金曜日シリーズ全目次 ←ここをクリック
「日々草々」全バックナンバーリンク表 ←ここをクリック
2022年下期の各月バックナンバー : 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
フロント頁：”日々早々”のバックナンバー
2022年7月
＜＜2022年：7-12月分 タイトル＞＞ 7月
07/29 甲突川 97/28 大分遅れた 07/27 ナイルとサハラ 07/26 怒らないでね 07/25 宛名の敬称 07/22 ただの人
07/21 子はかすがい 07/20 コロナのなぜ 07/19 立行司 07/13 別世界 07/12 ガリバー旅行記 07/11 法と道徳と情
07/08 金利と物価 07/07 電話のかけ方 07/06 4回目接種 07/05 何を信じれば 07/04 自由と人権 07/01 いわんこっちゃない
2022年７月22日
甲突川
故郷を離れてから数十年が経ち、ほとんど使うこともなかった故郷の方言なのに、久しぶりに田舎に残る両親や兄弟、あるいは悪童仲間と逢えば、瞬時にして懐かしいふるさとの方言が、すらすらと口を付いて出て来る―――という人は多い。
タカさんも10歳から15歳までの合計で6年余りを過ごした鹿児島弁が同窓会などに行った時には泉のように口を付いてでてくることに我ながら驚いたことがある。そういえば父も、生まれ故郷の米子に住む兄（タカさんの伯父）から電話がかかってくると普段は聞いたこともなかった米子弁で話していたのに驚いたものだった。
人は9歳から10歳の頃に使っていた言葉が、その人の一生の言葉になる等と言われているが、そう言われればそんな気がしないではない。そのいい例が、幼い頃に使っていた方言の訛りは、大きくなってからでもある程度は矯正できるとはいうものの、やはり、大きくなっても気が緩むと、おもわず出てきてしまうもののようだ。東京育ちの妻も、いまだに「ひ」と「し」の区別が中々できないという。落語でも、江戸っ子が。「しばしにしをいれる」（火鉢に火をいれる）といっているのを笑われるという下りがあったような―――。
そういう意味では、今は早くから始めた方が良いと言われる英語教育やバイリンガルも、むしろ9歳とか10歳の数年間、留学でもさせておけば効率よく習得できるということにもなりそうだが―――もっともその大事な数年間で日本語を忘れてしまうという可能性もあるから、将来日本で暮らす場合には、ちょっと不都合かもしれないが―――。
そうそう、中学校や高校の校歌を忘れてしまったという多いが、小学校の校歌は覚えていて歌える、という人は年寄りでも5割から6割はいるというから、やはり言葉と同様、その人の記憶の大部分は9歳から10歳、11歳の時に形勢されるという説は、まんざらガセではないような気もする。
ちなみに、タカさんも鹿児島の小学校の校歌はいまでも覚えている。（♬流れもつきぬ 甲突の――♬）
（7/29/22 11:00pm S.T）
2022年７月28日
大分遅れた？
高速情報ネットワークの先駆けとなったのは、1967年頃に米国防総省の協力を得て始まったパケット通信ネットワークである。
それまでは書類に残されたさまざまな情報を本部と前線間で書類や通信によって個別に連絡しあっていたものを、ARnetなどで接続する形で補おうとした画期的な研究が実を結んだもので、それまでは書類ならば貨車数十両分にもなる量のデータが、わずかな枚数の記憶媒体に記録され回線を通じてやり取りできるようになったという訳で、実に画期的な技術だったのだ。すなわちインターネットの始まりは軍事目的として開発され、その後あらゆる民間分野にもその技術が転用、開発され、たちまちの内に今日のような情報社会という新しい人類社会を創ることになったのだ。
情報技術は軍事技術が先、民間活用が後、という形になっているが、その逆も飛行技術などのようにたくさんあるし、そもそも研究のほとんどが、何に役に立つのかは分からない中で人の好奇心により始まったものが、それこそ数えあげたらキリがないほどあり、そういった技術研究が人類社会の今日を築いてきたのだ。
もちろん、ある技術が一旦開発されるとその用途・目的の中には、いわゆる「悪魔の技術」として使える――というものが出て来るのは防ぎようがない。例えば核の技術は、エネルギー問題を一挙解決する夢の技術にもなり得ると同時に、人類絶滅を招く核戦争にも使える「悪魔の技術」にもなり得る。現代社会に於いて欠かせない電気だって「電気椅子」という死刑執行人にもなりうるのだ。
国内の科学者の代表機関である日本学術会議は、長く「潜在的に軍事転用の可能性がある研究は行わない」との方針をとっていたが、先日漸く「軍事と民生双方で活用できる先端科学技術と、軍事に無関係な研究とを単純に二分することはもはや困難」という方針を打ち出したという。
