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2021年9月
＜＜9月タイトル＞
09/30 セーバーメトリクス 09/28 今年の忘年会 09/27 TPPと神社 09/22 ブースター接種 09/21 月旦 09/17
母集団の問題 09/16 慣れは怖ろしい 09/15 ゲーム禁止 09/14 モンロー主義 09/13 切り替え 09/10 ヒーローインタビュー
09/09 タリバン新内閣 09/08 バカ査定か罠か 09/07 退き口 09/06 ほっとする話 08/03 ノンアルコール 09/02
甘い自己採点 09/01 楽しい研究
2021年9月30日
セーバーメトリクス
今テレビなりスマホなりで野球中継を見ていると一球毎の球速、球種やコースなどが瞬時に表示されるほか、さまざまなデータが情報として提供されるから、偶に球場に行って観戦するとその辺りが良く分からず、却って不便に感じたりするという本末転倒な思いにかられることがある。
もはや、その事の良し悪しを云々する人もいないが、かつて草野球をやっていた時のように、「来たボールを思い切って打てばよい！」等という根性論野球は成り立たないスポーツになブラッド・ピット主演の映画「マネーボール」で取り上げられた「セーバーメトリクス」を皮切りに今や、データ重視は当たり前になっている。（エンゼルスの大谷翔平選手もベンチで常に水谷通訳とパソコンでデータをチェックしている）
一観戦者でしかないタカさんだが、中継をみていると今やプロの解説者並みに、球種の分析や予測、作戦の良し悪しまであれこれ言っているのだから、考えてみるとかつての野球と、今の野球は似て非なるもの―――と思わないではない。
データ万能に見える今の野球ではあるが、それでも「本当に野球ではデータが万能といえるのだろうか？」と考えることも多々ある。
例えば「野球は点取りゲーム」といわれ例えば（ルーズベルトゲームと言われる）７点とられても８点取れば勝ちだし、投手が0点で抑えてくれれば9回に1点とれば勝ちだが、この二つのゲームどちらがおもしろいか、となると断然前者であるように観客（あるいは選手にとっても）の野球観戦に求める「面白さ」という価値を加味すると異なってくる。
最近、ちょっと疑問に思うのは、せった試合で無死又は1死、1塁（又は1，2塁）の場合、次打者がよほどの強打者でないかぎりバント（犠打）で送る―――という作戦だ。かつてロッテを日本一に導いた名監督ボビー・バレンタインは「なぜ、わざわざ敵に一死を与えてしまうのか！」
とバント作戦は絶対にとらなかった―――セーバーメトリックスでも犠打作戦は下策とされている。
現在千葉ロッテの井口監督は、必ずと言ってよいほどバント策をとっていて統計上その作戦成功率は高く、今年のマリーンズ好調の一因となっている―――と言うのだが―――。タカさんには何となく「コスイ作戦」と思えてしょうがない。
なにもこれはタカさんがセーバーメトリクス支持者だからという訳からではなく、どこかに少年時代の「ただ強く打ち返せばいいじゃないか！」の精神が染みついている所為であるようだが。
（09/27/21 10:00pm）
2021年9月28日
今年の忘年会
「歴史に学べ」といわれるが、コロナの大流行も、しばしば100年前に大流行したスペイン風邪が参考にされる。多くの記録、特に流行の経緯や防疫法、社会の動揺、といったところでは参考にすべき点も多い。
特に、最近関心がもたれているのが、スペイン風邪は足掛け3年の大流行（大きな感染の波は３波あった）を経て終わり、嘘のように消えてしまったことである。コロナも間もなく足掛け３年にもなるしスペイン風邪にはなかったワクチンという防疫手段を得て、国によっては終息方向にあるようにも見えるから、そろそろ出口が見えたのではないかとのムードも漂い、自粛に飽きたというか耐えられなくなった人々の強い要求もあって、いくつかの国では強い防疫体制が解かれる方向にあるようだ。
ただ、本当にスペイン風邪と新型コロナは相似形の疫病と言えるのかとなるとスペイン風邪が大流行した当時と、現在の社会構造が大きくことなっており、単純に比較には一抹の不安は残る。
スペイン風邪は世界で5億人が感染し1億人が死んだ、といわれるが当時の世界人口はどれ位だったかは、（しっかりした統計がまだなかったから推測に過ぎないが）、日本の総人口が今の半分（約55百万人）であったことからするとおそらく現在の78億の半分以下おそらく30億人程度であったと思われる。そもそも推定5億人と言われる感染者数も、当時の統計の精度を考えるとあまり信用が置けないことから参考になるのかどうか―――という疑問もある。
スペイン風邪では死者が若者に多く高齢者（65歳以上）は少ないという数字も、当時の世界の平均寿命が45歳程度であったこと、要するに今でいう高齢者がほとんどいなかったことからすると、比較すること自身無意味ともとれる。（♬村の渡しの船頭さんは今年60のお爺さん♬と歌われている童謡「船頭さん」が、作られたのが100年前だ――今60歳をお爺さんといったら叱られる）
