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2022年4月
＜＜4月タイトル＞
04/28 トマトチキン 04/27 窮鼠猫を噛む 04/26 判定自動化 04/25 唇を読む 04/22 価値とは何か 04/21 物流が大事
04/20 ボルシチとピロシキ 04/19 旗艦喪失 04/18 世界最先端 04/15 世捨て人 04/13 目元口元 04/12 不殺生戒
04/11 成人するということ 04/07 ちょっとややこしい 04/05 虐殺の裁き 04/04 二刀流 04/01 火山噴火
2022年4月28日
トマトチキン
日本人の食肉消費量は、この半世紀余りの間でも約10倍になっているという。50年前には一人当たり消費量が年間4.5キロだったもの最近では50キロになっているのだとか。もっとも世界を見渡すと日本人の消費量は世界では80位に過ぎないというし、一位のルクセンブルグ、二位のアメリカなどの約1/3だというからまだまだ食肉大消費国というほどではない。
そういえば、同僚のビルとメキシコ出張の際に、アルゼンチン料理を食べに行った時、隣のテーブルの若い女性の二人連れがもの凄くデカイステーキを頼んでおり二人ともこれを結局は、ペロリと平らげてしまったのには、肉が主食のようなアメリカ人のビルも目を丸くしていいたっけ。
タカさんは、最近、歳の所為なのか、肉を食べることが少なくなってきた。レストランでコースメニューを選ぶ場合でも肉料理より魚料理を選ぶし、最近は、肉といっても牛や豚ではなく鶏肉の方を思わず選んでしまう。日本人の肉の平均消費量が10倍になっているというのに、タカさん個人は、おそらく50年前に比べたら1/5位になっているかもしれない。
まして昔は、肉と言ったらまず牛肉、ついでトンカツなどの豚肉で鶏肉（チキン）はめったに食べなかったが、最近は焼き鳥、から揚げなどに始まり（ケンタッキー・フライド・チキンも好物だ）、丼物ならばカツ丼よりは親子丼、中華に行っても鶏肉料理を頼むことが多い。（サンフランシスコチャイナタウンでよく食べていたトマトチキンは美味かったなぁ～）
令和2年度の日本での食肉消費量のトップは鶏肉になったそうで、これはコロナで外食の機会が減った所為もあるとは思うが、やはり日本人の高齢化率が高くなってきていることも関係がありそうだ（？）。
もっともタカさんの同年代の人でも、魚よりは肉が好み「ステーキに目がない」という人は多いから、「肉と言えばせいぜい鶏肉」というタカさんは、ちょっと老け込みが早いのだろうか。
（4/27/22 11:00pm S.T）
2022年4月27日
窮鼠猫を噛む
国家の三大要件といわれるものがある。領土があること、国民がいること、そしてその統治機構（政府）があることの三つだ。国を持たない最大の民族といわれるクルド人も3千万人といわれる民を抱えながらトルコ南東域からイラク、イラン、シリア、アゼルバイジャン他に住み、定まった領土をもっていないし、これらをまとめる統治機構も国際的に認められたものはない。
大国と言われる国の条件は様々あるけれど、これら国家の三大要件のそれぞれが大きくて又強力であることが必要だ。大国と言われる国はどれもこれらの少なくとも一つは満たしていると言える。
もっとも、ただ必ずしも大きければいいとも限らないのが難しいところだ。中国やインド等、人口が13億だとか14億というとんでもない数の国は、あまりにも人口が多すぎて、人々を国民として一まとめにするには、強権で締め付け続ける必要があるし、あまりに広い国土というのも統治するのも大変だ。
中国がその長い歴史上、次々と王朝（統治機構）が変わってきたのも、国が広すぎ、人口が多すぎるために、周辺から侵略を受けたり、内乱が頻発してきたためともいえる。
そういう観点から見た場合、ロシアと言う国はどうだろう。まず領土だが、広さに関しては大国中の大国ではある。その面積は世界の陸地面積の12％を占め二位のカナダの2倍、ダントツの一位だが―――国土のほとんどがツンドラ地帯で国土に占める農地面積は12％しかない。
また、その人口だが、直近では14500万人と日本とあまり違わず、中国、インドの1/10、アメリカ（33000万人）の約4割だから、この面でも大国という程ではない。
ロシアのウクライナ侵攻は、大国ロシアが小国ウクライナを蹂躙しているという図式だが、アメリカと西側諸国対ロシアとなると総合的な国力の数字をみるとロシア側が随分弱小にも見える。
もっとも、小国ウクライナが大国ロシアに対して窮鼠猫を噛むの抵抗を見せていることを考えると、ロシア対世界となって来た場合は、想像したくもないが、今度はロシアが窮鼠猫を噛む、とばかりに核や細菌兵器などを使って来るという可能性も、考えられなくもない。
プーチンのはき違えた大国意識を改めさせるためには一体どうしたらいいのだろうか。
（4/26/22 11:00pm S.T）
2022年4月26日
判定自動化
