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2021年5月
＜＜5月タイトル＞
05/31 閑居と引きこもり 05/28 百日の説法 05/27 沈黙は共犯 05/26 孔子と同じ 05/25 生存者バイアス 05/24
鬼も十八 05/21 七割は海 05/20 昆虫食 05/19 領土の売買 05/18 ほら吹き男爵 05/17 ダブルスタンダード 05/14
ズルをすると 05/12 勤労意欲の問題 05/11 等しからざるを憂う 05/10 トキと台湾
2021年5月31日
閑居と引きこもり
よく散歩に出かけていた老人が、近所から徘徊を疑われていると聞いて、散歩を控えるようになってしまった―――という笑い話があったが、逆に出不精で一日、家に閉じこもっていると今度は、「引きこもり」ではないかと心配される―――というご時世になってくるほど、（若い人ばかりではなく）今や中高年の引きこもりが社会問題になってきているとか。
引きこもりが長期化して、その親も介護が必要な高齢者となり、家庭内での介護や、収入の問題が浮上、親子で社会から孤立するという問題が新聞をにぎわすようになっているが、この種の引きこもりの世間に見えていない側面が、深刻な問題になってきているようだ。
15歳以上65歳未満の引きこもり人口は、今や100万人を超えていると推計され、対象年齢の約1.5％にも達するとなると、タカさんの回りでも引きこもり問題は起きているはずだ。
不登校といわれる子供時代の引きこもりに対しては、この数十年では幾分理解が進んではいるようで、社会的な手も差し伸べられるようになっては来ていると聞くが、青年期以降の引きこもりは、本人も回りも隠したがるといったこととあって、まだまだ気付かれずに来てしまい社会的な対策もおくれているとか。
日本で、引きこもりが増えたのは、家庭で子供達が個室を持つようになったことも関係しているともいわれるが、確かに兄弟姉妹、時には一家が一間か二間で暮らしていた時代ならば引きこもるスペースもなかったから必然的にその数は少なかっただろうし、テレビやゲーム、SNSなどがあって、一人でも十分時間が過ごせるようになったことも関係しているようだが、やはり引きこもっていても食事など生活には不自由しない――という、日本が豊かになってきたことや便利になって来たことも、その大きな要因になっていそうだ。確かに食うや食わずの貧困生活を余儀なくされれば、長期間の引きこもりは不可能だろう。
日本ばかりではなく、世界中で、豊かになり始めている国々では、徐々に引きこもり人口が増えてきているとも聞く。人類社会が豊かになって来たという光の部分が明るければ、その影の部分の一つでもある引きこもり問題は、避けようがないのかもしれない。
そういえば、庵を結んで一人暮らしをしていたという兼好法師や鴨長明のことを引きこもりとはいわないで「閑居」などといって憧れの生活の様に昔から言っているが、現代の引きこもりとの違いは、奈辺にあるのだろうか？彼等の、食事や洗濯の世話は誰がやっていたのだろうか？などを、引きこもりについての謎は多い。
(05/30/21 10:00pm)
2021年5月28日
百日の説法
持病があるので定期的に病院を訪れていたのに、コロナによる外出自粛要請などもあって、この頃は、通院を控えている――という高齢者も多いと聞く。肩が凝ったからと言って暇つぶしに病院に行っていた人も、この頃は通院を控えるようになったりもして、民間の病院の中には経営が苦しいところも出てきているとも聞く。
1000人当たりの病床数は、日本の方が、欧米に比べて抜群に多い（英国や米国の3未満に比べて日本は13と約4倍強のベッド数を有する）というのに、欧米の数分の一のコロナ感染者数なのに、なぜ「医療逼迫」状態になるのか―――とも思うが、これは欧米の病院のほとんどが大規模病院であり公立の物が多いのにくらべ、日本の病院の8割が個人病院規模であり、小規模病院の多くは、コロナ患者を受け入れる設備、人員を欠いているかららしい。（コロナ患者を受け入れている病院、と聞いただけで他の病気の患者が寄り付かなくなる等という風評被害を怖れる病院もあるとか）
そんな訳で、町医者の中には暇をもてあまして、平日のゴルフ場に行く者もいて、ゴルフ場は、先生方が一杯だという噂だし、自民党の医師会推薦議員である自見英子参議院議員の資金集めパーティーには、コロナ対策について国や国民に対して厳しい行動自粛を呼びかけた日本医師会の中川俊男会長をはじめ多数の医師たちが駆け付け盛況だったというから、この人達にコロナ対策を語る資格があるのかと思ってしまう。
