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2024年7月
＜＜2024年：7月分 タイトル＞＞ 7月
07/31 社会のフレイル化 07/30 無人運転 07/29 自然と宗教 07/26 夏の夜 07/25 思想統制 07/23 二位でもいい場合
07/22 高いところ 07/19 温暖化寒冷化 07/18 子育て支援 07/17 伏せろ！ 07/16 ビアガーデン 07/12 海の日とお盆
07/10 ラニーニャ 07/08 聖地巡礼 07/05 クリーンやエコ 07/04 地政学 07/03 ナンバーツー 07/01 オーバーツーリズム
2024年7月31日
社会のフレイル化
人間の臓器は怠け者だそうだ。直ぐにサボろうとするし、サボってばかりいるとどんどん退化していくという。
確かに負担をかけ過ぎるとダメになるし、かといって使わなければどんどんと退化していくというのは、なにも人間の臓器に限らない、万物がそうであることは、我々も良く目にする。
文部省が先に行った全国学力調査の結果、SNS使用時間が多い子供ほど、国語の正答率が低い傾向にあることが分かったという。さしずめこれも使わない能力はどんどん衰えていくという法則の一例だろう。
昔は数十はそらで言えた電話番号さえ、最近はスマホを開けば自動的に電話がつながるから、極端な話、自分の携帯番号さえいえない人は多いというのも、「脳という臓器はすぐなまける」の一例かもしれない。
SNSでは、向こうからどんどん情報が押しかけてくるから、今や何でも自分で考える必要がなくなってしまっているが、小中学生の脳も、そういう環境に慣れてしまいサボリ癖がついてしまった結果、読解力や理解力などの機能がおちている――――ということなのではないだろうか。
タカさんの子供時代だって自分で解かないで、アンチョコで答えを書き写した問題は絶対に自分の知識にはならなかった。
本を読まない、新聞を読まない、情報は全てスマホ経由で得られるということになれば、確かにかつては疑ってかかったようなニセ情報でさえ、何も考えずに信じてしまう―――なんていうことが起きやすいのもやはりこの「使わなければ衰えてしまう」という自然則からいったら当然のことなのかもしれない。
コロナの最盛期には、外出を控えて家に閉じこもっていた高齢者の多くがかかるといわれたフレイルという身体機能や認知能力の低下も、根本の原因はこの「使わないから衰える」の法則によるものだと言われたが―――最近は社会全体のフレイル化が進んできているのだろうか。
(7/30/24 10:00pm)
2024年7月30日
無人運転
中国の武漢市では全自動無人運転のタクシー利用が増え職業運転手の貧困化が進んでいるという。
全自動タクシーの料金は従来型のタクシー料金の半額に設定されているというから、利用者も、最初は、おっかなびっくりで乗ったとしてもそこで安心感をえることができれば、次にタクシーを呼ぶ時には料金が倍になる従来型タクシーを使わなくなるのは当然かもしれない。
この全自動タクシーNHK記者が実際に利用したレポートによれば、まず専用のアプリを使って行き先を入力すれば、ほどなくして無人のタクシーが到着し、車体後部の窓に付いているディスプレーにアプリに表示された数字を入力すると鍵が解除され車内のパネルのボタンを押すと自動で走り始めるといういたって簡単なシステムだという。車は、公道を滑らかに走りNHK記者の感想では人間の運転とほぼ変わらないという。
日本だと運転手不足対策としてライドシェアー（昔で言う白タク）を認めようという話になってもタクシー会社の団体や運転手の組合の反対や、それらの団体とつながりのある議員さん、あるいは天下り狙いの官庁といったところが反対するから、直ぐには武漢のようにはならないだろうが、何せ中国なら共産党がウンといえば、誰も抵抗できないのだから電気自動車メーカー第一位のBydiu(百度)が共産党と手を握ったのだろう。
それにしても、今迄、タクシー運転手をして一家を養っていた武漢の運転手たちは、貧乏に喘ぐか、職を離れるしかないというのだから大変だ。
