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日々早々エッセー
バックナンバー集（2017年1-6月分）
201年上期の各月バックナンバー：1月、2月 3月 ４月 5月 6月
＜＜2017年：1-6月分 タイトル＞＞
06/30 勝負メシとビリビリ財布 06/28 オツカレ！ 06/23 上手の手から水が漏る 06/16 756号40周年 06/12 ペットも減っている
06/09 改憲便乗を許すな 06/1 ずっと来るからね 05/31 女性宮家には無理がある 05/26 自然と人工 05/18 公務員増員
05/12 自然の生態系破壊？05/09 年上女房 04/21 勝負と潔さ 04/14 8万年の旅 04/11 酒が飲める国 04/07 見上げるさくら
04/03 モンロー91歳 03/31 水掛論争 03/30 あすかⅡの乗客 03/28 賛同者が多いかも 03/24 なくなるョ 03/21
低い投票率 03/17 何年入社？ 03/10 ひざ枕で耳かき 03/03 過重労働の責任 03/02 1185か1192か 03/01 北海道が乗っ取られたら
02/24 プレミアムフライデー 02/17 ポルトガルの道 02/10 360度地平線 02/03 留学生減少 01/31 携帯は必要か 01/27
検査結果は信用できるか？ 01/23 横綱稀勢の里 01/20 デパートってなに？ 01/13 量子論と仏教哲学 01/10 幸せな世界 01/06
おせちは飽きた 01/01 2017年新春の所感
2017年6月30日
勝負メシとビリビリ財布
藤井聡太4段が新記録となる「将棋公式戦29連勝を達成」というニュースが世の中を賑わせている。まだ14歳の中学生というのだからスポーツ界同様に「若手の台頭」に爽快感を持つ向きが多いのだろう。
世の風潮に流され「藤井4段がどれぐらい強いのか」を、少しでも実感してみたいものだと、対局の動画中継などまでもチェックしてみたが、そもそも将棋の駒の動かし方ですら覚束ないという将棋知らずであることもあって、一体、どこをどう見たらいいのかさっぱりわからない。
テレビでも盛んに対局場面やら解説をやっているけれど、たとえばカーリングやあるいはバドミントンならルールを全く知らなくても、ポイントを決めた側の、ガッツポーズやら、取られた側の悔しそうな表情などから、勝負の帰趨は何となく分かるが、将棋となると棋譜など全く読めない身にとっては、対局の何処をどう見たらよいのかさっぱり分からない。
第29戦の際には、解説者の「今は、藤井さんの方が少し有利」だとか「互角」といったコメントは聞こえてくるものの、どこが互角なのか、どこが有利なのかもわからない身にとっては、すぐに飽きがきてしまった。
まあ、中では、29戦目昼飯時、一生懸命盤面を見つめて熟考する相手の前で、対局中の藤井4段が手渡された昼飯のメニューをじっくりと見たあと「勝負めし」として950円の豚キムチうどんを注文し、布製のマジックテープ式財布をバリバリと音を立てて開け、小銭で払っている場面が一番面白かった。（ネットでもすぐに「ウマソー」だとか「バリバリ財布、中学生らしくて、カワイイ！」などという書きこみが殺到していたし、我が家の奥さんのコメントも「藤井君のお母さんは、まだ中学生の息子にどうしてお弁当を作ってあげなかったのかしら？」というものだったから世の関心もそちらの方にあったようだ）
この先、藤井聡太4段の連勝記録がどこまで続くのか、世の中、益々フィーバーしていくのだろうが、そうは言っても、今までどちらかというとマイナーだった競技の卓球が女子の伊藤美誠選手や、男子の張本智和選手と言った13歳、14歳の活躍によって一気に「中学生が今一番やりたいスポーツ」の上位に躍り出たほどのフィーバーにまで育つかというと―――、ちょっと難しいような気がしないではない。哀しいかな、将棋の場合、テレビ向きのゲームではないのかも知れない。
タカさんが、恥ずかしながら碁将棋に不調法なのは、生来の「負けず嫌いと臆病」という性格からである。すなわち、「負けて悔しい思いをするぐらいなら、最初から勝負を避けることで、悔しい思いをしないで済ませたい！」などというなんとも不甲斐ない浅慮から、碁将棋に関しては「教えてあげる」という人の数々の親切な申し出を、ことごとく断ってきたからである。（思い起こせば、小学生の頃、父方の祖父が再三再四将棋を教えたがってくれたが、いつも逃げ回ってしまったことが、今思えば残念だ）
「勝負めし」と「ビリビリ財布」以外にもう少し、将棋の見どころを知りたいとも思うが―――「六十の手習い」の時期を過ぎた今となっては、やはり無理だろうか―――。
（6/29/17 10:00pm）
2017年6月28日
オツカレ！
「日帰りバスツアー」に参加したことがあるが、30分なり40分毎に下車してお寺なり神社なりを参拝してバスに戻ってくる度にガイドさんが「お疲れさまでした」と迎えてくれる。時には高速のサービスエリアでの15分程の「トイレ休憩」から戻った時でも「お疲れさまでした」と言われる。
まあ、いやな感じはしないけれども、余りに度々言われつづけると「別にションベンしてきただけなのに―――お疲れさまと言われるほど年寄りじゃないよっ〜」と言い返したくなることもあるぐらいだ。
この「お疲れさま」は、今や、外国人が日本語を習う際のテキストにも「あいさつ」の一つとして載っており、日本で働く外国人にとっては「必須」のことばになっているというが―――少なくとも30年以上前にはなかった「あいさつ」だと思う。
たしかに、昔から噺家の世界などでは高座を終えて楽屋に下がってきた師匠連に弟子たちが、「お疲れさまでした」と声をかけるのが礼儀だ、ということはあったようだし、逆に師匠（目上）が前座（目下）に「お疲れさま」とは言わない、というのが常識だったとも聞く。（自宅の掃除などをしている内弟子たちに師匠が声をかけてねぎらう場合には「ご苦労さん」が使われているとか）
この新しい日本語あいさつ文（？）、逆に英語にはないという。「おはよう」が‘good morning’(良い朝を)だとか「おやすみ」が‘Good night’(良い夜を)といった直訳するとおかしな言葉にはなるが、言葉のニュアンスとしては共通の訳語があるけれど、「お疲れさま」を直訳して’You must be tired.’などと言おうものなら、首を傾げられるのが関の山だ。
かといって、タカさんの電子辞書に無理無理の訳文として出てくる「お疲れさま」の英文訳’appreciate your hard work.’ だと落語の師匠が弟子にかける｛ご苦労さん｝に似た上から目線感がたっぷり過ぎて、バスガイドさんのいってくれる「お疲れさまでした」に感じるやさしさたっぷり感はないように思うし、やっぱり正確を期すならば「お疲れさま」の英訳は「そういう表現は英語にはない」と書くべきだろう。
まあ、古いタイプのタカさんに言わせれば「お疲れさま」は、「近年使われ始めた新しいあいさつの一つ」位の位置付けなのだが―――。
先日、娘の家に留守番に行っていた時、小3の孫娘が学校から「ただいま！」と帰ってきたとき、孫娘のおばあちゃんである妻は「オツカレ！」といって出迎えていた。
この頃は、「お帰りなさい！」という日本語は廃れ、遂に「お疲れさま」または「オツカレ！」にとってかわられたのだろうか。
（6/27/17 10:00pm）
2017年6月23日
上手の手から水が漏る
もめている者同士の中に割って入り仲裁したり裁定したりするにはそのタイミングが難しい。両者が「絶対に譲れない！」と息巻いている最中に、下手に間に入ると、両方から恨みを買ってしまい、揉め事が却って大きくなってしまう――等という事態にもなりかねない。すぐに決着がつく子供の喧嘩などの場合、昔から「子供の喧嘩は、下手に仲裁に入らない方がよい」というのも、タイミングの事を言っているのだ。しかし、喧嘩が長引いてにっちもさっちもいかなくなっていて、両者ともに「そろそろ、誰かが助け舟をだしてくれないかなぁ〜」と思っているような頃合いをみて「まあまあ、まあ」と仲裁に入ると案外、両者が簡単に矛を収める、ケースもあるからやっぱりタイミングだ。
あの東海道新幹線で今も利用客数最低という駅、岐阜羽島駅を強引に作らせ、岐阜羽島駅前に銅像が立つ大野伴睦は、かつて名仲裁者として名を馳せたが、彼の仲裁者・裁定者としてのテクニックは単純明快、ただ両者の間に入って言い分を聞き「足して二で割る」案を提示することだった。
このままもめていてもラチがあかないと喧嘩に嫌気がきている両者だけに、半分自分たちの意見が通っているなら、半分は相手方の意見を受け入れてもよい、という思いになりがちだし、そこに加えて大物政治家大野伴睦が「ここは、俺の顔を立てて、この辺りで手を打ってくれ！後は、悪いようにしないから！」といってくれれば、共に「わかりました、先生にお任せします！」ということになったのだった。
もっとも、そんな「足して二で割る」方式が、幅を利かせていたのは、まだまだ「義理人情」などという古い日本型問題解決システムが厳然と存在し、大野伴睦のような、「大物」「顔役」といわれるフィクサー達が暗躍していた半世紀も前の話だ。
豊洲に移転であらかた纏まった卸売り業者（一次卸）と豊洲移転反対、築地に残りたい、という中卸業者達の揉め事に、都知事選の小池派対反小池の政争が割り入ったがために、ひっちゃかめっちゃかになってしまった豊洲移転か築地存続かの争いだが、卸業者の側には都議会自民党の影が漂い、一方、仲卸の側には自民党という敵役を作ってそれを叩くことでのし上がってきた小池知事、それに小池さんに肘鉄を喰わされてもなお下駄の雪のようにくっついて行こうとする民進党をはじめとする勢力がくっついて、大騒動になってしまったが、漸く今週、小池知事が「築地は守る、豊洲は活かす」というなんとも中途半端な裁定を下したことで一段落するかと思いきや―――筑地派も豊洲派も「なんじゃ！これは！」と息巻く始末で、いままで盛り上がってきた小池人気も「決め切らない知事」「素人」「浅知恵」等々の悪罵の声が渦巻きはじめた。これでは、圧勝が伝えられた都議会選挙での「都民ファーストの会」の思わぬ苦戦も考えられなくもない。
小池さんとしては、かつての大野伴睦流の「足して二で割る」案ならば、両方の側が受け入れやすかろうと思ったのだろうが、そもそも大野伴睦と違って小池さん自身が完全中立の立場の仲裁人ではなく、この問題の当事者であることから、どんな仲裁・裁定案を出しても「行司がまわしを付けて取り組みに分け入ってきた」ようなものだったことが問題だし、あれだけ「情報公開」を看板にしていながら、今回の「二兎を追う」案の発表にあたっては、わずか5分で会見を打ち切り、二市場存続に一体どれほどの都民の税金が使われるのか、さらには二市場存続で採算はどうなるのかといった一切の質問に答えることなく会見場を後にしたことも実に印象が悪かった。
そういえば、大野伴睦の「足して二で割る」方式には、当時も少なからぬ批判があった。「足して二で割る」のは、両者の意見を取り入れた一見良い方法に見えるかもしないが、要するにその決定自身が「中途半端で意味がない」という物だった。
いま小池さんを取り巻く批判もまさに「中途半端で意味がない」というものであることを考えると――――小池さんという「上手の手から水が漏った」というのが今回の裁定案だったように思う。
（6/22/17 10:00pm）
2017年6月16日
756号40周年
14日、東京ドームで行われたプロ野球セパ交流戦巨人対ソフトバンクホークス戦の5回終了後、突然、現在ソフトバンクホークスの王貞治会長が登場しセレモニーが始まった。
何事か？と思ったら、それまでの通算ホームラン世界記録であったハンク・アーロンの755号を抜く、通算756号目を当時巨人軍の王貞治一塁手が打ってから40周年を記念するセレモニーだという。
折からのソフトバンク戦でもあり、東京ドームに駆けつけていた王会長登場し花束を受けていたが、---「もうあれから40年も経ったのか！」と、色々な思い出が浮かんできた。
王は、81年に現役を引退し、助監督などを務めたあと巨人軍の監督に就任、優勝一回の成績を残しながら、88年（東京ドームがオープンした年）に優勝した中日に12ゲーム差を付けられ2位に終わったことから、監督就任わずか5年で、フロントから責任を問われる形で事実上の解任（形式的には辞任）されてしまった。
王・長嶋のON砲として長く巨人軍の人気の中心にあり、しかもホームランの世界記録を作った日本野球界の最大の功労者といってもよい王を「石もて追うがごとく」放逐した読売ジャイアンツに多くの巨人ファン、王ファンが憤激したものだったが、あの時からも既に30年近くの年月が経っているのだ―――。
王は、その後、94年には当時のダイエーホークスの監督に乞われて就任して、九州のファンには「ホークスの王」として知られるようになった。今、プロ野球界では最強の球団ともいわれるホークスだが、王が監督になった初年度などは、余りの弱さに怒ったファンから生卵をぶつけられて、さすがに温厚だった王も激怒した―――などというエピソードも思いだされる。
すっかり、ホークスの王監督として馴染んだこともあり、今や30代より若い世代（いや40代でさえも）は、王貞治がかつて巨人軍の4番バッターであったことを知らないというから、その点では王の選手引退後は、巨人軍のもう一人のヒーローでありいまや巨人軍名誉監督となっている長嶋とは、随分違った道を歩んだ物だと思う。
そういえばタカさんが子供の頃の巨人軍のヒーローといえばあの背番号16番の川上哲治だったが（もっとも、その頃は既に大分盛りを過ぎていて‘テキサス（安打）の哲’などと呼ばれてもいたが―――。そんな川上でも今や彼の現役時代を知っているのはタカさん世代より上の世代だから、あと、30年、40年たてば川上哲治選手のことを覚えている人などいなくなり、ただ野球記録に残っているだけになるだろうし、同じく更に何十年か経てば王貞治選手もそうなっていくのだろうか―――。
いや〜あ、色々考えさせられてしんみりした「王選手756号40周年記念セレモニー」だった。