もっとも、日本医師会会長という肩書でいかにも日本の医師の代表と思われがちだが、日本医師会の代議員は、主に個人病院の経営者であり勤務医は会員の約半数を占めるのに代議員のわずか10％でしかなく、しかも日本の医師免許資格を持つ医者の約4割しか加盟していない。要するに（言い方は悪いが）開業医の集まりなのだ。
そうなると、どうしても医師会の関心は病院経営の権益、利権ということになりがちだから、圧力団体として自分達の利権代表議員の政治資金集めパーティーに参加して気勢をあげることの方が、大人数の飲み会は自粛するようにという国民の健康を守るための呼びかけを守るより大事―――ということになってしまうのかも――。
東京オリンピック開催中のボランティア医師を募集したところ、募集人員200人を上回る250人の応募があったというが、なぜ、一般へのワクチンの射ち手不足がさけばれているのだろう政府の緊急事態延長発表に、「医療体制のひっ迫を鑑みれば、多くの国民は度重なる延長に疲れ切っている。今回を最後と心得て、政府には改めて具体的な対応策を示してほしい」と要望したという。それだけを聞くと、まともなご意見にも聞こえるが、それが自粛を呼びかけながら、自らは自粛破りをしていた方からの発言となると―――高僧と言われる坊さんが、檀徒を集めて百日間、毎日ありがたい説法をしたが、百日目に大きな屁を一発やったために、それまで感心して聞いていた檀徒たちが皆「なぁ～んだ！」とあきれて散っていったという「百日の説法、屁ひとつ」の話が浮かんできてしまい――医師会そのものに対する国民の信頼も失われてしまったような気がする。
(05/27/21
10:00pm)
2021年5月26日
沈黙は共犯
日本に来た際には家にも遊びに来てもらったことのあるルーマニア人の同僚がルーマニア人はイタリア語を話すことはできないが、彼らが話していることは分かる、といっていた。
ルーマニアという国名自身、ローマニア（Romania）であり紀元前2世紀頃、この地に遠征して来たローマ帝国が建てた国が起源であるといわれるから、当時のローマ人の言葉が残っていても不思議ではないわけだ。もっとも彼によれば、ローマ人の言葉であるラテン語を起源とするとは言え、フランス語になるともはやラテン語から変化し過ぎていて理解できないと言っていたが――（現イタリア語に少し近いスペイン語もかろうじて分かるという）
そういえば、日本語の方言も多くは1000年以上前に都で使われていた言葉が徐々に変化していって今も使われているのだという説もあるから、ルーマニア語がラテン語が起源だという説もうなづけるようにも思う。（鹿児島では豆腐のことを「おかべ」というが、これは宮中の女房言葉の「おかべ」が今も残っているのだという説もある。
このルーマニア語の例を見るまでもなく、世界で使われている言語は、その土地とそこに住む人たちの歴史と文化を反映し、民族の核を形成しているのだ。そういった背景を持つ言語を強制的に奪ってしまう行為は、まさにそのは民族・人種集団を計画的に破壊するジェノサイドである。
新疆・ウィグルで行われている中国による民族の強制収容や強制労働と思想教育、ウィグル語禁止と強制的中国語化教育などのジェノサイド（民族・人種集団の計画的破壊）は、到底許されるべきでないと、欧米などの民主主義陣営が非難の円陣を組んでいるが―――日本政府の腰は何故か重い。
Silence is an accomplice（沈黙は共犯）という言葉もあることを肝に銘ずべきではないだろうか。
(05/25/21 10:00pm)
2021年5月26日
孔子と同じ
名作といわれるCMのキャッチコピーは多いが、タカさんが10代の頃、CMで流れていた大正製薬の栄養剤サモンのCM「四十にして惑わず、惑わずサモンを飲む！」というキャッチコピーが妙に記憶に残っている。
丁度、論語の「十有五にして学に志す、三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして――――」(為政扁）のパロディーだったからだろうか、はたまた、父がその頃40代だったからなのか、その辺りの記憶は定かではないが―――。
その時思ったのは、40になると惑わなくなるが、若い頃の元気に少し衰えがでてきて、栄養剤を飲まなければいけなくなるのか―――ということだったが、タカさん自身が年齢を重ね、40を過ぎた頃に確かに若い頃程迷うこともなくなったなぁとは感じたものだったが、栄養剤が必要だとは思わなかった（もうその頃は、サモンは売っていなかったと思うが――）、今や、為政扁の最終部分「七十にして心の欲するところに従えども、矩のりをこえず」の年齢に達している訳だが、常に孔子の言う通りに歳をとれたのだろうか――――と反省ばかりしているようにも思う。