女性の花形職業といわれた和文タイピストがいなくなってか早くも20年以上が経つだろうか、最近でも電子化の発達によって銀行の窓口係なんていう職業も消える寸前だ。
タクシー運転手に限らず今全国的に不足しているといわれる運転手という職業そのものが遅かれ早かれ武漢のようになくなっていく運命にあるのだろう。
(7/29/24 10:00pm)
2024年7月29日
自然と宗教
世界三大宗教の内の二つキリスト教とイスラム教は、いずれも中近東発祥だ。
中近東の砂漠の国には度々でかけたし、エジプトには駐在したこともあるが、ギラギラと照りつける太陽、見渡す限り続く砂漠には生きている物の気配が全く感じられない。そこにあるのは太陽と自分だけだという気分になる。これこそが砂漠の国は一神教になる理由だと実感した。
日本や北欧の国々では、人々は、うっそうとした森や林に囲まれて暮らし、その木々の一本一本がそれぞれ風にそよぎ、あたかも魂を持っているようにさえ感じられるし、森の中では鳥や虫や小動物といったこれまた生き物の鳴き声が聞こえる。こんなところに、もし神がいるとしても、すべてを一人で支配なんてできないだろうと思うのは当然だし、そうなると、神もたくさんいるに違いないと思えてくる。こんな環境では、自然と多神教になるのだ。
日本の伝統的宗教である神道は、八百万の神がいるうえに、さらには菅原道真や平将門、東郷元帥や乃木希典まで続々と新しい神がつくられるのだ。神と人間の位置が極めて近い。一神教ではそうはいかない。
ノルウェーのような森の国にもトロールといわれる数多くの神というか妖精がいるのも、日本同様に森や生き物に溢れているからだろうし、古代には木々がうっそうと茂っていたというギリシャの神話にも多くの神々が出てくるののもやはり自然条件が一神教の国とは全く違うからだろう。
(7/28/24 10:00pm)
2024年7月26日
夏の夜
夏至から一ヶ月が近くが経ち、日没も幾らか早くなってはいるのだが、それでも夏の日は長い。
北緯が35度の東京では夏の昼時間は14時間30分位だが、これが北緯51度と大分北寄りになるロンドンでは東京より2時間以上長い16時間30分位にはなる―――すなわちいわゆる「夜間」と言える時間は24時間中、7時間位しかないということになる。
それでも未だ夜があるだけマシといえるのは北緯66度30分以北の地域（いわゆる北極圏）に行けば夏の間は夜のないいわゆる白夜になってしまうのだ。
一度夏至近くにノルウェーを旅行したことがあるが、夜11時過ぎになっても街では子供達が遊んでいたのには驚いたものだ。
白夜になる地域は、逆に冬になると日が一日射さない極夜というのが続くのだからこれはこれで大変だ。
ノルウェー旅行からの帰りの飛行機で隣の席に座ったノルウェー人に「極夜の季節には間は何をして過ごすのか」と聞いたら「やることがないから一日中寝てる」と冗談で答えたので、「クマではあるまいし人間は冬眠できないのだろうに」といったが―――いや、本当に北極圏の人たちは、冬はどうしているのだろうか―――。
それにしても、暑い日が続く夏だけに少しでも気温が下がる夜が来るとホッとするし、やっぱり夏の夜といえば、ビールがおいしいのが嬉しい。暑さに弱いタカさんだが、夏の夜はそんなに嫌いではない。
(7/25/24 10:00pm)
2024年7月25日
思想統制
ロシアのプーチンが反体制運動の指導者や彼を批判する勢力に対して「国家反逆」や「外国のスパイ」のレッテルを貼って逮捕監禁したり、習金平が気に入らないマスコミや外国人まで見境なく国家安全維持名目で捕まえるのも、権力がよくやりたがる思想統制の一種だ。
今から2500年前に秦の始皇帝が行った焚書坑儒は、彼の統治に逆らうことを書いた書物を焼き、儒学者を生き埋めにしたことに由来する焚書坑儒も、古代の思想統制であるから、権力者というものは今も昔も、思想統制の誘惑に取り付かれれるもののようだ。
戦前の日本も「治安維持法」の名の下に厳しい思想統制がおこなわれていて治安維持法の下で逮捕され拷問死した者も多数いた。日本社会に今も残る同調圧力なんていうものも思想統制といえなくもない。
国家に限らず宗教にも、思想統制はつきものだ。多くの宗教では、他の宗教を邪教としてその信徒を迫害しても、宗教が国家権力と同一となって、我こそが正義だと信じている―――なんていう例も現代でもあるしそれこそ始末に悪い。
