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2020年7月
＜＜7月タイトル＞
07/31 蛮勇の果て 07/30 イップス 07/29 ハムラビ王は偉かった 07/28 風と共に去りぬ 07/27 理想の未来 07/22
土用丑の日 07/21 フードコートにて 07/20 おたふく風邪 07/17 大気の川 07/15 途中経過 07/14 Ｇｏ To キャンペーン
07/13 リモートじゃダメ 07/10 星が見えなくなる時 07/09 グリーンモンスター 07/08 供託金没収 07/07 孔子は偉かった
07/06 夢物語 07/03 新型豚インフル 07/02 Chapter11 07/01 インスタントラーメン
2020年7月31日
蛮勇の果て
多少の熱なら無理をしてでも仕事に出る―――コロナ前ならば「仕事熱心な人だ」等ともいわれる行為だったが、今そんなことをしようものなら非難の的だし、もしコロナクラスターの発生源だったと特定されたりしたら、SNSなどでは非常識な人として袋叩きにあいかねない。
医療従事者や介護職員であってもコロナになっただけで差別されるというのだから、「接待を伴う飲食店」やら「ホストクラブ」に出かけてコロナに感染－――となったりすれば、下手をすると子や孫の代まで何を言われるか分かったものではない―――なんとも嫌な世の中になったものだ。
そんな話を聞いているだけに、タカさんも、必要以上に臆病にならざるを得ない。子や孫に迷惑をかける訳にはいかない―――という訳だ。
そんな日本だが、外国の中には、結構むちゃくちゃというか、無防備な指導者がいる。トランプ大統領は、2月の下旬の時点でも「コロナなんて暖かくなれば、消えてなくなる」と言ってそのリスクを軽視していたし、マスクにいたっては公共の場でつけたのはなんと7月の中旬になってからでその時点でアメリカ国内の感染者は400万人を突破していた。感染者世界第二位、250万人のブラジルのボルソロナ大統領、ベラルーシのルカシェンコ大統領などはコロナ軽視発言の挙句自らもコロナに感染してしまったが回復したのをいいことに相変わらずの軽視発言を繰り返している。
コロナ回復後のルカシェンコ大統領の発言、「ウォッカを飲んで治した」に至っては、タカさんに言わせれば「人迷惑な蛮勇」としか思えないのだが―――。
そういえば70年以上前、無謀な戦争に突っ込んでいった日本は、蛮勇の果てに国がめちゃくちゃになってしまったが―――またぞろ、GOTOキャンペーンなどの馬鹿なことをやっていて本当に学んでいないなぁ～と思わないではない。
（7/30/20
10:00pm）
2020年7月30日
イップス
阪神の藤波投手は剛腕投手として知られているが、同時に突然コントロールが乱れて自滅してしまうことでもファンを落胆させている。彼のように何かのきっかで手足のコントロールが効かなくなってしまう状態のことを「イップス」といって、野球やゴルフなどで陥る選手が多くいる精神的な症状だ。
イップスは、精神的疾患であることは知られてはいるもののこの状態に陥ると心拍数などにも影響があらわれるので心臓に持病のある人は、イップスに陥る可能性のあるスポーツは避けた方がよいといわれている。
第38代アメリカ大統領アイゼンハワーの趣味はゴルフだったが、彼は心臓に持病をもっていた。そこで彼の主治医は、どうしてもゴルフをしたいというアイク（アイゼンハワーの愛称）に、「ゴルフをするなら、グリーンにオンしたら、パット数として2を加えてそのホールのスコアーとする」というルールで心臓を保護するようにとアドバイスしたという。
シカゴ駐在時代に、グリーン上にまだ雪が残っていてグリーン保護の意味合いからパッティング禁止というゴルフ場で一度プレイしたことがある。すなわちこころならずも「アイクルール」でのゴルフだったのだが、確かにパットでの緊張感はないから精神的な負担はなかったのだが―――はっきり言って、そんなに楽しいゴルフではなかった。
趣味のゴルフで変に緊張して心臓を痛めるとか、ストレスをため込む必要などまったくないとは思うものの、緊張感やストレスがあればそれが解放された時の快感が高まるということを考えると、やっぱりアイクルールはそんなにおすすめのゴルフルールとは言えないように思う。適度な緊張とそれによってえられる緊張の後の解放感といったものが、ゴルフに限らず何事においても必要であるような気がする。緊張しっぱなしで観戦している投手戦よりも、ルーズベルトゲームといわれる8対7の一喜一憂の適度な繰り返しがある所為ではないだろうか。（もっとも、昨日のロッテ対楽天戦のような4時間半にもわたる13対12のゲームだとロッテが勝ったからいいようなものの、心臓にはよくないような気もするが）
それにしても、アイクルールにせよルーズベルトゲームにせよなぜアメリカでは大統領の名前の付いたスポーツ用語が多いのだろうか。
（7/29/20 10:00pm）
2020年7月29日
ハムラビ王は偉かった
テレビドラマ「半沢直樹」の決めぜりふ「倍返しだ！」は、新語なのだろうか。香典の「半返し」だとか、バレンタインチョコのお返しの「3倍返し」、あるいは借りた恩を返すときにつかう「倍返し」なら、きいたことがあるが、復讐の意味での「倍返し」には余り聞き覚えはない。
ハンムラビ法典は紀元前18世紀にバビロニア（現代のイラク南部）の王であったハンムラビが定めた世界最古の法典といわれるもので、条文を楔形文字で書いた大きな石碑は、いまもパリのルーブル美術館に展示されている（レプリカは池袋サンシャインの古代オリエント美術館にもある）が、ここにかかれたあの有名な「目には目を歯には歯を」の条文の趣旨は、「倍返しのような過剰な報復を禁じ、同等の懲罰にとどめて報復合戦の拡大を防ぐ」ことにあったといわれ、この4000年近く前に定められた法律が、今も世界中の法体系の基本原則となっている。