しかし、この孔子の言葉、先日聞いたところでは、反語的に捉えてみると、孔子が励ましてくれているようにもとれ、却ってポジティブにもなれる――と聞いた。すなわち、反語でこの為政扁を読むと、2500年前の孔子様だって自分そんなに違わない歳の取り方をしてきたともいえるような気がして確かに随分とポジティブな気分になれるのだ。
孔子は「十有五になるまでは勉強しなかったなぁ、三十になるまでは自立していなかったなぁ、四十までは惑ってばかりいたなぁ、五十までは自分の天命を知るよしもなかったなぁ、六十になるまでは、他人の話を素直に聞けなかったなぁ、七十になるまでは、心の欲するままに行動すると失敗してばかりだったなぁ――」といっているのだ。
もっとも、七十を過ぎた自分が今や全く羽目をはずすことはないと言えるかと考えると――――、いささか鼻白むところはあるが―――。
(05/25/21 10:00pm)
2021年5月25日
生存者バイアス
没年齢89歳といえば今ではそれほどではないかもしれないが、日本画の巨匠・横山大観が亡くなった昭和33年当時なら間違いなく「長寿を全うした」と言ってよい没年齢であったが、驚くべきことに大観は、晩年の二十数年間は、朝お粥を茶碗に軽く一杯、口にする以外は、一日中、日本酒しか口にせず、栄養はコメのエキスである日本酒でとっているからいいのだと豪語していたという点だろう。（しかも、死後解剖したところ彼の肝臓は、赤ん坊のそれと同じようにきれいなものだったとか―――）
初代の横綱若乃花は、弟子たちの指導の際に、「ビールやウィスキーは、小便になって出るだけだから飲むな、米のエキスである日本酒を稽古だと思って飲めば体ができる！」といっていたという話もある。
健康を保つためには酒をやめろ、という医者にある患者（タカさんではないので念のため）が、この大観や若乃花の話をして口答えをしたところ医者が「大観や若乃花のような特殊な体質は、100万人に1人か2人はいるかもしれないが、残りの99％は肝臓を壊して早くに死んでいて、その体験談を言えなくなっているだけだ！」と烈火のごとく怒られたという―――。
戦争中に少しでも軽量化を図らなければならない戦闘機のどの部分の装甲を厚くするべきかという問題を出された技術者が、出した答えは、「戦闘から帰還した航空機受けた敵弾の跡の多い部分ではなく、敵弾の跡の無い部分―――」であったという話は「生存者バイアス」として今も知られているが、要するに、撃墜されて帰ってこなかった航空機は、帰還した航空機が受けた銃弾以外の部分を撃たれたからこそ撃墜されたのだろう」という推測が成り立ったからである。確かに死んだ者、撃墜された航空機は、自分の死んだ理由や、撃墜された事情をかたれないのだから。
生存者バイアスは今もいたるところにある。コロナにかかって運悪く亡くなってしまった人たちの話は聞けないのに、結構危ない橋を渡ったのに感染を免れた人たちの話はいくらでも聞けるが、その人がたまたま大観や若乃花的な人だったのかもしれないし、単に運が良かっただけなのかもしれないからそんな話ばかりを参考にして敢えてリスクをとり、コロナにかかっては元も子もない。せめて、コロナ回復者がいう予後が長期間にわたることや、闘病がいかに苦しかったかの体験談を十分参考にすべきだろう。
(05/24/21 10:00pm)
2021年5月24日
鬼も十八
今や新聞やテレビのCMは、美容やアンチエージングをうたったグッズのオンパレードだ。化粧品やらサプリ、あるいは器具の類があふれ女性ばかりではなく男性もいくつになっても若々しさを保ち美しく（たくましく）ありたいという欲望を恥ずかしげもなくむき出しにしているが、人間が生物である以上、歳を経て徐々に老化していくのは、しかたのないことであり、抗いようがないことだ。
昔の年寄りは、その辺りをわきまえていて、男も女も、中年になったからといって無理な若作りをすることもなく、年齢なりの化粧や身なりをし、老年に至れば、老成、老熟することを楽しみにするなどということもあったのに、最近はせいぜい三十歳を過ぎたころから、猫も杓子もダイエットだの、アンチエージングに血眼になる様子は、時代の趨勢とはいうものの、多少の違和感を持たないではない。
