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2022年5月
＜＜5月タイトル＞
05/31 特異体質 05/30 大論争のない国 05/27 大きい小さい 05/26 肝に銘じて 05/25 民間軍事会社 05/23 兵站は大丈夫か
05/20 盗泉の水 05/17 アンカレッジ経由 05/16 ヨーロッパは一つか 05/13 ナイチンゲールとデュナン105/11 うさぎ跳び
05/10 縄文生活 05/09 マクドナルド指数
2022年5月31日
特異体質
日本画の大家、横山大観は90歳で亡くなるまでの50年程の間、飯をほとんど口にせず、毎日一升の日本酒（広島の「酔心」）と肴だけを口にしていたというが、アルコール依存症にもならず、その遺体を解剖したところ肝臓は、赤ん坊のそれと同じ程きれいだったという。
ある人（タカさんではないので念のため）が、この話を酒を控えなさいとたしなめる医者にしたところ、「確かにそういう人も、10万人に1人はいるでしょう、でも残りの9万9999人は、皆アル中になるか、肝臓を壊して早死にしているのですよ！どうしてあなたが10万人に1人の体質だと言い切れるのですか！」と叱られて、ぐうの音もでなかった―――という。
酒を控え、毎日適度な運動をすることが健康の秘訣であるというコンセンサスが今や幅を利かせている。タカさんもその説に従って（なるべく）アルコールを控え、毎日、運動をかかさぬようにしているが――――英雄、武将、政治家、作家、芸能人、犯罪者などの著名人の臨終の様を描いた山田風太郎の名著「人間臨終図鑑」で、90歳を過ぎて亡くなった人々（主に作家、画家、学者、僧侶と言った人々が多い）の項を見ると、その多くは酒豪で運動とは縁遠い人々であったことに驚く。
こんな分析を酒を控えて、運動をしなさいという医者にしたら、多分、彼等は特異体質なだけだ！とたしなめられるのだろうなぁ――。
（5/30/22 11:00pm S.T）
2022年5月30日
大論争のない国
レイプによろうが、近親相姦によろうが、女性自身がどんなに望まない妊娠であっても、神がきんじているのだから中絶してはいけない、もしそんなことをしようとすれば女性もその処置をシタ医師も殺人罪で罰せよ――アメリカの保守派の主張だ。一方、望まない妊娠をした場合に、中絶するかしないかは女性自身に選択の権利があって当然だ、なぜならそれは個人の自由の範囲だから、というのがリベラル派のpro-choiceの人々の主張だ。
永く論争になっていたこの問題だが、合衆国連邦裁判所は、1973年それまで違法とされていた妊娠中絶を女性の権利と認め，人工妊娠中絶を不当に規制する州法を違憲とする連邦最高裁判所の判決がくだし、それぞれの派が「神」と「自由」を盾にして論争してた問題に決着決着をつけたのだが―――50年が経過して、連邦裁判所の判事の一人が、人工妊娠中絶をする権利を憲法で保障した判決を覆そうとしていることがリークされ、再び両派の間で大騒ぎになっている。
銃を持つ権利を認めた憲法の規定を基に、3億丁とも4億丁とも言う銃があって国民のほとんどが銃を持ち、年間4万５千人ともいわれる銃撃事件による死亡者が出ているのにいかなる銃規制にも反対する保守派がいて、打ち続く学校での乱射事件による児童殺傷に怒る銃規制派と激しく対立していたり―――人種間の紛争のみならず貧富の差による差別等々の抜き差しならない問題を抱えている米国社会を見ていると、いろいろな問題があるように見えても、日本社会でのもめ事のスケールの小ささに喜んでいいのか、はたまた悲しんでいいのかわからなくなってくる。
ウクライナ問題、新疆ウィグルや、アフガン、ミャンマーでの人権問題、米中対立、中ロ北による三正面からの威嚇に、台湾有事の際の日本の危機が迫るなかで、反日で凝り固まった隣国がいて―――という世界の中の日本という立場にありながら―――。