すなわち、復讐の「倍返し」を一度許してしまうと、倍返しされた相手も今度は、それをさらに「倍返し」すなわち最初の4倍にして復讐するだろうし、更にそれに復讐しようとすれば―――と無限復讐エスカレートに陥ってしまう。
日本の仇討も、きわめて厳格なルールがあって、まず仇討の相手をあらかじめ届け出て藩の許可（仇討ち免許）を得ておかなければならないし、仇討された方の関係者が更に仇討返しをすることは禁じられていたから、無限に仇討ちが繰り返されることはなかったのだ。人の世の復讐の連鎖を禁じるという発想は4000年前からあったのだ。
「目には目を歯には歯を」と聞くと「目の玉をつぶされたら、目の玉をつぶし返してよい」という意味にとって、何と野蛮なルールだと思うかもしれないが、そこには今も人々が刑罰に対して望む「等価の概念」があると考えれば、4000年前から人間社会のルールの原則は変わっていないということにもなり、「ハムラビ王は偉かった」とも思えてくる。
（7/28/20 10:00pm）
2020年7月28日
風と共に去りぬ
アメリカでは「BLACK LIVES MATTER」運動が広がりを見せており、南北戦争当時の南軍の将軍たちの像が撤去されたり、打ち壊されたりしているようだが、マーガレット・ミッチェルの原作のハリウッドの歴史上の名作といわれる映画「風と共に去りぬ」が「南北戦争前の南部を美化し、奴隷制度の残酷さを無視するものだ」と指摘されたことに慌てたHBOストリーミングサービスは、作品リストからこの作品を削除したという。
米国の黒人差別の歴史的、あるいは今日的問題をよくは知らないだけに、なんとも想像しにくいのだが、江戸時代を舞台にした、例えば黒澤明の「七人の侍」が、物語の背景としている江戸時代の身分制度が許せないからといった理由でツタヤのレンタルDVDリストから削除されてしまったようなものだろうか―。
差別について「頬を打たれた側」（差別される側）の痛みは「頬を打つ側」（差別する側）には分からない、とよく言われる。確かに差別されたことは、忘れないかもしれないが、無意識のうちに頬を打つ側になっていたかも知れないとは余り意識したことはない。まして何らかの差別について被害者でも加害者でもないとすれば、その差別問題を理解することはほとんど絶望的だ。
「座頭市」がテレビの時代劇チャンネルなどで、放映されるときには、「原作者、製作者の意図等を尊重し、オリジナルのまま放送いたします」といった断り書きが流される。作品の中には差別用語が頻繁に使われていることが理由であろうが、作品が作られた時代とそれを再放送する現代との差別用語に対する製作者のみならず社会の受け止め方の違いからくる背景の違いを考慮しても作品の放映がダメとなると、今は亡き勝新太郎の映画（例えば「兵隊やくざ」や「悪名」シリーズの再放送はみんなダメということになってしまうから、せめて申し訳程度であったとしても、断り書きをテロップで流して放映するのは、許されるべきだろう、ということは、HBOも座頭市同様の断り書きを入れればよかったのに――とおもわないではない。
ところで今日の新聞に「風と共に去りぬ」でメラニー役を演じたオリビア・デ・ハビランドが亡くなったという記事が載っていた。1939年という今から80年以上前に作られた映画の準主役がまだ生きていたということだけで驚きだったが、享年104歳だったという、主演のヴィヴィアン・リーが亡くなってから50数年後ということになるそうだ。
（7/27/20 10:00PM）
2020年7月27日
理想の未来
10年ほど前に公開されたピクサーのアニメ「ウォーリー」で描かれた未来社会は、800年後の社会だった。
人類は環境が破壊された地球を離れて宇宙に浮かぶ巨大宇宙船で暮らしている。ここでの暮らしは人類にとって理想的なもので、人々は働く必要が一切なく、毎日陽光に恵まれたプールサイドで十分な食料と飲物を与えられてビーチベッドに寝そべって気楽に過ごしているから、全員が肥満体だ―――。働く必要がないなんて―――みるからに理想の未来の到来とも思えるのだが―――。
シンギュラリティ―の到来がいよいよ現実味を帯びてきており、何事も人間がやるよりはAIに任せた方がはるかに早いし正確になる―――などと言われ、エネルギー問題だって今から800年後となれば、多分、人類は無限、無尽蔵で超低コストのエネルギーを手に入れている可能性があるから、確かにこの「ウォーリー」に描かれたような社会が実現しているかもしれない。
ストーリーは、ピクサー/ディズニーアニメだから、「愛と感動のハッピーエンド」で終わるのだが、このアニメを見て以来、常にそこはかとない「理想の」未来への不安感にとらわれて、考え込んでしまう。
今我々人類が追い求めている理想の未来とは、「ウォーリー」で描かれた800年後の社会のようなものであり、それは例えば永遠の命とはいわないまでも超長寿社会であったり、働かなくてもゆったりと暮らせる豊かな生活であったり、悩みの一切ない幸せな家族関係や対人関係――と言ったものだがそれ等が総て満たされてしまうとしたら―――人間は果たして幸せなのだろうか―――と思うのだ。
コロナで長い間自粛を要請されていたからこそGOTOキャンペーンなどと言う政府お墨付きの「出かけましょう！」の号令がかかれば、例えコロナが怖いと思っても、老いも若きも浮かれて出かけるのだろうが、コロナが消え去り、一年中何の心配もなく旅行に出かけ、自由気ままに外食に行ける身分になってしまえば、旅行も外食もきっと飽きがくるだろう。それはいくらゴルフが好きだからと言っても、毎日毎日ゴルフばかりやっている金持ちたちが、必ずと言ってよいほどゴルフに飽きてしまうのと同じだ。毎日漁にでている漁師で、偶の休みの日に趣味で魚釣りにでかける者はいないというのと同じで、長寿にせよグルメにせよ、求めても容易には得られないからこそ得ようと思って努力するし、努力するからこそ得られたときの満足が大きいのではないだろうか。
タカさん個人は経験できない未来ではあろうが、シンギュラリティ―にせよ、無限のエネルギーにせよ、実現した社会においてどうやったら人類は幸せでいられるか―――そろそろ人類全体で、考えて準備を始める時期に来ているように思わないではない。