学生時代、友人たちと東北の山々の縦走をしたことがあり、縦走の最後の日は、八甲田山から十和田湖畔のキャンプ場に出てテントを張った。テント場の回りにはいくつものバンガローがあってそこでは丁度、秋田美人の産地などともいわれる秋田内陸部の女子高の生徒達が林間学校（？）を行っていた。1週間も山生活をしていたむさくるしい男たちの前に若い娘さんたち（しかもみんな美人）の群れが現れたのだから―――4人ともどうしてよいか分からないほどはしゃぎまわったものだった。（まず、皆で十和田湖に飛び込んで水浴びをして山男臭を洗い流したりしたものだ）
どうにかして彼女たちに話しかけようと、色々話し合ったりもしたのだが、なにせこちらも全員初心（うぶ）だし、半世紀も前の話だから、若い娘さんたちも、おぼこばかりで―――結局話しかけることもなく終わってしまったのだが―――。あの時見た秋田の少女たちの化粧もない自然の美しさの記憶は、今も強烈に残っている。
秋田美人といわれる人はその後何人も見たが、やはり数え歳で十八歳（満年齢でいえば十六、十七歳位）の化粧も何もしない素肌美人の美しさには到底かなわない。まさに「鬼も十八、番茶も出花」とは至言だなとおもったものだった。
しかし、この言葉、ある意味残酷でもある。女性は十代後半の美しさがピークだというならば、その年齢以降の女性は徐々に美しさを失っていき、どんどん出がらしになっていくのだ―――、という意味にもとれる訳で、まして中高年となれば―――と思うと、常に美しくありたいと思う女性たちにとっては、ひどい言われ方であり、現代なら「差別だ！」等とも非難されそうである。
世の中にあふれるアンチエージンググッズCMだが、学会が認めた唯一のアンチエージング法は「適度な運動、十分な睡眠、バランスの取れた食生活」だけだそうだから―――あふれるCMにはあまり惑わされないようにしようと思う。
(05/23/21 10:00pm)
2021年5月21日
七割は海
人類として初めて宇宙から地球を見たガガーリンが「地球は青かった」といったように、地球表面の7割は海である。
残りの3割が陸地ということになるが、その約4割を人口の少ない森林が占めており砂漠も約3割に達するから、人口密集地である都市が地球表面積に占める割合は数％に過ぎないのではないだろうか。
中国の宇宙ロケットが周回軌道に入った後、徐々に落下し始め、大型のため途中で燃え尽きず、地球表面に落下したが、失敗したロケットだけに、いつどこに落ちるか事前の予測は困難であった。
中国の宇宙当局は、ロケットの軌道などの情報を公表していなかったため、落下の可能性のある地域の国々や、アメリカ、欧州などからは、中国のこの乱暴な宇宙計画を非難したが、当の中国は「地球の7割は海だから、人口密集地に落ちる可能性は少ない」と最後まで詳細な情報公開を拒んだ。
この迷えるロケット
‘stray
rocket’は、結局10日にインド洋のモルディブ近くに落下したと中国当局が発表したが、これも（コロナの情報同様）各国には余り信用されていないのだとか。まあ、人口密集地に落ちたというニュースは今のところないから、まあ今回は、ほっと胸をなでおろしてよいようだが、中国は22年までに更に11回、この縦30メートル、幅5メートル、重さ23トンというロケットを打上げて地上に落とす（落ちる）予定だというから、その内1発や2発は人口密集地に落ちてくる可能性だってないとは言えない。
中国は2007年には人工衛星をミサイルで破壊する実験を行い、その結果、宇宙空間に大量のごみ（デブリ）をばらまいて国際的な批判を浴びてもいるし、昨年も、アフリカ・コートジボワールの民家にロケットの残骸が落下する事故を起こしてもいるが宇宙大国としての名乗りをあげようとしている―――しかしこの乱暴な、市民に恐怖を抱かせる科学技術に将来人類の賛辞が集まるだろうか。
(05/20/21
10:00pm)
2021年5月20日
昆虫食
ニューヨーク州を中心とした北米で、17年ゼミの大発生がはじまっているという。このセミは17年に一度、大発生を繰り返すいわゆる「奇数ゼミ」の一種だが、タカさんもシカゴ駐在の時代に、このセミの大発生に遭遇したことがある。（同じ17年周期ではあるもののニューヨークなどのセミとシカゴ地区のセミは違った年に大発生するようだ）
大発生が起きるのはわずか1か月ほどの期間だが、数兆匹（数十億匹などという生易しい数ではなく）の赤い目をした小型のセミが発生し木々にとまって鳴くのだからその音たるやすさまじく恐ろしくなるほどだ。ただ、このセミはハエや蚊のように、人間に悪さをするわけでもなく短期間、音さえ我慢すればまた次の十七年間は出てこないのだから、まあどうということはない代物ともいえる。