このところ連日、日本での喧々諤々の論争といえば、事務のミスにより大金が口座に振り込まれた男が、その金をバクチに使ってしまった（と言っている）ということについて、誰が悪いのか（男か、町か、はたまた決済代行会社とやらか）――――といった話だ。
本当にこれで日本はいいのだろうか―――と思いもするのだが。
（5/29/22 11:00pm S.T）
2022年5月27日
大きい小さい
宇宙に果てはあるのか、あるいは物質をどんどん細かくしていったらどうなるのか、という極大と極小の問題には興味が尽きない。
いまのところ、この宇宙には果てはなく、それどころか我々が住む宇宙の他にも無数の宇宙がある、という多次元宇宙論というのまであるし、原子を更に小さくしていくと素粒子の世界になり、その素粒子より更に小さい物質があるという説やら、ひも理論などがあって、まだ果てが確かめられた訳ではない。要するに、現時点ではこの世の果ては極大にしろ極小にしろ、我々人類には分かっていないのだ。
そういえば、小学生の頃に読んだ曽呂利新左エ門の逸話にも次のような大きい、小さいのはなしがあった。
天下をとった太閤秀吉が、集まった大名たちに「一人ずつ、大きな歌を詠め、一番大きな歌を詠んだものに褒美をやろう」といった。
皆が一首ずつ詠んで行き勝ち残った歌が「天と地を 団子に丸め 手に乗せて ぐっと飲めども 喉にさわらず」と言う歌で、太閤も「こりゃ大きな歌だ、褒美を取らせよう」といったところ、それまで黙っていたお伽衆の一人、曽呂利新左衛門が「それより大きな歌を私が読みましょう」といって「天と地を団子に丸め飲む人を 鼻毛の先で吹き飛ばしけり」と詠んで褒美を独り占めしたという。
続いて太閤さんが「今度は日本一、小さい歌を詠め」と言ったところ、各大名が次々に詠い、又最後に新左エ門が「蚊のこぼす涙の海の浮島の、浜の砂子（いさご）を千々に砕かん」と詠って褒美をかっさらって行ったというはなしで60年近くたった今も妙に忘れられない。
大きい、小さいについては際限がないだけに興味も又尽きることはないようだ。
（5/26/22 11:00pm S.T）
2022年5月26日
肝に銘じて
ゼロコロナ政策の徹底により厳しいロックダウンが続いている上海では、革命歌である「インターナショナル」を歌っていると家に警察が来て連行されるという。
「インターナショナル」は、日本でもベトナム反戦デモなどに参加していた全学連の学生たちが、よく歌っていた革命歌であるが、その歴史は古く、19世紀末、当時パリコミューンに参加した人たちに歌われ、その後各国共産党員に愛唱され、ソ連では1944年迄国歌として歌われていたという、まさに共産主義者たちにとっての、「魂の歌」のようなものなのだが―――。
何故今、共産党一党独裁の中国で歌うことが禁じられているというのだろうか。それは、この歌の歌詞にある。
自由を奪われ、数々の抑圧に苦しむ民衆に対して決起を促す勇ましいその歌詞、例えば「起て、飢えたる者よ―――」とか「噴炎を上ぐ過去を叩きのめせ、奴隷たちよ、起て 世を覆せ―――」というアジテーションがこれでもかと全編に盛り込まれており、先の見えないロックダウンで家に閉じ込められ、食糧不足、物不足にあえぐ庶民にとってはうさばらしになっても、自由を強制的に束縛している側の当局側（為政者側）にとっては、甚だカンに障るのは当然で、「治安を乱す行為」として力づくで連行するのだという。
禁じられているのは、「インターナショナル」ばかりではない。中国の国歌として知られる「義勇軍行進曲」も、その歌詞に「いざ立ち上がれ、奴隷を望まぬ人々よ！」「起て！起て！起て！」と民衆を煽り立てる部分があり、ロックダウン中の人々の共感を呼ぶおそれがあるからとして、いまやSNS上では閲覧禁止になっているという。
いやはや、抑圧されている民衆を煽って暴力革命によって政権を奪取した党だけに、体制を守るためには民衆に自由を与えてはいけないということを、肝に銘じているのだろう。
（5/25/22 11:00pm S.T）
2022年5月25日
民間軍事会社