人間というものは太古の時代から異質の考えを持つ者を排除しようとする本性をもっているようだ。
(7/25/24 10:00pm)
2024年7月23日
二位でもいい場合
「二位じゃダメなんですか」と国会質問で言ったがために、いつまでもその発言で揚げ足をとられ続けている蓮舫さんだが、もう15年も前の発言でいつまでもからかわれるのも気の毒な気がしないではない。
高校野球トーナメントでは最後まで勝ち残るのは一校だけでその他の参加校は全て一度は負けて、すなわち、「2位以下」になってしまうのだから「二位ではダメ」なんていったら全国の高校球児たちに申し訳がない。
あの時の蓮舫さんは、科学分野（確かスパコンの能力競争かなにか）で金がかかり過ぎる、ということに対し「仕分けの女王」を自負する蓮舫さんが科学界に見境なく切り込んだがために猛反発を喰らったのであって「汗と涙の甲子園」と混同してしまったのが大失敗だったのだろう。（今回の都知事選では蓮舫さん、二位にもなれなかったことでまたぞろ15年前の発言をネタにからかわれるのだから―――政治家というのは余程タフでなければやっていられない商売だ）
ドジャースの大谷翔平選手が次々とメジャーでの新記録を樹立しているが、「大谷が新記録！」というからには、大谷選手にぬりかえられてしまった今までの記録は松井秀喜選手にせよ、ベーブ・ルースにせよ、全て2位以下の記録になってしまった訳で間もなく記録欄からは消し去られてしまうのかもしれない――――と思うとなんだか気の毒な気がしないではない。
(7/22/24 10:00pm)
2024年7月22日
高いところ
未だヨチヨチ歩きの幼児がベランダの柵を乗り越えて団地の庭に転落したという記事を見かけたが、人間は幼い内からどうも高い所へ上りたがる習性をもっているようだ。
登山家ジョージ・マロリーが「なぜ山に登るのか？」と問われて「そこに山があるから」と答えたのも、幼児のベランダ登攀と同じ「高い所に上りたい」という彼なりの本能を表した言葉だったのかもしれない。
若い頃、夢中になって山登りをしていたが、何度かペアを組んで山登りをした友人が、突然、岩場で高所恐怖症を発症してしまい体が硬直して登るも下るも出来なくなってしまった時は本当に焦った。山の日没は早く刻々と夕闇が迫るのにどうしようもなく、彼の回復を待つ時間の長かった事－--ここで二人は遭難するのか―――とさえ思ったものだったが―――。
その後も懲りずに彼とは何度か山に行ったが、彼もまたあの幼児やマロリーと同じ「高い所に登りたい！」という強い本能の方が高所恐怖よりも強いというタイプだったのだろう。
アフリカで生まれたホモサピエンスは今から5万年前にその一部がアフリカを出て世界各地に拡散していったと言われる。（出アフリカ）
一部は大海原を渡ってミクロネシアへ、又一部は、当時氷で地続きとなっていたベーリング海を越えて北米、そして南米大陸の最南端迄というのだから余程冒険心に溢れた新奇探索性の強い人たちなのか、あるいは無鉄砲な人たちだったとしか思えない。
今もアフリカでは人口がふえつづけているのだから、当時も温暖で住みやすいアフリカの地を出て未知の地域に行く必要はなかったはずなのに。
そういう意味では、アフリカの地から遠く離れた日本列島に移ってきた我々のご先祖様は、えりすぐりの新奇探索性の強い人たちということになるのだが―――。ただ、その子孫である現代日本人が冒険心旺盛かというと―――必ずしもそういえないような気がしないではないが――――。
(7/21/24 10:00pm)
2024年7月19日
温暖化寒冷化
青森の三内丸山遺跡は、今から6000年前から4800年前ごろまで1000年以上の期間栄えた大規模縄文遺跡だが、これほど大きな集落が長期に亘って維持できたのは何よりも食糧が豊富だったからだ。
当時の地球は現在よりも温暖であったため、海岸線は今よりもかなり陸側に迫っていた。今は海岸から遠い三内丸山も、その当時は海岸が近くに迫ってたから貝などの海産物も多く手に入ったし、今は茨城以南にしか育たない栗や胡桃なども収穫できていたから、縄文人はこれを計画的に栽培して収穫していたという。