（7/26/20 10:00pm）
2020年7月22日
土用丑の日
昔マニラの中華料理店で接待された時、大皿に甘酢餡かけの大きな魚らしきものが出てきた。頭も尻尾もあるわけではない丸太のような魚（らしきもの）のぶつ切りの胴体をから揚げしたものに甘酢餡がかかっている―――といった代物だったが、回りには香草などが飾られ、見かけは随分豪華にも思える一皿だった。「この魚はなんですか？」と尋ねたところ鰻だという。いくらでかいといったって、こんな丸太のような鰻があるとは！とびっくりしたけれど、聞くところによるとフィリッピンの鰻は皆この程度には大きいのだと言われて二度びっくりしてしまった。
当時、新幹線で売っていた鰻弁当の鰻は「切手大」などと揶揄されるほど小さいのに結構いいお値段だったから、この巨大鰻の甘酢餡かけが、タカさんの鰻のイメージにとっていかに破格のものであったか―――ご理解いただけるかと思う。
あまりびっくりした所為か、箸をつけたかどうかさえもよく覚えていないから、味がどうのこうのとは言えないけれど、オランダで鰻の燻製を食べた時同様に、やっぱり鰻は日本のかば焼きで食べるに限るのでは――と思う。
幼い頃の思い出の中には、祖父よく自分も好物だった「大和田」の鰻をとってくれたこととか、結婚してから実家に娘たちを連れて帰ると母が「川のぶ」の鰻重をとってくれたことを思い出す。
いまやNYやロスをはじめ世界中に日本の鰻屋が店を出している時代だが、以前は鰻のかば焼きは、海外では食べられなかったので、海外駐在員やその家族に土産に持って行くと何よりも喜ばれたもので、タカさんも海外出張に出かける時にはいつも駐在員家族用の土産として「ての字」の鰻を真空パックにしたものを段ボール箱に詰めて持って行ったことを思い出す。そんなこんなもあって鰻はタカさんの思い出のいろいろな場面で顔を出す特別な御馳走だ。
今日は土用丑の日だが、この「土用丑の日」に鰻を食べるという習慣は、かの平賀源内が夏枯れでさっぱり客が来ない鰻屋に頼まれて客寄せ用に考え出した江戸時代最高のキャッチコピーだという話だが、300年も前に考え出されたコピーがいまだに威力を発揮しているというのだから―――今彼が生きていたらどんなに凄いキャッチコピーを書いてくれているだろうかと想像するだけでも楽しい。
（7/21/20 10:00pm）
2020年7月21日
フードコートにて
フードコートの隣の席に60代位の夫婦が座っていた。この二人、それぞれ違った店のメニューを頼んだようで、まず奥さんの、店から渡された呼び出しブザーが鳴ったようで彼女が席をたっていった。すると彼女が戻る前に、今度は旦那の席に置いてあるベルが鳴りだしブザーはずっと鳴りっぱなしだというのに、彼は一向に席を立つ気配もなく我関せずと携帯をいじっている。
その内に丼物らしきものを席に持って帰ってきた奥さんは、自分の注文品を席に置くや、今度は旦那の前で鳴っている呼び出しブザーを持って旦那の注文品を受け取りに行き、今度は麺類のトレイを持って帰ってきた。これを見るとなく見ていてびっくりしてしまった。旦那は足でも痛めて歩くのが不自由なのかといぶかったが、車いすもなければ杖をついている訳でもない、いたって壮健そうなのだ。奥さんはかいがいしく旦那の箸などをそろえてあげている間も、旦那はひたすら携帯をいじっていて、その内二人は会話もなしに食事を始めたではないか―――！
もしこれが我が家であるならば、妻の注文品を受け取りに行くまではやらないかもしれないが、少なくとも自分の注文品は自分で取りにいっただろうし、若い世代だったら妻の分まで旦那がとりにいったのではないだろうか等と思ったのだ―――。
以前に英米でのレディーファーストの習慣について本欄でも書いたことがあるが（参照：「レディーファースト」1/27/14）、随分、欧米の習慣が定着してきたはずの日本だが、まだタカさん世代の夫婦には、こういった昔流の「亭主関白」夫婦がいるようだ。
レディーファーストのマナーは、元々はヨーロッパの騎士道から始まったといわれており、強い男はか弱い女性をいたわるものだという考え方から来ているというが、騎士道精神と似た精神だと言われる日本の武士道精神には、そういう考え方はなかったのだろうか？ そういえば、時代小説などでは、夫が妻の食事を気遣い、世話をする場面――などというのは出てこないし、逆に妻がむっつりと黙り込んで食事する夫にかいがいしく給仕する場面――等というのばかりのような印象がある。
フードコートの隣の夫婦に、ちょっと驚いたタカさんではあるが、よく考えてみるとマックに行った時などは、妻が二人分を注文して席まで運んでくれるのを、タカさんは席で待っているだけだなぁ～と思い出した。
やっぱりタカさん夫婦も古い世代に属しているのは間違いないようだ。
（7/20/20 10:00pm）
2020年7月20日
おたふく風邪
おたふく風邪は一度かかると免疫ができて二度とかかることはないと言われており、昔は、近所の子供のだれかがかかったりすると、親が子供に「外で遊んで来なさい」などといってわざわざおたふく風邪にかからせようとしたりもしたようだ。昔はどこの家も子供が多く兄弟姉妹の内のだれか一人がかかってくればあっというまに家族全員がかかり、免疫ができるということもあったようだ。
そんなことをしてまでわざわざおたふく風邪になっておこうとしたのは、幼いうちにかかると比較的軽く済むのに、もし大人になってからかかると重症化しやすく、難聴になるとか女性の場合不妊症になってしまうことなどという深刻な後遺症もある事が知られていたからで、小さい子の親としては「禊は早い内に」と考えての、「外で遊んで来なさい」だったのようだ。
はしかやおたふく風邪の免疫のように一度獲得すると一生有効だというのなら、コロナウィルスにも一度かかってしまうとか、ワクチンを早期に開発しこれを接種すれば、もはやコロナにビクビクする必要はなくなってしまうはずなのだが―――。
