金曜日シリーズ全目次 ←ここをクリック
「日々草々」全バックナンバーリンク表 ←ここをクリック
2020年下期の各月バックナンバー： 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
フロント頁：”日々早々”のバックナンバー
2020年9月
＜＜9月タイトル＞
09/30 80年後 09/29 台湾まぜそば 09/28 免疫持ち 09/25 恭喜発財 09/23 うまい話 09/18 まだか、もうか
09/17 長生きも芸の内 09/16 戦いすんで 09/15 小食と大食 09/14 秋のくだもの 09/11 好き嫌い 09/10 マスク外交の怖さ
09/09 前途多難 09/08 避難指示 09/07 ファイティングポーズ 09/04 すーだら節 09/03 会員特典 09/02 語り継ぐこと
09/01 スーパー銭湯
2020年9月30日
80年後
天気予報や経済予測、未来予測には数々あるが、明日の天気だって中々当たらないのだから（「雨の確率50％」などという予報は、まさに当たるも八卦、当らぬも八卦の占いと同じだと思うが―――）、まして「20年後、50年後の予測」などといわれると信用ならない！と思ってしまいがちだ。
そんな「当らない予測」の中では、比較的当る率が高いと思われているのが未来人口推計というやつだ。なぜなら、これは、今現在の出生率、平均寿命、死亡率という現在確定している数字を基にして、この先、人々がどれぐらい子供を生むか、平均寿命がどれぐらい伸びるか、あるいは死亡率はどうなるだろうか、といった比較的確度の高そうな数字を加えて算出したものだときけば、まあ、それならある程度信用してもよさそうに思うからだ。
米ワシントン大の研究者らは27日までに、80年後の世界人口は88億人（一旦、97億人まで増えるが、その後徐々に減少するのだとか）、内日本の総人口は6千万人で世界の38位（現在は10位）になっているという予測を発表した。少子高齢化による人口減少が言われているだけに、80年後には人口が半減していると聞いても、まあ、そんなものだろうとおもったが、この予測で驚いたのは、その時（80年後）でも、日本の国内総生産（GDP）は、米国や中国、インドに次いで世界で４番目の大きさだという点だ。
現在生きている人のほとんどが死んでいるだろう80年後のことだから、予測の責任をとらされることもなかろうと、「ワシントン大学の研究者ら」が無責任な数字を発表したのでは―――とも思うのだが―――。
人口は半分になっているというのに、経済規模は世界4位（現在は3位）を維持しているというなら、80年後の日本人（我々のひ孫、玄孫、あるいはその子や孫たち）一人一人は、相対的に、今よりもずっと豊かになっているという計算が成り立つのだから、日本人にとっては、この予測は、そんなに悪くない予測とさえいえるかも―――。
この予測では、中国の経済規模は、2035年には米国を抜くものの、その後、人口急減に伴って2100年までには、再び米国が抜き返されるし、ドイツやフランスなど欧州勢も日本同様、上位を維持しているのだとか。習近平さんが知ったら怒髪天をついて怒り出すのでは――。
まあ、いずれにせよ80年後のことであり、夢物語として聞いておこう。
（9/30/20 10:00pm）
2020年9月29日
台湾まぜそば
いまや食材が世界から調達できるようになってきて、食べ物の旬（しゅん）という感覚がとぼしくなってきているが、たとえば、タカさんの感覚ではたけのこの季節といえば一般的には早春（鹿児島では、孟宗竹のたけのこは、早いものでは確か、11月位から出回り始めていたようにも記憶するが）、9月末の今頃はフレッシュなたけのこはまず手に入らない時期のはずだが、スーパーの総菜売り場にいくと「たけのこの土佐煮」を売っている。
勿論、生のたけのこではなく水煮にしたたけのこを使っているのだろうが、原料になっているたけのこは、中国産となるとこれを由緒正しい（？）「たけのこの土佐煮」と名付けて（名乗って）よいものなのだろうか？
もっとも「土佐煮」のそもそもの由来は、土佐の名物であるカツオからの発想で、かつお節を大量に使った出汁で煮たもののことを指すのだから、煮物の材料であるたけのこがどこのものであっても、かつお節さえ使っていれば、「土佐煮」を名乗っても、文句をいう筋合いのものではないのかもしれないが―――。
ところが、かつお節の産地トップ3は、鹿児島県の指宿産と枕崎産（この2つで国産の7割）残りは、静岡の焼津産で、いまや高知で作られるかつお節は、皆無に近いというし国内で消費されるかつお節の3割近くは、フィリピンやインドネシア、タイ、中国等からの輸入品だというから、厳密にいえば「土佐煮」という名もバッタモンだということになるが―――。
日本で品種改良された農作物が、日本でのブランド名で、中国や韓国で栽培され流通しているというので農水産物のブランド保護に農水省などが遅まきながら乗り出しているが、スーパーでの「たけのこの土佐煮」の例をみると、元来日本人には、ブランド保護の意識は低かった（というより、なかった）ということだろうか。
そういえば、イタリア人が「スパゲティーナポリタン」と聞いて「そんなものはイタリアにはない！」と怒っていたし、台湾ラーメンも台湾まぜそばも、名古屋発祥であって台湾にはない！と台湾人が文句を言っていたことを思い出した。
（9/28/20 10:00pm）
2020年9月28日
免疫持ち
阪神タイガースの選手5人、スタッフ2人の新型コロナウイルス感染が判明し球団では、メンバー計19人を入れ替えて25日のヤクルト戦に臨んだが、急遽一軍昇格を果たした藤波投手が決勝ホームランを打たれ負けてしまった。首位巨人に大きく離されもう負けてはいられないという時だけに、トラキチたちの思いはいかばかりであろうか。