プロ野球で一球のストライク、ボールの判定が勝負の分かれ目だったということはよくあるし、勝負どころかその選手のその後の運命を決定ずけてしまうなどということだってある。そんな判定の泣き笑いも野球と言うゲームの一つのドラマ性なのだと言われた時代もあったが、AI技術の発達にともなって球速、球の回転数からコース迄、ありとあらゆる点が瞬時に数値化、画像化されて視聴者にもわかるようになっているのだから、もう「審判の判定は絶対」ルールも変更（改訂）すべき時だ。
大谷選手の活躍するMLBの中継を見ていると画面上のホームベース上にストライクゾーンが明示され、この長方形のマス内を投球が通過したかどうかが視聴者にもはっきりとわかるようになっているが、日本のプロ野球中継では専門チャンネルでさえこんなサービスはおこなわれていないのはなぜだろう。
日曜のバファローズ対マリーンズの二回裏２死一塁で佐々木投手が0-2から投じた３球目、外角低目への直球は明らかにストライクに見えたが、白井主審はボールと判定した直後、マスクをもってマウンドに激しく詰め寄ろうとしたが、前に割って入った高卒新人の松川捕手が止めたという場面があった。
中継のアナウンサーも解説者も何があったのかわからなかったようだが、どうも判定に対して怪訝そうな表情を見せたことが気に入らない！と主審が恫喝に行ったらしかった。
ストライク、ボールの判定は主審のコールが最終、というルールはあるから文句をいうのはご法度になってはいるが、怪訝そうな表情を見せただけで、恫喝するとは――まさにこれは「ガンをつけたな！」と言う難癖、あるいは今流行りのパワハラそのものだ。
ネットでは球審に対する非難の声が飛び交っていたが、マリーンズファンだけではなく野球ファンの多くが、この令和の怪物ともいわれる20歳の若者に対する主審の恫喝には腹を立てていたということのようだ。
裏方の筈の審判なのに、テレビ写りでも意識しているのか、やたらと間のあるストライクコール、大げさで無駄なジャスチャー入りコールや奇声を発するなどの審判の行為は、ビデオ判定が当たり前になってきた昨今、もはや耳障り、目障りでしかない。
競馬競輪は勿論、陸上競技や相撲など多くの競技でビデオ判定が当たり前になっているが、野球、少なくともプロ野球でもそうすべき時ではないだろうか。
（4/25/22 11:00pm S.T）
2022年4月25日
唇を読む
世界では、アメリカやシンガポールなどで公共の場所でのマスク着用義務が撤廃され、「つけるつけないは個人の自由」という流れが加速しているとも聞く。
昨日、堤防沿いの道を1時間ほど歩いただが、同じく散歩をしている人たちの中でマスクをしていないという人は一人も見当たらなかった。散歩ならともかくジョギングしている人まで皆マスクをしていたが息苦しくはならないのだろうか。もちろん、他の人とは1.5m以上はなれているし、広々とした堤防の道の空気中にコロナウィルスがうじゃうじゃと浮遊しているとは考えにくいのだが―――。
多分、この先も日本でアメリカやシンガボール並に、「マスク着用可否は個人の自由」というお触れ（？）が出たとしても、「街行く人々のほとんどがノーマスク姿」なんていうことになるまでには相当の時間がかかりそうな気がする。
それは以前にも書いように（参照：「目元口元」4/13/22）日本人が相手の感情を目から判断しようとすることが多く、外国人のように相手の感情を口元から読み解こうとするのとは違い、口元が隠れても目が隠れるわけではないマスクをそんなに嫌がらないからという理由が一つ、もう一つは日本人が回りと違った事をすることに対して臆病だからという理由も考えられる。
エスニックジョークの中にタイタニック号から退避しようとする客の数ほどには救命ボートが足りないと知っている船員が、何人かの乗客には海に飛び込んでもらわなければならないというので、アメリカ人乗客には「飛び込めばあなたは英雄ですよ」、ドイツ人には「飛び込むのがこの船の規則です」イタリア人には「飛び込むと女性にもてますよ」、フランス人には「飛び込まないでください」、日本人には「みんな飛び込んでますよ」と言ったというのがあって、このジョークは日本人の国民性をよく表しているジョークだと大笑いしたことを思い出す。そう、日本人はマスクにしても「みんながしている」とみれば、「はずしたいなぁ～」と思っても外そうとはしないのではないだろうか。
発生件数は、高止まりしているものの重症患者数や、死者数は最初の頃に比べたら随分とへっていることもあって、新型コロナの感染症法上の扱いをインフルエンザ並みの「5類」に引き下げてもよいのではないか―――という意見も出始めているが、政府は「現時点での変更は現実的ではない」といっている。まあこれも、「引き下げた後で、患者数や死者数が増えたら責任追及されかねない」と考えて躊躇しているのだろうが、この慎重（？）姿勢もそう簡単にはかわらないだろうから―――この先何年も日本人同士は「相手の唇を読む」なんていう術は使えないとことになりそうだ。
（4/24/22 11:00pm S.T）
2022年4月22日
価値とは何か
