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2024年8月
＜＜2024年：8月分 タイトル＞＞ 8月
08/02 常民と世間 08/01 エビカニ
2024年8月2日
常民と世間
常民という概念は民俗学の泰斗柳田国男が言い始めた概念らしいが、その土地に伝わる民俗伝承を保持している人々のことだというが、同じく民俗学の宮本常一が「忘れられた日本人」の中で、一見その土地にずっと代々暮らしているかのように思える人々も、男性女性にかかわらず、一度は村を離れ、よその土地でいわゆる「世間」というものを体験し、村の外の世界を見聞きしてから、再び村に帰ってその地で一生を過ごすといったことをしている―――と書いていたが何か思い当たるような気がした。
今で言うならUターンというのだろうか、確かに多くの日本人が一度は生まれた地を離れ、よそで色々な経験をしてから、又故郷に戻るという例は多く、そういう経験をすることが確かに「常民」となって民話なり村の祭りやしきたりといった伝統をしっかりと受け継ぐためにも必要なことと認識されているのかもしれない。それは宮本常一が調査した昭和の時代と今も余り変わらないような気がする。
勿論、タカさんのように生まれてこのかた各地を転々としている人も多いが、地方に行くと多くの人が一度は故郷から出て「世間」に触れ、又何時か生まれ故郷、もしくはその近くに戻ってきているということはあるようだ。
タカさんが海外で知り合った日本人の内何人かは、今や故郷に戻って暮らしているし、それが例え東京生まれ、東京育ちであっても老後の今は、年一回の小学校の同窓会にも出ている―――という例なんかも結構ある。
タカさんが卒業した鹿児島の小学校のクラスメートの何人かは今も地元のクラス会で集まっているかもしれない―――なんだかすごく羨ましいような気もしてきた。
(8/01/24 10:00pm)
2024年8月1日
エビカニ
旧約聖書には、「水の中にいて、ひれも、うろこもないものを、食べてはいけないぞよ」 と書かれているから、厳格なユダヤ教徒はエビ・カニを食べない。なぜ食べてはいけないのかを神は説明していないけれど、何せ絶対的権威である神が言っているのだから人間は守らなければいけないという訳だ。ニューヨークのユダヤレストランに行ったことがあるが、確かにメニューにはエビやカニは一切なかった。
ウロコのない水の中にいるものといえば、エビ・カニの他にタコやイカもそうだから、もしユダヤ人を日本食に案内する場合には、タコの酢の物や、イカの刺身なんかも勧めないように気をつけなければいけない。
そうそう、今の時節、日本人はうな重を食べておおいに盛り上がっているが、これもユダヤ人にはタブーなのだろう。（厳密に言うと鰻には微細なウロコがあるという話をきいたことがあるが）
ユダヤ教を源流に持つといわれるイスラム教では、コーランにエビ・カニ・イカ・タコを食べてはいけないとは書いてないという。海から遠いサウジの人はエビ・カニを知らなかったのかもしれない。彼等は欧米や日本ではエビ・カニは喜んで食べるらしい。その代りと言っては何だが、コーランには豚肉や豚由来の食べものを食べてはいけない、と書かれている。これは、どうもイスラム発祥の地、サウジアラビアは非常に暑く、腐りやすいといわれる豚肉を食べて多くの人が体調を崩したからアッラーが気づかってこれを禁じたのだ、という説もある。トルコのホテルの朝食メニューにはウィンナーやベーコンが一切ないので何となく物足りない気がしたものだ。
エビ・カニの例に限らず、宗教と食のタブーはかなり密接な関係があるようだ。仏教だって基本的には動物を生臭ものと言ってタブー視している。江戸時代だとそれでも肉が食べたい信者や坊主の中には猪のことを山クジラと言って魚の一種なんだと言って食べたりもしたようだし、兎の長い耳を「あれは羽で、兎は鳥なのだ」と言って食べたりもしたようだ。（それもあって兎の数え方は、一匹、二匹ではなく一羽、二羽と数えるのだとか）
逆に食のタブーがなく、何でも食べるのが中国人だという話がある。特に広州人は「空を飛ぶもので食べないのは飛行機だけ、四つ足で食べないのは机だけ！」等ともいわれている。そういえば、コロナの世界的流行の切っ掛けは武漢の市場で売っていた食用のコウモリだったといわれているが―――コウモリを市場で食品として売っていたという話だけでも十分に驚嘆に値する。
ところで日本人が好んで食べる鰻だが、中国や韓国でさえ一部でしか食べないという話だ。そうそう、日本では気味悪がられるカエルだが、ルイジアナやテキサスでは結構たべられている。
お国柄による食のタブーは調べてみると結構面白い。
(7/31/24 10:00pm)
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