民間軍事会社と言われるロシアのワグネルはその規模など秘密のベールに包まれているが、さまざまに漏れ出て来る情報などによるとその従業員数すなわち兵員数は8000人から10000人だという。
今は民間軍事会社などという言い方をしているが、国家組織に属さないいわゆる傭兵部隊のことであり、いわば「金のために戦う」ことに特化した兵たちで、国際的な戦争法規にも従わない、「法の埒外の殺し屋集団」である。
ウクライナ侵攻でロシアが使っているワグネルが今悪名が高いが、アメリカ軍がアフガンをはじめイラク攻撃時に大量の民間軍事会社を使っていたし今も西側諸国でも民間軍事会社は、むしろ花盛りといった状況だ。
戦闘に於いて。民間軍事会社を使うメリットはどこにあるのだろうか。徴兵された兵に比べれば、最初からプロの兵には、訓練などの必要がないこと、やる気（士気）に劣る徴用兵に比べ、傭兵には「金の為」という強いモチベーション（？）があること等々があるが、何といっても戦闘行為に参加しながら彼等が何をやっても、政府は、「正式な軍隊ではないから、おれたち政府（ロシア）とは関係がない」と言い逃れられることが大きい。（強盗殺人で政府が責任を問われることがないのと同じだ）
一応国際戦争法規というものがあって、いかに戦争といえどもやってはいけないことというものがある。民間人の虐殺や捕虜の虐待、殺害などは戦争犯罪として裁かれることもあるし、それを命じた者の責任が問われることにもなるが、「政府とは関係ない民間会社」という言い逃れができるのなら、彼等がどんな犯罪的な残虐行為をおこなおうが政府としては「自分達とは関係ない、死刑でも結構」ということもできる。
それにもう一つ、正規兵ならば、給与は傭兵より安いにせよ、彼等が負傷したりあるいは死亡した場合には補償が大変だし、退役したら今度は年金を支払い続けなければならないが、民間軍事会社の社員（兵）にはそういったものを一切払う必要がないというのが大きなメリットだ。
8000人とも1000人ともいわれるワグネルだが、開戦以来その兵力の4割が死亡したともいわれている。ウクライナ軍がそれほど強いのか、西側の武器援助がそれほど効いているのか、とも思うが―――いずれにせよ、この戦いは相当長引きそうな気配だ。
（5/24/22 11:00pm S.T）
2022年5月23日
兵站は大丈夫か
ウクライナに侵攻しているロシア軍が、所によって劣勢を強いられている理由の一つには、兵站（へいたん）の欠如があると言われている。
戦争に於いて物資の補給は極めて重要だ。銃弾や砲弾が尽きるという事態に陥ればいかに精鋭部隊といえども全滅は避けられないし、いかに最新鋭の戦車、軍用機といえども燃料の補給が絶えてしまえばただの巨大ゴミに過ぎない。（高速道路でガス欠した車は、人迷惑な鉄くずの塊だ）
兵器ばかりではない。敵中にあれば、水や食料の兵站に事欠いては、後は只、殲滅されるのを待つばかりだ。
以前にも書いたが（参照：「輜重兵と統計」２/22/19）これほど重要な兵站だが、それを担う輜重（しちょう）兵は、日本陸軍においては軽視されがちで、「輜重輸卒が兵隊ならば、ちょうやとんぼも鳥のうち」などと揶揄されていたという。
どんなに戦略、戦術が優れていても兵站を怠っていては、戦の必負は避けられない。「腹がへっては戦はできぬ」のだ。
侵攻当初には、首都キエフに長い車列を組んで迫っていたロシア軍が、撤退を余儀なくされた理由も、兵站に事欠き、長い車列が燃料切れで立ち往生し、兵たちも食糧不足で、中には民家に食糧強奪に走る兵士なども出るなどしたことが大きいと言われている。そんな強盗まがいの行為が、映像として広く世界に拡散され、その余りの残虐さに多くの国々の憤りの声が巻き上がっているが、ナチスの残虐さが、その崩壊後80年近く経っても、広く語り継がれているように、ロシアのウクライナに対する悪逆非道の行為は、歴史に長く刻まれることだろう。
国を護るという意味からも兵站の準備は極めて重要だ。回りを中国、ロシア、北朝鮮という強権国家と、韓国という反日国家に囲まれた日本だが、いざという時の備えは――大丈夫とはとても思えないのだが―――。
