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日々早々エッセー
バックナンバー集（2018年1-6月分）
2018年上期の各月バックナンバー： 1月、2月 3月 4月 5月
＜＜2018年：1-6月分 タイトル＞＞
06/29 ひっちゃかめっちゃか 06/22 外見は大事 06/19 全部乗っけ 06/15 太宰はしか 06/12 凄いぞ人間 06/08
非核化の費用 06/06 春の運動会 06/01 父母と娘 05/31 生き残り世代 05/25 お見合い問題 05/21 シンギュラリティ―は来ない
05/11 ゴラン高原 05/08 父親は誰か 05/07 何故愛しているというのか 04/27 量子論と般若心経 04/26 威厳はどうして得られるか 04/20
口座振替 04/13 欠けたマグカップ 04/06 見頃は何時？ 03/30 靖国のさくら 03/16 残業ゼロの課題 03/13 野球場へ行こう
03/09 無量大数 03/02 セサミストリート 03/01 兵糧攻め 02/28 ラッダイトは起きるか 02/23 母は正しかった 02/16
ナマコ酢はどこへ？ 02/14 今日は何の日 02/09 御恩と奉公 01/26 博士たちの受難 01/19 売上減の原因 01/12 なつかしい方言
01//09 古く希なり
2018年6月29日
ひっちゃかめっちゃか
日本人にとって英語のLとRの発音の違いが中々聞き取れないし発音できない－－－というのは有名な話だが、帰国子女同士である娘夫婦にとっては「明らかに違う」ものだという。
ところがその帰国子女の子供である生まれて以来、ずっと日本育ちの孫たちは、祖父であるタカさん同様、LとRの発音の違いは、苦手のようでどうも上手くできていないようだ。
フランス人に「はひふへほ」を発音させるとどうしても「あいうえお」になってしまう－－－すなわちフランス語にはHの発音がないというのと同様に、生まれついての習性でどうしても発音できない、あるいは区別ができないという語があるようで、これは幼い時に出来てしまったネイティブ発音の習性は、ある程度成長してからでは中々直せない－－－という人間の発音形成の問題からくるものだという。
今は少なくなったがタカさんの子供時代にはまだまだ残っていた江戸弁と呼ばれるいわゆる東京下町ことばでは「ひ」と「し」の区別がつかない――というのは有名な話で、妻によると妻の父は、「おい、しばしにしをいれてくれ」（火鉢に火をいれてくれ）とか「しぼはないか」（紐はないか）といっていたというし、下町ではないがどちらかというと山の手言葉育ちのタカさんも、いまだに「質屋」が「しちや」なのか「ひちや」なのか、「お七夜」が、「おしちや」なのか「おひちや」なのか迷う。（いま辞書を調べた限りでは、「しちや」「おしちや」で出ているが、「お七夜」の方は、たかさんには「おひちや」の方が上品に聞こえてしまうのだが―――）
こんな話をするのも「めちゃくちゃ（滅茶苦茶）」の砕けた言い方としてタカさんが使う「ひっちゃかめっちゃか」は間違いで「しっちゃかめっちゃか」が正しいのではないかと妻がいうので、調べてみたが「火」を「し」と発音しているのは明らかに間違いだとわかるが（もちろん、江戸っ子はちゃんと「ひ」と発音しているつもりなのだ）、「ひっちゃかめっちゃか」が正しいのか「しっちゃかめっちゃか」が正しいのかはそれに相当する漢字がないのだから「絶対にこちらが正しい」という基準がないだけに、なんとなく「多数派」の方が正しい！ということになってしまっているようでどうも正解ははっきりしない。（ちなみに手持ちの辞書には、「しっちゃかめっちゃか」で載っているが、他の辞書には「ひっちゃかめっちゃか」が大阪弁としてでていながら「江戸弁の『ひっちゃかめっちゃか』は「し」と「ひ」の混同現象によるもの」などと書いてあり、いかにも大阪弁がオリジナルで、江戸弁の方が間違いのように上から目線で書いてある―――。（辞書業界もすっかり混乱しているようだ）
う～ん、こうなってくると英語のLとRの発音の違い、なんてどうでもよくなってくるではないか。
（6/28/18 10:00pm）
2018年6月22日
外見は大事
「外見で人を判断してはいけない」とはよく言われる言葉だが、確かにいつもオシャレに着飾って、お化粧も綺麗にしている女性と、無造作な装いの太った女性とどちらに好感をもつかとなると―――やっぱり男性の8割、あるいは9割は前者の女性に興味を覚えるのではないだろうか。
しかし、論語にある「巧言令色すくなし仁」の言葉のようにいつもチャラチャラと着飾って、男性に媚を売るかのような女性は往々にして中身がない－－とか、服装には余り気を使わない、太って健康的な女性ほど人間的には魅力がある――なんていう例もあるから、やっぱり外見で人を判断するのは間違い――ともいえるのかもしれない。
ただ、最近の心理学実験によると、現代人は男女ともに初対面の人に対しては8割がた第一印象すなわち外見でその人を判断しているというから、（年は関係なく）女性や、現役世代の男女はやっぱり他人からは「外見で判断される」と思って、身だしなみにはある程度、気を付けた方がよいようだ。
ただし、外見（服装）もT・P・O（Time, Place, Occasion）が最大の要素だということを忘れてはいけない。
このT・P・Oを失敗した思い出がある。大阪に出張中、夜、ホテルに戻ると東京本社から電話があり「取引先K社のＴ部長の御父上のお葬式が明日、和歌山であるので丁度いいのでそちらから式に迎い、参列して欲しいと本部長が言っておられます」との事「式服一式は、こちらからホテルの貸衣装を頼んでおいたから」との事であった。
翌朝、泊まっていたホテルの結婚式場の衣装係に行ってみると確かに式服一式が用意してあるというのでそれを抱えて急行にのって和歌山まで行き駅前のデパートで着がえさせてもらったのだが、式服一式というのがケースを開けてみると、何と花嫁の父が着るような燕尾服だったのには驚いたが―――仕方なくそれに着替えて式場に向かった。
参列者も多かったがさすがに燕尾服を着ての参列者は、遺族にもおらずタカさん一人が悪目立ちして参列者の注目を一身に集めてしまい（少なくともタカさんにはそう思えた）、式の間中ずっと冷汗ものだった―――。
後日、Ｋ社を訪れた際には部長には「先日は、ご丁寧に」と、参列のお礼を言っていただいたがその言葉が暗に「自分より立派な服を着てきやがって！」といっているかのように聞こえて針の筵に座らせられているように感じたものだった－－－。
「外見が大事」ということばは本当だが、T・P・Oをわきまえない、特に立派過ぎる外見は絶対に避けるべきだという教訓は、今も忘れない。
（6/21/18 10:00pm）
2018年6月18日
全部乗っけ
「食べ物の好き嫌いをいってはいけません」というのは幼い頃から母にきびしく言われていた。確かに、その食べ物を好きな人がいて美味しそうに食べているのに、その前で、「これ嫌い！」等と言うことは、この上なく失礼であり、又、心を込めてその食べ物を作ってくれた人に対しても喧嘩を売るようなものだから―――どうしても自分が食べられない物ならばそっと残すとかお腹が一杯だ、といって最初から手を付けない、等の方法を考えるべきだ―――という訳だ。当然の礼儀だと今も思う。
もし、鶏肉嫌いなのに焼鳥屋に誘われるとか、野菜嫌いなのに自然食レストランでのデートに誘われる―――なんていう場合もあるかもしれないから、一緒に食事にいくような関係の人には事前に「それとなく」自分の好き嫌いを伝えて置く―――なんて言う配慮も必要かもしれない。（参照：「ブラックコーヒー」6/16/06）
そんな気遣いができるシカゴの時代の同僚M君が実は鶏肉嫌いである――という事実を知ったのは、ある時のゴルフ社内コンペの後であった。
彼とは、その日同じ組だったこともあり、スクラッチで握っていたのだが、16番ホールまで彼が2UPでリードしていた。ラスト2ホールは池沿いのホールでしかも18番はグリーン手前をその池が横たわっているというレイアウトだった。
17番ホールに来た時、その季節に丁度渡ってきたのであろうカナディアンギース（カナダがん）が、池の淵でのんびりとエサをついばんでいた。カナダがんという奴、人をそんなに怖れる訳でもなく、追い払えばヒョコヒョコと歩いてどいてくれるような鳥なのだが、M君、このギースを見た途端、池ポチャを連発しはじめて今までとは打って変わった大叩きをしはじめた。
いよいよ、18番に来てタカさんの1ダウンなので、タカさんも勝ってチャラに持ち込んでも面白くない！とばかりにギャンブルに出て18番ホールの勝負に「全部乗っけ」（それまでの負けをチャラにするだけでなくこのホールで勝てば今までのベッド額が倍になる）を挑んだ。
嫌がるM君（彼は「乗っけ」を受けなければ、18番を負けても勝負通算はチャラ、もし勝てば掛け金が倍入るが、少なくとも負けて支払う必要はない）を、なんとかなだめすかして、「全部乗っけ」で挑んだ18番、最終ホール、グリーンの手前にはギースが10羽程のんびりとエサをついばんでいるではないか。
残りの三人はショットの邪魔になるギースを軽く追い払ってプレイを続行したのだがM君は一人ここまできてギブアップすると言うのだ―――。
ラウンド後のラウンジで何故あの18番でギブアップしたのかを聞いたところ、彼は小さい頃から、鳥が皆、恐竜のように見えて怖くてしょうがなくて、鶏肉などは絶対に食べられないし18番ホールのような場面ではギースが間近にいた為、恐竜に取り囲まれているようで、怖くてスィングが出来なくなってしまった－－というのだ。
鶏肉が嫌いだ、野菜が嫌いだという人はいるが、まあ、どれも理由はたわいのないものばかりで、「こいつの好き嫌いは要するに我儘に過ぎないのでは－－－」とも思うけれど、M君の鶏肉嫌いは、後に「鳥類の祖先は恐竜」という話が本当だったという事を聞いて、科学的（？）な理由のある事だった訳で、あの時「全部乗っけ」をして可哀想なことをしたものだと――いささか反省したのだった。
（6/18/18 10:00pm）
2018年6月15日
太宰はしか
没後70年になる太宰治だが、昔から10代、20代前半の多感な若者が、彼の作品、そしてその生き方に魅了されることを「青春期にかかるはしか」に例えることがおおく、「はしかに未だかかっていない」若者はまだ幼い、年齢が随分行っているのに未だに太宰に熱中し続けている人のことを「大人になり切れない未熟者」にも例える―――等ということがあったが、現代でもその評価には大差がないようだ。
タカさんも実は高校生時代から大学生にかけての多感な時代（そんな時代もあったのだ）この「太宰はしか」にかかっていた時期があって、おそらくこの時期、太宰作品のほとんどを読んだ記憶があり、大学に入ったころには6月13日の桜桃忌といわれる太宰が愛人と玉川上水で入水心中をした忌日には三鷹にある禅林寺を墓参に訪れたこともあったぐらいだ。（確か、太宰の墓の斜め向かいに、森鴎外の墓があった―）
しかし、「はしか」の例にもれず、タカさんの太宰耽溺も、なにかの切っ掛けで、憑き物が落ちたように「治って」しまい、それ以降は今に至るまで、太宰に傾倒している若者の話を見たり聞いたりするたびに、「そうそう、若い時には一時期そういう時期もあるものだよ」などと、大人ぶった思いにかられてしまうのだ。
作家の中にも若い頃には、「はしか」経験をした作家も多いとは思うが、ある程度の年齢に達して尚太宰を好きだという人は余りいないように思う。（女性の書評家だとか、又吉直樹のような一風変わった人位しか思いつかないが－－－）
