて静かに思索に耽るには最適だったであろうと思った。中国の障壁画に良く描かれている「竹林の七賢」たちが俗塵を離れて老荘思想の清談にふけったという竹林もこういうところだったのだろう。
しかし、鴨長明も竹林の七賢も、まさか霞をくっていきていたわけでもないから、かれらのその俗塵を離れての環境を整えてくれるにはスポンサーや下支えしてくれる人たちがいたからこそ―――という面があったに違いない。
今野党が追及している学術会議の任命拒否問題をみていて感じるのは、「学問の自由」が尊重されるべきことには異議はないが、かといって鴨長明や竹林の七賢が多くのサポーターたちにささえられていたからこそ、あたかも俗塵から離れているかの如くにふるまえたのと同じで、「学問の自由」もそれを下支えする回りの人々があってこそ成り立ちうるということを忘れるべきではないのではないかということだ。
政府の学術会議との間には、双方の側にそれなりの節度があるべきだとは思うが、いま野党の側が主張するように、「学問の自由」があたかも絶対不可侵のものであるかの主張も、あまりに極端ではないかと思う。
（11/12/20
10:00pm）
2020年11月12日
チクロ
今や清涼飲料といえば、ほとんどがペットボトル入りになっているが、子供の頃はガラス瓶入りのジュースやサイダーしかなく値段が高いので中々子供が飲める代物ではなかった。
しかし、粉末ジュースというものがあって、あれはスプーン一杯の粉末をコップ一杯の水道水に溶かせば、色つきの粉末ソーダ水ができ、しかもそこに入っている人工甘味料は同じ量なら砂糖の60倍も甘いという代物だったので、子供にとっては親の許可などなしに自由に何倍でも飲める―――甘くて爽やかな夏の飲物だった。
暑い時期には学校から帰るや否や、立て続けに2-3杯作ってゴクゴクと飲んだものだった。
しかし、今から50年程前に、この種の粉末ジュースに使われているチクロという人工甘味料が、体に害があるのではないかとマスコミが騒ぎだし、結局、食品衛生法か何かで使用が禁止されてしまい、さらにはペットボトルが普及しはじめたこともあって姿を消してしまった。
その後世界各地で治験が進み、よほど大量に使わない限り人体には影響がないという結論が出たという。実際、チクロは中国などでは今、飲料に限らず甘味料として使われており、その他の国でも許可している国は多いというが、一度、法律で決めたことを変えるのがほぼ困難という日本ではいまだに禁止されている。（それだけではなく時折、中国などから輸入される食材に含まれていた！と、大ニュースとなって報道されることがある）
子供の頃の思い出としては、例えばエノケンがCMソングを歌っていた「ワタナベのジュースの素」のシュワーとした喉越しと甘味は、懐かしく思いだされるが――。
そもそも、すべての法律の大元である憲法でさえ、施行から75年も経っているというのに一度も改正されないし、改正を議論することさえ許されないというこの国なのだから、50年位で食品衛生法が改正される可能性はないだろうから、あの子供の頃の「懐かしい味」を生きている内にもう一度味わうことはできないだろうなぁ～。
（11/11/20 10:00pm）
2020年11月11日
なるようになる
警報が出ているのに「大丈夫だろう」と考えて逃げ遅れてしまった―――等と言った場合の心理を「正常性バイアス」といって、最近打ち続く災害の際には、戒めの言葉としてよく言われる。
一方「天が落ちてくるのではないか」と起りえないことを気に病んでおちおち眠ることも出来なくなってしまった古代中国の杞の国の男を笑った言葉、「杞憂」は、正常性バイアスの逆の人間心理を戒めたものだろう。
得体の知れないコロナウィルスに対する姿勢も、この両極端の心理の間で揺れ動いているように思う。
1400万人という膨大な東京都の人口の内、一日200人がコロナに感染したと聞けば、「大変なことだ、明日は我が身が―――」と恐れる人もいれば、「多いといったって、都の人口のたった0.0002％にも満たないではないか。それよりはもう少し確率の高い、宝くじを数十年回続けて一度も一等が当たったこともない自分が、コロナに感染するなどまずありえない」と考える人もいれば、その逆に、「宝くじだって毎回、誰かが7000万円当てているのだから―――いつか自分だってーーー」と考える人とでは、その考え方のいずれが正解という訳にもいかない。