考えてみれば、宇宙技術も、ワクチン開発も「潜在的軍事転用の可能性」等と言い出したらできなくなってしまう。学術会議という偉い学者先生の最高機関が「やらない！」と宣言していたというのだから―――その間に、日本の科学技術が世界に遅れてしまったのではないかっと心配だ。
（7/27/22 11:00pm S.T）
2022年７月27日
ナイルとサハラ
ナイル川はエジプトに入ってからは一筋の流れであり支流はない。（カイロより下流では6つの支流に分かれナイルデルタを形成し地中海にそそいではいるが）
ナイル以外には川のないエジプトでは古来、川といえばナイルのことを指しており、アラビア語でナイルとはといえば「川」という意味であり我々日本人がナイル川と呼んだりするのは、アラビア語に直訳すると「川川」と言っていることになる。（英語の地図に載っているNile Riverも、“RiverRiver”と言っているようなものになってしまうのだ）
同じようにサハラもアラビア語では砂漠という意味だからサハラ砂漠などというのは砂漠砂漠といっているようなものだ。
エジプトは古くから外国と交流があり、特に近代では外国に支配された時期もあったからか、こういった彼等にしてみたら誤解に基づく地名を受け入れ許してきているような気がする。
首都の名前のカイロだってエジプト人はエル・カヒーラと呼んでいるし、アレキサンドリアだってエル・イスカンダールである。エジプト人は、首都の名前を外国名前で呼ばれて、ケシカラン等と叫ばないのだろうか―――。
もっとも日本人だって国名をNipponではなく自らJapanと言ったり、自分の名前をSinzo Abeと名前→姓の順に自己紹介したりしているが、日本に来たアメリカ人がMy name is Biden Joe.などと自己紹介するのを聞いたことはないから、殊更エジプトだけが変なわけではないのかもしれないが。
（7/26/22 11:00pm S.T）
2022年７月26日
怒らないでね
天然痘の根絶が宣言され日本でも種痘の接種義務がなくなってからはや四十数年がたつ。従って、腕に種痘の痕が残っている人は、いくら若作りしてみても昭和55年以前の生まれ、ということがバレてしまうので夏でもノースリーブを着ないといったことがあるらしい。
しかし、天然痘に似た症状のサル痘が世界各地で流行しはじめ、その強い感染力からWHOは緊急事態宣言をだしたが、中国におべっかを使いコロナの緊急事態宣言を出しそびれたために、この世界的大流行をまねいてしまったあのテドロス氏が未だにWHOに居座り、今度は、カメルーンなどという全く忖度する必要のない国発祥だからと、得意げにサル痘の緊急事態宣言を出して、注目を浴びようしているのでは―――等との揶揄の声も聞こえるが―――。
天然痘は古来人類を苦しめた感染症で、種痘という予防法もなかった時代には多くの死者が出たといい、平清盛や孝明天皇の死因も天然痘ではないかという説もある位だが、例え命はとりとめても、失明や手指の感覚を無くすといった後遺症に悩むことも多かったという。特に女性の場合には俗にあばたといわれる発疹の痕が顔などに残り「お嫁にいけなくなる」などといって恐れられたという。（渋沢栄一の許嫁は、幼馴染の従妹だったが、渋沢と結婚する前に天然痘にかかり顔にあばたがのこってしまったのを恥じて、一度は婚姻を断ったが渋沢はそれでもかまわないから嫁になってくれと言ったという話もあるが―――正妻と妾に同時に子供ができたという話だから―――あばたの話もちょっとあやしいが）
この天然痘に比べると今のところサル痘の致死率は高くはない――というかまだ死者はでていないようだが、この先、致死率が高くなる可能性もあるという。（WHOのいっていることらしいから信用してよいものやら？）
もっともこの致死率という数字も母数は、その病に罹患した人の総数であるから、世界で既に感染者累計が6億人になるコロナと、今現在でまだ数千人のサル痘とでは母数の桁数が違い過ぎるから率をうんぬんすることにどれほど意味があるのかという気もしなくはないが―――。
日本でのコロナの流行はまださざ波程度－--とツイッターで発信したがために批判されて内閣参謀参与を退職せざるを得なくなった人がいたが、タカさんが言わんとしているのは、あくまでも統計の母数の比較の問題であるから――――、テドロスさんくれぐれも怒らないで下さいね。
（7/25/22 11:00pm S.T）
2022年７月25日
宛名の敬称
メールアドレスなどには「タカさん」を使っているからか、広告メール等の自動送信されてくる物には、宛先として「タカさん様」と書かれているものが多い。
