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2017年7月
＜＜7月タイトル＞
07/31 セーフガードという名の障壁 07/28 土用丑の日 07/27 蠅ちょう 07/28 やっと目が覚めた 07/25 東京に帰れる
07/24 見切り時が難しい 07/21 思い上がり 07/20 ギスギスしすぎないか？ 07/19 下馬評が主おしろい 07/18 火事場泥棒 07/14
アラビアに氷山 07/13 筑地もダメ、豊洲もダメ 07/12 アリさん 07/11 ゲシュタルト崩壊 07/10 強欲すぎないか？ 07/07
ブラックボックス化 07/06 汚い言葉 07/05 首相への近道 07/04 ナイルの賜物 07/03 国産チーズ
2017年7月31日
セーフガードという名の障壁
国産牛の定義は「日本で育った牛」である。例え外国で生まれ育ったとしても日本に来てからの期間が外国でのそれより長ければ「国産牛」ということになる。又、国産牛からとれた肉はすべて「国産牛肉」であると定義されている。
国産牛は何を食べて育っているのだろう？ 牛といえば広い牧場でのんびりと草を食んでいる―――というオーストラリアなどのイメージをもちがちだが、今やそういう育ち方をしている国産牛はほとんどなく、牧舎で配合飼料を与えられて育っているのがほとんどである。配合飼料というのはトウモロコシや、大麦、小麦などの穀物に牛の肥育にとって必要な栄養素を加えたものであって原料のほとんどがアメリカなどから輸入されたものだ。
日本で育ち、外国産の飼料を食べて食肉に加工された牛の肉ならば、いわゆる「和牛種」でない交雑種や、ホルスタイン種などでも国産牛肉と分類される。
日本人好みの柔らかでサシの入った和牛肉が高いというのは分からないではないが、それでは配合飼料を食べて育てられた外国産の「和牛肉」とか、外国産の交雑種肉と味が違うのか？となると―――正直、タカさんはそんなに肉好きというほどでもないこともあるからか良くわからない―――というのが本音のところだ。（確かに、高い肉が美味いのは事実だと思うが、外国産でも高い肉はきっと美味いのではないか―――とも思うし）
要は、「国産牛は美味いから、外国産牛より高くて当然だ！」という話には、タカさんとしては、「本当か？」と思わないではないのだ。よしや、「国産牛が美味い」のが事実だとしても、美味いか、それほどでもないか、の判断は売り手側がするものではなく、買い手側（消費者側）がするものだと思うのだが―――。
米国産の冷凍肉の輸入量が増えてきたために、国内産牛肉保護の為に8月から向う8カ月間、輸入関税が38.5％から50％に引き上げられるという。これは国内産保護の為にもうけられた輸入制限措置である「セーフガード」が14年振りに発動されるためだというが―――ただでさえほぼ90％近くが米国産の飼料で育った米国産牛と同じ牛種の牛の肉に、38.5％もの関税をかけること自身が暴力的だし、その関税を更に引き上げて50％にする―――と言うのは―――安い肉が食べたい、という消費者に対する「いじめ」ではないか―――とも思うのだが―――。
コメ同様に食肉についても「食の安全」だとか「食料安保」問題を持ち出して自由貿易化を阻もうとする動きが必ず起きるけれど、「食の安全」にせよ「食糧安保」にせよ、高い関税だとかもろもろの輸入障壁を設けることだけが、唯一の問題解決法ではあるまいと思う。
8月からのセーフガード発動は、アメリカの対日貿易赤字削減に躍起なトランプ政権の反発を呼びそうだ―――との観測もあるようだが、いわゆるこういった「外圧」でもない限り、日本の対外関税障壁は崩れそうもない――（日本の消費者は文句を言わない）－－という辺りも、日本社会に閉そく感が漂っている原因ではないかと思う。
（7/30/17 10:00pm）
2017年7月27日
土用丑の日
土用というのは四季の始まりである四行（立夏、立秋、立冬、立春）の直前18日間のことであるから一年に4回、都合72日間もある。しかし、今や土用といえば立秋直前の土用がもっとも有名になっているのは、江戸のダヴィンチなどと言われる平賀源内が、うなぎ屋に頼まれて考えたといわれる日本最古のキャッチコピーである「土用丑の日」が、人々の頭の中に刻み込まれているからだろう。
では、なぜ当時源内の近くで店を開いていたうなぎ屋が源内先生にこの宣伝文句作りを依頼したかといえば、例年、暑い盛りのこの時期、うなぎ屋の客足がパタリとおちていたからだという。そもそも、うなぎが丸々と太り、脂ものって美味いといわれていたのは秋が深くなってからで、暑い盛りの今頃はまだ十分太っておらずそれほど美味くはない、といわれていた所為でうなぎの人気は決して高くなかったという。
ところが知恵者の源内先生、「本日、土用丑の日」という札をうなぎ屋にかけさせたところ、それを見た庶民が「医術に詳しい源内先生が、夏バテ防止、疲労回復にうなぎがよい！と言っておられる―――」と噂しあい、評判が評判を呼んだ結果、今や「土用丑の日にうなぎを食べると健康に夏を乗り切れる」といった信仰のようなものが生まれ挙句の果てには「土用丑の日にうなぎを食べないといけない」という迷信を生むに到った―――ということだという。
近年は生のうなぎをさばいてからかば焼きにする――などという正統派（？）のうなぎを食べる機会は失われつつあり（あったとしても、相当高額を覚悟しなければならない）、うなぎといえば調理済みの冷凍、あるいはせいぜい冷蔵物がメインだし、そもそも天然もののうなぎなどはないに等しく、ほとんどが養殖物だから、「晩秋のうなぎが一番美味い」などという旬にこだわる必要もなく、うなぎは一年中が旬といってよくなってはいるが―――それでもやっぱり源内先生の神通力は健在で、うなぎ需要が一年中で一番高いのはこの土用丑の日前後だというから、うなぎは、イブ直前のケーキの売り上げや、バレンタインデー前のチョコレート需要の大先輩にあたるイベント食という訳だ。
今年の土用丑の日は2回あるという（先日の7月25日と8月5日）。タカさんの家でも先日の丑の日はうなぎだった。娘が結婚して、老年夫婦二人だけの家庭になってからは、以前のように安目の外国産の冷凍うなぎではなく多少は値のはる国産物を買ってきて（今年は、木曽三川産と書いてあった）食べたが、やっぱり美味かった。
思い出してみると、タカさんは3人兄弟だったから、実家は5人家族であったし、もちろんタカさん達兄弟が食べ盛りだったころは、母も「今晩はうなぎよ！」と言うこの丑の日頃は、財布に関しては相当の覚悟をしていたのではないだろうか―――といまになって、改めて両親に感謝の思いがよみがえってきた。
孫娘が夏休みで泊りに来たので聞いてみたら、やっぱり彼女のところも25日の日は、うなぎだったとのことで「美味しかった！」と言っていたが、彼女のところは4人家族、爺さん婆さんの家庭の倍の人数がいてしかも親二人と6年生の男の子が食べ盛りであることからすると---財政的にはちょっと大変だっただろうなぁ～と思った次第。
（7/27/17
10:00pm）
2017年7月27日
蠅ちょう
各家庭に冷蔵庫が普及する昭和40年頃まで、夏のこの時期になるとどこの家にも「蠅ちょう」といわれる網目状の蠅除けが置かれていたものだ。
先日、ある番組を見ていたら食卓上に置かれた小型の蠅ちょうを「これは何でしょう？」といった形のクイズにしていたけれど、出場者全員が答えられなかったのを見て、つくづく自分が古い人間なのだなぁ～と思ったものだった。
例えば、昼食の残り物になってしまった煮物などを夕食まで取っておこうと思えば冷蔵庫がないあの時代、なるべく風通しのよいテーブルの上などに蠅ちょうをかぶせて置いておくという保存法（？）がとられていた。蠅ちょうの役目は、もちろん食べ物が痛まないようにすることだが、もっと大事な役目は、蠅から食物を守ることだった。