（5/22/22 11:00pm S.T）
2022年5月20日
盗泉の水
喉が渇いていた孔子は、通りかかった泉の水を飲もうと思ったが、その泉の名前が「盗泉」だと知って飲むのをあきらめた、という故事が「渇しても盗泉の水を飲まず」の諺の由来である。どんなに困っていても、不正には手を貸すべきではない、というモラルを説く諺だ。
CNNによると、ロシアが侵攻したウクライナから大量の穀物を略奪し、実効支配するクリミア半島を経由して地中海沿岸の各国へ輸出を試みているという。実際先日には、クリミア半島セバストポリを４月下旬に出港約３万トンの穀物船が、ウクライナ政府からの通報もあって、エジプトのアレクサンドリアで入港を拒否され、その後、レバノンのベイルートでも拒まれ、結局、現在はシリアのラタキアにあるロシア軍基地に係留中だという。
ウクライナは世界屈指の小麦輸出国で、世界最大の小麦輸入国でもあるエジプトやレバノンなどは、ロシア軍のウクライナ侵攻に伴い小麦の調達が滞り、深刻な物価高騰に見舞われているというが、それでもさすがにロシアがウクライナから略奪した小麦には、手を出さなかったという訳で、「渇しても盗泉の水を飲まず」の故事を思い出させる。
それにしても、ロシアは、ウクライナに侵攻し市民迄を巻き込んで虐殺していることことで、「悪逆非道」のふるまいと言えるのに、さらにはそこに貯蔵されていた大量の小麦などを略奪、その略奪品を外国に売りさばこうとしているというのだから―――こんなことを国ぐるみで行っていて、その政権を80％以上の国民が支持しているというのだから―――こんなことが21世紀の世界で起こり得るとは―――。
スターリンの時代、ロシア共産党に従わなかったウクライナに侵攻、穀物を根こそぎ略奪しロシアに持ち去り、500万人ともいわれる餓死者をだすことでウクライナ人をホロドモール（飢えによる大虐殺）に追い込んだソ連だが、その復活を夢見ていると言われるプーチンのロシアは、また、この悪逆を繰り返そうというのだろうか―――。
そんなロシアと国境を接する日本だが、サハリンのLNGプロジェクトから、何だかんだと理由をつけて撤退しないと言い続けている。孔子だったら何というだろうか―――。
（5/19/22 11:00pm S.T）
2022年5月17日
アンカレッジ経由
JALが東京--ニューヨーク線を就航した60年程前には、その飛行ルートは東京～ホノルル～サンフランシスコ～ニューヨークという2地点を経由するものだったという。ジェット機が燃料を多く積めなかったこと、また燃費もよくなかったことなどによるものだったが、78年にはアラスカのアンカレッジで一度給油すればニューヨークまで行けるようになった。又欧州各都市へ行く場合も、ソ連時代にはシベリア上空が機密保持の為もあって飛行禁止だった為に、香港やシンガポール、インドや、ドバイなどを経由する南回り航路か、アンカレッジ経由の北回りしかなかったこともあって、何しろ日本から欧米に行く際には、アンカレッジ空港に寄航する必要があり、日本人旅行者にとっては、アンカレッジは、おなじみの空港であった。
タカさんも、何度もアンカレッジ空港での、給油の一時間余りの時間をつぶした経験があるが、ロビーには、大きな立ち姿の北極熊のはく製や、ぶら下がり健康器があったこと、日本人相手のギフトショップや、立ち食いうどんの店があって日本語ができる（日本人花嫁さんたち？）従業員が一杯いたことを思い出す。ジェット機の性能がよくなり航続距離が伸びたことや、ソ連が崩壊してからはシベリア上空を飛べるようになったことで、アンカレッジへの寄航は、なくなってしまい、どうしてもアラスカに行きたいという場合には、一旦シアトルなどに行ってアメリカの国内線に乗り換えるか、オーロラツアー等のチャーター便に乗るしかなくなっていたのだが―――。
ウクライナ侵攻による対ロシア制裁に踏み切った欧州各国に対して、ロシアがその報復としてロシアの領空の飛行を禁止した。一応日本は、ロシア機の乗り入れを禁止していないので、ロシアも対日本での飛行禁止は、発動していないが、日本だけシベリア上空を飛んでは、欧米各国に非難されるだろうし、そもそもコロナによる欧州への定期便需要もないことから、日本も今、実質、シベリア上空を飛んではいないようだ。