（6/15/17 10:00pm）
2017年6月12日
ペットも減っている
タカさんのご近所でも少子高齢化が進んでいるなぁ〜と実感するのは、まず少子化でいえば、町内で小学校や幼稚園に通ういわゆる学童の姿をめっきり見かけなくなったことだ。確か、町内の「子供会」は、もう10年以上前に会員数不足から解散してしまったと聞く。その逆に高齢化を実感させるのが、同じく自治会内にある老人会（レインボーだとかなんとかという洒落た名前だが）の会員が増える一方だという事実だ。市が町内に建ててくれたレインボークラブ会館（？）では、様々な趣味のクラブ（カラオケだとか、ゴルフ等々）の活動が賑やかに行われているらしい。（タカさんはまだ参加したことはないが）
やっぱり元気な子供たちの声が聞こえなくなってきたということは、いかに元気な高齢者がふえているとは言え、この先10年、20年が経った時にはその高齢者たちも順次亡くなっていくことだろうから、この町内は、やはり相当に寂しい町になっているのではないか？と思わないではないが―――。
最近、読んだニュースによると、2000年頃には急激に増えた日本のペット（イヌ、ネコ）の数だが、最近は急激に減り始めているのだとか。調べてみると確かに特にイヌの場合、2011年には1200万頭いたものが、この6年程で一気に200万頭以上減り、遂に1000万頭の大台を割っているという。
日本のペットの数は、イヌ、ネコそれぞれ約1000万頭、計2000万頭近くいるというが、イヌだけでも年間4-50万頭ずつ減っているということは、こちらも人間社会同様に人口（？）減少化が進んでいるということなのだろうか。
たしかにタカさんのご近所でも、子供さんが結婚して家を出て行く際に、可愛がっていたペットを親許に置いていく―――というケースが多く、10年程前には、夕方になるとタカさんと同年代の人達が娘の置いていったイヌを夕方、散歩に連れて歩いている姿をよく見かけたものだったが―――。
そんな「娘の置き土産イヌたち」も十年も経てば、段々と死んでしまい、残された老夫婦（？）達も、自分達の老い先をかんがえたら、これから20年近くも生きるであろうペットを飼って、もし自分達が先にしんでしまったら―――などと考えるて―――新たに飼いはじめるのを諦めてしまった――という家が2-3軒と言わずかなりある。
確かに子供達が独立して家を出ていった直後の50代ならば、まだ本人達も元気だし、夫婦二人だけでは会話も少なくなってしまって寂しいから〜とペットを飼いはじめたりもしただろうが、やはり自分達が70代、80代となってくるとこの先、10年あるいは20年近く生きるかもしれないペットを飼いはじめるのは無責任にも思えて〜と飼育を諦めるというのはタカさんも理解できる。
現在、日本の16歳以下の子どもたちの総数は、1700万人余りと、既にイヌ、ネコの総数（約2000万頭）よりはるかに少ないが、この先は、少子化により益々減って行く。今は増えている高齢者（65歳以上）数だって、これから先は、「老人年間死亡者数」の方が上回る時期がくるだろうから減っていくことは確実だ。それに加えてペットの数も減り続けていくというのだから―――。
20年、30年後の日本は随分と寂しい国になっているのかもしれない。
（6/11/17 10:00pm）
2017年6月9日
改憲便乗を許すな
一票の格差の問題が繰り返し司法の場で争われてきているが、参議院についても、最高裁が、４倍を超える格差に対しては、違憲状態にあるという判決を出してきている。
しかしながら、「国権の最高機関」と規定する国家の議員さんたちの中には、人口の少ない選挙区から選出されてきており、この格差是正がなされると議席を失いかねないという連中がいて、この連中が「少数派の意見を国政に反映できなくなる―――」といったもっともらしい理由を付けて定数是正（この場合、彼等の選挙区を隣の同じく人口の少ない選挙区と合区する案）に反対し中々定数是正が進まないのが現状だ。
多数決ばかりが民主主義だといった乱暴な事を言い張るつもりはないし、少数意見の尊重や、「とことん議論を尽くす」という民主主義のコストともいえる良い面も大いに生かしていくべきだとは思うが、さすがに同じ一票の重みが都会の人口の多い地域と、地方の人口の少ない地域とでは5倍も6倍も違う―――というのでは、いかになんでも「民主的」の正反対ではないかと思う。
「いや、地方に住んでいる者の困難さに配慮すべきだ」という声も聞こえるが、それはとりもなおさず「都会に住んでいていい目を見やがって！」という地方の僻みにも聞こえなくはないし、都会に住むということは（物価も高いし、環境派よくないし等々）それなりに地方にはない困難だってあるのだ！という文句が一票の格差をつけられて権利を軽視されている都市部からは出そうだ。
そんなことを言いだしたらキリがない。一票の格差問題、やはりできれば憲法が保障する「法の下の平等」の原則を尊重して国会で各党の合意が得られる範囲（できれば、2-3倍以内が好ましいが）の定数是正が進められるべきだと思う。
しかし、ここに来て参議院に於ける一県二議席を残したままでは、一票の格差が縮まらないという点を勘案した合区案（鳥取と島根、高知と徳島等）が本決まりになりつつある段階でこの選挙区の議員を中心に、「合区反対論」が息を吹き返しつつある。しかも、そのやり方が何とも姑息で汚い。「合区反対論」は最早一票の格差問題の前では世論の賛同が得られないとなるや、改憲案の中に「一県二議席を明記すべきだ！」という便乗案が浮上してきたのだ。
憲法が一票の格差の元凶である一県一議席を違憲だというなら、憲法を変えてしまえ！というとんでもない暴論だ。
いってみれば、日本国憲法がよって立つ「多数決による民主主義」を、何が何でも参議院議席にしがみつきたい一部のジコチュウ議員の私欲のために、根本から変えてしまおうというのだから―――。
改憲論議のドサクサに紛れた合区反対論は、絶対に許してはならないと思う。
（6/08/17 10:00pm）
2017年6月1日
ずっと来るからね
あの娘の命日近くの日のお墓参りも早い物で今年はもう16回目になる。
娘の墓は、我が家からは50キロ以上ある狭山の静かな丘陵の中にあるからかつては妻と二人、車で墓参りにいったものだったが―――その頃は、往復でも3時間ちょっとで行けた物だったが―――。
年齢と共に50キロもの道のりを高速道路を運転して往復すると、年々悪くなる視力の所為もあって神経がくたくたになるほど疲れるようになってきたので、助手席に座る妻も心配だと言いだし始めたこともあって、近年は電車を使ってのお墓参りに行くことが多くなってきた。
今年の命日のお墓参りも、妻と二人、花と線香を手にもって電車で出かけた。
乗り換えを2回、ゆっくりと各駅停車を使ったこともあって、霊園の最寄り駅についたのは自宅を出てから2時間以上経ってのことであった。
さて、ここから狭山丘陵の坂道を登っていかなければならない。十年も前なら、駆け上がるように一気に上った道も、かなしいかなえっちらおっちらと踏みしめながら登らざるを得なくなっている自分に驚く。（体重が増えた所為もあるが間違いなく足腰は年齢なりに衰えてきているようだ）
振り返ると妻も青い顔をして必死に上っているではないか。登坂といってもおそらく距離にしたら、せいぜい3-400メートル位なのだろうが振り返ってみると狭山湖の堰堤がかなり下に見えるから高度は大分稼いでいるようだ。
坂道を登りきったところで二人は荷物を下に於いて一休み―――いやはや二人ともに「老夫婦」ということばがぴったりだと笑い合ったりもした。
お墓はそこから、更に先に進んで少し坂を下ったところだ。
お墓を掃除して墓にはたっぷりとお水をあげて、あの娘に似つかわしいと妻が選んだ明るめの花を飾り、お線香をあげて、好きだったチョコレートやマンゴーをお供えしてから二人でゆっくりとお参りした。
もう17年目をむかえようとしてはいるけれど、こうやってお墓の前にたたずむと、あの娘が亡くなるまでの26年間の楽しい思い出と、そしてあの娘を失ってからのあっという間の16年間が走馬灯のように思い浮かび思い出がつきることはなかった。
「お父さんもお母さんも、歳をとっては来たけれど、二人とも元気に生きて、そして生きていてこの坂道を登れるかぎりは、お墓参りにくるからね」そう呟いてお墓を後にしたが、帰り道は下り坂で楽なはずなのに――ひざががくがくして駅についてからは二人ともへたり込むようにベンチに座りこんでしまった。
（5/31/17 10:00pm）
2017年5月31日
女性宮家には無理がある
天皇の退位に関する特例法案が、民主党が条件としていたが自民党内には反対論も強かった「女性宮家」を「検討する」という文言を決議案に付帯することで合意した。
「退位したい」という天皇個人の意思が、国会を動かし法律に反映される―――ということになる訳で、「天皇は政治には関与しない」という日本国憲法の大原則に反すると考えられなくもないけれど、戦後すぐに天皇も一個の人間であることを自らの「人間宣言」で表明した天皇であり、その言葉を、戦後70年以上に亘って「天皇も一人の人間だなんて、当たり前のことじゃないか」と納得してきた日本人にとっては、「辞めたいという個人の意思を尊重して何がいけないか！」ということであり、おそらく国会では全会一致で可決されるのではないだろうか。（ところで日本共産党は天皇制をみとめているのだっけ？）
憲法9条があるから自衛隊は違憲だ！と憲法を盾に神学論争的護憲論を掲げる憲法学者が7割いるといわれているが、今回の天皇の「お言葉」を契機としての退位法案（？）については、イチャモンを付ける憲法学者なんて皆無だといういい加減さを考えてみるとそもそも今の憲法がいかに現実に合わない不都合な憲法であるという事実をあらためてつきつけているようなものだ。
ところで、「女性宮家」である。付帯決議でまだ「検討する」とされた程度だから、女性宮家創設が本決まりになるにしても少なくとも後3年や4年はかかるだろうから、正直言って今現在「女性宮家」候補である秋篠宮家の二人の内親王（眞子さまと佳子さま）は、おそらく結婚されて皇籍離脱している可能性が高く間に合わないだろう。残るは女性宮家候補として残るのは皇太子家の愛子さまだけということになる。彼女は現在15歳だから、まさか3-4年先に結婚しているということはないだろうから、「女性宮家」第一号になる可能性はある。
冒頭の天皇も個人であり、個人が「辞めたい」と言っている以上は、それをダメだとは言えないという話に戻るが―――不遜ながら―――もし愛子さまがその時「私は女性宮家なんかになりたくない！」と個人の意思で述べられた場合、「いや、法律で宮家になることから逃れることはできません！」などと言えるものだろうか―――。
憲法がいう「職業選択の自由」は当然皇族にも認められるべきだとすれば、本来退位したいという天皇が退位するのも、宮家に残りたくないという皇族が皇籍離脱するのも自由のはずだが―――。コチコチの憲法学者さん達のご意見を聞いてみたいものだ。
愛子さまが女性宮家になられて結婚されて男の子が生まれた場合、もしその男子が将来天皇になられるとしたら―――神武天皇（神話上の人物らしいが）以来連綿とつながっている神武天皇のY遺伝子（男性だけがもっている性遺伝子）を持たない天皇が史上はじめて出現することになり、いわゆる「万世一系」は途絶えることになってしまうが――――。
あれこれらを考えてみると、どうも女性宮家創設による「皇室の継続」という考え方は、あちこちに無理がありそうだ。この際、ＧＨＱ令によって皇籍離脱させられた旧宮家の中の男系の中から何人かの方に皇籍復帰してもらう―――なんていう方策も考えた方がよいかもしれない。
参照「女性天皇」11/07/05
（5/08/17 10:00pm）
2017年5月26日
自然と人工
「自然」の反意語といえば辞書には「人工」とある。
確かに「自然を守ろう」というスローガンが声高に叫ばれると「自然を守るには人間がいなくなることが一番だろうに」などと天邪鬼な揶揄の声をつぶやいてしまうが、例えば「里山の自然」などといえば、里山といういわば人工の環境を、人が管理することによって、ドジョウやカエルといった自然の生物が帰ってくるし、それをエサとするコウノトリやトキが戻ってきて―――等々、まさに「里山という美しい人工の自然」などといった自己撞着的な矛盾に行きあたってしまう。
日本の首都、東京のど真ん中にある皇居の森には、実に豊かな自然の生物が生きていることを知れば、ああ、やはり人が入り込みさえしなければ「自然は守られるのだ」と思い勝ちだが、そんな皇居の森も実は、宮内庁の職員たちがこまめにその環境を維持するために手を入れることを知れば、まさに「自然を守るためには人間が必要」ということになり、辞書のいうように自然と人工は反意語ではない、と言いたくなる。
先日、「世界盆栽展」を観にいったけれど、あの自然を写したかのような幽玄な盆栽という植物の美は、実は何代にも亘る盆栽の保有者たちや、盆栽作家たちの「人工」の手がはいっているからこそあの見事な美しさを保てているのだと気が付いて、なんとも複雑な気持ちになった。盆栽を人工の物とは言い切れないし、逆に自然の物か？といわれれば、そうは言いきれないような気がする。
先週の「ダーウィンがきた」で知ったのだが、かつてイギリスの森や田園のいたるところに済んでいたハリネズミは、そういった森や田園が失われたことで、いまや大都会の住宅街を住処として繁栄しており、住民たちもそれを温かく見守っているという。生物が気候をはじめとする地球環境の変化に柔軟に対応し、その生息域や暮らしぶりを変えて進化してきたことを知れば、ハリネズミにとって今や大都会という人の住む環境こそが「自然」であると言ってもよいような気がした。
そう考えれば、外国から人間によって連れてこられたいわゆる「外来生物」が、それまでその地にあった「在来種」との生存競争に打ち勝ち、その地で繁栄していることを「自然環境を守ろう！」という勝手な（？）な掛け声のもとに目の敵にして駆逐、駆除してしまうことこそ「自然破壊」なのではないか―――とも思うのだが――。
（5/25/17 10:00pm）
2017年5月18日
