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2022年3月
＜＜3月タイトル＞
03/29 夢のような話 03/28 国連中心主義 03/25 箸使い 03/24 セルフハンディキャッピング 03/23 人口激減国 03/22
わからない 03/18 善玉悪玉 03/17 札幌誘致だって? 03/16 血は水より濃い 03/14 デレン 03/11 マルボロマネー 03/10
愚者は成功に学ぶ 03/09 慣れない言葉 03/08 悪魔の戦略 03/07 国連総会決議 03/04 シロビキとオリガルヒ 03/03 誰に文句を
03/02 サハリン2どうする 03/01 地中微生物
2022年3月29日
夢のような話
石炭、石油などのいわゆる化石燃料由来のエネルギーは温暖化ガスの発生原因でありこれを実質ゼロにしようという動きが盛んでそれに代わる自然エネルギ―由来の発電が盛んにもてはやされている。
しかしこれらのエネルギーは、例えば太陽光は日照がなければ発電できないし、風力なら風がなかったら、あるいは強すぎたら、発電できないという不安定さがある、と言った問題を抱えており自然環境派の人々が熱狂するほどの期待に応えられないというのが実情だ。しかも、それ以上に問題なのは発電コストが化石燃料に比較して高いことがやはり問題だ。
「地球環境のためなら、電気代が高くなっても構わない」という熱狂的な人もいるようだが、ドーナツが4月から一個10円値上げされると聞いて「子供達が泣いている」なんていう反応を見せる人にとっては、電気代の値上げはそれこそ死活問題と写るに違いない。
自然エネルギーの多くは温暖化ガスの発生は少ないがコストが高いことが問題だ。1kw/h当たりの発電コストを観てみると、石炭火力は13-22円、石油火力なら24-27円台なのに比べると今脚光を浴びている洋上風力でさえ30-34円、バイオマスでも32円程度はかかっておりその発電ポテンシャルは現在の火力発電（石炭、石油、天然ガス発電）を代替できるほどのものではないことも問題だ。
コストだけで比べれば、原子力発電が11円台と安価ではあるし大量に発電可能ではあるものの、万一の事故の際の危険性に対する日本人の忌避感は半端なものではないからこれも実質的に見て火力に代わり得る可能性は低い。（次世代原子力発電と言われる小型原子炉への期待が高まってはいるが、小型化すればコストが上昇するし、絶対に安全という訳でもない）
温暖化ガスを排出せず、安全でコストも安いエネルギーというのは、どう考えても無理筋のようだが、地熱発電ならばその可能性はありそうだ。日本は火山国でもあり地熱エネルギーのポテンシャルは、アメリカ、インドネシアに次いで世界第3位だが現在日本での地熱発電は総発電量の僅か0.2%に過ぎない。この理由は地熱発電の適地である火山周辺のほとんどが国立公園や国定公園に指定されており地熱発電所の建設ができないからだが、近年地上から20キロ近くにあるマグマ迄掘り進めそのマグマから直接地熱を取り出すという大深度地熱発電の技術を開発中だとか。
もしこの技術が実用化されれば、地表から5キロから20キロにある500度のマグマから地球誕生以来横たわっている無限といってもよい地熱を取り出し発電することができるというからまさに理想の自然エネルギー発電が可能になるかもしれない。
コストも安く無限ともいえる自然エネルギーが取り出せれば―――世界が抱えている多くの問題が一挙解決---ということも夢ではなくなるのだが――まさに夢のような話だが――大いに期待してしまう。
（03/29/22 9:00pm S.T. ）
2022年3月28日
国連中心主義
ウクライナのゼレンスキ―大統領は日本の国会演説で国連安全保障理事会が常任理事国であるロシアの拒否権発動で機能しておらず「侵略を止められる新しいツールを作らなければならない」と、国連改革を訴え、日本が指導力を発揮してほしいと訴えた。
第二次世界大戦の戦勝国であった国がオリジナルメンバーとなって作った国連（United Nations）は、第一次大戦後に作られた国際連盟が結局機能せず第二次大戦を招いてしまったという反省から生まれたもので、国際連盟の失敗の原因であったと言われる3点（1．全会一致制をとった為、何事も決まらなかったこと ２．強制力を持たなかったこと3．最強国に浮上していたアメリカが参加しなかったこと）に改善を加えて作られたものだが、設立後80年近くが経過して再び国際連盟と同じ欠陥が現出し、ゼレンスキ―大統領が指摘するまでもなく世界各国がその機能不全を実感するにいたっている。
すなわち、国連安保理事会の常任理事国である五ヶ国（英米仏ロ中）に拒否権が与えられていることによって、この内の一国でも反対すればたとえ他の国連参加国すべてが賛成しても「何事も決まらない」し、安保理決議は強制力を持つが、総会には強制権限がない―――というのだから結局国際連盟の欠陥の2．同様のことになってしまっている―――という訳だ。
ゼレンスキ―演説に対しては多くの日本人が共感したようだが（当初国会演説に反対していた立憲民主党の泉代表も掌返し賛同していた）、忘れてはならないのは日本が戦後一貫して「国連中心主義」をとって来たことである。国連が機能していないことはゼレンスキ―大統領に指摘されるまでもなく何年も前からよく知っていたのは日本なのに、その改革への努力をとってきただろうか―――。
北朝鮮がミサイルやICBMの発射を繰り返しているが、これも国連ではロシアと中国の拒否権によって非難すらできない有様だ。繰り返しになるが、ゼレンスキ―演説がいみじくも指摘した点など、とっくの昔に日本から発信すべきだったのではないだろうか。
