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2021年12月
＜＜12月タイトル＞
12/27 雪国育ち 12/24 不祥事が起きたら 12/23 有料化後 12/22 熱燗で一杯 12/21 湯たんぽはどこに 12/20 涙の意味
12/17 遺跡はなぜ埋もれる 12/16 曰く不可解 12/15 商人国家 12/14 討ち入り 12/13 トルネード 12/10 中国の電力不足
12/08 牛になる 12/07 エポックメーキング 12/06 無欲は大欲 12/03 原始の本能 12/02 文語調 12/01 忖度なし
2021年12月27日
雪国育ち
東京で雪が降ると、電車は止まるし雪道で滑って転倒する人が続出するなど大混乱をきたすが、雪国では人々が雪への備えをしている所為もあって余程の大雪でもない限りは、都会程の大騒ぎになることは少ない。青森空港にはホワイトインパルスという名の除雪隊がおり、どんな大雪が降っても東京ドーム12個分の広さの空港を40分で除雪してしまうから、国内屈指の積雪量がある青森空港だが、今までに降雪で空港が閉鎖されたことはないという。成田や羽田で青森並の降雪があれば大混乱は間違いないだろうに。
数年前の冬、函館旅行をした時、五稜郭に行こうとして市電から降りて、道を尋ねたら、「私の家もそちらの方ですから、ついてきてくだされば」というので、雪道を後ろに付いて歩いたのだが、随分とご年配に見えたそのご婦人は、滑りそうな雪道を、スタスタと歩いていくではないか――。昔、雪国で暮らしたこともあるタカさんだが、もう何十年も雪道歩きをしていないだけに、必死について行こうとするのだが、たちまちの内に離されてしまい、申し訳ないので「先に行ってください」とギブアップしたこともあった。スケート選手の多くが、雪国出身であるのもこの雪道歩きのバランス感覚となにか関係がありそうだ。
年末に向けて日本列島に、強い寒気が流れ込んできていて、日本海側（昔は「裏日本」といっていたが、クレームがついて「日本海側」と言うようになったらしい）では、広い範囲で雪が続いているという。南関東では、雪の気配はないが、西日本の日本海側では、既に一気に雪の積もった所もあるというし、この強い冬型の気圧配置は年末まで続くと予測されているから、各地では引き続き大雪に警戒が必要だとか。
まあ、タカさんの住む地域では、まさか年末に、大雪ということもないとは思うが、舐めてかかると、もしもの積もったら、身動きがとれなくなるかもしれない。せめて長靴と雪かきスコップ位は、倉庫から引っ張り出しておいた方がよいだろうか―――。
さて、今年の「日々早々」も、今日で最終稿となります。令和四年の「日々早々」初稿は、1月7日号の金曜日シリーズからの予定です。
三年目に入ろうとしているコロナ禍もあって、皆様も何かと大変な年越しを過ごされていると思いますが、なにとぞ良いお年をお迎えください。
タカさん拝
（12/26/21 10:00pm）
2021年12月24日
不祥事が起きたら
アメリカの危機管理セミナーで聞いた不祥事の際の対処マニュアルを思い出す。というのも、日本では、こんな基本ができていない政治家、企業、個人が多すぎるように思えるからだ。
不祥事を起こしてしまった時の、対処の仕方が悪かったために、取り返しがつかなくなってしまうこともあれば、逆に、それを切っ掛けに立ち直り、以前より評価が高くなる――等と言うケースさえあるのだ。企業にしろ、政治家にしろ、あるいは個人にしろ、対処の基本は同じだ。
不祥事が発覚したら、まずやることは「事実の認定」である。ここで、変にウソをついたり隠したりすると、後でばれた時に（ウソはバレるものなのだ）、もう取り返しのつかないことになってしまう。但し、（やってもいないことは明確に否定し）その時点でははっきりしないことは、何時何時までに公表する旨を告げ、その期日をしっかりと守ることが大切だ。（田中角栄は「後日明らかにする」と大見得を切りながら、逃げ切りを図ったことで終生、悪評を残した）
「公表と謝罪」も重要だ。グタグタ言い訳せず真摯に謝罪することが大事だ。「捜査中のことなので」とか「責任者が不在で」と逃げるのが、最近の常套手段だが、この手の与える印象は、「逃げてばかりで、反省の色が見えない！」と非常に悪くなる。政治家や企業などでは、この時の、悪印象がその後の致命傷にもなりかねない。
「責任と処分の明確化」も必須だ。度重なる、日大の不祥事でも、責任が誰にあるのかを全く明確にせず、アメフト事件の時も、結局形だけの処分をしたものの、彼等を全員直ぐに復帰させるなどしたことで、今回の裏金騒動で大学全体に致命的な傷を負わせることに繋がってしまった。「再発防止策の策定、公表」そしてそれらの「信頼回復策の誠実な実行と実行状況の公表」も必要だ。これらの事の全部ができれば、最悪の不祥事でも、それから受けるダメージを軽減できる可能性がある。
ところで話は一転するが、不祥事といえば、今相撲界で一人勝ちの、横綱照ノ富士に、対抗しうる素材だとタカさんが思う「朝の山」だが、コロナ下での連日のバー通いで、一年間の謹慎、休場処分中だが―――賭博や八百長という訳でもないし、若いあんちゃん力士が、悪い記者に誘われて連日飲み歩いたというだけなら―――そろそろ許してやってはどうだろうか――――。