コロナで今余り話題にならないインフルエンザも、ウイルス感染症であるが、歴史的にみると人類史とともにあると言われており、ワクチンがあるとは言え未だに毎年冬には流行し多くの死者を出しているから「3年程度でコロナも終息する――」と考えるのは楽観論過ぎるように思えなくもない。
となると「コロナ後」には又再び元の生活が戻ってくる――と考えるのも楽観的過ぎるようにも思えてくるが――今年も忘年会は中止した方が良いのだろうか？
(09/27/21 10:00pm)
2021年9月27日
TPPと神社
地域住民と神社との関係は薄れてきているとは言うものの、いまでも初詣や、赤ちゃんが生まれた時のお宮参りなどの祝い事の際には神社を訪れる人は多いのではないだろうか。神社は今でも多くは血縁、地縁で結ばれた氏子（うじこ）と言われる人たちによって支えられている。氏子たちは神社のサポータとして、維持管理、祭りなどの資金や人出を出すなどの世話をしているのだが、その代表は氏子総代と言われ、回り持ちの場合もあるが、多くは地域の名士と言われる人が引き受けている。氏子総代になると、寄進額も他の氏子より多額になり世話も大変だが、地域では一目置かれる存在でありそれなりにメリットもあるようだ。
TPP（環太平洋パートナーシップ）という地域貿易協定も、この神社の氏子たちに例えると少し分かり易い。TPPは、環太平洋諸国で結んだ自由貿易協定だが、参加12か国の中で圧倒的な存在感を持っていたのが、アメリカでいわば永年氏子総代のような存在であり、残り11か国もその総代におんぶにだっこだったが、トランプ大統領になってから、この氏子総代が、他の氏子たちがあれこれうるさい事をいって来て面倒臭いからと、氏子から抜けてしまった。当初、あの実力者が抜けた組織に残っていても―――と関係国には動揺が走ったが、残った日本などが頑張ってむしろ「ジャイアンが抜けた後の町内」のような平穏が訪れていた。
そこに突然、中国というジャイアンの対抗馬の乱暴者が、「俺も氏子にいれろ」といってきたのだから、にわかに氏子たちに動揺が走っている。氏子の中には中国に気をつかっている者もいるようだが、中国を入れてしまったのでは折角の11か国の親睦が壊されるし――まだアメリカの復帰を懇請する方が神社としてはメリットが大きいのでは―――といった思惑を持つ日本のような国もある。
中国の加盟申請と聞いて、慌てて中国にいじめられている台湾が加盟申請してくるし―――氏子たちの寄合ではどう処理することになるかと皆が疑心暗鬼にかられている。（TPPの加盟要件は「国」ではなく「経済圏」となっているから、台湾にも参加資格があることはある）
氏子に誰を加えるかは、氏子の全員一致が必要だが、総代の立場だったアメリカが抜けた後、押し出されて世話役の立場にある日本にとっては、なんとも難しい裁きが必要とされるようだ。
もっとも、全員一致が必要な結果、結局何も決まらなくなってしまった国連安保理事会同様、TPPもぐずぐずになってしまうのだろうか。
(09/26/21 10:00pm)
2021年9月22日
ブースター接種
2回接種が必要とされているコロナワクチンだが、日本でも2回接種を済ませた人が人口の55％を超え、欧米各国に追いつきつつあるという。ここにきて2回の接種後半年を過ぎるとワクチン効果が徐々に低下するので、ワクチンを追加で3回目の接種をした方が、抜群にワクチン効果が上がるということから、日本でも高齢者や免疫効果の低い人たちには、3回目接種（いわゆるブースター接種）をしようという議論が始まっていて、どうもその方向で進みそうだという。欧米でもいくつかの国ではブースター接種が検討され、早いところではもうすでに始まっているところもあるとか。
しかし、世界では開発途上国の多くではまだ一度もワクチン接種を受けていないという人たちが大多数だという現状からすると、まずこれらの貧しい国の人たちへの接種を一刻も早く進めるべきで、金持ち国の三回目接種は世界にワクチンが行きわたるまで待つべきだという意見がある。
例えるならば、金持ちが更に太るために食糧を食い尽くすというなら、その分を今飢えている人たちに与えるべきだ――という議論と同じで、人道主義的な面から言えば正論だが、その意見を述べているのが、コロナの感染爆発初期に、中国の習近平にオベッカを使いにわざわざ出かけ、感染防止の初動対応に失敗したいわばコロナ感染爆発の下手人の一人であるWHOのテドロス事務局長だと聞けば、もろ手を挙げて彼に賛同する気になれない―――という国も多いのではないだろうか。
日本でも、2回接種を済ませた老人達が、もう自分は安全だ、とばかり朝6時ごろからゲートボール場で大声をだしていてケシカラン！といったワクチン未接種の中年の人たちとの間で、世代間不和がおきている――という新聞記事があったが、ここで老人たちに「3回目接種を推進」などということになれば、ますますこの世代間不和が深まりはしないか―――とちょっと心配になる。
江戸時代、飢饉のときに乏しい食料を子供に与えて息が絶えた母親がいたという話があったが、今のワクチンの場合では、そういう精神は中々残っていないのだろうか。
(09/21/21 10:00pm)
2021年9月21日
月旦