（03/27/22 9:00pm S.T. ）
2022年3月25日
箸使い
ハンバーガーは大好物なのだが、食べ方が我ながら下手だと思う。食べ始めはまだしも半分まで来る頃には中のレタスやピクルスははみだし上下のバンズはずれまくってバーガーとしての一体感は見る影もなく、食べ終わる頃にはテーブルの回りは悲惨な残骸が汚く散らかっている。
ハンバーガーの発祥の地（？）であるアメリカでは10代の女の子でさえ最期までバーガーの形を保ったまま、実に綺麗に食べる。もちろんタカさんのように手をべとべとにすることもないのはどういうわけなのだろう。確かにアメリカ人は女の子と言えども口が大きいから、バーガーの全体にかぶりつけるから――とか、口元に持ってくる前に十分に押しつぶしているから――等という可能性も考えたが、それとなく見ていてもそんな技（？）を使っている様子はない。
やっぱり子供の頃から週何回も食べつけているハンバーガーだから綺麗に食べられるようになった――としか考えられない。タカさんが初めてハンバーガーを食べたのは20歳になったころだったから、アメリカ人の女の子たちとの20年のハンディ差は大きいのかもしれない。
ハンバーガーの食べ方では負けていても、子供の頃から親に散々作法をいわれたからか、煮魚や焼き魚なら彼女等には絶対負けない。秋刀魚でも鯛の塩焼きでも箸で綺麗に食べることには自信がある。（まあ、アメリカ人の女の子が秋刀魚の塩焼きを食べることはないだろうが）
3世紀末に書かれた魏志倭人伝には、日本人は手づかみで食事をすると書かれてはいるがいるが1400年前の飛鳥時代には、箸を使っていたから箸に関してはタカさんのDNAの中にもそのスキルが組み込まれているに違いない。ナイフとフォークでの食事作法が西洋で始まったのはせいぜい18世紀後半からでその歴史はまだ200年ちょっとに過ぎず、それまでは手づかみで食事をしていたのだから、彼等がハンバーガーを綺麗に食べるのも、DNA的に考えれば当然なのかもしれない。
ちなみに、現在でも、世界人口79億人の内、約4割が手づかみ、3割がナイフとフォーク、3割が箸で食事をしているという。
そう考えると、タカさんがハンバーガーを食べるのが下手なのも、タカさんが日本人としての歴史と文化を背負っているから―――だといえなくもないような――。
（03/24/22 9:00pm S.T. ）
2022年3月24日
セルフハンディキャッピング
明日中に卒論を提出しなければならないという切羽詰まった情況に陥った時に、いつもは気にならない散らかしっぱなしの部屋が気になって、机に向かう前に部屋の片づけに取り掛かってしまい、その内にもう一年もやっていない本棚の整理までやり始めてしまった―――等ということがあったが、今も何かやらなければいけないのだが、あまり気乗りしない事がある時に限って、別に急がなくてもよいようなこと（例えばしばらく読みさしになっている本を読み継ぎ始める――といった）がある。
こういう行動は、心理学でいう「セルフハンディキャッピング」というやつで、要は、結果が失敗した、あるいは上手く行かない場合でも、自尊心を保てるように、あらかじめ自分でハンディキャップを作り出している―――のかもしれない。
今日午後、欧米各国から数日遅れで、ウクライナのゼレンスキ―大統領が、やっと日本の国会でリモート演説を行った。ロシアの蛮行に直面しているウクライナの状況を訴え、日本の更なる支援を求めたのだが、なぜ日本の国会では、こんな簡単なことが何日間もできなかったのだろうか。中国、北朝鮮という強権国に囲まれロシアに北方領土を不法占拠されている日本なら、むしろ欧米に先駆けてやるべきだったのではないだろうか。
遅れた理由は様々あるが、立憲民主党の泉代表も、当初この演説に難色をしめしていたという。泉氏は「国会演説の前に『首脳会談・共同声明』が絶対条件」と主張していたと日経がつたえているが、ウクライナの大統領に、演説の内容を事前に日本側と調整しておくべきだなどと、事前検閲まがいの要求をするなんて―――ゼレンスキ―氏がいかに元俳優だからといってそんな注文を受け入れる訳もないし、他国がそんなこときいたらきっと泉代表は、ロシアの回し者なのか――と疑うに違いない―。
泉立民代表は、ゼレンスキ―大統領演説が余程いやだからセルフハンディキャッピングでもしたのだろうか。
（03/23/22 9:00pm S.T. ）
2022年3月23日
人口激減国
世界人口白書によると2021年の世界総人口は8000万人増えて78億7500万人になったという。毎年1億人近く増え続けているのだから、世界人口予測（2019）が言う
2030年に85億人、2050年には97億人という数字もほぼ確実に思えてくる。
ただその内訳をみると、アジア、アフリカでの人口増加が急であり、国によっては50年もしない内に人口倍増する所があるのに、欧州などでは激しい人口減少に見舞われるところもある。
マルサスは、人口の増加率が余りに激しいと碌なことはないといっていたが、それは今も一面において真であるともいえる。
現在も世界人口の増加によって食糧問題や、環境問題が引き起こされ自然破壊が取り返しのつかないところまで進みつつある。さらには、人口増加の激しいい地域からの貧困や紛争から逃れる人々の欧米への「民族大移動」ともいえる移民や出稼ぎ、あるいは不法入国によっていくらかバランスが取れていく――こともあるだろうが、移動先での差別や、移民排斥の動きなどと重なるだろうから、過不足が埋まった、等と喜んでばかりはいられない。