一方、「太宰が嫌い」あるいは「体質に合わない」と公言している作家には、三島由紀夫や石原慎太郎などのように、太宰の軟派イメージと正反対の硬派イメージの作家や、村上春樹のような独立型の作家が多いように思う。太宰が師と仰いだ井伏鱒二もどこかで結構、シビアな太宰評を書いていたように思う。
もっとも、太宰が亡くなったのは彼が38歳の時だから、どの作品も38歳以前のいまでいうなら若年の範疇に入る年代までに書いたものだし、度重なる愛人との心中事件にしても若者だからこそできた（やってしまった）ことでもある－－－と考えれば、年長になってはしかにかかる人はマレなように（もっとも、はしかも、年をとってかかると重症化するらしいが－－－）、多くの大家といわれる作家にとっては、彼の作品がどれも「青臭い」ものに見えるということはあるかも知れない－－－。
まあ、もっとも没後数年も経つと全く忘れ去られる作家の多い世の中で、没後、70年も経つというのに未だにその評価について毀誉褒貶が語られる作家ということは、やはり太宰が日本文学に与えた影響は鴎外、漱石、芥川に迫るものがあるのかもしれない。
（6/15/18 10:00pm）
2018年6月12日
凄いぞ人間
日本最古の歴史書である「古事記」は、代々言い伝えられていた日本の歴史（というよりは神話）を暗記していた稗田阿礼（ひえだのあれ）が語ったものを太安万侶（おおのやすまろ）が書き留めたものであるといわれている。
あのように膨大な量の物語を全て覚えていたというのだから稗田阿礼の記憶力たるや驚異的に良かった――ということになるが、歴史的にも世界的にもこのように文字文化を持たない民族には「古事記」のような例は多く、アイヌの長編民族詩である「ユーカラ」も、おなじく文字を持たない民族であるアイヌの間で口伝されていたものを明治になって、金田一京助等が書きとめて編纂したものである。
文字のない時代や民族であったからこそ口伝えしか方法がなかったからだとはいうもののそのような環境下での人間の秀でた記憶力の良さには驚嘆させられる。
そもそも記憶力というもの自体、必要があれば磨かれるという性質をもっており、それはその逆の場合、必要が無ければ磨かれない（記憶力は衰えてしまう）ということでもある。
携帯電話もなかった今から20年以上も前だったら、タカさんも取引先の電話番号など200近くは覚えていて空で言えたものだったが、携帯に電話帳機能が付くようになってから、あるいは現役を引退してからは、極端な話、自宅の電話番号でさえ「あれ、何番だったけ？」と戸惑うこともある有様で、それは決して歳をとってきたタカさんの個人的問題ではなく、今は、若い世代までも「形態を見ればわかるから！」と電話番号を覚えなくなっているような気がする。（それだけに、万一、ケイタイをなくした時には現代人は皆、身動きがとれなくなってしまう）
電卓が身近になり昔は皆が暗算でやっていたつり銭の計算をやらなくなってから久しい。タカさんの場合でも、「あれ！ボケが始まったのかな？」と思うほどにちょっとした計算で戸惑うことが多くなってきているような気がするが、それも、やはりあんまり賢くなさそうな店番のおばさんの計算が今一つ信用できなかった時代とちがって、誰が操作しても間違いが無さそうな電子レジがどの店にも備わっておりその計算が信用できるようになっているから、自分で暗算をやる必要がなくなった所為もあるのではないか？とも思う。
フラッシュ暗算といわれる暗算の世界記録は、現在、小さい頃から算盤をやっていたという当時大学4年生だった学生が作った記録「画面に連続して映し出される3桁の数字15個の和を1.60秒間で計算できる」という記録だという。この記録は電子計算機でも入力するだけでも1.60秒以上かかるから、フラッシュ計算においての人間の能力はコンピューターを遥かに凌駕しているといえるし、恐らく近い将来でも追い抜かれることはないと思われる。
量子コンピューターの凄さが喧伝され、シンギュラリティ―の到来が言われるなかで人間が機械に追い越される日が間近だといわれているが－－－いやいや、人間の能力はそう簡単には機械なんぞに追い越されるものではないぞっ－－－と人類の一員であるタカさんは思うのだ！
（6/11/18 10:00pm）
2018年6月8日
非核化の費用
予測不能の二人のことだから、本当に来週12日にシンガポールで米朝首脳会談をやるのかは、最後の最後まで（本当に二人がシンガポールに現れるまで、あるいは会談の席につくまで）今一つ信用できないところがあるが、今日までの流れではまぁやることはやるのだろうと推測できる。
もっとも言うことがコロコロ変わる二人のことだから、よしや「体制保証」の約束を取り付けたからといって金正恩先生もほっとする訳にはいかないだろうし、米国側にしたって例え北が「完全な非核化」を約束したからといってそれを信用する訳にもいかないから、結局、二人が会って、その会談を仲介したことで、ノーベル平和賞でも貰おうと目論んでいる文在寅さんの夢も結局は、空騒ぎに終わってしまいそうな気配も漂う。
シンガポールでの金正恩様ご一行のホテル代を、北朝鮮自身が金欠だから払えないと恥ずかしげもなくいっており、それでは誰が払うのかは、今日現在まだ決まっていないというのだから、北が完全非核化を約束したところでアメリカの有力シンクタンクであるロスアラモス研究所が試算した「北朝鮮の完全非核化に掛かる費用」（日本円換算で200兆円）なんていう金は払いようがないにきまっており、そんな金をあの国境の壁代さえメキシコに払わせると息巻いていたトランプさんが出す訳もないし、それなら仲介役をやってノーベル賞候補にもなろうかという野望をもっている文在寅氏の韓国が負担するかといえば、口は出すけど金は出さない韓国の事だから出すわけもない。
北朝鮮が出さない、米国が出さない、韓国が出さない、となってくると―――またぞろ、お人好しの日本に大きな奉加帳がまわって来はしないだろうか―――と心配にもなってくる。
やっぱり、米朝首脳会談なんてどうせ何も前向きな進展が得られる訳でもないバカ騒ぎに終わるだろうから、最初からやらない方が世界の為には余程いいのではないか―――とも思う。
（6/07/18 10:00pm）
2018年6月6日
春の運動会
先日、孫娘の運動会にいってきた。（もちろん「敬老席」に座らせてもらったが）
思い出してみるとタカさんの子供の頃は運動会といえば春と秋の年2回あり春の運動会は小運動会といってちょっとショボいやつだったが、秋は大運動会といって地域ぐるみ家族ぐるみの大イベントだった記憶がある。
娘たちの幼い頃の運動会は、最初の頃は秋にやっていたような気がするけれど、いつの間にか春にやるようになり、親同士は「運動会はやっぱり秋じゃないと気分がもりあがりませんねぇ〜」なんていい合っていたような気もするが―――。
聞くところによると学校が週5日制になった1990年代後半頃から、授業日数が少なくなり運動会は年一回、しかも夏の暑い盛りの予行演習を避けるために、春にやるというのが全国的に主流になってきたらしい。（タカさんの手持ちの歳時記（角川書店編）では「運動会」はまだ「秋」の季語になっているが、そろそろ「春」に改訂した方がよいかもしれない）
最近の運動会は、子供たちや先生方の負担を少なくしようという配慮から「時短」になっているそうで、お昼にお弁当を広げて（これが、親も子も―――祖父母も―――楽しみな時間だが）からは、午後の競技はほんの少しで全部のプログラムが終わったのが２時前だったから、昔に比べたら何だかあっさりしているような気もするが、それはそれでいいころ合いということも出来るとも思う。
そういえば、アメリカの現地校には日本流の家族ぐるみ、地域ぐるみの「運動会」というような行事はなかったけれど、駐在員の子弟のために週一回開かれていた日本人学校では年1回、運動会という行事があり規模は小さいながら、日本と同じように親も参加（もちろん、家族でお弁当を開く）の行事には、子供よりも親の方が日本を思い出してコーフンしていたような思い出がある。
一時期、日教組が強くて「親が運動会に来られない子がいて不平等になる」だとか「お弁当の中身に差がでると子供が可哀想」だとか言いだして、運動会のお昼には子どもたちは全員教室に戻って給食を食べる－－－なんていうバカバカしいことをやっていた時代もあったが(生徒同士に差をつけてはいけないからと、徒競走は、ゴール前で全員が手を繋いで一緒にテープを切る、なんていう笑い話にもならないことを大真面目にやっているところもあったとも聞く)、幸いにも日教組も随分と下火になり、そういうバカバカしいことはなくなって今や、又、昔のように運動会といえば「みんなでそろってお弁当」という日本的な風物詩が復活しているのは何よりだ。
孫たちの子供たちの時代、その子供たちの時代も、運動会という日本的な行事が続けばいいなぁ〜と心から思う。
（6/05/18 10:00pm）
2018年6月1日
父母と娘
母の日にプレゼントをねだる妻によく冗談で「あなたは私の母じゃないから」というけれど、今度の「父の日」には妻から同じ言葉（あなたは私の父じゃない）を返されそうだ。
この世に自分の事を「お父さん」と呼んでくれたのは、亡くなった娘と、その妹と、その連れ合いだけである。
逆に、26歳、独身で亡くなったあの娘にとっては、生涯で「お父さん」と呼んだ人は自分一人しかいなかったということになる。
孫が二人いるけれど、その孫たちにとってタカさんは（当然）「おじいちゃん」であり、孫ができてからは妻や娘さえ、タカさんのことを「おじいちゃん」と呼ぶ事の方が多い。（ある意味、嬉しいことではあるのだが－－－）
あの娘にとって「お父さん」と呼んだ人は、タカさん一人だけであり、この関係は、次の世までも―――未来永劫続くのだと思うと――娘を独り占めできたような気がして嬉しくなる。
今日、妻と二人で、お墓参りに行ってきた。あの娘にとって一人だけの「お父さん」「お母さん」と三人でゆっくり話せて、あの娘も喜んでくれたような気がする。
（5/31/18
10:00pm）
5月31日
生き残り世代
タカさんがゴルフをやめてからもうかれこれ10数年が経つ。酷い腰痛に悩まされスゥイングが出来なくなったので治るまで暫く休まざるを得なくなり、仲間たちとの定期的なコンペも欠席が続いたら、その内「タカさんは腰痛でゴルフをやめたらしい」という話が仲間内に広がって段々と声がかからなくなり――といった事が続き、腰痛は大分よくなったのに、今度は、「暫くぶりにやってもスコアもメチャクチャだろうし―」と弱気になり――さらには、「もう歳だしそろそろゴルフは諦めた方がよいかも－－－」と思うようになり―――遂には、家の改築の機会にゴルフ道具一式を整理してしまった――という経緯をたどった。
かつてのゴルフ仲間や友人たちの中にも色々な事情でゴルフから遠ざかった者も何人かいたから、そんなこともゴルフに対する思いは薄れていったのだが－－－。
最近、立て続けに同窓会や同期会があって同い年前後の友達達に会う機会があったのだが、話題の中にやたらとゴルフの話が出てくるのにはちょっと意外な感じがした。
同い年前後とか、ちょっと先輩となると中には80歳近い人までいて境遇もタカさんとほとんど変わらない連中なのに―――話題は意外とゴルフで盛り上がるのだ。それも、今年のマスターズは－－－といった話題もあるけれど（タカさんは、ゴルフをしなくなってからというもの、テレビのゴルフ番組もほとんど見なくなったし、ましてマスターズとなると余程、暇でも見なくなってしまった）、ほとんどが最近の自分のラウンドにおけるスコア自慢（あるいは、いかに腕が衰えたかの嘆き）であり、彼等にとっては、未だもって「ゴルフはやるスポーツ」という認識なのだ。
ゴルフから遠ざかっているタカさんは、同世代の連中との話の輪からは外された感じであって、自分だけが老け込んでしまったような気がして愕然とした。