タカさんは酒飲みに対して寛容過ぎると叱られるかもしれないが―――。
(12/23/21
10:00pm)
2021年12月23日
有料化後
今や、スーパーやコンビニで持参の袋を利用してレジ袋を買わない客が8割に達しているそうだ。レジ袋が有料化されてからもう1年以上が経つ。タカさんも、3円なり5円を払うのがもったいなくて――という訳ではなく、これだけレジ袋やプラスチック容器が「環境に悪い」というキャンペーンがはられては、周囲の目を必要以上に気にする日本人の一人としては、必然的な行動と言える部分もある。（マスクなしで歩いていると、白い目でみられるのではないかと世間体を気にして、人通りのない道でも、マスクをつけているのと同じだ）
そういえば、3年程前に台湾やシンガポールに行ったら、既にコンビニなどでは袋が有料化されていて、日本だけが、エコ意識が遅れていることを実感したものだったが―――一旦、号令がかかると、たちまちの内に、全員がそれに従うというか、従順な、日本人の国民性にいささか不気味さも感じる。
ところで、レジ袋の有料化促進の本来の目的は、SDGSの一つ、プラスチック製品などの「環境汚染物質の削減」の一環だったはずで、レジ袋の有料化によってその面での効果はでているのだろうか。
タカさんの住む市では、朝のゴミ出しの際には、ゴミを市の指定ゴミ袋（有料）に入れなければ回収されないのだが、このゴミ袋は以前に比べてむしろ使用量が増えているような気もするし、コンビニのレジ袋に入れたゴミを市の指定ゴミ袋にいれて出してあるものが多いような気がする。ビンカン類の回収場所をみると、ペットボトルなどのゴミの量は、コロナで在宅が多い所為なのか、SDGS運動で顕著に減っているようには見えないのだが―――。
果たして、ペットボトル業界の売り上げはSDGSで減っているのだろうか？ マクドナルドなどがストローを紙製にしたとか、紙コップに替えた―――等と言ったニュースがにぎやかだが、現実問題として環境改善には、一体どれほどの貢献をしているのか―――そろそろ、効果の検証を行って、参加している人たちに示してほしいような気がする。
効果のほどもわからず、ただ惰性で続けていると、マスク同様、人々は段々、嫌になって来てSDGSもおざなりになっては来ないかと、ちょっと心配ではある。
(12/22/21 10:00pm)
2021年12月22日
熱燗で一杯
イスラム圏の国のホテルの朝食ビュッフェには、西欧のホテルのビュッフェ同様、豊富な野菜や、果物、パン、様々な玉子料理に各種の飲物などが並べられているのだが、滞在が何日も続くとこれが嫌になってくることが多い。何も味噌汁や漬物、納豆が欲しいという訳ではなく、ベーコンだとか、ソーセージといった西洋式の朝食では定番の品が中東にはなく、パスタラミという牛肉で作ったソーセージとか、チキンソーセージが申し訳程度にあるだけで、なんだか物足りなくなってしまうのだ。
パスタラミサンドイッチは、ラスベガスに行った時などには、よく食べたものだが、どうも朝食に食べるものではないし、チキンソーセージに至っては、パサパサで、魚肉ソーセージの方がまだましだと思わせる。
イスラム圏でなぜ豚肉が禁じられているかといえば、それはイスラムの聖典であるコーランに「豚肉を食べてはいかんぞよ！」と書いてあるからなのだが、イスラム教が始まって以来、1400年余りの間、世界人口の3割近い人たちがこの「豚肉をたべてはいかんぞよ」という戒律を守ってきたというのだから、たいしたものだ。
明治以前には豚肉など食べなかったのに、今やトンカツ、ブタの生姜焼き、豚汁に、豚角煮などなど世界でも有数の豚肉料理のレパートリーを持つようになった日本からの旅行者にとってウィンナーソーセージすらない国での、朝食は何ともせつないところがある。
でも、なぜアラーの神は「豚肉を食べてはいかんぞよ！」などといいだしたのだろうかというと、諸説あるが、イスラム教の源流ともいわれるユダヤ教では、（ブタはネズミと同じように）牛や羊、のように反芻をしないから、不浄な生き物と考えられているから――という説があるとも聞いたが―――なぜ反芻をしない動物は不浄なのかは聞きそびれた。
そうそう、イスラムは酒を禁じているが、ユダヤ教もキリスト教も禁じてはいない。（クリスチャンなどはキリストの血だと称して、聖体拝領の儀式では赤ワインを使っている）
なぜ、イスラムだけが酒を禁じるのか―――これもある説では、イスラムの起源の地であるアラビアはめちゃくちゃ暑いから、そんな所で大酒を飲めば、たちまち卒倒して死んでしまうので、それを案じたアラーが禁酒を命じたのだと聞いたことがあったが―――。
となると、寒さが厳しくなってきた今日この頃、日本人が、熱燗で一杯やる位は、アラーも許してくれるのではないだろうか。
(12/21/21
10:00pm)
2021年12月21日
湯たんぽはどこに
2011年の東北大震災後の電力不足で関東では計画停電が実施されたことを思い出す。我が家でも、早くに食事を済ませ、湯たんぽを入れるなどの準備をして、計画停電が始まるまでには早々と寝床につく―――などしたことを思い出す。