藤浪投手は、シーズン前の4月にコロナに感染、その感染経路が「コロナ合コン」だったらしい等と噂されたことや、その後練習時間に遅刻するなどの素行面で二軍落ちするなどで、バッシングを受けたこともあって中々厳しい立場だったが、それも一部の女性陣の「ダメな子ほどカワイイ」という母性本能をくすぐったようで、今回のリリーフでの被弾に対しても「急に登板させられたのだから―――カワイソウ」とますます人気がでているらしい。
まあ、何しろ藤浪君、既に一度コロナに罹っているのだから免疫はあるだろうから、こういうコロナ発生時での急場の登場に白羽の矢が立つのは当然で、その意味では思いがけず一軍復帰というラッキーな一面もあったのだが―――結果がこれでは―――いよいよ失格の烙印を押されかねないし―――まさに彼にとってのコロナ感染は、「禍福はあざなえる縄の如し」（何が幸福か不幸かは分からないものだ）ということだろうか。
もっとも、コロナの免疫もどれ位の期間有効なのかはまださだかではない（コロナから回復後、再び罹患してしまったという例も報告されているとか）らしいから、親知らずや虫垂炎の様に手術で、取ってしまえば二度とかからない！と断言できるかどうか――――。
コロナをこわがってすっかり出不精になっている人も相変わらず多いようだが、中にはGo toキャンペーンなどの効果もあって、かなり人が出かけるようになっているらしいが、特に若い人の中には、自分は若いからコロナに感染しても、無症状か軽症で済むだろうし、免疫を獲得してしまえば、「免疫持ち」となって、以後は三密など気にしなくてもよくなるなら、この際、コロナに感染してしまうのも一つの手かなぁ～などと気軽に考えている人達が、盛んに人ごみにでかけている―――等ということはないだろうか？
（9/27/20 10:00pm）
2020年9月25日
恭喜発財
カジノには、ハイローラーと言われる高額をかけて遊ぶ上客がいる。そういう客はカジノにとっても大歓迎だから、滞在中はVIPルームの宿泊料、レストランなどでの飲食代はもちろんカジノ持ち、中にはブライベートジェットでの送り迎えつきで歓迎されるハイローラーもいるぐらいだ。
ヨーロッパやカイロのカジノだとオイルマネーで潤っている王族のハイローラーが多いが、ラスベガスやマカオ、シンガポールなどのカジノのハイローラーは圧倒的に中国人だ。もっとも、この半年間は、コロナ禍で世界のカジノも大変だろうが――――。
日本でも、某製紙会社の創業家御曹司社長が、マカオのカジノで会社の金を100億円溶かして（スッて）スキャンダルになったが、当時、マカオでは100億程度ではまだハイローラーとしては前頭クラスだとも言われたことを思い出せば、中国には、途轍もないハイローラーたちがいるということなのかと感心したことがあるが―――そのほとんどが共産党幹部たちで、汚職によって得た金、いわゆるあぶく銭なのだからこんな使い方ができるのだろう。
中国には昔から、発財（パーツァイ）という考え方がある。直接の意味は読んで字のごとしで、「儲けましょう！」だが、そこに流れる精神は、日本などとは異なるものだ。
中国では王朝でさえしばしば変わるから、財産をどんなに蓄えても、時の権力構造が変わればあっという間になくなってしまう。それなら、どうせ短い人生なら、思い切り金を稼いで、思い切り使って人生楽しまなければ損だ、という考えがあるから散財に何の後悔もないし、もしそれで全てを失ったところで、又、運さえ良ければ「発財」できるだろう―――という現生主義の考え方が強いのだとか。
日本人のように、コツコツ貯めて、子や孫や社会の為にという質実剛健を貴ぶ考え方とは、どうも根本的に違うところがあるようだ。
中国や韓国の正月などに「恭喜発財」と書いた赤い提灯がぶら下がっているのを見かけるが、日本での「五穀豊穣」とか「家内安全」などと比べると、随分と民族性の違いのようなものを感じる。
（9/24/20
10:00pm）
2020年9月24日
ギャンブルと勝負事
現生人類（ホモサピエンス）の歴史は20万年程度でありその人類が農耕を始めたのはせいぜい約1万年前からである。
狩猟生活というのは、獲物に出あえるかどうかはある程度、運次第であり、運が悪ければ何日も時には何週間も獲物に出あわないだろうし、その間、飢えに苦しめられるかもしれないのだ。女たちの採集作業にしても、根菜類や木の実を求めて歩き回らなければならないが、それが手に入るかどうかは多くの場合は運によるといってよい。獲物が得られないからと言って、男も女も諦めてしまっていては家族や種族を維持できないし、そういう根性のない男女の種族の子孫は、とっくの昔に絶滅しているだろう。
すなわち、太古の我々の先祖は、皆、獲物が得られないからと言って簡単にあきらめるのではなく、空腹に耐えてでも挑戦し続けた「根性のある人達」だったのだ。
すなわち、現代でいうなら、負けても、負けても挑戦し続ける、ギャンブル好きこそが、人類本来の特性を備えたエリートの子孫といえるのでは―――とギャンブル好きのタカさんは考えるのだが-----。
ところで、世の中では「ギャンブル」と「勝負事」とは同じことだと考えられているようだが、例えばタカさんの好きな競馬だとかカジノなどをギャンブルというが、苦手な（そもそもルールを知らない）囲碁や将棋は勝負事とはいうが、ギャンブルとは言わないから、「ギャンブル」と「勝負事」は実は大きく違うのではないだろうか。
この違いは、その勝ち負けの主要な要素に、「地道な日頃の努力」といった部分が大きく作用するかどうかではないか―――というのがタカさん説である。
藤井聡太九段の活躍を扱ったドキュメンタリーを見たが、彼の才能もさることながら、地道な努力と研究が今の彼の強さの根源にあることを知った。恵まれた環境に育ったと、いい師匠に出あえた、といった運の部分ももちろんあるとは思うが、それは宝くじで一等を充てるとか、競馬で万馬券を二回連続で当てる、といった類の幸運度とは全く違ったものだ。
タカさんのギャンブル好きは、競馬とかカジノといった不特定多数を相手にして負けた人の顔が見えない勝負に限られる。麻雀だとかカードゲーム、碁将棋といった相手の顔が見えてしまうものはどうしてもダメだ。藤井聡太二冠といえども、勝負に負けた時には相手に向かって「負けました」と言って頭を下げなければいけない―――負けず嫌いなタカさんにはとてもできない仕業だ。