そうなると、マスコミ各社が早くから頻繁に使いだした「正しく怖れる」というフレーズが何となく正解のような気がするけれど、放射能の時にもよく使われたこの言葉も、そもそも相手の得体が見えないだけに、「何が正しいのか」「基準値は奈辺にあるのか？」が明確に示されない以上、「なんだかもっともらしいが、さっぱり意味がない」というのが本音だ。
そもそも、政府が推進する「GOTOキャンペン―」なのだから政府のお墨付きだと信じて飲み会に出かけていくのは安全なのか、それとも行くか行かないかはあくまでも「自己責任」なのかは、当の政府でさえ分かっていないのだから、うかうかと乗ってはアブナイのかは分からない。
こうなると、世の中のことは全て「なるようになる」と考えてしかないし、いままでも世の中はそうなってきているのだし―――と考えるほかないような気がする。
（11/10/20 10:00pm）
2020年11月10日
英雄故郷に
幕末の英傑、坂本龍馬は幼い頃、寝小便癖がなおらず「よばったれ」（寝小便たれ）などと言われる気弱な子であったという。
薩長同盟の仲立ちを果たし、新政府の国家像の青写真といわれる「船中八策」を起草するなど、今や知らぬ人もない程の英雄だが、長く故郷土佐では、忘れられた存在であったといわれている。
その理由として、明治期までは故郷には龍馬の幼い頃を知っている人が多く「よばったれ」と言われていた男を英雄とは思えなかったことや、龍馬の事を、自分の身近な近しい人のように感じていたから尊敬するような存在とは思えなかった―――等が考えられるが、「英雄故郷に入れられず」の諺の一例でもあるのだろう。
ニューヨーク生まれのトランプはニューヨーク州で負け、バイデンは出身州のペンシルバニア州で接戦をものにしたというところが今回の勝負の分かれ目だった―――等という説もあるが、どうだろうか。
トランプは、青年期には素行が悪く退学をくらったことがあるとか、事業を幾度か破算に追い込まれたこととか、かつては民主党支持者であったのに、共和党に鞍替えしたとか、いう過去を知る人が地元には多くいて、かれの民主党から共和党への変節を知る古くからの共和党支持者の中には彼を「変節漢」と嫌う者も少なからずいる――等ということがあるからかも知れない。
（11/09/20 10:00pm）
2020年11月9日
花は桜木
さくらが日本人に好かれる理由は、「パッと咲いてパッと散る」という潔さにあるといわれる。
確かに、純白で美しく香しいくちなしの花も、咲き誇ったあと白さを失い茶色くしなびた花がいつまでも散らずに枝にこびりついている様は、あの盛りの美しさも香しさも台無ししてしまうみっともなさで、「やっぱり花は桜木だなぁ～」と思わせる。
潔さという美徳は、現代では必ずしも重んじられないかもしれない。いつまでも引退せず地位にとどまる人が、「根性がある」「責任感が強い」などと褒められ、やめてしまう人は逆に「粘りがない」「諦めが早い」などといわれる。
アメリカ大統領選挙では、接戦の末、投票日から5日経ってジョー・バイデン氏の勝利が伝えられ、各国政府も早速、バイデン氏に祝意をつたえているが、トランプ氏は敗北宣言を拒否し、各地で根拠を示さずに「不正が行われている！」と訴訟を提起している。
総得票数でもバイデン氏が7500万票、トランプ氏が7000万票と大統領選の歴史上、第一位と第二位の得票をあげたといわれることや、各報道機関がバイデン氏の選挙人が過半数超えを獲得したと伝えていることからして、トランプ氏の証拠を示さずしての「不正だ！」の雄叫びは、武士道精神の基準からすれば、まさに「潔くない」、いや敢えていえば「みっともない」ものに思える。
スケールは随分小さいが先日行われた「大阪都構想」の住民投票では、賛否がほぼ同数であったにもかかわらず開票結果がNHKで報じられた直後（多分20分後ぐらい）に、大阪維新の松井市長は敗北宣言をし、任期満了後に引退する旨を発表しており、あまりにもあっさりし過ぎではないかと驚いた位だったけれど、選挙の開票作業やNHKの報道を皆が信用しているから―――等々の違いはあるにしても、同じ接戦であった米大統領選との違いに驚き、いやはやアメリカには「潔さ」という道徳心はないのだろうか――とつくづく実感させられた。