ウクライナ侵攻は長引きそうなことから、コロナが収束したとしてもしばらくは、シベリア上空は飛ばない方がよさそうだ。
そういうもろもろを考えると、その内に何十年かぶりにアンカレッジ経由の北回り便というのが復活する可能性だってありそうだ―――。
あの白熊のはく製はまだ残っているだろうか、立ち食いうどん店はまだあるのだろうか―――確かめてみたいような気もしなくはないが。
（5/16/22 11:00pm S.T）
2022年5月16日
ヨーロッパは一つか
いまや、情報が瞬時に世界を駆け巡り、経済もグローバル化によって相互依存度を高めているとはいうものの、民主主義対強権の対立や、より複雑化している宗教対立、民族間・人種間対立、拡大する一方の貧富の差、等々をみるにつけ「みんな仲良く」の理念が実現する可能性がいかに低いかを思い知らされる今日この頃だ。
世界統一に比べたら随分とスケールが落ちる（？）理念の一つである、「ヨーロッパは一つ」という考えに基づいて作られたヨーロッパ連合（EU）にしても、イギリスの離脱（BRIX）もあったし、スイスやノルウェーあるいは多くの東欧の国々の様に非加盟国もあって、理念の実現には、程遠いのが実情だ。岡倉天心が掲げた「アジアは一つ」という理念が、絵空事に終わってしまっているのに比べれば、まだEUの方が少しはましかもしれないが―――多様な国々を一つにまとめる、などということは、やっと月に行った人類が、系外惑星探査を目指しているのに近い困難さではないかと思う。
「ヨーロッパは一つ」を、少し歴史的に考えてみた。現在のドイツ人やオーストリア人たちは、ゲルマン系と言われる人々だが、東ヨーロッパに住んでいた人たちが、食糧難などもあって4〜6世紀に「民族大移動」によって西ヨーロッパ一帯に広がった子孫たちだ。もともとこの地（現在のドイツ等）にはケルト人と言われる人達がいたのだが、ゲルマン民族大移動によってアイルランドなどの西方辺境地域に駆逐されていったといわれるし、ゲルマン人が移動して去った後の東ヨーロッパには今度は、スラヴ系と言われる人たちがそれを、穴埋めする形で侵入してきたという歴史がある。
一方、一時は、栄華を誇ったギリシャ、ローマ文化の主役であった人たち（ラテン系と言われる人たち、およびトルコ系）は、徐々にイタリア、フランス、そしてイベリア半島（現在のスペイン、ポルトガル）に広がり、そののち15世紀以降は南米に支配者としてひろがるようになった―――という歴史は実に複雑だ。日本のように2000年近く、あまり外敵の侵入も受けず、王権も大きな変遷のなかった国とは大違いだ。
欧州ではこの複雑な民族関係に、更に複雑な宗教関係が絡む（クリスチャン、プロテスタント、東方正教会、イスラム等々）となれば―――。
戦前の平沼騏一郎内閣が言ったという「欧州の天地は複雑怪奇」は未だに至言なのかもしれない。
（5/15/22 11:00pm S.T）
2022年5月13日
ナイチンゲールとデュナン
今や世界的な組織である赤十字だが、スイス人の実業家アンリー・デュナンが、1859年のイタリア統一戦争（フランス・サルディニア連合軍とオーストリア軍の間で戦われた）の激戦地で、双方に夥しい死傷者が出ている光景をみて、その負傷者を両軍分け隔てなく看護しようとして始めた運動が起源だ。
デュナンはその数年前に起きて20万人と言われる死傷者を出したクリミア戦争（帝政ロシア対オスマントルコ・イギリス・フランス間で起きた）で「クリミアの天使」といわれ看護活動に大活躍したナイチンゲールを非常に敬愛していたことが、この活動の動機になっていたと言われるが、実はナイチンゲールはデュナンの赤十字活動には反対だったと言われる。
その理由は、デュナンが両軍分け隔てなく救いの手を延べる―――という方針であったのに対して、ナイチンゲールは、両軍の兵士を、むやみやたらに助けてしまうと、戦争が長引くだけだと考え、デュナンの方針に反対であったからだという。