このコロナ騒ぎで、ギャンブルも勝負事も中々出かけていくのが難しくなってきていて、タカさんにとっては、せいぜい電話投票の競馬位しかなくなっているのが何とも物足りない気がするが―――かといって、今更碁将棋を始める齢でもないし―――。
（9/23/20 10:00pm）
2020年9月23日
うまい話
うまい話には裏がある、というのはだれもが知っている話かとおもったが、「ジャパンライフ」による巨額詐欺事件の被害総額が2400億円だときくと、よくもまあ、この低金利の時代に「年利6％」などという「うまい話」に乗ってしまい騙される人が多いものだと驚かされる。
騙された人の多くは高齢者で、その多くはバブル時代に銀行の普通預金でさえ年利6％だったのを経験していて、「年利6％」といううたい文句が、「年利20％」だとか、「一年で倍」などという話に比べて本当臭く思ってしまった――という面があったようだ。
たしかに、今の銀行普通預金年利0.002％、などというのしか知らない世代にとっては年利6％がいかにインチキ臭く聞こえるかを考えたら被害者（要は騙された人）のほとんどが、高齢者というのは分かるような気もするが―――。
本当っぽく聞こえる利率に加えて、あの手この手の騙しのセールストークや出版物という攻勢が加えられるのはジャパンライフに限らず詐欺事件ではよく使われる手だが、被害者の中には「安倍首相からの桜を見る会の招待状をみせられたので信用してしまった―――と訴える人もいて、「安倍前首相の責任」をにおわせるような論調のマスコミもある。
詐欺師が有名人の名をかたり、利用するのはよくある話だから、有名人は常日頃気を付けていないといけないとはいうものの、人気商売という面もある、芸能人や政治家にとっては、貰い事故のようなところもあるとは思う。
その点、このジャパンライフが宣伝に載せていたという新聞のコピーには、この投資がいかに社会的に有益か！などと書いた、朝日新聞や東京新聞の記事が載っていたというし、全国紙に掲載された新聞一面広告などを見て信用してしまった―――という被害者もいるから、マスコミも自分のことを棚にあげて前首相の事を責めるのも、ちょっとどうなのかとも思う。（ただ、いまさら言うのもなんだが、「桜を見る会」などと言うムダな物をやること自身、百害あって一利なし――だったということだろう）
タカさんは某スポーツ紙をかれこれ40年ほど購読しているが、毎週末には「当予想社で、先週も大穴がズバズバ当たった！」などという、競馬予想会社の一面（時には見開き二面）の広告が載っているのにはあきれる。5万円だか10万円の予想代を払えば競馬で、毎週、何百万円も儲かる―――という広告だが、そんなに儲かるなら他人には教えず（他人に教えてしまえば、配当額が下がる）、自分達でそっと買っておけばいいものを―――と誰もが気が付きそうなものなのに、世の中にはジャパンライフの詐欺同様に、うまい詐欺話にのってしまう人が、ここ何十年も後を絶たないようだし、こんな詐欺話の広告を掲載して、広告料を稼いでいるのが、どれも大手新聞社の子会社の全国スポーツ紙だというのに、新聞社からは反省の言葉もなければ、一向に検察の手が入らないのはどういう訳だろうか―――ひょっとしたら、マスコミや、検察まで予想屋詐欺の仲間なのかもしれないなぁ～。
（9/22/20 10:00pm）
2020年9月18日
まだか、もうか
毎日のコロナ新規感染者数の発表では一番多い東京都のそれがニュースなどでは一つの指標になっているが、9月に入ってからの感染者数は概ね100人台から200人台といったところで推移しているが、同じ数字でも取り上げるニュース媒体によってかなりニュアンスが違っている。
例えば、木曜日（17日）の数字は171人であり、この実数は勿論報道媒体によって違わないが、そこにつける説明が媒体によっては「3日連続の100人越え」（NHKや読売）であり、TBSなどのニュースでは「連日200人を割っている」とやっているところもある。
たしか一時期流行ったドラッガーの「ポジティブシンキング」に、「コップに半分の水が残っている」と考えるのと、「コップの水は半分カラだ」と考えるのでは、事実は同じでも考え方が全く違う、と言っていたが、「100人越え」と「200人割れ」も受け取る印象は随分と違う。
この週末は、シルバーウィークの4連休であるから、コロナ禍でなければ気候もよくなってきた時期でもありまさに秋の旅行シーズンで、行楽地はにぎわうし、行楽に出かけない人でも家族でちょっと豪華な外食でもしようか、という時期だが、今年はやはり多くの人が逡巡しているのではないだろうか。
そういう矢先に、「3日連続で100人越え」と聞けば、いかにGOTOキャンペーンがあろうとも、「やっぱり今年はおとなしくしていよう」と考える人がかなりでるだろうし、「連日200人割れ」と聞いて一時期は500人を超えた時期もあったのに、連日200人を割っているなら、随分と下火になったのだから、折角のシルバーウィークだし、半年近く我慢してきたのだから―――と行楽や外食に出かける人もいるのではないだろうか。
「もうはまだなり、まだはもうなり」という相場格言もあるが、高齢者や持病持ちの人と、元気な若者や中年の家族持ちとでは、171人という木曜の患者発生数が、「もう」なのか「まだ」なのかの受け止め方は全然ちがってくるのではないだろうか。
（9/17/20
10:00pm）
2020年9月17日
長生きも芸の内
落語界で大看板と言われる面々は高齢だ。いや、高齢にならなければ名人だとか大看板などとは中々、呼ばれないといってもよく、「若手の注目株」だとか「中堅の重鎮どころ」などと言われるのがせいぜいだろう。
しかし、かれこれ半世紀以上、落語を聞いていると、昨今名人などと言われているクラスの誰もが若手、中堅の頃には「芸は今一つ」などと言われ、中には「下手だねぇ～」と言われていたりしたものだ。