もっとも、今、全国のゴルフ場は次々と閉鎖され次から次に太陽光パネルが敷かれたソーラー発電サイトに変わっているようだし、統計上のゴルフ人口はピーク時の1000万人から3割も落ちているというから、タカさんのようにゴルフをやめてしまった年配者が多いことは確かだし－－－何しろ、新たにゴルフを始めてみようという若者や中年世代が激減している－－－というのが大きいらしい。
確かに、そういえばタカさんがゴルフを始めたきっかけは入社して早々、職場の先輩から「商社マンは、接待の為にもゴルフが出来なければ－－－」と勧められたからであり、実際、それからは接待ゴルフも多かったし、職場の懇親もゴルフ、なんていうことが多かったけれど、最近の若い世代は、接待費もないだろうし、何しろ「仕事とプライベートは別」という環境では、「社内ゴルフコンペ」なんていうものもないというから、ゴルフ人口が激減するのも時代の趨勢なのかもしれない。
ということは、タカさんの同世代のゴルファーは日本にかつてあったゴルフブームの最後の生き残り世代－－－ということになるのだろうか―――。
（5/30/18 10:00pm）
2018年5月25日
お見合い問題
世話好きの知人や親戚のおばさんが、アレンジしてくれる昔風の「お見合い」は、タカさんの世代ぐらいから急激に減ってきて、現代ではもう殆ど見られなくなっているが、男女がお互いに自分のデータや相手に望む諸条件を登録するとコンピューターが互いの条件にあう相手を選んで紹介してくれる「マッチングサービス」と名を変えてむしろ昔の「お見合い」よりも出会いの機会としては増えているらしい。
勿論、お互いが正直にデータを申告しているかとかなるとそうでもないだろからその信頼性に問題もあるし、信頼性が高い婚活サービスは費用も高い、といった問題もあるようだが―――聞くところでは結構、このようなサービスが切っ掛けで結婚したというカップルがいるところを見ると、今の男女間（あるいは、息子、娘の結婚をのぞむその両親たち）では相当利用されているのかもしれない。
それはともかく、恋愛結婚にせよお見合い婚にせよ、知り合う切っ掛けは色々あるだろうが、お互いが結婚を決断する時には、普通は複数の相手の中から選ぶという二股、あるいは三股ではなく、大概、一人に絞って、プロポーザルに至るのが普通だ。
ということは、前に付き合っていた相手に未練がある場合、あるいは前に交際していた相手の方がよかった、という思いがある場合、やはりプロポーズする、あるいはプロポーズを受ける――ということにはなり難い。
今交際している相手と結婚するかしないかを都度決断していかなければならない訳だが、今付き合っている相手をいいなぁ〜と思っても、ひょっとしたら、もっといい人がいるかも知れないと思うと決断できないから、いつまでたっても決断ができないということになりかねず、一人を選ぶという作業は実に難しい。
昔と違って男女の交際のチャンスが多くなってきている、あるいは婚活サービスが次から次へと候補者を紹介してくれる現代では、実際のところ、男女ともに「次にもっといい人に出会えるかもしれない」と思って、いつまでも結婚への決断ができず結果、婚期を逸してしまう―――等ということが起き易くなっており、それが最近の非婚化の一員になっているともいわれるが－－－。
このような問題を数学的に解ける―――という「行動経済学」の本を読んだことがあるが、確か、それによると例えば10年の間に一年に一人と交際してその中の一人と結婚するとすれば場合、10人（10年）の内から、一人を選ばなければならないわけだが、そのベストの方法が数学の問題として解ける、という記事を読んだことがある。
それによると20歳で婚活を始め、一度パスした人とは二度と付き合えないという条件の下では、最初の３人までは無条件でパスし、23歳で付き合う4人目からは、「この人がベスト」と思った人にプロポーズ（あるいはプロポーズを受け）するのが結果的に「10人の中のベスト」を選ぶ事になるというのだ。（正確にいうと２.718という自然対数の底）
結婚相手を数学で選ぶ―――というのも何だか抵抗があるが、計算式をたてて理論的に考えると確かに納得できる部分もある。だからといって既婚者の方々が、自分のケースはどうだっただろう―――と計算しなおすのは後戻りのできない人生だけに絶対にお勧めしないので念のため。要は数学も結婚には余り役に立たないということだ。
（5/24/18 10:00pm）
2018年5月21日
シンギュラリティは来ない？
2011年に2016年度までに大学入試センター試験で高得点を取り、2021年度に東大入試を突破することを目標に「東ロボくん」というAI（人工知能）の開発が始まった。
しかし2016年度のセンター試験模試で、「東ロボくん」は、英国数理社5教科でいずれも平均点を上回り、総合偏差値57.1をマークし複数の国公立大学に合格する実力に到達したと認められたものの、東大二次試験を受けるための足切りの点数には届かなかったうえ、東大二次突破するために、さらに点数を伸ばすためには、問題文の文脈や複雑な文章の意味を理解することが必要で、このまま開発を進めても、その点を突破できないとの結論に到り、2021年度を待たずしてプロジェクトは、東大受験に関しては一旦凍結されることになったという。
既に囲碁や将棋の世界では人間を相手にほとんど無敵ともいわれ、その計算能力においては到底人間の能力が及ぶものではないいわゆる「神の領域」に到達しているAIだけれども、簡単な文章を読んでその問いに答えるという人間なら小学生でもこなせる作業ができない、というのだから何だか人類の一員としてホッとした－－－というのが偽らざる気持ちだ。
アルゴリズムが組み立てられているとそれを使って問題を解く能力においてはまさに「神の領域」に達しているといわれる人工知能だが、例えば「一日に自動車を4台作れる工場があります。この工場で12台の車を作るには何日かかるでしょう」という小学校３、4年レベルの問題に対しては中々答えを出すことができないのだとか。
それは、人工知能には「工場」や「自動車」という小学生なら当たり前に知っている概念がないので「この場合、工場というのは自動車を作るところ――の意味であり－－－」という概念をインプットする必要があり、「自動車を作る」ということはどういうことか、あるいはこの問題文の場合、自動車＝車、のことでありといった概念を一々、インプットするという手順を踏まなければならないし、それをインプットしたところで問題文が、「一日、歯磨きを100個作れる工場があります、4日間で、何個の歯磨きを作れるでしょうか？」に変わると、またもやAIはお手上げになってしまうというのだ。
東ロボ君の実験でも、AIは文脈を理解して答える、という問題に対しては非常に弱く、又、子供たちでも当然知っているようなことがらでも、一々定義づけしてやらないと理解できない－－－などの致命的欠陥があるという。
（例えば、「彼には常識がない」という文章を理解させるには、どこからどこまでが「常識」なのかを厳密に定義してやらないといけないし、そんなことは無理だ）
東ロボ君の頓挫の話を聞くと、2040年には来るとカーツワイルのいうシンギュラリティ―も、どうも来ないような気がして－－－ホッとしている。
（5/20/18 10:00pm）
2018年5月11日
ゴラン高原
イスラエルの国土を一周旅行したことがあるが、その国土は決して大きいものではなく（四国とほぼ同じ位）南北に精々450㌔、東西にいたって狭いところでは精々バスに乗ったら1時間半ほどしかかからない（90㌔）という長細い国土である。
しかも南部1/3はネゲブ砂漠という不毛の地が占めているから聖書にいう神がユダヤ人に約束したという「蜜とミルクの流れる地」という豊穣の土地である「カナンの地」と現在のイスラエルの国土ではちょっとイメージが違うような気もするが－－－。国土のほとんどが平坦でありその為に人口850万人が住むことができるともいえる。
但し、この南北に細長くほぼ平坦という地形は軍事的には防御しにくいという難点をもっている。特に、伝統的に敵対してきたアラブ諸国、特に隣国ヨルダン、シリアと国境を接する地域にはゴラン高原（シリアはシリア高原といっている）があり、かつてこのゴラン高原にシリア軍が砲台をもち常にイスラエルに砲弾を撃ち込める体制にあったときにはイスラエルは気が気でなかったに違いない。この高原の砲台から一斉射撃を加えられ、その後に一気に攻め込まれたとしたら、首都テルアビブや、エルサレムまで一気に占領されてしまう－－－。
そんなこともあって70年代の第三次中東戦争の際に、イスラエルはこのゴラン高原を占領、それ以来、数々の和平交渉があってもガンとしてその占領を解こうとしないで、どんどんと入植地を建設している。
国連もイスラエル以外の国も、このゴラン高原をシリアの領土としているが、イスラエルがこの高原を手放すなどということは、イスラエルという国が存続する限りあり得ないと思う。それは、イスラエルの建国の精神が「世界と宥和して国が滅びるよりも、世界を敵に回しても生き残る！」というところにあるのだから－－－。
10日未明、シリアに展開するイラン部隊がロケット弾やミサイル約20発をゴラン高原のイスラエル軍に向けて発射したというニュースが飛び込んできた。
イスラエル軍は即座にシリアにミサイルを撃ち込んで報復攻撃を行ったという。折からアメリカがイランとの核合意からの離脱を発表し、しかもトランプ大統領の娘、イバンカさんが出席してのエルサレムへの米大使館の移転が行われている時期だけに、イスラム教シーア派の盟主を任じ、シリアのアサド政権の後ろ楯にもなっているイランにとっては、ここは何が何でも対アメリカ、対イスラエルに何かやっておかなければ、メンツが立たない場面という訳だが――――。
ゴラン高原の問題は、イスラエルにとっては「生きるか死ぬか」の問題であり、イランやシリアにとってはイスラム教とユダヤ教との間の宗教戦争、民族紛争の問題だけに、イラン、シリアの後ろ楯であるロシアを巻き込んで、お互いが引くに引けない、まかり間違えば戦火が収拾しえない大事になる可能性があるのではないだろうか。
ゴラン高原での紛争は、日本にとって、対岸の火事どころか、別宇宙での出来事のようにも感じている人が多いとは思うが、のんびりと国会で「覚えていない」「そんな訳はないだろう！」という水掛け論をやっている場合か！とも思う。
（5/10/18 10:00pm）
2018年5月8日
父親は誰か
「源氏物語」などを読むと平安時代の性道徳は、今でいうなら「乱れている」としかいいようがない（薫の君と匂宮、浮舟との関係等々物語全体が浮気の物語とまで言えそうだ）けれど、そんなに「乱れた」関係だったとしたら、子供が生まれた時に誰が父親なのかDNA検査やら血液型判定のなかった時代、産んだ女性ですら確信が持てなかったのではないか―――一体、どうやって父親の特定をしていたのか？と思うのだが―――。
これが聞くところによれば意外と簡単で赤ん坊の母親がどんなに多くの男性と関係を持っていようが「この人が父親です」といえば、その人だと回りも認め男性本人も納得したのだという。（男の側に全く身に覚えのない場合はともかく－－－）
もっとも現代でもその手の話はがない訳でもなく、つい最近も異性関係が奔放だった女性タレントが浮気相手との関係でできた子供を「夫との子」といい、そう名指しされた男性もその子を認知したのだが、二人が離婚後、DNA鑑定をしたところ元夫と子供との間には「親子関係が100％なし」と判定され、それでも尚「あの子の父親は元夫だ！」と主張し続ける女性との間に、元夫は「親子関係の不存在」訴訟を起こした等という例もあったが―――今でも特に婚姻関係が成立していない男女間に出来た子の認知の問題は、時々揉めることがあるから男も大変だし、ドライサーの「アメリカの悲劇」や石川達三の「青春の蹉跌」もこの「父親はだれだ？」という男性側の迷いがオチになっている。