ローマ帝国が衰退した一つの理由は、豊かになったローマ市民が子供を多く産まなくなったことによる人口減少だと言う説があるが、現代においても人口増加に悩む世界の中にあって、急激な人口減少が起きている国がある。一つには、豊かになった先進国の中には少子化が進み、人口は減少傾向にある国があるがが、その他では旧ソ連圏（旧共産圏）の国々での減少が目立つ。リトアニアの年率-1.4%、を筆頭にクロアチア-1.2%、ブルガリア-0.7%、ルーマニア-0.6%、セルビア-0.5%、と続く人口減少国ランキングだが、ウクライナも-0.4%で第9位につけている。日本の人口減少が昨年度40万人で、率にすると-0.3%だからウクライナの方が日本より人口が急激に減っていることになる。
実際ウクライナの人口は2000年には4900万人だったがこの20年間で800万人減って4100万人にまで落ちている。（その間の日本の減少は150万人）人口減少の原因は、国民が移民となって国外に流出している問題もあるが、基本的には低い出生率と高い死亡率による自然減が強く影響しているという。（高い死亡率の原因は、飲酒――ウォッカの飲み過ぎ――、喫煙、肥満、高血圧、エイズのまん延などだと国連は分析している）
ただでさえ激しい人口減に見舞われているウクライナが、さらにロシアの無差別殺傷によって多くの命を失い、爆撃から逃れようとする住民の国外脱出を図っており、その数は、国連の予測では1000万人と総人口の1/4を超すだろうというのだから―――プーチンという独裁者は、ウクライナという国を地上から抹殺するつもりなのかも知れない。
（03/22/22 9:00pm S.T. ）
2022年3月22日
わからない
7年程前ギャラップの国際調査で「自国のために戦う意志」を質問したところ、日本では「はい」と答えた人の割合が11%と、64カ国中で最も低かったという。もっともオランダでも15%、ドイツでは18%と日本と大差はなかったという。
一方「はい」（自国のために戦う）と答えた人の割合が高いのは中国（71%）、ロシア（59%）だったことからすると、概して民主主義国で低く強権国家では高い傾向にあるようで、これは言論の自由度と反比例関係にあるという見方ができるかもしれない。
もっともこの調査結果をもって、「日本人は国を護る気がない」と考えるのも早計かもしれない。というのも、この調査の対象となった64ヶ国の中から8か国（日、米、英、仏、ロ、中、韓）に絞って比べてみると、はっきりと「いいえ」（自国を護るためでも戦わない）と答えた人の割合が、一番高いのはドイツの62%で次いで英、韓、仏であり日本は5番目に落ちるし、「わからない」と答えた人は8か国中もっとも多く48%と他の7か国をぶっちぎっている。（他の7か国の概ね20-10%の倍以上の数字だ）
外国による侵略の歴史を繰り返し経験している国々に比べ、先の大戦での悲惨な経験から80年近くが経っている日本がリアルに戦争をイメージできなくなっているからかも知れないし、いまも続く数々の戦争が、いずれも海を越えた、遠くの国での他人事に思えてしまう所為で、「自国が侵略されたら――」という設問の状況がイメージできないからどうしても「わからない」という答えが多くなってしまうのかもしれない。
さらには、ウクライナが直面しているロシアによる市民に対する無差別攻撃を実感できないでいるだけではなく、「ウクライナと違って日本には平和憲法があるから大丈夫」などと思っているが―――そこまでノー天気にもなれないから―――「わからない」という答える人が多いのかもしれない。
（03/21/22 9:00pm S.T. ）
2022年3月18日
善玉悪玉
男35歳と言えば若手から働き盛りといってよい歳に差し掛かった頃だろうが、その時に官僚のエリートコースの一つであるKGBに勤務し、ソ連の属国といってもよい東ドイツに駐在していたプーチンにとって、自分のプライドとアイデンティティーの土台であったソ連邦の崩壊という出来事は、屈辱以外の何物でもなかったのではないだろうか。
それ以来、40年近く、ロシアの最高の権力者に上り詰めた彼にとっては、あの時の屈辱を晴らす時が遂に巡って来た――と思ったのだろうが、ウクライナ侵攻は、当初のもくろみ通りには進まず、すでに4週間近くが経ち、その間に世界の大半を敵に回してしまったのは―――予想外だったに違いなく、それだけに彼のいら立ちは極限に達しているようだ。
人は、若い頃に受けた教育、思想からは中々離れられないものだ。まして35歳まで信じて忠誠を尽くしてきたソ連の思想を脱ぎ捨てることは難しい。プーチンにとって若い頃に植え付けられた考え方といえば、共産主義というよりは、ソ連が根本的にもっていた強権思想だ。
19世紀の無政府主義者であるバクーニンは、「共産主義体制は、少数の特権階級にによる多数の人民の支配になるだろう」と予言したが、ソ連が崩壊した理由も、ソ連の思想を継いだ強権プーチンが今陥っている誤算も、バクーニンの予言通りといえるのではないだろうか。
プーチン一人がポツンと座る席に陣取り、居並ぶ政権幹部たちは彼の玉座ともいえる席から10m以上も離れた席に座っている。その姿は、暗殺を怖れ閣僚さえ近づけさせない、独裁者、裸の王様そのものだ。
米国議会でも、髭もじゃにモスグリーンのTシャツ姿で、リモート演説をするウクライナのゼレンスキーと、独裁者然とした姿で幹部を叱りつけるプーチンとでは、報道が規制されているロシア国内や、中国はともかく、ほとんどの国の人々にとってはどちらが善玉か、そしてどちらが悪玉かの判定が余りにも簡単ではないか。
（03/17/22 9:00pm S.T. ）
2022年3月17日
札幌誘致だって？
2030年の冬季五輪開催候補地として札幌が立候補することについての地元の世論調査が行われ、賛成が過半数を超えたと伝えられる。世論調査はあくまでも「参考」の為に行われたということだし、何人が答えたのか、投票の内訳詳細が発表されていないので、どうしても五輪開催を誘致したいという経済界やら、JOCなどのスケジュール闘争のやらせの一過程ではないか等と疑ってしまう人も多いのではないだろうか。