17は素数の一つだが17年という素数年ごとに大量発生する理由は、大量発生することで繁殖相手が容易に見つかることとか、天敵にあう可能性が低くなること（17年に一度しか食料にありつけないとなれば、天敵もそれまで待てないだろうし）などがあげられている。（参照：吉村仁著「素数ゼミの謎に迫る」）
サルはバッタなどの昆虫をみつけると食べてしまうように、昆虫は栄養豊富で彼等が見逃すわけはないということからすれば、サルの一種でもある人類は、本来、昆虫を好んで食べてもよさそうなものだが――――。現代では東南アジアなどの市場で何種類もの昆虫（甲虫類やイモムシなどを含め）が、素揚げされて大量に売られていることはあるが、その他の食糧が豊富に手に入ることもあって、いわゆる「ゲテモノ好き」と言われる人たち以外ではまず昆虫を食べる習慣を持つ人はいない。
しかし、現在75億人に達し近い将来100億人にもなるという人類が食糧不足に見舞われることが危惧されているだけに、これからは大量発生する素数ゼミやら、農作物に被害をもたらすサバクトビバッタの大発生時に、これを捕らえ素揚げするなり、粉末にして錠剤に加工するなりして食糧ストックとして蓄えておく―――等ということも考えておいた方がよいかもしれない。あんまり食べたいとは思わないが。
(05/19/21 10:00pm)
2021年5月19日
領土の売買
明治維新の前年1867年に、アメリカはロシアからアラスカを買い取った。価格は700万ドル（現在価格で換算すると150億円位）だったというから、その後発見されたアラスカが埋蔵する地下資源（金や銅などの鉱物資源、石油等々）だけではなく、第二次大戦時の対日本、その後の対ロシア、対中国との地政学的な有利さなどを考えると実に安い買物だったといえよう。
ブリンケン国防長官が、アメリカ政府は、2019年にトランプ大統領が表明したデンマークからのグリーンランド購入の意思がないことを表明、機嫌を悪くしていたデンマーク政府との関係に修復の兆しがみえはじめたという。
そもそも何事においても、売買が成立するためには売り手と買い手双方がいて成り立つもので、デンマークには全く売る意思がないというのに、一方的に「買い取る！」と言い出したトランプ大統領は、「さすがビジネスマン的発想！」というべきか、嫌がる地主から強引に土地を買い上げたバブル時代の「地上げ屋的発想」というべきか迷うところだが、（アラスカの例があるからとはいうものの）領土、領海の売買という発想自身に驚かされた。
もっとも、一帯一路構想とやらをぶち上げ、インド洋やアフリカ、あるいはギリシャやイタリアなどに融資と称して金を貸し付け借金漬けにした挙句、港湾施設などを次々に手に入れていくという中国のあくどいやり方も、領土、領海の売買の現代版といえなくもないから、日本も気を付けないとこの手の隠れ売買によって気が付いたら、重要な国土の一部が中国の手に渡っていた―――等ということにもなりかねない。
最近は中国との関係が悪化しているというわれるオーストラリアも、南極大陸の権益に手を伸ばそうという中国の札びらで頬を叩かれてきたことを見直す機運がやっと出てきているようで、中国と結んだダーウィン港の賃貸契約を見直すという。豪州の港を中国に抑えられては米欧などで組む中国包囲網の軍事情報が駄々洩れになると危ぶまれていただけに危ないところだった。
さて、アメリカがその気はないと表明したグリーンランドだが、日本の約6倍の面積を持ちその80％以上が氷床に覆われている世界最大の島は、一見不毛の地に見えるが、レアメタル、レアアースの資源が大量に眠っていて、そこに目を付けた中国が、既にこの開発権を得て開発中だとか。
ひょっとしたら、アメリカが断念したところを、中国が「じゃあ、俺が買う！」としゃしゃり出てくるかもしれないし－--既に手筈を整えているかもしれないと思うと不気味だ。
(05/18/21 10:00pm)
2021年5月18日
ほら吹き男爵
人類社会が始まって以来、エネルギー提供に於いて主役を果たしてきたCo2だが、ここにきてにわかに地球温暖化の真犯人と名指しされ悪役扱に転落、パリ協定によって2050年にはカーボンニュートラルの実現が世界のコンセンサスとなってしまい人類社会には大きな課題が投げかけられている。
我々の日常生活に於いてもっとも身近なエネルギーといえば電気だが、その電気一つをとってみても、カーボンをほとんど排出しない原子力発電が今や悪者扱いとなってしまっては、日本ではフランスのようには大きく原子力発電に依存する訳にはいかない。