「長生きも芸の内なんていうことをもうしましてぇ～」等ということが、落語のまくらでも使われる位で、自分から引退すると言い出さない限り、いくつになっても続けられるこの世界では、やはり年齢を重ねることが芸を育てることでもあるようだ。（そうそう、競馬にも無事是名馬という名言があった）
確かに、古今亭志ん朝のように若い頃から「上手い」と言われる噺家は少ないし、逆に、上手いと評判だったのに早くに亡くなってしまい名人と言われることもなかった落語家は多い。（個人的には60歳で自死した上方落語の、桂枝雀がもう少し齢をとればどう化けたかを見て見たかったように思う）
法事で経を、あげてもらう時には、やはり若い坊さんよりも、高齢のお坊さんの方が何だかありがたいような気がして、ついお布施をはずんでしまったりもしがちだ。
体力が勝負という面が強い世界ではそうもいかないが、齢をとるとともに、回りから認められる世界は多く、そういう世界では「四十、五十は、洟たれ小僧、六十、七十は、働き盛り―――」と息巻く年寄りも多い。
政治の世界はどうだろう。「若さ」を売り物の政治家も多いが、この世界ではなにかと若いうちには躓きがちで、その内に消えて行ってしまう人も多いが、そんな修羅場を何回も、かいくぐってガッチリ生き残っている政治家が、結局は権力の頂点に上り詰める等ということも多い。アメリカでは、ケネディーやクリントン、オバマの様に比較的若い時に大統領となる例もあるが、最近のトランプvsバイデン両大統領候補のように73歳vs76歳という高齢対決もみられるところからすると、アメリカでも落語の名人同様に、「長生き」が一つの価値になりつつあるのだろうか。
菅新首相は71歳と安倍前首相より6歳も年上だが、六十、七十は、働き盛り――の言葉からすると、まだまだ働き盛りということになるが―――。
（9/16/20 10:00pm）
2020年9月16日
戦いすんで
公職の選挙に立候補するためには供託金を積まなければならない。衆議院選や知事選に立候補するには、300万円、小さい市ならば100万円である。得票が有効投票総数の1/10に達しなかった場合には没収されるのだが、もし1/10以上を獲得できれば一応「xx選立候補」という経歴は残るし公費で選挙ポスターや看板、選挙用のはがきが配られるから、地方の名士などの中には「冥途の土産に」とどうせ当選しないと分かっている選挙に立候補する者もいるという。合格の最低ラインと言われる偏差値に、20も30も足りない難関名門校に、万が一ということもあるからと高い受験料を払って願書を出す「記念受験」に似たところもあるが―――。
自民党総裁選では、立候補の為には「国会議員20人の推薦」が必要とされている。石破さんは、自グループの所属議員が19人だったが、どうにか無派閥からも推薦人を頼んで帳尻を合わせたようだが、有効投票総数534票の内、石破さんの得票は68票、得票率13％だったから総裁選に供託金制度があったとしたら（総裁選には供託金制度はない）、かろうじて没収を免れたというレベルにとどまってしまった。なかにはこの総裁選での3位惨敗に、石破さんは「賞味期限切れ」等という厳しい見方もでてきているとか。
勝った菅さんだが、アメリカの大統領選挙などではしばしば起きる地滑り的勝利（Landslide victory）という奴で、全体の票の70％も集めてしまい、陣営の一部は、「勝ちすぎだった」と心配しているという。（武田信玄は、五分の勝ちであれば今後に対して励みの気持ちが生じるから良、七分の勝ちなら怠り心が生じるから良くない、といっている）
今後の菅さん、石破さんそれぞれに大変そうだ。
（9/15/20 10:00pm）
2020年9月15日
小食と大食
「増税なき財政再建」を掲げ発足した第二次臨時行政調査会は別名「土光臨調」とも呼ばれたのは会長を務めた土光敏夫氏に対する人々の尊敬と期待の念からだったが、「土光臨調」は、後の中曽根内閣に於ける郵政民営化などの行政改革への道筋を築いたといったという点でも大きな成果を挙げたといえよう。
臨調の会長が、親しみを込めて「土光さん」と呼ばれたのは当時NHKが放送したドキュメンタリーの中で紹介された土光さんと奥さんの夕食の様子が、経団連会長という財界トップのそれとは思えないほど質素なものであったことが大きく関係している。土光さんは、夜の宴会や会食を一切断り、自宅で奥さんの用意した一汁一菜の食事を摂ることを日課にしていたというが、土光さんのその日の献立は、メザシと野菜の煮物、汁物と玄米ご飯という実に質素な物であった。
当時、このドキュメンタリーを見た記憶があるが、2，3匹のメザシを盛った皿を前に、食事する土光さんに奥さんが、「もう少し焼きましょうか？」と尋ねると、「もう、いい」と答えるシーンが印象的で今でもはっきり覚えている。当時土光さんは当時85歳だったというが経団連には電車で通い、会館のエレベーターも一切使わずいつも階段で会長室まで上り下りしていたというほど元気だったというから、いくら何でも良くこんなに質素な小食で足りたものだと感心したものだった。
土光さんの質素な食事に感心する一方、最近、一時期問題になって自粛していた「大食い番組」が復活しているようで、先日、たまたまテレビを見ていたら、若い女性がカレーショップに行って5皿分のカレーを注文し、一皿1分ぐらいのスピードであっという間に平らげる―――というのをやっていたが、「カレーは飲物」とのたまうのにびっくりしてしまった。こういう大食い企画のチャンピオンともなるととても人間業とは思えないレベルの人もいるというから若さというのは本当に得体がしれないというべきだろう。
そういえば、相撲のタニマチになる楽しみの一つは、贔屓の相撲取りを連れてすし屋かなにかに行って、彼らの食べっぷりを見て「喰うねぇ～」と感心することだということを聞いたことがある。幕内クラスになるとそれほどでもないが、その関取のお付きでついて来る取的（褌かつぎクラス）になると「好きなだけ喰え」といわれると実に際限なく食べると聞いたことがある。そういえば、育ちざかりの頃、母が作ってくれたチラシ寿司を際限なくお替りしていたら、母がなぜか嬉しそうに「腹も身の内というのに～」と言いながら、食べっぷりのいい取的を見るタニマチのような目で見ていたことを思い出す。