送り手としては様をつければ丁寧になるから―――として誰でも彼でも「様」をつけて送信しているのだろうが、受け取るタカさんとしてはいかにもおざなりな宛名書きにおもえるし、却ってバカにされているようにさえ思えて、当然、ゴミ箱に直行させてしまうが―――。
宛名につける敬称には、御中・様・行・宛・各位・殿などがあってそれぞれ組織宛の場合、個人宛の場合、目上宛か目下か、あるいは親愛さの程度によって―――等、言い出したら切りがない位の決まりがあるけれど、一番やってはいけないことに敬称の併用（例えば各位御中等々）であると教わったはずなのに---自動送信にはそういう禁止事項が、どうもインプットされていないようだ。（もっとも「タカさん」がひとまとまりの名前だとおもえば、タカさん様で腹を立てるのもおかしいかもしれないが―――）
ところで国内に住んでいる外国人へ手紙を出す場合にはどうしたらいいのだろうかと社内で話し合ったことがある。
相手がみずからカタカナで名前を書いている場合、例えばサントスと名乗っている場合はサントス様でいいかもしれないが、カタカナ名前を使っていない場合、住所は漢字で書きながら名前のところだけ横書きでMr Santosと書くのも変だし―――などという話になり結構喧々諤々話した記憶がある――--どういう結論になったのかは覚えていないが―――正解を知っている方がいたら教えていただきたいが―――。
（7/24/22 11:00pm S.T）
2022年７月22日
ただの人
世の中に天才と言われる人は多いが、その天才同士を比べて誰が一番の天才か、ということは無意味だ。
というのも例えば、相対性理論のアインシュタインと、音楽史上の大天才とモーツァルトのどちらがより天才か？と比較することはできないし無意味である。なにしろ二人を比較する尺度がない。
相対性理論はアインシュタインが打ち立てたとはいうものの、もし彼がそれをやらなかったとしても、誰かほかの人が打ち立てた可能性があるが、モーツァルトの数々の名曲は、彼でなければ作曲できなかったし、未来永劫それを作曲する人は出ないから、モーツァルトの方が天才だ、という人もいるだろうが、そもそも物理学と音楽を比べること自身、それは二人のどちらが料理が上手いか、といった比較をするのに似て、「どちらが天才か？」という尺度にはなりえない。（ちなみにIPS細胞でノーベル賞を受賞し、天才の一人に数えられる山中伸弥教授も、絵が下手でカルテに図がかけないことから臨床医の道を断念して研究者の道に進んだというエピソードをお持ちだ）
知能指数（IQ）という脳の発達程度をはかる方法もあることはあるが、この検査には、言語や音楽あるいは創作活動などの能力を見分ける項目は含まれていないから、IQテストでモーツァルト2世や、ダヴィンチ2世、ピカソ2世を見つける方法としては使えない。
勿論世の中には桁違いに頭の良いと言われる人はいるし、いわゆる神童、才子と言われる人たちを集めて教育する施設もあるけれど、その卒業生が社会にでてから皆その才能（知能）を活かして活躍しているかというと必ずしもそうは言い切れないし、むしろその多くが、けた違いの「頭のよさ」が、社会と波長が合わず埋もれていくばかりか、むしろ社会から疎外されていく場合もある。
そういえば日本には「十で神童、十五で才子、二十過ぎればただの人」という言葉があるが―――ただの人も悪くはない、という意味もあるのではないだろうか？
（7/21/22 11:00pm S.T）
2022年７月21日
子はかすがい
鎹 （かすがい）は、一本だと倒れてしまう柱などの木材二本をつなぐコの字型に曲がった鉄くぎのことだが、諺でいう「子はかすがい」とは、お互い相手の事に腹を立てて、別れてしまおう、等と思う夫婦でも、子供がいるとその可愛さから、お互いが我慢をし別れずにいると、そんなことから夫婦の仲も段々と和やかになり、結局円満な夫婦に戻ったりするものだ―――という諺であり、日本では、ちょっと前までは結婚したばかりの二人に子供ができたと聞くと回りも、「これであの夫婦もうまくいくだろう――」と一安心したものだという。
もっとも子供の存在は「子は三界の首枷」ともいって親にとっては、子に対する愛情がある種の首かせのようになって何事も思い切ることができず、一生自由を束縛される存在でもある―――という諺もあるから親にとっては、子供は実に複雑な存在ではあったのだ。
今、日本では結婚するカップルの約1/3が離婚するという。離婚カップルの内、約6割には子供がいるというから―――もはや「子はかすがい」の諺の神通力も全く衰えてきているようではある。
そんな子連れ離婚の増加もあるからだろうか、両親が離婚後に子供の親権や養育費をどうするかの現在の民法の規定を見直す法制審議会の部会が昨日、開かれ離婚後も父母双方が親権者となる「共同親権」を選べる案を、中間試案に盛り込む方針を決めたたという。