ニュースによると中国武漢で、コロナ罹患者の抗体検査をおこなったところ、90％以上で抗体の水準が2─3カ月で急低下したことがわかったという。サンプル数も多くはないので極端に悲観するのは尚早ではあるものの、一度免疫を獲得すれば二度とかからないと言われるおたふく風邪と、コロナウィルスの免疫は随分違うようで心配だ。
期待はどんどん膨らんでいるコロナウィルスワクチン開発にしても、今のところ期待値ばかりで、いつになったらという目途が立っている訳でもなく、SARSやMERSのように、世界中で開発に取り組むも結局開発を断念――などという最悪のシナリオも考えられなくもない。
もし、本当に、コロナ抗体が一度得られても急激に低下する性質のものであり、あるいはワクチンが開発されない――などという場合、来年の今頃、東京でオリンピックなど開催できるのだろうか―――。例え、日本が特攻隊精神で開催を強行するにせよ、もしコロナが、今の状況、あるいはそれより悪い状況だった場合、世界からの観客どころか、選手が日本に来てくれるだろうか―――。
GOTOキャンペーンも東京除外で強行開始したが、世論調査では約６割から8割が「この時期に敢えて旅行にはいかない」と答えているし、看板番組だからと24時間テレビとやらを強行するというテレビ局には、「この時期止めるべきだ！」という苦情が殺到しているとも報じられている。局としては「チャリティーだから――」という名目で強行するようだが、本音は、どうも20億円は入ってくると言われる広告収入が目当てではないかなどとも言われている。それがあらぬ勘繰りだというのなら二次感染の波が押し寄せているいま、この番組を敢えて強行する社会的な意義について視聴者や世論が納得できるように丁寧な説明すべきではないだろうか。
コロナ騒ぎの当初には、「経済よりもまず命」などと言われていたが、ここにきてオリンピックと言い、24時間テレビとどうも「命より商売」が先に立ちすぎているように思えて仕方がない。
（7/19/20 10:00pm）
2020年7月17日
大気の川
広さを説明するときによく「東京ドームのxx個分」という尺度（？）が使われる。東京ドームに行ったことのある人は多いだろうが、例えば東京ドーム200個分、といわれてその広さをどの程度だと、すぐイメージできるひとは少ないのではないのだろうか。東京ドーム200個は、東京ドーム同様によく広さの尺度として使われる琵琶湖の面積だと、「琵琶湖の面積1/7」だそうだから、おなじ広さでも「琵琶湖の1/7」といわれると印象としては「そんなに広くはないではないか」と思う人もいるかもしれない。
ということは、東京ドームxx個分、という言い方は、「すごく広い！」「すごくデカイ！」ということを強調したいときに使われる形容詞みたいなものなのかも知れない。（琵琶湖の面積が滋賀県の総面積の1/6と聞いた時に、琵琶湖って意外と小さい～という印象を抱く人は多いとか―――多くの人が琵琶湖は滋賀県の半分位だと思っているらしい）
熊本県の球磨川が氾濫した翌日の新聞に、「日本上空には大量の水蒸気が帯状に流れ込む「大気の川」と呼ばれる現象が発生していた」という記事を見かけた。この記事によると、この「大気の川」を流れる水蒸気の量は、水に換算すると、日本最大の流量を誇る信濃川の800倍に相当するのだそうだ。
信濃川を見たことはあるし確かに大河だとは思ったものの、その流量の800倍！といわれると東京ドームの200倍以上に、どれ位の凄さなのか想像もできない。ただ、「もの凄い流量だろうなぁ～」と思うし、その1/10どころか、1/20の流量が雨になって降り注ぎ、あの急流の球磨川に流れこんだとしたら、大洪水になるのは必然だとも思った。
もっとも地球にある水の98％は海水だそうで、その膨大の量の水のほんの一部が、蒸発したものが、水蒸気となって上空にただよっているが、その水分量は地球上の水のわずか0.001％に過ぎないというから、自然のスケールから見れば「大気の川」の流量も極微量ということになるのだろうか―――。（参照：「川の話」09/22/11）
（7/16/20
10:00pm）
2020年7月15日
途中経過
いつ終わるとも言えないコロナとの戦いだけに、一旦は感染を抑え込んでいる国でも、ここで手綱を緩めてしまっては、後々「結局感染爆発させてしまった国」として歴史に残る事になってしまう可能性だってある。
ある程度、押さえたように見える国は、それはあくまでも途中経過なのだという謙虚さを忘れず引き続き注意をおこたらないようにしなければなるまい。
日本での人口当たりの感染者数や死者数（人口10万人当たりの死者は0.78人）は、欧米各国などに比べても桁違いに少ないが、これだけ緩い規制しかしていないのになぜ少ないかは、山中教授などが「ファクターX」といっているように今のところミステリーだ。
そんな不思議さがあるからだろうか、日本人は、だれもそれを鼻にかけるとか、自慢する、といったことをしようとしないし、それどころか外国のメディアから「日本はこんなに規制が緩くては、大変なことになる！」と言いたい放題のことをいわれても反論することもなく、じっと耐えている有様だ。
しかし、世界には一旦感染を抑えたかのように見えるや否や韓国の大統領のように「我が国は防疫において世界をリードする国になった。これをK防疫と名付けて世界に発信しよう」などと吹きまくる国や、ドイツのように人口当たりでの感染者、死者数ともに日本の10倍以上もだしているのに「メルケル首相の指導力が素晴らしいからだ」などと自画自賛している国もある。一旦抑えたかに見えた韓国にしても、首相の指導力を称賛されたドイツにせよ、今や二次感染の大きな波に襲われているのだから、やっぱり何事も、途中経過で、余り自慢したりしない方が賢明だそうだ。
（7/14/20 10:00pm）
2020年7月14日
Go Toキャンペーン