今や、都会ではそんなに見ることはなくなった蠅だけれども昔は夏といえば蠅がブンブンと飛び回っていたから食べ物などを置いておくとあっという間に蠅がたかってしまい運んでくるばい菌によって食中毒（！）なんていうおそれもあったから、蠅ちょうは「各家庭の必需品」ともいえるしろものだった。（タカさんの学生時代、一人暮らしの友人のアパートのちゃぶ台の上に、空のドンブリの上に蠅ちょうがかけてあるのを見て妙に可笑しかったのを覚えている）
クレオパトラといえば濃いアイシャドウの印象が強いけれど、あのアイシャドウは目玉にある水分を求めて集まって来る蠅をよけるために蠅の嫌う鉛を含む顔料を目の周りに塗ったものであったように古代から人間は蠅に悩まされてきたという歴史をもっており、いってみれば「蠅は人間の文化とは切っても切れない関係」といえるのだ。（アフリカ原住民のドキュメンタリーなどをみると、彼等が顔の周りにたかっている蠅を全く気にせず、手で追おうともしないのを見て驚くが、蠅を一々気にしていたら暮らしていけないのだろう）
蠅同様に蚊も昔に比べたら随分と少なくなった。タカさんの家でも夏はクーラーをかけて戸を閉め切っている所為もあってここ十年以上、家の中で蚊取り線香を焚くこともないし、殺虫剤のキンチョールの出番もめっきり減ったように思う。
まあ、現代生活において蚊だとか蠅なんていないにこしたことはない代物だと思うし、マラリアだのデング熱のウィルスを媒介する蚊や、食中毒などの原因にもなる蠅が絶滅したところで困ることはないような気もしないではないが―――蠅、蚊ともに人類よりはるか以前、１億年以上前から存在し、地球上の食物連鎖の底辺を形成しているのだから、もし蚊や蠅が絶滅してしまえば、地球の生命環境全体が崩れ去ってしまう可能性も高いという。（蠅や蚊がいなくなれば、それを餌にしている昆虫や、鳥、コウモリなどが絶滅し、それらを餌にしている生物も絶滅するだろうし、蚊や蠅が受粉を助けている多くの植物も絶滅してしまうかも―――）
まあ、確かにそう考えてみると、蠅ちょうが盛りだった昭和の時代、我々の周りには自然がいまよりもずっと溢れていたように思う。
「自然を守れ！」という環境保護のアンチテーゼでもある「人間こそが最大の自然環境破壊者だ」という言葉が、それなりに説得力を持つ所以だろうか。
（7/26/17
10:00pm）
2017年7月26日
やっと目が覚めた
不思議と主要紙で取り上げたところもほとんどなかったが、先週東京都の小池百合子知事がこれまで豊洲に市場を移転する前提として掲げてきた「豊洲市場の地下水に含まれる有害物質を環境基準値以下に『無害化』」する」という公約を撤回し、「18年の春から秋に豊洲開場を目指す｝という方針を発表した。
豊洲か築地かであれほど大騒ぎしていたし特に豊洲には殊更厳しく連日「地下水から環境基準のxx倍の有害物質！」「豊洲の安全性に疑問！」といった調子で騒いでいたマスコミが、何故か今回どこもこの「豊洲無害化の撤回」（要するに、現状のまま開設する－）という方針大転換のニュースをスルーしてしまったのは何故だろうか？
人々の関心が加計問題の方に向いている所為なのかとも思う一方、マスコミに踊らされて付和雷同して騒いでいた都民も、ようやく「無害化なんて考えてみれば意味ないかも――」と気が付いたのかなぁ～とも思った。
今頃になって、「豊洲地下水無害化宣言」なるものが、いかに無駄で無益なものであったのか―――という当たり前の事実に人々も気付き目が覚め、又、そういう都民の風向きを逸早く感じ取った都知事が、「都議選も圧勝したことでもあるし、もうそろそろ豊洲問題の争点化の拳は下ろし、「都民の安心」なる概念を焚きつけて騒ぎ立てるのを止めようとまっとうな決断をしたという事なのだろうか。
今回の件を含めて、昔のダイオキシン騒動、BSE（狂牛病）の全頭検査問題、それに近年の放射線被ばく騒ぎにしても、日本人は「安全」と「安心」は全く別物だという事実に対して無知すぎる。 その延長が「豊洲地下水問題」だったと思う。
例えば「車」にしてもどれほど厳しい「安全基準」を設け、その基準を満たしている乗用車であっても、事故に合う確率がゼロということはない以上、この車に乗っておれば「絶対安心だ」ということはない。
安全の基準を定めることはできても「安心の基準」などというもの未来永劫もうけることはできない以上、どんな頑丈な車に乗っても、「絶対安心」などということはあり得ないのだ。（もし隕石がその車を直撃したら―――？）
豊洲の地下には盛り土が施されさらにコンクリートで覆われた地下空間が広がっているから、例えいくらかの地下水が地下から上昇してきたとしてもそこに含まれるベンゼンなどの有害物質が揮発性のガスとなってコンクリートの上の市場にまで上がってくることはないし、この地下水をくみ上げて使うといったことをしないシステムになっているのだから（市場で使う水はすべて水道水だ）、取引をしている市場の魚などが有害物質で汚染されるなどということは「あり得ない！」と何度も専門家委員会が報告しているのにも関わらず、マスコミや小池知事が「そうはいっても、市場に対する都民の安心が得られていない！」と騒ぎたてたのが今回の騒動の顛末だった。
一時期は「豊洲はすべてぶっ壊して、マンション用地として売り払う」などという全くバカげた構想やら、同じく様々な有害物質が地下に埋蔵されている可能性がある築地を再開発して利用する――などという発狂したかのような案までまことしやかに語られたことを思えば、漸く、元の路線に戻り、「豊洲を使おう」という結論に至ったことは喜ばしいが―――。
では、これまでの一年のあの騒ぎは一体何だったのか――？と思わないではない。
（7/25/17 10:00pm）
2017年7月25日
東京に帰れる
「地方創生」政策の一つに「省庁の地方移転」というのがある。有名大学を出て国家公務員上級試験に受かり「霞が関の央官庁にお勤めの超エリート官僚」であると自他ともに認めている官僚たちに、「君、勤務地は霞が関ではなく田舎の都市になったから～」と告げた場合、果たして彼等はどう思っているのだろうか？と考えてしまう。
昨年、地方創生政策による省庁の地方移転のやり玉（スケープゴート）に挙げられた（？）のが消費者庁で、その移転先として選ばれたのが徳島県だったと聞いて、なぜ「消費者」庁が、日本で一番消費者の多い東京を離れ日本で消費者人口のもっとも少ない地域に拠点を移すのか――やっぱり政府としては「消費者行政の充実」などと言いながら、消費者行政をそれほど重視していないのでは～などとも思ったものだが―――いよいよ今月から徳島県庁内に「消費者行政新未来創造オフィス」なる事務所が開設され、参事官１人、先端的な調査研究担当６人、等17人の職員と非常勤の政策調査員5人、傘下の独法である国民生活センターの11人の計33名で業務を開始したと聞いて、やっぱりこの程度の少人数でお茶を濁すつもりなのだろうなぁ～とも思った次第。
エリート官僚には、省庁の名前が短ければ短いほど「重要官庁だ」という意識があると聞いたことがある。（確かに「財務省」「外務省」などの二文字の省の方が「農林水産省」やら「文部科学省」などの文字数の多い省庁よりはエリートっぽい）。総務省などは2001年の省庁統合の際に、自治省、郵政省、総務庁の3省庁が統合された際に、戦前の超エリート官庁であった「内務省」を意識して「自治郵政総務省」とせず「総務省」という二文字にこだわったともいわれているぐらいだ。
省庁の名前のみならず各省庁の部局の名前も同じく短い方が「エラソー」であるのに、この徳島の消費者庁の部局の名前は、「消費者庁消費者行政新未来創造オフィス」だというのだから分かり易いようで何をやっているのだかさっぱり分からない―――「中央官庁のエリート官僚」のイメージとは縁遠い肩書の名刺を持つ職員はちょっとコッパズかしいのではないだろうか。