（9/14/20 10:00pm）
2020年9月14日
秋のくだもの
秋が旬のくだものといえば色々あるが、酸味がある果物がやや苦手のタカさんとしては、やはり梨と柿が一番といってよい。
タカさんの出身地である鳥取県は、長く二十世紀梨の生産量日本一であったし、現在住んでいる千葉県は日本梨（和なし）の生産量では二位を大きく引き離す日本一であることもタカさんと和なしとの縁の深さを示しているのかもしれない。
最近は、毎年実家のあった東村山の梨農家に注文して多摩湖の梨を送ってもらっているが、今年は収穫時期の早い幸水は良かったものの、夏の終わりの日照不足が長引いたために豊水は、玉が小さく「お勧めしません」との農家の話だったので代わりに「新高」を送ってもらうことにした。おそらく今週には届くだろうから楽しみだ。
この幸水、豊水、新高といった和なしの代表品種は、皆70年代以降に品種改良によって作り出された品種であり、それ以前は二十世紀、長十郎が圧倒的人気の品種であった。タカさんの子供の頃は父の鳥取の実家から送って来る二十世紀を食べるとちょっと豊かな気分を味わえたものだったが（確か、長十郎に比べて少し高かったと思う）、あれは、いま小学生の孫娘が葡萄といえばかなりお高めの「シャインマスカット」しか見向きもしないのと同じようなものかもしれない。
次にタカさんが好きな秋の果物といえば、やはり柿だ。日本の秋の里山の風景といえば、やはりたわわに実る柿の木、夕焼け空の中をねぐらに急ぐカラス、といったところが思い浮かぶが―――。
イギリスにいた頃、八百屋の店先に柿を見つけて、何処産かときいたところ、スペインかイスラエルだろうと聞いて驚いた記憶があるし、アメリカでもゴルフクラブのシャフトに柿材（パーシモン）が使われているのに、柿の木を見たことがなかったし、柿の実が店先に並んでいるのを見たことはなかった。
とはいうものの、柿は意外にも世界中で生産されている果物のようで、統計をみると、日本の生産量は世界第4位でしかないというから、タカさんの心象の日本の秋は、思い込みが作った代物なのかもしれない。
（9/13/20 10:00pm）
2020年9月11日
好き嫌い
自民党総裁選と合流新党代表選でそれぞれの候補が政策論争を行っていたが、両党の候補もその違いはほとんどないようだ。
同じ党なのだからイデオロオギーの違いがあるわけではなく、そうならざるを得ないのは当然かもしれないが、選ぶ方も、基本は「どちらについた方が自分にとって得か」という利害計算と、あとは要するに誰が好きで、誰が嫌いかで、決めるといってよいようだ。
利害の点においては、いずれの党に於いてもやはり「勝ち馬に乗る」のが断然じぶんにとって有利という判断が働くから、自民では菅、新党では枝野の両候補に乘っておけば自分にとって何かと有利であろうという判断が働く。まあ、余り勝ち馬組が多すぎる場合には、その中のワンオブゼムになって埋没してしまう位なら、それ以外の候補を応援して自分自身の存在価値を印象付けておく―――等という高等テクニックもないではないが、その場合、その作戦が外れると、相当な冷や飯（人事や、次期選挙の公認問題で不利になるといった――）を喰う覚悟も必要になるから、ここは無難に勝ち馬に乗るというのがやはり賢い判断かもしれない。
さて、利害からの判断以上に大事なのは実は「好き嫌い」だ。政策に大きな違いがない者の中から選ぶとなれば、「あいつは嫌いだ」と思っている候補に投票するのには、よほど利害関係上やむを得ない―――と言った場合でないと難しい。
総裁選や代表戦に限ったはなしではなく、そもそも反自民だとか蓮舫嫌い、あるいは共産党嫌い、といった世論の多くは、それがイデオロギーや党の政策が嫌いだからという理由からではなく、生理的に安倍嫌い、生理的に蓮舫が嫌い、生理的に共産党が嫌い、といった理由が主であって、嫌いだということの理由付けの為に、後付けで色々と言っているのに過ぎない場合が多い。
もっとも、かつては田中真紀子やら、鳩山由紀夫、辻井清美などという今は嫌われ者のトップランク入りしている人が「首相になって欲しい人」のトップを飾っていた時代もあったから政治の上での好き嫌いは、かなり移ろい易いことも事実だ。要は、政治とは移ろい易い人の好き嫌いで動いているのかもしれない。
（9/10/20
10:00pm）
2020年9月10日
マスク外交の怖さ
気が付いてみたらマスクの供給はほとんどが中国製だったがために、マスクの取り合いが起きて医療現場も「武器なしで戦いに行けというのか！」とパニック状態の一歩手前だったというのがほんの半年前の話だ。
何もこれは日本に限った問題ではなく、アメリカやヨーロッパでも起こった問題で、供給元の中国はマスク不足で混乱する国々には、「マスク外交」といわれる―――マスクを優先的に供給するから中国寄りの政策を求めるという―――札束ならぬマスクで頬面を叩くような―――狡猾な外交を展開し、中国は、意に反して好感をえるどころか反感を買ってしまう―――等という事態を起こしてもいる。
19世紀中ごろに起きたアイルランドでの大飢饉は、アイルランド人が食糧を全面的にジャガイモに頼り過ぎていたために、そのジャガイモに立ち枯れ病が発生しほとんど全滅してしまったことで起きたのだが、このジャガイモ飢饉と言われる大飢饉で当時のアイルランドの人口（650万程度だったといわれる）は、飢饉発生3年で、2/3にまで激減していたというから、単一の農作物、単一の供給先に頼る農業が疫病などによって断たれた場合のリスクの大きさの先例だったのだが、その怖さが、今回の日本のマスク騒動でも出てしまったわけだ。
何事につけ、日本国内で供給できるものは、ある程度国内で作れる体制を維持することは国の安全保障の上でもある程度必要だ。しかし、やはり国際価格よりもはるかに高い物を、国内で作るよりは輸入した方が合理的だというのも、米や食肉などの食糧品では否定しがたいところもあるから、食料安全保障と経済合理性の匙加減は実に難しいところだ。