今迄のところ史上最高額で落札された絵画は、レオナルド・ダビンチ作といわれる「サルバトール・ムンディ」であり落札額は4億5030万ドル(580億円）であったという。二枚とない作品となればその金額にも納得すべきなのかもしれないが、たかが絵一枚にこの金額というのだからちょっと意味が分からない。
小学生に「お菓子の値段はどうやって決めているの？」と聞かれれば、需要と供給の関係で決まる、なんていってもわからないだろうから「お店の人が、どれぐらい買いたい人がいて、どれぐらい売りたい人がいるかというのを判断して決めているんだよ」といった説明をするだろうが、コンビニで売っている商品ならば、基本的にはその通りで、欲しい人と売りたい人のそれぞれが満足のいく価格で決まる―――という原則は変わらない。
その原則にもとづけば「サルバトール・ムンディ」の580億円も、それだけ払っても欲しい、という人（どうもアブダビの美術館だったらしいが）がいたし、その価格なら売ってもいいという人がいたから―――というだけの話であって、「そんな価値があるのか？」というのは、愚問ということになるようだ。
もっとも物の値段と言う場合と価値と言う場合は違うようだ。値段がつけられないが価値のある物は無限にある。例えば自分の命（あるいは自分の愛する人の命）はどうだろう。かけがえがない物、無限の価値をもつものに思えるが、だからといってそれをお金を払ってでも欲しがる他人はまずいないだろうから、値段はゼロ（あるいは付けられない）ともいえる。
マルクスの「資本論」は、物事の価値はそれに投下された労働の価値によって決まるという「労働価値説」をとりそれが共産主義思想の基礎になったが、人の命や、「サルバトール・ムンディ」の580億円を全く説明できない。
もっとも価値論を経済論としてではなく哲学の一分野としての扱うと話は全く違ってくる。以前興味をもって学ぼうとしたことがあり、価値哲学では「価値」には、真・善・美・聖の４つがあり、その中には、絶対的基準はなく、なかには客観的価値というものがあるという、マルクスとは全く違う前提にたっていることを知ったが―――哲学もどうも苦手でそれ以上の深入りは断念してしまったのだが――――。今一度学びなおしてみるのも面白そうだ。
（4/21/22 11:00pm S.T）
2022年4月21日
物流が大事
古来多くの戦いにおいて勝敗を決するのは兵力や軍備の差よりも補給力の差だと言われている。戦国時代でもいかに鉄壁の守りを固めた難攻不落と言われた城であっても、水や食料などの補給を絶たれてしまえば長くはもたない―――というのが秀吉の備中高松城の水攻めや、島原の乱に於ける兵糧攻めによる落城でも見られる。
それは、近代いや現代に於ける戦いでも同じことだ。第二次大戦に於ける日本軍の戦いは圧倒的な物流力を持つ米軍の前ではひとたまりもなかった。ニューギニア島では圧倒的な補給力によって武器弾薬のみならず食糧も豊富に持つ米軍に対して、弾薬も尽き、食糧もない幽霊のようにやせ細った日本兵がいかに「大和魂」だけで立ち向かっても、全滅に近い状況に陥いらざるを得なかったということもあった。
ウクライナ侵攻をはじめたプーチンが既に50日以上が経過したにも関わらず、当初短期間で達成できると考えていた節のある目的を達成できていないのも、補給が上手くいっていないからではないかと言われている。確かに、キエフに向かうロシア軍の車列が何日間も幹線道路で立ち往生したままで、遂には来た道を撤退していったが、ガソリンや食料の補給がままならず、兵士たちが上に苦しんで戦意を喪失したことが、大きな原因ともいわれている。補給を怠った結果であると言われている。こんな失態に激怒したプーチンの懲罰をおそれた国防省幹部の幾人かは既に国外に逃亡、一部は反プーチンの反乱の気配さえ見えるとも報じられている。その辺の真偽のほどは確かではないが、歴史上の教訓から考えればありそうな話ではある。
補給の大切さは、何も戦の場合だけではない。平時に於いても経済を動かすのは、昔からヒト、モノ、カネといわれているが特に最近のグローバル化した経済を動かすのはモノの移動すなわち物流であることは、半導体不足で自動車産業のみならず多くの産業で混乱を招いたことや港湾の混雑や船舶の不足などによって物流コストが上昇、物価の上昇を招いていることなどにも表れている。
ウクライナの惨状を見て、各国が今頃になって軍備の増強をはかっているように、物流の混乱、特に海運力の増強も泥縄でもあるけれど急がなければならないことは火を見るよりも明らかだ。
（4/20/22 11:00pm S.T）
2022年4月20日
ボルシチとピロシキ
数年前、日本最北端の地、宗谷岬に行ってみようと思い立った。どうせ北の最果てを旅するなら一年で一番寒い時期が、気分も出てよかろうと2月の厳冬期に宗谷本線で稚内を訪れた。稚内市内からバスで訪れた宗谷岬には人っ子一人おらず最北端の碑までの道すら雪に埋もれている状況で、晴れていれば見えるというサハリンも全く見えず、ただ寒々としたオホーツク海を眺めただけだったが、これこそ厳冬期の日本最北の地だ！と感激した物だった。