そうそう、ミナミゾウアザラシは一番強いオスが大きいものだと100匹ぐらいのメスを独占し、ハーレムを作っているが、繁殖時期、浜辺のハーレムのまわりにはハーレムの主との戦いに敗れた「はぐれオス」が取り囲んでおり、ハーレムの主が観ていない隙にハーレムの端っこのメスに乗りかかって交尾しようとする。それを見つけた主は怒って猛烈な勢いで突進してきて、はぐれオスを追いだそうとするが、それを見た逆サイドにいたはぐれオスが又、別のメスに乗りかかってきて―――というあの高校生の頃に踊ったフォークダンスのマイムマイム状態が繰り広げられる―――自然番組で時々見る光景だが、つくづくハーレムの主というのも、「メスの独り占め」の為に大変な努力をしていて大変だなぁ〜と思いつつ、笑ってしまうのだが－－－。
ハーレムオスはこれだけの努力を続けながら、DNA鑑定によるとハーレムのメスの子供の3割は、ハーレムオスの子でないというのだから――アザラシ界（？）の主も、何だか随分気の毒にも思えてくる。
江戸時代の大奥には将軍以外、男は一切入れなかったというから将軍ともなるとマイムマイム状態を避けるために大変な装置を作っていたということになる。
そうそう、つがいで子育てする鳥のヒナの3割はつがいのオスの血をひいていない、すなわち浮気（？）の果ての子－－－だとも聞くと、やはりなんだかんだ言って、進んでいるように思う人間も、所詮は動物の一種に過ぎないなぁ〜とも思うとなんだか妙な気分にもなってきてしまうのだが――――。DNAや血液型による親子判定などが無かった時代の方が今よりよほど幸せだったのかもしれない。
（5/07/18 10:00pm）
2018年5月7日
何故愛しているというのか
今でこそ我々日本人にとって「愛」という言葉は馴染深い言葉であり、特に恋愛関係にある男女にとって「愛している」という言葉なしではその関係は成り立ちえない、時期もあるだろう。
しかし、新婚時代も過ぎ、まして、子供がある程度育ってきた夫婦が互いに目を見つめ合って「愛している」と囁き合う――なんていうことは極めてマレになってしまうのは、欧米人達にとっては奇妙にうつるらしい。
逆に中年を過ぎた欧米人の夫婦が、まるで日課の「おはよう」や「おやすみ」のあいさつのように「愛しているよ」「あいしているわ」を連呼しあっている姿は、日本人にとって何とも奇妙にさえ思える。
この日本と海外の「愛している」に関する感じ方の違いについて、アメリカ人の友人と話し合ったことがあった。
タカさんの主張は、そもそも「愛している」という動詞は、古くは日本語にはなく明治以降‟I
love
you.”という英語の文章の翻訳語として新しく作られた言葉であり、キリスト教の「love」という概念は、日本文化とはそぐわない概念であり（いとしい とか 好き という言葉がつかわれていたが－－－）、「愛」は移入後100年そこそこでしかないから言葉であり、まだ定着していないから――というものだった。
逆に、その友人に「なぜ、あなたたちは、夫婦ならそんな当たり前のことを、毎日、毎日、叫び続けるのか？」とちょっと意地悪く聞いてみたところ、そんなことを聞かれるとは思ってもみなかった彼は、ちょっと考え込んでしまったあと、漸く答えてくれたのは―――結婚する時に教会で（神の前で）「この人を一生愛します」と誓った（誓ってしまった）以上―――、自分は、神との約束が守れているのかと自問自答しているのかもしれない―――なにしろ神との約束を破ったら、天国にいけないのだから、彼女の前で「愛している」と宣言して（そうでもないかも知れない）自分を鼓舞しているのかなぁ〜と、冗談めかしていっていた－－－。
もし、その友人の答えがある種の真実を含んでいるとすれば、もはや、愛していると宣言できない相手と生活し続けることは、神にウソをついていることになるので、同じ罪なら結婚式での間違った約束を神に対して率直にあやまって許してもらう方が、毎日、「愛している」と告げられない人との偽りの生活を続けるより離婚してしまう方が罪は軽い―――ということになるわけで――――。
いやはや、そう考えてみると、日本人夫婦のように、愛だの、何だの、との言葉を使わず「以心伝心」お互いがなじんだ空気のような関係で、淡々と結婚生活を送る方が、長い時間をかけた本当の愛情関係が築けてくるのではないか－－－とも思うし、欧米人の結婚生活とは、よほど緊張関係の連続でしんどいだろうなぁ〜とも思ったものだ。
（5/06/18
10:00pm）
2018年4月27日
量子論と般若心経
水素原子は余りにも小さいためにその構造や大きさを説明する際に、何倍かに拡大して分かり易く説明する手法がよく使われる。
例えば、水素原子の構造は水素の原子核の回りを、電子一個が回っているという太陽と一個の惑星の構造に似ているのだが、水素の原子核を一円玉一個に例えるという手法がある。
実際の原子核の直径は10の15乗分の1m（＝1000兆分の１m）、水素原子全体の直径は100億分の１m（原子核の10万倍）なので、原子核の大きさを一円玉（直径2㎝）に例えた場合、水素原子全体の大きさは直径2㎞となる。
すなわち水素原子の構造はその中心に1円玉の大きさの原子核があるとすると、それから2㎞離れたところを電子（重さはない、すなわち形のない粒子といわれている）が回っているという構造であると説明されると、その小ささが何となくイメージでき、それと同時に、原子というものの中身は殆どの部分がスカスカの空間である―――という、量子というものの魔訶不思議さに改めてこの世界の神秘を感じてしまう。
大きなスケールである宇宙の、星と星の間、銀河の構造、銀河と銀河の間といったところ、すなわちその構造のほとんど全部の空間には何もない――すなわち「空」であるという事実にくわえ、極小の世界である量子の世界も、その大部分はなにもない空間ばかりであるという、量子論、宇宙論の説く事実に、改めて、般若心経の教える「色即是空、空即是色」を思い出す。
「色即是空、空即是色」とは「宇宙万物の真の姿は空であって、実体ではない。しかし、空とは、虚無ではなく、知覚しているこの世の現象の姿こそが空なのである」という意味だ。
二千数百年前に既に人類が到達していた知識と現代科学の最先端が解き明かす知識とが一致している―――ということこそ驚異という他ないではないか。
（4/26/18 10:00pm）
2018年4月26日
威厳はどうして得られるか
昭和20年代、30年代を舞台にした小津安二郎監督の作品を見ていると、登場人物達の言葉遣いと、今の我々のそれとの違いに驚かされると同時に、「そういえば、当時の大人たちはこういう言葉遣いだったなぁ〜」と何とも言えない懐かしさを感じる。
小津作品で主人公の初老のサラリーマンが帰宅すると、奥さんと嫁入りを控えた娘さんが玄関先まで出てきて「おかえりなさいませ」とあいさつをする―――等という場面があるけれど、藤沢周平の時代小説で武士の主人公の帰宅時に奥方が出迎える場面と大きな変わりはなく―――すなわち日本では昭和30年代まではそれ以前の、100年、200年前と、言葉遣いや、男女関係、家族関係はそんなに大きくかわらなかった―――ということなのかと思った。
思い出してみると幼い頃（昭和20年代、30年代）母は父が帰宅すると（玄関口まで迎えに出ていたか覚えていないが）「おかえりなさい」と迎えていたし、父に対する言葉遣いも「ご飯になさる？」といった調子の敬語を使っていたような記憶がある。
幼い頃の、タカさんが悪戯をしたりすると、母に「お父さんに、叱って頂くわよ！」といわれ、それだけは勘弁してほしい―――と、すぐに母に謝ったもので―――それほど子供にとって父は威厳と権威を備えた偉い存在だったのだと思う。）
言葉遣いというものは、社会環境の変化によって大きく変わるのは当然で、男女平等思想が徹底され、女性の社会進出も盛んになってくれば、社会におけるあるいは家庭における男女の関係も大きく変化する。
会社から帰ってきた夫を妻が玄関先で迎える―――などという情景も希になってくれば、「おかえりなさいませ、ご飯になさいます、それともお風呂になさいます」なんていうシチュエーションは、冗談の類になってしまっているのではないだろうか。
いや、それどころか、家に帰ったら「ただいま」と言い、迎える家族は「お帰り」という声をかける、という挨拶すらないという家庭が増えているとも聞く。これでは、家庭内での威厳なんていうものが生まれる余地はないのではないと思う。
そうそう、子どもの頃、偉い、と思っていた父が、敬語を使っていたのが一緒に住んでいた母方の祖父母だったので必然的に、タカさんは「おじいちゃんは凄く偉い人」と思っていたし、いまでも「おじいちゃんは威厳があって偉い人だった」という記憶が鮮明だ。（そのおじいちゃんには可愛がってもらい、小学校3年生まではおじいちゃんと一緒の部屋で寝ていたものだが――多分、おじいちゃんが早寝だったので、両親にとって年寄りに子供と一緒に寝てもらう方が便利だったのだと思うが―おじいちゃんから聞いた日露戦争戦勝祝いの提灯行列の話などは忘れられない思い出だ）
タカさんの孫がタカさんを尊敬しているかどうかは定かではないのは、タカさん自身、孫には「優しいおじいちゃん」と思われたいと、孫の小さい頃から随分猫かわいがりしてきたからだが、先日妻が孫に「おじいちゃんは、怒らないし、何でも買ってくれるし、優しいでしょう？」と聞いたら「ちっとも！家庭教師の先生の次に怖い！」と答えたのを聞いて、ちょっとがっかりすると同時に、孫は実は、自分に対して威厳を感じているのかなぁ〜とちょっとうれしくもなったのだった。
（4/25/18 10:00pm）
2018年4月20日
口座振替
昔、実家では新聞料金やNHKの受信料を集金人に払っていた。
母は「みんなが振込にしたら集金のおばさんの仕事がなくなってしまってかわいそうだから」と言っていたが、そのことばに感化をうけたのか妻は今でも新聞代は月々、集金のおばさんに払っている。
集金のおばさんの給料がどういうシステムで支払われているのか知らないが（恐らく一軒幾らの歩合制？）確かに新聞屋の従業員ではないからみんなが口座振替にしてしまっては、おばさんの仕事がなくなり月々なにがしかのおばさんの歩合収入もなくなってしまうだろうし、振り込みと違って集金に来てくれるのだからこちら側には全く負担にならないから、当分の間、集金人に支払うシステムは続くのだと思う。（それに、何カ月目か毎に、次の何カ月か分の継続を申し入れるとお礼といって野球のキップなどを呉れるのも魅力だと妻は言っていた）
NHKの受信料の方はケーブルテレビ料金と込みになってここ何十年は口座振替になって自動的に支払うようになっており、そもそもNHKの集金人というのがわが町にまだいるのかどうかも知らないが、近年は、電気代にせよガス料金にせよ、集金人という仕事がどんどんなくなってきて自動化されているように思う。
事務の合理化という意味では電力会社にせよ、ガス会社にせよ集金に掛かるコストと手間が大幅に削減でき、利用者側にしても自動振替の方が面倒臭くないからこれからもどんどん集金人という仕事は減っていくのだと思うが－－－母がいっていたように「仕事がなくなって集金のおばさんがかわいそう」という事態が起きているとしたら―――そうそう、無責任に喜んでもいられない面もあるような気がする。
我が家の近くに郵便局の本局があるのだが、そこには夥しい数の配達用のオートバイがあり、多くの配達員が朝早くから、夕方暗くなるころまでこれを使って駆けずりまわっているが、聞くところによると、メール、SNSなどの普及により今や郵便物の数は激減、民間の（といっても日本郵便も民営化されているが）配送業者との競合も激しく、「郵便配達」という仕事はなくならないまでも「将来は大幅減員が予想される職業」の上位にあるという。