8年後の、先の事とは言え、開催となれば種々の施設や設備、インフラ投資などで巨額の経費がかかり建設業界をはじめとする各業界の利権にとっては美味しいだろうし、政治家先生たちや、JOCや各競技団体にしてみても誘致に向けての下工作資金やら（東京オリンピックの際の工作資金疑惑ではJOCの会長がフランス当局から、指名手配（召喚）を受しても、いつにも増しての強化費用やらなにやらの国費の大判ぶるまいを見込めるだろうから、歓迎するに決まっている。
東京五輪の場合には、コロナ騒ぎで一年延期となるとか、競技場建設やらロゴ制作での不祥事やらもあったし、ムリムリ開催はしたものの大金を使って無観客だったし、結局バッハ会長をヨイショしただけだったようにも見えたというのに―――。
冬期北京では、新疆ウィグルでのジェノサイド、香港の人権抑圧、そして台湾への侵攻を隠さず、中華帝国の皇帝たらんとの野望を進める習近平に、ひれ伏すIOCに迎合しているうちに、遂にはロシアは「五輪期間中は戦争を止める」というルールを無視して、ウクライナに侵攻、ウクライナをはじめ世界が、「何が平和の祭典だ」と憤っているというのに―――。
またまた、札幌で、こんなに偽善の大会を開こうというのだから---日本と言う国は、経済にさえよければ道義もなにもなしで良いとでもいうのだろうか―――。
今や、金のかかり過ぎる五輪開催立候補に手を挙げる国はほとんどないともいわれているが日本だけはよっぽど金が余っているのだろうか。
それにしても、2030年にはロシアはどういう国になっているだろうか。冬期北京パラ大会ではロシアとベラルーシを除外したけれど、札幌でもそれをやったら怒ったプーチンが北海道を攻撃してくるかもしれず―――。やっぱり止めておいた方が無難というものだ。
（03/16/22 9:00pm S.T. ）
2022年3月16日
血は水よりも濃い
他人から金を貸してほしいと頼まれたら断るのが普通だが、その人が自分の腹違いの兄弟だとしたら―――赤の他人とは返事も違ってくるかもしれない。「血は水よりも濃い」という言葉があるが、中ロ関係にもひょっとしたら、そんな側面があるのではないだろうか。
世界を敵に回してしまった感じのプーチンだが、中国国内での人気は、ウクライナ侵攻後うなぎのぼりで、中国国内のSNSではプーチン応援の投稿が大量に発生しているという。中国政府による管理の下でのやらせ投稿が多いのか―――とも思ったが、中国国内のネット通販でも、世界でボイコットを受けているロシア製品の爆買いが広がっているというから、やはり中国でのロシア支持は、草の根の広がりをみせているのだろう。
習近平をはじめ政府中枢は、ロシアへのあからさまな支援や援助は、世界の反中世論を更に巻き起こしてしまうからと、国連でのロシア非難決議にも、「反対」ではなく「棄権」というあいまいな姿勢を見せているのに比べれば、この中国国内での一般人のロシア、プーチン贔屓は多分ほんものなのだろう。ウクライナ問題で西側諸国が、中国に対して「話せばわかるはずだ」などと甘く考えているのは、とんでもない勘違い――間違いなのかもしれない。
中国建国以来の歴史を振り返ってみると、ロシアと中国の関係は様々な変遷を繰りかえしてきている。ソ連共産党は1922年のソ連建国以来、世界の共産党の兄貴分、教師として中国共産党や日本共産党を指導してきた。中国共産党はその後、ソ連から離れ独自路線を歩もうとしてきて、特にスターリンの死後に起きたフルシチョフによるスターリン批判に反発し、その仲は険悪にもなった。（中ソ対立）
その為に中国はソ連が主導するリーダーだった共産圏諸国グループとも縁が切れて、世界の孤児となってしまったのだったが――――。そこに目をつけたのがニクソン大統領は突然中国を訪問、毛沢東、周恩来との間で米中の国交を回復したのだった。
それからの中国の経済発展は、西側陣営の多大なる貢献によってめざましく、遂には米国に次いで世界第二位の大国にまでのし上がり、行きつく結果が、世界制覇の野望（中華民族の夢）をあからさまにすることになり、今度は大恩人の米国との対立’米中対立）に至ったのだ。
こうなってみると、中国にとって昔々に世話になったソ連の後継国であるロシアがウクライナ侵攻で苦衷にあるときけば、血を分けた兄弟国、といった意識がはたらくから、ロシアの応援に回りたいという血がさわぐののだろう。
まして今の中国の中枢を担う人たちの多くは、中国がソ連と仲が良かった時代（1950年代）に生まれた世代やその人々に教育されて育った世代である。彼等の中には、腹違いの兄ロシアへ対する親しみがわき上がり、その為にロシア応援機運が盛り上がっている―――という事らしい―――。
やっぱり「血は水よりも濃い」のだろう。
（03/15/22 9:00pm S.T. ）
2022年3月14日
デレン
日本人の名前にちなんで名付けられ世界地図に載っている唯一の地名は「Mamiyanoseto」（マミヤノセト）だけである。
樺太島とシベリアを隔てるこの海峡を発見した間宮林蔵の名にちなんでいるのだが、林蔵がこの海峡を発見し樺太が島であることを実証したのは1810年、今から210年程前のことである。
林蔵はこの海峡を発見するとともに、海峡を渡って対岸のシベリアに行き彼の地を探検したが、アムール川沿いの奥地にデレンという交易地がありそこには、定期的に清朝の役人が訪れ徴税などを行っていることを発見した。（林蔵はここの役人と名刺を交換したとも伝えられる）
