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2020年12月
＜＜11月タイトル＞
12/25 おおつごもり 12/24 傾斜生産方式 12/23 理の当然 12/22 ネイヴィーシャワー 12/21 IT関係 12/18 豪雪地帯
12/17 優先順位 12/16 全世代型社会保障 12/15 地球は丸い 12/14 紅葉狩りに思う 12/11 民生か軍事か 12/09
見えない恐怖 12/08 年末の謎 12/07 終息はいつ？ 12/04 移動の自由 12/03 人が犬に咬みついた 12/02 昔話の教訓
12/01 リモート時代
2020年12月25日
おおつごもり
年末のこの時期に芝居などで演じられるのは何と言っても「忠臣蔵」だが、それにはるかに及ばないとは言うものの次に続く作品の一つは樋口一葉の「大つごもり」ではないかと思う。
この作品は、明治27年、幕末からまだどれほども経っていない時期に、当時22歳だった樋口一葉が発表した作品だが（一葉は24歳で夭逝している）当時の、東京下町の歳末のせわしい風情が描かれており、貧しかった一葉をモデルにしたと思われる主人公（お峰）と、素行が悪く金銭問題などを度々起こして勘当された次兄がモデルだともいわれる奉公先の放蕩息子（石之助）のそれぞれの年越しの金策模様が描かれている情緒あふれ、ちょっぴり謎を含んだ名作だ。
子供の頃には、年末には、毎年といってよいほどこの「おおつごもり」は単発ドラマとして流れていたし、新派でも、古くからこの時期よく上演されていたように、やはりこの時期にぴったりの作品と言えよう。
浅草の吉原近くの龍泉には06年にリニューアルされた樋口一葉記念館があるが、以前はその場所に旧館があり、その頃も何度か訪れたことがあるが、特に展示されている膨大な量の手紙の、その筆跡の美しさに感動させられたものだ。当時、一葉は一日に5-6通の手紙を書いていたというから、130年近く前の若い女性も、現代の一日中、LINEやメールをやりとりしている若い女性とあまり変わりはないということなのだろう。
美しい女性の筆跡のことを「みずぐきのあとも麗しく～」などと言うことがあるが、一葉の手紙はまさにこの形容がぴったりの実に美しいもので、長い時間眺めていても全く飽きなかった。（一葉にあこがれて美しい草書を書きたいと60過ぎてから書道教室に通ったが―よほど才能がないようで10年程で挫折してしまったが）
一葉は日本で初めての職業女流作家であり「おおつごもり」や「たけくらべ」「十三夜」「にごりえ」などの名作を残しているがこれらの作品は皆彼女の死の前、14か月間で書いたものだというから驚きだ。
以前何かで読んだことがあるが、一葉は漱石の兄との見合い話があったらしいが、一葉の父親が借金だらけであったことで、破談になったらしい。もしこの話が実現していたら明治の文豪漱石と、紫式部や清少納言と並び称せられる女流作家樋口一葉が義理の姉弟になっていたかと思うとなんとも残念な気がする。
しばらくの間、外出自粛もあってあのみずぐきのあとを見に行く訳にはいかないが、この騒ぎが一段落したらまず駆けつけてみたいものだ。
今年の日々早々も、今日で最終稿となります。令和三年の日々早々は松の内開けの1月8日の予定です。コロナ禍で皆様も何かと大変な年越しを過ごされていると思いますが、なにとぞ良いお年をお迎えください。
（12/24/20
10:00pm）
2020年12月24日
傾斜生産方式
政府の2021年度予算案が閣議決定されたが、一般会計総額が約106兆6100億円と過去最大を更新している。そのポイントを見ると、当然のことながら第一に新型コロナ対策費、特に国会の審議を経ずに使える「予備費」として5兆円が計上されていることだろう。国会を通していると臨機応変に使えないからという訳で政府が「柔軟」に使い道を決める事ができる金額ということで、なんとなく「まあ、仕方ないか」という部分だが、かつて郵政公社がやたら豪奢な保養所や、従業員用の按摩器に無駄遣いを繰り返していたような、「チェックなし」による無駄遣いの懸念はぬぐえない。
二つ目の目玉は、「デジタル庁」関連予算、3つ目は脱炭素社会を実現するためにと名打った2兆円の基金だそうで、これによって水素や蓄電池などの技術開発を支援するとの事。
一見、すると確かに、コロナ対策、デジタル庁、脱炭素社会化、というどの項目も喫緊の課題であり次期国会でそれほどもめそうもなさそうだが（多分、さくらだとか吉川農相、IR汚職―――といったスキャンダルで時間がつぶされることになるのだろうが）、政府が106兆円もの金をかけて本当は何をやりたいのかといった強い意志が見えないように思えるところに不安を感じてしまう。
コロナもデジタル化も、脱炭素社会も、どれもが追い込まれて遅まきながら手を付けようという項目ばかりで、明日の日本社会をどうしよう、という強い政府方針が見えないように思う。
喫緊の課題は国民の命に係わるコロナ対策だろうし、これを一挙解決の手段がいまのところワクチンに期待するぐらいしかないというのは分かるが、一方では国民の7割が「止めたら！」と考えているオリンピックは、追加予算を使ってでもやるつもりらしいし、赤羽国交相などは、「GOTOキャンペーンも一刻も早く再開したい」―――等といっているようでは、アクセルとブレーキの両方を同時に踏んでいるようでさっぱり政府の方針が見えてこない。
そうなると、デジタル庁も温暖化対策も、予算編成に当って「何かぶち上げる目玉はないか！」と付け焼刃的に言っているだけのような気がしないではない。
戦後、1950年頃までは「傾斜生産方式」と称して、乏しい国家予算を石炭や鉄鋼という産業に重点的に集中させ、民生品や社会保障費などは後回しにした時代があった。この傾斜生産方式が、果たしてよかったのかわるかったのかは、未だに評価の分かれるところだが、その後の朝鮮戦争の特需などもあって日本の戦後復興の役に立ったことは事実だ。