日本がどうしても安価に自給出来ない物の代表としてエネルギーがある。原子力はある意味自前のエネルギーともいえる部分もあるが、安全問題からフランスのようにこれに大きく依存する訳にはいかないし、風力や太陽光などの自然エネルギーは、まだまだコストが高く、水力はもうすでに作れるダムの余地は少なくなってしまったし―――。
そうなると、まだまだ天然ガスや石油、石炭といった化石燃料にある程度たよらざるを得ないが、昨今の地球温暖化防止のムーブメントからしてこれに大きく頼るわけにもいかない。まして、これらのエネルギーはほぼ全量を輸入に頼らざるを得ないが、中国にマスク外交で脅しをかけられたように、例えばロシアなどからの輸入の場合、あまり大きく頼ると、一朝ことが起きた場合、「日本がガタガタ文句をいうなら供給を止めるぞ！」と今ロシア産のエネルギーに大きく依存している欧州各国が直面しているような問題にあう可能性だってある。
まあ、それに比べれば、東南アジア諸国やオセアニアからの輸入は、比較的そういった恐れが少ないし、昔の傍若無人さがなりを潜め経済合理性に基づいて市場供給をしている湾岸諸国からの輸入ならばロシアからの輸入よりもリスクは少ないといえるかもしれない。
中国発のマスク外交から、我々は改めてソフト面での安全保障をかんがえなおさなければいけないと気付かされているようだ。
（9/09/20 10:00pm）
2020年9月9日
前途多難
立憲民主党と国民民主党などで結成する合流新党の代表選が7日告示、10日投開票で進行中だが、折から自民党の総裁選が8日告示、14日投開票で進行中でもありそのニュースの中ですっかり埋没してしまった感じではある。
去り行く安倍首相の支持率が、同情票もあるのだろうが57％と高く、自民党の支持率も41％と立憲民主党と国民民主党の合計の約10倍あり、まして国民民主党の10数人が不参加、新党名さえも合流前から不協和音がささやかれている状態となればいかに反自民・反安倍の朝日や毎日が、合流新党の代表戦を盛り上げたくても、術がないというところだろうか。
今回の自民党の総裁選で、一般党員投票が行われないことを非難していた自民党外の連中も、それでも自民党は曲がりなりにも県連単位での地方代表票は、加味されるのに比べれば、合流新党では国会議員のみの全くのインサイダーばかりの投票で選出され、一般サポーターの意見は考慮されない―――というのだから、自民党総裁選のやり方を非難するわけにもいくまい。
ところで、立憲民主党の枝野代表と、国民民主党の泉政調会長の一騎打ちで行われる合流新党の代表選だが、参加する国会議員の数からは枝野氏が断然有利と伝えられるものの、ネット上では「立憲民主党東京都連に所属する同党のパートナー」を名乗る人物が二人の内のいずれが代表として相応しいかのアンケート投票を実施中で、これによれば8日夕刻の時点では投票総数34000票余りの内、泉氏が29000票余りを集め、大本命のはずの枝野氏の7倍ほどの得票を集め圧勝している。
まあこういうネット世論をどう受け取りかたには色々あろうが、少なくとも枝野さんは、世間では余り好かれてはいないということではないか―――とも思えてくる。合流新党の前途も中々大変そうだ。
（9/08/20 10:00pm）
2020年9月8日
避難指示
台風10号は、九州全域を暴風雨に巻き込みながら北上を続け朝鮮半島に進みその後日本海へ抜けたようだ。
とんでもなく大型の台風がやってくるとの警報が前広に出され、7月の豪雨災害の記憶も生々しかったことあって、食料を備蓄している人も多かったようで大きな混乱はなかったというし、けが人や死者も巨大台風の割には、比較的小規模で済んだと報じられている。
人々に、ここ数十年に亘る大規模災害の記憶が鮮明であったからだろうか、どうせ大したことはなかろうという「正常性バイアス」も以前ほどではなくなってきていることが、早め早めの準備や避難に結びついた結果であるようにも思う。只、今回の台風に際しての警報の内容については将来に課題を残した部分も多いように思う。
一つは避難警報についてである。結局今回の台風10号に際しては、行政は、九州、四国、中国地方の各地に於いて、計約401万世帯、約860万人に対して避難指示または避難勧告を発令したという。まさに空前の規模だった訳だが、コロナ禍でもあり避難所に於ける受入れ定員は、通常の半分以下としていたため多くの避難所では満員となり、断ったり、代替の避難所まで100キロ近くを移動せざるを得なかったといったケースもあった結果、避難所などに身を寄せた人は18万人程度であったという。
このコロナ禍で18万人もの人を受け入れる避難所が良く準備できたと行政の努力に感心させられる一方、860万人に避難を呼びかけながら、その2%しか受け入れ容量がなかったという事実（逆に言えばキャパの50倍もの住民に指示や警告を出したということ）を、行政としてはどう考えているのかという疑問が湧いて来る。
タカさんの住んでいる町は大部分が湾岸の埋め立て地であり、この街から出て行こうと思えばいずれかの橋を渡らなければ出ていけない。以前、町内会の役員をやっていたときに、市の防災訓練に参加したとき、大地震が来て橋が全部落ち、もし大津波が襲った場合、船を使ってこの島のような街から脱出しなければいけないと知って（実際に、救命胴衣を着けて、ボートに乗って避難するという訓練もあった）驚いた。約17万人いるわが市に大津波警報が出たら短時間の内に逃げなければ、ネズミ捕りに入れられたままバケツに沈められるネズミのようになってしまうのか―――と思ったらぞっとしたものだったが―――。あの訓練以降、あの時のような想定の場合どうすべきなのか――――解決方法の案内はない。要は、そんなときにはあきらめるしかないということなのだろうと思っている。
台風10号の、避難指示を聞いて避難所にいったら、満員だと断られた方々は、一体どうされたのだろうか――。
（9/07/20 10:00pm）
2020年9月7日
ファイティングポーズ