埼玉の志木や狭山などの海から遥かに遠い地にも縄文遺跡や、貝塚があるのも、この時代には海が内陸まで入り込んでいる「縄文海進」といわれる温暖な時期だったことの証左だ。温暖化は当時の人類にとっては良かったのだ。
逆に寒冷化した時代には人類は結構苦しんでいて、例えば今から1000年程まえの平安時代には寒冷化が進み、農作物の収穫量が落ちて人々は度々飢饉に襲われていたし（寝殿造りという間仕切りのない大広間の中で暮らしていた紫式部なども寒さには苦労したことだろう）、ヨーロッパでも食料を求めて北方民族が温暖な南欧に大移動してきてローマ帝国などは滅びてしまったし―――寒冷化は人類にとって厄災であったのだ。そうそう、マンモスの絶滅にしても、寒冷化による食糧不足が原因だとする説が有力だ。
暑い日が続く昨今、高齢者にとってはクーラーや扇風機は欠かせないが、寒冷化が進めばやはり暖房が欠かせない。暖房は冷房の約倍のエネルギーコストがかかることを考えればここでも寒冷化は人類にとっては厄災だといえる。
エコが叫ばれる昨今だが、衣食住、いずれをとっても金がかからない――すなわちエコなのは寒冷化より温暖化なのだと考えると、金をかけて温暖化防止を叫ぶことが何だかインチキ臭く思えてくる。
(7/18/24 10:00pm)
2024年7月18日
子育て支援
韓国の合計特殊出生率が0.85になったという。女性が一生の内に生む子供の数が人口維持のためには必要と言われる2.07を割り込むどころか1よりも低くなってしまったというのだから韓国はこのまま人口が減り続けば、計算上では、後500年もすると0になる―――というから大変だ。
世界にはアフリカ諸国のように合計特殊出生率が4.5を上回る国も多く、むしろ韓国や日本、台湾のように人口減が問題になる国の方が少ないという事情はあるから、まだまだ世界人口は増え続けるだろうが、それもあと50年程でピークとなるとも聞く。ということは、後100年もするとアフリカ諸国も少子化対策で頭をなやませているかもしれない。
古代ローマ帝国が滅びた直接原因は帝国で採用していたゲルマン人傭兵による反乱だが、そもそもゲルマン人を雇い入れた理由は、ローマ市民が生活を楽しむために子供をもたなくなったからであることを考えると、---韓国も日本も移民の受け入れには飛びつけない面もある。
この「日々早々」でも何度も触れたが、少子化で大変だ！という話になると直ぐに持ち出される「子育て支援政策」だが、勿論これによって女性の社会進出、夫婦共育て、等が進んだという面はあるものの合計特殊出生率が伸びた！という結果には全く結びついていない。
もっとも、成果の出ない施策だからそろそろやめよう！という訳にもいかないところがこの子育て支援政策の難しいところだが―――。
そういえば、社会保障制度も充実し、出生率も高い北欧各国等と違い、少子化対策だの子育て支援策等ほとんどないアメリカでは（不法移民を除いても）人口は増え続けているのはなぜだろう。なんとも不思議でならないのだが。
(7/17/24 10:00pm)
2024年7月17日
伏せろ！
銃社会アメリカでは銃による死者数は年間4万人を超えているが、その内の自殺や事故による死者数を除く、銃犯罪による死者数だけでも年間2万数千人だから日本の年間一人から数人に比べたら天文学的数字だ。
そんな銃社会だけに銃犯罪に、いつ会うかわからないという前提でいることはアメリカで暮らす上では当然の心得といえる。銃犯罪の危険のある地区には近づかないとか、万一に備えて防御用に銃を持つことなど様々な備えが言われ、それが日本でいうなら「信号を守ろう」「横断歩道を渡ろう」といった交通ルールと同じ位、庶民の一般常識化している。
それだけにそんなアメリカ銃社会の一般常識もなしに、アメリカに出かけ銃犯罪にあってしまう日本人の多いことは、実に嘆かわしい限りだ。
共和党の次期大統領候補トランプ氏が演説会場で銃撃を受け、間一髪暗殺は免れたものの銃弾が右耳をかすめ負傷するという事件があった。犯人は140メートル離れたビルの屋上からトランプ氏を銃撃したというからケネディー大統領がパレード中にビルの窓から銃撃された事件もあったのに、なぜ警察がビルの警備を怠たっていたのか不思議にも思える。