当時の国家予算は1兆円程度（昭和30年度）と来年度の100分の1以下であったから、そんな中で随分と思い切った方針をだしたものだとは思うが―――その100倍、106兆円も予算があると一体何に使ったらよいのか―――と迷ってしまうということなのだろうか。
（12/23/20 10:00pm）
2020年12月23日
理の当然
例えそれが隕石の飛来と同程度の確率であったとしても、北朝鮮やロシア、あるいは中国などからミサイル攻撃の可能性がないとは言えないとなれば、それを防ぐ手立てがあるのならば、その備えをしておくことは必要だ。（北朝鮮ミサイルの方が、隕石飛来よりもはるかに高い危険度だとは思うが）
それは、1月に「新型ウィルスが中国武漢で発生し、かなりの死者がでているらしい」と聞いても「まさか自分達がその被害にあう事はないだろう」と高をくくっているうちに、それから一年余りのあっという間に、世界で7700万人の感染者と、170万人の死者を出し、今なおその患者数は増え続けている新型コロナの事を思えば、中国の操り人形となったWHOのテドロス事務局長や、コロナを甘く見たトランプ大統領などの「まさか」という予見能力の鈍感さの罪が重いのと同じで、ミサイルの脅威に対する備えに対してことごとく反対している「平和勢力」とやらの罪は、重いと言えよう。
実際、北朝鮮のミサイルは今までに3回、日本列島上空を通過して北太平洋上に落下している。もしこのミサイルが核弾頭を装備していたら、もしこのミサイルが日本列島上空通過ではなく日本本土を狙ったものだったら―――何百万人もの死者が出ていただろう。
「やれ、ミサイルが日本領海に入るまではこれを撃ち落とすことは憲法で禁じられている」だの「やれ、防御ミサイルのブースターが落ちて来るのがいやだ」などという理由だとすると、北朝鮮ミサイルによる日本攻撃という大問題に対処するという根本の目的が、あまりにもないがしろにされているようで呆れざるを得ない。（もっとも、秋田に陸上イージスに関する住民説明会の席上で居眠りしていた防衛省幹部がいたことに、住民が激怒した―――というのが配備中止の真相だという説もあるが―――この防衛省幹部は、今どうしているのだろう？）
今のところ、北朝鮮もコロナ騒ぎで大変なようで、ミサイル発射の脅しまでは手が回らないようだからこのミサイル防衛問題も、あまり話題にはならないが、第2次感染が下火になりかけたことで、皆の気が緩んで第三次感染の大騒ぎを招いてしまったことを思えば、北朝鮮ミサイルの脅威に対しても警戒を緩めていては、取り返しのつかないことにもなりかねないのではないかとも思う。
トランプ大統領同様、バイデン次期大統領にとっても、北朝鮮のミサイルがアメリカ本土を攻撃しないのであれば、最悪、同盟国日本がミサイル攻撃を受けるとしてもさほど真剣には対処しないだろうことは明らかだ。
日本の防衛は、日本が真剣に考えなければいけないのは理の当然なのだが―――。
（12/22/20 10:00pm）
2020年12月22日
ネイヴィーシャワー
何年か前に楽天の則本投手が契約更改の席で「ビジターのロッカールームにも大浴槽を設備しては」と提案したという記事が出ていた。春先などまだ寒い仙台で、試合前や後に浴槽で体を温めればケガも少なくなるのでは――という配慮からの提案だったらしいが、球界を代表する投手だけに気遣いが素晴らしいと思ったものだった。
結局、則本投手の提案が通ったのかどうかは知らないけれど、少なくともその時点では仙台に行ったビジターチームは、試合後も多分シャワーで済ませていたということだったのだろう。ということは、ロッカールームに浴槽設備がないプロ野球球場は今もまだ他にもあるのかもしれないが―――。
至れり尽くせりの豪華な設備が整っているといわれるメージャーリーグのロッカールームだが、大浴槽に洗い場を完備した浴室完備という球場はなく、何処もシャワールームが付いているだけだというのは、アメリカと日本の風呂の習慣が全く違うからだろう。お互い裸になって風呂につかるという習慣を持つのは日本だけで、同じアジアでも中国などでもパンツなどを付けてということはあっても裸同士でということはないというから、メジャーに大浴槽がないというのは当然なのかもしれない。
タカさんは、温泉に行けば大浴場でゆっくりお湯につかるのは楽しみだが、普段は家の浴槽にはほとんどつからず、いつもシャワーで済ませている。アメリカ人も基本的にはバスタブに入らないでもっぱらシャワーで済ませているようだ。（ヒッチコックの映画「サイコ」のあのシャワールームでの殺人シーンが強烈だった）特に男性は、かつて水の少ない船上で海軍（ネイヴィー）の水兵さんたちが石鹸を体に塗りつけてから全員一列になって行進すると頭上から1-2分シャワーを浴びせるという方式（ネイヴィーシャワーという方式）、すなわち日本でいうなら「カラスの行水」で済ませる人が多いという。
寒いこの時期になると日本では、カピパラや日本猿が温泉につかっているニュースがよく流れるがそういう意味では、年間を通しての入浴時間は、多分タカさんはカピパラにも負けているかもしれない。
今日は冬至で、冬至と言えばゆず湯につかると風邪をひかないとも言われているので、コロナ騒ぎの今年は、家の浴槽でゆっくりゆず湯につかってみようかと思う。
（12/21/20 8:00pm）
2020年12月21日
IT 関係
会社名や職種で言えばよいものを、その辺をぼかしていう場合などに良く「xx関係」などと言う場合がある。
トラックの運転手なら「運輸関係」だろうし、コンビニの店員なら「流通関係」、洋品店の店員ならば「ファッション関係」などということも出来るが、合コン等での自己紹介などでは便利だ。
大括りな言い方だと例えば「法曹界」だとか「実業界」などという言い方もあり、実業界などというと経団連の会長や大企業経営者などを想像してしまうかもしれないが、中小企業の下っ端サラリーマンも広い意味で「実業界でご活躍の」などと紹介しても、ウソを言っている訳ではない。