自民党総裁選は、菅官房長官が既に議員票の7割を固めたと報じられており、それはすなわち総裁選の投票総数535票の過半数（267票）を優に越していることでもあるから、地方票（計141票）を菅氏以外が総取りしたとしても菅氏には遠く及ばないから、既に勝負は決しているようだが、岸田、石破の両氏は選挙活動を止めてはいない。
勝負は蓋を開けるまで分からない、とは言うし3位が2位と組めば首位を逆転するチャンスがあるというなら（過去には2位の石橋湛山が3位の石井光次郎と組んで首位を走っていた岸信介を破ったという歴史はあるが）投票迄レースを継続することには意味があるかもしれないが、今回の総裁選で二人はなぜ選挙戦を継続しようとするのか――――何事にもあきらめの早い（要はねばりのない）タカさんにとってはある面、理解しがたいところもあるけれど、考えてみると、岸田、石破両氏にとっては、選挙戦を続ける意味は大いにあるし途中で降りる訳にもいかない事情もあるようだ。
それは両氏にとっていずれが2位になるかが今後の政治生命に於いて大きな意味をもっているからだろう。大差ながらも2位になれば菅内閣発足後も自民党内で一定の存在感を示すことができるだろうが、3位になってしまうと党内での存在感は一気にしぼんでしまうだろうし、昨日まで周りにいた取り巻き連中も、ひょっとしたら蜘蛛の子を散らすように去っていく可能性もある。トランプ氏やバイデン氏よりは若いとはいうものの菅さんも今年71歳、そんなに若いとは言えないし、その彼に万一の事があれば今回2位になっておくのと3位で終わるのとでは大分違ってくる可能性だってある。
話は違うが、土曜日の巨人阪神戦で、阪神の先発藤波投手は、悪い癖が出てコントロールの乱れなどがから2回に2点、3回に5点取られて早々と7対0と阪神はノックアウト状態になったが、矢野監督は藤波を続投させた。藤波は5回にも四球や連打で5点をとられ結局125球（四死球11、被安打9）を投げさせ11対0となってからようやく交代させた。しかも残り4回の攻撃チではないか。雨の中を1時間遅れとなった伝統の一戦を応援にきていた阪神ファンは、いかに敗色濃厚とはいえ早々と白旗をあげたかのようなこの矢野采配をどう思っただろう。13連戦の2戦目だけに、投手の無駄遣いを避けたいとか、負け試合での主力選手の消耗を防ぎたいといったお家事情を考えたのだろうが、指揮官がこうも早々と白旗を掲げてしまっては、選手は勿論全国の阪神ファンはさぞやがっかりしたことだろうし、シーズンあと55試合を残すチームの士気もおおいに傷ついたのではないだろうか。
総裁選も野球も、例え敗色濃厚といえどもファイティングポーズをとり続けることは常に大切だと思わない訳にはいかない。
（9/06/20 10:00pm）
2020年9月4日
すーだら節
植木等の「すーだら節」や彼主演の「無責任男」シリーズがヒットしたのは今から半世紀以上前の事であるから今や大昔と言ってもよいだろう。日本人がアリのようになってわき目も降らずに働いていた時代だからこそあの破天荒な歌詞やキャラが受けた――という面はあると思うが、「チョイと一杯のつもりで飲んで～、いつの間にやら、はしご酒、気が付きゃホームのベンチでごろね♪～」などという当時のまじめサラリーマン達にとってはあまりにも破天荒に聞こえる（？）行為だが、このコロナ騒ぎで再び夢の話になってしまったようだ。
そもそも仕事帰りの「チョイと一杯」も居酒屋での飲み会も、リモートワークになってしまっては機会もないだろうし、時間を限ってのリモート飲み会では酔いつぶれる―――等ということもあるまい。
この半年以上に渡って自粛を余儀なくされた、日本のビジネスにおける必須アイテムといわれた「飲みニケーション」だって今になって考えてみれば実は、そんなに必要でもなかった――ということに皆が気付いたから、これからのコロナ後の「新しい日常」では又元の様には復活することもなさそうだ。そうなれば、コロナによる怪我の功名のようなもので、飲みニケーションの減少は、案外日本人にとてプラスをもたらした――ともいえるようになるかもしれない。
勿論、飲食業や、観光業、小売業等々思わぬ苦境に立たされ、雇用の縮小や産業構造の変革によって貧富の差は広がるなどのデメリットも多いから、あんまり気楽なことばかりいっていると怒られそうだが―――。
先日、アンケートで、実際にテレワークで働いた人の約6割が、「コロナ収束後もテレワークを続けたい」と解答したという記事を読んだが、やはり「すーだら節」の時代は遠い遠い昔の話になっているようだ。
（9/03/20
10:00pm）
2020年9月3日
会員特典
タカさんは千葉ロッテマーリーンズファンクラブの会員だ。ステータスはゴールド会員とやらで年会費は11000円だが、チケットやら応援グッズが特典としてついて来るし、前売り券発売でも「会員優先売り出し」という一般売り出しよりは早くに、しかも会員特別価格というかなりの割引価格で買うことができるなど一寸エリート（？）意識がくすぐられる仕組みになっており、毎年、喜んで継続会員となっている。
調べてみると、千葉県の自民党党員の年会費とやらは（県によって違うのかもしれないが）年額4000円だそうで、立憲民主党等と同じレベルのようだ。かつては自民党に限らず企業単位、組合単位などで強制的に加盟させるところがあり、党費も企業や代議士が肩代わりしているなどということもあって問題になったことがあるが、今はどうなっているのだろうか。
一応、個人が党費を払っているとしても、党費の趣旨が基本的には「党の主義、政策、綱領に賛同し、応援するため」となっているから要はファンクラブのようなものと考えてもよさそうだ。
党員となり党費を払う特典としては、「2年継続して党員になれば総裁選の有権者になれます」と書いてあるにはある。
安倍首相の突然の辞任で急遽次の総裁を決めなければいけないのだが、総裁選の規定では臨時の場合には党員投票を省くことができ、自民党所属議員間で選出することができるらしい。
菅官房長官を過半数の派閥が推し、岸田、石破の両氏を推すとみられるのは自派閥というか自グループの議員のみとみられるから、特に地方の党員の間での人気が高いといわれる石破氏は、「党員の声を聞かないでいいのか！」「許されない！」と息巻いておられるようだがまああの老練老獪な二階幹事長の剛腕の前では、負け犬の遠吠えの観が強い。