銃犯罪の中でもよくあるのが「銃乱射事件」というやつだ。この銃乱射というのは必ずしも犯罪多発地区で起きるとは限らず、閑静な住宅地域、瀟洒なショッピングモール、高級ホテルのロビー、大学や高校の構内といったところで、普段はおとなしかった犯人が突然乱射を始める、といった事が多く、中々防ぎようがない。
万一そういった銃乱射に運悪く遭遇してしまった場合は、なにしろその場でかがむなり伏せることが重要だと言われた。確かに乱射している犯人にしてみれば蜘蛛の子を散らすように逃げ回る人は標的になり易いが、地面に伏せている人（生きているのか、死んでいるのかわからない）は撃たない可能性が高い。軍隊でも敵の猛攻を受けている際には塹壕などで伏せて銃弾や爆撃を避けることを訓練されるという。むやみやたらと塹壕を出て突撃するのは命を落とすだけだと叩き込まれるのだか。
その軍隊での訓練の際にかかる号令が「Duck！」（あひる！）だそうだ。皆さんもアメリカ旅行中にこの号令をもし聞いたら、とりあえずその場に伏せることをお勧めする。
(7/16/24 10:00pm)
2024年7月16日
ビアガーデン
コロナの様々な外出制限なども一段落したがすっかり元の状態に戻ったとは言えない現象も多いように思う。
会社でのリモート（オンライン会議）やリモートワークはかなり元のリアルに戻りつつあるようだが、大学でのリモート講義は今も多く、コロナ以前の状態には戻りそうもないともいわれているようだ。まあリモートなら従来方式に比べてメリットが多いからと考えれば大学側にとっても学生側にとっても、もう元には戻れない――といったところもあるのだろう。（通常なんでも簡便化されると安くなるのが普通だが、授業料がリモートで安くなったという話は聞かないが―――）
リタイアした身にとっては会議も授業もそのオンライン化は余り関係なかったが、先日銀座に出て感じたのはかつてはこの時期、どこのビルの屋上や広場にもあったビアガーデンがなくなっていることだった。学生同士やサラリーマン同士が連れ添って飲みに行くというかつてはありふれた風習が、コロナの期間で途絶えてしまった―――というようなことも多少影響しているのかもしれない。もっとも、ビールの売り上げ自体がここ数十年の傾向として落ちてきていてサワーやワインといった酒類に好みが変わってきているとか、チェーンの居酒屋が増えてきているといった時代の変化もおおいに関係しているのだろう。
それにしても銀座で感じたビアガーデンの絶滅状態は、タカさんにとっては多少ショックだったし、なんだか「もうあなたの時代は過去のものですよ！」と言われているような気もした。
屋上ビアガーデンといえば、もうかれこれ60年近く前、倉庫で検品のバイトをやっていてその帰りに、バイト仲間数人で銀座のデパート屋上のビアガーデンにいったのだが、その内の一人のI君が、酔っぱらってしまい、そこにあったショー用の空中ブランコに乗ろうとして係員に取り押さえられるなんていう事件もあったが―――空中ブランコショーをやっているビアガーデンなんて今の人に話したって信じてはもらえないと思うが―――卒業してから故郷の北海道に帰ったI君、今も元気でビールを飲んでいるだろうか。
(7/15/24 10:00pm)
2024年7月12日
お盆と海の日
海の日という祝日が制定されたのはかれこれ30年程前に過ぎないから今一つ馴染みが薄い。カレンダーをみていたら来週月曜の7月15日が祝日マークになっていたから、一瞬「あれ？ お盆って祝日だったっけ？」と思った位でタカさんにとっては「海の日」よりもまだ「お盆」の方が刷り込みは強い。（もっとも、我が家のお盆は「旧盆」だからまだ1か月先の話だが）
核家族化が進んで最近はお盆という行事は都会では、すっかりおなじみが薄くなってしまっているようだが、地方ではどうなのだろうか。
いまからかれこれ60年程前の夏3カ月ほど鳥取の山奥の生まれた村のお寺に下宿していたことがあるが、このお盆の時期はお寺の方丈さん（和尚さん）は、村中の檀家廻りで大忙しで、小僧さんも方丈さんのおともについて回るので何の手伝いも出来ないタカさんは何だか申し訳ないような気持ちになったものだった。