この冬は、例年にない寒波の襲来が予想されており、暖房などで電力需要が急増し供給の逼迫が懸念されているという。現実に、東京電力管内では、使用率が96％まで上昇し、需給逼迫度を示す指標が２番目に悪い「厳しい」になっているというから、もっと寒くなってくればひょっとすると、再びあの計画停電があるかもしれない。
そんなことになったら、コロナ騒ぎで、ただでさえ客足が落ちている飲食業界では、店の早じまいを余儀なくされるだろうから、踏んだり蹴ったりで、怒りの矛先を向けられるであろう政治家などは、今から戦々恐々としているのではないだろうか。
寒波の襲来というのは、自然現象だから責任を問われても困るというのが本音のところだが、電力供給の逼迫ということに限っていえば、人為的な原因に思い当たる節もあり、これは責任を問われてよい人たちが、いそうな気もする。
まず思い当たるのは、折からのCO2削減騒ぎの熱狂だ。現実問題として日本の（世界においても）電力源の最大を占める火力（LNG、石油、石炭Etc）発電の悪者扱いと、CO2は排出しないものの毛嫌いされている原子力発電を「止めろ！」の大合唱の中で、気候に左右され不安定な電源である「自然エネルギ―を使え！」という要求を突き付けながら、さらには「電力供給の義務は果たせ！」というのだから、環境派市民たちの要求も無茶苦茶だ。
風力は風が吹かなければ、太陽光は日が照らなければ発電できないのだから、大雪が深々とふっている中では風力や太陽光の発電できないことぐらい環境市民を名乗る人たちは、理解できないのだろうか。
電気というものは、便利ではあるが、一番の欠点は、作り置きができないという点だ。今、電力需要が急増してるとなったら、発電所で即座に発電しなければならないのだ。そういう対応ができ、しかも大量にできる発電といえば、今のところ火力発電か原子力発電しかないのだが――。
しかし、まあそうはいっても、自称環境派の人たちは中々理解してくれないだろうから――停電に備えて、どこかにしまってあるはずの湯たんぽを探しておこうか―――。
(12/20/21 10:00pm)
2021年12月20日
涙の意味
海外のスポーツ選手が、試合に勝って、あるいは負けて、涙を見せる、などというシーンを見たことがない。それに対して日本では、甲子園にせよ、プロ野球にせよ、はたまた相撲力士までもが、インタビュ－で涙を見せる―――というのが感動のシーンとしてもてはやされるけれど、外国人には、どうも奇妙に映るらしい。
もっともこの風潮は結構最近のものの様にも思う。子どもの頃、ころんで泣いたりすると、「男の子が泣くんじゃない！」などと叱られたし、「男は涙を見せるな！」と常に言われ続けたものだが、何時頃からか、「日本人ほど泣く国民はいない」という風潮になってしまったようだ。
しかし一方では、今でも、不慮の事故などで駆け付けた遺族が、人前では気丈に振る舞い、涙を見せないという風潮は残っていて、葬儀の際には、泣き女、泣き男を雇ってまで悲嘆を見せることが、亡き人への礼儀であるとする、アラブや、中国、韓国からすると、涙を見せない日本人のは変だ！となってしまう。
そうそう、コロナ禍で結婚披露宴の件数は大幅にへっているようだが、おかげで、花嫁にしてみれば、自分が主役である披露宴のクライマックス（？）「両親への感謝の手紙」で「父親を泣かせる」という機会が無くなってしまったのは、残念なのではないだろうか。
あの日本的名場面（？）も外国人にしてみれば、実に変な代物だという。結婚という最高にハッピーな場で、なぜ日本人は参列者も含めて全員が、泣き崩れるのか？？---ある意味不気味にも映るらしい。
政治家や企業経営者は、不祥事や会社破綻の際の記者会見では、涙を見せないと周囲が収まらないし、ある程度涙をみせれば、まわりもなんとなく「彼は、誠意は見せた」と納得するところがあるが、日本以外の国ではトップが涙を見せたりしようものなら、「そんな弱い者が、そもそもトップの座につくべきではなかったのだ！」とめちゃめちゃに叩かれるだろう。（習近平やプーチンが泣く姿は想像できない）
日本人の涙の意味は、実に謎だらけだ。
(12/19/21 10:00pm S.T.）
2021年12月17日
遺跡はなぜ埋もれる
三内丸山（縄文遺跡）や、吉野ケ里（弥生遺跡）などを見に行くと住居跡や土器などが地表から深さ3メートル位の所から発掘されているのを見る。洪水による土砂の流入とか火山灰などの堆積とは縁遠い地域なのに―――と首を傾げることが多いが、堆積原因の殆どが、枯草や落ち葉を地中生物、特にミミズが分解しそのフンが積もり積もったものだという。
そういえば進化論で有名なダーウィンは、ビーグル号での航海後の半生を、田舎の屋敷で暮らしたが（ダーウィン家も金持ちだったが、奥さんも、陶器の名門ウェッジウッド家の出だった）その牧草地の一角でミミズの研究を行い、ミミズが年間6mmもの土壌を堆積させている―――という研究結果を発表している。（参照：「ダーウィンのミミズの研究」）
アイルランド環境省も、ミミズ等の、地中の微小生物生態系が土壌の肥沃化などで、同国に年間4200億円に上る利益をもたらしている―――との研究発表をしているから、日本でもミミズなどの、土壌微生物のもたらす利益は、実は莫大な額に上るのだろう。
今や、未舗装の道路を見るのが珍しいほどに、道路と言う道路は舗装され、土手と言う土手には護岸の為のコンクリートが貼りつけられていて、確かに災害防止には役だってはいるのだろうが、SDGSが叫ばれる世の中に逆行するかのように、自然の恵みであるミミズのもたらす豊かな土壌が失われているのは、大きな国益の損失になっているのかもしれない。