あの夥しい数の配達用の赤いオートバイと、ポストマン達が数年後には消えていくのか―――と思うとなんだか淋しくなってきてしまう。
世の中では、一方では様々な分野で「人手不足」が言われているから、時流にのって受けに入っている人達もいるだろうが、時代に取り残されて行く人達もたくさんいる－－－ということが、リタイアした身のタカさんとしては気になって仕方がない。
（4/19/18 10:00pm）
2018年4月13日
欠けたマグカップ
普段使っていたマグカップが柄の所が欠けてしまった。
どこで買ったのかも記憶にないデザインもありふれた安物だが、少し大ぶりなカップで10年近く愛用していたこともあって洗っていて手を滑らせて欠いてしまった時には、大分がっかりしてしまった。
ところが「カップが欠けてしまった！」と言ったら、妻が何事もなかったかのように、「ああ、あのマグカップならもう一つあるわよ」といって棚の奥から模様も何もすっかり同じ、しかも真新しいマグカップを出してきた。
妻もいつ買ったのかは覚えていないそうだが、きっとどこかのセールに並べられているのを買ったのだろうと言っていた。（それにしても女性とは、なんでもかんでも思いつき買ってくるし、しかも物持ちのいい種族だと感心する）
それからは、その新しいマグカップを毎朝使っているのだが―――10年も使いふるしたあのマグカップに比べて、同じデザイン、同じ大きさ、とはいうものの、新しいカップは何かが違う―――使いふるした感がないというか、カップの色がくすんでいないというか―――マグカップとしてはどうでもよいような点だが―――。
なにしろあのマグカップは10年以上毎朝使っていた品だ！という思い入れがあって、新しいカップにはまだ「愛用の品」というほどの愛着がないのかもしれないから、そのうち何年も使い続ければこの新しいカップにも愛用の品としての愛着が湧くとは思うが－－－。
「使い古し感」という第三者には分からない価値とは一体何だろう。
個人ではタカさんのマグカップの例のように、自分の使い慣れた身の回りの品には高い価値を付ける傾向がよくあるが、必ずしも個人レベルの話ばかりではないようで、サンクコスト（埋没費用）という経済用語もあるように、企業等の集団においても往々にして「使い古し感」という安心感はあるよにも思う。
成功の見込みのないと分かっているプロジェクトでも、長年やっていると愛着が湧いてきて、本当なら早く見切りをつけて次のプロジェクトにとりかかるのが合理的なのは明らかなのに、それまでに投入した努力やコストを考えるとあきらめがつかず、更にムダな時間やコストを更に投じてしまうということがよくある。
発明王エジソンは「私は失敗したことがない、ただ、1万通りのうまく行かない方法を見つけただけだ」といったし「失敗は成功の母」という超ポジティブな言もあるようだが―――いつまでも失敗に拘泥せず、現実はむしろ「失敗は失敗でしかない！」とあっさり諦める方がよいのかもしれない。
半値以下に下がってしまった株、もう体のサイズに全然合わなくなっている昔のブランドものスーツ等々、ムダなのに愛着故に捨てられないというものは実に多い―――。
現実の政治において森友、加計、防衛省とこれだけボロボロの状態が続く安倍内閣に人々の愛想も付きかけているような気がしないではないが―――。
代わるに足るべき野党も、安倍首相に代わるべき総裁選候補も、現内閣以上に頼りないとなれば―――欠けたマグカップでも我慢して使っていくしかないのかなぁ〜という気がしないではないが―――日本の政治の現実が悲しい―――。
（4/12/18 10:00pm）
2018年4月6日
見頃は何時？
「三日見ぬ間の桜かな」とはいうが数日前の桜吹雪がウソのように我が町のさくらもすっかりと葉桜になってしまい、今年の花見の季節は終わってしまったようだが、桜前線はまだまだ東北を北上中で見頃はこれからというところも多いから、（青森の弘前城址公園のさくらなどは５月の連休中辺りが見頃だとか）遠出する気さえあれば、まだまだチャンスはある。
花見の季節といえば日本人の大半の人々が、名所という訳ではなくとも近くの公園や川堤といったところに出かけて一瞬たりといえどもさくらを愛でているのではないだろうか、こんなに恵まれた環境にあるのだから日本人に生まれてよかった――とおもう。
もっとも世界には、日本のさくらのように、季節になるときれいな花が咲き誇るところは多いが、日本人ほど国をあげて一つの花をめでる国民はいないような気がする。
ジャカランダの花が一斉に花開くロスアンゼルスや南アフリカでもあんな見事な花を見に出かけるという風習はないようで、日本人とさくらの関係を思うとなんだか狐につままれたような気分になる。
もっとも、最近はこの花見の風習が日本人だけのものでもなくなってきているような気もしないではない。
ここ数年、花見に行くと中国、台湾、韓国、タイといったアジア地区からの観光客がふえているのを感じていたが、今年は「東京のさくらが見頃になった！」とネットなどで聞いて中東や欧州からの花見客が殺到したため中東ドバイからの日本便が3月末は超満員で予約が取れなかった―――というのだからさくらの花見もいよいよグローバルスタンダードになってきつつあるのかなぁ〜とも思えてくる。
そういわれてみれば、千鳥ヶ淵や靖国神社に花見に行った時、アジア系に加えて今年は、欧米系の花見客が増えているなぁ〜と感じた訳だ！
例年、いちどは旅行がてら東北などに花見に出かけていたが近年は余り行かなくなってしまっている。これは大体の場合、パックの花見ツアーで行っていたのだが、早い時期に予約が満員になってしまうので随分早い時期に申し込んでしまい、「まだ咲いていない」とか「もう散ってしまった」といった具合に見頃を外すことが2－3年続いた所為であったのだが、考えてみればリタイアの身であれば時間は都合がつくのだから、ドバイからの花見客のように「丁度見頃になったぞ！」と聞いてから、おもむろに出かける－－－などという方式に変えればよいのだが―――。
パック旅行の簡単さ（身一つで出かければ後は旅行会社にお任せ！で済む）を思うと―――ちょっと躊躇してしまうが－－－。
（4/05/18 10:00pm）
2018年3月30日
靖国のさくら
さくらの開花宣言というのがあるが、日本各地の気象台の近くにあるさくらの木（大阪などは庁舎内の庭にあるらしい）を標準木と定めその標準木に5－6輪ほどのさくらが咲いた時をもって開花日としているらしい。
東京の場合、標準木は靖国神社の境内にあり、大手町の気象庁からは2キロ程はなれているが、これは以前、気象庁が現在の竹橋のところにあって靖国神社のすぐそこだった時の名残だそうで、気象庁を移転する際に標準木も変更すればよかったのに、「折角、靖国神社にあるものを変更するのも―――物議をかもしかねないから」とお役人一流の事なかれ主義で（？）でそのままにしたものらしい。
心なしか、毎年、東京のさくらの開花日が早くなっているような気がして、地球温暖化の影響を心配する向きもあるが、さくらは老木になるほど開花が早くなる傾向があるそうで、ソメイヨシノの平均寿命といわれる50年をはるかに超えている靖国の標準木（樹齢は80年ほどになるという）が、年々、早咲きになってきている？（人間だって歳をとると自然と早起きになるのと同じか―――）所為かもしれない。
今週火曜日、靖国神社そして千鳥ヶ淵のさくらを見てきたが丁度8分咲き位の感じで気象用語的にはこの頃を満開というらしいから、まさに見頃であり、今年は何か縁起がよいような気がしてうれしくなった。
靖国神社は今、平成31年（2019）の150年蔡に向けて境内の整備が進んでおり、境内の屋台や花見席が全てなくなり、美しい庭園風に整理されているから、上野や墨堤公園のような花見客の宴会風景はなく、落ち着いてじっくりとお花見ができる。
日本人にとって花見の賑やかさはそれはそれでこころ浮きたちよいものではあるが、静謐な神社の境内で心静かに眺めるさくらも又この上なく良い物だ。
タカさんにとって靖国と千鳥ヶ淵の花見は、これからも益々、欠かせない東京一のお花見スボットであり続けることだろう。
さくらの花を見ることの良さは、花の美しさに加えて、日本人ならではの無常観を感じるからではないだろうか。今年もさくらの木の下から薄曇りの空を背景にして映える満開のさくらを見ながら、来し方行く末のこと、そして今は亡き人々、今在る人々のことを考えたが、この時ばかりは気分だけは、いにしえの歌人の気分になれた。
あと何年こうやってさくらを見ることができるだろうか―――。芭蕉の名句「さまざまなこと思いだすさくらかな」が心に染みる一時だった。
（3/29/18 10:00pm S.T.）
2018年3月16日
残業ゼロの課題
世の中、何事に限らずとかくムダが多いのはたしかだ。働き方改革が言われているけれどその基本は「ムダを省こう！」という事だ。
ムダな会議、ムダな書類、ムダな残業、etc、――。ムダを省くことができれば働き方改革の目標は達成されることになる―――という訳だが、それが使用者側（経営者側）にとっても、働く者の側にとっても「良い事」であるならば労使挙げて皆が賛成し、同一の目標に向かって努力するのだから、「働き方改革」に反対する人などいないはずなのに、項目によってはそうはなっていない（ムダな会議等というのを止めようというのには99％が賛成しているのに―――何故か減らないが）のは、「働き方改革」に何か不都合な点があるからに違いない。
例えば、働き方改革の一つのターゲットである「労働時間の短縮」、例えば「残業ゼロ」が実現したら―――正直、いって毎日、毎日、定時に旦那さんが帰ってくると聞いたら（タカさんの世代では特にそうだった）、サラリーマンの奥方は新婚時代ならともかく、「勘弁してよぉ〜」となっていたが、多分、今のサラリーマン家庭でもそうではないだろうか。
それに、月平均残業が30時間ぐらいあるサラリーマンは、残業代が最低でも月6－7万円はついているだろうから、ある時会社側が「今月からは残業禁止、皆、定時には帰宅するように」というお触れを出した場合、着実に月収が6－7万円減る訳で、残業が減った分だけ収入が減ったがプライベートな時間が増えた―――！と素直に喜べない人も出るのではないだろうか。（手取りが増えないのに、物価はじわじわ上がっている昨今では特に－－－）かといって残業ゼロにして給料を月6－7万円上げる－－－などという芸当のできる会社があるとは思えない。
働き方改革の目標である「何事も合理化」にしてみても、経営者側にとっては良い事といえるかもしれないが、働く者の側にとっては喜んでばかりはいられないことも多いのではないだろうか。合理化といえばその最大の物は「人件費」だが、その人件費をとことん合理化するには例えば究極の無人化を計ればよいことになるが（機械や、AIならば一日24時間、残業代もなしで働いてくれる）、そうなるとそれまで職場で働いていた人間はすべて「合理化」される訳で―――しまいには経営サイドの人間までもAIに代替されて「合理化」されてしまうことになるかもしれない。それが「働き方改革成就の姿」なのだろうか―――。
昔、聞いたことのある落語にこんな話があった。節約を信条にしている働き者の夫婦がいて使用人を十人使って商売をしていたが、どうも十人では多いようなので五人減らしたところ何とか間に合う。それではと奉公人全員に暇を出したのだが、それでも商売は回っているので、この店の主人、おかみさんを離縁して一人で切り盛りしはじめたが、それでもどうにか店の商売は上手くいっている――遂に店の主人は―――自分もどこかへ行ってしまった－－－というのだが―――。
働き方改革法案とやら、何となく最後はこの落語の話に似てきたような気がしないではないのだが。