すなわち1800年頃にはシベリアのアムール川周辺地域は、清朝の支配下にあったのだ。その後、清国が衰えるにしたがってアムール川周辺のシベリアは、支配者不在となり、その内になんとなくロシア帝国、そしてそれを継いだソ連、更にはロシアの支配地域になっていったのだ。
歴史を遡ると、現在のウクライナとロシア、ベラルーシは1000年前のキエフ公国を起源としているから、いずれが兄か弟かは別にしても元々は兄弟ともいえる国同士である。言ってみれば三国は、どちらが本家かは分からなくなっている分家同士のようなものであり、その内の一つであるウクライナが、隣の町内会であるEUとNATOに入りたい、と言い出したのでロシアとベラルーシが「許せない！」と言い出したようなものだろう。
そんなプーチンの言い分が通るなら、アムール川周辺のシベリアは、ちょっと前まで清朝が治めていたのだから、清朝の末裔である中国が治めるのが正しい！と「中華民族の夢」なる大風呂敷を広げる習近平が言い出したら―――プーチンはなんと言うだろうか。
国際的包囲網による制裁で疲弊していくであろうプーチンには、そんな主張をしだした習近平に対抗する余力は核以外はないかもしれずロシア中国の二大核保有国がが核で争うなどというとんでもないことが起きる可能性だってないとは言えない。
ウクライナの人々の命よりは、自国の経済とエネルギー問題の方が大事だと、身を切った制裁には踏み切ろうとしないで、他人事のような姿勢をとっている日本も、中ロのシベリアの領有権争いの核戦争になれば――――どうするのだろう。まさかエネルギーが大事、経済が大事とは言ってられないと思うが―――。
（03/13/22 9:00pm S.T. ）
2022年3月11日
マルボロマネー
ソ連が崩壊に向かっていた前後の何年かの間、ロシア国内では物不足により物価が高騰し市民が食料品などを求めて何時間も行列を作っている日々が続いていた。そんな状況になると通貨のルーブルがほとんど価値をもたない情況となり、外貨のドルが（闇で）通用していたが、庶民は中々ドルを手にすることも出来なかったので、アメリカ製のタバコ「マルボロ」が通貨代わりに使われていた。そんなこともあってちょっとしたロシア人へのプレゼントには、カートンに入ったマルボロが重宝された――という話だったが―――。
タカさんが駐在していたころのエジプトでも、国内で流通しているのはエジプトボンドだったが、これはソフトカレンシーと言って国際的には流通しておらず、たとえば日本に持って帰っても紙屑であるから、常に一番信用のある通貨であるドルに換金して持っているようにしていた。銀行でも両替えはできたが為替は公定レートでしかなくあまりにも馬鹿げたレートだったので、街中にうろうろしているドルの闇レート屋（取締りを怖れてほとんどが立ちんぼで、まるで麻薬の密売人の様だった）で両替していたものだ。
ロシアのウクライナ侵略に対する制裁として国際社会が課したロシアのSWIFT（国際銀行間通信協会）からの除外によって、ルーブルが暴落しており、ロシアの国債の格付けもあっという間に「C」の破綻確率80%（破綻寸前）にまで落ち込んでいる。マクドナルドやスタバが大慌てでロシアでの事業から撤退しているのも、ウクライナ侵略への制裁に賛同して――という面よりも、いくらロシアでルーブルを稼いでも、それが紙屑同然というのでは意味がないから――という損得勘定によるものだと思う。
ウクライナ攻撃を止める気がないプーチンだが、ロシアがデフォルトになっては、さすがに自分の首が危ないからと、ルーブル制裁に加わった国を全て「非友好国」に指定し、「非友好国へは、借金をルーブルで返済する」と言い出しているが、借金踏み倒し宣言を受け入れる国などある訳もない。
こうなったら、ロシアも、かつてのソ連同様にすべての借金返済に「マルボロ」を使い、ドイツなどへの天然ガスの輸出代金も「マルボロ」で受け取るしかないのでは―――。
（03/10/22 9:00pm S.T. ）
2022年3月10日
愚者は成功に学ぶ
開国してから僅か二十数年だった日本は清国との戦争に踏み切った。約半年の戦いで日本軍は13000人もの戦死者を出したが、戦勝国として当時の国家予算の約4倍に当る賠償金を得た。賠償金の約85%は軍事費に、約5.5%は皇室費に使われたが、多大な犠牲を払った国民用に使われたのはわずかに2.8%の教育費と同じく2.8%の災害準備金だけであったという。
いわばタダで兵隊という国民の命を使い、その結果国が太ったのだから「戦争は儲かるものだ」と国は味をしめてしまった。そのことがそれ以降、1945年の第二次大戦での敗戦までの日本を、悲惨な戦争に狩りたてた原因だったのだ。
第二次大戦での日本軍の戦死者は、230万人（軍150万人、民間80万人）に及ぶが、日清戦争でのあの「戦争は儲かる物」という間違った思い込みをすることがなかったならば――と思わないではない。「愚者は成功に学び、賢者は失敗に学ぶ」というがまさに至言ではないだろうか。
プーチンはチェチェンやグルジア、クリミヤでルール無視の力づくで領土を奪い取ったし、シリアではアサド政権に肩入れし民間人まで無差別に殺傷している。少なくとも彼が仕掛けた戦争では全て勝利しているし少なくとも負けてはいないし、欧米なども常にプーチンのやりたい放題を許してしまっている。
この成功体験が今回のプーチンのクリミヤ侵略を生んでいることは明らかだ。ついには、ジュネーブ協定違反である原子力発電所への攻撃に踏み切りこれを制圧してしまった。原子炉の暴走が始まったら――世界が終わってしまいはしないだろうか。。
隣国へと避難する人々の列に攻撃を加えるロシア軍によって亡くなった幼い子供と母親の余りにも哀れな遺体の映像を、フェイクだと称してロシア国内での放映を禁じる等―――すべてが、過去の「プーチンの成功体験」に基づいていることは明らかだが―――こんな時にロシアに注ぎ込んだ金の回収の心配ばかりしていて良いものだろうか――。