最近、リモートワークに向いている職業としてよく言われる「IT関係」という言葉もかつての「実業界」に似たところがあるような気がする。
「IT関連のお仕事」といわれると、今やイメージ的にも、年収も高く日頃のファッションもセンスがよく（野暮ったいスーツなどは着ていない）、今や自宅でリモートワークをしている人種―――などのイメージが定番になってきつつある。
かつて「金融関係」と言われると人だと、大手銀行勤めなどをイメージしてしまいがちだが、実はサラ金の取り立てが仕事だったりしたように、「IT関連」といわれても、一体何をやっているのだか具体的にはよくわからないところがあるように思う。
最近のIT事情にも、まだついて行けていると思っているタカさんだけれども、では、「IT関連」の、システムエンジニアやウェッブデザイナーと言われる人たちが、具体的になにをやっている人なのかは、正直言って、すんなりとは理解できていない。
最近、小学生の子供達の「将来なりたい職業」の上位に「You Tuber」が入ってきていて、実際、昨年世界で一番稼いだYou Tuberはアメリカに住む9歳の日系少年で30億円稼いだというニュースがあったが、彼も当然「IT関係」にカテゴライズされるのだろう。
それでも未だ、小学生のあこがれの職業の上位は、スポーツ選手やパティシエといったIT関係ではない、リアルな職業が占めているようだが、数年後には子供達が、You Tuberだ、データーアナリストだ、ブリッジエンジニアになりたい！などと言いだすようになるかもしれないが、そうなるとタカさんも、もはやついていけなくなるのではないかと思う。
さあ、その頃になっても、小池都知事は、相変わらず（ちゃんと意味を理解して）横文字を連発しておられるのだろうか―――？
（12/20/20 10:00pm）
2020年12月18日
豪雪地帯
日本海側を中心に大雪が続いている。２メートルにもなる豪雪で孤立する集落や道路で立ち往生する車が続出、新潟県は自衛隊に災害派遣要請を行い、GOTO停止では後手を踏んだと支持率ガタ下がりの菅総理も、この豪雪にはいち早く総理大臣官邸で「大雪に関する緊急関係閣僚会議」を開催して失地回復に努めているとか。
それにしても、一日で１メートル、二日で2メートルの積雪というのだから尋常ではない。実は2年程前、妻とホワイトクリスマスというのもおつなのではないかと、新潟の十日町のリゾートに出かけたのだが、この時は地元の人もこんな事は生まれてこの方はじめてという程、雪が降らず、豪雪地帯に行きながらホワイトクリスマスを味わえず帰ってきたことがあったが、今年は例年通りというか、おそらくそれ以上の雪が降っているようで、自然というものは長い目で見ると、帳尻を合わせるのだろうか――等とも思っている。
タカさんは、北海道の旭川と、アメリカのシカゴという冬の寒さでは屈指の所に住んでいたことがあるが、旭川は、盆地だけに冬の気温は相当に低いものの、積雪はそれほどでもなく積もったと言っても多分40cm位のものだったように記憶するし、シカゴも五大湖から吹いてくる北極風の為に（シカゴは別名Windy
cityと言われる）気温はむちゃくちゃ低いが、雪はほとんど積もらなかったので、十日町に行ったのも「豪雪」を見てみたいという好奇心もあったのだが―――。
日本の豪雪というのは世界的にも有名だそうで、世界の人口10万人以上の都市の積雪量ランキングトップ3は全て日本の都市（青森、札幌、富山）だそうで、これは日本海で十分水分を含んだシベリアからの風が日本列島の背骨を貫く山脈に当って雪を降らせるからだというから、日本の特殊な地形が生み出すある種奇跡ともいえる現象なのかも知れない。
一度大雪が降ると自衛隊が出動しなければならないとか、雪下ろしで毎年死人や怪我人がでるなどの被害も多いが、昔から、積雪の期間、田畑を、強制的に休耕することによって春から秋にかけての米や野菜などの食材の質が高くなるとか、冬は気温が低く安定しているので、麹菌等のコントロールがしやすく、良質の発酵食品や酒などができる（豪雪地帯の秋田、山形、新潟、富山などは酒処といわれるところが多い）といった昔ながらのメリットもある。エネルギー問題が言われる現代ならば豪雪を貯蔵しておいて食品の冷蔵や、夏場の冷房に使うという研究も最近盛んに行われているというから、厄介者扱いされることの多い豪雪も日本にとっては貴重な資源と言えるのかもしれない。
（12/17/20
10:00pm）
2020年12月17日
優先順位
バイデン政権のアメリカの外交政策は、トランプ時代とは変わるであろうことは、明らかではあるもののまだはっきりとしない部分も多く、日本の外交政策当局者もやきもきしているのではないだろうか。
中でも、日本にとって一番気になるのは、バイデン政権の対中政策がどうなるのかであり、その行方は日本にとって大きな影響を及ぼすであろう。
バイデン氏が、日本の外務大臣にあたる国務長官に指名したのは、オバマ前政権時代に国務副長官や国家安全保障問題の大統領副補佐官を務めたブリンケン氏であるが、彼はオバマ政権当時副大統領だったバイデンの補佐官も務めていて、その当時からの数々の発言などから類推すると、バイデン政権の新しい外交の基本姿勢が見えてくる。
ブリンケン氏は、かつてイスラム過激派との戦いを主導するにあたって「国際社会でのアメリカのリーダーシップを取り戻し、同盟諸国との関係を修復・強化し、世界中で民主主義と人権を擁護していく」という姿勢を強調したことからすると、バイデン政権では、トランプ政権の「アメリカファースト」主義とは異なる「人権を重視する国際協調主義」への回帰を計りそうだということは明らかだ。