ロシアのウクライナ侵攻が続いているが、ウクライナ東部の激戦地ではロシア軍が東部住民をロシア領に強制的に連れ去っているといわれ（ロシア側は、住民がロシア領に勝手に避難してきているいるのだと主張しているが）この大量の住民たちのロシア領に於けるキャンプに赤十字が入り、住民に食糧を配るなどの世話をしていることに関し、ウクライナのゼレンスキ―大統領は、「赤十字はロシアによるウクライナ住民拉致に手を貸している」と非難しているという。
まあ、ゼレンスキ―大統領にとっては、赤十字はアウシュビッツ強制収容所に手を貸しているに等しい、とも見えるのだろうが―――ここに再び、あのナイチンゲールとデュナンの考えの違いに似たようなものが出てきてはいないだろうか。
1990年頃に起きたルアンダでの100万人ともいわれる虐殺が起きたとき、赤十字はここに虐殺している側の許可を得て入り、食糧援助などを行っていて非難されたことを思いだす。
ボランティアとして、困っている人を助ける、という崇高な理念も戦争や虐殺という場では、そんなに単純な話では片付かない―――ということをつくづく考えさせられる。
（5/12/22 11:00pm S.T）
2022年5月11日
うさぎ跳び
今や運動中に水分補給をするのが「常識」となっており、厚労省も熱中症予防などのために「健康のため水を飲もう推進運動」などというものを展開しており、甲子園の高校野球でも給水タイムが設けられたりもしているが、今から30年位前までは野球部の監督や指導者の多くは、「試合中に水を飲むな！」などといって水分補給を禁止したりしていた。「水を飲むとすぐ疲れる」などという「迷信」がどこから生まれたのか不明だったが、鬼コーチが「喉が渇くのは、根性が足りないからだ！」などといってケツバットを振り回していたことを思うと、そのレベルの低さに、なんとも悲しくなる現実があったのだ。
子供のうちから眼鏡をかけると「視力がどんどん落ちる」などといわれて無理して眼鏡をかけない子供が多かったとか、どういう根拠に基づいていたのかまったく不明だった「常識」なるものが次々と書き換えられ、またしばらくするとその「常識」も変わってしまうなどということがいくつもある。（塩分は控えろと言われるようになって、水分補給をジャンジャンしていると血中のナトリウム濃度が下がり転倒リスクが上がる上に、認知症にもなり易い――等と言う説もある――水をこまめに飲んで、塩分を控えめにしているタカさんはどうなるのだ！）
テレビCMの大半を占める健康食品やら健康グッズの中には、後に「実は体に害があった」等と言われるものがいくつもあり、製法や成分が偽りだったなどというものが多いからテレビCMはどれも要注意だ。まあ、昔から、くすりくそうばい（薬九層倍）という位だから、これもオレオレ詐欺と一緒で騙される方にもいくらか責任があるのかもしれないが。
しかし、ワクチンを注射してもコロナに感染してしまう人もいるからといって、Qアノンのワクチン陰謀論などになると大笑いのレベルにもなるし―――、まあ世の中には、絶対的常識などというものはないと考えるべきなのだろう。
そうそう、昔トレーニングとして、よくやらされた「うさぎ跳び」は、足腰を鍛える効果が無く、故障のリスクが高いとされて廃れてしまった。うさぎ跳びで鍛えていた「巨人の星」の星飛雄馬は、今や膝を痛めた老人となっているのだろうか。
（5/10/22 11:00pm S.T）
2022年5月10日
縄文生活
縄文文化を代表する遺跡である三内丸山遺跡と、弥生時代を代表する遺跡である吉野ケ里遺跡には大きな違いがある。三内丸山には集落の回りには堀も塀もないが、吉野ケ里は集落の周囲に濠をめぐらせ、濠の外側には土塁、濠の内側には逆茂木を立ててという鉄壁の守りで集落を守っていることだ。
これは明らかに縄文集落は外敵に攻められることを想定していない、すなわち平和な社会であったのが、弥生集落は、常に外敵の襲撃に対して警戒を続けなければいけない――という社会であったことの証左である。