（03/09/22 9:00pm S.T. ）
2022年3月9日
慣れない言葉
その人がしゃべる言葉は、9歳から10歳の時にしゃべっていた言葉だという。タカさんが9歳の時に家でそして友達たちとしゃべっていたのは、東京の山の手言葉だったからか、その後、色々なところに住んだし、外国にも結構長く暮らしたものの、やはり一番しゃべり易いのは東京山の手言葉だ。
ノーベル賞作家であるカズオ・イシグロは、長崎生まれだが、6歳の時に一家でイギリスへ移った。家族では、日本語を使っていたものの友人たちとは、英語でしゃべっていたこともあって結局、英語主体のバイリンガルとなり、英語で書いた数々の作品がノーベル文学賞に輝いたというから、やはり「その人の一生の言葉は9歳ごろにもっともしゃべっていた言葉説」が該当するようにも思われる。
語学の天才と言われる人の中には、母国語以外の外国語を流暢に使う人もいるし、成人してから日本に来た外人の中にもきれいな日本語を使う人もいるが、やはりその多くは、母国語訛りを隠せない。
アメリカにいた時に、カリフォルニアイングリッシュと、テキサスイングリッシュ、あるいはアイダホだ、ニューヨークだとその人の出身地が微妙なイントネーションや発音で分かってしまうことを知って、そういえば日本でも、本人は、標準語をしゃべっているつもりでも、「ああ、あの人は栃木出身だなぁー」とか鹿児島だ、宮崎だ、などとどうしても隠せないところが出てしまうのと同じだと思ったものだったが、あれも「9歳の時の言葉説」の証左のような気がする。
米国法人の本社のあるニューヨークに出張した時、空港から本社のある（あの9.11で崩壊してしまった）「One World Trade Center 」に直行しようと、客待ちしていたタクシーに「One World Trade Center 」と言ってみたが、ドライバーに何回も聞き返され、ニューヨークで迷子になるのか―――と恐怖にかられたことがあったが、あれはWorld Trade Centerの一語一語が日本人にとっては非常に難しい発音であり、カタカナ発音で「ワールド トレード センター」といくら大声で叫んでも全く通じないからだと後で知った。（敢えてカタカナで書けば 正しくは、ウォルドゥ トォレェドゥ セナ― か？）
そういえば、ジョン万次郎が帰国後「今何時ですか」ときく時にはアメリカ人には「ワット タイム イズ イット ナオ」では通じないから「掘った芋いじるな」と言えばよいと教えたというのと同じだろうか？ いやぁ、慣れない言葉は難しい。
（03/08/22 9:00pm S.T. ）
2022年3月8日
悪魔の戦略
太平洋戦争開戦前、アメリカと日本の国力差は10対1あったという。この圧倒的な国力の違いを考えたら当然、開戦すべきではないと、強く開戦反対論を述べていた山本五十六連合艦隊司令長官だったが、主戦派からの強い圧力に屈し、結局、真珠湾での開戦に踏み切らざるを得なくなった。出撃前、大元帥である昭和天皇から戦の見通しについてのご下問を受けた山本は、「半年や一年は大いに暴れて見せますが、あとはいけません―――」と答えたという有名な話がある。
戦略と戦術は全く異なるものだ。戦略とは大きなスケールで見た戦いのシナリオであり、戦術とは戦略の下で行なわれる個別の施策のことである。戦いに於いて、局地的な戦術を幾ら積み重ねたところで、最終的にどういう形で戦いを終わらせるかという戦略がなければ戦いは終わらないし、まして勝利などありえない。
山本五十六には真珠湾への奇襲という戦術があっても、どうやってこの戦いを日本側にとって有利な条件の内に休戦、停戦あるいは終戦にもっていくのかという戦略が全くなかったとのだ。いやむしろ「半年や一年は大いに暴れて見せますが、あとはいけません－－－」と言う言葉には、日本軍の総司令官には、戦略が全くないというよりは寧ろ「必敗の信念」すらあったのに、無謀にも開戦に踏み切り日本という国を奈落の底におとしてしまった―――というのだ。
ロシアのウクライナ侵略開始以来既に2週間が経とうとしているが、事態はますます泥沼化、ウクライナ側の民間人の死者数も増え、ロシアによる原発や核施設への攻撃は、世界中を核の恐怖の縁に立たせている。プーチンの初戦でのこの乱暴すぎる戦術は、世界を恐怖させるという戦術に於いて成功しているとさえいえるのかも知れないが、世界の大半を敵に回してしまい、ロシア国内からさえも、いくら押さえつけても反プーチンの声が上がってきている状況では、プーチンの「戦略」の展望は全く見えていない。「半年や一年は―――」持つかもしれないが、その先の終結へのシナリオは、全く描けていないのではないだろうか。
こうなると怖いのは、NATOやバイデンが手をこまねいているうちに、事態がどんどん悪化したところで、中国の習近平が仲介役に入ってきて、どうにか事態が収束に向かう―――と言った場合だ。そうなると、以後の世界から救世主とあおがれるのは、アメリカでも、欧州などの民主主義国ではなく、独裁者習近平になってしまうだろう。狡猾な習近平ならそんな戦略を抱いているに違いない。
（03/07/22 9:00pm S.T. ）
2022年3月7日
国連総会決議
ウクライナへのロシアの侵攻に世界がいきり立っている時に、ロシアの側に立ってそれに加担している国は勿論、中途半端な姿勢をとっている国に対しても非難の矛先が向かっている。
国連総会でのロシア非難決議に賛成したのは191ヶ国中の141ヶ国と全体の2/3を超したが、反対はわずか5ヶ国（当事国であるロシアとベラルーシ、シリア、北朝鮮、エリトリアの強権５ヶ国）であったが、無投票国が12ヶ国、そして棄権した国が35ヶ国あった。