世論調査による自民党支持率が急回復しているのだとか。ここのところ自民党の総裁選の話題で新聞、テレビは持ち切りだし、4人の立候補者が出てそれぞれが微妙に違う主張をし、それにともなうおびただしい数の評論家やら、コメンテーター、そして素人のタレントたちがああだこうだと連日コメントしているのだから、思わず人々の関心はそちらに向いている。
今までは、世間の関心事の第一といえば、連日発表されるコロナ感染者数や、重症者数、死者数であり、あるいはワクチン接種率が何％か、集団接種会場の行列がどうだこうだ、と言ったところだったが、ここのところ一時期に比べればコロナ感染者数は急激に減ってきており（例えば20日の東京都の新規感染者数は、302人と、丁度１ヶ月前に比べればおよそ1/20である）、コロナへの関心は急激に薄れており、必然的に次の話題、すなわちいま一番面白おかしくやっている自民党総裁選の話題にならざるを得ないだろう。
古代中国では、人々が誰が次にこの役職に付きそうかを、その人たちの人物評とともに噂しあったという「月旦」（げったん）が娯楽であったというように、古今東西、人事のうわさ話は、何故か人は好きなようにできている。（芸能界のゴシップも、次の自民党総裁は誰かも、同じレベルの面白さがあるようだ）
おかげで割りをくっているのは、立憲民主をはじめとする野党で、今までは、コロナ対策で「政府自民はなにをやっているのだ！」といっておれば、発信力不足の菅内閣の支持率は、じり貧になり、次回選挙では与党を懲らしめてろうと落選してしまう議員の分だけ、棚ぼたで獲得議席数が増えるのでは―――という期待も持てたのが―――ここにきて自民党支持が急回復---というのでは当てが外れる可能性も高い。
総裁選の下馬評も、一時は「河野氏有利」という世論調査も、今日の再調査では「意外とアンチ河野が多い」との結果だとか―――選挙基盤の弱い自民党議員の中には、「この際、派閥の親分に逆らっては、後が怖い」という思いもうかんできているようだ。ふらふらと自分の利害だけで支持を変える議員の中には相当迷いもでてきているだろう。
まあ、トータルで考えると、菅首相は退陣を決めたことで、落ち目になりかけた自民党を捨て身で救った救世主、になる可能性が出てきたのではないだろうか。
(09/20/21 10:00pm)
2021年9月17日
母集団の問題
新型コロナの累計感染者数が遂に165万人に達した。総人口が1億25百万人だから日本人の約1.3％がコロナにかかったことになる。
ちなみに感染者が一番多いのはアメリカで累計3400万人、死者数は66万5000人だ。3億3000万人いるアメリカの総人口の約10％がコロナに感染し、総人口の500人に1人が新型コロナによって死亡した計算になる。日本のコロナによる死者数は1万7千人だから、7700人に1人の割合ということになる。
こういったコロナの感染者数や死亡者数を伝える時、総数のみあるいは割合のみで比較してしまうことがあるが、かつてコロナに関して、日本のそれは米国などに比べれば「さざ波に過ぎない」と発言してマスコミの総攻撃を受けて引責辞任した内閣官房参与がいたが、彼の場合も「割合」を用いて比較したために、「人の命は地球よりも重い」という建前をとっているマスコミの恰好の餌食となったのだろう。（500人に1人が死んでいるアメリカに比べれば、7000人に1人の日本は、「さざ波」は言い過ぎにせよ、大幅に少ないことは確かだ）
連日、各都道府県ごとのコロナ感染者数が発表されているが、例えば9月15日は、東京1052人、神奈川489人、埼玉513人に対してタカさんんの住む千葉は、354人となっているから「千葉はよくやっているが、小池都知事は何をやっているのだ！」などと思いがちだが、それぞれの都県の人口が東京13.5百万、神奈川9百万、埼玉7百万、千葉6百万であることを考えれば割合的には首都圏ではいずれも大差ないということも言えるのだ。母数を知らずに数だけを比較しても余り意味がない。
自民党総裁選が17日公示、25日投開票で行われるが、この第一回投票は議員票383票、党友党員票383票の計766票で争われる。この第一回投票でいずれの候補も過半数に達しない場合は、第一回で2位までの候補で第二回決選投票が行われるが、この場合の母数は議員票383票と各都道府県1票ずつの47票の計430票で争われるというから母数が随分とちがってくるのだ。特に決選投票になった場合は、議員票の比重が極めて高くなる。
マスコミ各社が行った「首相に相応しい人」の一般人を母集団にした人気投票と、自民党所属議員たちだけで行われる、実際の総裁選の結果がまるで違ったものになるのも当然なのだ。
何事も比較をするときには、くれぐれも母集団が何か、を知っておかなければ、とんだ誤解を招きかねないということだ。
(09/16/21
10:00pm)
2021年9月16日
慣れは怖ろしい
尖閣の日本領海への中国公船の侵犯は十数年前からで、最初の頃は大きなニュースにもなったが、それ以降頻繁に続く侵犯は、最近では7月に「150日振りに領海侵犯がなかった」ということがニュースになった位で、連日の侵犯はもうニュースにもならない。