そういえば、佐渡では、田んぼを掘り起こさず、冬の間も水を張っていると、糸ミミズなどが発生、それを餌にするドジョウやメダカなどが育ち、さらにそれを求めて丹頂鶴やトキなどが田んぼに集まってくるという自然農法（不耕起栽培法）を行い、日本の原風景を取り戻しつつあるという話も聞く。
あの懐かしい、かつての日本の里山の風景は、実はミミズや糸ミミズが支えていたといま気がついても、もう遅いのだろうか。
昔は釣り好きの人は、釣り餌用に、庭に古むしろなどを敷いてその上から、米のとぎ汁を撒いたりしてミミズを育てたりしたものだし、金魚のエサ用にと、水瓶に水をはって糸ミミズを湧かしたりしていたものだが、昨今はミミズは、もっぱらアマゾンで取り寄せるそうだから―――これでは中々SDGSという訳にはいかないと思う。
（12/16/21
10:00pm S.T.）
2021年12月16日
曰く不可解
「巧言令色少なし仁」という孔子の言葉は、口が上手く、やたらと愛想のよい人というのは、得てしてす真の思いやりの心は薄いものだ、といった意味だが、逆に無口でムスッとしていれば思いやり深い人という訳でもないとは思うが―――。
岸田首相が就任以来掲げる「聞く耳をもち、丁寧に説明をしていく」という方針は、前任の菅首相の「説明不足、独断専行」による急激な支持率低下を意識してのものだと解説されているが、ここにきて、あっちの意見、こっちの意見をみんな聞いているからか、様々な課題に対する方針が二転三転し首相自身の信頼性が大きく揺らいでいるように見える。
例えば10万円給付問題でも、半分現金、半分クーポンがコロコロと変わり、給付時期も、当初の半分先行がこれもコロコロ変わり、遂には全額年内、となったりとまさに朝令暮改状態になっていて、まさに「巧言令色」の類ではないかとも思える。
国会議員の領収書なしの月100万円の交通費問題が、にわかにクローズアップされるや、首相であると同時に自民党総裁という自民党議員の代表である立場をわすれたかのように、「議会の方で早急に成案を」などと丸投げでは、「誠意」がみえず、なんとも頼りない。
もっとも、給付金問題にしても、所得制限を設ければ、設けたであちこちから批判がでるし、逆に制限をつけなければ、つけないで「国の借金をばら撒きで増やすのか！」と文句が付く。要するに何をやっても、やらなくても「必ず」文句を言う人はいるのだから、首相なんていう職をよく腹も立てずにやっているものだと、ある意味感心するし、呆れもするが―――。それでも、首相になりたいという政治家がゴロゴロいて、そんな連中同士がお互い足の引っ張り合いをしているというのだから―――政治の世界とは、曰く不可解な世界である。
(12/15/21 10:00pm)
2021年12月15日
商人国家
商人だとか商業ということばを、ビジネスマンだとかビジネスと言い換えるのは、かつての士農工商の身分制度の名残りで商業を蔑んでいるからかもしれない。そういう意味では、貿易立国といえば少し恰好はよいが、自らを「商人国家」というのは、多少なりとも自虐が含まれているように思う。
北京での冬季五輪では、中国の人権抑圧に対する抗議の意味で、米英や豪州などは、外交的ボイコット（政府関係者を派遣しない）を行う構えで、同じ人権の価値観を共有する（と彼等が思っている）日本政府が協調路線を取り外交的ボイコットをするのか如何かに注目が集まっているが、対中の総貿易額が輸出輸入ともに25％を超えており、ボイコットをした場合の中国からの報復を恐れているという事情もあるからだろうか、岸田首相が「国益の観点から、適切な時期に判断する」とボイコットをするかしないか、言を左右していることに、上下院両院ともに全会一致でボイコットを決めた米国などからは、不満の声が高まっているという。
人権問題のみならず、身近なところだけでも尖閣への連日の領海侵犯、台湾海峡の有事が迫っている等の問題がある中で、第一の貿易相手国のご機嫌をそこねては―――という配慮からか、人権問題や領土問題にも目をつぶるかの日本の外交姿勢を、日本人みずからが「なにせ日本は商人国家なのだから――仕方がない」とあきらめているというから、何をかいわんやと思わないではない。
「富をなす根源は仁義道徳でなければならぬ、正しい道理の富でなければ、その富は永続することはできぬ。ここにおいて論語と算盤という懸け離れたものを一致せしめることが、今日の緊要の務めと自分は考えている」というのは、日本資本主義の父といわれる渋沢栄一のことばである。
商人国家と卑下するばかりではなく、日本は、今一度この渋沢の言葉をかみしめてみる必要がありそうだ。
(12/14/21 10:00pm)
2021年12月14日
討ち入り
今でも、赤穂浪士の討ち入り劇の人気は高い。日本に限らず世界でも、ハムレットをはじめとして復讐劇は、どういう訳か人気があるのは、公の法にゆだねていたのでは埒が明かないから、直接自分達でうっぷんをはらしてしまおうという心情が、法治主義が言われる今でも、人々を揺さぶるようだ。
今から317年前の、12月14日の夜半（今でいうなら12月15日早朝）にあったのが赤穂浪士の吉良邸討ち入りだ。