そういえば、昨年、消費者庁の一部が徳島に移転するという政策が発表されたとき、それに伴って一部が徳島へ転勤する必要に迫られると聞いた管下の独法である国民生活センターの職員たちが反対署名を集めていたが、「消費者にとっての利便性が損なわれる！」などと理由を挙げてはいたものの、本音は「子供の学校を徳島に移したくない」「都落ち感がいやだ」といったところではないか―――などと随分揶揄されたものだったことを思い出す。
「地方創生」なる政策がどういう経緯から飛び出したのかは、色々言われてはいるが、言い出しっぺの一人だった石破茂氏に、ポストを与える為だった―――という一面があったのは事実だし、その石破氏が既にそのポストを捨てて閣外に去っており、地方創生の目玉として開設しようとした加計学園の獣医学部問題もゴタゴタしていることを思えば、この「地方創生政策」段々とフェードアウトして言った方がよいかもしれない。
そうなれば、再び「東京に帰れる！」と、「消費者庁消費者行政新未来創造オフィス」の方々も欣喜雀躍するに違いない。
（7/24/17 10:00pm）
2017年7月24日
見切り時が難しい
プロ野球の監督にとって勝っている試合の最後のイニングで誰に投げさせるか、は非常に重要な決断である。
先発がどうにか6回まで投げ切った場合、中継ぎ投手に切り替えるか、あと一回先発に任せるか、といった決断、中継ぎ投手として誰を使うか？は、試合前から様々なシミュレーションを積み重ね、ブルペンや投手コーチとも相談してきめるだろうし、同じく抑え投手をどうするかについても実に気を使う決断には違いないが、いずれにせよ最終決断をするのは監督自身であり、もし万が一その決断が悪い結果に終わったとしても（中継ぎや抑え投手が打ちこまれ逆転負けを喫してしまったとしても）「コーチがこうアドバイスしたから」とか「打たれたあの投手が悪い！」などと言い逃れても却ってチーム内やファンから批判を受けるだけだ。「結果が良ければ選手の手柄、結果がわるければ責任はすべて監督」がプロの野球監督の背負わされた宿命だ。
ペナントレース143試合あれば、中には投手起用が上手く行かないケースは何度も起きる。「抑えの切り札」としての獅子奮迅の働きをしていたオリックスの平野投手が、ここのところ突然「出ると負け」の状況に陥り、既に借金30とダントツのドベをひた走る（？）タカさんの贔屓しているロッテマリーンズ戦でも、勝ち試合に抑えとして出てきて二試合連続で打たれてサヨナラ負けする－――など大乱調だった。もちろん、今まで全幅の信頼を寄せていた平野を一度や二度のリリーフ失敗で二軍に落とす――などということをすれば、平野自身も「ああ、俺はダメなのか！」と自信を失い、二度と復調できない可能性もあるから、二度や三度の失敗で諦めることなく｛我がチームは君に全幅の信頼を置いているから、めげずに頑張ってくれ！｝と次の試合でもマウンドに送りだす―――という監督の胆力も必要となるだろうが―――しかしファンにしてみると「監督何考えているんだ！」ということになるかもしれない。
巨人の高橋由伸監督も、先日の中日戦、6対1で楽々勝っていた試合、9回に守護神カミネロをマウンドに送ったら、大乱調で1点差まで追い詰められ勝つには勝ったが、ヒヤヒヤもので素人のタカさんなどあれだけの金を使って凄い選手ばかり集めながら最近成績低迷中の巨人軍は「やっぱり監督の采配が悪いからでは？」などと思っている次第だが、その2日後の、22日の横浜戦でも3点差で勝ってはいたものの、好投していた菅野をなぜか引っ込めて（テレビ中継の解説者も「ここで変えるんですか！？」と叫んでいた）あのカミネロを当番させたらあっという間に1点とられあれよあれよという間に満塁にまで詰め寄られ、一本でれば再びサヨナラ負けというところで遂にはマシソンを投入し、どうにか逃げ切ったというヒヤヒヤ物の試合があった。
カミネロもマシソンも、前日、2インニングずつ投げており、疲れもあっただろうことを考えれば、あそこで「カミネロ投入」は、やっぱり間違いだったと思うが―――。
やることなすことドジばかりで、内閣改造では交代間違いなしといわれる稲田防衛大臣を、安倍首相を擁護し続けているが、その首相の判断に、内閣支持率まで激減している―――。
平野を引っ張り続けたオリックス福良監督、カミネロと心中覚悟のジャイアンツ高橋監督、稲田さんに中々引導を渡さない安倍首相―――。
いやはや「見切り時」の判断は難しい。
（7/23/17 10:00pm）
2017年7月21日
思い上がり
「地球環境を守ろう」は今や人類共通のスローガンと言ってもよいいわば神の言葉ともいえる絶対的な価値をもっている。ではここでいう「守るべき地球環境」という原点に返って改めて問われてみると―――ちょっと考え込んでしまうところもある。
例えば今、もっとも懸念されている環境問題といえば「地球温暖化」だけれども、恐竜がその繁栄を極めていた2億年前から6500万年前の時代、地球の気温はいまよりもずっと高く、その為に植物の光合成は極めて盛んであったから植物が繁茂しその植物を餌にする草食恐竜が栄え草食恐竜を餌にする肉食恐竜も栄えることができた。
豊富な餌と、光合成によってつくられる酸素の濃度が高いことによってその頃の地球の王者である恐竜たちは巨大化することができたとも言われている。
すなわち、恐竜の時代（といっても、45億年の地球史からみれば、つい最近）の「地球環境」は今と全く違っていたし、その頃の恐竜たちにとってのベストの地球環境とは、現代よりもずっと温暖化の進んだ環境だったということになる。
そんなに古くまで遡る必要もなく、マンモスたちが栄えていた今から25万年程前は、地球はいまよりずっと寒冷化しており、地球の大陸には乾燥したステップ気候地帯が広がっておりマンモスにとっては、住みやすい環境だったという。すなわち、マンモス達にとっては「寒冷な地球環境を守って欲しかった！」ということになるのだ。
今やほとんどの人が忘れているけれど、1970年頃までは、地球環境の変化として人々がもっとも恐れたのが「寒冷化」であった。いくつもの寒冷化の兆候が観測されたことで「寒冷化による食糧不足」を懸念する話ばかりが「地球環境問題」としておどろおどろしく語られていたが、それが一転してここに数十年は「温暖化カタストロフィー」が語られるようになっているのは、気象学的な要因というよりは「政治的」「経済的」な理由だともいわれており、その説を完全に否定することも出来ないところが「地球環境問題」の難しいところだ。（トランプ大統領は温暖化防止の「パリ協定」からの離脱を決めたが、アメリカの世論は、それを支持しているのが現実だ）
そう考えてみると、「温暖化防止」という地球環境問題最強の「神の言葉」も、単に一部の「温暖化防止利権者」による呪文に過ぎないような気もしてくる。
ソ連時代にシムダリア、アムダリアの二大河川から水を引き、大綿花地帯を作ろうという巨大構想によってかつて世界第四位の湖だったアラル海は、ほぼ消滅しつつあり、かつての海には、塩害によって「塩の砂漠」が広がり「人類史上最大の自然破壊」とも言われているが、このどこまでも広がる真っ白な塩の海が照り付ける太陽光を反射しているおかげで、アラル海周辺の気温がクールルーフ効果によって低下しており地球温暖化の防止に役立っている―――等という話もある。
地球というガイア（地母神）にとっての地球環境とは、まさにそこに生きる生き物である人間の行為でさえ自然の一部として取り入れてしまいながら作るものであって、人間ごときが思い上がって勝手に「守る」ことができるなどと思うことこそ自身が、「思い上がり」に過ぎないようにも思えてくる。