北朝鮮がミサイルを2発を発射し日本のEEZ外に着弾したが、この北のミサイル発射も菅首相が「言語道断」と非難してはいるが、日本にとっての安全保障上の重大事であるにもかかわらず最初の頃に比べれば、マスコミの扱いも「またか！」程度のものであって、世論も余り反応していない。
緊急事態宣言が延長されても人出は減るどころかむしろ増えているのも、尖閣侵犯や北ミサイル同様に、人々がもうすっかり慣れきってしまっているからだ。「慣れは怖ろしい」というが何事も人々は慣れてしまうと最初に感じた恐怖や驚きといったものを忘れてしまうものだ。
まあ、人は何事にも慣れないととてもじゃないがやっていけないというのも事実だし、悲惨な事件、事故も時間の経過とともに忘れてしまわずいつまでもその悲しみを忘れないでいると暮らしていけないというのも事実なのだから―――。
「天災は忘れた頃にやってくる」という寺田虎彦の警句もこの人間の慣れと忘れ易さを言ったものだろう。世の中には本当は忘れてはいけない事柄が実に多いのだけれど―――。
(09/15/21 10:00pm)
2021年9月15日
ゲーム禁止
今やマンガ学部やらマンガ学科のある大学があり、「マンガで読むxx」といった類の解説本は子供向けから社会人向けまであらゆる分野にまたがっているが、少し前までは、学校にマンガ本を持って行くことは禁止、親からは「マンガばかり読んでいるとバカになる」などといわれたものだった。
エレキギターにしろ、テレビゲームにしろかつては「教育上良くない」とか「不良になる」等と言われ言われていたものが、その後、できなければ、却って「遅れている」とバカにされるようになってしまったように、世の中の移り変わりの早さには驚かされる――。
中国では、政府が、「ゲームは、精神的アヘンだ」として未成年のオンラインゲームを週3時間までに制限、更には、ゲームの内容まで政府が検閲することにしたという。食事や睡眠の時間すら忘れてゲームに熱中する我が子にお手上げとなっている日本の親たちの中には、有無を言わさぬ政府の強制力で子供達を締め付ける共産中国のやり方を日本もちょっとは見習って欲しい――等と考える者もいるのではないだろうか。
オンラインゲーム禁止も、習近平思想で国民を思想統制しようという国家の意思である訳で、焚書坑儒の昔からこの国にはどうも歴史的にその傾向があるのかもしれない。もっとも世界でも、強権国家には常に思想統制の傾向があるようだ。（戦時中の日本もそうであった）
そうそう中国政府は最近、一大産業に育っていたオンライン教育や学習塾も一律禁止としたという。15兆円にも及ぶといわれるこれらの産業と10万人規模に上るといわれる塾教師等にとっては、まさに青天の霹靂だが、こんなことが指導者の一声でできてしまう国が今どきあるということが信じ難いのだが―――。
コロナ対策一つにしても、何事も強制することが出来ず、時にはルーズすぎると思えるほど自由放任に任されている日本だが、中国をはじめとする強権国家を見ていると、やっぱり日本の方が遥かに良く見えてしまうのだが―――。
(09/14/21 10:00pm)
2021年9月14日
モンロー主義
1820年代のアメリカ大統領モンローが唱えたモンロー主義は、お互いの国が相手の内政に関しては干渉しないようにしようという「内政相互不干渉」原則である。
冷戦時代にも、あるいは先ののトランプ大統領も、掲げるなどこの200年余りの間には、アメリカの外交政策としてしばしば頭をもたげる原則で、世界でも「アジアモンロー主義」とか「市営モンロー主義」などという形で時々頭をもたげてくる原則だ。
モンロー主義原則は、かつて日本やチベットがとった鎖国政策などとも通じるところがあり、要は「あんたの国の事にケチをつけないから、俺の国のこともほおっておいてくれ」という原則だから、時の為政者にとっては都合の良い原則と言うことも出来る。しかし、宗教や人権、領土問題などとなると、「これは、内政問題ではない！正義か不正義の問題だ！」と言って口をはさんでくるものがいるだろうからモンロー主義あるいは内政不干渉原則はその国（為政者）のご都合主義に過ぎない、という批判も往々にして湧き上がる。
台頭するヒトラーやムッソリーニ達のファシズムに対して時の英国首相チェンバレンのとった融和政策もモンロー主義の原則と通じるものがあり、結局ファシズムを増長させてしまうという取り返しのつかない失策につながってしまった―――とも言われている。
一帯一路などの対外膨張政策では「中国の夢」を語る一方、人権問題や台湾問題や香港問題では「内政干渉だ！」という習近平中国の様に今もモンロー主義は都合よく使われている。
今まで米国頼りで悪く言えば「おんぶにだっこ」されていた国々では、あのアフガン政府のあっという間の「カブール陥落」の大混乱を見て、「明日は我が身」の動揺が走っているのではないだろうか。
米国内でも、アフガンでの20年もかけた努力があっという間にムダに終わってしまったという失望感から、やっぱりアメリカはモンロー主義原則に戻るべきだという世論も強くなりつつあると言われる。