公務員増員
どこの国でも公務員という職業は人気がある。
日本では、人気の秘密は、きれい事的には、憲法第15条に「公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」」と規定されている通り、他の職業のように特定の個人なり集団（例えば、株主だとか、上司だとかといった）の利益の為に働く仕事ではなく国などの県や市といった「公」、すなわち社会の為に働いているのだ！といういわゆる「生きがい」が強く感じられる仕事だからという理由が挙げられる。
もちろんそういったきれい事理由ばかりではなく、「よほど悪い事でもしない限りクビにならずに定年まで勤められる」という職の安定性だとか「業績にかかわらず年齢が上がるごとに定昇が見込める」とか「民間に比べて給与水準が高い」といった点が公務員人気の本音の理由と言っても過言ではない。
「なんで公僕と言われ、国民の税金によって何で彼等にそんな厚遇を与えるのか！」といったヤッカミ（？）を込めた批判がよく聞かれるが、この厚遇については公共経済学では幾つかの理由が言われている。
まず、一つには、「クビにならない」「給料はいいし定年まで職が確保されている」といった厚遇を失う可能性がある、不正などに手を染める事がなくなる―――という理由だ。（目の前にある小さな不正に手をだして、一生を棒に振るようなことをする公務員はいないだろう）という訳だ。
更には、公務員という職は、体制あってこそ保証された職業であり（革命政権や反体制派政権では旧体制の維持の為に働いていた公務員は排除されてしまうかもしれない）、それ故に体制側にとっては公務員が多いということは「味方が多い」ということにもつながる。
又、高い給与を与えることによって直接的な業務の成果が見えにくい公務員という仕事に対するやる気をアップさせるという効果もある。（ヘンリー・フォードが、1914年に労働者の給料を倍に引き上げたところ、フォードで働きたいという人が殺到し、又フォードで働いていた人はもっとがんばるようになり結果フォードの業績は飛躍的に伸びたという例もある）
韓国の新大統領文在寅氏の選挙公約の一つに「公務員を81万人増員する！」というのがあった。韓国の公務員総数は現在既に90万人といわれるから、まさに公務員倍増政策であるが―――。
日本同様、韓国でも、クビになることはないし、給料などの待遇もよい公務員は、財閥系の超エリート従業員でさえその大半は40代後半では退職を余儀なくされるし、いまの若者の大半が超就職難で苦しんでいるだけに、この文在寅氏が若者達の圧倒的支持を得た理由もうなずけるけれど―――大丈夫なのだろうか。日本同様、この公務員の厚遇を提供する財源は国民の払う税金であることを考えると、経済状況が悪化の一途をたどっている韓国で果たして、この公約を実現できるかは大いに疑問のあるところだが―――。
公約を果たせなければ歴代の大統領同様、文在寅さんも、国民の支持を失い哀れな末路を迎えないとも限らない―――発足したばかりの政権に縁起でもないことかもしれないが―――一言、懸念を申し上げておく。
（5/17/17 10:00pm）
2017年5月12日
自然の生態系破壊？
2011年に起きた東北大震災と大津波は、死者・行方不明者18500人という甚大な被害を及ぼした「自然災害」であった訳だが、この津波によって沖合に流された漁船や生簀、桟橋といった沿岸部にあった物、家屋などの陸地の建造物、ガソリンタンク等々は、約500万トンに及んだという。
海に流れ出たこういった瓦礫と言われるものの多くは、漂流物となりその内、約7割は日本近海の海底に沈んだと思われるものの、残りの約3割（150万トン）は、漂流を続けその多くは震災の翌年ごろからハワイ、あるいは北米の太平洋沿岸に流れ着いているがその漂着は震災から6年が経った今も続いており、更に海底付近をゆっくりと漂っている瓦礫などの北米漂着は、これからも続くのではないかと予測されているとか。
「漂流物150万トン」といわれても一体どれぐらいの量なのか―――とてもイメージできないが、先日テレビニュースで見た韓国の漁業者が不法投棄し日本の日本海側に流れ着いた過酸化水素水入りのポリタンク6000個（総量せいぜい数トン）でさえ驚くほどの量だったのだから、150万トンともなれば、とんでもない量になるだろうし、そんな量の漂流物が押し寄せている北米西海岸の人達の驚きと困惑は想像を絶する程のものであるに違いない。
北米沿岸の人々の蒙っているこういった漂着物処理の御苦労を思うと、日本人が不法投棄したという訳ではないものの、東北大震災の震源近くに住んでいる我々日本人も、できることなら処理費用の負担などを買ってでるべきではないかとも思う。(すくなくとも韓国の不法投棄業者のように「知らんぷり」で済ませる訳にはいくまい)
ところで、この漂着を伝える記事の中に、漂流物のもたらした被害として「漂着物が生態系に悪影響！」とあったのが気になった。記事によると流れ着いた桟橋だとかブイ、漁船などに付着していたヒトデやイソガニ、ミツイシコンブ、アカバといったいままで北米に生息していなかった生物が、漂着先で繁殖をはじめており北米海岸の生態系を破壊する可能性があり、今や環境問題の世界的テーマともなりつつある「外来種による生物多様性破壊」の脅威となっている―――というのだ。
東北大震災もそれによる津波も、はたまた津波による大量の漂流物の発生も、そしてそれらの漂流物が海流に乗って北米に流れ着いたことも、すべて「自然の営みの一部」であり、その漂流物にフジツボやヒトデがくっついて漂いそれが数年を経て西海岸で繁殖を始めたことも「大自然の中での生物の自然の営み」の一つではないだろうか。この記事を書いた記者は、「自然の生物多様性が破壊されつつある」と嘆いていて、いかにも自然破壊が大震災の為にどんどん進行している！といった書きぶりだが、タカさんにいわせれば、日本の三陸の生態系（ヒトデやフジツボ、ホヤといった）が、大震災によって西海岸に生息域を拡げたとしても、それはそれで大きな意味で「自然の大きな営みの一部」と思うべきなのではないか―――とも思うし、フジツボやホヤという生物がその生息域を拡げているというその自然の生命力こそ「環境問題」を考える上でのいい参考になるような気がするのだが―――。
参照：ケン・トムソン「外来種のウソ、ホントを科学する」
（5/11/17 10:00pm）
2017年5月9日
年上女房
タカさんにとっては、フランス大統領選挙でEU統合推進を掲げる中道派のエマニュエル・マクロン氏が勝利したことが、日本にどれほどの影響があるのかよく分からないのだが、英国国民投票でEU離脱を唱えるブリグジット派が勝利したこととか、アメリカファーストを唱えるトランプ氏が米国大統領となったことなど、ここのところ選挙予測を外しまくっていたマスコミにしてみれば、「ほ〜ら、今度は予想通り！」とばかり、（今朝の朝刊は休刊日だったからだろうが）夕刊は随分早くに配達し、その一面には「仏大統領選 マクロン氏圧勝！」の大見出しをかかげてはしゃいでいた。
EU残留派勝利だったことで、このところの「自国ファースト」旋風にひとまずストップがかかったことで、今日の東京市場も終値で450円高となった。
ところで、テレビもこのマクロン氏当選のニュースを大々的に取り上げていたが、その映像を見て改めてフランス史上最年少の39歳というマクロン氏の若々しさにあらためて驚くと同時に、並んで笑顔を見せるマクロン夫人のブリジッドさんにちょっと意外な印象を持った。
70歳のトランプ氏の夫人、元モデルというメラニアさんが47歳であるように「首脳夫人」というとどうしても夫より年下というイメージに凝り固まっているタカさんにしてみると、どうもブリジッドさんの方が失礼ながらマクロン氏より年上に見えてしまったからだ。
調べてみたらブリジッド夫人は、39歳のマクロン氏より25歳年上の64歳であり、マクロン氏の高校時代の国語教師だったとか。二人が知り合った当時、ブリジッドさんは既婚で、彼女の息子さんはマクロン少年の高校同級生だったというから、フランスという国、確かに自由恋愛発祥の地だけはある。
二人は今から10年前（マクロン氏29歳の時）に結婚、二人の間には子供はないが、ブリジッドさんには前夫との間にマクロン氏と同級生だった息子さんを含め3人の子どもがいて、孫も7人いるという―――。
そういえば、かつて巨人にいたペタジーニ選手の奥さんも、ペタジーニの高校同級生のお母さんであり年齢差は確か25歳だったと記憶するが―――。
外国では夫人が年上、しかもかなりの歳の差婚は多いのだろうか。日本でも、最近は芸能界などでは、３つや4つ位の年上女房というカップルも多くなってきてはいるが、さすがに25歳年上という例は聞いたことがない。
そういえば、安倍首相夫人の昭恵さんは首相の8歳年下だそうだが、だから森友学園問題などで「若さゆえ」の過ちをして旦那の足を引っ張った―――なんていわれるのかなぁ〜。
そうそう、日本には、「年上女房は金のわらじをはいてでも探せ」ということわざもあったなぁ〜。
（5/08/17 10:00pm）
2017年4月21日
勝負と潔さ
近代スポーツは基本として勝敗を争うものだから、やっぱり一番大切なことは勝つことだ。
もちろんどんな手を使ってでも勝てばよいというものではなくスポーツにはルールがあるからルールに反することをして勝手も意味がないし、大方のスポーツでは反則負けになってしまうかも知れない。
しかし、ルールに反しさえしなければ何をやってもよいかとなるとそこには、ルール違反ではないけれどもマナーに反する、あるいはマナーとしては決して褒められない行為をやって勝った場合、「潔くない」という判断をされ勝っても決して褒められない―――といった勝ちというものもある。
日本に古くから伝わる武道（柔道や剣道といった）や相撲の場合、もともとはこのマナーすなわち潔さの方が勝ち負けよりも尊重される、という精神があったし、近代になっても日本での一般スポーツにおいても「潔さ」が尊重される傾向は強かったが、最近の日本のスポーツ全般で、こういった、日本流の「勝敗よりはまずマナー」といった精神は軽視される傾向にあるようだ。
たしかに、この「潔さ」なるものは、基準があいまいでありむしろ厳格なルールにはなじまないものでもあるが―――。
タカさんが子供の頃（いまから60年ほど前でも）あらゆるスポーツの場面で、「正々堂々」だとか「潔い」といったマナーが重視されていたことを思い出す。
例えば、子どもたちの草野球でも、盗塁（ベーススチール）は、盗む、という言葉が子供同士でも、嫌われたこともあって戦術として余り用いられることがなかったし、バント（犠打）も、チョビなどと言って「汚い手」として嫌われていたから、めったのことでは使わなかったし、バントをすると「あいつよっぽど打撃に自身がないのだろう」とちょっと小馬鹿にされるようなところがあったし、大人たちの野球でもそういった傾向があったように記憶する。
戦前、ウインブルドン決勝に出場した日本の清水善造選手は、ラリー中に転倒した相手選手を見て、わざとゆるいボールを打ち返して相手が立ち上がるのを待ったという。彼は、それまで有利に試合を進めていたが、このゆるいボールもあって結局敗退したが、この話、戦前は「美談」として教科書にも載っていたというが―――今、テニスの試合でこんな行為が行われたら却って「勝負に対する執念がない」とか「片八百長」などと非難をされるかもしれない。
いやいや、スポーツに限らない、あらゆる面において今の社会は、潔さだとか潔癖さ、といったことは重んじられることがないし、それを重んじた為に負けでもしたらバカにされるのがオチかもしれないが―――なんだか淋しい気がしないではない。
（4/20/17 10:00pm）
2017年4月14日
8万年の旅
太陽以外で我々に最も近い恒星は、地球から4.2光年先にあるケンタウルス座のアルファ星（アルファケンタウリ）である。
この恒星の周りには何個もの惑星が回っていることが観測されており、それらの惑星の中には地球同様に恒星から適度な距離（ハビタブルゾーン）にあるために水が液体の状態で存在する岩石惑星があるのではないかと予測されている。
生命が存在するために絶対的に必要と言われる水が存在するのであれば、そこには何等かの生命が存在する可能性もあり、ひょっとしたら我々同様、あるいはそれ以上の知能を持った生命体が存在しているかもしれない。
この広い宇宙に地球生命体以外の生命体が存在し「我々はこの宇宙に一人ぼっちの存在ではない！」と分かったとしたら―――まさに夢のような話ではないだろうか。
しかし、アルファケンタウリまでの距離は4.2光年、光の早さで旅しても片道4.2年かかり、「ETがいたぞ！」と地球に向かって電波で連絡を送ってもその通信が地球に届くまで更に4.2年間、すなわち探索船からの朗報を我々が知り得るには合計8.4年を要することになる。
「宇宙探索船が、光の速度で進んだとしても――」等といったが、人類が達成した宇宙船の速度としては、1977年に打ち上げられ今も宇宙を飛び続けているボイジャーの現在推定速度、時速6万キロだが、これでも光速（時速10億8000万キロ）のわずか１/18000にしか過ぎない。すなわち、現在の人類が出しうる最速の宇宙船に乗ったとしてもアルファケンタウリまでの片道でも、4.2光年×18000倍である75600年かかることになる。
人類の世代交代が一世代40年としても、8万年近い旅ともなれば、その宇宙船内で約2000世代が過ごさなければ到達しえない旅に出ようという冒険者たちが果たしているだろうか。
勿論、今後、タイムマシーンやワープ航法などのSFチックな技術が開発されて、8万年もひとっとび！などということも起こらないとは限らないが、そんな技術の可能性も今のところ夢の又夢であるとなれば、やっぱり、残り長くても数十年に過ぎないであろうタカさんの寿命の内で、ET（地球外生命体）の存在という朗報に接する事はほぼ絶望的と言ってよいだろうが―――それでも、宇宙の夢を見ることは、このうえなく楽しい。
（4/13/17 10:00pm）
2017年4月11日
酒が飲める国