辞書などでみると、「潔さ」の英語は、‘manly’とか ‘graceful’などとなっているが、いずれも日本でいう「潔い」とは、随分とニュアンスが違うように思う。
アメリカにも桜はあるだろうに――。
（11/08/20 10:00pm）
2020年11月6日
後から批判
今年4月に全国民に配布すると発表されたアベノマスクは当初から評判が悪かったが、結局260億円もの予算が投じられて全配送が完了してから5か月が経ってから、当初は表立って反対もしなかった野党の辻元女史などが、「政府は、役にも立たないアベノマスクに260億円もムダ遣いしながら、なんで学術会議の年間公費10億円を問題視するのか！」と追及している。
10億円だ、260億円だ、に比べればGOTOキャンペーンは、スタート当初の7月から世論調査では70％以上の国民が「ムダだ」という意見であり、開始から4か月が経過しているのに相変わらず世論は否定的であるにもかかわらず、総予算総額1兆7000億円を投じて現在進行形だ。
しかし、この巨大予算や世論の否定的見解にもかかわらず、いまのところ、与野党いずれからも問題視する意見は聞かれない。
蓮舫さんが以前、ムダだと叫んでいた八ッ場ダムやらスーパー堤防といった大型公共事業が、最近洪水を防いだなどと評価され始めているから、野党もそれに懲りて追及しないのかも知れないが―――。
低いとは言え経済的相乗効果があるといわれる公共事業投資だと、ダムや堤防や道路といった目に見える社会資産が後に残るが、全部が消費に使われ資産効果を生まない（個人の無形の「思い出」という資産は残るかもしれないが）消費の為の補助でしかないGOTOキャンペーンにこんなに巨額をばら撒くのは「どうなのよ～」という反対論があってもよいようにおもうのだが、国会内では今のところそういう意見は聞かれない。
コロナの流行当初に、一時期、経済が大事か、命が大事かの二者択一が語られたが、最初は「命」を選んだ人々の中には、経済を捨ててしまっては、干上がってしまい結果的に、命が危なくなる～という人もいて、いかに野党といえども「今、GOTOキャンペーンをムダだ！止めろ！」と叫ぶのは、政党としてはリスキーだ、と考えているのだろう。
しかしもし、GOTOキャンペーンのせいでコロナの感染が拡大し「GOTOキャンペーンは大失敗だった」などということになれば、それからおもむろに、（アベノマスク同様に）政府を批判すればよいのだから、今は「反対！」を叫ぶのは止めておこう――とでも考えているのではないだろうか。
ところで、GOTOやら持続給給付金というコロナ対策のばら撒きでは、次々と不正が発覚している。まあ全体額に比べれば決して大きな不正額ということではないのだろうが、生活保護などにしてもこの手の予算には、不正がつきものなのは、潔さを重んじるはずの日本人なのに～となんだか情けない気分になってくる。
せめて、GOTO詐欺などと後で言われないように、当局はしっかりと運営して欲しいものだ。
（11/05/20
10:00pm）
2020年11月5日
又、競わされる
生まれて早々に「赤ちゃんコンテスト」なるものに出されたらしい。亡くなった母が結構いい成績だった――といっていたと記憶する。
赤ちゃんコンテストに始まり、学校に入れば成績だ、運動能力だとなにかと競わされるし、恋愛だって、社会に出たって、結局は人と競わされ続けてきたようにも思う。
そうはいっても、ある程度齢をとってきて引退し、子供も独立すれば昔ほどには、ギラギラした競争に巻き込まれることも少なくなってきたように思われ、少しは心安らいではきたようにも思え、若い人達の奮闘ぶりを眺めて、「いやぁ――若い連中もたいへんだなぁ～」などといっていられる身分になってきたなぁ～と思っていたのだが―――。
しかし、コロナ騒ぎで以前よりテレビを見る時間が増えてきたせいもあるが、スポーツ中継をみていると、CMでやたらと年寄り向けの健康サプリメントだ、運動器具といったものが流れ、そのCMの波状攻撃によって思わず知らず再び、競争に狩りたてられているような気分にさせられるのに閉口している。