党員参加の正式な党大会で選べば石破氏が当選するとは彼が安倍政権に対してずっと後ろから鉄砲を撃ち続けてきたことや、掛け声ばかりで実行力が伴わない「言うだけ居士」的なところを考えると、自民党員の中にも好ましいと思う人は少ないとも言われているから、なんとも言えないけれど、まあ、一年以内には必ずある総選挙の後の総裁選まで待つ以外ないようだ。
それにしても、「地方の声を聞かないで決めるのはおかしい！」と声を荒げて叫んでいるのが石破さんをはじめ自民党員ならまだしも、反自民、反安倍の野党やら評論家、マスコミが口汚くののしるのは、いささか醜悪だ。（ロッテファンの応援は、相手チームにも絶対に罵声を浴びせないし、往々にして好プレーには相手といえども拍手をおくっている。西武にいた時代現楽天の岸投手がマリーンス相手にノーヒットノーランを達成した時は、タカさんの回りのマリーンズファンは、異口同音に「好い物をみせてもらった！」と岸投手に拍手をおくっていたっけ）
彼等が言いたいのは自民党の議員だけで日本の次の首相を決めてよいのか！ということなのだろうが、日本は議員内閣制をとっている以上、こういう選び方で次期首相が決まることもあり得る訳で、それがいやだというなら憲法を改正してアメリカや韓国のような大統領制にでもするしかない。
（9/02/20 10:00pm）
2020年9月2日
語り継ぐこと
三島由紀夫の自伝的小説「仮面の告白」は冒頭、主人公が自分の最も古い記憶は母の胎内から出生した直後の産湯につかっていた記憶であるという衝撃的な一文から始まる。
まさかそんな訳はあるまい、小説だから許される話だと一笑に付してしまいそうだが、さすが稀代の文豪だけあって妙に印象に残る冒頭だった。
タカさん自身のもっとも幼いときの記憶は、赤ん坊だった妹がおぶってもらおうと急に背中に乗ってきて危うく縁側から落ちそうになった――という記憶だ。妹とは2歳半違い、その妹がヨチヨチ歩きしていたのだからおそらくタカさんが4歳になるかならないか頃の記憶だと思うが、一般的にも人の最遠の記憶の平均は、3.9歳程度だというからまあそんなものだったのだろう。
今年で戦後75年だというので数々の特別番組が組まれているが、終戦時4歳だった人でさえ今年79歳、子供心にうっすらとでも玉音放送で流れる天皇の終戦の詔書を聞いた記憶があるという人は皆もう80代半ば以上の人だろう。（ちなみに72歳のタカさんは、勿論戦後生まれだ）
先日、撃沈した戦艦大和に乗り組んでいた少年兵たちのドキュメントを見たけれど、彼らは当時、皆15歳から18歳、すなわちインタビューに答えた時点で既に90歳以上の高齢者であり、中には103歳などという人もいたが、その前にやっていた「2.26事件の全貌」などに出ていた反乱軍と鎮圧部隊の下級兵士だったというご老人は、事件が終戦より更に9年も前だけに、既に100歳を超えておられた。
10年後、終戦から85年を迎える時、このドキュメントに出てこられた方々の何人が生きておられるだろうかと思うし、戦後100年となる今から25年後に、当時兵士だった人達は勿論、学童疎開の経験があるという人の一体何人がその生々しい記憶を語ることができるだろうか。
今の日本の平和を守り続けるためにも、戦争の記憶を忘れてはいけない、とはいうものの語り継ぐということがいかに難しいことなのかとつくづく思う。
（9/01/20 10:00pm）
2020年9月1日
スーパー銭湯
横断歩道で信号が青になるのを待っているおじさんが、信号を無視して渡って行く若い女性を声を荒げて注意していた。女性は、前後見渡しても車はいないから大丈夫だろうと渡ったのだろうが、確かに女性の行為はルール違反であり、もしそれを小さい子供が見ていたら、子供の教育上良くない等と考えれば、おじさんの注意は何も間違ってはいないのだが―――。
コロナ禍で自粛が要請されているにも関わらずホストクラブなどの「接待を伴う飲食店（？）」でクラスターの発生源になったなどと報じられた人に対する世間の風当たりが度を越していると話題になっているが、赤信号なのに横断していった女性を叱っているおじさんと共通しているところがあるようにも思う。
一見すると社会正義を振りかざして「悪」を正しているようだが、その心根の底には「自分はちゃんと守っているルールを、あいつ等は守っていない！不公平だ！」という正義感とは無縁な、「ひがみ」のような感情や憤りの叱責の様にも思える。
フランスやスペインなどではバカンスで多くの避暑客が感染爆発の第二波の原因になっているとか、フロリダやカリフォルニアのヌーディストビーチでコロナ患者が出ている―――等というニュースが流されると、「自分達はGOTOトラベルにも行かず我慢しているのに、あいつ等は楽しんでいていいなぁ～」という思いがコロナ発生と聞いて思わず「だから言ったことじゃない！」といううっぷん晴らしで出てくる――等というところもあるのではないだろうか。
視聴者が求めるからかも知れないが、マスコミもそういう視聴者に迎合して、バカンスやヌーディストビーチのニュースをことさら取り上げているようにも見える。
確かに武漢という中国の一地方都市の一海鮮市場から始まったコロナが今や世界全域に広がり感染者数2千5百万人、死者85万人にも拡大してしまったのだから欧州やアメリカのヌーディストビーチで起きたことを無視してよいとは言えないかもしれないが―――日本の銭湯（あそこもヌーディストだ）でクラスターが頻発している訳でもないから、いささか興味本位であおり過ぎという気がしないではない。
そういえば、もう半年以上、スーパー銭湯に行っていないなぁ～。
（8/31/20 10:00pm）
2020年上期の各月バックナンバー： 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
本日の「日々早々」に戻る
「日々草々」全バックナンバーリンク表 ←ここをクリック
金曜日シリーズ全目次 ←ここをクリック