「アメリカのリーダーシップを取り戻す」ということは、海洋進出を強める中国に対してインドや豪州、南アジア諸国、日本などの同盟国と連携して「自由で開かれたインド太平洋構想」を推進するということを意味しており、この構想を強く進めていくとすれば、台湾問題をはじめとするインド太平洋地域に於ける「対中強硬路線」の可能性が十分考えられる。しかし、中国が、バイデン政権が強硬に出たからと言ってインド太平洋地域での進出や、台湾問題で急にその姿勢を改めるとは考えにくい。
その意味では、米中対立はトランプ政権時代よりもより原則的なものになりかねず、米中対立を「ディール」の一つと考えていたトランプ時代よりも激しい物になる可能性もある。
さらには、バイデン氏が「世界中で民主主義と人権を擁護していく」ことを掲げていることも、新疆ウィグルでの人権問題、あるいは香港、台湾問題に対するトランプ政権の、他人事的に、一歩引いた姿勢からの転換を意味しているようにも受け取れ、共産党政権維持の為に、この点をどうしても譲れない習近平政権と、抜き差しならない対立すら招く可能性もあるだろう。
一方、バイデン政権は地球温暖化阻止に後ろ向きであったトランプ政権から一転、地球温暖化防止に積極的姿勢を示している。地球温暖化防止の為には、国際協調が大切で世界第一位と第二位の温暖化ガス排出国の米中が足並みをそろえる必要がある。
トランプ政権への面当てもあってここのところ習近平は「2060年までに温暖化ガス排出実質ゼロ」をぶち上げており、この姿勢自身はバイデン政権にとっても好ましいといえるから、この点では米中は協調して行くべきともいえる。
要は、バイデン氏にとっては、「地球温暖化防止」と「人権」（あるいは「自由で開かれたインド太平洋構想」）のいずれに優先順位を置くかによって、2021年以降の米中関係、そして日本の外交政策、そして世界情勢も大きく変わっていくということではないだろうか。
（12/16/20 10:00pm）
2020年12月16日
全世代型社会保障
日本の社会保険制度は「世代間の助け合い」という理想が掲げられてきた。社会全体で助け合って行きましょうという言葉に、表立って反対だとは言い出しにくい。
しかし「世代間の助け合い」システムを実際に機能させていくためには、そのシステムに参加する人すべてにとって「世代間の公平」が保たれていなければならない。
社会的弱者に対する給付の原資は、余裕のある人たちが分担して負担してこそこの制度が理想的に機能するといえるのは、理の当然だ。
勿論、誰を弱者とし、誰を余裕のある人とするかの線引きは、複雑で難しいところはあるが、たとえば75歳以上の後期高齢者でも年収の高い人たちが後期高齢者だからという理由だけで一律に社会保険の優遇を受ける一方、年齢層の低い現役世代で、何らかの理由で収入の低い層の人たちは、負担ばかり高く給付は低い等という事態があるならば、現役世代が不公平を感じ、この制度そのものに反感すら覚えるといった事態も起こりうる。
2022年度の後半から、単身だと年収200万円以上（複数世帯の場合は、後期高齢者の年収合計が320万円以上）を対象にして医療費の窓口負担を1割から2割に引き上げるという医療保険制度改革がまとまった。紆余曲折はあったが、この線でまとまったことで、当然「負担が重くなる」という不満を持つ高齢者層は増えるだろう。しか収入のある一部の高齢者の負担になることで、少子高齢化によって先行きパンクする恐れ迄危惧される国民皆保険制度の維持にいささかでも役立ち、また、同時に600億円の一部高齢者の負担増が、不妊治療への保険を適用や、現行の養育助成制度についての所得制限の撤廃や助成額の増額の拡充といった現役世代への給付に使われるならば、いくらかでも「高齢者ばかりがメリットを享受し、現役世代は負担ばかり」という不公平感が、ほんの少しでも和らぎ日本の国民皆保険制度に対する全世代の賛同がいくらかでも増すのではないだろうか。
少子高齢化により、日本の社会保険制度はいずれ行き詰るのではないかと言われて久しいが、制度の手直しの必要性がいわれながらも、ほとんど手が付けられなかったのが実情だ。今回、誠に小さな一歩とは言え、「全世代型社会保障制度」への小さな一歩を踏み出そうとしていることは、世界に誇る国民皆保険制度を維持していくためにも望ましい一歩と言えると思う。
（12/15/20 10:00pm）
2020年12月15日
地球は丸い
「地球は丸い」ことを人類が知ったのはいつだっただろう。古代ギリシャのピタゴラスがそれを言い始めたという説もあるが定かではない。
1519年にマゼランの率いる艦隊が地球一周を果たして（マゼラン自身は途中フィリピンで原住民に襲われ死んでいるが）地球が球体であることを証明したと言われるが、それ以降もヨーロッパでは聖書の記述と違っているからという理由でこの説は、多くの人には信じられてこなかった。（ローマ教会が地動説を唱えたガリレオを宗教裁判で有罪とした事を謝罪し、彼の説を正式に認めたのはつい最近、1993年のことである）
日本に地球球体説がもたらされたのはマゼランの世界一周の直後、1570年頃のことだが、宣教師ルイス・フロイスが地球儀を織田信長に献上し、「地球は丸い」と告げた時、信長はたちどころに「なるほど、それは理に叶っている」とその説を認めたというから、信長という人は、迷信や宗教的思想にとらわれない、科学的センスに優れた人物であったように思われる。信長に限らず、日本人にはこの時代から宗教と科学を分けてとらえるという軟性を持つ人が多かったと言われる。
それに対して、西欧諸国、特にアメリカでは、今も約30-40％の人が進化論を否定し、聖書の天地創造説を信じており、残りの人の中にも不可知論者（進化論と聖書の天地創造のどちらが正しいのかは、どちらともいえないとする人たち）が2割ほどいて、進化論を正しいとする人は、わずかに3割ほどしかいないともいわれている。（アメリカの州、あるいは郡の中には進化論を教えないところも未だに存在する）
アメリカではいよいよコロナウィルスに対するワクチン接種が始まり、イギリスなどでも医療従事者に対する接種が秒読みに入っているが、両国ともに「ワクチン接種をしたくない」とする人たちが、国民の1/3もいるとの調査結果がある。