欧州各国、アジアで今まで米国寄りの政策をとって来た国々も、大なり小なり、動揺が走っている。いつまた米国がモンロー主義に立ち戻ってしまい、自国単独で強権政治や狂信的宗教に立ち向かい戦うか、それともその相手の軍門に下るか―――の選択を迫られたとしたら－--。
今では親がかりで気楽にくらしていた中年男が、突然親から見捨てられたら―――。日本も真剣に考えておかなければなるまい。
(09/13/21 10:00pm)
2021年9月13日
切り替え
白人至上主義団体のデモと、人種差別に反対するグループとの間で衝突が起きた。これに対して当時のトランプ大統領は白人至上主義グループを擁護するかのように、「多くの側から憎悪、偏見、暴力が示された」と発言、全米の人種差別反対を唱える人たちの猛烈非難を受けた。元々人種差別主義者なのではと言われていたトランプ大統領だが、さすがにこれは分が悪いと思ったのだろうか、一日で前言を翻し一転して白人至上主義団体を名指しで非難した。
政治家ならばコロコロと前言を翻し平気であたかも以前から前言と正反対のことを言っていたかのように振る舞う者は多いが、「気を見るに敏」というか「臨機応変」というか、意地でいつまでも前言に固執しすぎて自滅するよりは、良いのかも知れないが―――「政治家として信頼できない人」と受け取られ信用を失うことにもなりかねない。
自民党の総裁選に立候補すると言われる3人の内、岸田、高市の両氏はまあ事前に言われていたように「岸田=リベラル」「高市=保守」の大枠の中で（微妙に意見を変えているところはあるようだが）抱負を述べているが、河野氏に関しては、今一つ分からないところがある。
というのも、河野氏は、以前から脱原発を声高に主張していたと思うが、総裁選に当っての基本政策として「原発現実路線」に転換とやらで「安全が確認された原発を再稼働していくのが現実的だ」と言っている。そんなことなら自民党の多くが言っていたことであって、今まで「脱原発」を強く主張していたのはなんだったのか？――と考える人も多いだろう。
又、皇位継承問題は、「女系天皇容認」というこれまでの意見を180度転換し、「男系で続いてきているというのが、日本の天皇のあり方であり、旧宮家の男系男子の養子縁組も選択肢の一つ」と述べ始めた。
自民党員内で行われる自民党総裁選だから、党内で受けなければ意味がなく、この際党内にいる保守派の賛同を得た方が得だ――という計算から、原発容認、男系男子の継承、という路線に転換したのだとしたら今度は総理、総裁になった途端、又平気で前言を翻す可能性もあるのでは――とも考えられる。
トランプさんやら蓮舫さんなどの例を見ていると、そういうことが平気でできる人が、政治の世界ではしぶとく生き残ってきた―――ちょっと、日本が心配になってくるのだが―――。
(09/12/21 10:00pm)
2021年9月10日
ヒーローインタビュー
テニスの大坂なおみ選手が、試合後の会見を拒否し、重度の欝に悩んでいたことが明らかになり一気に彼女への同情が集まったことで、勝っても負けても、あるいは棄権した場合でも要請されれば会見を受けなければ1万5000ドルもの罰金、以後の出場権を失う可能性さえあるという非情なプロテニス協会のルールに対する非難が集中した。
テニスには詳しくないのだが、長時間にも及ぶ試合中は、誰とも話すことを禁じられているそうで、そんな緊張した孤独に耐えた直後に、ぶしつけな記者たちのあらゆる質問に時間無制限で答えなければいけない―――というのだから、幼い頃からナイーブで内気だったという大坂選手にとっては、試合後のあのインタビューが耐え難い苦痛であったのだろう。
そういえば、ドジャースタジアムなどでメジャーの試合を何度も観戦したが、日本のプロ野球でおなじみの試合終了後の「放送席、放送席、それでは今日のヒーローxx選手です！」というヒーローインタビューを見たことがない。最近は大谷選手や、ダルビッシュ投手が、日本語の中継用にインタビューに応じている姿をテレビでは、何度かみているが、それ以外の選手は相変らず試合が終わったら、散らかし放題のダッグアウトを後にしてさっさとロッカールームへ引き上げて行って―――客も我先にとスタンドを後にしている。
日本のプロ野球と、アメリカのメジャーの違いはいろいろあるけれど、日本の球場では当たり前の試合後の公開インタビューと、鳴り物入りの応援（コロナ禍の今は自粛中だが）、リリーフカーに乗って登場する救援投手（アメリカでは皆自分の足で歩いて出てくる）、はメジャーにはない。
どちらが良いとは一概に言えないが、タカさんは、千葉ロッテの試合を見に行ってロッテが勝った時などは、終電の時間を気にしながらでも、お立ち台でのその日のヒーローインタビューを見るのが楽しみだ。
選手の中にはやはりシャイなタイプもいるし、受け答えも吶々としていて、「もうちょっと気の利いたことをいえばいいのに」などと、思わず指導したくなるような選手もいるが―――。
「この喜びをまず誰に伝えたいですか？」という定番の質問に、「ずっと応援してくれている両親に」などというのを聞いて、ジーンと来て「よし、これからも応援するからな！」なんて思ったりする。野球を見ている時のタカさんは単純なのだ。
(09/09/21 10:00pm)
2021年9月9日
タリバン新内閣