サウジアラビアのように酒を持ちこんだだけでJailにぶち込まれ鞭打ちの刑に処せられるイスラムの国があるのに（イランでは酒を飲んだが為に死刑になった外国人青年がいたという記事を読んだ記憶がある）、エジプトは国民の9割近くがイスラムであるにも関わらず酒が禁じられていない数少ない中東の国である。
それは、エジプトが世界最古のビールの生産国であったことがあのパピルスや壁画に描かれているから―――等という理由によるものではなく、エジプトには約1割のコプト教徒といわれる元始キリスト教の一派が存在し、彼等がキリストの血であるとしているワインをミサに使うなど、アルコール飲料を禁じていないことを尊重しての措置であるという。
エジプトの地方都市のレストランなどではアルコール類を出さないところも多いが、都市部のホテルや一流レストランでは酒を飲むことができるし、レストランの女性従業員で中々愛想のよい娘さんがいたら彼女はほぼコプト教徒だと考えてよい。（イスラムの女性だと、宗教的な理由からアルコール類をサービスすることに抵抗感があるようだ）
そんな訳で、エジプトでの駐在経験のあるタカさんにとってはコプト教に対する親しみの情は随分と強いものがある。（エジプトでは本当にコプトの方々のお陰で、豚肉や、ソーセージ、ハムが食べられたし、あらゆる種類の酒を飲むことができた―――「ステラ」という銘柄のエジプトビールの輸出用のものは比較的いけた）
インドネシアも世界最大のイスラム国であるにも関わらず酒が飲める国だが（ハイネケンと似た味の「ビンタン」というビールは中々美味い）、それはこの国が憲法で信仰の自由」を保証しているからであり、国民の大多数が信奉するイスラムの教義である禁酒を強制していないからだ。タカさんは、東南アジアの中でも特に好きな国を挙げよといわれれば、インドネシアを真っ先に挙げるのは、イスラム国でありながら、酒を禁じていないその自由を尊重する国民性が好きだからでもある。
トルコも同じくイスラム国ではあるものの、国父といわれるケマル・アタチュルクが建国以来、政治と宗教の分離を国是としたことにより禁酒を強制していない。（ケマル・アタチュルク自身、酒の飲み過ぎが原因の肝硬変で死亡したともいわれている）
昔から、トルコと日本は友好関係にあるのもお互いが酒を飲んで、心を開いて話し合いができたからではないか―――というのがタカさん推論である。
エジプトでイスラム過激派の襲撃によってコプト教会が爆破され多数の死傷者が出たというし、コプト教徒の経営する養豚場が「不衛生」を理由にして次々と閉鎖されているというし、インドネシアやトルコでも酒を提供するレストランなどがイスラム過激派によって襲われる事件が頻発しているとか―――。
酒好きにとっては、世界のイスラム国の不寛容さが近年富にましているように思えて残念でならない。ちょっと気が重いので―――気晴らしに一杯飲むとしようか。
（4/10/17 10:00pm）
2017年4月7日
見上げるさくら
今年、東京のさくらの開花宣言は3月21日と全国一の早さだった。さくらの開花宣言は何を基準としているかといえば、東京の場合、靖国神社にある「標本木」に指定された一本のさくらの木に5、6輪の花が開花したことが目視された日とされている。
この標本木の種類はソメイヨシノであり、ソメイヨシノの全ての木が一本のソメイヨシノの株分けした木、すなわちクローンだから、同じ条件下にあるソメイヨシノはほとんど同時に開花する――という理屈から、標本木に5，6輪咲けば「東京のさくらは開花した」と言える！というのが気象庁の規定なのだが―――。
いくらソメイヨシノがクローンだからと言って、一本の木にすべてを託し「東京のさくらは開花した！」と宣言してしまうなんて、一卵性双生児といえどもそれぞれに違った個性があるのに「双子の兄弟の性格は同一人物と考えてよい」と言っているようなもので随分と乱暴な話ではないか。
一般に、さくらの若い木は開花が遅く、その逆に老木は開花が早いといわれている。靖国の標本木の樹齢はすでに70年から80年と寿命が短いといわれるソメイヨシノとしてはかなりの「老木」であり同神社内の若い木に比べても早く咲く傾向にあるとか。
日当たりのよい場所に立つ老木であれば、当然開花は他のさくらより数日とは言え早い。その木を「標本木」に指定して「今年の東京のさくらの開花日は全国一早かった！」などと言っているのは、日本最高齢の人を基準にして「最近の老人は、皆100歳越えをしている！」と言っているようなものではないかとも思う。
さくらの「宣言」の中には開花宣言ばかりではなく「満開宣言」というのがあるが、なにをもって「満開」というかも厳密には規定がある。すなわち、標本木の80%の蕾が花開いたことを目視した時点をもって「満開」とするというのだが、それはすなわち「満開宣言」がなされた標本木（ただでさえ開花が他の木より早かった木）のまだ2割がつぼみであっても「満開」とみなされるということにほかならない。
実はタカさん水曜日（4月5日）に恒例となっている靖国、千鳥ヶ淵への花見に出かけた。日本一といってよいほどのさくらの名所だけあって今年も見事なさくらを見ることができたけれど、例年に比べると「満開」というには今一つもの足りないような気がしたので標本木の下でよく観察してみると、たしかにまだ枝々にはかなりの蕾が残っていた。ここでも、気象庁のいう「満開」とタカさんの持つ「満開」のイメージの違いに驚かされた次第。
そもそも、我々が「開花宣言」を気にするのは結局のところ「何日頃に花見に行くのが一番よいか」を知りたいからであり、今年のように開花宣言から満開まで2週間近くの時間がかかり「満開宣言」を聞いてから出かけても「まだ、ちょっと早かった！」というのでは、「気象庁の「花だより」を信じるのは、天気予報同様に、騙される（？）可能性が高い―――というのが、タカさんが今年の花見で得た感想だ。
タカさんの実地体感としては靖国、千鳥ヶ淵そして上野辺りのさくらは、この週末がまさに満開から桜吹雪の散りはじめというベストの状態になるはずで、大いにお勧めする。もう一つ、お勧めするのは、桜は木の根元に立って空をバックにして見上げるのが一番美しいということ―――これも是非試して頂きたい。
（4/06/17 10:00pm）
2017年4月3日
モンロー91歳
先日ある記事で読んだのだが、今年はマリリン・モンロー生誕91年に当たるのだとか。調べてみるとモンローは、1926年生まれだから今も生きていれば、今年6月で確かに91歳になる訳だ。
1926年生まれが今年91歳になる―――というのは当たり前といえば当たり前の話だが、1962年36歳で謎の死を遂げるまで、ブロンドの髪、B94 W61 H86という抜群のプロポーションでトレードマークの、真っ赤に塗られた唇、口元のホクロと、あのモンロー・ウォークと呼ばれたセクシーな歩き方で「セックスシンボル」として名をはせた彼女が「91歳！」と聞くとなんとも不思議な思いにかられる。
計算してみると、タカさんがまだ中学生の頃には既にモンローは他界していたわけだから、タカさんとてモンロー出演の映画を観たのは恐らく彼女の死後、10年以上経ってからのことである訳で、それゆえにか、そんなに「セックスシンボル」としての印象がある訳ではないのだが――それにしても「かつてのセックスシンボルも今や91歳！」と聞くと、自分だってもうそれなりに歳をとっているという相対的な感覚を忘れて、「モンローも歳をとったなぁ〜」と思ってしまう。
モンローばかりではない、タカさんが高校時代から（今に至るも）永遠の美女だとあこがれ続けているオードリ・ヘップバーンも生きていれば今年は88歳になっているはずで、彼女が20代前半に主演した、「ローマの休日」や「麗しのサブリナ」で見せたあの輝くような完璧なまでの美しさが、（もし彼女がいまも生きていたら）今頃は、どのように変わっただろうか〜と思うと、モンローやオードリーには申し訳ないが、彼女達は、80代、90代まで長生きしなかったのは、彼女達の為にはよかったような気がする。（もちろん、今80代、90代で魅力に溢れた素敵なおばあさん達がたくさんいらっしゃることは言うまでもないが）いずれにせよ、モンローやオードリーが歳をとったのではなく、タカさん自身が随分と歳をとったのだなぁ〜という実感を持った―――ということが言いたかっただけなので、お気を悪くされませんように。
（4/02/17 10:00pm）
2017年3月31日
水掛論争
公務員（すなわち役人）は、日本国憲法十五条によって「全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定されている。この規定に杓子定規に従えば、役人が、一部の住民や政治家からの依頼に基づいてある事柄を「優先」して処理することは、その為に後回しにされた人達に不利益を与えることになるから「一部の奉仕者」になってしまうことになり憲法違反である。――となると、役人は国民の特定の声を聞き入れて職務を遂行してはいけない！ということにもなり、まさに｛血の通わないお役所仕事こそもっとも望ましい役人の姿勢だ」ということになってしまう。
しかし例えば、一部の市議が自分の町内住民の「町の信号の取り付け工事を他の地区の工事より優先して行って欲しい」という声に基づく依頼を市に行い、それが実現したとしたら、確かに、おかげで信号工事が後回しにされた地区住民は不利益を被るかもしれないが、優先された町の住民は「xx市議さんに頼むとすぐ実現する！」とその市議さんの評判が上がり、次回市議選でも高得票が得られるだろうし、工事の繰り上げを計った市役所の担当部署と市議の関係も良好となり、市の進める他の行政施策について議会の協力が得やすくなる―――等の行政メリット（ウィンウィン関係）が成り立つ可能性は高い。この種の｛依頼に基づいて行政が動き便宜を図る｝―――といったことは日常茶飯に行われており、それこそ「住民の声に基づいた血の通った行政である」などと褒められることが多い。
特定の依頼を受ける代わりに見返りとしての金銭を受け取れば明らかに贈収賄という犯罪だが、見返りが「票」とか「議会（あるいは議員）との友好的な関係」、あるいは「市の役人の出世」などという金銭以外の目に見えないものであった場合、もちろん罰せられる訳ではないし、むしろ「褒められる」場合が多い。
他人の気持ちをおしはかることを「忖度（そんたく）する」というが、役人の仕事は昔から「忖度をとったら何も残らない」と言われるほど、この忖度が幅を利かせる世界である。明らかに「依頼」があった場合のみならず「多分、住民は（あるいは議員は）こういうことを望んでいるのではないだろうか」と忖度して処理することの多いのが役人であり、依頼する側が喜びそうなことを（先回りして）忖度して処理できる役人ほど「できる役人」といわれ、出世も早いというのが公務員の世界での常識だ。忖度もできない役人は「気が利かない」とか「役人風を吹かせている」と嫌われ、「ダメな奴」というレッテルさえ貼られかねない。
森友問題で「忖度」があったのかなかったのかの水掛論争が続いている。この質疑で問題なのは「忖度があったのではないか？」といった水掛論争に終始していることだ。
「忖度」は辞書にも「他人の気持ちをおしはかること」とあるように、忖度した側が相手の思いを「推し量って」やる事であり、そうであれば忖度したのかしないのか」はその役人の頭の中が見えない以上シロクロの付かない事だ。
日本維新の会の松井代表は「いい忖度と悪い忖度がある」といっていたが、これもどこで「いい、悪い」を言いだしたら水掛論争になるばかりだ。
経済情勢も、国際情勢、国の安全保障問題も喫緊の問題が山積しているというのに、国会をあげてのこの水かけ論争に明け暮れている日本を、平和な国なのだなぁ〜と喜ぶべきなのか、バカな国だなぁ〜と嘆くべきなのか―――迷うばかりだ。
（3/30/17 10:00pm）
2017年3月30日
あすかⅡの乗客
日本の豪華クルーズ船のはしりといえば日本郵船が運航していた「あすか」だが、就航した90年代には日本船籍であり他の外国籍のクルーズ船と違って船内ではすべて日本語だけで事が足りるから――と日本人のお金持ちの間で大人気だった。
就航直後のいまから30年近く前に、この「あすか」に乗って世界一周をしたご夫妻のお話しをきいたことがあったが、乗り合わせた乗客の多くはやはりお金と時間に余裕のあるリタイアした実業家や医者といった人達が多かったが、中には数組の比較的若い現役世代のカップルもいたという。豪華クルーズ船の世界一周旅行となれば、その料金は最低でも夫婦二人で約800万円から1000万円、高い部屋なら3000万円近くかかるのだが、日本にもお金持ちといわれる人達は意外と多く、これ位の金額なら楽に出せる人達はいくらでもいるようで、当時（まだバブルの最中だった）は、予約受付を始めると同時に高い部屋から順に満室になっていったという。
ところが問題は世界一周航海ともなれば、4カ月近くの時間がかかるという点であり、「現役」のお金持ちのほとんどが、「金はあるけれど暇がない」という訳で、勢い、こういった世界一周に出かけられるのは「金もあるが暇もある」リタイアしたお金持ちに限られたのだが、中には「収入のもよいが、まとまった休みもとれる」という仕事があって、そういう職業夫婦が「あすか」にのっていたのだとか。その「収入もよいが、比較的、長い休みがとれる」職業というのが歯医者だという話だった。
当時、歯医者は収入の良い職業の上位にランクされていたし、確かに外科や内科の医師のように「人の生き死に」に直接関係することの少ない医療だったから、事前に「3か月間休診」といった連絡をしておきさえすれば休みが取れる職業だといわれていた。
どんなに稼いでいるスポーツ選手や芸能人、あるいは経営者でも、3カ月も4カ月も不在でいままでの収入を続けられる職業などない訳で、90年代に「あすか」の話を聞いた時には、つくづく歯医者という職業を羨ましいと思ったものだったが―――。
ところが、事情は様変わりしているようで、この20年余りでの歯科医師の急増に伴って、全国の歯科医院数も急増、2011年時点でさえ全国のコンビニ店数の1.6倍にも達しており、近年、歯科医の約1/4は年収200万円以下のいわゆる「ワーキングプア」になっている――のだとか。今や、豪華クルーズ船での世界一周に中年の歯科医師夫妻が―――といった90年代の話は、全くの夢物語となっているようだ。