現行の規定では両親の内のいずれかが親権を持つ「単独親権」が基本だが、離婚後も子供に会う権利を維持したいという夫婦にはこの「共同親権」を認めるという欧米などの方式を採用しようというのだが―――。
勿論、いままでの規定を大幅に変えるような法改正が行われるかどうかには、社会情勢を含めて、まだまだ討議そのものに時間もかかるだろうし、コンセンサスがえられるかどうかにも疑問は残るが―――。
いずれにせよ、日本人のカップルが皆「子は鎹」の社会に戻ることはなさそうだ。
（7/21/22 11:00pm S.T）
2022年７月20日
コロナのなぜ
日本のプロ野球は12球団しかないが、セのトップを独走していたヤクルトをはじめ現在4チームが大量のコロナ感染者がでたことで一軍選手の入れ替えを余儀なくされて四苦八苦の状況だ。
第七波といわれるコロナの波が襲っているからプロ野球界もその影響を受けざるを得ないかなぁ～とは思うものの、リスクが高いと言われる高齢者や基礎疾患のある人もいない、健康で頑強なプロ野球選手に、どうしてこんなに大量の感染者が出るのか？と不思議に思えてしまうのだが―――。
毎日試合に出て最大級の体力を使っているから疲労回復に時間がかかりその内抵抗力も落ちているからかなぁ～とか、一般人ならまず余程のことがなければ受けないであろうPCR検査や抗体検査を球団がしつこい位に繰り返し行っているために、一般人よりより多く感染者が見つかってしまうからかなぁ～、とも思ったが、ナ・リーグとア・リーグ合わせて30チームが連日ゲームを展開しているMLBでは、ゲーム中にベンチでマスクをしている選手（あるいはコーチたちも）を見たことはないし、そもそも観客の中にもマスクをして見ている人を見かけないのに、日本のようなチーム内感染者のニュースはきいたことがない、というのは一体どういう訳だろう？？？
日本人選手がメジャーの選手たちに比べて抵抗力が弱いとか、日本人にはワクチンが効かない――などという話は聞かないし―――。
第七波の猛威が収まらないから感染者の数はうなぎのぼりだが、その数も人口比で見ると（統計が信用できそうもない中国に比べたらさすがに多いが）諸外国に比べれば決して多いとはいえないし、コロナ感染者の対人口比致死率を見ると、日本は世界一低いというのに―――。
街を歩けばマスクをしていない人を見つけるのが難しい日本にくらべれば、欧米各国の街頭を行く人たちの中でマスクをしている人を見つけるのが難しいという今日この頃なのに―――。
この3年近く、マスクをしろ、会話は控えめに、予防接種をうけろ、等々いわれることを律儀に守っている日本人と、大量の感染者や死者をだしながら保健当局のいうことを聞かずに自由に振る舞っている欧米人との違いは、一体どの辺にあるのだろうか―――医学的なあるいは統計的な答えを聞いてみたい気がするのだが―――。
まあだからといって勿論、回りに合わせるタイプのタカさんは、欧米人のようにマスクを外して街を歩く勇気は持ち合わせてはいないけれど。
（7/19/22 11:00pm S.T）
2022年７月19日
立行司
幕内力士の仕切り時間が4以内と決まったのは昭和30年代からでそれ以前は10分更にそれ以前は制限時間はなく、両力士の息が合うまでであっったという。スポーツにはいくつもあるが、競技の開始は号砲なりホイッスルで始まるものがほとんどで両者の息があったところで始まる競技というのは、大相撲以外にはまずない。この両力士の息を合わせるのが行司の役割であって、ホイッスルを吹く訳ではないが、両力士の気合を読み取り、両者の息を合わせられる雰囲気づくりをしなければいけないから実に微妙で大変な仕事をしている訳だ。
タカさんも子供のころから60年以上相撲をみてきているが、このピリピリとした雰囲気は、観客のみならずテレビ、ラジオの視聴者ですら感じるもので、その雰囲気か相撲という日本の国技の醍醐味の重要な部分だ。
言いたくはないが、最近の大相撲にはその部分が、昔に比べて大きく欠けているように感じる。特にここ数年、行司の最高位である先代の木村庄之助がセクハラ事件を起こし廃業し、その代わりに立行司を務める式守伊之助も、技量不足で度重なる軍配差し違えを起こし、時には勝負の最中に土俵から転落するなど、折角の好取組に水を差すことが度々で、つくづくどうにかして欲しいと思っていたが―――昨日、名古屋場所の8日目のむすびの一番、照ノ富士対若元春の取り組み中、まだ勝負が動いている最中だというのに立行司の式守伊之助が突然「まわし待った」をかけ、照ノ富士は一瞬力を抜いたものの、「待った」の声が自分の後ろからかかった若元春には聞こえず、そのまま寄り切ってしまった。