物事がうまくいかない場合に、その責任を追及しなければ気が済まないのは日本人に限らず人の常のようだ。トランプさんは。新型コロナウィルスの感染拡大は、中国の所為だと言い、ここに来ての日本における二次感染の広がりについては、菅官房長官は「東京問題だ！」と小池知事を暗に批判するし、枝野さんは「緊急事態宣言をださないという不作為による失敗だ！」と先週の都知事選で敗れた悔しさまぎれなのか小池知事と、政府与党の責任を鋭くなじっている。
まあ、元凶は新型コロナウィルスそのものなのだが、何せ自然界の物の責任を問う訳にもいかないし、コロナウィルスにしても責められたところで「ごめんなさい」という訳もなく、もちろん中国や小池さんや政府だって死んでも「ごめんなさい」というわけもないのだから、言うだけムダといえばムダなことなのだが―――。
まあ、世の中どうしようもない状況で皆がいらだっているときだから、誰かを悪者にしてうっぷんを晴らそうという気持ちになるのは分からないではないが―――。
医療従事者や、介護施設、保育所などの職員、あるいはエッセンシャルワーカーと言われる人々の感染の報に同情や感謝の気持ちが報じられているものの、日本中に700軒あるというホストクラブの従業員や客、「接待を伴う飲食業」の従業員や客が集団感染と報じられた時とかは感染したこと自身が悪い事のように言われるし、昼からカラオケ（昼カラというらしい）でのクラスター発生と聞けば、そこで感染した高齢者には、同情が集まり難いばかりではなく、「どうしてこんな時期に昼から、カラオケに行く必要があったのか！」と非難される始末となっているのだから、臆病な高齢者などはますます家に籠るしかなく、認知症が進む可能性だってある。
そんな最中、7月22日からいよいよ経産省の肝いりの「Go Toキャンペーン」が前倒しで始まるという。「新型コロナウィルスの影響を受けた地域における需要喚起と地域の再活性化を目指す」ことを目的に、官民一体で消費喚起を行う事業だそうで、1兆6794億円の予算が投じられる事業だそうだが、要は「みんなで旅行や観光にでかけどんどん消費をしましょう！」という運動だが、「東京問題」などと言われる二次感染を極力抑えようと高齢者をはじめ多くの人たちが、活動を抑えている今の時期に「じゃんじゃん旅行に行って、大いに金を使ってくれるのなら補助金を出しますよ！」という運動を政府がやるというのだから――もう何が何だか分からないキャンペーンだ。
つい最近までは緊急事態宣言で、県またぎの外出は控えるようにと言っておきながら、それが終わったと思ったら今度は、どんどん旅行に行きましょう！というキャンペーンに1兆6794億円もの予算ばらまきをやるとなると―――政府はコロナウィルスで脳をおかされてゲシュタルト崩壊でも始めたのだろうかとまで疑ってしまう―――。
悪いことに、このGo Toキャンペーンというやつ、アベノマスクと違って誰が言い始め、誰が総責任者なのかがはっきりしていないから「責任者出てこい！」と誰に文句をつけていいのか実に分かり難い。
いやはや、フラストレーションはたまる一方だ。
（7/13/20 10:00pm）
2020年7月13日
リモートじゃダメ
「大学時代の思い出は」といわれて大学で学んだ専攻の分野や教授の名前を語りだす人は多分まれではないだろうか。多くの人は大学時代の友人関係や、あるいはサークル活動や旅行の思い出などを語りだすのではないかと思う。大学時代に限らず学生生活の思い出の大部分は対人関係で構成されているような気がする。
緊急事態宣言解除にともない各地の大学では授業を再開しているが、その約6割の授業は学生の安全を最大限確保する、という名目の下、オンラインによる遠隔授業で行われており、遠隔と面接の併用が2割を占めており、従来通りの面接授業は全体のわずか1割に過ぎないのだとか。
こうなると、学生時代とは「豊かな対人関係を育む貴重な人生経験の場」という意義は、大きく失われることになりはしないだろうか。
職場での人間関係は必ずしも学生時代のように第一義的に大事ということはないかもしれないから、職種によっては、まだリモートワークは成り立ちうるし、学生生活の場合も、第一義的な目的は勿論建前上は「学ぶこと」にあるのだから、リモート授業でもよいはずだが――タカさんの経験から言えば、それでは大学生活の重要な部分が失われてしまう―――という気がしないではない。
友人関係ばかりではない。例えば、生涯の伴侶に出会ったのは、学生時代だったとか職場で出会って――というカップルは多いが、世の中が何でもかんでも「リモート」になってしまったコロナ後の「新しい日常」では、「二人が出会ったきっかけは、リモート飲み会で」といったカップルばかりになってくるのだろうか。そもそもリモート飲み会で知り合って結婚に至る――等ということはタカさんには想像もできないのだが―――。
英国やアメリカの名門大学出身者たちの人間関係も、結構「同級生同士」あるいは「同じ出身校」という関係に基づいている例は多いし、日本でもそういったことで育まれた人間関係は、良きにつけ悪しきにつけかなり強固なものだが、リモート全盛になってしまった世の中では、その種の人間関係は育つものなのだろうか―――。
例えコロナが去ったとしても世の中が、もう「元の日常」に戻ることはないような気もするだけに、まだこれから人生の大半の時期を過ごすことになる人たちは、何かと大変だろうなぁ～と思う。
（7/12/20 10:00pm）
2020年7月10日
星が見えなくなる時
コロナ禍もあって今年は仙台の七夕祭りは中止になったが、来年の七夕祭りも今の時点では確実に開催されるとは言い切れない状況だ。
もっとも七夕祭りどころか、最近は都会では織姫彦星どころか天の川そのものを見ることもなくなってしまった。今や日本人の二人に一人は、「生まれてこの方、天の川をみたことが一度もない」らしいし、「天の川を一度でも見たことがある」と答える小学生は、わずか9％だというから、その内、七夕祭りだけではなく、天の川や織姫彦星のおとぎ話でさえ消え去る運命にあるのかもしれない。
そういえば、かつてニューヨークで大停電があった際に、天文台のみならず警察署にまで、「空にキラキラ光る点がいくつもあらわれた！宇宙人の侵略ではないか？という問い合わせが殺到したというから、今の日本も間もなく大停電の時のニューヨークを笑えないような時代にならないとは言い切れない。