そういえば、歯科医同様にこの20年程で急増し全国のコンビニ数の1.5倍（歯科医師より少し少ないだけ）という「接骨医」も、過当競争によりほとんどの医院が食えない状況になっており中には暴力団と組んで医療保険詐欺などを働くものまで出てきているというではないか
歯科医や接骨医ばかりではない公認会計士や、行政書士は、社会保険労務士この20年間で倍以上に、又、社会保険労務士とか、税理士、司法書士もこの20年あまりで急増しかつてのように「安定した収入が得られる職業」ではなくなっているという。AIに仕事を奪われ、更には過当競争で収入が激減している職業も増えているというのだからこれからの「働き方改革」は容易ではない。
「あすかⅡ」の2018年度、世界一周の募集が始まるらしいが、今はどういった職業の人達が申し込むのだろうか。
（3/29/17 10:00pm）
2017年3月28日
賛同者が多いかも
以前、スーパーなどで急にセルフレジが増えてきていることについて本欄で触れ（参照：「古い人」12/02/16）この勢いが続くと鉄道の改札が皆自動改札に変わったように、その内スーパーでの買い物も皆セルフレジに変わるのだろうかと、「古い人」になりつつある（もうなっている？）タカさんの憂慮を語ったものだったが、先日、新聞を読んでいたら、このセルフレジの評判があまりよくなくて、大手スーパーの中にはセルフレジを減らし再び、対人の通常レジを増やしているところも出てきているとの記事が出ていて、タカさんとしては「それ見ろ、省力化に抵抗感を持つ人はタカさんばかりではないのだ！」とちょっとうれしくなった。
記事によるとセルフレジの場合、自分で商品のバーコードをレジに読み取らせなければならないが、かざし方によっては中々読み取らなかったりするし、その間に「商品を置いてください」「手を離してください」などの指示音声がうるさくて、「レジ袋の下には重い物を入れて上には軽い物を入れて―――」などと色々考えているのにイライラさせられる―――といった消費者の声が多いのだという。まさに、タカさんも経験したセルフレジの欠陥だ。
このイライラは、店員さんが商品を一つ一つ手にとって商品のバーコードを機械に読み取らせ、バスケットにきちんと詰めてくれる通常レジでは感じることのないイライラである。
セルフレジを使えば、レジ袋がタダになるとかポイントが倍になるといった利用者にとっていくらかでも得になるメリットがあるというならともかく、スーパーの側（売主側）の省力化（コスト削減）に買物客側が無償で協力した挙句、イライラさせられ、あるいは「自分はもう時代遅れの人間になりつつあるのか！」と、絶望感にさいなまれる（？）としたら―――こんなバカな話はないわけで、スーパーの通常レジ復活の動きは、タカさんとしては「それみろ！」という思いである。
AIが発達してなんでもかんでも機械化、自動化される世の中になっていくのであろうが、生身の人間が、必ずしもそういった自動化を好むかというとそうとばかりは言えない面も多いと思う。
タッチパネルで寿司を注文すると数秒後に目の前にオーダーした握りがコンベヤベルトで運ばれてくる―――という回転寿司屋が近所にあるけれど、確かに安いかもしれないが、ここでビールを注文してゆっくりと寿司をつまむ気にはなれない。やっぱり、目の前に職人さんがいてくれて注文の品を握ってくれ、注文したビールは店員の女性が運んできてくれる店でなければ、どうにも「食事をした」という気分になれないタカさんだが、やっぱり「古い人」なのかと思いつつ、これにもセルフレジ同様、意外と賛同者が多いような気がするのだが。
（3/27/17 10:00pm）
2017年3月24日
なくなるョ
今の北九州市は、かつては、小倉、戸畑、八幡、若松、門司といった名前の５市が合併してできた市であり、合併（昭和38年）する前の時期、鹿児島本線の列車に乗ってこの地域をよく通過していたタカさんにとっては、いまだもって「北九州市」と言われるより「小倉」だとか「戸畑」などと言われる方がピンとくる土地だ。
公害問題などがまだ何もさわがれていないあの頃、この地域を通過する列車の車窓からの眺めは子供心に「凄い！」と感激するほどの迫力があった。というのも、車窓の両側に広がるのは「北九州工業地帯」の工場群であり、その中心である「八幡製鉄所」の各地区にある高炉やコークス炉が吐き出す煙を子供は「七色の煙」などといって誇らしい気持ちすらもって眺めていたもので、そんな子供だったタカさんがそれから60年後には、PM2.5で煙る中国を、「なんて民度の低い！」などと批判していようとは当時からすればとても信じられないことだ。
明治時代の官営八幡製鉄所から始まったこの北九州工業地帯は、製鉄の原料である鉄鉱石の輸入先である中国にもっとも近く、同じくコークスの原料となる石炭産地である筑豊に位置しているという立地条件に恵まれていたことで、明治時代から戦前にかけては日本最大級の工業地帯だった訳だが、戦後は鉄鉱石も石炭もブラジルやオーストラリアなどから輸入されるようになり北九州の立地のメリットが失われてしまい、今や北九州工業地帯の工業生産額は全国のそれのわずか3%を占めるに過ぎない、（言い方は悪いが）さびれた地域になってしまっている。
タカさん自身、この北九州工業地帯の衰退の姿をまざまざと見せつけられたのが、あの「七色の煙」の源の製鉄所の高炉やコークス炉が次々と休止していった過程だった。
昨年、この地域を訪れた時も、驚いたのは、かつては、もくもくと煙をあげている煙突が一本もなくどこまでも青空が広がっていたことだ。
八幡製鉄所の跡地、特に中央事務所の周辺は、その前年にユネスコの「世界遺産」に指定されたことで化粧直し中ということで見学できず、「かつては、ここにこんな製鉄所があったのですよ！」という写真パネルが貼られ、元職員の方がボランティアとしてパネルの説明をしてくれていたが―――昔のあの凄まじいまでの七色の煙の記憶があるタカさんは、なんだか物悲しい思いにかられた。
八幡製鉄の高炉（東田高炉）の跡地には、27年前にはスペースワールドというテーマパークが開園し、製鉄会社のテーマパークへと異業種転身には驚かされたものだったが、そのスペースワールドでさえも今年末に閉園することが決まったという。
昨年、一人旅でこの地を訪れた時、スペースワールドにも行ってみたが、（平日であった所為もあるが）客足はわずかで、巨大なジェットコースターが少ない上客を乗せて走っている姿は、これまた、多少のわびしさを感じさせるものだった。
七色の煙が巨大テーマパークになり、再びこの地域がそれこそ明治以前の静寂の地に戻るとしたら―――その歴史をみてきたタカさんとしては感無量の思いだ。
そうそう、スペースワールドの閉園を知らせるテレビCMが好評だそうだが、物悲しくて始まり――従業員一同が一丸となって最後の誘客に出演しているのを見た時、走馬灯のように、このローラーコースターの後におぼろげながら、七色の煙を吐き出す巨大煙突群が見えたような気がした。(参照：「なくなるョ」)
（3/23/17 10:00pm）
2017年3月21日
低い投票率
タカさんの住んでいる街では、来週日曜投票日で県知事選、市長選、市議会議員補選の3つの選挙が進行中である。
東京都と違ってわが県の知事選は、争点があるとも思えないし全国的には多分、ほとんどの人がわが県で知事選が行われていることなど知らないだろうし、知事選に立候補した前市長が抜けたために行われる市長選も、市長選に立候補した市議二人が抜けた為に行われる市議補選も、身近な選挙だけにもうちょっと話題性がありそうなものなのに、全くといってよいほど盛り上がってはいない。
「投票にいくのは、権利であると同時に、民主主義を皆で守るための国民的義務である」等といった、教科書にでも書いてありそうな言葉を、昔の優等生であった（？）タカさんとしては守って、今度の日曜は投票にいくべきかなぁ〜とは思うものの、これほどに盛り上がらない選挙の投票にいくのかと思うと気が重い。
ちなみに2011年に行われた埼玉県知事選挙での投票率は、24.89％と県民の4人に3人は投票に行かなかったし、県知事選レベルでは30%程度の低投票率はたくさんある。それどころか、山形県などでは三回連続で県知事選が無投票になっているし、市長選などの首長選、市議会や町議会選挙では無投票の例も多いというではないか―――。
「民主主義の基本は選挙だ」という言葉、確かにそうかもしれないけれど、実際問題として無投票だとか住民の30％に満たない人の意思をきいたからと言って―――果たして胸をはって「これが民主主義だ！」なんていえるものなのだろうか―――。
ということは、やっぱり現代の「民主主義」自身が実はまったく形骸化してしまった「過去の空想の産物」でしかないのではないか―――とも思うのだが。
（3/20/17
10:00pm）
2017年3月17日
何年入社？
老若男女を問わず日本人ならば、人付き合いの中で一番気にするのは、相手の年齢だ。
自分より年上か、年少なのか、あるいは同い年かが分からないと、まず、言葉遣いをどの程度にすればよいのか（ある程度タメ口でよいか、それとも敬語を使った方がよいのかといった）の間合いがとれないから、どうしてもよそよそしい感じになってしまう。
お互いが、相手の年齢が分かっていれば、相手との間合いの取り方が分かるから、安心感をもって話せるし、安心感をもって話せる相手との付き合いはより深いものになる―――ということがいえる。
先日、3カ月一回程度の頻度で開かれている会社のOB会に出席したが、その時、気付いたのも、懐かしい同僚同士とはいえ、一年先輩か一年後輩かでは、お互いの言葉遣いが微妙に違うし、その微妙な違いを相手も心得ていてくれることに安心感というか親しみが持てるということがあることだ。相手に親しみが持てるということが、当然ながら楽しい会話の前提だ。
更には、その場にいない誰かの話になった時も、「xx年入社の誰其さんが――」とその人の入社年次、すなわちその人の年齢をいうことによって、一瞬にしてその場にいる人々の頭の中には、その人の顔つきから人柄までが浮かんできて――というのも不思議だ。
女性の場合も、初対面の人との会話の際には、何気なく干支の話にもっていくなどして相手の歳を把握しようとするし、相手の年齢がある程度分かれば、そこから安心して会話ができるようになるし親しくもなり易い――といったことがあるという話だ。
欧米で暮していた時に彼等が日本人のように先輩後輩意識をもっていないことに驚いたものだが、この日本人の先輩後輩意識のルーツはいかなる起源を持つのだろうか。
(03/17/17 10:00pm)
2017年3月10日
ひざ枕で耳かき
海外旅行に忘れてはならない必需品小物の中に「耳かき棒」がある。
1週間とか、10日程度の旅行でも必ずといってよいほど起こるし、一旦起こってしまったらメチャクチャ気になるのが、爪が伸びることと、耳がかゆくなることだ。
爪切りは一時期、セキリュティーチェックで引っかかると機内持ち込みできなかったこともあったし（最近ではOKになっている）、旅先でもどこでも買えるからそれほど気にはしなかったが、耳かきだけは海外どこに行っても売っていない代物で、聞くところによると「耳かき棒」は、日本独自のものだというから、こればかりは日本からもっていくしかない。
洗面道具ケースに歯ブラシは忘れても耳かきだけは絶対に忘れてはならない。
いやいや、海外にもコットン綿棒があるではないか、という人もいるだろうが、あの綿棒というやつ、結局、耳垢（昔は耳くそと言った）を中に押し込むだけのもので耳かきのように耳垢を「外に掻き出して耳を掃除する」という清潔さには及ぶべくもない代物だと、耳鼻科の医者も言っている―――とどこかの雑誌で読んだ事がある。
耳の中がかゆくなる、という事象（？）は、時と場所を選ばず起きるものだ。夜中の2時、3時に突然耳の中がかゆくなり、電気をつけて耳かきを探し思いっきりかいてから再び寝に入った―――なんていう経験は数限りなくある。
考えてみると、いつの間にか耳かきを手にとって耳をかきながらテレビを見たり、本を読んでいた――なんていうことは2-3日に一回はやっているように思う。ましてや1週間、10日にもなる海外旅行中、耳が一度もかゆくならない等ということはまずありえないのだから、耳かきの快感を覚えてしまった日本人にとって、耳かきなしであの耳の痒さをコットン綿棒ごときでごまかす――等ということは到底できない。
以前、CNNの旅行番組の「クールジャパン」紹介の中で、秋葉原にある「耳かき店」を紹介していたのを見た事があるが、この店に入ったアメリカ人記者が、着物姿の女性にひざ枕で耳かきをしてもらうという（多少、隠微な感じもないではないが）サービスに、余りの気持ちよさに多くの客が寝てしまうほどにリラックスする、まさに究極の癒しである！と絶賛、「古代エジプトで始まった耳かきは、その数千年後、日本人が、革命を起こした」と「クールジャパン」を強調していた。
タカさんにしてみれば、「何を言ってるの？ 日本人なら誰だって、幼い頃から、母親のひざ枕で耳かきをしてもらいその気持ちよさのみならず、母親の愛情を身をもって体感するものなのに―――」と言いたいところだが――。
そういえば日本の映画やドラマ、特に時代劇では、「ひざ枕」というのはよく見るシーンだが（例えば、銭形平次親分が妻のお静さんのひざ枕で耳かきをしてもらっていると、そこに、八五郎が「親分！ていへんでぇ〜」と飛び込んできて―――などというシーンでよく見かけたが）、外国映画ではひざ枕シーンを見た記憶はないのだが―――。まさか、恋人同士、夫婦間での、ひざ枕もやはり日本独特の風習――なんていうことはないとは思うが―――。
そういえば、タカさん夫婦は西洋風なのだろうか、妻にひざ枕をしてもらった記憶は―――ないように思う。
（3/09/17 10:00pm）
2017年3月3日
過重労働の責任