江戸城内で刃傷沙汰を起こした者は即刻切腹という法があるにもかかわらず、何を思ったか殿中松の廊下で吉良上野介に切り付けて（ルール通りに）即日切腹処分を受けた浅野内匠頭の家来たち47人が、主君の遺恨を晴らすためだといって、夜の夜中に徒党を組んで吉良邸に討ち入り、炭小屋に逃げ込んでいた無抵抗な老齢の上野介の首をはねた―――という事件だが、当時からこれを義挙とする説が多い中で、これは義挙ではなく暴挙である、とする意見もあったという。
確かに、公が決めた法（殿中で刀の鯉口をきったら即日切腹というルール）を堂々と破って刃傷沙汰を起こした内匠頭が切腹になったのも、被害者であった上野介が「お咎めなし」だったのも当然であって（今でも、通り魔の被害者が罪に問われるなどということはあり得ない）、浪士たちが、公儀に不満を持つ方がおかしい！というのだ。
当時の津軽藩勘定奉行、乳井貢は「主君に仕えることのみが大義の道ではない。浪士たちは、名を惜しむあまりに、親に対する子供としての、妻に対する夫としての、子に対する父としての職分を放棄し、人としての道を外した」と義士達を批判しているし、明治になってからも福沢諭吉は、「討ち入りは公の法を無視した、私刑（リンチ）であり許されるべきではない」と言っている。
儒教では、三綱（さんこう）といって基本的な人間関係は、親子、夫婦、君臣のことであると教え、人であればこれをもっとも大切な事として守っていかなければならないと教えているが、この三つの関係のどれかのみを重んじ、その他の関係を軽んじては、人としての道に外れるではないかという訳だ。現代ならば、組織の為に家庭をないがしろにしたり、過労死に至るようなことは、褒められるべきことではないし、寧ろ人の道に反する、という訳で乳井の説には説得力がある。
こう考えてみると、討ち入りは、300年以上前の事件ではあるが、今も日本人の人生観に数々の命題を投げかける事件ではある。
(12/13/21 10:00pm)
2021年12月13日
トルネード
アメリカ人にとって「オズの魔法使い」は、日本人にとっての金太郎や桃太郎のように、誰もが幼い頃に親に読んでもらった物語だという。（映画会社MGMのマークになっているライオンもこの物語の中のキャラクターである臆病なライオンから来ている）
物語は、主人公ドロシーの冒険譚だが、冒険の始まりは彼女の住んでいるカンザスの農場がトルネード（竜巻）に巻き込まれ家ごとオズの国へ飛ばされてしまう―――ことから始まる。
オズの魔法使いの記憶があるからだろうか、多くのアメリカ人、特に中西部に住む人たちにとっては、トルネードは怖ろしいと同時に懐かしい自然現象だ。
先週末、ケンタッキー州などを中心にトルネードが多発、100名以上の死者などの大被害をもたらしたという。
シカゴ郊外に住んでいたころ、この地方にも、年間に数回のトルネードが発生することもあって、住民はトルネードが近づいてきた時の対処方法を熟知しており、タカさんも家を買う時に不動産屋から教えてもらった
トルネードは北半球では、北から来て北東方向、そして東に進むのだそうで、これに巻き込まれたら車も家も家畜までもが吸い上げられてしまうというから、家はともかく命を守るためには、地下室、もしくは半地下室に避難し、窓やドアを閉めて通過を待つようにというのだ。地上の物は皆吸い上げられるが地下もしくは半地下ならば助かる可能性が高いというのだ。そんな避難方法が言い伝えられている所為だろうか、アメリカ中西部の家には大体において地下室、もしくは半地下室があった。（タカさんの家も暖炉のあるリビングルームは半地下になっていた）
トルネードは広い草原や野原ではところかまわず暴れまわるが、市街地などでは比較的抵抗のない街路沿いに進むことが多いといわれていたから、トルネードが突き当たりそうな、Ｔ字路や角の家などは危ないから、そういう立地の家は、不動産価格も少し安い――とも聞いた。
トルネードは積乱雲が発生しやすい春から夏に起こり易いと聞いたことがあったが、寒くなってきているこの12月に群発トルネードが発生するのは、やはりアメリカでも異常気象が起きているのだろうか―――陰ながら心配するところだ。
(12/12/21 10:00pm)
2021年12月10日
中国の電力不足
寒さが厳しくなってきている最中、中国では、電力不足が深刻になってきており、国民からの反発を恐れる中国政府は、価格の高騰は抑えられないにせよ、少なくとも量的には家庭用電力を絞る訳にもいかないから、その分、産業用電力を絞っている為に、多くの工場が操業を止めざるを得なくなっており、深刻な景気の足かせとなってきている。
この石炭不足の主要因は、中国の電力源である石炭の不足である。中国の電源構成比率では、石炭火力が全体の56.58%を占めており、グレタさんが「高い！」と非難する日本の約倍の比率であるが、折からの二酸化炭素排出削減の世界的な熱狂を受けて、習近平が「2060年までに実質カーボン排出ゼロを目指す！」などというできもしない目標を宣言してしまったこともあって、中国国内での石炭生産が急停止状態になった上、新型コロナの起源に関する調査を要求したからケシカラヌと、それまでのまで最大の石炭輸入先であった豪州からの輸入を禁止した結果、大幅な石炭不足に陥っている為だ（2020年6月までは年間約1億2000万トンあった、豪州からの石炭輸入量はそれ以降ゼロになっている）