というのも、特にCS放送のCMには、中高年男女をターゲットにした、老化防止、運動能力維持や向上を叫ぶ健康サプリメントや塗薬、運動器具等々のCMが実に頻繁に流されている。
CMでは、60代、70代、80代の老人達が、何々を飲んだら膝の痛みが消えたの、運動能力が増して、元気に走り回っている―――だのと叫んでいるし、女性向けには薄毛隠しのかつらだの、お肌のしわやシミ隠しのクリーム、骨密度低下を防ぐサプリメントの類の波状攻撃だ。
しかも、そのCMの中に登場する使用経験者だという素人モデルたちは、皆、表記された年齢より明らかに若々しい人たちばかりではないか！
何々クリームを塗っているおかげで40代、50代と見間違えられます！とCMの中で叫んでいる女性は、実年齢は、60幾つだ、70幾つだと表示されているし、「毎日元気に走っています！」と叫んでいるおじさんの年齢は、70後半だと表示されている。
昔から、齢の割に元気な人や、肌がつやつやした年寄りはいたから、そういう人を集めてCMを作っているのだろうとは思うものの、毎日毎日、繰り返しこの手のCMを流されると自分はなんて年寄りなんだろう～と劣等感にさいなまれる高齢者も多いのではないだろうか―――。
年齢相応に、白髪が増えて何が悪い！70も過ぎれば多少動作がのろくなっても何が悪い！と居直りたい気分だが――テレビCMではそれも許されないような勢いだ。
この齢になっても、又再び、「誰が一番元気か」「若くみえるか」の競争に狩りたてられているようで―――心安らかではいられない。
（11/04/20 10:00pm）
2020年11月4日
全会一致か多数決か
「1人でも反対がいれば橋は架けない」というのは60年代から70年代にかけて都知事を務めた美濃部亮吉の「橋の哲学」として有名な言葉だ。
極端な話、999人が橋を架けて欲しいと望んでも1人が反対するならその人の意思を尊重して橋は架けるべきではないというのが美濃部の「民意を大切に」という民主主義の思想だったといわれるが、この橋の哲学には（事実かどうかは定かではないが）「それでは橋を架けて欲しいという999人の民意はどうなるのか？」との記者の質問に、「渡りたい人は泳いで渡ればよい」と答えたという笑い話のような逸話が残っている。
民意を尊重することは民主主義における基本だが、どんな意見にも、必ずと言ってよいほど反対意見はある。賛成論と反対論それぞれの民意を共に反映させるには、両者の妥協点を追及し、両者が妥協できるところまでお互いが歩み寄ることが必要だが、それでも最終的にはいずれかに決定しなければならない時には多数決に従うというのが、紀元前5世紀のアテナイで始まったといわれる民主主義の基本にある。
どちらかに決めなければならない事項、例えば大阪都構想の可否や、トランプvsバイデンの米大統領選挙などがそれで、都構想の可否の場合住民投票の結果は、賛成が49.37％ 反対が50.63％とまさに紙一重の差であったし、日本時間の明日が投票日だというトランプvsバイデンも接戦が予想されており、まさに民主主義の原理が試されることになる。橋の哲学だったら、一体どうなっていたかと思うような例である。
橋の哲学も、個人の意思の尊重という点だけからいえば、一理あるようにも聞こえるが、逆にすべての決定が誰も反対しない全会一致だらけで行われるというのも独裁国の国会同様に実に気味の悪いものである。
古いユダヤ教の法律では「全会一致の決定は無効」という定めがあったという。神ならぬ身の人間が反対意見の全くない決定をしてしまう場合、これが、とんでもない間違いだということがあり得るし、そういう決定をしてしまうと、後で取り返しがつかなくなってしまうから―――という訳で、このユダヤの定めは、橋の哲学の全く逆の事を言っている訳だ。
人間社会は、古くから物事の決定には、全会一致が良いのか、それとも多数決がよいのかで迷い続け、未だもってその結論が出ていないし、今後もおそらく結論に至らないのではないだろうか―――と思わざるを得ない。
（11/03/20 10:00pm）
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