（03/16/18 9:00pm S.T. ）
2018年3月13日
野球場へ行こう
野球の観戦はやっぱりテレビ観戦より野球場で観戦する方がずっと楽しい－－－というのは確かだ。
先日も今年はじめてZOZOマリーンスタジアムで行われた待ちに待った千葉ロッテのオープン戦に出かけた。
半年ぶりにいつものファン仲間との再会も果たして盛り上がったし、マリーンズが巨人相手に初戦勝ちしたし―――と満足したのだが―――オープン戦という所為もあって、本物の試合の方がテレビ観戦の数倍もいいか－－－となるとちょっと首をかしげたくなるような所もあった。
まず、何よりも屋外の球場は寒いという点だ。野球は本来「野外でやるもの」だったのだから当たり前といえばそうだが、何せこの時期、海に近いこの球場の寒さは、神宮などの他の屋外球場に比べても一段と寒い。特に二連戦の二戦目は試合中ずっと曇りだったし、マリーンスタジアム名物の風も吹いていたから体感温度は物凄く低くて震え上がりながらの観戦だった。温かい物でも売りにくれば少しは助かるのだが、場内売り子のお姉さんたちが売って歩くのは、生ビールとコーラばかり――この寒さで生ビールとは、いかにお姉さんたちが美人ぞろいといえども、罰ゲームのようなもので、売れ行きはさっぱりで、売り子のお姉さんたちが気の毒になるぐらい。（ホットコーヒーを売っている娘さんが一人いたけれど、急いで捕まえないとたちまち売り切れてしまう有様）
現場観戦のもう一つの不満点は、テレビ観戦ですっかりなれてしまったビデオ再生がないという点だ。いままで余り気にしなかったのだが、この半年、マリーンズが昨年パリーグ最下位でレギュラーシーズンを終えて以来、プレイオフも日本シリーズもテレビ観戦ばかりを見慣れてしまった所為で、ワンプレー毎、ほとんど一球ごとの、ビデオ再生や球筋の解説に慣れ切ってしまっていてビデオ再生もない、球筋の解説もない現場観戦は何となく物足りない気がしてしまった。
家に帰ってから録画しておいた試合を再生して、ファインプレーや盗塁の場面を何度も再生して確認したのだから、よく考えてみると最初から、暖房の聞いた我が家で温かいお茶でものみながら、場面毎に何度も録画を巻き戻して確認していた方が（どうせオープン戦なら）十分だったのでは－－－と思わないではなかった。
大相撲にしても、本場所を見に行くとあの独特の雰囲気は、何とも言えず良い物だが（特に熱燗を一杯やりながらの観戦となると最高の気分だが――）野球と同じで、ビデオ再生がないし、特に物言いがついた時、テレビだと直ぐに何度もビデオで再生してくれるのに、本場所では遠くの土俵で何があったのかさっぱりわからず不満も残る。
公式戦が始まれば、少しは暖かくなってくるだろうし、マリーンズは昨年は何せ最下位だけに、もうこれ以上、下はないのだから安心してみていられるし―――昨年は何かと忙しくて20回しか行けなかったマリーンズの試合だが（一昨年は40回）今年こそは年間50回観戦記念バッジをゲットすべく頑張ろうと思っている。
（03/12/18 9:00pm S.T. ）
2018年3月9日
無量大数
一日は86400秒（3600秒x24時間）である。
従って一年は3153600秒、タカさんが生きてきたのはその約70倍の220750000秒（約22億秒）である。
生まれてこのかた、一秒も休まず、1から一秒に一つずつ数を数え続けても未だ22億（10の９乗台）に到達しただけで、10の10乗台（100億秒）に到達するには、後350年近くかかる計算になる。
乗数で考えると、宇宙開闢の138億年から今までの秒数にしたところで、まだ10の9乗秒に（しか？）達していないというから、仏教でいう一番大きな数字の桁である「無量大数」10の68乗（諸説あるが）の59乗も小さな数字ということになる。
こうなってくると、数の概念というのは、日常我々がつかっている数字の概念とは全く違ったスケールの物なのだということを思い知らされるではないか。
（何度もいうように）タカさんは、囲碁・将棋は全く知らないので、正しいのかどうかも分からないのだが、将棋の場合、一手ごとに次の手の可能性が大体、平均10手はあるという。
ということは、一局の決着がつくまで平均すると大体130手位かかっているということだから、初手から終局まで両者の打つ手の可能性は、10の130乗平均あるという計算になる。
すなわち将棋一局の間に打ち手は、無量大数よりも更に52乗も多い手数の可能性を極めて短い対局時間中に判断しているということになる。
最近はコンピューターとプロの対局で時にはコンピューターが勝利する、といった話も聞くようになったが、（機械ならそんなこともありかなという気もするけれど）人間の知能がそれに未だに対抗しているし、名人クラスになるとまだまだ人工知能が超えられていないというのだから－－－すなわち、10の130乗ほどの手の可能性を一局の間の短い時間中に考え、判断しているということになる。
そう考えると、人間の能力というものは、実に神をも超えたレベルにあるのではないか―――。
そんな神の能力をそなえている可能性のある人間であるにもかかわらず、他人は勿論、自分の心理さえ読み取れず、常に失敗を重ねているというのはどういうことだろうか。
きっと、人の世は無量大数の無量大数乗ほどの変数をもった世界だということになるのだろうか。
（03/08/18 9:00pm S.T. ）
2018年3月2日
セサミストリート
スーパーのレジの所で4歳ぐらいの男の子に、お母さんが「ほら、急がないと英語教室に遅れるわよ！」と急かせていたのを見て、小学3年生からの英語の必修化が2020年度から実施されるとは聞いていたが、英語教育熱はここまできているのか〜とあらためて驚かされた。
そういえば、娘夫婦は帰国子女同士で一応英語には不自由していないようだが、その影響からか孫娘にも3－4歳のころ幼児英語教室に通わせていて、何度か送り迎えしたことを思い出した。授業料が高すぎたのか、余り効果がなかったからか、短期間でやめてしまって、最近は専らダンス教室に力こぶをいれているようだが、孫娘には、あの時の英語教室の成果がいくらかでも残っているのだろうか。
タカさんの世代、英語教育は、中学1年から必修になり高校、大学まで６年以上に亘ってみっちりと叩き込まれたはずだが、「英語、特に英会話は得意」という人は、正直数えるほどしかいない。
よくいわれるのは、日本語に囲まれ、洋画にしても吹き替えや字幕があるし、小説やその他の文献にしても、全て英訳本がある環境では、英語を流暢に使えるメリットをほとんど感じない日本人は、英語の必要性を感じない為に、怠け者の脳はそれを覚えようとしないから英語には不向きだといわれるが―――そんな気がしないではない。
なるほど、ベネルクス三国のように多くの隣国と接し、隣村の人と話すにも、その村人のしゃべる言葉ができないと何かと不便－－－という国にいる人は4か国語、5カ国語喋れるようになるという例を聞くと、島国日本は、外国語習得の環境にない、という話は、そうかなぁ〜と思わないではない。
こういった環境が変わらない限り、小学校から英語教育を始めようが、3歳から始めようが、日本人がベルギーや、ルクセンブルクの人たちの様に何カ国語もの外国語を喋れるようになるとも思えず、スピードラーニングやら幼児英語教室をもうけさせるだけ、かもしれない。
そういえば、長い間、NHKで「セサミストリート」という子供向け英語教育番組をやっていて、幼かった娘が、あの番組で流れていた英語の歌を、物凄くいい発音で歌っていて感心したことを思い出す。
成長してからの娘の英語の発音が、親の欲目かもしれないが、日本人離れして聞こえたのは、小学校入学前に毎日見ていた「セサミストリート」のお陰かな～と思ったものだったが－－－。
孫娘の英語の発音を聞いたことがないけれど―――あの、幼児英語教室の効果が少しでも残っていてくれるといいのだが－－－。
（03/01/18 9:00pm S.T. ）
2018年3月1日
兵糧攻め
タバコへの世の中の風当たりは強い。しかし、風当たりが強い分、たばこ産業すなわち日本ではＪＴ（日本たばこ産業）の業績は好調で同社は国内たばこ事業ばかりではなく海外のたばこ事業にも進出しており、今やたばこ事業の売上では海外の方が国内より1.5倍も多いという世界一のたばこ資本になっている。
その理由としては、ＪＴは世界唯一の「国が最大株主のたばこ会社」であり、外国のたばこ産業は嫌煙運動の高まりや、度重なる訴訟のリスクなどの理由から次々と株主が撤退しているところをＪＴが肩代わりしていったという歴史があるからだ。
まあ、そういう意味では日本政府は昔からの相場の格言である「人の行く裏に道あり花の山」を行っている訳だが―――最近は、そうとばかりは言っていられないようで、「日本政府は、人々の命と健康を犠牲にして儲けているではないか！」という世界からの非難にさらされているという一面が強いとか。
いかに業績好調とはいえ、この傾向が強まると、その内に「健康に悪い企業にはいくら儲かるとはいえ投資するのは犯罪的だ！」という風潮が強まり徐々に株主離れが起きて、政府以外からの融資にも支障をきたす―――などという事になりかねない。
トランプ大統領が昨年離脱を発表した「パリ協定」だが、世界のトレンドは間違いなくパリ協定推進で動きだしている。パリ協定の目標は「産業革命前に比べて地球の平均気温の上昇を２度未満に抑える」というものだが、この目標を達成するには脱酸素を早急に図らないと最早、暴走的に温度上昇が始まってしまう――というものだ。
パリ協定の目標の根拠となっている試算にどれほどの科学的根拠があるのかは、議論のあるところだが、トランプ大統領以外の人々はこの科学データを信用しはじめており、今や「脱酸素」が大きな潮流になりつつある。
たばこ産業に対する風当たり以上に、今や二酸化炭素排出産業（すなわち化石燃料企業）に対する風当たりは強い。
ダイジェスト運動という「自然エネルギ―企業への投資を計ると同時に、化石燃料産業への投資からの撤退運動」が今や、世界レベルで起きており各地の市場では少なからぬ力を持ちつつある。
たばこ産業における圧力と同じく、「地球の環境を壊してまでも、儲けに走るとは――この、恥さらしめ！」という訳で、石炭、石油、天然ガスなどの今まで人々の羨望の的であった企業やそういった化石由来のエネルギ―を大量消費する産業は、今後、株主の撤退、融資の縮小などという動きに巻き込まれるだろうともいわれている。
まあ、昔流にいえば「兵糧攻め」という訳ではあるが、巨大化した資本市場ならではの新しいトレンドともいえる動きだけに注目しておく必要があるのではないだろうか。
（2/28/18 10:00pm）
2018年2月28日
ラッダイトは起きるか
羽田空港周辺の公道でバス自動運転の実証実験が始まったと言う。運転者が同乗していない、いわゆるレベル4といわれる完全自動運転の実証実験だというから、いよいよ、完全自動運転車が一般車に混じって公道を走るようになる日も近づいてきているようだ。
自動運転車に対する安全性の信頼が今一つの現状では、「お猿の電車じゃあるまいし」と抵抗を示す市民も多いとは思うが、今や巡航速度では完全自動操縦のジェット旅客機の方が人の操縦する旅客機より遥かに信頼度が高いように、その内、「あの車は人が運転しているからアブナイ！」といわれるようになるかも知れない。
今のＩＴ技術の進歩のスピードを考えればそんな日が来るのも案外、早いのではないだろうか。（今だって、認知症気味のドライバーが45万人はいるというし、酒酔い運転だってあるのだから、「人だから安全」とは言えない）
現在、「ゆりかもめ」が全自動運転であるようにその内、空港周辺の交通網はどんどん自動運転化され、それが日本全国に広がっていって――――という日もそう遠くないかもしれない。