もちろんその理由は、「どんな副作用があるかわからないから」というワクチンに対する不安が主なものではあるものの、キリスト教原理主義系のいう「ワクチンは聖書の教えに反する」という考えに基づく人も少なくない。日本でもインフルエンザワクチン接種を拒む人が毎年、かなり出るが、「どうせ効かないから」とか「料金が高いから」という理由からがほとんどで、宗教原理主義的な理由を挙げる人は少ない。
大統領選挙でのトランプ氏の敗戦を認めない人たちも、「地球は丸い」を信じない人たちに似ているようにも思う。かれらは「選挙で不正が行われた」と叫ぶが、不正の証拠を具体的に挙げている訳ではなく、「不正が行われた」と頑なに信じているからに過ぎないのだが、「地面はどこまでも平だ」と信じる人たちや、「天地創造論信者」等の考えを覆すことができないのと同じで、「トランプ教信者」の信念を覆すことはほ不可能だ。（1968年にアポロ8号が月から宇宙に浮かぶ丸い地球の写真を撮ったが、この写真でさえも「ハリウッドの特撮で撮ったフェイクだ」と主張する人が今も10％近くいるという）
アメリカ社会の分断は深いと言わざるを得ない。
（12/14/20 10:00pm）
2020年12月14日
紅葉狩りに思う
今年の流行語大賞は「3密」だそうで、それ以外のノミネート語もほとんどがコロナ関連だったことを考えれば2020年の社会がいかにコロナに支配されていたかを示しているように思う。
そうはいっても、さすがにほぼ一年間続くとなると、第三次の波が一向におさまらないどころかますますその激しさを増しているにも関わらず、人々にコロナ慣れがみえてきていることは事実のようで流行が騒がれ始めた2月、3月頃に比べれば、緊張感はいささか薄れてきているようにも思える。
その典型的な例が、春のお花見と、秋の紅葉見物との違いだ。わずか半年ほど前のお花見の季節、各地の名所の人出は、「自粛」要請による閉鎖措置などもあって、昨年までとは打って変わって実に寂しいものだった。タカさんも例年どこかには、出かけていた花見も、今年は全て取りやめにして、家の近所の川沿いのさくら並木をウォーキングがてら見ただけだったが、例年ならビニールシートを敷いて花見をしている人たちがいたのに今年は、そんなことをしている人は一人もいなかった。
しかし、秋の紅葉のシーズンは、感染第三波が来ていると連日報道されている中でも、各地の紅葉の名所に繰り出す人々の数は、例年と変わらなかったと報じられている。11月の三連休の頃の京都嵐山の人出などのニュースを見ると、外出自粛の掛け声などまるでなかったかのような混雑だ。「密を避けて、家族でタクシーに乗って来たから～」などとインタビューに答えている人もいたから、それなりに気を使っている様子ではあったが、身動きとれないほど混雑している渡月橋を渡る人たちを見れば、「家族だけで」「密を避けて」嵐山に来ても、これではとても「密を避けている」とは言えないのではないかとも思った。
そういえば、お花見の頃にはよく言われていた「不要不急」という言葉は、この頃はすっかり忘れられているようで、流行語大賞のノミネート上位からも外れていたが、「花見はコロナの最中では不要不急」などとも言われ、まあ来年以降いつでも来られるのだから～とあきらめた人たちまでもが、紅葉狩りには「これが最後の紅葉見物になるかもしれないから～」とでもいうように、大量に繰り出している。
花見時には「不要不急の外出は控えて」といっていた政府が、紅葉狩りの時節には「GOTOキャンペーン」なるものまで繰り出して、大いに外出を促しているのだから～従順な人の多い日本人が、繰り出すのもある意味仕方ないともいえるのだが。
人に限らず、猿などの霊長類、オウムなどの鳥類のなかには、生命活動を維持するのに直接必要ではない実利を伴わない行動である「遊び」を行うものがいるが、生存本能とは一見矛盾するこのような「遊び」すなわち不要不急の行動をなぜ人類は好んで行うのか―――考えてみると不思議だ。もっとも、不要不急のことをしたがることこそ、人を人たらしめている事ともいえるのだが―――。
（12/13/20 10:00pm）
2020年12月11日
民生か軍事か
GPSは、スマホやデジカメに搭載されているばかりでなく、ポケモンGOにも搭載され、3歳の子供も遊んでいるといわれるほど普及しているが、地球を周回しているGPS衛星から発せられる電波を受信することでその位置が分かるというこの技術は、元々はアメリカが軍需技術として開発したものだ。
ノーベルが発明したダイナマイトは、当初から民生用としてのみならず、軍事用に使われたし、最近でいえばGPSをはじめ、ドローンやインターネットなどにしても軍事用に開発されたものが民間転用され我々の生活になくてはならないものになっているし、AI（人工知能）のように最初から民生用か軍事用かの区別なく「技術」として開発されたものも実に多い。
狩猟用に開発されたのであろう弓矢も、簡単に戦闘用の武器として使われたようになったように、技術を民生用と軍事用に区別して扱うことの難しさは、人類史始まって以来の問題であり、おそらく将来的にもこれをきっちり分けようなどと言う試みは上手くいかないだろう。
技術を人類繁栄のための平和的用途にのみ使い、人類を不幸な未来に導く用途には使わないようにするというのは、将来ともにそんなに簡単なことではないのだ。
コロナ問題がにぎやかで、すっかり忘れられたかのような、日本学術会議の問題だが、学術会議は1950年以降幾度も「軍事科学研究を行わない」との声明をだしており、この声明が、多くの大学や研究機関に影響を及ぼしていると言われている。
すなわち、何が「軍事科学研究」なのかが、GPSやドローンの例を見るようにはっきりとしないし、はっきりしない以上は恣意的に「これは軍事研究だ！」と判定されれば、研究予算が付かない―――等という問題が起きてしまうのだ。