釈尊が始めた当初の仏教には来世という考え方はなかったので勿論、浄土だとか地獄といった考えもなかったが、仏教が日本に伝わって以来、日本古来の祖先崇拝の考え方と結びついて、貴族社会などではお盆のような行事が行われるようになったという。
そのお盆が庶民にも広がったのは江戸時代以降のことであるというから、お盆も海の日ほどではないにせよそんなに古くからある行事ということでもないようだ。
そうはいうもののお寺住まいの経験を持つタカさんにとっては、段々にお盆という行事がフェイドアウトして言っているように見える昨今は、いよいよ自分の生きてきた時代が過ぎ去っていくような気がしてなんだか淋しいようにも思う。
ちょっと前までは地元の商店街や飲食店の多くはお盆の期間、数日間休業する所が多かったからお盆前にはどこの家も食料品の買い出しなどで結構大変だった。今都会では盆や正月でもスーパーはひらいているし、そもそも都会では買物に出たりしないで宅配を頼んでいるところが多いからお盆前の買い出し、なんていう思い出話をしても孫の世代には全く通じないことだろう。昭和は遠くなりにけり、である。
(7/11/24 10:00pm)
2024年7月10日
ラニーニャ
今年5月に一年程続いたエルニーニョ現象がおわり、これからはラニーニャ現象が始まりそうだというニュースがあった。ペルー沖の海水温が例年より高くなるのがエルニーニョ、逆に低くなるのがラニーニャという言うのだが、遥か南米沖という日本とは反対側で起きる海水温の高低が、日本の気候に影響を与えるというのだから、太平洋という海はつながっていることを実感させられる。
エルニーニョによって南米沖の海水温が下がると、その反対側の太平洋のフィリッピン沖海域の海水温は上がり、そこから始まる太平洋高気圧の勢力は増すから日本の近海の夏は暑くなる―――というメカニズムらしいが、貿易風や偏西風という地球規模の大気循環同様に、こういった海洋循環によって気候というものが変わっていくのだと言われると、なるほどそういう仕組みなのかと何となく納得させられる。
ここ数日の猛烈な暑さは、報道によっては「猛烈な」を通り越して「危険な」という形容で伝える程で過去に二度も熱中症で倒れて救急車で搬送されたことのあるタカさんとしては「三度目は多分、助からないだろう！」の覚悟でのぞまざるを得ないから、日中に外出は極力控えている。
それだけエルニーニョに身構えている身から見ると若い人たちの元気さはまだしも、タカさんと同年代位の人でも日中、ゴルフなどのスポーツをしたっり、熱心に庭仕事をしている人たちを見ると、「ご同輩、大丈夫か！」と心配にさえなって来る。
冬の時期に生まれた人は寒さには強いが暑さに弱く、その逆に夏に生まれた人は夏の暑さには強く、その分冬の寒さには弱い―――などという俗説があるが、今、日中でも活動的な人は夏生まれ―――等ということなのだろうか―――？
確かに8月生まれの妻は、比較的夏に強いが―――もっとも、めちゃくちゃ暑さに弱いタカさんだが、寒さに弱い。妻に言わせると「単なるわがまま」に過ぎないそうだが。
(7/10/24 10:00pm)
2024年7月8日
聖地探訪
はじめて英国に出張したのはもう随分と昔の話だ。出張の目的は、もう忘れてしまったが、ロンドンに滞在中、休日を使ってリバプールまで足を延ばした。
勿論、ビートルズ誕生の地を訪れたい一心からだったが、片道汽車で３時間弱、あこがれの地に着いた時には少々興奮したのをおぼえている。
リバプールは一時はイギリス一の港湾都市、工業都市として栄えたこともあったようだが、あの頃はすっかりと斜陽都市となっていて人口も激減、港には閉鎖されたレンガ建ての倉庫が立ち並んでいてまるで活気がなかった。ただし、世界的には「リバプールサウンド」発祥の地、特にビートルズ誕生の地として知られていて、タカさんのように世界からわざわざ出かけてくる人もいたようだ。
リバプールがビートルズゆかりの地だとはいっても、当時は別に観光地化しておらずせいぜいビートルズの歌にある孤児院の「ストロベリーフィルズ」や「ペニーレイン通り」や「エレナ・リグビーのお墓」を見て歩くのがせいぜいだったが「聖地探訪」気分は十分味わえた。