そうなると、いわゆる再生可能エネルギーに頼らざるを得ないのだが、太陽光にせよ風力にせよ発電時間が天候や時間に左右され不安定であること、設備やメインテナンスのコストを考えると原子力や化石燃料発電に比べて未だに数倍高いことが悩みの種である。
例えば、太陽光発電ならば一年中日照が十分すぎるほどあり、土地も広すぎる程ある世界中の砂漠に、ソーラーパネルを敷き発電しそこから世界中に送電すれば一気に解決しそうなものだが、残念ながら電気を産地から消費地まで送る送電には送電ロスという問題があり例えばサハラ砂漠にソーラーパネルを敷いて日本に送電するとなると―――直流送電方式を使い長距離の送電ケーブルを敷設して―――日本の変電所で交流に切り替えて―――とやっても相当量の送電ロスによって電力が失われてしまうし、いかに原材料費ともいえる太陽光はタダとはいえ設備コストが莫大でとても採算に合いそうもない。
それでは、サハラ砂漠で作った電気を蓄電してこれを日本に運んだら―――等というバカなことを考えるが、そんな蓄電池たるや巨大なビル位の大きさになるだろうし、送電ロスと同じように蓄電もロスが生じて時間が経つと自然放電してしまうから―――やっぱり現実的ではない。
日本国内で進められるメガソーラは既に、乱開発を招き自然景観を壊すからと各地で反対運動が起こっていることを考えると―――2050年までにカーボンニュートラルの電力ミックスを実現するなどという話は、なんとなく荒唐無稽なほら話のようにも聞こえてしまうのだが――――。
(05/17/21 10:00pm)
2021年5月17日
ダブルスタンダード
韓国では「ネロナムブル」という言葉が流行しているのだとか。「自分がやればロマンス、他人がやれば不倫」の頭文字を取った流行語で、英語でいうならばダブルスタンダード（二重基準）のことらしいが、韓国での政治・社会に於けるあらゆる場面で頻繁に顔を出す現象だけに、彼ら自身が幾分自嘲的を込めて使っているのだとか。
確かに、日本でもテレビコメンテーターなどがよく芸能人などの不倫を散々批判しておきながら、その後批判した彼、あるいは彼女自身が文春などに不倫をすっぱ抜かれる――などと言うケースもあるし、つい最近では、日本医師会の会長ともあろう方が「まん延防止等重点措置」期間中だったにもかかわらず都内で開かれた自民党議員の政治資金パーティーに参加していたことが報じられるなど、そのダブルスタンダード例はあることはあるが、国際舞台で韓国が展開する官民挙げてのネロナブルはちょっと異様で辟易とするものがある。
文政権になってからそのネロナブル振りは異様に増えていると韓国紙が報じている。昨年随分と韓国内で騒動になった曺国前法務部長官の数々の疑惑問題も、もとはと言えば、前朴槿恵政権の不正を批判することで政権についたの文大統領が任命した長官が、実際は不正の温床であったことが発覚したものだが、辞任に至るまでの長官と文大統領の言い逃れは、「ネロナムブルだ」と大問題になったし、戦前の朝鮮独立の英雄の多くはヒゲをはやしていたというのに、日本人の母を持つ駐韓米大使のハリス大使の口ひげを「韓国人に対する侮辱だ！」とデモ迄行って非難したことも、典型的なネロナブルであるとアメリカのマスコミも問題にした。（CNNなどは、ハリス大使のヒゲに対する非難は、韓国人の日系人に対する人種差別が根になっているという評論を載せたものまであった）
直近では、原発の処理水放流についての官民挙げての非難や国際舞台での「告げ口外交」などもネロナブルの例だろう。韓国自身が既に十数年に亘って原発処理水を日本海に放出を続けていることには一切言及せず、福島の処理水放出については各国を回って「許されないことだ！一緒に文句を言って呉れ」と言いまわっている。しかも、韓国原子力委員会が原発処理水の海洋放出は無害だという論文を数年前にだしているにも関わらず、福島原発に関しては、そのレポートには一切触れないというのだからネロナブルぶりには吹き出してしまいそうだ。
いかに隣国といえどもなんとも子供じみたネロナブル振りの国と付き合っていくのにはほとほと疲れそうだ。
(05/16/21 10:00pm)
2021年5月14日
ズルをすると
スギ薬局の会長夫妻に愛知県西尾市の副市長がワクチン接種の予約枠を優先的に確保するよう便宜を図っていたことがニュースになった時、多分これは氷山の一角にすぎず、この手の「ズル」が次々と明るみに出るだろうし、明るみに出ない「ズル」も全国にはきっと数限りなくあるに違いない―――と思ったが、案の定、スギ薬局の報道の次の日には、茨城県城里町の42歳の町長や副町長ら計12人や、兵庫県神河町の、62歳の町長が、65歳以上を対象とした高齢者への優先接種の枠をズルして獲得、初日に接種を受けていたことがニュースになっていたから、タカさんの予感は図らずも当たっているようだ。