我々が国政選挙で投票に行かない、あるいは棄権票を投ずる場合なら、棄権と言うのはまだあり得るが、侵略をしている国に対する国連総会での非難決議（実際は遺憾決議であるが）の場合に、無投票あるいは棄権というのは、中々説明のつかない行為であり、一般的には「他人事だと思って知らんぷりしているエゴな国」という蔑みの対象にもなりがちだ。
もちろん、棄権国には色々の理由があるのだろうとは思う。例えば、決議に賛成はしたいのだが、ロシアに何かと援助を受けていて義理があるけれど、民主主義陣営にも色々と世話になっている―――といった国が多いようで、いわば「貧しさ故に思ったことがいえない」状態なのかもしれず、そうだとすれば、蔑むというのも、気の毒な気がしないではない。
只、棄権国の中では、インドと中国はやっぱり異様な感じがする。中国の場合香港や台湾への「力による現状変更」の意思をあからさまにだしているし、新疆ウィグルでのジェノサイドや、少数民族に対する強権支配を進めているという意味では、ロシアと同じ穴の狢であり、決議に反対票を投じてもおかしくはないのだが―――、ロシアのウクライナに対するあまりにも暴力的な侵略に賛成したとなれば、今後全面的に世界を敵に回さざるを得なくなり―――それは、どう考えても損だから―――という判断が、棄権という道をえらばせたのだろうか。儒教発祥の国ではあるが、今の中国は算盤づくの国であることを考えれば、棄権は理解できなくはない。
GAFAの一員という立場を取りながら、インドが、今回棄権に回ったのは理解不能という向きが多いけれど、インドが常に争ってきた中国、そしてパキスタンとの紛争では、長年ロシアがどちらかと言えば国連常任理事会では、インド側に立ってくれていたという義理があるし、インドの兵器はロシア製が多いから今後のメンテナンスや軍備増強を考えたら、ロシアを敵に回したくない――という事情もありそうだ。
国際政治では、それぞれの国の利害というものは、善悪二元論ではとてもとても割り切れない、実に複雑な絡み合いをしているものだということを、今回の国連決議は教えてくれているようだ。
（03/06/22 9:00pm S.T. ）
2022年3月4日
シロビキとオリガルヒ
冷戦時代のソ連は西側諸国にとっては「怖い国」と言う印象が強い国であった。その印象は007等でも度々登場するKGB（国家保安委員会）に属する治安組織による暗殺を含む諜報活動、言論統制や数々の謀略といった「何をするかわからない」といった種類の陰謀が国家権力を背景に行われていたからだった。
ソ連崩壊とともにKGBは解体されてもはや存在しないが、現在のロシアには、KGBの遺髪を継ぐ組織は、厳然と存在してかつてのKGBと同じ活動を国の内外を問わず行っている。それはシロビキと呼ばれる治安・国防関係省庁の職員とその出身者達で構成される一団である。
現在シロビキは国内外でKGB同様に暗殺を含む様々な活動をおこなっており、独裁者プーチンの後ろ盾になっていて、プーチンの政敵に対する暗殺や誘拐、監禁などが頻繁に行われており、様々な偽情報の拡散や電子戦を仕掛けているのも、その大元はシロビキである。戦前の日本でいうならば、シロビキは特高警察や陸軍中野学校出身者のようなものである。
そしてプーチンを支えるもう一つの組織と言えば、オリガルヒと呼ばれる新興財閥である。旧共産国であったロシアに財閥があるというのも不思議な感じがするが、ソ連崩壊のどさくさにまぎれ旧国営企業を時の権力者（主にエリツィン）との癒着によってタダ同然で手中にした連中によって起こされた新興財閥であり、ロシア最大の企業でもあるガスプロムをはじめ、あらゆる産業分野を牛耳っている。プーチンと癒着したこれらのオリガルヒのオーナーは、国内外に巨大な資産をため込み、宮殿のような住まい、国内外の豪華別荘、豪華ヨットやジェット機などをもっているし、今年のサッカークラブワールドカップを制覇したイギリスの｢チェルシーFC｣のオーナーもロシア人オリガルヒの一員である。
すなわち今のプーチンの権力は、世界一、二の治安組織と、財閥組織に支えられているからこそ、強力であるといえるのだが―――。
弱小ウクライナの意外な抵抗に会い、侵略が思うように進まない内に、世界が総がかりでプーチン非難の側に回っている。こうなると、プーチンと二人三脚で我が世の春を謳歌してきたオリガルヒやシロビキが、我が身可愛さで、プーチン切りに変身しないとも限らない―――のでは――という淡い期待も出てくるのだが―――。
（03/03/22 9:00pm S.T. ）
2022年3月3日
誰に文句を
3月6日が期限の蔓延防止措置がどうなるのか――タカさん個人にとっても気になるところだ。ワクチンの三回目接種を終えてからかれこれ１カ月たつから、個人的には感染リスク、重症化リスクも減っているのだろうとは思うが、やはり蔓延防止措置が出ている最中となれば、世間の目があるから、（人数制限されているとはいうものの）大人数の集まりなどへは、あまり大手をふっては出にくいだろうし、まして個人的ないわゆる「不要不急」の外出となると、遠慮がちにならざるをえない。せめて蔓延防止措置が終わっていれば、小さな集まりなどもできるだろうに――と思うのだが。
いつの間にか、蔓延防止措置や緊急事態宣言の発令基準は、感染者数ではなく、「病床使用率」になっているようで、今日（2日）に開催された分科会では、感染拡大のスピードは鈍化しているが、依然重症者数は多く、病床の使用状況が高い水準である都市部を中心に延長を検討せざるを得ない――という意見が大勢だったとか。ということは、タカさんのところも、蔓延防止措置延長地域にならざるを得ないことになりそうだ。