そうなると、利用者の安全性は増すだろうし、ひょっとして全自動運転化によるコスト削減によって運賃だって安くなるかもしれない。
機械化、省力化によっていい事ばかり－－－という気もしないではないが―――バスの運転手などの仕事がなくなると、ここに問題が出てくるような気がする――というかそれが最大の問題だとも思う。
現在日本で運転手という仕事についている人の数はトラックドライバーで80万人、バスドライバ―で14万人、タクシードライバーが35万人はいるという事だが、もし日本の車が全部、完全自動運転になったとしたら、130万人の人が職を失う、という計算になる。これは大変な数であり、大社会問題になるのではないだろうか。
自動運転ではないが、アメリカでは携帯電話のアプリでタクシーを仲介するウーバー
というシステムのお陰で素人ドライバーがプロドライバーのタクシー運転手の仕事を奪いつつあり、サンフランシスコなどではタクシードライバーの組合が、市当局に対してウーバー参入規制を働きかけているという。
市当局も「市民の利便」を重視するか「働く者の権利」を重視するか悩ましいところだ。
IT化、自動化によって「消えてなくなる職業」が夥しく出てくることが話題になって久しいが、それが段々と現実味を帯びてきているようだ。
考えてみれば産業革命が起きた時、繊維産業で働くイギリスの労働者が「ラッダイト運動」という機械打ち壊し運動をやったことがあったが－－－。
ひょっとしたら、第二次ラッダイト運動が起こるだろうか？
（2/27/18 10:00pm）
2018年2月23日
母は正しかった
「朝の蜘蛛は縁起が良い」という諺は小さい時に母に教わった。
それ以来、午前中、家の中に蜘蛛を見つけた家人が騒ぐと、そっとその蜘蛛を捕まえて家の外に放してやっている。
母は、「蜘蛛は何も悪い事はしていないし、命あるものを意味もなく殺生してはいけない―――」と仏様のような事を言っていたが、ハエやゴキブリを叩くのはためらわなかったのとは統一性ななかったような気がしないではなかったが－－－。
先日、CNNをみていたら、あの母の言葉が実は科学的根拠に基づいていたのではないか―――と思えるニュースがあった。
地球上の蜘蛛は、年間に推定4億～8億トンの昆虫を捕食し、害虫駆除に大きな役割を果たしているという研究結果がスウェーデンの大学などの研究チームから発表されたというのだ。
この研究成果によると、蜘蛛の捕食する昆虫の量は、あの巨体を持つクジラが年間に捕食する水産資源量年間2億8000万～5億トンと匹敵する量だというから驚くではないか。
ハエ、カ、ゴギブリといった昆虫も悪気があってする訳ではないのだけれど、伝染病や寄生虫を媒介するという意味では人間にとっては害虫であるし、森林や農作物を食い荒らす昆虫も広い意味で言えば人間生活にとっては害になる部分が多い（勿論、益も多いが）。
そういう意味では、こういった害虫を大量に捕食してくれる蜘蛛は人間にとっての大益虫ということになる。
害虫だからと言って殺虫剤などを撒いて自然界の何億年もの営み出来上がった自然のバランスを徹底的に崩してしまえば、そのしっぺ返しは、人間のみならず地上の生態系に多大な損害を与えるだろう。
そうである以上、自然の仕組みの中で人間の営みの側にたって、適度な量の人間にとっての害虫を駆除してくれる－－－蜘蛛は、自然界が送ってくれた人間にとっての味方ということができるわけで－－－やたらめったら蜘蛛を駆除してしまう等と言う最近の傾向は、大変な過ちだということになる。
やっぱり、母は正しかったのだ。
（2/22/18 10:00pm）
2018年2月14日
ナマコ酢はどこへ？
初めてジャマイカにった時、サンゴ礁に泳ぐ熱帯魚をみようと、浜辺から数十歩歩みだした時、何かを踏んづけてしまい、何とも気味の悪いそのグニャリとした感触に「ギャ―ッ」と叫びそうになってしまったことがあった。
何だろうと海中を覗いてみるとまるでウ○コのような物体がそこかしこに沈んでいるではないか―――！そういえば、海辺でビーチボーイに「シーキューカンバーがあるからビーチサンダルを履いて海に入った方がいいよ！」といわれたことを思い出し、「ジャマイカの海のキュウリ」すなわちナマコを踏んづけてしまったのだっ――！と気付いたのだが―――あの何とも言えないふんにゃりとした感触を思い出すといまでも身震いがする――。
日本では酒席でお通しなどとして珍重されるナマコだが、そのの旬といえば冬、しかも青森辺りの寒い海で獲れるもの―――といった先入観があったので、まさか暖かいカリブの海にナマコがあんなにうじゃうじゃいるとは、想像できなかったためのドッキリだったわけだが―――。あの時、ナマコという奴は実は世界中の海にいる結構したたかな生物であるということを（身をもって）体験した訳だ。
そういえば、漱石の「吾輩は猫である」の中の一文に「はじめて海鼠（ナマコ）を食い出せる人は其胆力に於いて敬すべく」と書いてあったが、確かにあのグロテスクな（う〇このような）代物を、食べてみようと思った人物は、あれを食べて自殺でもしようとしたのか―――それともよほどの変態かであって、漱石のいうように「胆力」があるから―――という訳でもないような気がする。
昔は、冬のこの時期魚屋に行くと必ず海鼠が並んでいて、奥さん連中がよく買っていたものだったが、この数年、近所のスーパーや魚屋、いや結構大型スーパーにさえ海鼠をみることがなくなったような気がする。
昨年の冬だったか、チェーンの大衆居酒屋に行った時に、店員のお嬢さんに「ナマコ酢あります？」と尋ねたら「はぁ――？」といわれたことを思い出す。奥に聞きにいってくれた結果が「すみません、置いてないそうです」といわれ、冬の最中、居酒屋にももはやナマコがない時代になったのか―――とつくづく、自分の古さというか、時代がすっかり変わってきている感覚を味わったものだが―――。
一月ほどまえ妻にそんな話をしたら、それ以来、妻も買物に行く度に探してくれているけれどナマコをうっているところはないと不思議がっていた。
ネットで探すと通販ではあるようだが、そこまでして食べたい！という訳でもないあ代物だけに、このままこの冬はナマコ酢を食べない内に終わってしまいそうだ。
（2/15/18 10:00pm）
2018年2月14日
今日は何の日
同級のちょっと可愛い女の子の自宅電話番号の下五桁が82－5674だったことを今でも忘れない。
語呂合わせで読むと「パンツ、ゴムナシ」という結構笑える番号であることに気付いたからだが――（さすがに、この語呂をからかい半分で、彼女に伝えるということはしなかった）
鳴くよ(794年)ウグイス平安京だの、いい国(1192年)作ろう鎌倉幕府、など歴史年号を覚える際にも、語呂というのがよく使われるし、歴史年号や電話番号などの無味乾燥な数字を覚える際にはこれが実に役に立つ。いまでも何か数字を覚えようとするときには、思わず語呂合わせを考えてしまう―――というのがタカさんの癖だ。
外国にはこの語呂合わせというのがあるという話は余り聞かないが、ひょっとしたら日本特有の文化（？）なのかなぁ〜とも思う。
タカさんの車についているナビは朝一番でエンジンをかけると「今日は、ｘ月ｘ日、ｘｘの日です」という「今日は何の日」案内を言ってくるが、この「今日は何の日」の中には、それらしい歴史的由来のある物（例えば憲法記念日や、天皇誕生日といった）は少なく語呂合わせから記念日になっている物が多い。
この2月に入ってからも2月9日が「服の日」だったり2月10日が「ニットの日」だとナビが言った時には、思わず「クッダラネェ〜」と一人ツッコミをいれてしまったものだったが、結構笑えてドライブに出る幸先としては明るい気分になれたものだ。
明日2月14日は、言わずと知れたバレンタインデーで当然、タカさんの車のナビも「今日は2月14日、バレンタインデーです」とアナウンスするだろうが、ここのところ毎年、このナビの声を聞くと、タカさんとしては「違うだろ！今日はフンドシ(2.14)の日だろうよ！」という一人ツッコミを入れている。
2.14の語呂合わせが「フンドシ」になる！ということを何年か前に気付いたタカさんだったが、その時、ネットで調べてみたら実は「日本フンドシ協会」と名乗る団体が実際にあって、この協会が既に2月14日を「フンドシの日」として制定し2月14日に（なんらかの）行事を行っているらしいしと知って驚いた。
ネットによれば、一部のデパートではバレンタインデーとフンドシの日が同じ日だということに因んでか、「バレンタインデーには、チョコレートではなく男性用下着を贈ろう！」などというキャンペーンを行った！とも聞いて、つくづく「日本人って、ユーモアに溢れているというか、ヒマ人だなぁ〜」と思ったものだった。
チョコにせよフンドシにせよ、タカさんにとってはもはや縁遠い世界の話ではあるが。
（2/13/18 10:00pm）
2018年2月9日
御恩と奉公
源頼朝が鎌倉に幕府を開き強い権力を持てたのは彼に従う武士（御家人）たちが頼朝政権に対して強い忠誠心を持ち鎌倉政権に敵対する勢力と戦ったからだが、この鎌倉政権に対する武士達の忠誠心すなわち「忠義」の源にあったのは、「御恩と奉公」の関係であったことはよく知られている。
「御恩」とは将軍が御家人達それぞれの功績に応じて領地を認めその支配権を保護するばかりではなく、あらたな功績があれば新しい領地を与えるなどする事だが、御家人たちは、その「御恩」の代償として、将軍に忠誠を誓い、将軍に一朝事ある時には一族を率いて「いざ鎌倉！」とはせ参じて将軍の為に命を賭して戦ったのだ。
鎌倉幕府が滅びた原因は、フビライハンによる元寇に抗するべく幕府の呼びかけに応じて、はせ参じた御家人達の「ご奉公」対して、報酬としての「御恩」として与えるべき新たな領地がなかった――すなわち、幕府がこの「御恩と奉公」のギブアンドテイク関係を果しえなかったからだ。
後世、武士の徳目として美化されることになった「忠義」ではあるが、そもそもの成り立ちは「ギブアンドテイク」のソロバン勘定が大本にある――ということを頭に入れておく必要がある。身も蓋もない言い方になるが所詮、人が徒党を組む、派閥を作る理由の根本には自分にとって「得になる」という計算があってのことなのだ。
自民党の第三派閥である額賀派でクーデター紛いの紛争が起き、参議院メンバーを中心に会長に退任要求を突き付けた問題は、結局、額賀氏が会長を退任し、後継会長には副会長を務める竹下亘党総務会長が就任する方向で「調整」することになったという。これも、鎌倉幕府崩壊の理由と同じように、額賀派という派閥の領袖が、派閥メンバーに対して十分な報酬を与えることができなかった―――すなわち「ギブアンドテイク」関係が成り立たなくなったから――と考えればきわめて分かり易い。
かつては「カネとポスト」を握っているとわれた派閥に属していない限り自民党で代議士を続けることは不可能といわれた時代もあったが、政治資金規正法による政党交付金が党に配られるようになってからは、かつてのように派閥領袖の資金力に頼る必要がなくなり、又、公認権やポスト配分においても派閥の力がすっかり衰えてしまっている以上、最近は自民党議員にとっては派閥に属する意義がすっかりなくなってきており、いまや「女子学生達の仲良しグループ化」しているのだそうで、「仲良しグループ」ならば、「いてもあまり楽しくないグループ」に居る必要がない！と思うメンバーが増えるのも当然で、その不満分子たちが「なぜ楽しくないのか？」と考えた時、自分達にいい目を全然見せてくれないリーダー（会長）に批判の矛先を向けるのはある意味、自然の成り行きだったのではないだろうか。
昨今の額賀派では次期首相を狙えそうなボスらしいリーダーもおらず、先の内閣改造でも美味しいポストにありついたメンバーもそれほどいない―――となれば、派閥のボス然として居座っている額賀氏に不満の矛先が向くのもある意味では自然の成り行きだったのではないだろうか。