韓国で修学旅行生など300人もが死亡した旅客船フェリー・セウォル号転覆・沈没事故の際、乗客には客室にとどまり続けるように言いながら、自分たちは一般乗客のフリをして救助船に飛び移って救助された船長をはじめ一等航海士等の乗組員が、韓国国内のみならず世界的にも非難を浴びたのと同じで、コロナワクチンの接種という非常事態に高齢者へのワクチン接種を急いでやるという自分達の責任をそっちのけで、不当な手段でルールを破り抜け駆け接種を受けることを考えるような人種は、（生存本能むき出しにした正直な人ともいえるかも知れないが）、ルール通りの順番をまつしかない人たちにとっては、セウォル号のパンツ一丁で船から逃げ出した船長以下の「見下げた奴」と映るのは仕方ないのではないだろうか。
エジプトにいた時、空港カウンター前に搭乗券を手に入れようと我先にと群がるエジプト人たちに、「列を作って順番を守る」というルールに厳格なイギリス人が、青筋を立てて怒っていたことを思い出すが、怒鳴られた方のエジプ達は、早い者（強い者）勝ちのルールで生きてきただけに、「あのイギリス人何を怒っているのかなぁ？」といった顔できょとんとしていたものだ。
日本を訪れた外国人が奇異に感じることの一つに日本人が、何にでも（ラーメンにでも、新幹線にでも）列を作って並ぶことだという話を聞いたことがあるが、コロナという非常事態に至って、一部の日本人は劣化（？）してしまったのか、セウォル号の船長の様になってきているとしたら―――なんとも情けない話だ。
ちなみに、セウォル号の船長は、命は助かったもののその後、国民の怒りを買い終身刑の判決がでているようだし、事件当時7時間もの間、消息不明だったといわれる大統領朴槿恵はその後、国民の反発を買って失脚同然となり、今や長い収監生活を余儀なくされているらしい。
全国でズルをしてワクチン接種を受けた人たちは、コロナ感染の恐怖からはいち早く逃れたかもしれないが、今後は長く「あの時ズルしたことがバレたら」という恐怖にさいなまれることになるのではないだろうか。こういう時のズル行為には、世間の目という奴は、時効は無いだろうから。
(05/13/21
10:00pm)
2021年5月12日
勤労意欲の問題
ワクチン接種が進みコロナ不況から脱出しつつあるともいわれるアメリカだが、先日発表された4月の雇用統計では非農業部門での雇用が事前予想の100万人を大幅にしたまわる27万人にとどまるというあまりに期待外れに終わり、失業率も3月に比べ若干上がっていることに戸惑いがひろがっているという。
人々の間のコロナ不安は大幅に減っており、実際ホテル・レストラン業界などでは人手不足状態から一人当たりの労働時間が大幅に増え、時給も上昇しているというのだからこの雇用統計の数字の解釈に戸惑うエコノミストが多いというのもうなずける。
エコノミストの習性で、（競馬の評論家も同じだが）事前の予測が外れた時には「なぜハズレタのか」の解説を見事にやるものだが、今回ばかりは「コロナへの恐怖心を、まだ拭いきれない従業員が多いから」という説ぐらいで、納得のいくハズレた理由、というにはいささか物足りない。
「充実した失業給付金が人々の勤労意欲を削ぎ、それが人手不足を招いている」という後講釈があるが、それが、まあある程度頷けるような気もする。
早速「小さな政府」を標榜する共和党知事のいるモンタナやサウスカロナイナ州では、この雇用統計を見て連邦政府の失業給付プログラムからの離脱を表明しているという。
日本でも一人10万円のコロナ給付金が配布されたが、アメリカでは一人1400ドルの給付金が配られ、それに加えて失業者は、月々最大で1400ドルの失業給付金が手に入るとなれば、確かに勤労意欲を失う人は多いかもしれない。
大きな政府か小さな政府か―――アメリカで長く続く論争がまたもやコロナで顔をだしてきたようだ。
(05/11/21 10:00pm)
2021年5月11日
等しからざるを憂う
孔子は為政者の心すべきこととして「不患寡而患不均」といっている。為政者は国が富んでいないことを憂う前に、まず富が民の間で公平に分配されていないことを憂うべきである、というのだ。
資本主義経済の原理ともいえる弱肉強食、あるいは鄧小平が唱え今の中国発展の原動力ともなった「先富論」（豊かになれる者から、まず豊かになるべきだ）とは、正反対の考え方で、民が苦しい時には、その間で不公平がないように気を配るべきだ、というのだから―――孔子から2500年後も大いに議論を呼ぶであろう言葉だ。