例えば、防衛省が、軍民両用技術の研究を助成する「安全保障技術研究推進制度」は、防衛省の予算だからという理由で軍事研究とみなされるというので、各研究機関や大学からの、応募が無くなってしまっているという。
日本の国防に少しでも役に立つようなら、そんな研究は「悪」だという一部の政治勢力の影響の下に、日本の科学研究が選別されているとしたら――――わざわざ公費で賄っている学術会議が、まるで一部の反日勢力の思いのままに運用されてしまうのでは――という懸念も必ずしも杞憂とはいえないかもしれない。
しかも、日本の軍民両用技術の研究を行うのはダメだという一方では、中国が国策としておこなっている「中国千人計画」という中国の軍民技術開発計画には多くの学術会議のメンバーが参加していると聞くと、学術会議のいう「学問の自由」が何となくうさん臭く思えてくる。
（12/11/20
10:00pm）
2020年12月9日
見えない恐怖
一時期、高齢者宅を訪問し「シロアリ調査」と言って床下に潜り込み「床下がシロアリに食い荒らされている！」などと言って法外なシロアリ駆除料をとりながら実は何もしていない――等という詐欺が横行した。今や、コロナ騒ぎで容易に他人を家に上げる人もいなくなってきたから、詐欺も電話を使った姿を見せない物が多くなってきているからさすがに「シロアリ駆除詐欺」は減ってきているようであるが―――。
あのシロアリ駆除詐欺が流行って（？）いた頃、確かに若い人でも自分の家の床下にはもぐったことはないだろうし、まして高齢者だと「床下がシロアリでボロボロになっている！」などと言われたら見てもいないのに、うろたえるだろうし簡単に騙されることもあり得るだろうなぁ～と思ったものだった。
見えない物で脅されると、確かめようもないだけに、人が好い人ほど騙されやすいし、騙されていることさえいつまでも気付かない――等ということは起こりうる。
見えないからこそ不安になるものといえば、最近ならば放射線とコロナウィルスだろうか。この二つ共に「恐ろしい物」という情報だけは十分浸透しているから、高齢者に限らずだれしも「放射線」だとか「コロナウィルス」という言葉を聞いただけでビクついてしまうだろう。
放射線に関していえば、福島原発事故以来、ベクレルやらシーベルト等という聞きなれない言葉が飛び交い、「市民団体」を名乗る善意の、あるいは詐欺師の集団が放射線測定器を持ってあちこちを巡って、「異常に高い放射線を測定した！」と触れ回ったこともあって、世田谷の住宅地やら船橋アンデルセン公園が大騒ぎになったことがあったが、いずれも自然放射線と変わりはないし人体に影響はないという結論が出た頃には、大きな風評被害を出して終わっていることを思えば、あの市民団体なるものは、結局は、お騒がせ団体に過ぎなかったとさえいえるようにも思う。
コロナウィルスに関してはどうだろう。スーパーコンピューターを使ってシュミレーションし飛沫が飛散する様子を可視化したという動画を連日見せられると、マスクをしていない場合のウィルスの飛び散り方は、確かに尋常な物ではないからあの動画を見た人は、怖くなって旅行どころか、外食や買物にさえいけなくなってしまいそうだ。そういう恐怖心にかられた人は、政府によるGotoトラベルだ、Goto EATだののキャンペーンが、のん気に、一部地区を除けば続いているし、場合よっては来年6月まで期間延長が検討されている―――等と聞けば、「政府は何を考えているのか！」ということにもなるだろう。
まあ、それだけに菅内閣支持率が、各調査共に10％近く急落したというのもわからなくはないが―――かといって野党の支持率が上がっているわけでもない、というところに、「見えない物への恐怖心」というものがいかに人間生活にとっての難敵であるかを教えてくれているような気がする。
（12/08/20 10:00pm）
2020年12月8日
年末の謎
クリスマスイブに彼女にプロポーズしようと彼女が来るのを待っているけれど―――彼女は来ない―――と歌う山下達郎の「クリスマスイブ」は、83年に発売されてから40年近く経つが、いまでもこの時期になるとオリコンの人気上位に登場するというから、今や日本の「聖しこの夜」的な定番クリスマスソングと言えよう。
しかし、コロナ騒ぎの真っ最中だけに、今年のクリスマスイブには、ホテルで彼女とディナーをとってプロポーズしよう―――というカップルも例年ほどには多くないようで、二十年ほど前ならもう夏には予約が一杯になっていたという、一流ホテルも今年は、まだ予約は十分できるというし、一年で一番の稼ぎ時だというケーキ屋さんも予約注文の広告宣伝に必死のようだ。
クリスマスディナーだとかクリスマスケーキといった行事は、日本では、ここ半世紀ほどの歴史しかないから、今回のコロナ騒ぎのような出来事があると、いとも簡単に消滅、縮小してしまうことは確かに、あり得るが―――年末そして正月という伝統行事は、どうなるのだろう――。
先日行った歯医者の地方出身の衛生士の女性は、年末年始にも親から近所がうるさいから、帰ってこないでくれといわれており、どうやって休みを過ごそうかと思っている―――とぼやいていた。（医院からも、飲み会やカラオケは止めておいてくれといわれているよし）
タカさんも例年、年末年始には、孫たちが来てくれて過ごしてきたが、今年はそれも中止となり妻と二人で無観客の「紅白歌合戦」と「ゆく年くる年」を見る年越しになりそうだ。（知っている歌手がほとんどいない紅白を見てもむなしいだけだが――）
自粛、自粛で気が滅入りがちではあるが、商売している人たちにとっては、手をこまねいている訳にもいかないようで、今スーパー等では、おびただしい数の正月の松飾りや、鏡餅セットが並んでいる。正月飾りは、一夜飾りは縁起が良くないとは言われているが、飾りはじめは、昔からクリスマス過ぎからやるものと決まっていたはずなのに――――早いところではもう11月の初めから大々的に売り出しているけれど、一体だれがそんなに早く買うのだろう。