タリバンが漸く新内閣を発表した。事前には報道官が「イスラム法の範囲内で」と言う条件付きながら「女性の権利を認める」とか「国内の他地域の出身者も選ぶ方針だ」などとも述べていたから、20年前のタリバン政権とは違って期待できるのでは―――などと希望的楽観論に傾く向きもあったけれど、イスラム原理主義者たちの武装集団が、そんな甘っちょろいことをする訳がないの――多分この報道官はウソを言っているだけでは―――と思っていたが、やはり蓋を開けてみれば内閣のメンバーは、ガリガリの原理主義指導者やら、国連がテロの首謀者として制裁対象に指定している武装組織指導者などで閣僚が占められ、女性は勿論、他地域出身者、旧政府関係者などは全て排除されている。
結果論でいうのではないが、イスラムに限らず宗教や共産主義やファシズムのような主義に狂信的な連中に対して「話せばわかる」というやり方が、功を奏することはないのだ。
そうはいっても、アフガンで中村哲さんをはじめ、多くの日本人やそれにアフガンの人々が、努力してきた農業指導や教育指導の支援などのもろもろの社会活動が全て水泡に帰し―――武力に抗する術が、武力しかないというのでは、余りにも残念だ。
唯一タリバンを締め上げる手段として考えられるとしたら、タリバン新政権の資金を絶ってしまうという手があるという話も聞く。幸いにしてアフガン政府の資金は全てドルでたくわえられており、米国当局とIMFが送金を停止し、各国が、アフガンのGDPの42％を占めるという国際援助はしばし停止すれば、タリバン政府は早晩資金枯渇によっていかに狂信的な集団といえども一国を統治するのは困難になるのでは―――とも妄想するが――。
(09/08/21 10:00pm)
2021年9月8日
バカ査定か罠か
既に世界の軍備は空軍力が主流になりつつあったのに、日本が時代遅れの大鑑巨砲主義に固執して莫大な国費を傾けて建造した戦艦「大和」は、結局一度も実戦に出る事なく米航空部隊の猛襲を受けて敢え無く太平洋の藻屑となってしまった。整備新幹線網への莫大な予算要求を拒否する当時の大蔵省の高官が大和の失敗を例にして、「昭和の三大バカ査定の一つになる」と答弁して拍手喝采を受けたことがあったが、世界にも費用対効果を考えたら余りにも馬鹿げているバカ査定は多い。
習近平がぶち上げた一帯一路構想自体もそうだが、中でも「21世紀の鉄のシルクロード構想」は、どう考えてもバカ査定だ。
中国の重慶など50都市と欧州を鉄道で結ぼうという構想は、確かにその沿線国は50か国余り、世界に占めるGDPも3割弱であり、一見良さそうにも思えるが、50か国と言っても始発の中国と終着の欧州を除けば沿線の国々は、世界の最貧国に近い経済レベルにあり、地域的にも、近い将来に大発展を遂げる可能性は高くはないし（中央アジアの国、ごめんなさい）、これらの国々が中国の構想に応分の出資をする等ということもまずありえないだろう。
そうなると、結局中国が融資した形をとり、その金は現地の政府高官や一部権力者の懐に入るだけ―――その国が返済不能になったら、中国が借金のカタに国を乗っ取る―――なんていう、中国得意の「債務の罠」だって、ザンビアやモザンビークの例から言ってないとは言えない。
そもそも世界の物流はかつてラクダの隊商が行き来した時代のロマンあふれる中世とは様変わりしていて、今は、物流量からいえば海運が90％近くを占めており、金額ベースでも海運に次いで航空機が30％近くになる。鉄道輸送の割合は微々たるものだ。
旅客にしてもシベリア鉄道でウラジオストックから欧州まで行こうという旅行者は今どき、希少価であるように新シルクロード鉄道で旅しようという客もいないだろうから、旅客でも鉄道では、採算はとれない。
やっぱり習近平の鉄のシルクロード構想はバカ査定か、それとも狡猾な債務の罠かのいずれかだということなのだろう。
(09/07/21 10:00pm)
2021年9月7日
退き口
秀吉の出世の糸口の一つになったのが、主君信長が越前の朝倉を討ちに遠征したが妹婿の浅井氏の裏切りにあい絶体絶命のピンチに陥った際の退却戦で殿（しんがり）を務め、無事信長を逃がしたという「金ヶ崎の退き口（のきぐち」であり、関ケ原の戦いで敗戦の西軍にいながら敵の本陣近くを果敢に突っ切って薩摩に帰還したことで以後250年間島津家を徳川の世でも有力外様大名として残した島津義弘の「島津の退き口」であるように、歴史上撤退戦を見事に成功させた例はいくつかあるものの、撤退戦の成功が歴史に名を残すのは、その何倍、いや何百倍もの撤退の失敗例があるからだ。
会社経営などでも撤退の見極めは難しく、逆に撤退を上手く運んだことで損害を少なく留め、新しいチャンスをつかんで飛躍したという企業もあることはあるが、やはり多くの企業が撤退作戦の失敗によって消えていってもいる。
ベトナムやアフガンのみならずアメリカも勇ましく出て行った先々で、結局最後は、みじめな撤退を余儀なくされているが、あれを見ているとアメリカも少しは退却戦の勉強をすればよさそうなものをと思う。
そうそう、（タカさんは全く経験がないが）聞くところによると、結婚も始めるのは簡単でも、止めるのは実に大変な困難が伴うらしい。