いまテレビをつけると高齢者向けなのだろうか、「懐かしのメロディー」だとか「昭和演歌」などをよくやっているが、イギリスやアメリカの年寄りはビートルズ特集や、ローリングストーンズ特集を聞いているのだろうか。そうだとしたら、ちょっとうらやましい。
(7/07/24 10:00pm)
2024年7月5日
クリーンやエコ
クリーンエネルギーにはいろいろな種類がある。化石燃料を燃やしりして作った電気は確かに使う現場では二酸化炭素を発しないから確かに見かけクリーンだが人里から離れた発電所で化石燃料を使って電気をおこしていればそれは水洗便所がきれいだというが、下水管や下水処理場を見ていないからクリーンだと言っているのと同じで発電から使用までを含めて全てがクリーンというのとは全く違う。
例えば、いま脚光を浴びている水素エネルギ－にしても水素が自然界に豊富にあるといえども例えば水から水素を取り出す際に使う電気エネルギーを太陽光や風力などで得た電気で取り出せば（グリーン水素といわれる）確かに見かけクリーンエネルギーといえるが、パネルや風車を作る際に大量のCO²を輩出するし、又耐用年数が来たこれらを廃棄する際にも大量の二酸化炭素を排出する。（今中国製のパネルが各地で色々mん台を起こし散る。石油や石炭などを改質して取り出す（ブルー水素）や（グレー水素）などと言わる方法も二度手間が必要だしコストの面でも問題があり過ぎだ。
二酸化炭素を排出しない原子力エネルギーは、福島原発以来忌避感が強いからもうそうそうこれの推進いきたいすることはできないし、夢のエネルギー等と言われてもてはやされた核融合エネルギーにいたってはこれから先、実現まで何十年、何百年かかるか想像もつかない。
昨今のように34度打35度だといった暑い日が続けば、現代人はクーラーをガンガンかけて息をひそめているしかない。電気を節約してうちわで仰ぐなんていうことをやっていては、高齢者はバタバタ倒れていくことだろう。
そう考えると、あまりに過度な「クリーン」だの「エコ」の連呼には偽善っぽいものを感じてしかたがない。
(7/03/24 10:00pm)
2024年7月4日
地政学
日本は、イギリスなどと並んで「海洋国家」であると言われている。海洋国は国土面積比でみると多くの海岸線をもっているから「大陸国家」に比べて地政学的にみても攻め込まれ難い、すなわち防御し易いと。
その特徴を生かして時には海洋に進出していくことで勢力を伸ばしてきた歴史もある。古くは、フェニキア、カルタゴ、大航海時代以降のポルトガル、スペイン等の海洋国もその特徴を生かして海外進出をはかり勢力を伸ばしてきたが―――その地を長く支配し続ける事は至難の業であり多くが撤退を余儀なくされている。
内陸国は海洋国と逆に、攻め込まれやすいが同時に近隣国に攻め込みやすいという面を併せ持つ。古代ペルシャ帝国、漢王朝、モンゴル帝国等々、一時期、大帝国を築いた歴史はあるものの、その広大な国境線を長く持ちこたえることはまた困難なようだ。
ウクライナをみていると内陸国の典型であることがよくわかる。ウクライナは今でも11ヶ国と陸続きの長い国境を持つ典型的な内陸国であるために、古代よりスキタイ、ゴート人、ローマ帝国、モンゴル、オスマントルコ、ポーランドなどに攻め込まれ、近年は長くロシアの支配下にあっただけに民族的にも内陸国として生き残る術を本能的に身につけているようだ。時には隣国の強い勢力に妥協し面従腹背に至ることもあるが、時来ればその支配から脱し、他の強い勢力とむすびついて独自性を保とうとするなど、日本には想像もできない程強靭かつ巧妙な外交術を本能的にもっているようだ。
さてウクライナ同様の典型的な内陸国である中国はどうだろうか。明の永楽帝は海外進出をはかり鄭和を使って東南アジア、中東、アフリカにまで大船団を送って海洋国家になる野望を持ったもの、海外進出に国家財政を使い果たし、結局帝国の滅亡を招いている。
現代中国の絶対権力者、習近平も「一帯一路」構想を掲げ世界の海をまたにかける海洋国かつ大陸国になる野望を隠さなかったが、どうも一帯一路構想もあちこちで反発を呼び、経済状況悪化も重なって今や旗色はあまりよくないようで力による海洋進出も、フィリピンや台湾では世界の顰蹙をかっている。