よしや、人類が棲めない程に環境を破壊してしまえば、人類は絶滅するだろうから、地球にとっては長い時間をかければ、再び元の自然が戻ってくることになるだろうし、それこそ「地球環境を守った」ことになるのかも知れない。
（7/20/17
10:00pm）
2017年7月20日
ギスギスしすぎないか？
週刊新潮による金子恵実衆議院議員が夫であるあの不倫騒動で議員辞職した宮崎謙介元議員との間にもうけた一歳の男の子を「公用車で保育園に送り迎え」したことを公私混同だと報じ、結局、本人も「公用車の使用に関する意識が薄かった」と謝罪した事件（？）がネットで随分と話題になったが、意見の大勢は夫に浮気されながらも健気に子育てする女性議員―――に対する擁護論が優勢だ。
テレビなどでも、当初は、鵜の目鷹の目で自民党2年生議員のスキャンダル報道を探していたマスコミの網に見事（？）引っかかった金子議員に対する一斉非難！という感じで、反自民のオジサンコメンテーターを中心に「庶民感覚ではあり得ない」「そもそも、文書通信費を貰っている議員に公用車は不要！」と言った批判一辺倒だったが、同じく女性議員でもある民進党代表の蓮舫さんが「全く共鳴も、理解もできません！」と金子議員を強く批判した辺りから風向きがガラリと変わって、擁護論が大勢になってきたようだ。（蓮舫さんもどれだけ女性陣に嫌われているのだろうか）
そもそも金子議員には「チャラ男の夫の不祥事も我慢し離婚もせずに幼な子を育てる働く女性」といった女性陣が同情したくなる条件が揃っていた上に、本人が公用車に子供を乗せたことは認めながらも「公用の途次、自宅から数百メートル先の保育園まで乗せていっただけであり、保育園への送迎だけの為に公用車を使ったことは一度もない」と釈明したことも「それ位のことで公私混同！と目くじらを立てるのはちょっと異常ではないか？」という意見が多くなった理由であるように思う。
詳しいことは週刊誌を読んでいないので分からないが、議員辞職して今はプー太郎であるはずの夫宮崎謙介氏がどうせ暇なのだろうから、数百メートル先の保育園までならベビーカーを押してでも送り迎えすればよいのに――等とも思ったが、それもやっていないとなるとこの浮気夫、離婚はされていなくても、家からは追い出されて別居でもしているのだろうか？とか、金子議員が国会に出ている間は男の子の面倒を見ているという金子議員の実母（男の子のおばあちゃん？）も大変だろうなぁ～と、男であるタカさんですら週刊誌やオジサンコメンテーターの「公私混同批判」は、働きながら子育てする女性の大変さに対する無理解というかおもいやりの無さ、に思えてしまう。
確かに厳密に言えば金子議員のこの行為「公用車使用の公私混同」であることに違いはないが、あの舛添前東京都知事の毎週の湯河原の別荘通いや、木更津竜宮城通い、と一緒くたにする類のものでもないと思うのだが―――。
「李下に冠を正さず、瓜田に履を入れず」というように、少しでも人に疑われるようなことをするなとはいうし、その言葉に何も間違いはないけれど、今回の金子議員の一件のように、ほんの些細なことまで皆が目くじらをたてて騒ぎたてるような世の中を「不正を正す素晴らしい世の中」と思う気にはとてもなれない。
たまたま家族やら友人を出勤の際に自分の公用車に同乗させた！といったことがある議員さん、お役人は全国には実は数限りなくいるような気がするが、限度をわきまえてさえいれば（舛添さんほどめちゃくちゃでなければ）、あまりにギスギスした非難、批判は却って世の中を住みにくくするように思えてならない。
（7/19/17
10:00pm）
2017年7月19日
下馬評がおもしろい
譜代大名で江戸につめている者は月に3回ほど江戸城に登城する必要があったが、お供の者たちを付き従えて登城するものの城内に入れるのは大名だけ、残りのお供たちは大手門の前で自分の主君が下城してくるのをずっと待っている必要があった。
今の時間で言うと午前10時頃の登城時刻から午後2時位の下城時間まで、やることもなくただ待つだけの家来たちは暇を持て余し「今度の老中になるのは、xx藩の殿様だろう」とか「いやいや、○○藩の殿様で決りだ！」等と人事の噂で時間潰しをしていたという。今も、人事の噂や予想のことを「下馬評」というのは、この江戸城の「下馬所」で下城を待つお供たちが、自分の主君や、他の藩の城主たちの人事を噂し合っていたことが語源になっているという。
会社の人事から、内閣の組閣の顔ぶれなど、実に様々なところでのこの手の「人事に関する予測や噂話」は、大人気である。「人事の噂話ほど面白いものはない」等とも言われるが、言われてみると理由は分からないけれど確かに面白いことはたしかだ。
都議選での自民党大敗という結果で明らかになった、加計問題だの稲田防衛相、金田法相の資質問題に加えてあの豊田真由子議員の「このハーゲがもあるようで、なんとなく「8月3日には内閣改造！」という話が現実になりつつある。
そういった経緯からすれば、この予想される8月の内閣改造の目的の第一は、「急落した内閣支持率の回復」だと言ってよいが、それではさて「どういう顔ぶれならば、人気下落に歯止めがかかり、あわよくば回復していくのだろうか？」となると、安倍首相自身、見当もつかない―――というのが本音ではないだろうか。
新聞、テレビでも、「8月の内閣改造メンバー」の下馬評で持ち切りなのは―――マスコミ各社も視聴者たちが、トランプ大統領の言動！やら、北朝鮮のミサイル！に、すっかり飽きがきている状況の今、この内閣改造下馬評は、絶好の視聴率稼ぎネタになっているから大騒ぎしているだけで、その下馬評の中身の質は極めて低い。
というのも、「内閣の支持率が急落」とはいうものの、現政権に代わり得る野党の支持率もさっぱり上がっていないし、かといって「都民ファースト」が「国民ファースト」にそうそう早急には変わらないだろう―――と思われる現状では、何をもって下馬評の根拠にしてよいのか分からないのだから無理もない。そうである以上は、人々の好き嫌いだけを根拠にした政策を度外視した中身のない「人事の噂」に終始せざるを得ないということなのだろう。 タカさんもこの手の人物月旦は嫌いではないが、「結局は、松居一代と船越英一郎の離婚バトルやら、渡辺謙の不倫謝罪会見と同じレベルをだなぁ～」とそんな噂をフォローしている自分をいささか嫌悪してしまう。
「お友達重用をこの際断ち切るべきだ！」とか「菅官房長官を切って、新鮮味を出せ！」あるいは「小泉進次郎とか橋下徹を重要閣僚で登用」「石破幹事長、もしくは岸田幹事長といったサプライズでどうだ！」などといったもっともらしく聞こえるが、どうもあまり根拠のない下馬評が飛び交っており、中にはネットでは「昭恵夫人との離婚発表が一番の特効薬」等と言うまさに「松居一代のブログ」並みの衝撃のネタまであったのには――さすがに「やり過ぎだろう！」と思ったものだが―――要は日本の政治レベルなんていうものはその程度のレベルにある――ということなのかもしれないが―――。
（7/18/17 10:00pm）
2017年7月18日
火事場泥棒
東日本大震災のあの惨状の中での日本人の秩序だった振る舞いや、お互いを助け合う姿に対して世界から多くの賞賛の声が寄せられたことを思い出す。
そんな中でも「あれだけの災害が起きたにもかかわらず略奪行為などが見られなかったのには驚いた」という外国人たちの反応には、逆に「そんなことで褒められるとは！」と多くの日本人が驚いたのだが、ロスアンゼルス暴動が起きた時、あるいはハリケーンカトリーナがニューオールリンズを襲った際に起きた、白昼堂々の略奪行為、暴動騒ぎが当たり前のようにあったことを思えば、列を乱すこともなく言い争いなどもなく黙々と給水所に並ぶ人達を見た外国人記者が、「日本人って何と礼儀正しいのだろう！」と感心したのも頷けなくもない。