いやいや、日本でも、先の大戦にしても、退き口の失敗だらけだったし、最近でも実に多くの失敗が目につく。菅内閣もその一つだろうか。どうせ総裁選に出ないことになるなら、「コロナ対策に専念したいから」と後1か月、悪くとも後1週間早く総裁選撤退を表明しておれば、「菅も、あの難しい時期に割とよくやった。ご苦労さん」という支持者もいくらかいただろうし、自民党のダメージもいくらかやわらぎ、野党もあたふたしたのでは――とも思うが―――結果論かもしれないが。
考えてみると、世界は退き口の失敗だらけということなのかもしれない。
(09/06/21 10:00pm)
2021年9月6日
ほっとする話
30万人いたと言われる政府軍は、あっという間に逃げてしまい、駐留アメリカ軍もさっさと撤退してしまったから、アフガニスタンの首都カブールはあっけなく陥落した。この撤退劇で、アメリカの、大量の銃や大砲のみならず飛行機、ヘリコプターなどの最新兵器までもがタリバンの手に落ちたという。
タリバンが世界最先端の武器を手にいれたことで、国際テロの激化を懸念する向きも多いが、あまり心配する必要はない、という軍事評論家の見解を知って、なるほどと納得すると同時に思わず笑ってしまった。
彼によると、米軍の最新兵器は、それを操作するにはかなりの訓練が必要で、今までトヨタのピックアップトラックの荷台に置いた軽機関銃ぐらいしか操作したことのないタリバンが使いこなすには相当な訓練が必要で、品質が悪くすぐ壊れることで知られるアメリカ製の兵器は、そんなに長い時間持たないだろう―――というのだ。
そういえば以前、サウジに行った時、砂漠の中の小高い丘に何百台もの（千台近かったかも）日本製のブルドーザが放置してあるのを見たが、お金持ちのサウジでは、壊れたブルドーザーをこまめに修理したりメンテナンスする位なら、新品を買った方が早い、と考えちょっとでも動かなくなったら放置してしまうのだと聞いた。品質が良くて壊れにくい日本の製品を、日本人はこまめにメンテを行い、万一故障があってもすぐ修理して何十年も使い続けるが、世界では、作る側も、使う側も製品に対する考え方が違うのだなぁ～とおもったものだが、最新鋭の武器類まで同じようなコンセプトなのかぁ～とタリバンの入手した米軍の武器に垣間見たように思う。
製品の粗悪さではロシア製――というイメージがあるけれど、ミグなどの戦闘機などはともかく、銃については全く逆のことを聞いたことがある。ロシア製の銃としてよく知られる、カラシニコフ銃やトカレフの拳銃などは、「グリスが切れようが水に浸かろうが砂に埋めようが、まだ撃てる」といわれ壊れない銃として今も世界中のゲリラやヤクザが愛用（？）しているのだとか。
武器となると高性能も確かに一つのウリだが、設計がシンプルで操作が簡単、頑丈にできている――といった製品にはかなわないのだ。
武器輸出が解禁されたから品質の良い日本製の武器は、ひっぱりだこかとも思うが、実際は、全くと言ってよいほど人気がないのだとか。品質は良いけれど、高すぎて人気がないという。ほっとする話ではある。
(09/05/21 10:00pm)
2021年9月3日
ノンアルコール
終わりが見えないコロナによる緊急事態宣言で大きな影響を受けているの業界の一つが、飲食店業界だろう。夜8時迄という営業時間の短縮を要請され、更に酒類の提供をするな！というのだから営業が成り立つものやらと陰ながら心配になる。
随分以前の話になるが、業界誌の記者に聞いた話では、FD比率（売り上げに占めるフードと酒類の比率）は大まかに言って居酒屋のような業態で5:5、カフェバーのようなところになると約8割程度が酒類によるものだというから、これが今も変わっていないとすると店によっては全面休業した方がまだ損害が少ない―――等というところもあるのではないだろうか。
店によっては、自粛要請に応じず遅くまで酒類を提供しているところもあるというし、それを強制的に止める法的手段もない現状では、要請を守っている店から「正直者がバカを見るのか！」という罵声も飛ぶから、そんなときに首相をやっている菅さんも、支持率がガタ落ちするのも致し方あるまい。（まあ、誰がやっても支持率が落ちるのは当然で、こんな時には都知事のように、無言を貫く位の手しかないだろう）
先日、駅前のすし屋に行ったら、この店も自粛要請で酒類の提供をやめており、飲物メニューには、ノンアルコールがずらりと並んでいたが、おなじみのノンアルコールビールやら、ノンアルコール酎ハイ、ノンアルコールワインと言った物の中に、何とノンアルコール日本酒というのがあったのには驚いた。カウンター内で寿司を握っていた大将に聞いたところ、常連さんたちが少しでも売り上げに協力しようと「寿司には日本酒」だからというのでよく注文して呉れたので、今は品切れだという。
タカさんは酒飲みだからか、ノンアルのビールでさえ何だか騙されたような気がして「こんなの飲まない方がまだマシ」と思う口だけに、日本を代表する酒である日本酒をノンアルコールにしてまで飲む人がいるとは―――と唖然としてしまった。
寿司屋の大将は、お客に提供する以上は自分も試してみないとと思い、何回も試飲したそうで、香りも口当たりも、酒らしくて良いとはいっていたが―――さすがにお銚子何本もと言われれば、そんな気にはなれなかったと正直な感想を述べていた。