相変らず感染者数は日本より多いイギリスでは、大方の規制をといたというが、彼等の国では医療状況は逼迫していないのだろうか――日本だけが医療状況が逼迫しているのだろうか。
この頃は、クールジャパン等といって、日本がクールなことばかり内輪ぼめして気分をよくしていることが多いけれど（かつてのように、日本はダメだ！ダメだ！と卑下ばかリしていたことに比べればよいかもしれないが）、いつまでたっても日本発のワクチンも、治療薬もできないし、その上「年中医療状況が逼迫」だとしたら―――。誰に文句をつければよいのだろう。
（03/02/22 9:00pm S.T. ）
2022年3月2日
サハリン2どうする
日本の原油輸入の中東依存度はいまだに約8-9割にのぼっている。エネルギー安保の観点から言えば、中東が一斉にむくれてしまい「日本には売らない！」と言い出せば日本はたちまち「油断」状態に陥ってしまう。小松左京のSF小説「油断」で描かれたり、73年の第4次中東戦争の際には、実際にその怖れもあって三木特使が中東に「オイル乞い」に回ったこともあった。
しかし今や、中東各国の石油は、それぞれの国が国際商品として輸出しており、まあ下世話な言い方をすれば、「金さえ出せば買える」といった状況であり、かつてのように戦略商品としての存在は薄れている。（但し、ホルムズ海峡という隘路タンカーが通るという意味で常にイランの出方次第のリスクはあるが）
第4次中東戦争の際の記憶があるからなのか、エネオスの社長、会長そして、石油連盟の会長を務めた渡文明氏は、ご存命中度々、当時のソ連、現在のロシアの石油、ガス開発への日本資本の参加に警鐘を鳴らしておられた。
その理由は、金と技術のないロシアは、最初は、甘い言葉で外資を引っ張り込み、プロジェクトが上手く行きそうだという段階になると、なにかと外資に難癖をつけて追い出してきた前科があるし、生産が始まるとなれば、自分達の都合で、資源輸出の蛇口を止める等と言いだしかねないから、手を出してはいけない―――ということのようだった。
今、進められている原油と天然ガスのプロジェクトであるサハリン2の経緯をみていると、渡氏の慧眼が思い出される。
サハリン2の開発は、1994年に英国のシェル石油55%、三菱商事25%、三井物産20％出資という、100%外資ではじまったが、いよいよ生産が始まるという段階になった2006年にロシア政府は「環境アセスメントの不備」を言い出し生産中止命令をだしてきて、「もし、ロシアの国営石油会社ガスプロムに権利を半分渡すというなら許可してやってもいい」という条件をだしてきたから、シェルも三菱、三井も泣く泣く権利を半分譲らざるを得なかった。（従って出資比率は、ガスプロム50%＋1株、シェル22.5%、三菱12.5%、三井10%となった）なんのことはないロシアにプロジェクトごとかっさらわれ、外資は芝働きのドル箱扱いになってしまったのだ。あの時、渡さんの言っていた通りになったなぁ――と思ったものだったが―――。
しかし今回のロシアのウクライナ侵攻には、さすがの英国シェルも堪忍袋の緒がきれたのか、抗議してサハリン2から出資を全額引き上げるると発表した。
G7の対ロ経済制裁が決まるや否やの、シェルのこの撤退即断に比べると、三井三菱ともに、常に決断の遅い岸田首相同様に、3月2日現在、撤退の決断はできていないようだ。
ウクライナでロシア軍に殺されている子供達の映像が世界中に流れている―――、このままぐずぐずしていてよいのだろうか―――。
（03/01/22 9:00pm S.T. )
2022年3月1日
地中微生物
アイルランドの国土面積は70000㎢（世界第120位）だが、同国の環境省が発表したところによると、ミミズ等の、地中の微小生物生態系が土壌の肥沃化などで、同国にもたらしている利益は年間4200億円に上るという。
この試算から単純計算すると、同国の約５倍の面積を持つ我が国では、ミミズ等の微小生物生態が国土の土地の肥沃化でもたらす利益は、年間約2兆円にも上ることになるが―――その半分だとしても大変な金額だ。
しかし、いま日本では開発が進み、例えば、道路はことごとく舗装され、田畑には農薬が撒かれるようになっていることを考えれば、微小生物がもたらす利益はずっと少なくなってきているかもしれない。そもそも、我が家の庭や周辺の緑地をみても、昔ほどにはミミズやアリを見かけることが少なくなってきている。
SDGSの17の目標の中には「陸の豊かさを守ろう」という項目があるが、これに従ってミミズ等の地中微生物の自然生育環境を守ろうとすれば、同じくSDGSの目標の一つである「住み続けられる街づくり」のための、舗装された道路や、整備されて整地された競技場や宅地には、微小生物が住めなくなってきているという矛盾が顕在化してしまいそうだ。
SDGSはどれも美しい理想が掲げられてはいるが、それを掲げて夢見ている分には心地はよいが、日本国憲法の戦力放棄という理想が、憲法前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して――」というお花畑理論に基づいているという危うさは、ロシアの問答無用のウクライナ侵攻を見ていると、ひしひしと感じざるを得ない。
三内丸山や吉野ケ里といった遺跡にいくと、住居跡などがどれも地中深くに埋もれているが、あれは腐葉土などをミミズのフンが、数千年の歳月を経てあの深さになったものであると聞いて、良かれと思って今やっている舗装工事も実は、大いなる環境破壊でもあるのではないかと考えさせられるのだ。
（2/28/22 11:00pm S.T）
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