100円ショップでは（当然のことながら）様々なものが100円で売られているのだから、最近はおどろかないけれど、最初に100円ショップで目覚まし時計が100円で売られているのを見た時に正直言って驚きとともに「こんなことをしていいのか！」というなんだか義憤に近いものを感じたことがある。
しかも、その目覚まし時計が見るからにすぐ止まりそうな不良品といった感じではなく、街の時計屋では2-3千円で売られている目覚ましとそんなに変わりのないもので機能なども問題なさそうなのだ――。
食品などでは、商品自体は正規品だが、期限切れもしくは期限切れ間近の商品だとか包装に少し汚れがついているといったいわゆる「訳アリ商品」だとか、衣料品などでは企業倒産により市場に流れてきた倒産品、季節外れの品といったいわゆる「バッタもん」が、とんでもない安値で売られることはあるが―――さすがに「目覚まし時計100円」はやり過ぎだと思ったものだ。
以前、本欄でも書いたが、近くのスーパーのチラシに「もやし、一袋6円！」というのが出ていた時も、「このもやし工場で働いている人達は、一生懸命作ったもやしが6円で売られていると知って、泣いているだろうなぁ〜と思ったものだった―――安いということは消費者の立場に立てば、確かにありがたいとはいえるけれど、逆に自分が生産者の立場にいたとしたら、過酷な競争の果てに自分の労賃も稼げないほど買いたたかれ、しかもその安値の指値を断ったら一銭も入ってこないどころか、工場建設のための借入金や、従業員の給料も全く入ってこない―――なんていう立場になったら―――とふっと思ってしまったのだ。
最近、タカさんのプリンターのインクカートリッジが切れ、Amazonショッピングで調べてみたら、正規品だと4色で4000円ほどはする品がなんと正規品ではない「互換品」だと4色で360円だというではないか―――しかも、通常は350円する「送料」も割引されるというではないか―――。
4000円対350円となれば、さすがにその誘惑には争い難く、注文して、ここ数カ月その「互換品」を使っているが何の問題もないが―――。340円の互換品を作っているメーカーの従業員はちゃんと給料を貰っているのだろうか、Amazonの配送センターで働いている人達は（ほとんどロボット化されているのかもしれないが）、どうだろうか、宅配便会社やその配達員は？？と思ったらなんだか、ちょっと罪悪感をもってしまったのだが―――。
今日の新聞に宅配最大手のクロネコヤマトが、余りに増えすぎた宅配便個数に追いまくられてドライバーたちが過重労働になっていてもはやパンク状態だ―――といった記事が出ていたが―――確かに、今、タカさんの住んでいる住宅街でも朝早くから夜遅くまでヤマトの宅急便の車が走り回っている―――。
過酷な残業を強いたために若い女性が過労死自殺した電通の場合、電通の経営姿勢が問われ経営陣には厳しい非難をあびているが―――クロネコヤマトの過重労働の責任は、340円のインクジェットを送料無料で買ったタカさんにもいくばくかあるのではないか――と思い、悩んでいる。
（3/02/17 10:00pm）
2017年3月2日
1185か1192か
幼い安徳天皇を奉じて壇ノ浦の海上に逃れた平氏が源義経に追い詰められ海の藻屑となったことで栄華を極めた平家が滅亡、義経の兄であり当時、壇ノ浦の現場にはいなかった兄の源頼朝が実質的に武士を束ねる立場となったのが1185年であり、頼朝は、朝廷のいる京を嫌い自分の生い立ちの地である東国鎌倉でその権力を振るうことになるのだが、1192年にはついに朝廷から「征夷大将軍」に任命された。
その源頼朝が鎌倉幕府の初代将軍であり、この年1192年を「鎌倉幕府の成立」とする――というのがタカさんが小学校で学んだ歴史であり、この1192年の語呂合わせではあの有名な「1192（いいくに）つくろう鎌倉幕府」と覚えたものだったが――。
いまの小学校教科書ではあの壇ノ浦で平家が滅びた時点で権力は源氏に移ったわけであり従って鎌倉時代は「1185（いいはこ）つくろう鎌倉幕府」と教えているという。
「いいはこ」なのか「いいくに」なのか一体どっちだ！という声がネットでも渦巻いているのは、タカさん同様「いいくに」で習った世代がまだ圧倒的に多い所為もあるようだ。
そもそも「鎌倉時代」だとか「鎌倉幕府」という名称は、後の世に便宜的につけられたものであり源頼朝が「今日から鎌倉幕府を開く」とか「今日から鎌倉時代と呼ぶ」などという宣言をしたものではない以上、「いや、いいはこだ」「いいくにだ」と言い争っても詮無い事（どっちでもよいこと）ではないか――とも思ったのだが―――。
ネットに「鎌倉幕府が開かれた年は？」という問題が出た場合、1185と1192とどちらを答えるべきでしょうか？という受験生からの質問が出ていたから「どっちでもよいこと」という訳にはいかないようだ。
先日、小中学校の新学習指導要領案で歴史用語の見直しが発表されたが、この中には鎌倉幕府同様に、日本人にとっての古代のヒーローとしてなじみのある「聖徳太子」が、これからは、なじみの薄い「厩戸王（うまやどのおう）」として教科書に書かれるというのもあった。
10人の話を同時に聞いて聞き分けたという超人伝説やら、冠位十二階や十七条憲法などで古代日本の国造りに大きな役割を果たしたあの聖徳太子が、「聖徳太子という名前はその死後、諡（おくりな）としてつけられた名前だから―――というのが改定の理由だというのだが、太子の死後1000年以上に亘って尊敬の念をもって人々が使っていた名前を、「死後の諡（おくりな）だから」というだけの理由で「ウマヤドノオウジ」に変えてよいものだろうか―――。タカさんの孫の幼稚園は「聖徳学園幼稚園」だったが早晩「ウマヤドノオウジ幼稚園」に名前が変わるのだろうか。
空海の諡が弘法大師であり最澄が伝教大師であり、空海、最澄よりも弘法大師、伝教大師としての方が我々は親しみをもって馴染んできていることを考えれば、やっぱりウマヤドノオウジも聖徳太子と呼ぶべきだろう。
仁徳天皇陵が大仙古墳に変わり、大和朝廷がヤマト政権に変わり―――と、省ぐるみの天下りあっせん問題をはじめ最近の文科省のやっていること―――なんだか随分とトンチンカンすぎはしないだろうか。
（参照：「ここまで変わった日本史教科書」）
（3/01/17 10:00pm）
2017年3月1日
北海道が乗っ取られたら
前回（2016年）国勢調査によると日本の総人口は前々回（2011年）調査比0.8%の減少となったが、北海道に限ってみると人口は2.2%減の538万人になっている。日本の総人口は、2040年には2010年比14%減ると予測されるが、北海道では24%減の419万人になるというから、恐るべき勢いで北海道の人口は減少していくことになると予測される。
戦後のベビブーム以来、「増えすぎ続けてきた」人口が、再び100年程度のスパンを経て又元に戻るという「自然の摂理」が働いているのだ―――と考えればそれはそれで、諦めもつくのだけれど―――。
そうは簡単に諦められないのが、「人口減による日本の経済規模の縮小」だとか「国際的プレゼンスの低下」に我慢がならない―――という人達だが、これが意外と多いのだから驚く。
特に北海道では、昨年JR北海道が、現在の営業線区の半分に亘る10路線13線区合計1237.2キロメートルの赤字路線の廃線、民営化計画を発表しさらなる人口減によっては北海道からほとんどの鉄道路線が無くなるのでは――等と言うパニック状態から、どうにか北海道の人口を増やそう―――という動きがあるのだという。鉄道路線維持のためばかりではない、北海道の経済全体を活性化する（すくなくとも衰退を止める）為に「北海道の人口を増やそう！」という計画を大真面目に考えている役所があるというがその具体案というのが大いに問題のある代物だ。国土交通省と北海道開発局が中心になった「夢未来懇談会」なる会合でぶち上げられた「北海道人口1000万人戦略」なるものを見てみると、同じ人口減に悩む日本の他の地方から大量の人口に移住してもらう（他の地方から引っぺがす）方策という訳ではなく「農林水産業や建築業を中心に海外から安い労働力を受け入れる」「北海道独自の入国管理法を制定し、海外から人を呼び込む」「授業料の安いさまざまな大学を設立し、世界から学生を募集する」などの、主に中国から、500万人から600万人に北海道に移民してもらうという案だというのだから――。
今や年間3500万人といわれる外国人訪日客は、（大分落ちたとはいうものの）「爆買い」などをしてくれた後は、何週間か何か月経ったら母国に帰っていってくれるが、移住者、移民となるとこれはもう北海道に何代も住み着く人達ということだ。道民人口の過半数を越える中国からの移民が、日本に税金を納付してくれるのだから同財政も潤う――ということもあるかもしれないが、移住者たちの子女の教育、医療費補助、高齢になったときの年金や、介護費用といったものも日本政府の負担になることを忘れてはいけない。
彼等が外国人地方参政権をもつことになったら―――「北海道はいずれ中国の32番目の省になる」という在日中国人のチャイナウオッチャーの言葉が現実になるかも知れない―――。
それこそ、1100万人を超える不法移民の問題を抱え、今や地方自治さえ昨日しなくなりつつあるアメリカと変わらないことになるかもしれないのだ。
（2/28/17
10:00pm）
2017年2月24日
プレミアムフライデー
かれこれ半世紀近く前、タカさんが新入社員として勤め始めて数カ月たった頃、保険会社に就職した大学時代の友人から「久々に飲もう！」と電話があった。
まさに「モーレツ時代」だっただけに、新入社員の商社マンが定時に帰る等ということも出来にくい時代だったので、「じゃあ、集合8時でいいかい」と言ったところ、彼がもう少し早くならないか？という。
学生時代、何度か山に一緒に行くなど親しかった友でもあり、こちらも是非会いたいと思ったから、それでは、彼の意を組んでどうにかやりくりして7時には会えるようにしようと思い「じゃあ 7時では？」といったところ、彼の会社は終業が4時でありほぼ全員が定時退社する会社だそうで（それでいながら、儲かっていて給料もよい！という羨ましい限りの保険会社だった）、7時からとなると3時間もどこかで時間を潰さないとならないのでもう少し早くならないかという。
結局、何時に会ったのかは思いださないけれど、それからも、何度も彼とは飲んだり食事したりしたが、平日の夜だと時間が合わないからと、いつも休日か、ランチ時（お互いの会社が近かったし）になったものだった。（彼は20年程前に亡くなってしまったが、リタイアした今なら、頻繁にいつでも飲みにいけるのに――）
今月末の金曜日から、政府や経団連などのお声がかかりで「プレミアムフライデー」が始まるという。政府の音頭取りと聞いて、今安倍内閣が推進しようとしている「働き方改革」の一環として労働時間を少しでも減らし、家族などとゆとりある生活を楽しんでもらおう――という目的・趣旨なのかと思ったが、勿論、そういう意味はあるもののメインの狙いは、「月末の金曜日に早めに仕事を切り上げ、夕方から買い物や飲食、旅行などを楽しんでもらおう」という「消費喚起策」といういやに実利的な狙いからでたキャンペーンだと聞いて、ちょっと興ざめてしまった―――。
このプレミアムフライデーの話を聞いて、前記の友人との待ち合わせの話を思い出したのは、今時のサラリーマンなら、金曜日思いがけず仕事が早く終わってしまった場合、その時間をどうするのだろうか―――と思ったからだ。
あの当時のタカさんや友人同様、今だって、独身で恋人もいない、なんていう境遇に置かれた男女は結構多いのではないかと思う。そういった連中が、突然、終業時間が3時になり、早い時間に退社しなければならない〜等と言う境遇に放り投げられたら、「どうやって時間を潰そうか〜」なんて悩むことになりはしないのだろうか。
政府や経団連の狙いの通り「月末の金曜日に早めに仕事を切り上げ、夕方から買い物や飲食、旅行などを楽しもう」とすれば、それなりに出費も嵩むかもしれない。何かと物入りな昨今、中途半端に時間が余り「金がない」となると―――せいぜい、3時過ぎから安い立ち飲みスタンドかチョイ飲みの店で飲むぐらいしかないのでは―――若い独り者が3時からチョイ飲み―――う〜ん―――わびしくなってしまうかも。
中年のサラリーマンなら、いつもより早く家に帰ってみれば、息子も娘も塾通いで夜遅くまで勉強している―――となれば、一人でこたつに入って早い時間から一杯！なんて、罪悪感ばかりできっと楽しくはないのでは―――。
政府の実利狙いの「プレミアムフライデー」----、余計なお世話かもしれないが、先行きが心配だ。
（2/23/17 10:00pm）
2017年2月17日
ポルトガルの道
後に世界規模の帝国を作ったスペインや英国に先駆けて、大航海時代の先陣を切ったのはポルトガルだ。欧州の片田舎の小国に過ぎなかったポルトガルが15世紀はじめ逸早く世界に進出し多くの富を蓄えたが、そのきっかけになったのは、喜望峰を回ってインドにいたるインド航路を開いたヴァスコ・ダ・ガマや、初めての世界一周航海を成し遂げたマゼランたちのような開拓者精神あふれるポルトガル人がいたからだ。
当時、ポルトガル人の多くがいかに世界に雄飛したかは、リスボン港に建つあの有名な記念碑「発見のモニュメント」に彫られている15世紀のポルトガル人探検家、芸術家・科学者・地図制作者・宣教師（あのフランシスコ・ザビエルを含む）の像だけでも、ざっと数えただけでも50人にも上ることからも分かる。
しかし、それほどの勢いで世界に雄飛し、南米やカナダをはじめ広大で豊かな植民地を得たにもかかわらず、ポルトガルが、後を追うスペインや英国によって、再び、欧州の片田舎の小国にまで没落してしまった第一の理由は、当時のポルトガルの人口がわずか100万人程度と、スペインや英国の1/5から1/6に過ぎなかったため、広大な殖民地の経営や、東洋との貿易（これもまた、当初はメチャクチャに儲かった）に、本国の優秀な人材をほとんど取られてしまい人手不足、人材不足におちいり、人口余力のあるスペインや英国にあっという間に飲みこまれてしまったためだという。
ポルトガル人自身が、ヨーロッパでの地位の低さは、「あの頃、優秀な人材が皆、海外に出てしまった為だ」と嘆いている―――という話を聞いたことがある。