その日は稚内に泊ったのだが、夕食をとろうと雪の降り積もる街に出かけてみた。驚いたのは、街の中にロシア語の看板が多いことで、戦前から当時、日本領であった樺太に近く、戦後もロシアに一番近い街としてロシア人との交流が盛んで多くのロシア人が稚内を訪れているという。
折角なので、一軒のロシア料理の店を訪れてみた。商社に勤めていたころ東京のロシア料理店にいったことが何度かあったが、ロシア料理といってもそこで食べたボルシチ位しかなじみがなかったので、店が勧めるままに名も知らぬロシア料理を頼みウォッカを飲んで楽しんだ。（そういえば、店ではロシア音楽の生演奏もやっていた）思い出に残る冬の国境の街での一夜だった。
ところで、稚内から帰ってから調べてみたら、ロシア料理だとばかりおもっていたボルシチは、元々はキエフ地方のウクライナ料理であったこと、それにあそこででウォッカのツマミに食べたピロシキもウクライナ発祥だと知って驚いたものだった。
ロシアのウクライナ侵攻以来、日本でも、日本のロシア料理店などへのいわれない中傷や嫌がらせなどがSNSなどでなされているという。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、ということなのだろうが、まったくそういう匿名での嫌がらせをやる人たちの下劣な品性を疑い同じ日本人として恥ずかしい限りだが―――そもそも、ロシア料理の主要なところは元はウクライナ料理である、ということを教えてやりたいところだ。
もっとも、プーチンに言わせたらボルシチもピロシキもロシア料理だ！ウクライナ発祥だというのはフェイクだ！というだろうが。
（4/19/22 11:00pm S.T）
2022年4月19日
旗艦喪失
軍神として乃木神社に祀られている乃木希典は、日露戦争に於ける難攻不落と言われた203高地を半年余りで陥落させ、旅順陥落に功績を残したが、当時から「軍神どころか愚将である」という評価があった。
203高地といういわば丘の上の要塞を陥落させる為に、ただひたすらに高地への突撃を繰り返させ、何と5万人もの兵を失ったといわれる上に（日本軍の総戦死者数は8万人）、それに先立つ、明治10年には、西南戦争で、官軍の象徴でもあった軍旗（いわゆる錦の御旗）を奪われてもいる。
これらの指揮官としての失態からして「軍神」あるいは「名将」ではなく「愚将」に過ぎないとの評価もあったし、乃木自身もそれらの失態を恥じて自殺をはかったというが、当時の総司令官であった児玉源太郎や、明治天皇に押しとどめられたことで、今や神となったという訳だ。
桶狭間で今川義元が織田信長に首をとられたことで今川家は滅びたし、武田信玄が戦の最中に病死したことで最強軍団といわれた武田が滅びてしまったという例など、軍旗や大将といった象徴を失うことのダメージは大きく、そういった例は古今東西実に多い。
ロシア軍の黒海艦隊の旗艦「モスクワ」が沈没した。ロシアは沈没を認めたが「火災が発生、悪天候で沈没した」といっているが、ウクライナ側は「ミサイル攻撃によって撃沈させた」と主張、米国防総省も「ウクライナのミサイル二発が命中し、沈没した」と発表している。ロシア海軍の旗艦撃沈ということになると、これはなんと日露戦争の日本海海戦でのバルチック艦隊の旗艦撃沈以来という115年振りの出来事だ。
旗艦ともなると艦隊の現地総司令部的な機能がつまっており（当然、艦隊総司令官も乗船していただろう）これを失うことは、ロシアの海側からのウクライナ攻撃にとっては、相当なダメージになっているのではないだろうか。米国の偵察衛星によれば、現在ロシア海軍はウクライナ沿岸からかなり離れた位置に退避しているという。
旗艦を失ったことでプーチンが激怒して国防省幹部を処刑するなんていうことが起きるのではないか、そのプーチンの懲罰を怖れて軍幹部がプーチンを暗殺するのでは―――等と言う妄想も働くが―――。
いずれにせよ軍旗にせよ旗艦にせよその喪失はいつの時代も、大変なことのようだ。
（4/18/22 11:00pm S.T）
2022年4月18日
世界最先端
「試験どうだった？」と母親に聞かれて「できたよ！」と答える子供の成績が前学期より落ちていた、なんていうことがある。一方「試験どうだった？」と聞かれると毎回「ダメだった！」と答える子の成績が毎期クラス上位、と言うケースもあるだろう。
何を間違えているかも分からない子は、「できたよ！」と答えてしまうが、どの問題を間違えたかがわかっている子は、それが気になって「ダメだった！」と答えがちだという。（まあ、性格にもよるけれど）
これに似たことは大人の世界にもよくある。自信満々に間違えたことを言う人もいるが、自分の意見を言わずに、後で「あの時、あの人はこんなことを言っていたのに～」と他人の批判ばかりする人も多い。
まあ、政治家やテレビのコメンテーターでもない限り、世の中、後者の人が多いものだ。自分の意見を言わない人や、自分の意見を最初から持たない人に限って、世の中の大勢に迎合し、その内、世の大勢が方向転換すれば、臆面もなく人が過去に行ったことに対して「あの人は、昔、こんなことを言っていた、ケシカラン」と批判する――まあ、賢いというか――ある意味汚いともいえる。