コロナが収束する頃には、日本の夜の風景もすっかり変わってしまっているような気もする。
(09/02/21 10:00pm)
2021年9月2日
甘い自己採点
今やビデオのスロー再生が発達しているからプロ野球でのアウト、セーフの微妙な判定はテレビ中継であらゆる角度からの、スロー映像をみている視聴者の方が、プレー眼前とは言え一方向から見ている審判よりも正確に判定できる場合も多いかもしれない。
ビデオ判定制度が設けられる以前のプロ野球では「審判の判定は絶対」という紳士協定のようなルールがあって、選手も観客も渋々にしろ審判の判定に従っていたが、NPBがビデオ判定制度を取り入れるようになって以来、審判の権威は大分おちてきているように思う。
囲碁や将棋でもAIが取り入れられるようになってから、勝負の様相が随分変わってしまったが、今のところ人間がAIを上手く利用して、それはそれで新しい将棋やら、新しい囲碁になってきているように、野球でもビデオ判定を上手く取り入れて、選手もファンも満足し楽しめる「新しい野球」になってくれば良いのだがなぁと思う。NPBのビデオ判定（リクエスト制度）は、メジャーリーグ（MLB）の（チャレンジ制度）にならって導入されたものだが、30球団を擁し資金力もけた違いのMLBほどの設備投資ができないNPBのリクエスト制度は、MLBのそれとは似て非なるものとなっている。一番おかしなところは、NPBのそれは監督がジャッジに異議を唱えた場合、当該試合の審判団がビデオルームに引っ込んで再検証するのに対して、MLBではニューヨークにチャレンジ判定用のセントラルスタジオを設けて、30球場に7台から12台ほど設置したカメラの映像を一括管理し、その映像を見ながらリプレー・ディレクターと呼ばれる別の判定員（これも本職の審判が務めている）が判定を下すという制度である点だ。「あの判定はおかしい！」と言われた審判自身が、誤審だったかどうかを判定するのが日本の制度であり、「誤審ではないか？」と言われた判定を第三者が行うというMLBのシステムの方が、余程公平性が保たれていると感じる。
アフガンからの撤退が「大成功だった」というバイデン大統領や、邦人一人だけの救出に終わった自衛隊の救出作戦を「良かった」と評価する菅首相のスピーチに納得できる人が少ないのと同じことだ。
MLBのこのリプレーセンター方式には、設備投資とその維持のために莫大な費用が掛かっているが、金のないNPBにはそんな真似はできないとなると、結局この程度の「似て非なる物」でごまかすしかないということなのだろうが――テストの採点を答案を書いた生徒自身にさせるようなNPBの制度はファンとしてはどうにかして欲しいと思う。
(09/01/21 10:00pm)
2021年9月1日
楽しい研究
「星の数ほど」というのは非常に数が多いことの例えとして使われる言葉だが、実際夜空の星の数は多すぎていちいち名前をつけてはいられないようで、あらかたの星にはIAUナンバーという符号だけがついている。佐渡で繁殖が始まったトキも、最初の二羽ぐらいには確か名前がついていたが、あれから20数年、毎年かなりの数のヒナがそだつようになってからは、もはやいちいち名前が付けられることはないようだ。
ところが、ゾウムシという体長数ミリの甲虫がいるが、この甲虫は既に知られているだけでも世界に6万種がいて毎年次々と新種が発見されているという。先日「目がテン」という番組を見ていたら番組中にも研究者が、2種類の新種のゾウムシを採取、番組の名前をその新種につけていたが（後に正式にこの名前が承認されたのだとか）、何よりもこの専門家に驚いたことは採取したゾウムシが新種であるかどうかを瞬時に判定したことだ。彼はほとんどのゾウムシの名前（6万種もの）を判定できるととのことだったのだから―――。
地震や火山噴火のニュースがあれば必ずそのスペシャリストが出て来るし、例えば今なら、アフガニスタンのタリバンとイスラミックステート（IS）あるいはアルカイダとの関係―――等と言った問題でも、その事情に詳しい専門家や研究者が何人もいる。地震や火山、あるいは津波といった災害の専門家や、アフガニスタン情勢や、タジキスタン情勢、といったことでも専門家は、それはそれで今回の場合など、引っ張りだこになるし、その研究は我々の役にもたつだろうが、ゾウムシの研究、等ということになると、（この人は嬉々として楽しそうではあったが）、世の中の役にはどう立っているのだろうかとも思った。おそらく彼は、世の為、人の為に役立てようとゾウムシの研究をしているわけではないのだろうが、彼のゾウムシを見る楽しそうな顔は、自分がついぞしたことがない顔でつくづく羨ましくなってしまった。
ひまわりの研究をやっている友人とか、いわしの小骨の研究をやっている友人がいることを以前この日々早々で書いたが（参照：「イワシの小骨の研究」（10/16/00））こういった事を、地道な研究している人たちを、本当に羨ましく思う。
(08/31/21 10:00pm)
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