自民党第三派閥での出来事なので、鎌倉幕府崩壊のような大変動の予兆とも思えないが――政界に限らず、人の世における組織維持の難しさを改めて思い知らされる出来事ではある。
（2/08/18 10:00pm）
2018年1月26日
博士たちの受難
日本人の科学部門のノーベル賞受賞者の多くがそのキャリアの多くの時期を欧米の大学や研究機関で過ごしている。
日本の研究者が世界に雄飛し、海外の第一線で研究を行っている―――と考えれば誇らしさも感じるが、これは裏を返せば日本の研究環境が世界のレベルに比べて劣っている――ということなのではないかとも思う。
研究のレベルを比較する際に、よく「一年間の研究論文数」が挙げられるが、全米科学財団が発表した2016年度の科学研究論文数によると、中国が（43万本）と初めて米国（41万本）を抜いて世界トップに躍り出た一方、日本は（前年度の4位から）ドイツ、英国、インドに次ぐ6位に転落したという。
中国の論文数伸び率がこの10年で180％も増えているというのに比べ日本の場合、過去10年に比べ13％も減っているというのだから確かにガタ落ちといったところで、これもすなわち日本の研究環境がここ数十年でよくなるどころか劣化しているのではないかと思わせるに十分だ。
新聞によれば、中国を始めとする新興勢力の各国が研究開発費を大幅に増やして力をつける一方、日本ではこういった研究を担う若い世代の研究者たちが疲弊しているのだとか。
研究論文を書く、という具体的な仕事の担い手はいわゆる博士号をもつ人たちだが、彼等が研究を続けるためには必須な生活の安定が中々得にくい現状にあるという。
今週号のニューズウィーク誌によれば、高度経済成長期の1965年の博士課程修了者は2061人、この年の大学教員の需要数は3037人と全員が大学教員として就職したければ就職でき、安定した生活基盤の下で研究に没頭できる環境があったのだが、2017年ではなんと14人の大学院卒の博士のうち一人しか大学教員職にありつけない、という超就職難にあるという。
半世紀も前だったら「末は博士か大臣か」などといわれ、憧れの職業であった研究職が今やまかり間違えば、文無しレベルになってしまう―――というのでは、彼等の研究も進まないだろうし、論文数もガタ減りするのも当然かもしれない。
折から、京都大学のiPS細胞研究所に所属する助教が中心となって去年発表した論文の11本にねつ造などの不正があったことが分かったというが、この不正を行った助教も、10年間という期間採用だったそうでその期限が残り1年と迫っていたために、契約延長の為に論文の実績を上げようとしていたのではないかともいわれている。
日本の誇るiPS細胞研究に汚点を残す不正ではあるが40代だというこの助教が自らの職の不安定さからつい手を染めてしまった論文不正だとしたら―――こういった劣悪な研究環境を放置している我々国民と国も、反省し根本的改善策を考えなければ「科学立国」「技術立国」が遠い夢に終わりはしないかと危惧する次第。
（1/25/18 10:00pm）
2018年1月19日
売上減の原因
朝飯を食べに近所に出かけることがあるのだが、どの店にいくかを決める際のタカさんの基準は、何を食べるかではなく、その店が完全禁煙かどうかである。
最近とみに煙嫌いのタカさんにとっては、分煙の店でさえ例え仕切られてはいても喫煙席から漏れ出してくる（ような気がしているだけなのかもしれないが）煙が気になって折角の朝の気分が台無しになってしまうから、なにはともあれ「完全禁煙」の店を選ぶことになる。
チェーン店全店が、完全禁煙というスタバや、マック、すきや、ロイヤルホストといったところもあるが、最近はタカさんの家の近くのサイゼリアとかジョナサンの店も全店終日禁煙になっているから店のレパートリーは増えが、その分、以前行っていた店でも、いまだに分煙を掲げている店からはすっかり足が遠のいている。
そういえば、先日読んだ記事によると、今から4年程前に全店舗完全禁煙を打ち出したマクドナルドの業績がここにきて年率2桁成長と絶好調なのに、ハンバーガーの味的にはマックよりずっと美味いと評判のモスバーガーが絶不調に陥っており、昨年も2％近い売り上げ減に見舞われているのだとか。
勿論、様々な要因が重なってのマック好調、モス絶不調なのだろうが、可能性としては「マックの完全禁煙、モスが店によっては分煙制」が業績に大きく影響しているのではないか、という説がささやかれているのだとか。
全体的に日本人の喫煙率は下がっているが、特にハンバーガーの顧客層である若い世代や女性、そして子供連れのファミリー層にとっては、喫煙席から漏れてくる煙が嫌で、禁煙席でさえ近くに分煙席があると敬遠してしまう人も多いとか―――それに、人手不足の折から、アルバイトなどの従業員がタバコの煙のある喫煙席の掃除をするとか、灰皿を掃除するのをいやがって分煙システムの店の求人広告には、中々応募してくれないというから、これもじわじわと業績に影響しているようだ。
そういえば最近、同窓会とか同期会のような集まりに行くと、（タカさんと同年代の男女おじさん、おばさんが30人近く集まる）一次会の会場はまず間違いなく禁煙だし、居酒屋やカラオケで開かれる二次会でも禁煙が普通になっている。
2020年の東京オリンピックに向けて「タバコのない五輪」を目指した厚労省などの「受動喫煙防止策を罰則付きに強化する法改正案」が昨年の国会では自民党の「たばこ議員連盟」などの反対で頓挫したが、その時の議員連盟の反対理由が、「全面禁煙にすると中小の店などの客足が減って飲食業界が打撃を受ける」というものだったが、少なくともタカさんが知っている朝飯、昼飯業界（？）や、おじさん達の飲み会レベルでは、議員連がいうのとは全く逆、すなわち「全面禁煙にすれば飲食店の売り上げが増える」という現象が起きている――。
現在日本人の成人の喫煙率は19％、しかし国会議員の喫煙率はなんと70％にのぼるというから―――国会議員の先生方が、飲食業界の売り上げ減の原因になっている―――等ということもいえるのではないだろうか。
（1/18/18 10:00pm）
2018年1月12日
なつかしい方言
少年時代をどっぷり鹿児島弁に浸って暮らしていたタカさんにとっては、今でも本当の鹿児島弁を聞くことは、すなわち少年時代を思い出すことであり思わず頬が緩んでしまう出来事なのだが、ちょっと前までは、テレビドラマなどで聞く全国的に分かり易くディフォルメされて本場の鹿児島弁と似ても似つかない言葉になってしまっているインチキ鹿児島弁を聞くのは逆に苦痛でもあり腹立たしく感じることもあった。
例えば「おいどんは〜、xxでごわす！」などというセリフが使われることがあったが、知らない人は、「これが鹿児島弁だぁ！」などと思うかもしれないが、タカさんの育った鹿児島では、自分のことを「おいどん」などという友だちやら先輩はいなかった。
男は自分のこと（僕）を「おい」、相手のこと（標準語の「君」に相当する）を「わい」といっていた。(女の子は「あたい」と言っていた）現在でも、自分のことを「おいどんは〜」などという鹿児島県人はいないし、もしいるとすればそれは現代の東京で自分のことを「拙者が〜」といっているような変わり者だ。
鹿児島弁を聞いたり、桜島の映像をみたりすると今も懐かしさで心が動かされるそんなタカさんだけに、今年の大河ドラマが「西郷（セゴ）どん」だと知りもう何年も見たことがなかった大河ドラマにチャンネルを合わせてその第一回を見たがここで使われている鹿児島弁のセリフには結構満足し、嬉しくなった。
第一回はこれから一年続く大河ドラマのイントロダクション的な回であり、西郷さんの子供時代、その頃の薩摩隼人の教育システムである「郷中教育」の紹介といったドラマの背景等の説明に終始していてまだまだ物語の本筋には入らないもののそれなりに次回以降の回に期待を持たせるものだったしなによりも、初回を見る限り、今までのドラマのような嫌らしいインチキ鹿児島弁が改善され、本場の鹿児島弁にかなり近くなっていたことに物凄く好感をもった。（敢えてケチをつければ、ドラマのタイトルを「西郷どん」（セゴドン）ではなくタカさんたちが子供の頃に西郷さんのことを呼んでいた「西郷さぁ」（西郷さん）にして欲しかったが―――。
思い出してみるとタカさんの小学校では、黒板に書かれた「今月の目標」などに「標準語をしゃべりましょう！」といった標語が掲げられていたことがあったし当時「鹿児島弁をしゃべるのは恥ずかしいこと」みたいな指導がなされていたけれど、あれから半世紀以上が経過、当時とは逆の「方言を大切にしよう」運動のようなものがあることが影響しているのだろうかテレビや舞台での鹿児島弁の方言指導がかなり改善（ナマのものに近く）されているようで実に好ましいことだと思う。
そうそう「西郷どん」の初回の中で使われていた「やっせんぼー」（ダメな奴）という言葉とか、「義をいうな！」（つべこべ言うな）などそれこそ50数年振りに聞いたような気がしたし、少年時代に悪友たちとケンカをしていたころをまざまざと思い出した。ふるさとの方言という奴は本当にいいものだと思う。
（1/11/18 10:00pm）
2018年1月9日
古く希なり
昨年末にタカさんは古希を超えた。
タカさんが生まれた70年前だと日本人男性の平均寿命は50歳（女性は53歳）だったというのだから当時なら70歳といえば確かに「古く希なり」といわれるとんでもない長寿だった訳だが、今や日本人男性の平均寿命が81歳（女性は87歳）でありそれからすれば70歳はまだまだ若造の部類かもしれない。
すなわち男性に限ってもこの70年間で平均寿命がなんと21年も伸びたというのだから日本経済の伸びに従っての日本人の栄養状況の改善だとか、医療技術の進展などなどまさに近代化による恩恵を一番受けている世代にいるのがタカさんの世代といえるのかもしれない。
平均寿命は一体どこまで伸びるのだろうか？という疑問が湧いてくる。
この20年間では年間大体0.2歳程度ずつ伸びている。この調子がそのまま続くかどうかはその方面に詳しくないタカさんには見当もつかないが、もし続くとしたらタカさんが今現在の日本人男性の平均寿命である11年後になると平均寿命は0.2Ｘ11年、すなわち2.2歳のびていることになるから、もしその頃にタカさんが寿命を迎えていたとすれば皆に「平均寿命前に亡くなって―――若死にでしたねぇ〜」なんていわれる可能性だってあるということになるし、もし11年後に、70歳になった人が「古く希なり」などといって祝いでもやっていたらそ結構「時代錯誤だ」と笑われるかも知れない―――。
シンギュラリティ―（AIの能力が人間の知能を超える転換点）が2045年までには起きるだろうという御宣託をしている人工知能研究者のカーツワイルは、平均寿命の伸びもこれからは等比級数的にではなく指数関数的に伸びる可能性があるとも言っているから、彼の予言に従えばヒトの平均寿命の伸びはいつか一年間の間に一年以上伸びることもあり得る！ということであり、いつの日か人は永遠に平均寿命に達し得ない生物、すなわち不死の生物になり得るという未来予想すら現実味を帯びつつあるのかもしれない。
永遠に死なない、それは永遠に死ねない、ということでもある訳で―――果たしてそれが人にとって幸せなことなのかどうか―――と思う時、今のタカさんは「古く希なり」の年齢を越したこと、そして平均寿命までなら後10年余りの猶予がある―――と思える今が一番、幸せな時なのではないか―――、とも思うのだが―――。
（1/08/18 10:00pm）
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