歴史的な海洋国、大陸国の地政学的教訓は、今もいきているようだ。
(7/03/24 10:00pm)
2024年7月3日
ナンバーツー
権力者にとってナンバーツーの存在は悩ましいところだ。ナンバーツーは、自分の持つ絶対権力を脅かす存在だと思えばいつ寝首をかかれるかと夜もおちおち寝ていられないだろうし、ナンバーツーの側でもちょっとでもボスの疑心暗鬼を呼べば毛沢東時代の林彪のように殺されてしまうからこちらもおちおちねてはいられないだろう。
但し、絶対権力者であればあるほどもしもの事があって突然死したりした場合、確固とした後継者がいないとその権力機構は大混乱するだろう。
そんな例は秦の始皇帝の死によって秦がわずか4年で崩壊した例をはじめリビアのカダフィーやイラクのサダム・フセイン等々、枚挙にいとまがないし、そういった独裁者の突然の喪失による社会政治の混乱は、国民にとっては独裁時代以上の不幸となるかもしれない。
現代に於いて、絶対的な独裁者と言える中国の習近平、ロシアのプーチン、そして（国の規模は随分小さくなるが）北朝鮮の金正恩が突然いなくなったらどうなるのだろうかと思う。
彼等には明確に後継者といえるナンバーツーはいない。というより彼等が後継者になりそうな人物をあからさまに排除してきたし、それ故に今自ら後継者候補だと名乗りを上げるものはいない。
中国経済の混迷が深まるにつけ習近平に対する国民の不安、不満のマグマはたまってきているだろうし、欧米の経済制裁による物価の高騰や戦争への動員もあってこれまた先行き不安のロシア、うんこ風船とやけくそのミサイル発射を繰り返すものの国民が飢餓状態にある北朝鮮、いずれも後継者らしき者がいない。
国民から老人性痴呆の兆候を不安視されているアメリカの大統領ならまだ後継候補はいそうだが―――。(日本同様に、質の良さそうな後継候補はみあたらないものの)
世界第二の経済大国と、経済はともかく軍事力においてはいまだに世界第二位のロシアーーこの二国の独裁者もこの先もう何年もその権力の座にとどまれるとも限らない――さて、もしものことがあれば―――？
(7/03/24 10:00pm)
2024年7月1日
オーバーツーリズム
浅草の仲見世通りの人混みの中にいると歩いているのがほとんどといってよいほど外国人観光客だ。コロナ前のひところは中国や台湾、韓国をはじめとする東南アジアからの観光客がメインだったが、最近では、円安もあってか「なんでも安い日本」目当てに欧米系の観光客も目立つようになってきており政府の掲げる観光立国を肌で感じられるようになってきている。確かに治安が悪くなってきているフランスなどに比べ、あるいは物価の高い米国などに比べたらその両方で安心で、韓国のような「ぼったくり」がないと言われる日本の魅力が増しているのだろう。
外国人観光客の増加は外貨獲得という面からも日本経済にとって朗報とは言えるが、浅草の仲見世や京都のようなある程度観光客を織り込んでいる所ならまだしも、その準備もない土地に急に押しかけられても―――ある意味では「迷惑」ということもあり、予期せぬ大量の訪問客に戸惑いを見せる人も少なくないかもしれない。
世界的観光地スイスの、古都として知られるベルンの旧市街を見て回ったことがあったが、中世に建てられた時計塔や教会、有名な噴水などのある表通りは、観光客でにぎわっていたがそれより一筋入る住宅地区への道は全てバリケードで封じられていたのが印象的だった。観光客には十分楽しんでもらいたいが、自分達の生活の静けさは守りたいというベルン市民の気持ちがよくあらわれており、流石観光立国スイス！とおもったものだ。
その点、観光地なれしていない日本の各地に今年3000万人、数年後には倍の6000万人が押寄せるといわれているが、いわゆるオーバーツーリズムの弊害に対する備えは大丈夫だろうか。
ただでさえ便数の少なくなっている路線バスに大きな荷物を持った外国人観光客が大挙して乗り込んできたら―――などという問題だって起こりかねない。誘致、歓迎一辺倒ではない住民との共存という問題にも政府は真剣に取り組むべきだろう。
(6/30/24 10:00pm)
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