照ノ富士はきょとんとし、勝ったつもりでいたらしい若元春は事情が読み取れず、場内は騒然、土俵下の検査役が土俵に上がって、「待った」、時点でのビデオ映像を参考に両力士に組みなおさせ、漸く7分後に取組を再開し照ノ富士が寄り切るという―――なんとも前代未聞の大珍事があった。
相撲協会もNHKも、あるいは相撲界に気を遣う立場のマスコミは、厳しい批判は控えているが、解説の北の富士さんや、舞の海さん、あるいは親方衆の中には、「前代未聞の不祥事」「相撲の歴史に泥をぬった」といった批判をする人もいるし、長年の相撲ファンのタカさんも全く同感だ。寡聞にして伊之助が進退伺を出したかどうかはしらないが、当然出してしかるべきだろうし、相撲協会も今度ばかりは伊之助にクビを申し付けるべきだ。不祥事があっても責任者が責任をとらないという日本社会の悪しき習慣をせめて相撲界にはあらためて欲しいものだ。
（7/18/22 11:00pm S.T）
2022年７月12日
別世界
儒教に「貧しきを憂えず、等しからざるを憂う」という言葉がある。これは為政者に対する戒めの言葉だということだが、要は「民は、皆一様に貧しければ文句を言わないが、一部にでも富めるものがいると文句をいいはじめるものだ」という意味で、2500年も前から、どうも人というものは、回りと自分の境遇を比較して、とかく不満を持つものだ、という悲しい性（さが）を示しているのだ。
人同士ばかりではない、国と国にしろ、どうしたって自分の国が他国に比べて何が優れていて、何が劣っているかを比べがちだし、優れている部分はとやかく言わないにしろ、他国より劣っていると思われるところがあれば、ことさらに「我が国はだからダメなのだ！」と誰かのせいにして文句をいいがちだ。
「上を見たらきりがない」という言葉があるがその言葉には「下を見てもきりがない」という対句がある。
金がないと思って上を見ると、世界には、イーロン・マスクのような総資産推定額は2190億ドル（中国の2022年の軍事予算をも越える）というとんでもない金持ちもいるが、逆に下をみれば国民1人当たりの平均年収が7万5千円という国（中央アフリカ）もある。だからどうだと言いたいわけではないが―――。
円安が進み物価上昇も大きいと言われる日本だが、欧米各国などに比べれば、まだ彼等の上昇率の1/4にも満たないし失業率はOECD加盟国中の下から2番目だ。ロシア、中国、北朝鮮とヤバイ国々に囲まれているが、まだ「お花畑理論」を語っているだけの変な余裕もある。コロナの致死率も世界最低だとなると―――ウクライナ国民からみたら―――別世界の国なのではないかとも思うが―――。
（7/12/22 11:00pm S.T）
2022年７月12日
ガリバー旅行記
60代の約7割が「身長が縮んだ」と感じているという。身長は昔から高い方であったタカさんも、最近とみに身長がちぢんだのではないか、と感じており実際、健康診断に行って計ると昔に比べて３cm近く縮んでいるようなのだ。（減って欲しい体重の方は、全然減らないのに！）
物の本によると、身長が縮む原因として心配しなければならないのは、骨粗しょう症だそうが、若い時から骨折したこともないし、先日医者ではかってもらったら骨年齢はまだ実年齢より10年以上若いと言われたから、そんなに心配する必要もないのようなのだが―――。
ただし、身長が低下するということは、長年慣れてきた目線の位置がそれだけ下がってきたということであり、3cmという目線の低下は想像以上に大きい。
プロバスケット選手の中には昔からいたけれど、最近は日本人プロ野球選手やサッカー選手などの中にも、190cm台、中には2m近い身長の選手がいるし、電車の中でも、実に背の高い普通の高校生がいたりするから驚きだ。
タカさんが若い頃は、満員電車に乘っても車両の奥まで見通せたが、最近は吊革にぶら下がっていて回りに男子高校生軍団がきたりしたら、ジャングルの中に埋没してしまったような気分になることがある。
もっとも、そうなって初めて、今迄余り感じたことの無かった、大人国に来てしまったガリバーの気分が、少し分かるように思えたことは、良かった――ともいえるのだが。
（7/11/22 11:00pm S.T）
2022年７月11日
法と道徳と情
アマゾンに住むヤノマミなどの狩猟採集生活社会では、男たちが狩りにでかけ、獲物をとったら集落に持ち帰り、皆で分け合って食べなければいけないし、女性たちも皆で魚や、くだものなどを取りにいって集落に持ち帰り皆で分けあって食べるという自然のルールがある。
まだ法律もない原始社会などにおいても、社会生活を営む人間の間では、こういった暗黙のルールによって老若男女が集団として生きのびることができるのであって、そこが、我々ホモサピエンスが、他の動物たちのように、例え同一種族間同士でさえ弱肉強食のルールの下で食物を摂り合うのとは違って、種としての他に類を見ない繁栄を得てきた由縁だといわれている。