今、アメリカや欧州で問題になっている「移民」問題も、いわゆる経済難民が押し寄せることによる社会負担が重荷になっていることが、一番の問題だといわれているが、先日、トランプが入国禁止の大統領令を出したときに、それに対し抗議の声をあげたのは、GOOGLEやAmazonをはじめとする新しい形の企業だったが、彼等の反対理由は「この大統領令によって海外からの優秀な人材が来なくなり、それはひいては米国経済を衰退に導く」というものだった。
ということは、アメリカの二次産業では、メキシコなどの単純労働の流入による国内労働者の賃金低下を嫌っているけれど、金融やハイテク、あるいは通販といった第三次産業では、アメリカの優位は海外からの優秀な頭脳によって支えられている―――ということを意味しているのだ。いま、日本で語られる海外労働人口の受入れ問題も、どちらかというと、日本人がやりたがらない3K労働（肉体労働や、介護といった）のみに話題が集中しているが、例えば1T企業や、金融関連企業ではインドや中近東、欧米のみならず中国からのいわゆる高技能労働者と言われる労働力が多く働いており企業によってはこういった外国人労働力なしでは成り立たないところも多いという。
逆にインドや香港、中国、韓国、では優秀な人材、裕福な階層に属する人ほど海外に移住して行くという―――まさにポルトガルが辿った道だ―――。
若い世代の、優秀な頭脳も（そうでない頭脳も）さっぱり外に出たがらなくなっている今の日本がかつてのポルトガルが辿った道を歩む恐れは少ないかもしれないが、次に怖いのはそんな日本に海外の優秀な頭脳が入って来ず、単純労働力ばかり押し寄せるアメリカのような国になりはしないかということだが―――。
いやはや海外人材の問題は実に複雑だ。
（2/16/17 10:00pm）
2017年2月10日
360度地平線
アルゼンチンのブエノスアイレスを訪れた時、市内観光で最初に案内されたのがラプラタ河だった。大きな河といえば、アマゾンやナイル、揚子江といったところが有名だが、どれも確かに河口付近では川幅が数百キロに及ぶが、まだ河口まで数百キロという中流域（？）に位置するブエノスアイレスではラプラタの川幅はわずか40キロと聞いて、そんなに大きな河を想像していなかったのだが、案内された河岸にたって驚いた。
対岸（ウルグアイになるとか）なんて全く見えない。ラプラタ河自身、ゆるやかな草原（パンパという）を流れてきており、この辺りでも流れがあるのかないのか分からない位ゆったりしているから、河岸からの眺めは、河をみているというよりは、海を眺めているような感じだった。
ガイドの説明によると、「地球は丸い」所為で、人の目線で見る水平線（地平線）はせいぜい6キロ先までであり、それより遠くなると、樹木などでさえ水平線の下に沈んでしまうのだという。
確かに一度、三平方の定理を使って地球半径から水平線までの距離を計算した式をみたら、その答えが確か4キロちょっとだったから、あのガイドの言っていたことは正しいようだ。
そうそう、狭い日本に住んでいると水平線はともかく北海道以外で地平線を見ることはほとんど不可能だ。まして360度地平線という場所は、北海道にだってないだろう（一部が山や丘に遮られるから）が、エジプト駐在時代、同僚数人と「360度地平線を見る会」をつくりリビア砂漠に出かけていった時に、確かにまごうことなき「360度地平線」という大パノラマをみたことがある。確かにあの時も地平線という奴がそんなに数百キロも先ではなさそうだ――という実感を得たが―――三平方の定理からすれば周囲6-7キロ、遮るもののない砂漠とか草原にいけば「360度の地平線」は見えると言う訳だから、案外地球上にはありふれているのかも知れない。
逆に考えれば、例え視角数度といえども地平線をみることのできない日本の国土は狭いということだろうか。
聞くところによると北方四島の択捉とか国後にはこの「360度地平線」が見えるところはいくらでもあるとか―――その一点だけからも、タカさんの生きている内に、北方四島返還を実現して欲しいものだと思う。
（2/09/17 10:00pm）
2017年2月3日
留学生減少
今、アメリカで暮らしたいと考える若者が以前に比べて大幅に減っているのは、日本がなんだかんだ言って豊かになり、かつてのようにアメリカが「憧れの国」ではなくなったからだといわれている。
少子化によって若者の数が減っているからという理由はあるにしても、例えばアメリカの大学への日本人留学生の数は、ピークだった2000年前後の5万人規模にくらべて2015年では遂に2万人を割り込むまでに落ち込んでいるのも、中国や韓国からの留学生がそれぞれ28万人、7万人規模であるのに比べて際立っているように思う。
総人口が13億だという中国からの留学生が日本の14倍程度というのは、比率的に考えればまあ、そんなものかと思うが、人口4860万人の韓国の7万人という数の多さには驚かされる。ヘル・コリア（地獄のような韓国）という韓国の若者達の自国を嘲笑するSNS用語が意味するように、一刻も早く母国を離れて別天地で暮したい！という若者達の願望と、子息を早く国外に出して自分たちもその子供を頼って韓国から離れたい！という親たちの思いが、この異常なほどに多い米国留学生の数になっているのだという解説があったが―――事実だとしたら日本の若者が国外に行きたがらない理由は、「日本の現状に満足しきっているから――」ということになる訳で、「嘆かわしい！」などと慨嘆する必要はない、ということにもなるが―――。
いま全米の大学に於ける外国人留学生の割合は、約12%だがもちろんカリフォルニア州や東部の各州の有名大学になるとこの比率はグッと上がり中には20%を超す大学もある。
アメリカの大学の場合、授業料が高額であることは有名だが、アメリカ政府や各州などの公的補助や、奨学金制度などの利用がなく、全額自費（もしくは出身国の援助）で留学してくるこれらの外国人留学生は、アメリカの大学経営にとって最大のお客さんだし、彼等が留学期間中に支払う滞在費などをひっくるめたアメリカで落とす金額は今やアメリカ経済にとって必要不可欠なものになっている。
トランプ大統領の中東7カ国からの入国禁止措置をみていてふっと気付いたのは、これら7カ国からのアメリカへの留学生数は統計に乗るレベルでは全くないことだ。
なぜこの7ヶ国なのかについて、トランプは「テロリストの入国阻止のためだ」といっているが、この7ヶ国出身者が過去にアメリカでテロをおこなった記録は一切ないことからすると、この7ヶ国からの入国を禁止しても、アメリカの大学経営にも、アメリカ経済にとっても何ら実害がないから！ではないかとも考えられる。
実際に9.11のテロをはじめテロ実行犯を出した国、サウジアラビアやトルコ、エジプトやキルギスが含まれていないのは、これらの国からの留学生が多いからかもしれない。（ちなみに、サウジアラビアからは現在55000人--韓国に次いで第4位--の留学生がきており彼等の金持ちぶりは有名だ）
―――ということは、このまま日本からの留学生が減り続けると、トランプが気まぐれに「日本からの入国を禁止する！」なんていう大統領令を出しかねないような気もしないではない―――もうあらかたのアメリカの観光地は回ったからそれでも良いような気もするが、もう一度、ラスベガスには行っておきたいような気もするが―――。
（2/02/17 10:00pm）
2017年1月31日
携帯は必要か
今や日本における携帯電話端末の総契約数は1億6千万を突破したというから、赤ん坊までいれた日本の全人口が携帯端末を1つ以上もっている計算になる。
もっとも別の調査によればタカさんのように「未だに携帯を持たない人の割合」も15%という数字もあるから、「日本人は全員携帯をもっている！」というのは、単なる統計上の計算に過ぎないといえるのだが―――。（まあ、希少であることに変わりはないが）
先日、高校の同窓会があって同じクラスの男女20数名が集まったが、携帯をもっていないのはタカさんだけだった。自宅を出てから会場の最寄り駅の電車時刻表やら、乗り換え方法、あるいは会場のレストランまでの地図といったもの迄、今や皆、携帯によって調べて来ているらしく、ちょっと（と言っても数分ではあったが）遅刻したタカさんは、幹事役の旧友に「携帯をもっていないからだよ」とちょっとたしなめられた。「ワリイ、ワリイ」ともちろん謝ったものの、タカさんとしては「電車に乗るのも、会場のレストランにたどり着くのも携帯がなければ来られない、お前の方がどうせ早くボケるに決まっている！」と口答えしたい気分だった。
サラリーマンの現役時代、誰だって取引先やプライベートな電話番号の50や100は覚えていたものだが、携帯が普及してからは自宅の電話番号さえ空では言えない、なんていう連中だらけになってしまった。
携帯をいじってチョコチョコっと検索さえすれば立ちどころにどんな事でも調べられる――というのは確かに便利だけれど、そうやって調べた検索結果の答えは、ものの3分経ったら忘れてしまうのは「また、分からなくなれば、携帯で検索すればいいや！」と思うからで、昔のように、自分で本やら辞書を括って苦労して調べた答えは、中々わすれないのとは大違いだ。
タカさんに言わせれば、携帯で調べられるからといって知識を「与えられる」環境にある人の「知識の底力」は、自分で知識を「取りにいった」人に比べて数段劣るはずだと思うのだが―――。
携帯を持たないタカさんとしては、携帯をもっている妻や娘たちから言われる「不便でしょ！」という意味が、全くわからない。今の世の中、確かに携帯があれば多分、便利なことはあるのかもしれないが、決して不便ではない。
誰かに連絡したければ、公衆電話とか家電を架ければよいし、電車の時刻表にしろ、レストランの場所にしろ携帯で検索しなければ皆目分からない、等ということもない。（近くまで来ていれば、誰かに聞けば済むことではないか）
タカさんは常時テレカをもっているけれど、これを使い切るには優に2年近くはかかるが、その意味するところはリタイアした我が身には、電話をかける必要がほとんどない、ということでもあるのだから、それはとりもなおさず「携帯を持たないことの不便」など無いということなのだ。
ということは、仕事以外のことの為に携帯をもっている人たちは、全くもしくはほとんど無駄（失礼！）なことに携帯を使っている――ということなのではないか――とも思うのだが―――。
（1/30/17 10:00pm）
2017年1月27日
検査結果は信用できるか？
国際オリンピック委員会（IOC）は2008年の北京オリンピックの陸上男子400メートルリレーで金メダルだったジャマイカチームの失格処分を発表した。これは、ジャマイカの走者一人の尿検体を再検査したところ禁止薬物が発見されたためであり、この失格処分によりウサイン・ボルト選手ら他のリレーメンバーの金メダルも剥奪となり、この競技で銅メダルだった日本チームの順位は一つ繰り上がり「銀メダル」が贈られることになるという。陸上男子で「銀」というのだから大いに喜んでよいのかもしれないが、なにせ8年も前のオリンピックである、今更「銅じゃなくて銀でした」といわれても、選手でさえ戸惑う始末で一般の我々にしてみれば「今更、銀でした！喜びましょう！といわれてもねぇ〜」といったところではないだろうか。
なんでこんなことになったのかというと、現在の規定では競技直後の尿検体は10年間保存と定められており、この間のドーピング検査技術の目覚ましい進歩によって8年前には検出されなかった薬物が、今や検出できるようになった為だとはいうが―――。今回、北京オリンピックから７年目も経っているのに、まだ順位の変更があったということは、検体の保存期間である、2020年までの後3年程は、北京五輪の全競技のメダルは最終確定ではない（まだまだ変更ありうべし）ということなのだろうか。
ソチのオリンピックでのドーピング検査が検査組織ぐるみ、国ぐるみで行われていたことが明らかになり、ロシアのリオ五輪参加ができなくなったという事件がつい最近あったばかりだが、ことほど左様にドーピング検査というものはいい加減で、インチキ臭いもののようだ。
そういえば、2014年から9回にわたって行われてきた東京都の八重洲新市場の地下水検査も、小池新都知事が就任するまでの第1回から第7回までは「異常なし」だったのに、就任後の第8回モニタリングではそれまで一度も出た事がない「基準値を超える値」が出て大騒ぎとなり、先日出た第9回では遂に基準値の79倍！などというとんでもない値が出たという。地下水に含まれるベンゼンが、たった数カ月の間に79倍にもなるなんて――――あり得ない話で、原因は誰が考えても二つしかないのではなかろうか。一つは、誰かが第9回検査の際に、ベンゼンを意図的に地下水に入れたか、もう一つは、今までの8回の検査数値が「インチキ」であり、東京都と検査会社が数字を捏造していたか――のどちらかだ。
いずれの場合でも、「犯人」がいる――ということになる―――。これは、もう早速、検察にて犯人を調べてもらう以外ない。（内部調査などといっていると、調査会社と都の役人、利害関係者がうやむやにしてしまうだろうから）
オリンピックのドーピング検査でさえ検体の保存は10年だというのだから、1回から9回までのモニタリングの際に採取した検体は、当然保存されているはずだ。これを再検査すれば、前（1回から7回）の検査がインチキだったのか、今回の検査時に誰かがベンゼンを投入したのかの判定はできるはずだが。
それにしてもオリンピックのドーピングにせよ豊洲の地下水検査にせよ「検査結果」なるものがこれほどいい加減なものだとは―――タカさんも2ケ月に血液検査を受けているが、「血糖値とコレステロールが高い」という結果も、信用できないのかもしれないから、これからは余り気にしないようにしよう。
（1/26/17 10:00pm)
2017年1月23日
横綱稀勢の里
待ちに待ったといえば今場所の稀勢の里の優勝だ。
14日目優勝を決め、千秋楽には横綱白鵬を破って日本人としては19年振りの横綱昇進を決めた。