気に食わないからと輸入先を嫌がらせるために輸入をピタリと止め、グレタさんたちのご機嫌取りに、国内の石炭生産も極端に絞る、等という無茶ができるのも中国が習近平の独裁国家だからこそできる訳で、なんだかあの毛沢東が推し進め3600万人もの餓死者を出したという、無茶苦茶な「大躍進運動」を彷彿とさせる。
経済が低迷しはじめて、さすがの習近平も多少慌て始めているのか、国内石炭の増産指令を出したり、インドネシアからの輸入を増やそうとしているようだが、その実効は上がっておらず、かといって北京五輪への政治的ボイコットを打ち出した豪州に、今更頭を下げる訳にも行かないとなると―――頭の痛いことだろう。
こんな時、国内の不満をそらす手段としては、国民の目をそらすことだから、台湾有事や尖閣問題がますます切迫してくる可能性が考えられる。
対中姿勢は相変らず曖昧な岸田首相、党内でも最親中派といわれる林外相で、これからの対中難局を乗り切れるのだろうか―――。
(12/09/21
10:00pm)
2021年12月8日
牛になる
チーターやライオンなどの肉食動物は、スマートでデブのチーターやデブのライオンは、いないが、草しか食べない牛や、笹や竹しかたべないパンダが太っているのは何故だろう。
草食とは言え、肉食獣がうようよいるサバンナに住むガゼルなどは、素早く逃げないと食べられてしまうから走るために、スマートにならざるを得ないが、大きな群れで暮らしているバッファローや、天敵の少ない竹藪暮らしのパンダは日がな一日食べ続けていても、そう簡単には襲われないという安心感（？）から、太ってしまうのかも知れない。
肉類はもうたいして食べないというのに、コロナ禍を口実に運動もせずのべつ幕なしに口を動かしている人たちが、「野菜しか食べていないのに、全然体重が減らない！」なんて言っているのを聞くと、（自戒も込めて）「牛を思い出せ！」と言いたくもなる。
牛などの反芻動物が、日がな一日もぐもぐしているのは、反芻することで腸内細菌に草からタンパク質を作ってもらい、最後にはその腸内細菌ごと消化してしまうことで、ちゃんと体内にタンパク質や脂肪がたくわえられるから太れるのだが―――。
人間は反芻しているわけでもないし、腸も牛ほどには長くはないから、太るのはやはり運動不足が原因なのだろう。
子供の頃、食事の後でごろりと横になると、母親から「食べた後ですぐ横になるのはお行儀が悪いし、その内、牛になってしまうわよ！」ときつく言われたものだが、今の若い親たちは、そんなお作法や行儀を子供達に教えているのだろうか――。
タカさんも、歳の所為か、昔に比べれば食べる量は、減ってはいるものの、アルコールは週三回程度は摂取し、コロナ禍の所為にしたり、あるいは寒さの所為にして、散歩の機会も減りがちだ。「牛になる」というおそれがちょっとちらつく。
(12/07/21
10:00pm)
2021年12月7日
エポックメーキング
近所のカラオケ店は「年中無休、24時間」を売りにしていたが、ここのところシャッターが閉まっている。コロナクラスターの発生源の一つと名指しされたこともあって、新聞によると全国のカラオケ店舗数は、20年度だけでもだけでも900店、全体の約1割減ったというから、21年度は更に多くの店舗が閉店を余儀なくされているのではないだろうか。
カラオケは、偶に飲み会の2次会などで利用していた程度だったが、飲み会というものがこの2年余り、自粛を余儀なくされているのだから、2次会もある訳もなくもう2年以上はカラオケに行っていない。
昼間のカラオケの重要客層といわれた学生たちも、学校や親から固く禁じられているだろうし、大人たちも、リモート飲み会には、二次会なんて言うものがある訳もなく、カラオケには縁遠くなっていることだろう。
コロナの流行当初、大騒ぎとなった屋形船やクルーズ船は相変らず閑古鳥だというし、先日どこかのクルーズ船でコロナ感染者が発見され、乗船していた他の乗員乗客が下船を禁じられている、というニュースへの世間の反応は、「こんな最中に、クルーズ船に乗る方がどうかしている！」という冷たいものだったというから、オミクロン株流行や第6波が懸念される昨今、カラオケ同様、屋形船やクルーズ船業界（？）は、苦境が続くのではないだろうか。
飲食業界や旅行業界などや、菅前首相のようにコロナで苦境に陥ってしまったところも多いが、逆に、IT業界や物流業界、衛生品業界や、ゲーム業界などのように、コロナで活況になった業界もある。まさに禍福はあざなえる縄のごとし、である。
まあ、そんなことを考えるとコロナ後の社会は、それ以前の社会とは随分様子の違ったものになることが予想される。例えば、さし当って迫る年末年始だってコロナ前とは随分ちがったものになりそうだ。恒例の忘年会や新年会も、来年以降も、その機会は大幅にへるだろうし、酉の市やら初詣などという行事も、「密を嫌って」ということで大幅に人出が少なくなるだろうし、一旦やめてしまえば旧に復することは難しいかもしれない。
人々が、今迄は、楽しみが半分あったにせよ、儀礼的な部分も多く、「止めてもよいが、止めるふんぎりがつかなかった」という面もない訳ではなかった行事や習慣は、随分と整理されそうだ。伝統行事や習慣が失われていくのは、寂しい気がしないではないが、コロナの流行がエポックメーキングな出来事であったと思うしかないのではないだろうか。