しかし、あれから7年近くが経ち、日本人の道徳心もいささか廃れてきたのかなぁ～？と思ったのは、豪雨被災地の状況を伝える新聞に載ったある記事をみたからだ。
それは、「九州北部の豪雨被災地に、他県ナンバーの不審車が幾台もうろつき、損壊した家屋での空き巣を狙っているとみられることから。福岡県警はパトロールを強化しはじめた」というもので、その記事によれば豪雨被害の大きかった朝倉市や東峰村では、住民がまだ避難所にいて空き家になった村落の住居では、実際に侵入された形跡も見つかっているというのだ。
未だに行方が分からない人々の捜索が続いているという、まさに被災地の窮状に付け込んでのこの手の「火事場泥棒」を働く連中が押し寄せうろついているというのだから――――日本も外国並み（？）に、人の不幸に付け込もうというさもしい人が増えているということなのだろうか。
殺人犯が多く収容されているアメリカの刑務所では、同じ殺人罪での収容者同士でも、抵抗できない老女だとか幼児を殺した犯人は最も蔑まれ、刑務所内でリンチされてしまうケースも多いという。いかにアメリカでも弱い者をいじめるような犯罪は最低の犯罪とみなされる―――ということなのだ。
日本でも、同じ泥棒や空き巣でも、被災地に駆けつけて（？）空き巣を働くような超卑劣な犯罪者は、普通の窃盗罪の2倍、3倍の刑期にする！といった刑法改正があってもよいのではないかと思うがどうだろうか。
（7/17/17 10:00pm）
2017年7月14日
アラビアに氷山
広さだとか、大きさを表す時によく使う、東京ドーム40個分だとか、400個分、といった言い方が、一体どれほどの大きさや広さなのか具体的にイメージできる人なんていないとは思うが、「英国西ウェールズ地方の1/4の大きさに相当する6000平方キロメートルの巨大氷山が南極から流れだした！」というBBCニュースを聞いて、その氷山の巨大さをイメージできたイギリス人が一体どれほどいただろうか。
このBBCのニュースを伝えるNHKも、大きさのイメージを伝えることには気を使ったようで「三重県と同じ大きさの氷山が南極大陸から流失！」というテロップに替えて流していたが、タカさんは、これを聞いても「何しろ、すごくデカイ氷山が流れ出したようだ」とは思ったもののその大きさを全くイメージできないでいる。
大陸の棚氷といわれる海に突きだしていた巨大な氷の塊に大きな亀裂が入り、ついに南極海に流失したという。その流失した氷山は間もなく完全に南極から分離し海流に乗って海を漂うことになるが、何せ三重県と同じ広さを持ち重量にして1兆トン（これまた、イメージ不能）もある氷山がこれから先、何年もの間、海洋を漂う―――というのだから、何だかよく分からないながらも想像するだけでもワクワクしてくる。
温暖化による海面上昇が色々危惧されているから、これだけの氷が海に流れだせばいくらか海面上昇するのでは―――等と危惧される向きもあるかもしれないが、元々棚氷というのは大陸からせり出して海に浮いているものなので、これが溶けたからといった海面への影響はないという。（コップの表面から頭を出していた氷が全部溶けても、コップの水が溢れないのと同じ理屈だ）
そんな巨大氷山が海の上にプカプカ浮いていたら、船舶の航行上問題では？という心配もあるだろうが、タイタニックが氷山にぶつかって沈没した100年前と違って、今や衛星によるリアルタイムの氷山の位置確認ができるから、こちらの方も問題はないようだ。
そうなると、この1兆トンもの氷の塊を何かに有効利用できないか―――とも考えるのだが―――今から数十年前、巨大氷山をゆっくりとタグボートなどでえい航して、ペルシャ湾に持って行き、その氷山の真水を砂漠の灌漑用に使おう―――等と言う夢のプロジェクトがあったけれど、あのプロジェクト、いい機会だから、今回流れ出した巨大氷山で試してみたらどうだろう。
今回の三重県と同じ大きさの氷山位になると、すべての氷が溶けきれるのには10年以上かかるというから、アラビアの砂漠がいつの日か、世界有数の穀倉地帯に生まれ変わるかもしれないし―――。
（6/13/17
10:00pm）
2017年7月13日
築地もダメ、豊洲もダメ
都議選直前に小池知事が発表した「築地は守る、豊洲は活かす」という方針には、それまで「築地なのか！豊洲なのか！」と喧々諤々言い争っていた両陣営がともに一気に脱力してしまいそうな結論であった。
「決められない知事」などという揶揄もあった小池さんらしいといえばいえる「どちらでもない」「両方にいい顔をした」案ではないかという批判と同時に、「誰も考えつかなかったような妙案」などという評価もあった案だが、「情報公開」を売り物にしてい小池さんが、「両施設存続によるコストがどうなるのか？」「今後の運営費の都民負担は？」といった質問を一切許さず方針発表するやいなや会見場を後にしたことで「両市場存続」という方針に、却ってうさん臭さが残ってしまった感があった。
都民ファーストが圧勝という都議選の結果で、豊洲筑地問題のもやもやは、今やあまり話題にのぼらなくなってしまったが、都議選の結果はあくまでも「小池知事の豊洲筑地問題が強く支持された結果」という訳ではなく、単に「自民党などに対する反発が都民ファーストへの投票という結果で表れたに過ぎない」と見るべきであり、「築地は守る、豊洲は活かす」というなんともうさん臭い中途半端な方針は、未だにうさん臭いままであることに今一度思い至るべきだ。
この小池知事の「新たに筑地に食のテーマパークを作る」という新方針と、「豊洲は単なる物流拠点になってしまう」ことによって豊洲には、一般客の集客が見込めなくなったことを受けて、豊洲市場開業に合わせて大型、集客施設である「千客万来」を開設予定だった事業者が事業撤退を検討しているとの事だ。
この業者、豊洲市場に現在の筑地場外をはるかにしのぐ「食のテーマパーク」的な施設を作る予定でいたというが、豊洲からわずか１０分ほどの筑地に東京都があらたに筑地ブランドを活かした「新・食のテーマパーク」を開き、しかも豊洲は単なる「物流センター」になってしまう―――というのでは、豊洲の食のテーマパークは「千客万来」どころか「閑古鳥」になってしまうのは明らかだから、事業者としては「撤退」の決断は当然といえば当然だ。（個人的なことをいえば、豊洲と筑地に食のテーマパークがあるとしたら、タカさんとしては近い豊洲の方に行ってみたい気がするが）
この事業者、豊洲の「千客万来」の敷地を年間8500万円、契約期間は50年間で東京都から借りる予定だったというから、この土地代だけでも50億円近くの減収になってしまうというから、ただでさえ年間数億円に上ると言われている豊洲市場運営費の赤字額が更に膨らむことになる。その負担はすべて、東京都民が支払わされることになるが―――。
以前、この日々早々でも書いたが（「上手の手から水が漏る」6/23/17）小池都知事の「築地は守る、豊洲は活かす」という中途半端で意味のない「足して二で割る」案、このまま放っておくと、次々とボロが出て「築地もダメ、豊洲もダメ」になりかねないのではないだろうか。
（7/12/17 10:00pm）
2017年7月12日
アリさん
ハワイでゴルフをしたことがあるが手配してくれたホテルで、「必ず長めのズボンとシャツでプレイするように」「ラフに入る時は不用意にボールに触ったりしないように」「ボールのそばにアリを見たらそのボールは諦めて――」等と随分ものものしい注意事項を言い渡され、一緒にいた妻は不思議そうな顔をしていたが、タカさんはテキサスやフロリダでゴルフした際に、地元の人に同様の注意を受けたことがあるので「ははぁん〜、ハワイにもファイアーアントがいるのか！」とピンと来たものだった。