コロナ禍の当初、患者の発生件数がまだ少なかった韓国は、政府が音頭をとって韓国の防疫体制は素晴らしい、世界はこれに見習うべきだと「K防疫」なるシステム（？）を喧伝し、特許登録なども考え、患者数発生の増えていた国々に自慢げに吹聴していたが、最近では、オミクロン株の流行もあって、コロナ感染者数は累計で51百万人の全人口の1/3に達してしまっているという。しかし、患者累計がすごい数字に達したにもかかわらず、このまま規制措置を続ければ国家経済がもたない！という世論にに抗えず、規制を撤廃し飲食店の営業時間をも24時間営業が可能にし、映画館やスポーツ施設などでの飲食禁止措置も、飲食店での人数の制限も解除しマスク着用義務も近々解除するという。この数日間の新規感染者数は20万人を割り多少減少傾向にあるとはいうものの日本に比べると人口割合では8倍近い新規患者が発生しているのに「全規制を解除」となると、あの「K防疫」はどうなったの？という気がしないではないが。
まあ、どうにか蔓延防止措置は緩和したものの「そんなことをして大丈夫なのか！」という意見も多く、対応に四苦八苦している日本に比べれば、確かに韓国の、この変わり身は、コロナ対策としては「世界の最先端を行っている」と言えるのかもしれないが。
（4/17/22 11:00pm S.T）
2022年4月15日
世捨て人
円が対ドルで久しぶりに126円台となった。日銀が当面現在の金融緩和策を続けるといっていることからすると、早晩130円台突入もあり得るとの予測もまことしやかに言われている。
為替のこういった急激な変動（円高にしろ円安にしろ）があるときには、マスコミは大騒ぎする。今回のような円安方向への動きがあれば、輸入物品の値上げと言う形で我々の生活に影響を及ぼすから「物価があがって大変だぁ！」となるし、逆に急激な円高に動けば「輸出産業が大打撃！倒産続出！」などというニュースが踊る。
円安になれば輸出産業は採算がよくなりウハウハというところもあり（そこに勤める人はボーナスが出るかも）、円高になれば原材料を輸入している産業が楽になるし、輸入物価が（今回とは逆に）下がりいわゆる庶民が助かる、といったことが起きるのだが、どちらにせよマスコミに「円安（あるいは円高）になってウハウハ！」などというニュースが踊ることはない。所詮、ニュースというものは「大変だぁ～」ということを報じるものであって、「よかった、よかった」という話題は受けないものなのだ。
ちなみに毎月総務省が発表している消費者物価指数は直近の2月分で前年同月（21年2月）比、プラス0.9%であり、この数字を見る限り「物価が高くなって生活がめっちゃ苦しい！」という程ではないように思える。
まあ、そんなことをいうと、「実際、ガソリンも小麦も値上げして生活が苦しいのにタカさんは、何をいっているのだ！」と怒られそうだからこの辺にしておくが―――。（まあ、正直言ってタカさんは、免許は返納してしまったし、パン派ではなく米派なので、ガソリン値上げも食パンの値上げも、響かないということもあるが―――）
そうそう、コロナ禍もあってこの3年近く海外旅行もしていないし、さしあたって近々出かける計画もないから、ドルを調達する必要もないから、円安（ドル高）で困るということもなさそうだ。
大変だ！大変だ！とマスコミが騒いでいるのに、こんなことを言っていると―――世捨て人だと思われるだろうか―――。
（4/14/22 11:00pm S.T）
2022年4月13日
目元口元
日本人でサングラスをかける人はそう多くない。サングラスをかけた人は、目が見えない人か、うさん臭い人、あるいは怖い（その筋の）人と見られる傾向がある。一方目の色が薄く紫外線に弱いといわれる西欧人にはサングラスをかける人は多いが、日本人が嫌がらないマスクを嫌がり、コロナ禍が長引いているというのに多くの国でマスクの着用を撤廃し、マスクフリーは概ね歓迎されているというから、マスクをしないで人前に出ようものなら回りから一斉に白い目で見られる日本とは大違いだ。
サングラス嫌いのマスク好き（？）な日本人と、サングラス好きのマスク嫌いの外国人の違いは奈辺にあるのだろうか。
一つの説は表情やジェスチャーに乏しい日本人は、相手の感情を目から判断することが多く、相手の感情を口元から読み解くことが多いのが外国人であって、日本人は目から相手の感情が読み取れなくなるサングラスを嫌い、西欧人は口元を隠した相手の感情が読み取れなくなるからマスクを嫌う、のだという。
確かに、日本には「目は口ほどにものを言い」という諺があるし、目が生き生きとしていないと心がよこしまだという意味の「腐った魚は目をみりゃわかる」という言葉がある。相手の感情を読み取ろうとすることを「目の色を伺う」ともいうし、何しろ日本では、目の表情が重要な要素になっているが、外国人の場合、目ではなくて相手の口元、口角の辺りを見ていることが多く、マスクで口元を隠されたり、口元を隠して笑ったりするのは、なんとも不気味に思うらしい。