(12/06/21 10:00pm)
2021年12月3日
無欲は大欲
「無欲は大欲に似たり」という言葉がある。大きな望みを持つ者は、小さな利益に目もくれないから、無欲なように見えるし、欲の深い者は、欲のためにかえって損をしがちで、無欲と同じ結果になる―――というような意味だが―――。
現状にまあまあ不満も持たず、かといって大きな夢を持ち、その夢に向かって頑張る、という訳でもないという現代の日本人の多くを、果たして無欲と言うべきか、はたまた大欲と言うべきか、迷うところではある。
そういえば、西郷隆盛は「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末に困るものなり。この始末に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大業は成し得られぬなり。」と言っているが「無欲は大欲」という言葉に一部通じるところがある。
夢を持ち、その夢に向かって努力をすることは大事だが、その夢がある程度実現して、ある程度の地位や名声を得たことで、少し大きな家に住みたい、好い物を食べたい、といった欲をむき出しにする人は実に多いが、その程度の人は、結果的には、大事業を為すことはできないし、悪名ばかりが残ってしまう―――というのだ。
西郷と同時代、維新で功績を挙げ、元勲となってからはその地位を利用して、汚職などの不行跡を重ねた者は実に多いし、むしろ明治の元勲たちの多くは、権力の座についてからの行動で評判を落とし、嫌われ者になり、死んだときには国民が、陰ながら喝采した等という者も多い。
歴史上でも国や地域を問わず革命や改革の功労者といわれながらその後、権力の座についてからの行動で評判を落とし、嫌われ者になってしまった権力者、独裁者は多い。
大功労者ではあったが、維新からわずか9年後には、西南戦争で没した西郷は、その名は英傑として称えられているのだから、他の明治の元勲たちとは大違いだ。まさに自らの言葉通りに生きた「始末に困る人」であったのだろう。
そういえば、最近も、長く権力の座にあった人々が、悪名ばかりを残して去っていく姿を見ることが多いだけに―――「無欲は大欲に似たり」という言葉を思い出すことしきりである。
(12/05/21 10:00pm)
2021年12月3日
原始の本能
日本人の平均寿命は、現在男性81.64歳 女性87.74歳と6歳ほどの差がある。時代が移り変わろうが、国が異なろうが、女性の方が男性より長生きする――という事実に変わりはない。平均寿命の雌雄差は人間のみならず多くの動物に於いてみられるから、男女平等が叫ばれる昨今ではあるもののこれを「不公平だ！」と叫んでみても人類誕生の500万年前から変わらぬ生物学的宿命である以上解消しようがない。
なぜこのような性差が出てしまうのか、人類学上の知見が様々に言われているが、太古の時代から人類が共同体生活を営んで生活をしてきたことに大きな要因がある――という説が有力だ。
ヒト以外の動物は、出産が比較的軽く、生まれて来た仔は出生直後から歩いたり母親にしがみついたりできるが、脳が大きくひ弱なヒトの赤ん坊は、母親にしがみつくことさえできないし、歩きだすまで1年近くかかる。その間、ヒトは男女が手分けして食料確保をせねばならず「子供の面倒をみながら、木の実や根菜を採取するのは女性、狩りに出かけるのが男性」という役割分担が行われてきたという進化の歴史がある。
それ故に、女性は男たちが獲物をもって帰ってくるまでの数日間、数十日間を授乳を続け、生きのびるために脂肪を溜めやすい体質にならざるを得ず、男たちは数十日間、獲物を追いかける為の強靭な体力と筋力を発達させてきたのだという。出産、育児という難事に幾度も耐え、脂肪をため込みやすい体を作り育児をもこなす体力を得た女性の方が、筋肉質になった男性よりも長生き、というのも進化の結果だというのだが。
そういえば確かに思い当たる点もないではない。それは、女性達が好きなウィンドウショッピングだ。コロナ禍が一旦下火になってこの方、都内のデパートなどに押しかける女性達のニュースをよくみるが、あれは原始の時代の木の実や、根菜の採取をしていた女性たちの名残ではないだろうか。逆にウィンドウショッピングが好きだという男性は、ほとんどいないという事実は、やはり獲物を追うという目的を持ち行動し、獲物を得たら、ひもじい思いをしている女性や子供達の元へ一目散に戻ろうとする原始の男たちの本能が今も、残っているからではないだろうか。
散歩に出ようとするタカさんに、妻が「スーパーに寄って来て欲しい」ということがあるが、そういう時は買い物リストを書いて欲しいということにしていて、買い物リストにある物だけを買ったら、さっさとその場を去るのが普通で、店内で目的外の物をあれこれ見て回り、買って来る妻とは異なる。タカさんにも原始のオスの本能が残っているようだ。
(12/02/21
10:00pm)
2021年12月2日
文語調
203高地をめぐる激戦に勝利し、旅順軍港の攻略に成功した日本軍は、大連郊外の水師営においてロシア軍との停戦会見に臨んだ。日本代表は第三軍司令官・乃木希典大将、ロシア代表は旅順要塞司令官ステッセル中将であった。多くの犠牲を出しながらも大国ロシアに勝利したことで当時の日本は湧きたったというが、歌人佐々木信綱は、文部省の依頼を受け、会見の写真を見て即座に一遍の詞をつくったという。これが小学校唱歌にもなった「水師営の会見」である。