しかし、今から9000年程前に我々ホモサピエンスが、農業を始めて以来、当座食べる分以上の食糧、すなわち富を手にするようになってからは、一部の者が自分達の食べる以上の食糧、すなわち富を手にするようになり、それに伴って富や権力を持つ者と、持たざる者ができてしまいさらに、近代の工業化などが加わって、今日のような極端な格差社会ができてしまったという訳だ。
しかし、だからと言って、この人類史を今更、逆戻しにするわけにもいかない。（マルクス・エンゲルスは原始共産制を理想として歴史の逆回しを提唱したが、その理想が実に絵空事というよりも悪夢であったことは既に証明されている）
原始社会における「獲物を独り占めにせず、皆で分け合う」というルールは、法律という強制力以前というか、それよりも上位のルールであり中国古代思想でいうならば、いわゆる「道徳」に当たるものだ。
法律が上か、道徳が上か、には論議のあるところではあるが、最近の社会では、人の道すなわち倫理的には問題があるけれど、別に法にふれたわけではないからいいじゃないか――といった事が多すぎる社会は、やはり住みにくい。
しかし、勿論道徳という決まりがあっても、人には、それよりも上の「情」というものがある。（例えば、他人の子よりも、我が子が可愛い――といった）しかし、もちろん「情」を優先ばかりしていたのでは、社会は成り立たない。漱石が「草枕」のなかで「とかくに人の世は住みにくい」といっているのもその辺りの事をいっているようだ。
（7/10/22 11:00pm S.T）
2022年７月8日
金利と物価
いいなぁと思っている宝石を店頭で見かけたが、迷っている内につい買いそびれてしまい、翌月店を訪れてみたら、急激なインフレで110万円になってしまっていたら―――まあ、宝石のような不要不急の物なら、買うのをあきらめてしまう人もいるかも知れないが、結婚記念日に欲しいと言われていた品ならばそれでも買うかもしれないし、――更に来月には120万円になるのが確実だと聞いたら、慌てて買うかもしれない。
金融論の基本で習うのは、「金利の上昇は、物価の上昇を抑制する」「金利の上昇は人々の購買意欲を削ぐ」といった単純な理論だが、実経済では、そこに将来予測やら、人の感情といった様々な要因が絡んでくるから、もぐらたたきゲームのように、ここを叩けば、あちらが跳びだすといった単純なものではない。
アメリカのFRB（連邦準備制度理事）は、急激に進むインフレを抑制するために先月に続いて今月も、0.75％の利上げに踏み切ることを決めたという。
確かに、理論的には毎月0.75％も金利が上がれば設備投資をしようという企業は急激に減り、それは景気の後退を招き、勢い物価の高騰も沈静化するだろう―――というシナリオは成り立つが、魔物と云われる経済が、そんなに理論道理に動くとはかぎらないし、動くとしても随分と時間がかかるだろう。
金利の上昇で、インフレは沈静化するかもしれないが、それはとりもなおさず、雇用情勢の悪化や、それに伴う景気の悪化を招く可能性がある。
インフレはおさまったものの、街には失業者が溢れ、不況が訪れる―――としたら、あぶはち取らずどころの話ではない。
為替が円安で輸入原料価格の上昇等により物価が上昇傾向にあるからといって、「アメリカや韓国のように金利をあげるべきだ」などという半可通のエコノミストもいるが――彼等が、景気後退や、失業率上昇の責任をとる立場でもないし、その覚悟もないのだから、彼等に惑わされる必要は、全くないと言ってよいだろう。
（7/07/22 11:00pm S.T）
2022年7月7日
電話のかけ方
KDDIの大規模通信障害は86時間かかってどうやら全面復旧した、とのことだが、物流や銀行のATMなど社会インフラに大きな影響を与えたことで改めて通信と言うインフラがいかに現代の社会生活の基礎的部分を担っているかを実感し、その基礎的部分がまだまだ脆弱であることをしって、ちょっと身震いする思いだ。
そういった社会インフラもさることながら、我々個人個人がこの通信インフラを利用して日々生活を送っているという事実も又あらためて気づかされた。KDDIの発表によると、今回の同社の障害によって、最大で3915万の利用者がその影響を蒙った可能性があるのだというから、およそ日本の人口の1/3にあたる人たちが影響を受けたということになる。
スマホをもってはいるが、ほとんど利用していないタカさんにとってはここで一部の人のように「補償しろ！」などという気はさらさらないが、片時もスマホを手放せない女の子（男の子も）の中には「私の青春を返して！」などと叫びたい子もいるかもしれない。