今の若い女性でも、人前で大口を開けて笑ったり、物を食べたりするのは、お上品ではない等と考えるが、外国人女性は大口をあけて笑うし、ハンバーガーなどは大口をあけて食べる。
それにしても、一向におさまる気配のないコロナ禍だが、このままでいくと日本で大手を振ってマスクなしで街を歩けるようになるのは一体いつになるのだろう。こんなことがこの先何年も続くと、日本人の遺影まで皆マスク―――なんていうことにもなりかねないような気さえしてきた。
（4/12/22 11:00pm S.T）
2022年4月12日
不殺生戒
生ある物を殺してはいけない、という殺生戒は仏教のみならず多くの宗教の持つ起きてだが、人はだれもが生ある物を食べなければ生きていけないという摂理もまた忘れてはならない真実だ。
生ある物すなわち命ある物、というのは何も動物だけではない。魚貝類だって昆虫だって、穀物や野菜だって全て命ある物であって、人は無生物だけを食べて生命を保つことはできないのに、不殺生戒を唱えるのには根本的な矛盾があることに、古来、人は悩んできた。
今、世界が抱えている新たな矛盾は、エネルギー問題だ。太古の時代から、人は火をつかうことによって煮炊きをした食物をとることで脳を発達させて今日の文明を築き、今や宇宙にさえ飛躍しようとしているし、火によって暖を取り氷河時代にも世界各地にその居住域を広げていったが、火というエネルギーを得るには、二酸化炭素という温暖化ガスを排出せざるを得なかった。そう、まさに人は生きて行くために温暖化ガスを排出し続けてきたのだ。
そして今、急に気が狂ったように脱・炭素を言い始めた。しかし脱炭素をいうならば、すぐにでも電気、ガスの使用をやめるとか、乗り物を一切廃止するとかいうことをするわけでもない。（現実に世界のエネルギー消費量は毎年、増え続けている）これではまるで、いかにしたら殺生をしないで済むかの会議を焼肉レストランで開いているのに等しくはないだろうか。さらに今、ロシアの残虐行為によってウクライナでは無辜の子供を含む市民が殺戮され続けているという現実に直面し、どうにかロシアのこの暴虐を止めるべく彼等の経済の生命線でもあるロシアからの石油、石炭、天然ガスの輸出をやめるべきだが、ドイツをはじめ、既にその多くのエネルギーをロシアに依存している国々は、自分達のエネルギー源を諦めるでもなく未だに、買い続けている。この行為は、ゼレンスキ―大統領が言う通り「ロシアの虐殺に手を貸すに等しい行為」と言ってもよい。日本もサハリンのプロジェクトから撤退しないことを決め、その理由は「日本が撤退したら中国が出て来るから」というのだから、とてもウクライナの人たちには通じない言い訳だ。
さし当ってこれらのエネルギー問題の解決は、停止している原発の再稼働だろう。これなら脱炭素と脱ロシアの両方を一挙解決できるのに――。しかし、これは反ワクチン運動にも似た反原発の動きによってほぼ不可能だ。ということは―――日本は不殺生をいいながら、肉をたらふく食べ続けるということなのだろう。
（4/11/22 11:00pm S.T）
2022年4月11日
成人するということ
成人する、すなわち大人になったと言えるのは何歳位だろうか。民法上の成人年齢が4月から18歳に引き下げられ、一応法律上では18歳で大人とみなされるようになったとはいうものの、酒やたばこ、競輪や競馬などの賭け事は20歳らという明治9年以来の規定は変わらずということなので、まあ18歳から20歳までの2年間はいわば「大人への仮免」といったところだろうか。
民法上の成人規定はともかく、「成人」だと自他ともに自覚をもつのはいくつぐらいからだろうか。結構これは世界でも国によって違うようだが、大勢は今回の日本の改正と同じ18歳という国が多いようだが、酒やたばこに関しては別に定められている国も多く（アメリカでは成人年齢は18歳なのに、酒は21歳からと日本より遅い）、これには徴兵年齢を引き下げたいという国の都合が絡んでいるという話を聞いたことがある。
半世紀も前に自分が成人した時の事を思い出してみると、あの時、まだ自分は学生で親がかりの身だったから成人式に行くときに着た服も靴も親に買ってもらったもので、我ながら「これで、本当に大人といえるのか」と自嘲もしたし、実感は全くなかった。
今も18歳で早くも仕事をして自立している人もいるだろうが、まだ多くの若者は、（バイトなどである程度の収入はあったにしても）学生の身分であり親がかりの面も強く、自立しているとはいいがたい状態なのではないかと思うが、そうであれば「自分は立派な大人だ」とは言えないのでは―――と考える人もおおいのではないだろうか。
実際に18歳の男女を調査したところ、その内の約7割は自分は「まだ大人ではない」と考えておりその主な理由が、「経済的に自立していない」ことを挙げている。この調査で、「自分はもう大人だ」と答えた人は2割ほどいるが、その主な理由が「体が大人とかわらないから」というのだから―――昔20歳が成人年齢だった時の若者の意識とあまり変わっていないような気もする。