緊急事態宣言の延長決定に伴って、都が発表した休業や時短営業の要請内容が発表されたがその内容の不平等さに疑問の声が殺到、対応に当った都の担当者も「説明が難しい」と頭を抱え込んでいるという。まさに孔子が言ったとおり「苦しい事は我慢できるが、なぜこんなに苦しさに差があるのか！」という不満が満ちているという訳で、為政者のもっともやってはいけないことに当たるのではないだろうか。
マスコミなどが代表例としてまず取り上げているのが、無観客から「収容人数の50％かつ5000人以下」に“緩和”されたという施設のチグハグさだ。「劇場や演芸場」は、12日から営業が可能になるが、「映画館」は引き続き、休業要請の対象－--という線引きなどまさにこれに当たる。これによって東京ドームや神宮でのプロ野球は有観客で開催OKとなるわけだが、平日などはほとんどガラガラな映画館には「休業せよ！」というのだから、確かに訳が分からない。
コロナ感染爆発が始まった昨年前半にクラスター源と騒がれたライブハウスなどはOKでカラオケはダメだとか、担当者もその線引きの理由が説明できないというのだから、マスコミは面白おかしく書きたてるし、関係者にとっては死活問題だけに怒りまくるのもわかるような気がする。（巨人の後ろ盾の新聞社や、うるさ型の「文化人」達への忖度があるのでは―――等という勘繰りもされている）
観客を入れるか入れないかの問題もさることながら、プロ野球やJリーグなどの試合はOKなのに、学校の部活はダメというのも分からない。プロの選手、コーチはOKなのにアマチュアは練習もダメというのでは納得がいかないという人も多かろう。まして、生徒達の部活は禁じておきながら、東京オリンピックは誰が何と言おうとヤルというのだから、確かに訳が分からない。内閣支持率が下がっているのも当然かもしれない。
やっぱり孔子が2500年前に言った通り、為政者は民が等しからざるを憂うべきであるようだ。
(05/09/21 10:00pm)
2021年5月10日
トキと台湾
98年に来日した中国の江沢民主席は、日本で不機嫌を振りまいて帰ったが、日本がお土産にと持たせた3000億円の無償援助のお返しとして、天皇陛下にトキのつがいを贈ってきた。当時の日本人は、絶滅に瀕していたトキに喜んで、江沢民が日本で振りまいていった嫌な雰囲気を忘れてしまったのだが、その直後、台湾の李登輝総統が｢中国と台湾の関係は国と国の関係｣だという発言をした際には、日本が台湾の肩を持つ発言でもしようものなら、只ではおかないぞと日本に脅しをかけてきた。
驚いた当時の小渕首相は、既に50年近くに亘って日本が堅持してきた「一つの中国、一つの台湾との付合い」という既成事実を強く主張しないようにしよう―――という態度でごまかしに回ってしまった。
蒋介石の独裁時代はともかく、当時の台湾は民主的選挙によって選ばれた政府が、民主政治にもとづく、自由で豊かな「国家」をつくりあげているいたのに、片や、共産党一党独裁制度をとっている中国が、台湾という民主的「国家」を併合しようとする意図を露骨に示しているのに、民主主義の守護神をもって任じる米国とともに日本が、たかがパンダやトキを贈られたからというので、中国の肩を持ち台湾を見捨てるというのは理屈にあわないし、道義にも反しはしないだろうか―――とこの日々早々でも書いた通りものだ。（参照：「一つの中国、一つの台湾」（99年7月15日）
かれこれ20数年前にはなるが、当時のこの日々早々に書いたこの意見は、今も、いや習近平の露骨な台湾侵攻の意思が明らかになってきている今だからこそ、日本がもう一度、心に刻むべきPrinciple（大原則）だと思う。
当時のアメリカ大統領クリントンは、中国を訪れ、中国の台湾政策には干渉しないとの言質を与えるという過ちを犯してしまい、日本もそれ以来、アメリカの轍を踏みつつあったのだが―――バイデン政権がここにきて再び、一つの中国、一つの台湾、の原則を打ち出しつつある今、日本も戦後一貫して守ってきた台湾政策の大原則、「一つの中国、一つの台湾」を明確に打ち出すべきではないだろうか。
幸いなことに、この20年で日本でのトキの繁殖は進み、日本で生息するトキは野生に放鳥されたものを含めて既に600羽ほどにもなるというから、パンダと違ってさすがの中国も「トキを返せ！」とは言ってこないだろうし。
（05/09/21 10:00㏘）
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