ところでこの通信障害中、スマホがつながらないからと近くの公衆電話を使おうとBOXに入ったはいいが、いままで一度も使ったことがなかったので、受話器をフックから外して――料金を入れて――相手の番号を押す、という手順がわからず、結局かけられなかった―――なんていう人がいたのだとか。
確かに、タカさんの家の最寄り駅のホームから公衆電話が消えてから、もうかれこれ10年近くになるだろうし、そもそもテレカなどというものもまったく見かけなくなってきているから、公衆電話のかけ方を知らない人が増えてくるのも当然なのかもしれない。
その内、緑色の公衆電話機という代物も、博物館でしか見ることができなくなるかもしれないが―――今回の通信障害のドタバタをみているとそんな将来に一抹の不安が募らないではない。
（7/06/22 11:00pm S.T）
2022年7月6日
4回目接種
高齢者だからだろうが、コロナのワクチンの4回目の接種券が来たので近々受けに行く予定だが、それこそ体力に溢れているであろう若いプロ野球選手やら大相撲の力士なども少なくとも2回や3回の接種は受けているだろうに、ソフトバンクの選手や高安関（今日のニュースでは西武の栗山選手も陽性だったとか）などが、陽性反応が出てしまい、休場を余儀なくされるというケースがあるのはどういう訳なのだろうか。
例えばファイザーのワクチンの場合、3回目接種の予防効果は93%という数字がでているというから、他の病気の予防接種の有効率よりはるかに高いとはいうものの、逆にみれば、3回接種してもコロナ陽性になる確率は7％近く覚悟しなければならない――――ということにもなる。
93%がセーフ、7%がアウトと考えれば、ソフトバンクの選手や高安関は運の悪い方の確率にに入ってしまったということなのかも知れないが。なかにはコロナに2回以上感染したという人もいるから―――これはもう不運中の不運というしかないが。
ワクチン接種しておけば発病しても死亡する確率は相当下るということのようだから、接種しておくに越したことはないとは思うが。もちろん、その逆に、何らかの理由で接種を受けなかった人の中にも「接種しなかったけれど、コロナに感染などしなかった」という人もいる事だろうし、もちろん、某俳優のように「絶対に接種しない」主義を貫いてコロナ死した―――といった人もいるだろうが―――要は確率の問題と割り切ればよいだろう。生命保険制度と同じで、人は皆、何時かは死ぬけれど、何時死ぬかが分からない以上、やっぱりかけておいた方が遺った者の為にいいだろうと、とるか、どうせ死ぬのなら保険代が無駄だ、ととるかの違いだ。
うーん、やっぱり4回目接種は、明日受けに行こう。
（7/05/22 11:00pm S.T）
2022年7月5日
何を信じれば
一週間ほど続いた猛暑下に於ける節電要請だったが、東電の「でんき予報」サイトをみると今日（4日）の電力使用率はピーク時でも86-87%と最悪状態だった数日前の98-99％という危機的状況からは脱して「安定的」レベルに落ち着いているようだ。
先日この欄でも書いたが（参照：「いわんこっちゃない」01/7/22）いまや都会生活に於いて電気は空気や水のように欠かせないものになっているから、そんな電気が止ってしまえばその影響はKDDIのシステム障害とは比べものにならないほど甚大なものになるだろう。いまさらながら身震いする思いだ。
今回かろうじて危機を脱したが、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ことのないように、次回の危機に対する根本的な対策を政府と電力会社は一丸となって考えて欲しいものだ。
今回危機を脱したのは、火力発電の再稼働や、電力消費者の節電協力の賜物かもしれないが、原発を止め、二酸化炭素排出削減の熱病的カルトに拠るバカとしか言いようがない電力政策の為に起きた今回の騒動は、再びいつか来るであろう第二波、第三波の猛暑や、今冬に来るであろう寒波による電力需要の波に備えて、猛省して対策を練り直して欲しいものだ。過度な節電や省エネで、熱中症や冬の凍死死が増えない為にも。
ところで節電を呼びかけるテレ朝の番組では、家庭用電気の使用割合の内4番目を占める「テレビ、DVDの使用」を、その他の項目に放り込み、その代りに「炊事」（7.8％）をあたかも第4位であるかのように加工して報じたという。
テレ朝としてはテレビを消されては商売あがったりになるから、小細工をしたのだろうが、これは報道機関がやってはいけないねつ造である。（このグラフを見たまじめな主婦は、節電協力の為に炊事を止めて中食や、外食にして炊事の時間は、テレビを見て過ごそうと、思ったかもしれない―――）