今は、大気汚染が進んでいること、あるいは人間社会で夜の光量が上がっていることなどの理由で夜空の星が見えなくなってきているが、宇宙論の一つには、実際星が総て消えて見えなくなる未来が来るという説がある。
それは、現在広く認められている宇宙の加速膨張に基づく説なのだが、この説によるとハッブルが最初にとなえた「遠くの星ほど地球から遠ざかる速度が速い」という説と2011年にノーベル賞を受賞したパールムッター等が発見した「宇宙の膨張速度はどんどん加速している」から得られるもので、このまま宇宙が膨張を加速させていくと、「銀河同士の距離はどんどん広がり、その内、膨張速度は光の速さを越してしまう」というもので、光の速度を超えて遠ざかっていく星同士は、当然、見えなくなってしまう―――というのだ。こんな未来に生きていたなら、例えいかに空気が澄んでいても、あるいは光量がまったくなく夜空が漆黒の闇だとしても、星が見えることはない！ということになってしまう。
そんな未来があるとしたら、まだ場所によっては満天の星空が見える今の時代に生きている我々は、超ラッキーであるともいえる。
タカさんは小学生の頃、毎夏休みに訪れていた祖父の実家（タカさんの生家でもあった）で満天の星空、天の川、織姫彦星を幾度も眺めた思い出があるが、たしかにこの数十年、満天の星空というのを仰ぎ見た記憶はないから、折角の恵まれた機会をみすみす逃しているともいえるのだが―――。
もっとも地球から回りの星が見えなくなるのは今から1000億年後だというから、そう焦らなくても大丈夫ではあるのだが―――。
（7/09/20
10:00pm）
2020年7月8日
グリーンモンスター
タカさんの家のそばを流れる江戸川沿いの遊歩道をよく散歩するのだが、梅雨の雨の所為もあって、土手の草が日に日にぐんぐんと成長していて、ほんの十日程前に作業員が大がかりに草刈りをしたのに、あっという間に草が生い茂り、もうそろそろ次の草刈りをやった方が良いのに！と思うほどになって来ている。
特に、土手道沿いの金網に巻き付いた葛の勢いはすごいもので、金網フェンスをあっという間に超えて行場をなくした蔓が横に伸びて来た葛と絡み合ってそれはもうすごい生存競争を繰り広げている。中にはそのまま横に伸びて堤防の更に外側の歩道のコンクリートを半分ほど占領している蔓まであるのだから、もう間もなく、歩道の幅は例年のごとくぐっと狭くなってくることだろう。
これほどすごい繁殖力を持つ葛は、その繁殖力を買われて150年ほど前にフィラデルフィアで開催された万博の際に日本館の外壁を緑で飾ろうと速成装飾用に持ち込まれてその美しさが評判を呼び、しかも家畜が好んで食べることもあって牧草用としても、たちまち全米に広がったのだが、近年は余りに繁殖力が強すぎて、他の植生を覆いつくしてしまうことなどから、「グリーンモンスター」（緑の魔物）などともいわれ侵略的外来種に指定されているという。そういえば、日本でも廃屋が屋根まで葛に覆われているのを見たことがあるから江戸川土手の繁殖振りなど生易しい部類なのかも―――。根のでんぷんが昔から葛餅や葛湯と親しまれている葛がアメリカでは「魔物」と呼ばれることには葛の原産国日本の国民としては、ちょっと鼻白むところもないではないが―――。
葛をはじめ植物の生命力には感嘆させられることが多い。それもそのはず、陸上に植物が進出したのは今から5億年前、それ以来、激しい生存競争を経て進化してきたのだから、たかだか500万年前に誕生した人類に比べたらその生命力の強さは比較にならないはずだ。温暖化しようが寒冷化しようが、感染症がいかに蔓延しようが―――植物は生き残るのだろう。
（7/09/20 10:00pm）
2020年7月8日
供託金没収
現行憲法下で行われた都知事選としては過去最多の22名が立候補した東京都知事選は、現職の小池さんの圧勝に終わった。
得票数が有効投票数の1/10、すなわち今回の選挙の場合、小池さんを含め3人以外は、300万円の供託金没収ということになったわけだ。強力な後援組織が払ってくれるならともかく、みすみす300万円の自腹の金をドブにすてるような立候補をなぜするのか？―――とも思うが、立候補全員には、テレビ、ラジオでの政見放送の枠があたえられるとか、選挙公報に顔写真や政見が載って、選挙区の全家庭に配られるというのだから、名前や顔を売りたい人とか、子々孫々に立候補という「偉業」を残したいという自己顕示欲や、有名願望の強い人にとっては決して高い金額ではない、という考えも成り立つとも聞く。（政見放送というやつ、公共放送であるNHKで流されるが、NHKらしくもなく検閲がないそうだから、場合によっては放送時間中ずっと猥歌を歌い続けてもカットはない―――らしい）
一般紙にしても、公職選挙法上は、一応、立候補者全員を公平に扱わなければいけないという建前があるから、今回の選挙時も、小池さんをはじめとして一応有力とみなされる候補者2-3名は、新聞、テレビのニュースなどでも取り上げられるものの、泡沫的な候補の扱いは無視されたことで、一部の候補者の中には「不公平だ！」「不当だ！」「訴えるぞ！」と息巻いた候補者もいるという。もっとも、この意見は、さすがに世の中から、完全無視の憂き目にあっているようだが―――。
一人の知事を選ぶのに22人もが立候補し、一位が396万票を獲得したというのに、総得票数の1％も獲れなかった候補者が、なんと17人いたというのだから、はっきり言わせてもらえばこれは大いなる「茶番」といいたくもなるが―――、中国支配下の香港では「民主派」というだけで立候補できないどころか、逮捕され拷問されてしまうことを考えれば、都知事選は「民主主義のよいところ」を遺憾なく見せたということなのだろう。
（7/07/20 10:00pm）
2020年7月7日
孔子は偉かった