タカさんが年末に向かって抱く謎の一つだ。
（12/07/20 10:00pm）
2020年12月7日
終息はいつ？
WHOとテドロス事務局長は、中国武漢で発生してから世界中に拡散してしまった新型コロナウィルスの責任の一端を負っていると、トランプ大統領をはじめ多くの国々からの非難の声の的になっている。
この騒動が何時か終息すれば必ずやその検証がなされるであろうから、それまで組織としてのWHOと、テドロス事務局長の判断の責任を断定的に云々するのは早計かもしれないが、少なくともテドロス氏は北京を訪問し、習近平と会談し「中国政府の新型ウィルスの初期対応を称賛する」と語ったが、その時点で中国では多数の死者が発生、国外への拡散も始まっていたことに対する責任はあるのではないだろうか。（コロナ患者を乗せ各地をさまよいつづけた「パシフィックオーシャン」が横浜に接岸したのは2月2日である）おそまきながら、テドロス事務局長が、コロナのパンデミックを宣言したのはなんと、北京訪問から2か月近くも経った3月11日であったのだ。
この2か月近い遅れが、コロナが世界的に拡散してしまった一つの原因になった、テドロス氏が中国に媚びず、もっと早く世界に警告を発していれば、こんなにもコロナが世界に蔓延することにはならなかっただろう――――と言い出したのは、自らもこのコロナを甘くみていたがために世界一のコロナ感染国となり自らもコロナに罹患してしまったトランプ大統領だが、確かに責任を他人に擦り付けようという魂胆から出た発言であるとしても、その発言にうなずく国民も多かったのは事実だ。
しかも、この時点以降、今に至るまでテドロス氏は、中国賛美や、パンデミック宣言の遅れという自分の判断に過ちがあったとは、一度も認めておらず、寧ろ自分は終始最善の判断をしてきた！と豪語したのだから、25万人もの死者を出しているアメリカ人は怒り狂っているのは致し方ない。
ここにきて、ワクチンの接種が始まればコロナは急速に鎮静化するのではという期待が各地で、高まってきているようだが、テドロス氏は逆に「新型コロナのパンデミックがワクチンで、終わるとの認識が広まっていることを懸念している」と警告を発しはじめたから又物議を呼んでいる。
パンデミックが終息するまでにはまだ長い道のりがあり、市民や政府による判断が短期的にはその道筋を決定しパンデミックの最終的に終息する時期を決めるだろう―――という極めてまともな判断から出た発言のようだが、発生の初期にあれだけ間違った判断をした本人が、今度は「そう簡単には終息しない」と言い出したとなれば、折角、NY株も上がりだしたし、オリンピック開催も可能かも―――と思っている人たちには、「又、あの親父、とんでもない事をいっている！」ともとられているようだ。
まあ、終息するにしろしないにせよ、テドロスさんがその結果責任をとることはなさそうだが。
（12/06/20 10:00pm）
2020年12月4日
移動の自由
日本国憲法は第22条で「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」とさだめられている。もちろん「公共の福祉に反しない限り」という条件が付いているから強制力もって「65歳以上は、大阪、北海道への旅をやめさせることはできない」
これを強制的にとめるとなれば、人権派と言われる人たちが騒ぎ出して大変なことになるから、「自粛要請程度」にとどめておくのが無難だ。
政府は65歳以上のコロナ感染者の死亡率が高いことをあげて「年配者除外の理由だと言ってはいるが」Gotoで出かけた年配者のコロナ感染は、微々たるもので、家庭内感染がほとんどだというから、Gotoを年寄りに禁じたところで、効果どれほど上がるかは、あまり期待できないかもしれない。
医療体制の逼迫状況や、書き入れ時だというのに除外を言われた、旅行業の苦境が報道され、ニュスはそこにばかりスポットを当てるから、彼らの苦衷に同情する声が聞こえて来るし、逆に、「なんで除外しない都府県があるのだ！」等と息巻く人もいて、相変わらずわらずの大混乱だ。
昨日の繰り返しになるが（参照「人が犬に咬みついた」12/02/20 10:00pm）、あちらを立てればこちらが立たず、こちらを立てればあちらがたたない。
安倍前首相は、さくらの前夜祭で矢が飛んで来そうだが、コロナのGOTOと感染拡大問題からは、逃げ切れそうで、ある意味ほっとしているかも知れない。
（12/03/20 10:00pm）
2020年12月3日
人が犬に咬みついた
日々多くのニュースが流されるが、その内容を実感することは実に難しい。
ロスアンゼルスの町は、海岸に面している面以外の三方が山に囲まれている。ロスに住んでいた時、ロス郊外で山火事があり我が家とは反対側の山奥で数日間燃え続けて大きなニュースになったことがある。
この「ロス郊外で山火事」のニュースは、全米のみならず日本にも伝えられたらしく、日本からも「大丈夫か？」と見舞いの電話が入ったりした。
ロスは巨大な町であり、タカさんの住んでいるところから山火事の現場までは、フリーウェーを使っても、優に1時間半近くはかかる距離にあるから（夜になると家から遠くの山火事の灯りが見えたが）「山火事で大変なことになっているらしいけれど、大丈夫か？」といわれても「えっ、何処のこと」と答える位実感がなかったのだが。
日本のテレビニュースで流れるのは、山火事の現場に取材にいったクルー達が撮った山火事迫る住宅や、車で避難する住民たちの様子だから、ロスの広さや、いつも通りのロスのダウンタウンオフィス街の様子などは、日本には伝わらないし、ましてやタカさんの住んでいる住宅地の様子などは、日本にいる親戚には伝わるよしもない。
これに似たことは、世界中どこでも毎日といってよいほど経験することだ。エチオピア内戦のニュースの映像には、少数民族ティグレ族の住民が、政府軍の攻撃を受けて着の身着のまま逃げ惑う迫真の映像が映され、タイのデモの映像には、14万人と言われるデモ隊に、放水し殴り掛かる警官隊の映像が映るから、これはもう今にも戒厳令か、クーデターでもおきるのではないかとすら思うが―バンコック全体の人口900万人からすれば、騒動の真の大きさはわからない―――。