指摘を受けたテレ朝は事実関係を認めた上で「丁寧さに欠けていた」と釈明したというが、ネットでは「捏造だ」「悪質すぎる」などの声が渦巻いているという。
ねつ造報道といえば強権主義の国ばかりで起きるのではない、日本でも至るところで横行していると言ってもよいようだ。そうなると―――我々は、何を信じればよいのやら。
（7/04/22 11:00pm S.T）
2022年7月4日
自由と人権
国連で世界人権宣言が採択されたのは今から約75年前の1948年のことだという。小学生の間で流行っていた切手収集の為にタカさんも近所のタバコ屋で人権宣言10周年の記念切手を一枚買ってスクラップブックに入れておいた記憶がある。（生来飽きっぽい性格だから、切手集めも、すぐに飽きてしまい、スクラップブックもすぐにどこかになくなってしまったが）
人権宣言が採択されたのは、戦争が終わったばかりで、ナチスのファシズムへの嫌悪感が広がっていた故だったのだと思うが、当時は、ソ連による共産主義による人権侵害が続いていたのだから、宣言当時から人権とは何かは、きわめてあいまいであったのようだ。あれから80年近くが経っても「人権」のあいまいさは何も変わってはいないと思う。
定義的には「人権」とは、武力紛争や難民流出、集団虐殺、暗殺、拷問、人種など様々な理由による差別、政治的自由の制限、思想表現の自由の侵害，信教信条の自由の侵害などから個人が守られる権利、と言われてはいるが、「差別」は、貧困や教育機会の不均衡などによっても起こるし、劣悪な公衆衛生や環境破壊、ジェンダーなどによっても起きるから、これ等を加えれば、いわば人間生きて行く上でのあらゆる行動が人権の侵害になる可能性があることになる。
一神教と多神教の間の紛争や宗派同士の争いだってそれぞれの信者にとっては「他宗教、他宗派が我が宗教の自由を侵している」ということになるだろうし、「他人の迷惑」を考えたら、社会生活に於いて個人の自由などというものはあり得ない―――ということにもなるだろう。
社会をできるだけスムースに運営するためには道徳だとか法というもので一応ある程度の制限を加える必要がある訳で、その意味では自由の定義もベンサム流の「最大多数の最大幸福」をベターとするしかないが―――それに対しても今度は、それでは「多数派による少数派への差別に通じる」という反論があるだろう。（少数意見をあまりに尊重すれば、今度は「少数派の横暴だ！」という多数派からの反論が起きる）
自由、自由、人権、人権の叫び声は盛んだが、定義もないままにあまりにも叫びすぎだという気がしないではない。
（7/03/22 11:00pm S.T）
2022年7月1日
いわんこっちゃない
東京電力管内の電力供給力は5200MW（メガワット）程度だが、猛暑の続くこの頃は、需給状況をリアルタイムで提供している「でんき予報」のサイトで見るとその使用状況はピーク時だと91-93％近辺をうろうろしているから、確かに一朝ことあれば電力ブラックアウトのおそれもあるのだろう。
昨日も書いたが原発を止め、火力発電も減らして自然エネルギーで電力不足を賄え、という類のグレタ嬢ばりのエコ派の圧力もあってここのところ原発も火力も随分と止めてしまったから、突然再稼働しろ！といった声が出ても、そう簡単にはいかないから、残されたブラックアウトを避ける方法といえば節電しかないことは火を見るより明らかだ。（カルト的自然エネルギー派に対してはこの欄でも再三批判してきた身としては「いわんこっちゃない」と言いたいところだが）
しかし、これだけ電気エネルギー依存が進んでしまった現代生活で、節電といってもそう簡単ではない。
マスクをしましょうといくら呼び掛けても、個人の自由を盾にいうことを聞かない欧米人と違って、一声かければほぼ全員が協力するという日本人の生真面目さというか、お上に対する従順性というかには、「節電」の掛け声もかなり効果が期待が持てるとはいうものの、熱中症予防のためには冷房を切るわけにもいかないし、食中毒のリスクを抱えてまで冷蔵庫、冷凍庫の電源を切るという訳にもいかない、となると、せいぜい家庭でできる節電といえば照明を消して早く寝るとか、テレビを消してラジオを聞くといったことでもやるしかない。そうそう、勿論パソコンやスマホの充電なんかも止めるしかない。
果たして、クーラーだけはつけるにしても、テレビもパソコンも使えない、電気は消して早く寝るしかない！という生活を例え一日でもできるものだろうか―――。
（06/30/21 9:00pm S.T. ）
本日の「日々早々」に戻る
2022年下期の各月バックナンバー ： 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
金曜日シリーズ全目次 ←ここをク リック
「日々草々」全バックナンバーリンク表 ←ここをクリック