今迄だと、罪を犯しても少年法の規定によって大人に比べると刑事罰などで保護されがちだった18歳以上20歳未満の若者が、今回の改訂以降は「大人扱い」されることが多くなるようで、世間一般の見方もそれに関しては改訂を支持する意見が多いようだ。
又、今回の改定で、親の承諾なしでローンを申し込んだりクレジットカードを作ったりする権利が認められるかわりに、その借金の責任は全て自分が負わなければならない、という義務を伴うということなので、新成人を狙った詐欺まがいの契約勧誘の魔の手がのびる事を心配する声も多い。詐欺の手口にまんまと騙される大人も後を絶たないことを思えば、確かに仮免許の大人が騙される可能性はもっと高いかもしれない。
人生わずか50年といわれていた時代なら、成人年齢は男性が14歳から15歳、女性だと12歳から14歳までには成人とみなされるようになっていたという。ということは、その歳ぐらいで、人々は皆、一本立ちしなければいけなかったということなのだろうか―――随分厳しい時代だったのだろうなぁと、18歳では一寸早すぎるさえ思うタカさんは江戸時代の人たちに同情するのだが―――
（4/10/22 11:00pm S.T）
2022年4月7日
ちょっとややこしい
空港や劇場の場内アナウンスで呼びかけに使われていたLadies And Gentlemenは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーに対する差別になるからとの理由で、世界の多くの国で使われなくなっているという。確かに各国に数％はいるといわれるLGBTに配慮するというのは必要かもしれないが、Ladies
And Gentlemen、が古語（死語）になっていくというのも淋しいような気がしないではない。
それでは既婚男性につけるMr.、既婚女性につけるMrs.、未婚女性につけるMiss、（既婚か未婚か分からない女性の場合はMs.）という敬称はどうなっているのだろうか。もし相手がLGBTだった場合にはどういう敬称をつけたらよいのだろうか。これは数年前からジェンダーを特定しない敬称としてMx(ミクス)なる言葉が発明（？）され、既にオックスフォード大字典にも載っているという。ということはいずれMr.もMrs.も死語になってしまう可能性が出てきたということだ。
日本語の場合敬称としては男性でも女性でもあるいはLGBTであっても「～さん」をつけておけばごまかせるが、ファーストネームで呼び合えるほど親しくない人の場合、やはり何か敬称をつけたくなるのが日本人の常であるから困ってしまう。そんな時、日本語は「～さん」ではなく、肩書をつけることが多い。「～首相」「～教授」「～社長」「～係長」・・・と言えば、ジェンダーの別はないから、これからのジェンダーフリー社会の先取りともいえる。
但し、例えば「〇〇教授」が男性だった場合、その奥さんに敬称をつけるとすれば「〇〇教授夫人」となってしまい「夫人」は、なんだか夫である「〇〇教授」よりも格は下の様にも聞こえる（？）から――これからの世の中では、何らかの工夫が必要かも。
そうそう、もし「〇〇教授」が女性であった場合、あるいはLGBTであった場合そのパートナーはなんと呼ぶべきなのだろうか。色々考えたがどうも「〇〇教授のお連れ合い」位しか思いつかない―――。
なんだかちょっとややこしい世の中になってきたような気もする。
（4/06/22 11:00pm S.T）
2022年4月5日
虐殺の裁き
後に中井正広主演で映画化もされたフランキー堺の主演の「私は貝になりたい」(昭和38年)は、上官の命令で捕虜を銃剣で処刑した男がＣ級戦犯として死刑になる話だった。上官の命令は絶対とされ帝国陸軍において、その命に逆らうこともできず捕虜虐殺を行った男が死刑台の階段を上る時につぶやく「もう人間はいやだ。どうしても生まれ変わらなければいけないのなら、私は貝になりたい」は忘れることができない。
ロシア国防省はフェイクだといって見え透いた嘘を並べているが、ウクライナで続く連日の民間人虐殺は、いくらフェイクだと言い張ってもまぎれもない重大戦争犯罪だ。この作戦を命じたプーチンや軍の幹部たちは、いずれ法の裁きを受けなければならないが、民間人の虐殺に直接手を下したロシア軍の兵たちの責任も厳しく問われなければならない。
しかし、ベトナムでもセルビアでもあるいはあらゆる紛争地で数限りなく行われてきたこういった虐殺がまともに裁かれたことはほとんどないといってよい。広島長崎の原爆投下、東京大空襲等による十万人単位の民間人無差別殺傷は、その命令者も、実行者も皆「戦争の英雄」として称えられ下士官、兵隊にいたるまで罰せられてはいない。（挙句には、日本政府は東京大空襲、原爆投下の指揮官であったカーチス・ルメイ将軍以下に勲章まで与えている）
要するに「勝った者は英雄、負けた者は戦犯」というのが古代からの戦争の鉄則でありそれは現代に於いても続いている。