カリフォルニアではそんなに騒いだ記憶はないが、アメリカ南部ではこのファイアーアントといわれる毒アリが多く生息しており、庭の芝刈りやら、ゴルフの際にこれに刺されて大変な目にあった（一週間位は患部がはれ上がり、猛烈な痛みがあるのだとか）という同僚も何人かいた。攻撃性の強いアリで、ラフに打ち込んだボールがこんもりしたモグラの穴のような土の上にあるのを打とうとして素振りなどをしていると、それを見た（？）ファイアーアントが、一斉に巣から出てきて猛烈な勢いで襲ってくるのだという。このアリの毒は強烈で、全米では、年に何人かはそのアリ毒が元でショック死する人が出るのだとか。
ここの所、日本でも俄かに各地の港やコンテナヤードで南米原産のヒアリという毒アリが見つかったと大騒ぎになっているのは、アメリカ人が聞いたら逆に「えっ、日本には今まで毒アリがいなかったの？」とびっくりすること請け合いというほどアメリカの多くの地域では毒アリは「当たり前のこと」だ。昨日は、今まで7件全て港近くで発見されていたこのヒアリ（多分、ファイアーアントと同じ種類と思う）が、新潟県長岡市という随分と内陸部で見つかった！というニュースで騒ぎになっていたことからすると、もはや、日本もヒアリの生息域に入ってきたのだろうか。
考えてみれば、日本でもすぐ近くの台湾では随分以前から「毒アリ注意」の看板をよく見るという話を聞いたことがあったし、これだけ国際化してアライグマだのハクビシン、カミツキガメ等という外来種が既に定着（？）していることを考えれば、ヒアリの場合、むしろ遅すぎた―――ともいえるような気がする。
「あんまりいそいで こっつんこ アリさんとアリさんがこっつんこ―――」という童謡（おつかいアリさん）にもあるように、日本人にとっては子どもの頃から親しみのあるアリだけれど、これからは幼い子にも「アリを見たら逃げなさい！」と教えなければいけない時代になってくる―――ということなのだろうか。
（7/11/17
10:00pm）
2017年7月11日
ゲシュタルト崩壊
ひらがなを覚え始めたばかりの子供の中に「む」とか「ね」「ぬ」の丸まった部分がかけないでまっすぐになってしまうとか、丸く書き始めたのはよいが、止め処がわからないのか、ぐるぐると丸を書き続け、その部分が真っ黒になってしまう〜などという子供がいる。ほんの一ヶ月かそこいらの期間でありすぐにちゃんとした「む」や「ね」がかけるようになるまさに一過性の問題なのだが―――。
タカさんもそういう子供の一人だったらしく、亡くなった母に大きくなってからもいつまでも「あなたは、「む」や「ね」だけではなく、「あ」や「ら」「ろ」といった丸みのあるひらがなが中々書けなくて、この子は大丈夫だろうか？と随分心配した―――といわれたものだった。
タカさんは、自分でも「自信をもっていえるほどの悪筆」で、それを少しでも直そうと、50歳を過ぎてから書道の先生のところへ通い始めた。（参照：「手六十｝9/5/03）
あの時、楷書、行書と同時に草書を随分習い、特に憧れをもっていた草書では、自作の俳句などを書いて一人悦に入っていたりしたものだが（とても、人様に見せるほどのものではなかったが）、あの時も、特に「あ」「お」「ゆ」といった丸い文字が草書では、非常に難しい文字だ、ということを感じたものだった。
ある時、先生になにげなくそんなことを話したら、「まじめにこの字の構成はどうなっているか？を一文字、一文字にこだわるのではなく、草書は流れを大切にすればきれいな文字になりますよ」と教わった。先生曰く「楷書は立つが如く、行書は歩くが如く、草書は走るが如く、というのが書道のコツですよ」との話であり、なるほどと感心したものだった。（その教室に10年程通い続けたが、東日本大震災を機に先生が引っ越したりしたこともあってそれ以来は、手習いはやっていないが）
先日、ある雑誌を読んでいたら、ひらがなに限らず漢字の場合、その字の構成にこだわり過ぎて、その字を、書いたり読んだりできなくなる「ゲシュタルト崩壊」という心理学上の疾患があるという記事が出ており、例として「借」「若」などの漢字をじっと見つめていると、突然その字がバラバラに見えてきて読んだり書いたりできなくなるということがあると書いてあった（多くは一時的なものでありすぐに元に戻るらしい）。
確かに、タカさんも、偶にではあるが、突然、ある文字がふっとバラバラに見えてしまい「あれ、これなんという字だっけ」と思うことがある。歳の所為で漢字の覚えが悪くなっているのだろうか！とちょっとドッキリするけれど、あれは誰にでも起こり易い（一説では頭の良い人に起こり易いとも――）「ゲシュタルト崩壊」なのだ！と思えば少しは気が楽になる―――。
ということは、タカさんは小さい頃からひらがなでゲシュタルト崩壊を起こし易いタイプだったということなのかも知れないし、そうであれば亡き母も、タカさんにいらぬ心配をしていた―――ということになるのだが―――？
（7/10/17
10:00pm）
2017年7月10日
強欲すぎないか？
子供に音楽教育をする際に演奏する楽曲の著作権料を払え！と、日本音楽著作権協会（JASRAC）が要求、この方針に対してヤマハ音楽教室などの音楽教育団体が全国から60万人にも及ぶ書名を集めて反対しているという。
音楽教室側の主張は、「教育目的での利用であり、カラオケなどと同じ扱いはおかしい」というものだが、JASRAC側の主張は、音楽教室といえども音楽を使った「営業活動」であり各教室は生徒たちから集めた年間受講料の2.5％を払うべきだ！というものだ。
葬儀の際に、故人が好きだった曲を流した場合も、これは葬祭場という「営利行為」に曲が使われたのだから著作権料を払え！というJASRACの主張が裁判所で認められた、という話も先日聞いたばかりだが、うかうかと遺言で「好きだった、あの歌を流してみんなで送って欲しい」などといったリクエストをして、遺族に迷惑をかける訳にはいかない！と、その手の遺言が急激に減った、等という冗談のような話を聞いたけれど、ここのところJASRACとやらの、かなり強引ともいえる著作権料徴収が目立つ。
音楽教室の例も、「著作権者の権利を守る」という名目で金を徴収するのが仕事であるJASRACとしては、当然の主張をしているに過ぎないというのだろうが、タカさんに言わせれば、子供達にピアノなりなんなりの楽器を教えるという目的をもつ「音楽教育の現場」にまで「金を払え！」と押しかけるのは、なんだか「ここで店を開くならミカジメ料をよこせ！」とせまるヤクザとかわらない阿漕な行為に思えて仕方がない。
音楽の原点は、人々が心の平安なり楽しみを求めるためのものとして発展してきたものであり、好きな曲、思い出の曲を思わず口ずさんだりするのは、人としての自然な振舞だと思うが、その場にすらも、これからは、きっとJASRACがきて、「この曲を使った行為は、営業だから金払え！」といってくるのだろうか。
確かに、営業用として楽曲を使い大々的に利益を上げておきながら著作権料をとぼけてしまうような悪質な例もあるのだろうが―――音楽教室やら、葬儀の場でのバックグラウンドミュージックにまで魔手を伸ばしているというのでは―――。「JASRACは守銭奴だ！」と言われても仕方があるまい。
では、なぜそこまでJASRACが居丈高な権利主張ができるのかといえば、著作権料という権利が、法律上、「悪乗り」を許し易い権利である、ということに尽きるような気がしないではないし、さらには、この権利の周辺には、有力な天下り先として重宝しているという文科省のお役人たちなど、この権利周辺でメシを喰っている連中が山ほどいる所為ではないか―――とも思うがどうだろうか―――。
（7/09/17 10:00pm）
2017年7月7日
ブラックボックス化
アインシュタインをはるかにしのぐ天才、とも言われたインドの数学者ラマヌジャンは、「寝ている間にインドのナマーギリ女神が教えてくれた」といって毎夜思い浮かんだ数学の「定理」をノートにかきつけていたという。