稀勢の里の後援会ができた当初から会員となりかれこれ10年近く応援を続けてきたが、栃東以来日本出身力士の優勝がないという中で、その「久しぶりの日本出身力士の優勝」という期待を一身に背負いながら、後一歩のところで目前の優勝賜杯を何度つかみ損ねてきたことだろう。その度ごとに、稀勢の里自身と同じほどに悔しい思いをしてきたが、今場所の優勝でそんな十年余りの口惜しさも吹き飛んだ。
千秋楽に撃破した今まで稀勢の里にとっての大きな壁であった横綱白鵬でさえ三十一歳の今場所は、若干衰えがみえるようなところもあったことを思うと、若手のホープといわれたあの稀勢の里も今年でもう三十歳―--となると横綱として相撲をとれる年数は、もうあと10年もないかもしれない―――。
そう思うと、タカさんとしては稀勢の里の横綱昇進には、大きな期待と同時に、又これから先も、やきもきさせられるのではないかという若干の不安の気持ちも起きる。御嶽海、正代といった若手もグングンと伸びてきているし、今場所は途中休場となった日馬富士や鶴竜といった横綱もそろい、久々の4横綱時代となる3月の大阪場所が初場所千秋楽のおわったばかりだと言うのに今から何とも楽しみになってきた。
願わくは、大阪場所も優勝して大横綱としての第一歩を踏み出してタカさんの不安感を吹き飛ばして欲しい。
おめでとう稀勢の里。そしてガンバレ稀勢の里。
（1/22/17 10:00pm）
2017年1月20日
デパートってなに？
最近やたらとデパートの閉店のニュースを聞く。
さすがに閉鎖、閉店となると、地方都市というか郊外都市の店が多いけれど、都心のデパートでも入ってみるとビルの大部分をユニクロだとか、ニトリなどが占めていて残った階も専門店が入っている―――といった具合だから、かつての「老舗デパート」はどこへやら、今や雑居ビルオーナーに変身してしまったのかと思えるほで、「あの昔懐かしいxxデパートが乗っ取られてしまったのか！」といった感じさえ受けるところもある。
近年、デパート業界の売上は毎年前年割れがつづいており（神風ともいえた「爆買い」もすっかり影をひそめたらしい）、昨年は、遂にピークだった90年代半ばの6割にまで落ち込んでいるというから、自前の土地に建っている都心の店舗はどうにか耐えられても、貸しビルに店を開いていた地方店では、賃貸料の負担を持ちこたえることができず次々に閉店に追い込まれるのも致し方ないようだ。
半世紀以上も前、タカさんの子ども時代はデパートといえばハレの日に家族で「一張羅」を着て出かけるところだった。母が何の買物をしていたのかは、とんと記憶にないが、買物が一段落したら最上階の食堂につれていってもらい「お子様ランチ」を食べ、銀のカップに乗せられたアイスクリームを食べさせてもらえるのが無上の喜びだった―――という記憶があるのだが――――先日、5年生になる孫に「デパートって知っている？」と訊いたら「知っているよ、イオンモールでしょ、ららぽーとでしょ―――」というではないか。「いや、いや、そういうのじゃなくて―――三越とか、伊勢丹とか西武と言った―――」といってみたが「そんなところには行ったことがない」というではないか。
横にいた妻（要するに孫にとってのおばあちゃん）が「ほら、入学する時、高島屋にランドセルを買いにいったじゃない―――」と取り繕ったが、勿論、彼に入学前の記憶なんて残っている訳もない。
ことほど左様に今の子供たちにとってデパートというものが遠い存在であることには衝撃をうけたが、これからもショッピングモールやらネットショッピングが益々盛んになっていくだろうから、若い世代にとってはデパートという存在が益々、疎遠なものになっていくのではないだろうか。ある意味、寂しい気持ちもあるが世の中の移り変わりはもう押しとどめようもないようだ。
そういえば、そういうタカさんも2ケ月に一回の病院通いの帰りに、池袋の東武の地下食料品売り場にある「みはし」で餡蜜を買う以外、デパートと名のつく店に入った記憶はないなぁ〜。
（1/19/17 10:00pm）
2017年1月13日
量子論と仏教哲学
西洋哲学の根本をなす決定論的な考え方では、「原因があって結果がある」大原則がある。この立場に立てば「何かの事象がなぜこうなっているのか？」という設問に対しては必ずやその「答え」がみつかるという論理が成り立つ。
ニュートンやアインシュタインも宇宙の法則はすべて決定論的な秩序において成り立っているはずだと考え、その原因にあたる法則を発見したし、近代科学のみならず、近代社会思想もすべてこの決定論的立場の上になりたっている。
しかし、20世紀初頭以降、科学の世界でこの「原因があって結果がある」という順番が成り立たない世界があることが実証されてきた。それは量子の世界だ。
量子の世界では我々が今まで当然と考えていた「あらゆるものごとには、原因がある」という法則がなりたたないことが分かったというのだ。そんなバカな！ではあるが、近年の量子論は、「原因と結果は同時に存在しうる」ということがもはや常識であるかのような様相を呈している。
さて、そこで思い当たるのが仏教哲学でいう「因果俱時」である。仏教では蓮の花がつぼみの中に既に花があるのと同じように、世の中ではすべての事象が、結果と原因は同時に起きている、あるいは時によっては結果と原因の逆転もありうる（因果俱時）―――と教えている。
2500年前のブッダが考えたことと、現代における量子論の説くことが同じだとしたら―――何とも興味深いではないか。
（1/12/17 10:00pm）
2017年1月10日
幸せな世界
医療技術の凄まじい勢いでの発達は、一体どこへ向かっていくのかを考える時、一抹の不安を感じないではない。
既にこの世に生を受けたものにとっては不老不死が究極の目標のようにも思われているが、手塚治虫の「火の鳥」ではないけれど、体は朽ちても死ぬこともできなくなったまさに神のような存在になった人間が果たして「幸せ」なのだろうか。
不老不死とまでいかなくても寿命が130歳,120歳、いや110歳まで伸びることですら本人にとってはひょっとしたら苦痛なのではないかとも思う。（83歳で亡くなった古今亭志ん生は、80を過ぎると「やんなっちゃうなぁ〜 まだ死なないよ〜」というのが口癖だったとか）
臓器移植もいまや移植できない臓器はない、といってもよいほどだ。生体移植のみならず今や様々な人工臓器がつくられ移植され場合によっては、そういった人工臓器がまるで入れ歯のように新品と交換されるというのだから、その内、もって生まれた身体の部品なんか跡形もないそっくり人工物に入れ替わった人間（果たして人間といえるのか？）なんていうのが100年後（いや50年後？）には実現しているかもしれない。これって本当に我々が本当に望む医療技術の姿なのだろうか。
臓器移植だけをとってみても、今のところ不可能だろうと考えられている「脳移植」だって量子コンピューターが人の脳に収められている全データを読み取り保存できるような技術が実現すれば、私の、そしてあなたの「人格」すべてが電脳空間で生き続けることも可能になるだろう。身体のない脳の方が、脳のない身体よりは「生きている」と言える―――なんていう議論もあることを考えれば、そんな電脳空間に移し替えられた人々の脳は、まさに、人間にとっての不老不死の世界ということになるかもしれないのだ―――。
そんなSFチックな世界が実現するなんて全く考えられなかった10年前（いや5年前）に比べて最近の医療技術、そして科学技術の発展はすさまじく、タカさんが冒頭から書いている「ちょっと前までは夢物語と笑われたような」技術が今や真剣に取り組まれるようになっている。
まだ脳移植の研究が具体化しているという話しは寡聞にして知らないが、今朝の読売新聞には、慶応大学のチームが妊娠、出産を目的とした第三者からの子宮移植の臨床研究の申請準備に入ったというニュースが載っていた。
婦人参政権獲得運動で活躍した平塚雷鳥（らいてふ）が「青鞜」に書いた名文「元始、女性は太陽であった」ではないが、男にはできない「子供を産む」ことができる女性こそが太陽であるとする思想は、広く人々が認めるところではあるが、子宮移植などということができるようになれば、その内、男が妊娠し子供を産む、などということもできるようになるかもしれない。そんなことになれば、男性同士の同性婚が認められているのだから、その内そういった「男性カップルが出産！」なんていうニュースが当たり前に語られる時代がくるかもしれない―――。
人がいつまでも生きていて（死なないで）、男同士、女同士の夫婦が次々に子供を産んで―――そんな未来社会が、本当に人間にとって幸せな世界といえるのだろうか―――。
（1/09/17 10:00pm）
2017年1月6日
おせちは飽きた
正月七日の七草粥、お月見の時の草団子、大晦日といえば年越しそばといった具合に、日本には四季折々の行事食は実に多い。しかも、外国の行事でもどんどん取り入れる日本人だから、12月24日の「クリスマスケーキ」までいれたら、年間の行事食の延べ数は30ではきかないほどではないだろうか。
中でも一番の行事食といえば、お正月のおせち料理だが、欠かせない行事料理ナンバーワンの割には、美味いか？と問われて美味い、と答える人は余り多くなく、おせち料理とは、「正月の祝いの決りだから」という答えが返ってきそうだ。
タカさんがごく幼かった頃の思い出では、母親が、年越しそばの用意をする傍らでもまだその仕上げに精を出して姿を見ていただけに、元旦の祝い膳にならぶこのおせちに心弾んだこともあったが、その祝い重も飾り付けられた一品一品は美しくはあるものの、子供心には「これは美味い」と思える品はそれほどなかったように思う。
おせちの一品一品には、例えば「田作り」は五穀豊穣、「黒豆」は、「マメに働けるように」、「栗きんとん」は黄金に恵まれる―――勝負運がよくなる、といった一つ一つのおめでたい意味があるのだ―――と教えられてはいたが、子供にとっては五穀豊穣も、勝負運もピンとこなかったし、まして「数の子」の‘子宝にめぐまれて子孫繁栄’ だとか「海老」の‘長寿’といった意味もまるで縁がない話に聞こえたものだ。
そうそう、あのお正月ならではの「尾頭付き」の祝い鯛も、手につくと洗っても中々あの匂いが落ちないこともあって苦手だった。（今も焼き鯛はタカさんの苦手だ）
そんな訳で、正月料理はちょっと苦手だ〜と思って60数年を過ごしてきたのだが、今朝、ウォーキングをしながらラジオをきいていたら偶々、現代の若い世代の家庭でもやはりお節で正月を祝うという風習はしっかりと守られてはいるものの、その多くが「おせちが三日も続くのは勘弁してほしい！」といっている――と聞いて、「なん〜だ、タカさんの思いは、皆も同じだったのか〜」おもわず膝を打った次第だ。
かつては、各家庭でそれぞれにおせち料理を作ったものだが、近年はデパートやスーパーでおせちセットを買って来る家庭がほとんどだというが、安くても2万円から3万円、中には京都の料亭どこそこのおせちセットだ、博多のどこそこのセットで、5万円、7万円、10万円といったものもあるのだから、多くの人が「決して美味い物ではないけれど、まあ、お正月の決りだから」とこういった高額なものを買い求めるのは――――なんだか無駄遣いの極致のような気がしないではない。
田作りにせよ、黒豆、きんとんにせよ、その原材料費はどんなに良い物をつかったにせよ微々たるもの、「料亭どこそこ」という名がついてはいても、どうせ10月位から工場のようなところで作り置きした品物だろうから、5万、10万のセットどころか2万、3万のセットにせよ原価率なんてどうせ1-2割に過ぎないだろうに〜なんて、おせち料理の評価の低いタカさんは思うのだが。（12月には、3000万円とも5000万円ともいわれる全国紙の一面広告を月数回打っているおせちセット広告もあることを考えるとやっぱり、あれは相当ボロ儲けの出る商売なのだろう）
とはいうもののやはり日本人だから来年の正月もきっとおせち料理で祝うことになるのだろうなぁ〜。
（1/05/17 10:00pm）
2017年1月1日
2017年新春の所感
77年頃にテレビ人気シリーズだったテレビ時代劇「木枯し紋次郎」の忘れられないラストシーンに、その地にとどまって欲しいと懇願する村娘に紋次郎が｢あてのない旅でござんすが､
先は急ぐもので〜｣と道中合羽を翻して去っていく―――と言った場面だ。
このセリフが最近のタカさんにとっては、紋次郎の名セリフである「あっしにはかかわりのないことで」や、｢おめえさんのことは､思い出しもしねえが､忘れもしやせん」以上に印象に残っているというか、よく思い出される。
というのも、現役時代とは比べものにならないほど時間に余裕ができているはずの昨今だが、とくに年末年始のこの時期に一年を振り返ると、これという出来事があった訳でもないのに一年があっという間に過ぎ去り、しかもやけに忙しい一年だった――と感じられるようになった所為だ。
紋次郎ならぬ「これといった予定がある訳ではござんせんが、忙しいもんで――」という心境の毎日、毎月、そして一年が過ぎてゆくからだ。
昨年一年も、振り返ってみた時「今年はこれとこれがあったから忙しかったのだ」と言えるようなことはなかったにも拘わらず、一年を通じて時間に追われ通しだったように思え、読みたいと思っていわゆる「積ん読」になっている本の数は増えるばかり、正月に立てた旅行やら、美術館探訪、野球観戦の計画も半分もこなせなかった。
年齢を重ねると時間の経つのが早く感じられるようになるからだとか、年齢とともに動作が遅くなり、気付かぬ内に覇気やら意欲に衰えが見られるようになるからだ――等と物の本には書いてあるが、いやいや、まだまだ覇気も意欲も往年と比べて衰えてなどいない！とも思うのだが―――。
今年は60代最後の年、紋次郎のようなニヒルなことばかり言っていないで、もう一度ネジを巻きなおして、年末には「ああ今年は、色々忙しかったけれど、計画以上のことをやり遂げることができた！」と言えるような一年にしたいものだと思う。
皆様にとって今年2017年が、より良い年でありますように、心からお祈り申し上げます。
日々早々は1月6日号の金曜日シリーズより再開いたします。
（01/01/17 00:00pm）
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