この縄文社会と弥生社会の違いは、なにが原因だったのかは様々な説があったが、縄文社会が狩猟採取社会、弥生社会が農耕社会であったことに起因するという説が、ほぼ定説になっている。
男は森に入りウサギ、シカ、イノシシなどを狩り、主に女性が栗や栃、胡桃などの木の実や貝などを採取して食べていたのが縄文時代で、弥生時代になると稲作を中心とする農耕によって食糧を確保していたと言われる。
狩猟採取生活と農耕生活の大きな違いは、それによって得られた食糧の大量な保存が可能かどうかである。稲作の為には水利を管理し、大規模な耕作地づくりが必要で、どうしてもそれ等の作業の為の音頭取り、すなわちリーダーが必要だし、収穫物の保存管理者には権力と富が多くあつまらざるを得ない。
世界四大文明の地でも、必ず王が出現し、その富は王又はその回りに集まることになるが、ウサギやイノシシは大量に獲れる訳でもなく、クリや貝だって米や小麦あるいはトウモロコシのように大量にとれる訳ではないし保存するといってもその量はたかが知れているから、他の集落を命を懸けて迄、襲う必要もなければ、襲われるおそれも少ない。
これはすなわち狩猟採取社会は必然的に争いが少ない社会、農耕社会は富を巡っての争いの社会にならざるを得ない、というセオリーに通じるのではないだろうか。
翻って現代社会を考えてみると、この縄文と弥生の違いが今も続いているように見える。全ての争いが持つ者と持たない者の間、あるいは持つ者同士の奪い合いに起因してはいないだろうか――――。
かといって世界80億にまで増えてしまった人類が皆、縄文生活に戻るわけにも行かないし―――。
（5/09/22 11:00pm S.T）
2022年5月9日
マクドナルド指数
世界各国の物価を比較する指標として「ビッグマック指数」というのがある。世界各国で展開しているマクドナルドの代表商品でもあるビッグマックは、どの国でも、同じ材料で作られて売られているのだから、その価格を比べれば、その国の物価が分かる、という訳で、それはすなわち二国間の為替の比較にもなるという訳だ。
例えば、日本ではビッグマックは、390円だがアメリカでは＄5.81だから円換算（＄1/￥130）すると755円と、日本で買う倍はすることになる。ニューヨークではランチ代が平均15ドル（1950円）というからビッグマック指数が示す「アメリカの物価は大体日本の倍」というのは当たっていると言えるのではないだろうか。（眞子さん小室さんのNY暮らしもさぞや大変だろう）
このビッグマック指数でみると日本の物価は世界57ヶ国中33位（高い順にスイス、ノルウェー、アメリカ）と下位になる。
円ドルの為替が130円近辺となり、ガソリンや小麦などの価格が上がっていると大騒ぎになっているが、総合物価指数は欧米などに比べてほとんど上がっていない。
円安は「貿易立国」といわれていた時代ならば、日本経済にとっては良いはずだが、昨今の日本では、GDPに占める輸出の割合はわずか18％でしかなくドイツ(47%)、韓国(44%)に比べると、その輸出依存度は極めて低く（OECD36カ国中35番目）円安が与えるメリットはあまりおおきくはないようだ。
まあそんな訳で、マスコミが騒ぐほどに円安は日本で暮らす我々にとってはあまり影響はない――というのが実情だ。
そうそう、このマクドナルド指数でみる限りでは、コロナが明けたらお勧めの旅行先としては、台湾（マック指数48位）マレーシア（54位）トルコ（56位）ということになるが――まあ治安のことも総合的に考えたらやっぱり、国内の温泉地辺りが無難ということだろうか―――。この連休中に久々に日本人の受入れを再開したハワイに行った人たちの帰国第一声が「物価が高くて大変だった」であったことも考慮すると―――タカさんも久しぶりに旅行にでるとしても先ずは国内旅行にしておこう。
（5/08/22 11:00pm S.T）
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