それにしても連日伝えられるウクライナからの映像はあまりに悲惨だ。国外に脱出した人々が間もなく人口の一割に達し、民間人の死者もはっきりはしていないが数千に達しているとも伝えられる。しかも子供達までが残虐に殺されているという映像をみると、プーチンや軍幹部達は勿論、直接この虐殺に直接手を下した上官や兵たちは、何の呵責も持たずにいたとは到底信じられない。彼等は上から下まで、必ずや裁きを受けなければならない。その時が一刻も早く訪れてくれることを願うばかりだ。
（4/04/22 11:00pm S.T）
2022年4月4日
二刀流
辛党と言うのは辛い物が好きな人の事ではなく本来は酒が好きな人の事を言う言葉だが、甘党と言えば甘い物が好きな人のことだ。
女性は甘党が多く、男性は辛党が多いものだという固定観念が半世紀も前まではあったから、男性で甘いものが好き、あるいは女性で酒好きだと「変わった人」だと思われがちだったものだ。
そんな固定観念で外国に出かけた時に、彼等がレストランでの食事の時などに、男女ともにワインなどを飲み、ひとしきり食事がおわると、まわって来たケーキワゴンの中から2種か3種のケーキを選んで嬉しそうに注文し食べているのを見た時、日本での「甘党、辛党」の常識が覆ったものだった。彼等は男女ともに日本でいうならば「両刀使い」であってそれが常識であって、ともすると酒だけ飲んで甘い物を敬遠する日本人男性は「アルコール依存症」ではないかと白い目で見られる可能性まであったのだ。
それ以来、タカさんは子供のころから好きだった甘い物を人前でも遠慮しないで食べるようになった。酒も好きだから辛党であり、且つ甘党というわけで、―――血糖値は高めになってしまいがちだ。
そういえば、メージャーリーグ中継をみていたら、エンゼルスの大谷翔平選手のことを現地アナウンサーは‘Twoway Player’（双方向選手）と言っていて「二刀流」らしき表現は全く使っていなかったが―――やっぱり彼のプレイスタイルは日本人にとっては、剣聖宮本武蔵を思い浮かべさせる「二刀流」の方がふさわしく思える。もっともあくまでも「二刀流」であって似た言葉である「両刀使い」だと意味が違って来てしまうが―――。
（4/03/22 11:00pm S.T）
2022年4月1日
火山噴火
色々な世界遺産を訪れてきたが、行きたいと思いつつ、行きそびれている世界遺産の一つがポンペイだ。紀元79年にヴェスヴィオ山の噴火による火砕流に飲み込まれ忽然と消えてしまったローマ帝国の街だが、18世紀に発見され以後今も発掘が続いているという大遺跡の街だ。旅行を計画しながらコロナで行けなくなってしまい既に3年近くが過ぎていくうちにこちらも歳をとってきて10数時間もの長旅の自信が段々なくなってきた。
コロナもしばらくは片が付かないだろうし、おそらく現地を訪れるチャンスはもうないかもしれない。そんな時、幸いにしてポンペイ展が上野で開催中なのを知り、蔓延防止期間も一応あけたこともあって、上野までなら白い目で見られることもないだろうとさくら見物を兼ねていってきた。日本ではまだ弥生時代の紀元1世紀にこんな大文明都市が栄えていたなんて―――と食い入るように展示物を見て回った。ポンペイ展の感想は又別の機会にまとめようと思うが（それでも世界史の教科書で観たアレクサンドロス大王とペルシャのダレイオス三世との戦いであるイッソスの戦いの実物大の8K画像--実物は現在修復中--と通称「サッフォ－」と言われる女性の肖像画には感激した）こんなすごい大都市が一瞬にして埋もれてしまうなんて―――あらためて火山の恐るべき力に息を失う気分だった。
以前、今から7万年前に起きたインドネシア・トバ火山の大噴火によって舞い上がった火山灰は、海を越えて当時のインド全土にも降り積もりインドに住んでいた人類は、数十から数百家族にまで減り、絶滅しかけたことがあるというトバカタスロロフィーについて、書いたことがあるが（参照：「同じ顔の美人」（07/19/16））その結果インド人のDNAプールが極端に減少、未だにインドに住む人達の顔つきや特長にバラエティーが少ないという説まである――確かにインド女性は美人ばかリというのも7万年前の火山の影響だとすると、火山が人類に与えた影響はすさまじいものだ。
そうそう月末に発表された富士山噴火時のハザードマップによると噴火による避難対象者は、静岡・山梨・神奈川の3県であわせて80万5600人に上ると推計されるという。ヴェスヴィオ山噴火時のポンペイの人口は2万人弱だったと推定されるというが、その40倍もの人数が避難するとなると―――どれだけの混乱が起きるのだろうかと身震いする思いだ。
ロシアの侵略から逃れ周辺国へ避難した人はこの１カ月余りで400万人に達し既に受入国も、限界に達しつつあるとも報じられるが、海に囲まれた狭い日本での80万人の避難となるとどれだけの混乱を招くか想像もつかない。
（03/31/22 9:00pm S.T. ）
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