彼が33歳で夭逝するまでに発見しノートに書きとめた数学定理の数々は、いずれも正しいことは彼の死後、80年近くをかけて漸く他の数学者たちによって証明されその偉業は数学史に燦然と輝いているが。ラマヌジャン自身は、生前、それほど高い評価を得ていた訳ではない。彼がノートに書きつけたこれらの定理のいずれもが、公表当時は、数学界が「正しい―――と思えるが―――証明がなされていない以上、正しいとは断定できない」と頭を抱える代物だったからだ。
というのも、ラマヌジャンは数学を独学で取得していたために、数学においてもっとも重要かつ不可欠な「証明」という概念をもっておらず、ポンと結論である「定理」のみが提示していたからだ。
数学においてのみならず、往々にして「正しいのか、正しくないのか」はその論理が反論の余地がなく「証明」されていることを求められる。証明がなされずして「正しい！」といわれても、それは万人を納得されうるものではないからだ。
数学に限らない、諸事、「なぜ正しいか」「なぜ間違っているか」は、やはりしっかりとした論理によって証明される必要がある。（勿論、人知が及ばずに「証明」は不能だが、事実がそうなっている以上は、それを事実として認めざるを得ない、というケースもこれまた山ほどあるが）
人間が与えたデータをもとに人工知能が学習するといった形のつい最近までのAIの場合、確かに機械的解析スピードが人間以上に高速であることから、チェスや囲碁、将棋の世界では、人間と対戦して互角もしくはそれ以上の成績を挙げてきたが、それでもまだなお、AIがデータとして取りこんでいるのが、人間が与えたデータ（過去の数十万という棋譜や、定石といわれる手）である以上、「やっぱり、AIが人間を超えたとは言えない」という人間側の自負もあった。
しかし、昨今の囲碁や将棋に於けるAIの場合、AI同士で24時間、休みなく何万局、何十万局という対戦を行い、その棋譜を全て記憶し学習していく中から、今まで人間同士ではとても思いつかなかったような新手をどんどん打ってくるというディープラーニング（深層学習）を行っているから、もはや人間ではとても相手にならないほどのレベルに達しているという。
但し、この万能AIによる囲碁だとか、将棋の場合、「何故、こんな手を思いついたのか？」「この手が、どんな意味のある手なのか？」が、人間にはまったくわからず、対局が進む内に結局、人間側が負けている―――といった結果になるために、従来型の将棋あるいは囲碁ファンにとって、参考にもならないし見ていて面白くないから、却ってファン離れが起きてしまう可能性があるのだとか―――。
ディープラーニングによるAI社会の到来は、天才ラマヌジャンの定理と同じで、結論に至る過程がまったく見えないといういわゆる「ブラックボックス化」であり、これが、証明だの理論だのがないと納得できないという我々人類にとって、果たして究極的にはうけいれられるだろうか？と思うのだが―――。
（7/06/17
10:00pm）
2017年7月6日
汚い言葉
都議選での自民党惨敗の原因については昨日も書いた通り自民党側の気の緩みだのうち続いた様々な不祥事が挙げられているけれど、中でも最大、最悪の原因といえば、やっぱりあの豊田真由子議員の秘書に対する 「この、ハゲ～っ！」の罵声が繰り返しテレビやネットで流されたことではないだろうか。
程度の低い議員といえば与野党ともに山ほどいるけれど、あの「ハゲっ！」の程度の低さは他に比べようもないほどのものだった。
例えばトランプ氏がCNNを罵倒する時に英語のＦワード（4文字）をおもわず叫んだ際には音声に「ピーッ」という自主規制音が入り何と言っているかは放送されない――等と言った加工が施されたりするし、日本でもいわゆる放送禁止用語というのがあり‘汚い言葉’は放送されないものだと思っていたが、豊田議員の場合、全国に向けて繰り返し「この、ハゲ～っ！」が放送されてしまったのはどういう訳だろうとチェックしてみたら、男性を侮蔑するニュアンスのある三大（？）用語である「チビ、デブ、ハゲ」の内、放送禁止用語はチビだけであり、逆にいうとハゲとデブは放送禁止用語には指定されていないというから、要するに「この、ハゲ～っ！」は、テレビ局としても大手を振って堂々と流したい放題（？）だったようだ。
欧米人に比べたら日本人のハゲ率はそれほど高くはないとはいうものの、総じていえば男性5人に1人程度のハゲはいるし、「俺は、それほどハゲてはいない」と思っていても回りからは「ハゲている」と思われていて、そんな陰の声を気にしているいわゆる「隠れハゲ」も相当いるだろうから、あの罵声によって豊田議員のみならず自民党は相当の男性を敵に回してしまったと思われる。
もちろん、男性議員が「この、ハゲ～っ！」を叫んでいたとしても相当な騒ぎになったとは思うが、豊田議員が女性でありしかも二児の母親だった、という点も致命傷だったと思う。「こんな汚い言葉を叫ぶ母親が、子どもの教育にとって良い訳がない！」といういわゆるPTA的な意見を持つ母親陣、女性陣が、一斉にそんな議員を放置していた自民党はどれほどデタラメな党なのか！といきり立ってしまったことも、都議選の自民党惨敗に繋がったようだ。
豊田議員、あの週刊誌が出ると知った発売日前日には、「情緒不安定」を理由に病院に入院して雲隠れしてしまったことも、事態の悪化を招いてしまったと思う。
ほとぼりが冷めてきたころに、そっと退院して国会議員を続けようという魂胆だとはおもうけれど、退院したらすぐ記者連中が駆けつけるだろうしそこでなんと言おうと再び人々の怒りに火をつけるだけだとおもうし、弁護士やら精神科医を従えて記者会見で釈明しようとしても「この、ハゲ～っ！」ばかりは、どうにも釈明しようがない―――と思うのだが――――。
（7/05/17 10:00pm）
2017年7月5日
首相への近道
「都民ファーストの会圧勝、自民党惨敗」という見出しが躍った都議選によって、一部では都民ファーストの国政進出だとか、将来の首相候補としての小池知事の台頭、などという気の早い憶測記事までささやかれているようだが、当の小池知事が開票日翌日には、都民ファーストの会の代表辞任を発表し、知事に専念すると宣言したことや、小池氏に変わる新代表があちこちの政党を渡り歩いてきてちょっと前までは自民党だったという（小池さん同様に）立ち回りの上手い知名度の低い方であることなどから考えると、将来的に無いとは言えないまでも都民ファーストの（国民ファーストといった）国政政党としての大躍進とまではまだまだ時期尚早という感じがする。
というのも、今回の都知事選に４人の候補者を立てていた日本維新の会の当選者がわずか１であったことに現れているように、元々地域政党として時の勢いで発足した政党が、長続きしたためしがないからだ。
橋下徹元大阪府知事の周りに集まった有象無象が作った国政政党「日本維新の会」が、度重なる出身議員達による不祥事で、大阪では地域政党として生き残ってはいるものの、国政の場では海千山千のはぐれ議員たちにいいようにかき回されてもはや幹部の一部のみが自民党の補完政党として辛うじて命脈を保っているに過ぎないし、滋賀県知事だった何とかさんという女性が小沢一郎に利用された何とか党も、名古屋の「減税何とか党」も、今もあるのだかないのだかわからない状況になっている。
たしかに、東京という世界有数の巨大経済圏での「選挙圧勝」という事実は大きいけれど、そもそも当選公認候補49人中、民進党のみならず自民党からの鞍替えが過半数というところに、議員になりたい一心で「風」を頼りに政党をころころ変えるような、議員も相当数いるような気配が漂い、維新の会などの例を見る限りこういった類の「質の悪い議員さん」たちが、小池さんの足をひっぱりはじめる可能性も高い。