孔子が自らの生涯を語った言葉としての「吾十有五にして学を志し、三十にして立ち、四十にして惑わず----」などから年齢の別称として十五歳を「志学」、三十歳を「而立」四十歳を「不惑」等と呼ぶが、タカさんの七十代は、これによると「七十にして心の欲する所に従えども、矩(のり)を踰(こ)えず」（七十歳で、心の趣くままに行動しても、人の道にはずれるようなことはなかった）と言っているから、本来七十歳は「従心」と言われるはずだが、「不惑の年代」とか「耳順の年代」等に比べると「従心」はほとんど使われることがないのはなぜだろうか。
孔子自身が七十三歳で亡くなったというから、七十代の経験が余り長くなくて、若き日の思い出話に比べて余り多くを語れなかったから―――等と考えることも出来るが、孔子の生きた紀元前5世紀からつい最近までの2500年間の間、70歳迄生きる人はそう多くはなかった所為で「孔子のあれは間違いではないか」とも別に文句をつける人もいなかったのだろう。
「従心」に比べれば孔子より1200年も後の時代の人の杜甫の詩の中にある「人生七十古来稀なり」（七十年生きる人は古くから稀である）から「古希」の方が七十歳の別称として言われることの方がはるかに多い。（ちなみに杜甫自身は、六十代で亡くなっている）今から1300年も前の杜甫の時代でも「古く稀」であった七十歳は、平均寿命が男女ともに八十歳を超えている今の日本では珍しくもなくなっている。ある説によれば孔子のいう「志学」「而立」「不惑」や「耳順」「従心」などの年代の別称は現代なら皆七掛けで考えるとピッタリするらしい。その法則に従えば、タカさんは今ようやく「五十にして天命を知る」の「天命」に達していることになるのだが―――。
考えてみれば、まだ「不惑」にも達していないような気がしないでもないことを考えれば、やっぱり孔子という人は偉かった！ということだろう。
（7/07/20 10:00pm）
2020年7月6日
夢物語
経産省は、現在日本で稼働中の石炭火力発電所は約110基の内、低効率の100基程度を2030年までに休廃止する方針であることを発表した。
トゥンベリさんなどからの風当たりの強い温暖化ガス排出の象徴であるように言われる化石燃料の中でも二酸化炭素排出率が一番高いと言われる石炭だから、9割もの既存の石炭火力を休廃止する！と発表しておけば、日本に対する環境派の圧力を一時でも和らげることも出来ようとでも考えた末の発表なのだろう。
経産省は、確かに「石炭火力発電所の9割休廃止」とはいっているが、それで失われる電力を何で代替するかについての言及はない。その分、再生可能エネルギー（太陽光や、風力等）を増やすと言っている訳ではないし、夜間や天気の悪い時には発電できない太陽光や、風が吹かなければ、あるいは風が強すぎても発電できない風力発電のように不安定な電源にそう大きく依存するわけにはいかないし、反対運動が激しい原子力発電や、水力発電を増やせるような状況でもない以上、結局、石炭火力で失われる発電量を、LNGや石油といった化石燃料で賄うしかあるまい。
化石燃料の中では、原料コストが一番安い（石油やLNGの半分から1/3）石炭だが、「地球温暖化なんてフェイクだ！」と言い続けていたトランプさんの再選がどうもなさそうだ、となってきただけに早めに、日本もジェスチャーだけでも「温暖化防止に協力的」なところを見せておいた方がよさそうだ、と経産省のお役人たちが考えたのかもしれない。
しかし、石炭にせよ、LNG、シェールガスや石油にせよ化石燃料は、目の敵にされているが、コストがいくらになってもよいというなら別だが、再生可能エネルギーのコストと比べたらはるかに安いし、なにしろ太陽光や、風力のような不安定さがなく安定供給ができるというメリットはやはり捨てがたい。しばらくの間は、やはり化石燃料は一定程度必要だということは、この「日々早々」でも以前から言い続けているのだが―――。
勿論、夢の発電方法といわれる核融合発電が可能になるとか、世界中の砂漠で発電した太陽光電力を、日本まで送電ロスなく送ることが可能になる―――といった究極の技術革新が可能になるならば、なにも化石燃料を燃やして二酸化炭素を発生させる必要もなくなるのだろうが、「核融合」「送電ロスなしの超長距離送電」の技術を人類が手にするのは50年前にも「今から50年後」といわれていたし、最近も「おそらく50年後には――」とも言われていることを思えば、大きな期待をもったこの夢物語は、あまり大声で語らない方がよさそうな気がする。
（7/05/20 10:00pm）
2020年7月3日
新型豚インフル
WHOがCovit19と名付けたものの、テドロス事務局長の当初の中国へのおもねりが世界中で反感を呼んだようで、Covit19は全く定着せず、新型コロナ、または武漢ウィルスなどと言われ続けている新型ウィルスだが、今度は又中国で新型の豚インフルエンザが確認され、パンデミックの恐れもあるとのことだが、問題なのはこの豚インフルエンザウィルスは豚から人へ感染する基本的特徴をすべて備えており、また実際、食肉処理場の従業員を対象に抗体検査したところでは、10.4％が過去に感染を示したとの結果が出ているという。この後、新型コロナ同様に、人から人への感染が懸念されるところだが、中国当局は豚から人への感染はあっても更にその後、人から人への感染は確認されていないとこの豚インフルエンザを問題視していないというから、コロナの例を考えると大いに懸念されるところだが―――。
ところで、またぞろ中国で発生したこのウィルスだが、いまのところ「中国豚インフルエンザ」という名前はついていないし、まさか豚は文句をいわないだろうからと、WHOも、まだ名称は「新型豚インフル」のままである。願わくはこのウィルスは人から人への感染はせずこのまま豚から人への感染の段階のまま止まってくれるといいのだが―――。（もっとも中国のコロナの時の前科同様、既に人から人への感染が始まっていて、中国当局がそれを隠しているだけかもしれないが―――。）