昔から「犬が人に咬みついてもニュースにならないが、人が犬に咬みつけば大ニュースだ」といわれるように、何時の時代も、どんな事件も、報道する側は「大変だ！大変だ！」という出来事を報道する。ニュースを受け取る側は、その大変さがどの程度のものなのかを判断するしかない―――。
コロナ禍の重大さを実感できず外出も怖くてできないという人もいれば、政府が奨励しているのだからとGOTOで喜んで出かける人もいる。共に、コロナを実感できないからこそ起きることだろう。
いやーあ、未知のウィルスは実にややこしい。
（12/02/20 10:00pm）
2020年12月2日
昔話の教訓
イソップ物語には、どの話にも教訓が込められているが、グリム童話にしてもアンデルセンのそれにしても「子供の喜ぶお話」ではあるものの何か教訓が込められているとは思えないものが多い。（「赤ずきんちゃん」に教訓があるとしたら、「おばあさんの顔や声はちゃんと覚えておきましょう」だろうか？）
日本のおとぎ話にもイソップ的な見方をすると訳の分からないものが多い。（それがいけないという訳ではもちろんないけれど）
「桃太郎」にしても、猿、犬、雉を安直な食い物で釣って、何も知らない鬼たちを襲って宝物を奪う―――という今なら、集団強盗にもあたる犯罪の話であり、「良い子は真似をしないようにしましょう」という注釈が付くような話にも聞こえる。
まあ、「花咲かじいさん」や「舌切り雀」なら、「動物愛護」「欲張りはダメ！」「正直は善、ウソつきは良くない」という教訓らしきものがうかがえるが―――。
タカさんは、子供の頃から特に「浦島太郎」の話は、一体何を言いたい話なのだろうかと、訳の分からなさを抱いてきた。
浦島太郎が村の子供達がいじめているカメを助けたところ親亀がお礼に竜宮城に連れていってくれた。という部分には、確かに動物愛護の精神が大事だという教えがあるようにも思うし、竜宮城では美女の乙姫様に大歓待をうけたというところも、動物に優しくすればその見返りはデカイよ！ということを教えているようにもとれ、「情けはひとの為ならず」（人に対して親切にしておけば、巡り巡ってその内、自分に良い報いが返ってくる）と教えているようにも思えるが―――。
しかし、帰りたいと言って引き留める乙姫様を振り切って、玉手箱を土産に貰い、故郷の浜に帰ってみると、浜をでてから既に百年もの時間が経っていて知った人がだれもおらず、太郎は寂しさに耐えきれず玉手箱を開けると、中から煙がでてきて「あっというまにおじいさん」になってしまったとさ――というところがまるで分らない。
敢えて考えるに、乙姫様が「行かないで！」というのにそれを振り切って帰ったので、乙姫様の恨みをかってしまった----女の執念は恐ろしい！ということを教えているのか、それとも毎日毎日遊んでばかりいると、あっという間に齢をとってしまい取り返しがつかなくなるぞっ！と教えているのか―――等と考えたのだが―――。
ここにきての連日のコロナ報道で、この浦島太郎の玉手箱の教訓に少し思い当たる節があることに気付いた。このコロナ報道があふれる一年余りの期間、もし竜宮城にいって乙姫様の接待をうけて連日遊んでくらしていて、コロナが流行していることも知らずいたとしたら―――一年振りに友人たちに「しばらくぶりに会おうぜ」などと連絡しようものなら、コロナ禍を恐怖して日々暮らしている友人たちから、非常識な奴だと思われ完全にハブにされるかもしれないし、自分がコロナに罹って命の危機におちいることも考えられる―――。
浦島太郎の結末が教える教訓は、「情報に疎いということは、致命傷になるよ！」ということかもしれないと思ったのだが―――多分、不正解だろうなぁ～。
（12/01/20
10:00pm）
2020年12月1日
リモート時代
住宅事情がよくない日本では、独身時代はともかく、結婚してからは子供が独立するまでの間、自分専用の部屋を持っているという人は決して多くはないのではないだろうか。
コロナ禍でのリモートワークになってから通勤からは、解放されたもののリモートによる会議の為に独自の部屋を持たない多くのお父さんお母さんが、にわか作りで部屋の壁紙やカーテンを飾ったり、子供たちには騒がないように叱ったりと、結構苦労している様子で、（突然赤ん坊の泣き声が聞こえてきたり、猫がリモート画面に映りこんでくる―――等ということもあるようだ）そうなるとあらためて自分専用の部屋が欲しい！という所帯持ちは多くなっているのでないだろうか。
日本の住宅事情だと、中々困難がありがちだが、アメリカではどうなのだろうか。
タカさんの経験からすると、サンフランシスコにいたときもロスにいたときも、家はそれなりに大きかったが自分専用の部屋というのはなかったが、カリフォルニアに比べて敷地も、家の作りも格段に広いシカゴでは、ほとんどの家にもその家の旦那専用の部屋というのがあって、みな自分の趣味の小部屋にしたり、書斎にしたりと思い思いの「男の隠れ家」にしていたものが、ああいうスペースがあれば、このコロナ時代のリモートワークも多分、なんの問題もないだろうし、家族にも迷惑がかからないだろうが―――。
もっとも、今のタカさんは、娘も独立したし夫婦二人だけだから、専用部屋というか書斎兼寝室があるが、引退した身故に、別にリモート会議の必要もないし、リモート飲み会なるものもあったとしてもとてもじゃないが、缶酎ハイ片手に柿ピーを持っての飲み会なんて―――参加する気にはなれない。
まあ、そんな訳で、この先コロナ禍が長引いたとしても、タカさんは多分リモートとは縁がなさそうだ。
（11/30/20 10:00pm）
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