今週、木曜日発売の文春や新潮にはきっと新都議さんたちのスキャンダルが踊るだろうし、今回の自民党惨敗が、豊田さんや稲田さん、下村さんやら荻生田さんといった議員さんたちのスキャンダルも大きな原因であったことを考えれば、自派の議員に足を引っ張られるであろう小池さんの前途も結構険しいかも―――
話は変わるが、今回の都議選惨敗の国政への影響を最小限に抑えるべく、安倍首相は早期に内閣改造を断行するのではないか―――とも言われている。
ミソを付けた稲田防衛大臣、金田法務大臣、あるいは松野文部大臣や石原経済担当といったところが閣外に去るだろうとか、誰某は留任、といった人事情報が喧しいが、その中では、内閣の目玉人事として若手の人気者である小泉進次郎氏、そして民間人として先ごろ大阪維新の会代表を退いたばかりの橋下徹氏の起用、などという噂が出ていた。もし、これが事実だとしたら―――新党を立ち上げて、結局それに見切りをつけた橋本さん、遂に自民党の救世主として再登場！ということになるが―――。
ということは、小池さんも都民ファーストを母体にした国政政党から首相に打って出る！などというまだるっこしい道ではなく、そのうち先細りしていくかもしれない自民党に何時か復党して、そこから総理への道を歩んだ方が案外近道かもしれない―――！？
（7/04/17 10:00pm）
2017年7月4日
ナイルの賜物
ヘロドトスが「エジプトはナイルの賜物」と言ったように、エジプトが五千年も前から豊かな地であり続けたのはナイル川のお陰といってよい。
6700キロに及ぶ長河ナイルは、毎年定期的に起きる洪水によって水分の蒸発によって浮き上がってきた土壌の塩分を流しさり、上流から肥沃な土壌を広大なナイルデルタにもたらしてきたことによって、エジプトに豊かな農業生産をもたらしてきた。まさにこの賜物によってエジプトは古代から文明が栄えてきたのだ。
そんな、エジプトの宝物であるナイルにアスワン・ハイ・ダムが建設され巨大な湖ナセル湖が水をたたえるようになったのは1960年代だった。ナセル湖が完成することによって貴重な古代遺跡が水没の危機に瀕し、アブシンベル神殿などいくつかの遺跡の保存運動が国際規模で行われたのはタカさんの子供時代だった。
アスワン・ハイ・ダムの完成は、当時は世界一の土木工事といわれ人類の偉業とたたえられた、確かに毎年起きていた洪水がなくなったこととか、ナセル湖の水を灌漑したことによって農業生産が増え、又、このダムによって得られる電力によって民生、工業両面でのエジプトのエネルギー問題が緩和されるなどのメリットは多かったが、ダム完成から半世紀、このハイ・ダム建設による悪影響の方が上回りつつあるという。
一つには、あの「ナイルの賜物」であった上流からの肥沃な土砂の供給が途絶えてしまった（すべての肥沃な土砂はナセル湖の湖底に沈んでしまう）ことで、ナイル下流の土地が枯れ今や、毎年、大量の化学肥料をまかなければならなくなったことで農業コストが急激に上がっていることだ。
さらには、水分蒸発の激しい「暑い国」であるエジプトでは、毎年、地下から上昇してくる塩分が地表近くに蓄積されるのだが、これがナイルの洪水によって洗い流されることがなくなった結果、いわゆる塩害によって洪作不能になってしまった土地が増える一方だという。又、巨大なナセル湖（琵琶湖の約8倍）が砂漠のど真ん中に出現したことによって湖面から蒸発する水分によって周辺地区に集中豪雨が起きるなど自然災害が増えた事、あるいはナイルデルタの運河での水草の大量繁殖により船舶の航行が不能になったこと、ナイル川に於けるナイル住血吸虫の大繁殖といった「困ったこと」が次々と起きているのだとか。
ソ連時代、アラル海に流れ込むシムダリア、アムダリアの二大河川から水を引き、代綿花地帯を作ろうという巨大構想が実現したことでこの二大河川が流れ込んでいたかつては世界第四位の湖だったアラル海がほぼ消滅、周辺の農業地帯も塩害によって「塩の砂漠」になっているという例もあるように、「人類が行った巨大なる自然改造」の末路は、余りよくないようだ。
2009年に鳴り物入りで完成を祝った中国の三峡ダムも、完成からまだ10年というが琵琶湖の1.5倍という貯水量に耐えられず各所で山崩れや護岸の決壊といった問題、さらにはダムに流れ込む大量の土砂によって最悪の場合は、下流の上海での都市機能マヒの怖れまでささやかれ始めていると今週のニューズウィークが伝えている。
巨大堤防も大津波の前ではあっけなく崩れ去ったという例もあるから、つくづく自然の力に対する人類の挑戦の儚さ、といったものを感じさせられる。
（7/03/17 10:00pm）
2017年7月3日
国産チーズ
政府はEU[(欧州連合)との間で、EPA（経済連携協定）を締結すべく交渉を続けており岸田外相は、週明けにもベルギーを訪問して、大枠合意に向けての詰めの協議を行う予定だ。
アメリカの離脱と言う、降ってわいたような大嵐に見舞われているTPP（環太平洋パートナーシップ協定）という貿易自由化への波に対する逆風が吹き荒れはじめているが、貿易自由化、国際化にこそ大きく依存せざるを得ない日本経済にとっては、日本とEUという二大経済圏での経済連携を目指すことが、危うくなりつつある自由貿易への一つの砦であり、この日欧EPAが、重要であることは論を待つまでもない。
すべての交渉事は、互いが「譲り合う」精神をもって当ることが重要だ。その点、日欧間の資本取引（お互いの投資額）は、大きいものの日本の貿易総額に占める対EUの貿易量は10％程度とそれほど大きい訳ではないことを考えれば、日欧間全体での経済連携をより拡大発展させていく為には、貿易面ではある程度の譲歩をしてでも、日欧EPA交渉妥協を図っていくことが必要だ。
今までの日欧EPA交渉の経緯をみてみると、現時点迄に両者の懸案として残っているのは、欧州に於ける日本車関税問題と、EUが日本に求めているチーズなどの乳製品の日本における関税自由化である。
一般の日本人が「欧州と日本の間の貿易」と言われてすぐ思い当たるのが日本車とワイン、チーズなどの欧州産の農産物であるが、案の定、欧州側では域内で生産される車（欧州車）の関税（現在は10%）を、アメ車並にゼロにして欲しいと要求しており、同時に日本には現在35%にも上る、欧州産チーズの関税をゼロにして欲しいと要求している。
日欧いずれの側も、自分達の要求だけを通そうとする一方で。相手方の要求を拒絶する、というのでは交渉は上手く行く訳がない。
自動車については、EUは韓国との間で二国間FTAを結んでおり、その為に韓国車はEUでは関税がゼロであるため、10%もの関税が課せられている日本車のEU内での売れ行き不振になっているというから日本の自動車業界にとってはこの関税自由化は是非とも実現したい項目だ。
一方欧州にとっては、世界の中でもチーズ需要量の高い日本に、欧州内で大量に生産されていて米国産などとの国際競争に晒されているチーズを大いに売り込みたいのだが、日本がかけている関税（現在、概ね35%程度）がネックとなっており、これをゼロもしくは大幅に下げて欲しいところだ。
今現在、この綱引きは日欧首脳がいう通り｛非常に難しい問題｝になっている、とのことだが、それはとりもなおさず欧州側は、欧州車メーカー、日本側では乳製品を生産している畜産業界という関税によって「保護されている業界」の圧力がいかに自由貿易に対して抵抗しているか、ということの表れだ。
そもそも、日本における畜産業が使用する配合飼料の約9割は輸入だ。輸入した飼料で育った乳牛か作るチーズを「国産チーズ」として手厚く保護する目的で35%もの関税をかける―――日本が欧州にやっていることは、余りフェアーとは言えないような気もするが―――。
（7/02/17
10:00pm）
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