ところで徳富蘆花の「不如帰（不如帰）」のヒロイン浪子（浪さん）が療養の末に亡くなった原因は当時不治の病と言われた肺結核だったし、吉永小百合がヒロインを演じた映画「愛と死を見つめて」では病名は骨肉腫、女優夏目雅子は白血病、であったように、病名によっては、人々に涙させる要素をもっているものだが、もし新型豚インフルエンザが人から人へと感染するようなことになったら、その時はWHOには少なくとも名前から「豚」は外してほしいと思う。もし自分が患者となってその病名が「新型豚インフルエンザ」と発表されたりしたら―――どうにも格好悪くてしかたがない気がするから。
（7/02/20 10:00pm）
2020年7月2日
Chapter11
アメリカ駐在の頃、事務所によく出入りしている衣料問屋のオーナーがいた。当時、我社の衣料部は、香港や台湾などから衣料品を輸入して、いくつかの大手問屋を通じて米国各地に販売するといった商売を手掛けていて、そのオーナーもヤリ手の一人だったようで、時々我が事務所を訪れ現地人スタッフなどとも親しくしていたらしいが、ある時、日本の会社更生法にあたる連邦破産法の第11条、いわゆるchapter11を申請して倒産してしまった。後で聞いたところでは、衣料部では徐々に同社との取引を縮小しており、引っかかった債権はそれほど大きくはなかったらしいが、他部署の事とはいいながらいわゆる「不渡りをつかまされた」わけだから、我々日本人スタッフは、びっくりして顔色が変わるほどだった。
しかし、chapter11を申請した翌日、そのオーナーがいつものように事務所に現れ、明るい表情で当社の現地スタッフと話しをしているではないか―――。不良債権をつかまされいずれ本社からその管理責任を問われるであろう日本人スタッフが、頭にきたのか、そのオーナーに詰め寄ろうとしたら「ヤー、今週末又ゴルフをしようぜ！」と明るい笑顔で言われて気勢を削がれてしまったという。
日本で破産申請したオーナーが、詰め寄る債権者を前に「ヤー、今週末又ゴルフをしようぜ！」等と言おうものならそれこそ「ふざけやがって」と大変な顰蹙物だろうが、アメリカのchapter11と日本の倒産とでは、受け取り方に、雲泥の差があるようだ。
日本の中小企業やオーナー企業は、取引先や地元からの信用で成り立っているという意識が強いから、倒産して回りや従業員に、迷惑をかけるとなれば、誠意をもって債それ等の人々に対応しなければ、その地域で生きてはいけないし、再起など難しいだろう。それ故に、昔は、最悪のケースでは夜逃げや、首つりなどということもあった位で、一度のつまずきが致命傷にもなりかねない場合が多かった。
世界中でいくつものサーカス興行を行っていたエンターテイメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」がカナダでchapter11を申請し、同時に、米国においても外国企業に適応されるchapter15を申請したという。このコロナ騒ぎで世界中の興業が中止となっているから収入はゼロ、しかもいつ再開できるかも分からないとなれば、倒産に追い込まれるのも致し方ないとは思うものの、同社にとっての最大のそして唯一の財産であるパフォーマー達従業員を既にあっさり解雇してしまっているというのだから、日本人には中々想像のつかないドライさだ。しかも、chapter11申請の理由が「会社の将来を守るため」というのだから――日本人には、なんとも理解しがたいところもある。パフォーマー全員を冷たくクビにしながら、どうやって会社の将来を守るのか！ chapter11で経営陣の資産の保全をはかっただけだろうに！と思ってしまう。
債権問題で文句を言おうと詰め寄った日本人の衣料部長に、あの問屋の親父は、「その問題は、お互いの弁護士同士に任せようぜ！」と答えたそうで、アメリカの倒産とは、裁判所に申請したら後は弁護士マターという割切りが債務者債権者双方にあるとは―――、この国はどうなっているのだ！と部長はぼやいていたっけ。
そういえばトランプ大統領も4回だか、5回だかのchapter11申請経験者だが、毎回莫大な個人資産は守って、ついには大統領になったというのだから―――。
（7/01/20 10:00pm）
2020年7月1日
インスタントラーメン
海外にいるアメリカ人が時々食べたくなる故郷の味といえば、マクドナルドのハンバーガーだという話を聞いたことがあるけれど、確かにマックは第二次大戦直後から全国展開しているということだから、老若男女問わずアメリカ人にとっては思い出の味ということだろうし、そうであれば偶には無性に食べたくなる、というのもわかるような気がする。
そういう意味では日本人にとって、世界中どこにいっても気軽に食べられる思い出の味といえばなんだろうと考えてみたら、一つにはインスタントラーメンがそれに該当するような気がする。
タカさんが最初にインスタントラーメンを食べたのは中学生の頃だったからかれこれ60年近く前だ。あの頃のインスタント麺は、袋から取り出してどんぶりか何かに入れてやかんのお湯を注いでお皿でふたをして3分間待つ――という、考えてみると今のカップヌードルのようなものだったけれど、腹を空かして学校から帰ってきて何しろ一人で簡単に作れる！というのだから喜んで食べていた思い出がある。
インスタント袋麺は、今でも、妻が出かけていて雨が降って食事にも出られない―――などと言う場合には、簡単だしなんとなく懐かしい味がするから、自分で作って食べることもある。
中学の頃に食べたチキンラーメンの味は、正確に覚えている訳ではないが、今のインスタント袋麺とはちょっと違う、カップヌードルの味に似ていたような気もする。
調べてみるとあの日清のチキンラーメンは61年の売り出しの時は、35円だったらしいが、今コンビニでカップヌードルは200円程度だ。60年経って値段は6倍近くになったということだが、今は800円程度するラーメン屋のラーメンが当時は確か50円程度だったことからすると、インスタント麺は玉子に次ぐ物価の優等生かもしれない。
（6/30/20
10:00pm）
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