祖父がまだ学生だったというこんな古い話をタカさんが知っているのは、この歌が覚えやすい、文語調だったからだろう。「旅順開城約（やく）なりて、敵の将軍ステッセル乃木大将と会見の所はいずこ
水師営 庭に一本（ひともと）なつめの木弾丸あとも、いちぢるく くずれ残れる民屋（みんおく）に いまぞ相見る
二将軍」
文語調の文章が使われなくなって久しいが、今の若い人でも百人一首などでかろうじて分かるだろうし、樋口一葉や、森鴎外の「舞姫」などの明治初期の小説などでもおなじみがあるかもしれない。それにしても明治の人たちは歌や詩にかぎらず、手紙などの書き言葉は文語調、話し言葉は口語調と使い分けていたのだから、今と比べると日本語の能力は随分髙かったようだ。もっとも、短歌や俳句、人によっては漢詩などの詩歌をいまもかなりの人たちが作って楽しんでいることを思えば、日本人の詩の素養は、外国に比べて今も高いように思うが、やはり、その能力は文語調の書き言葉と四季のある日本の自然環境によるのかもしれない。
歌にしてもそうだ。歳の所為もあるかもしれないが、未だに歌詞を空で覚えていて歌えるのは島崎藤村作詞の「椰子の実」（名も知らぬ遠き島より流れ寄る椰子の実ひとつ―――）や、吉丸一昌作詞の「早春賦」（春は名のみの 風の寒さや 谷の鶯 歌は思へど 時にあらずと 声も立てず）であったり、文語調の小学校の校歌や「仰げば尊し」や「蛍の光」だったりする。中学や高校の校歌がうろ覚えなのは多分、口語調だったからだという気がしないではない。
英語でも例えばgood!よりたまにはfabulous！だとかmarvelous！などというちょっと言葉を使うと「あれ、こいつ日本人なのに結構英語を知っているなぁー」などと思われるかもしれない。（もっともこんな言葉を知らないアメリカ人も多いから要注意だが）
時々は文語調の挨拶状などを出してみると、少しは感心されるかもしれない。
(12/01/21
10:00pm)
2021年12月1日
忖度なし
メキシカンを食べに行くと頼むビールは必ずと言ってよいほど、tecate(テカテ)である。これを瓶ごと持ってきてもらいライムをビンの口から突っ込んで、ビンの縁に塩を乗せてラッパ飲みする―――というのがメキシコで習った正式（？）なtecateの飲み方なのだが、これが抜群にうまいのだが―――日本では、このtecateを置いていないメキシカンの店もないではない。そんな時は、仕方なくメキシカンビールで一番売れているcorona(コロナ)にならざるを得ないのだが、これにライムを入れて塩でのむというのは、いかにも生半可な知ったかぶりのようでメキシコ人が見たら「野暮な日本人だ」と笑うだろう。それに大体このコロナ禍では「コロナを呉れ！」などといったら他の客にギョッとされてしまいそうで仕方なくバドワイザーかなにかを頼むしかない。
コロナの場合もともとは太陽の回り2000キロぐらい上空を取り囲む100万度位のプラズマ層のことであり、この熱のおかげで地球上の生物も生きていられる訳で、その恩恵にあやかってストーブのメーカーの社名やら、メキシカンビールのブランド名にも使われていたのだが、たまたま今回大流行のウィルスの形が、この太陽コロナにそっくりであったためにコロナウィルス等と名付けられ、おかげでコロナ社やら、コロナビールが少なからず迷惑を蒙っている―――という訳だ。
今や高齢者皆が怖がっているアルツハイマー症や幼児がかかる難病、川崎病などは、いずれもこの病気の発見者にちなんでつけられたものだが、アルツハイマー博士の子孫や、川崎市の住人にとっては少なからず迷惑な話ではないだろうか。（水俣病や四日市ぜんそくという名前の為に、両市ともに少なからずイメージの棄損があったのではないだろうか）
今回のパンデミックも最初は、トランプ大統領が盛んにチャイナウィルスとか武漢ウィルスと言っていたが、中国シンパのWHOのテドロス委員長が中国に忖度し、COVID-19と名付けたこともあって、その大元の発生源調査はおそらく永遠に闇の中にかき消されてしまった。このコロナウィルスは2年間の内に激しく変異しておりその変異株の名前は一応アルファ（α）株、ベータ（β）株などとギリシャ文字のアルファベット順につけられる規則をWHO自身が決めたが、今回南アで発見された変異株は発見順番では「Nu（ニュー、ν）または「Xi（クサイ、ξ」が来なければならないところだったが、Nuはニューと紛らわしいし、Xi は中国の最高権力者習近平（Xi Jinping ）と同じになってしまうためWHOでは2つ飛ばして15番目（オミクロン、ο」と命名したという。WHOは中国への忖度疑惑を半ば認めており、まあこれも力関係からいって仕方ないこととあきらめざるを得ないが―――。
ところでオミクロンとなると、日本のコロナ分科会の会長でありWHOの西太平洋地域名誉事務局長でもある尾身さんのことまではWHOは全く忖度しなかったことがちょっと引っかからないないではないが―――。
(11/30/21 10:00pm)
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